この章では、Oracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)を使用して、プラガブル・データベース(PDB)を管理する方法について説明します。この章の具体的な内容は次のとおりです。
この項では、この章に取り組むための手引きとして、新しいプラガブル・データベース(PDB)の作成、PDBのクローニング、非コンテナ・データベース(CDB)のPDBとしての移行、PDBの切断およびPDBの削除に関する手順の概要を説明します。この項は、Cloud Controlを使用したこれらのタスクの実行を成功させるために必要な一連の処理を理解するためのドキュメント・マップと考えてください。各手順の参照リンクをクリックすると、詳細情報が説明されている関連セクションが表示されます。
表14-1 プラガブル・データベースの管理の概要
手順 | 説明 | 参照リンク |
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手順1 |
概要の確認 PDBの概念の概要を確認します。 |
PDBの概念の概要については、Enterprise Managerを使用したプラガブル・データベースの管理の概要を参照してください。 |
手順2 |
ユースケースの選択 次から、要件に最も一致するユースケースを選択してください。
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手順3 |
前提条件の確認 選択したユースケースの前提条件を満たします。 |
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手順4 |
手順の実行 選択したユースケースの手順に従います。 |
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Oracle Databaseには、Oracle Netクライアントに個別のデータベースとして表示される、スキーマ、スキーマ・オブジェクト、および非スキーマ・オブジェクトのポータブル・コレクションを含めることができます。この自己完結型コレクションは、プラガブル・データベース(PDB)と呼ばれます。マルチテナントのコンテナ・データベース(CDB)は、1つ以上のPDBを含むデータベースです。Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以降のバージョンでは、単一のCDB内に多数のPDBを作成できます。データベースに接続するアプリケーションは、PDBおよびOracle Databaseの以前のバージョン(12.1より前)を同様な方法で参照します。
Cloud Controlで管理者は、CDBのプロビジョニング、PDBのプロビジョニング(シードまたは切断されたPDBから)、既存のPDBのクローニング、非CDBのPDBとしての移行、PDBの切断、PDBの削除を含むPDBのライフサイクル全体の管理を実行できます。
注意:
Cloud Controlを使用してPDBのライフサイクルを管理するには、Oracle Databaseプラグイン用に12.1.0.3 Enterprise Manager以降のバージョンがデプロイされている必要があります。Cloud Controlを使用してPDBを削除するには、Oracle Databaseプラグイン用に12.1.0.5 Enterprise Managerがデプロイされている必要があります。
プラグインのデプロイ方法および既存のプラグインのアップグレード方法の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。
図14-1に、Cloud ControlでのPDBのライフサイクルの管理方法の概要を図示します。
図14-1 プラガブル・データベースの管理
PDBおよびCDBの詳細は、Oracle Database管理者ガイドのプラグインの管理を参照してください。
PDBは、CDB内に新しいPDBを作成するか、既存のPDBをクローンするか、既存の非CDBをPDBとしてCDBに移行してプロビジョニングできます。また切断したPDBをCDBに接続して、プロビジョニングすることも可能です。
この項では、Cloud Controlコンソールを使用したPDBのプロビジョニングについて説明します。この章の内容は次のとおりです。
注意:
EM CLIを使用してPDBをプロビジョニングすることもできます。これを行う方法の詳細は、プラガブル・データベースのプロビジョニングを参照してください。
この項では、Cloud Controlを使用して新しいPDBを作成する方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。
Cloud Controlを使用して新しいPDBを作成する前に、次の前提条件を満たしていることを確認してください。
Cloud Control内にOracleソフトウェア・ライブラリ(ソフトウェア・ライブラリ)を設定する必要があります。
Cloud Controlでのソフトウェア・ライブラリの設定方法の詳細は、「Oracleソフトウェア・ライブラリの設定」を参照してください。
PDBを作成するCDBが存在しており、Cloud Controlのターゲットである必要があります。
注意:
新しいCDBの作成方法の詳細は、データベースの作成を参照してください。
(PDBを作成する) CDBは読取り専用、アップグレード、ダウングレード・モードになることはありません。
ターゲット・ホストのユーザーは、(PDBを作成する) CDBが属するOracleホームの所有者である必要があります。
