Oracle Databaseのアップグレード処理の主なステップ
Oracle Databaseのアップグレードは、6つの主なステップで構成されます。
アップグレード・ステップのワークフロー
次の図に、アップグレード処理で実行する主な手順の概要を示します。
ステップ1: Oracle Databaseをアップグレードするための準備
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新しいOracle Databaseのリリースの機能を理解します。
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新しいリリースへのアップグレード・パスを決定します。
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アップグレード方法を選択します。
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新しいリリースのOracleホーム・ディレクトリを選択します。
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テスト計画を作成します。
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バックアップ計画を準備します。
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アップグレード前の推奨事項に従います。
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アップグレード前修正スクリプトを実行するか、手動でアップグレード前のシステム更新を実行します。
注意:
アップグレード中、新しいリリースをテストしている間、既存のリリースを本番環境として使用するために複数のリリースのデータベース・ソフトウェアを実行することを検討してください。
ステップ2: Oracle Databaseのアップグレード処理のテスト
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テスト・データベースを使用して、アップグレードのテストを実行します。本番データベースに影響を与えないテスト用に作成された環境でテスト・アップグレードを実行します。テスト環境は、本番環境と可能なかぎり同じ状態のサーバー上に存在する必要があります。たとえば、サーバーは同じオペレーティング・システムだけを使用するのではなく、異なるオペレーティング・システムを使用する必要があります。オペレーティング・システムは同じパッケージを使用した同じパッチ・レベルを実行する必要があり、また、他のシステム構成の詳細も一致する必要があります。
ステップ3: アップグレードしたテスト用Oracle Databaseのテスト
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Oracle Databaseの新しいリリースにアップグレードしたテスト・データベースに対して、ステップ1で計画したテストを実行します。
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結果を確認し、テストでの相違点を記録します。
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発見した相違点を解決する方法を調べて、その解決方法を実装します。
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アップグレードのテストが問題なく完了し、必要なアプリケーションで正常に動作するまで、必要に応じてステップ1、ステップ2およびステップ3の最初の部分を繰り返します。
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相違点をテストし、潜在的なサポートの質問を特定するため、SQL計画管理を実行します。SQL計画管理には、次のステップが含まれます。
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アップグレードの前に、以前のリリースのOracle Databaseのベースラインと計画を取得し、それらの計画を格納します。
計画をステージング表に格納してから、それらの表に対してデータ・ポンプ・エクスポート・ユーティリティ
expdp
を実行することをお薦めします。 -
アップグレードの後に、パフォーマンスの低下などの問題が発生した場合、以前のリリースのOracle Databaseから取得した計画に基づいて適切であることがわかっている古い計画を適用(ロード/承認/展開)します。
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参照:
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SQL計画管理の詳細は、『Oracle Database SQLチューニング・ガイド』を参照してください
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ドキュメント1948958.1 SQL計画管理(SPM)による問題を避けるために11.2.0.3で検討するパッチ
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ドキュメント2034706.1 SQL計画管理(SPM)による問題を避けるために11.2.0.4で検討するパッチ
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ドキュメント2035897.1 SQL計画管理(SPM)による問題を避けるために12.1.0.1からのアップグレード時に検討するパッチ
ステップ4: 本番Oracle Databaseの準備および保存
既存の本番データベースをアップグレードする前に、次の作業を完了します。
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Oracle Databaseの新しいリリースへのアップグレードが正しく行われるように、現行の本番データベースを準備します。
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本番データベースのバックアップ処理とアップグレード処理に必要な停止時間をスケジューリングします。
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現行の本番データベースのバックアップを作成します。
システムに大規模な変更を行う前に、必ずフォールバック計画を実装しておくことをお薦めします。フォールバック計画には、次の作業が含まれる必要があります。
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バックアップ計画をテストし、これが機能することを確認します。
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バックアップ計画が必要な場合は、それを適用するために必要な時間を計画します。
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アップグレードの準備でプラン・スタビリティ・チェックを実行するには、SQL計画管理を実行します。支援が必要な場合、サービス・リクエストを送信します。
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注意:
新しいバージョンのオプティマイザをインストールするデータベースのアップグレードでは、通常、ほんのわずかなSQL文に対して計画の変更が発生します。
ほとんどの計画変更において、パフォーマンスの向上が見られるか、または変化がありません。ただし、一部の計画の変更は、パフォーマンスの低下の原因となることがあります。SQL計画ベースラインにより、アップグレードがもたらす低下の可能性を最小限に抑えられます。
アップグレード時には、データベースにより計画ベースラインからの計画のみが使用されます。データベースは現在のベースラインに含まれない新しい計画を保持領域に入れ、後でそれらを評価し、ベースラインに含まれる現在の計画よりも少ないリソースを使用するかどうかを判断します。それらの計画のパフォーマンスがより優れている場合は、それらの計画をベースラインに昇格させます。そうでない場合は昇格させません。
ステップ5: 本番Oracle Databaseのアップグレード
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Oracle Databaseの新しいリリースに本番データベースをアップグレードします。
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アップグレードの後、本番データベースの全体バックアップおよびその他のアップグレード後の処理を行います。
ステップ6: 新しい本番Oracle Databaseのチューニングおよび調整
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Oracle Database 12cの新しい本番データベースをチューニングします。新しい本番データベースのパフォーマンスは、アップグレード前のデータベースと同等以上にする必要があります。
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Oracle Database 12cのどの機能を使用するかを決定し、それに応じてアプリケーションを更新します。
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必要に応じて、新しいデータベース管理の手順を作成します。
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すべてのアプリケーションがテストされ、適切に動作するまでは、本番ユーザーを新しいリリースにアップグレードしないでください。
関連項目
- Oracle Databaseのアップグレード
- https://support.oracle.com/epmos/faces/DocumentDisplay?cmd=show&type=NOT&id=1948958.1
- https://support.oracle.com/epmos/faces/DocumentDisplay?cmd=show&type=NOT&id=2034706.1
- https://support.oracle.com/epmos/faces/DocumentDisplay?cmd=show&type=NOT&id=2035897.1
- Oracle Databaseのアップグレード後の作業
- Oracle Databaseのアップグレード後のアプリケーションのアップグレード
親トピック: Oracle Databaseのアップグレードの概要