Java仮想マシン診断(JVMD)は、Enterprise Manager Cloud Controlの重要な機能の1つで、これを使用して管理者は本番環境におけるJavaアプリケーションのパフォーマンスの問題を診断できます。問題を再現する必要性がなくなることにより、こうした問題解決に必要な時間が短縮されるため、アプリケーションの可用性とパフォーマンスが向上されます。
JVMDエンジンの機能を使用すると、管理者はアプリケーションを効率的に管理でき、テスト環境や開発環境で再現しなくても本番環境でのパフォーマンス問題の根本原因を特定できます。JVMDエンジンは、WebLogic Server上でEnterprise JavaBeans (EJB) Technologyとして実行されます。
JVMDエージェントは、ターゲットJVM (本番環境のWebLogic Serverを実行するJVM)にデプロイされます。リアルタイムのデータを収集し、JVM診断エンジンに転送します。このデータはManagement Repositoryに格納され、収集された情報はモニタリングのためにEnterprise Manager Cloud Controlコンソールに表示されます。JVMDエンジンとJVMDエージェント間の通信は、セキュア(SSL)または非セキュア接続が可能です。Enterprise Manager Cloud Control 13.xは、JVMDエージェントの下位互換性をサポートしません。つまり、OMSが12.xから13.xにアップグレードされた場合、12.x JVMDエージェントを含むJVMはモニター対象ではなくなります。すべての12.x JVMDエージェントをアンデプロイして13.x JVMDエージェントをデプロイする必要があります。デプロイメント・ステップ出力(一括デプロイメントまたは手動デプロイメントの実行出力を使用する場合はジョブ・ステップ出力)をモニターしてJVMの再起動が必要かどうかの判断が重要です。
13cリリース1以降、Oracle Fusion Middlewareプラグイン・デプロイメントの一部として、デフォルトでJava仮想マシン診断(JVMD)エンジンが1つOMSにインストールされるようになりました。デプロイする追加OMSごとに、そのOMSとともにデフォルトで1つのJVMDエンジンが提供されます。JVMDエンジンはデフォルトではOMSホストにインストールされますが、JVMDエージェントはターゲットのJVMに手動でデプロイする必要があります。
JVMDエージェントをインストールするには、Enterprise Manager Cloud Controlコンソールからアクセス可能な「設定」ページを使用します。このページにアクセスするには、「設定」メニューから「ミドルウェア管理」、「エンジンおよびエージェント」の順に選択します。
図8-1は、「エンジンおよびエージェント」ページを示します。
図8-1「エンジンおよびエージェント」ページ
「エンジンおよびエージェント」ページは次の目的に使用できます。
すべてのJVMDエンジンの可用性のモニター
JVMDエンジンをデプロイするホストや現在の状態、実行中のポート、バージョンなど、JVMDエンジンに関する情報へのアクセス
JVMDエージェントのデプロイ、アップグレードおよび削除
レポートしているJVMDエージェント数と、それらのアップグレードの必要性の通知
モニター対象のOracle CloudターゲットにJVMDエージェントをデプロイできます。
前提条件として、ハイブリッド・クラウド・エージェントをOracle Cloudターゲットにデプロイし、ハイブリッド・ゲートウェイをOracle Cloudに構成する必要があります。ハイブリッド・ゲートウェイは、(Oracle Cloudにデプロイされている) JVMDエージェントからの通信を(OMSホストにオンプレミスでデプロイされている) JVMDエンジンに転送し、JVMDエンジンからの通信をJVMDエージェントに戻します。複数のJVMDエージェントで1つのハイブリッド・ゲートウェイを使用できます。
Oracle CloudターゲットにJVMDエージェントをデプロイする方法の詳細は、モニター対象のWebLogicドメインへのJVMDエージェントのデプロイを参照してください。
この項では、モニター対象のWebLogicドメインにJVMDエージェントをデプロイする方法を説明します。JVMDエージェントをWebLogic Server以外のアプリケーション・サーバーへデプロイする方法の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Controlアドバンスト・インストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。
「設定」ページを使用してモニター対象のWebLogicドメインにJVMDエージェントをデプロイするには、次の手順を実行します。
JVMDエージェントをデプロイした後、次の健全性チェックを実行し、管理対象サーバーにJVMDエージェントが正しくインストールされていることを確認します。
Cloud Controlで、「ターゲット」メニューから「ミドルウェア」を選択します。Middlewareのホーム・ページで、JVMDエージェントがデプロイされたドメインを選択します。左側のペインで、「ターゲット・ナビゲーション」セクションから「Java仮想マシン・プール」をクリックしてメニューを展開します。JVMDターゲットが表示されます。
各ターゲットは、JVMDエージェントのデプロイメントに選択された管理対象サーバーの1つに対応しています。すべてのターゲットが稼働中である必要があります。
JVMDエージェントがデプロイされたドメインのWebLogic管理コンソールにログインします。ターゲットの管理対象サーバーにjamagent
またはjavadiagnostics
(デプロイメントのタイプに依存します)という名前の新しいアプリケーションがあり、このアプリケーションが稼働中である必要があります。