この項では、Cloud Controlを使用して切断されたPDBをCDBに接続する方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。
Cloud Controlを使用して切断されたPDBを接続する前に、次の前提条件を満たしていることを確認してください。
Cloud Control内にOracleソフトウェア・ライブラリ(ソフトウェア・ライブラリ)を設定する必要があります。
Cloud Controlでのソフトウェア・ライブラリの設定方法の詳細は、「Oracleソフトウェア・ライブラリの設定」を参照してください。
ターゲットCDB (切断したPDBを接続するCDB)が存在しており、Cloud Controlのターゲットである必要があります。
注意:
新しいCDBの作成方法の詳細は、データベースの作成を参照してください。
ターゲットCDBは読取り専用、アップグレード、ダウングレード・モードになることはありません。
切断したPDBを説明するXMLファイル、およびデータファイル、ウォレット・ファイルなど切断したPDBと関連付られているその他のファイルが存在しており、読取り可能である必要があります。
ターゲット・ホストのユーザーは、(切断したPDBを接続する) CDBが属するOracleホームの所有者である必要があります。
ソースCDBホスト(切断したPDBを以前含んでいたCDBがインストールされていたホスト)およびターゲットCDBのホスト(ターゲットCDBがインストールされていたホスト)のプラットフォームのエンディアンが同じで、互換性のあるデータベース・オプションがインストールされている必要があります。
ソースCDB(切断したPDBを以前含んでいたCDB)とターゲットCDBが、互換性のあるキャラクタ・セットと各国語キャラクタ・セットを持っている必要があります。ソースCDBのキャラクタ・セットの各キャラクタは、ターゲットCDBのキャラクタ・セットで使用でき、ソースCDBのキャラクタ・セットで使用できる各キャラクタのコード・ポイント値は、ターゲットCDBのキャラクタ・セットの値と同じである必要があります。
フル・クローン・メソッドまたはスナップ・クローン・メソッドを使用してPDBをクローニングできます。この項では、Cloud Controlでこれらの方式を使用してPDBをクローニングする方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。
Cloud Controlを使用してPDBをクローニングするには、次の前提条件を満たしていることを確認してください。
Cloud Control内にOracleソフトウェア・ライブラリ(ソフトウェア・ライブラリ)を設定する必要があります。
Cloud Controlでのソフトウェア・ライブラリの設定方法の詳細は、「Oracleソフトウェア・ライブラリの設定」を参照してください。
ソースPDB (クローンするPDB)が存在しており、Cloud Controlのターゲットである必要があります。
注意:
新しいPDBの作成方法の詳細は、Enterprise Managerを使用した新しいプラガブル・データベースの作成を参照してください。
ソースPDBがオープンである必要があります。
ターゲットCDB (クローンしたPDBを接続するCDB)が存在しており、Cloud Controlのターゲットである必要があります。
注意:
新しいCDBの作成方法の詳細は、データベースの作成を参照してください。
ターゲットCDBは読取り専用、アップグレード、ダウングレード・モードになることはありません。
ターゲット・ホストのユーザーは、ターゲットCDBが属するOracleホームの所有者である必要があります。
スナップ・クローン方式を使用してPDBをクローニングするには、次の追加前提条件を満たしている必要があります。
Oracle Databaseプラグイン用に12.1.0.5 Enterprise Managerがダウンロードされ、デプロイされている必要があります。また、SMF 12.1.0.3以上のプラグインがダウンロードされ、デプロイされている必要があります。
クローニングするPDBは、登録済の記憶域サーバー上に存在する必要があります。この記憶域サーバーは同期している必要があります。
記憶域サーバーの登録方法および同期方法の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud管理者ガイド』を参照してください。
クローニングするPDBのすべてのデータファイルは、ローカル・ディスク上ではなく、記憶域サーバーの記憶域ボリューム上に存在する必要があります。
メトリックの収集は、ソースCDB (クローニングするPDBを含むCDB)、ソースCDBホスト、およびクローニングするPDBで実行する必要があります。
スナップ・クローン機能は、クローニングするPDBで有効になっている必要があります。
スナップ・クローン機能を有効にする方法の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud管理者ガイド』を参照してください。
この項では、Cloud Controlを使用して非CDBをPDBとして移行する方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。
Cloud Controlを使用して非CDBをPDBとして移行する前に、次の前提条件を満たしていることを確認してください。
Cloud Control内にOracleソフトウェア・ライブラリ(ソフトウェア・ライブラリ)を設定する必要があります。
Cloud Controlでのソフトウェア・ライブラリの設定方法の詳細は、「Oracleソフトウェア・ライブラリの設定」を参照してください。
ターゲットCDB (非CDBをPDBとして移行するCDB)が存在しており、Cloud Controlのターゲットである必要があります。
注意:
新しいCDBの作成方法の詳細は、データベースの作成を参照してください。
ターゲットCDBは読取り専用、アップグレード、ダウングレード・モードになることはありません。
移行する非CDBおよびターゲットCDBは、ARCHIVELOG
モードで実行されている必要があります。
データベースのアーカイブ・モードの設定については、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
移行するデータベースのデータベース管理者およびターゲットCDBに、SYSDBA
権限が付与されている必要があります。
ターゲット・ホストのユーザーは、ターゲットCDBが属するOracleホームの所有者である必要があります。
この項では、プラガブル・データベース(PDB)の再配置について説明します。再配置の手順に従って、1つのコンテナ・データベース(ソース)から別のコンテナ・データベース(宛先)にプラガブル・データベースを移動します。プラガブル・データベースを別のコンテナ・データベース(CDB)にクローニングするときは、親CDBにオリジナルが引き続き存在する状態でPDBのコピーが作成されますが、再配置では1つのCDBから別のCDBにPDBが完全に移動されます。
注意:
プラガブル・データベースの再配置を適用できるのは、データベース・バージョン12.2以上のみです。特に、この項には次の内容が含まれます。
この項では、PDBの切断および削除について説明します。この章の内容は次のとおりです。
この項では、Cloud Controlを使用してPDBを切断および削除する方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。
注意:
この項での説明する方法を使用するかわりに、EM CLIを使用して、PDBを切断および削除できます。詳細は、プラガブル・データベースの切断および削除を参照してください。
Cloud Controlを使用してPDBを切断および削除する前に、次の前提条件を満たしていることを確認してください。
Cloud Control内にOracleソフトウェア・ライブラリ(ソフトウェア・ライブラリ)を設定する必要があります。
Cloud Controlでのソフトウェア・ライブラリの設定方法の詳細は、「Oracleソフトウェア・ライブラリの設定」を参照してください。
切断および削除するPDBは、最低1回はオープンしている必要があります。
ターゲット・ホストのユーザーは、(切断および削除するPDBを含む) CDBが属するOracleホームの所有者である必要があります。
この項では、Cloud Controlを使用してPDBをCDBから完全に削除する方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。
Cloud Controlを使用して一連のPDBをCDBから完全に削除する前に、次の前提条件を満たしていることを確認してください。
Oracle Databaseプラグイン用に12.1.0.5 Enterprise Managerがダウンロードされ、デプロイされている必要があります。
プラグインのダウンロード方法およびデプロイ方法の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。
Cloud Control内にOracleソフトウェア・ライブラリ(ソフトウェア・ライブラリ)を設定する必要があります。
Cloud Controlでのソフトウェア・ライブラリの設定方法の詳細は、「Oracleソフトウェア・ライブラリの設定」を参照してください。
削除するPDBは、1回以上オープンされている必要があります。
ターゲット・ホストのユーザーは、(削除するPDBを含む) CDBが属するOracleホームの所有者である必要があります。
この項では、PDBの作成、切断、または削除時にEnterprise Managerジョブ・システムで作成されるジョブの詳細の表示について説明します。次の項目が含まれます。
この項では、Cloud Controlを使用してPDBの管理タスクを実行する方法について説明します。次の項目が含まれます。
ユーザー権限の付与やパフォーマンス・レポート作成などのタスクを実行していて、同じタスクを別のPDBで実行する必要がある場合、Cloud Controlを使用して別のPDBに切り替えることができます。同じ機能のページにアクセスしたまま、PDB間で切り替えるには、次の手順に従います。
Cloud Controlを使用して単一インスタンスのPDBの状態をオープンまたはクローズに変更するには、次の手順を実行します。
「Oracle Database」メニューから、「制御」→「プラガブル・データベースのオープン/クローズ」を選択します。
「プラガブル・データベースのオープン/クローズ」ページで、PDBをリストから選択します。
「アクション」ドロップダウン・メニューをクリックし、適切なアクションを選択します。「オープン」、「読取り専用でオープン」および「クローズ」のいずれかを選択できます。
確認ダイアログ・ウィンドウで、「はい」をクリックして、変更を完了します。選択内容の進行状況を示す処理中ダイアログ・ウィンドウが表示されます。
状態の変更が完了したら、「プラガブル・データベースのオープン/クローズ」ページが、PDBの新しい状態を示すために更新されます。
クラスタ/RACのPDBの状態を、オープンまたはクローズに変更するには、次の手順に従います。