ここでは、emctl partoolユーティリティの概要を示し、デプロイメント・プロシージャのPARファイルとしてのエクスポートやPARファイルのインポートなど、クリティカルなタスクの実行に使用する方法について説明します。この付録の具体的な内容は次のとおりです。
注意:
バージョン12cよりも前のバージョンのEnterprise Managerからエクスポートされたプロビジョニング・アーカイブ・ファイルは、Enterprise Manager 12cにはインポートできません。
プロビジョニング・アーカイブ(PAR)ファイルは、コレクションを含むアーカイブ・ファイルです。このコレクションは、多数のライフサイクル管理タスク(アプリケーションのプロビジョニングやパッチ適用など)で使用される、デプロイメント・プロシージャとソフトウェア・ライブラリ・エンティティのバンドルです。
デプロイメント・プロシージャの場合、partoolはユーザー定義プロシージャのみをエクスポートし、Oracle所有のプロシージャはエクスポートされません。ユーザー定義プロシージャをエクスポートする際には、デプロイメント・プロシージャがすべてエクスポートされるわけではなく、カスタマイズ(変更の差分)のみがエクスポートされます。
また、アップグレードの場合には、12cより前に作成されたプロシージャをpartoolユーティリティですべてエクスポートできるわけではないことにも注意してください。
注意:
ソフトウェア・ライブラリ・エンティティを含むPARファイルをインポートする場合は、自らのソフトウェア・ライブラリが構成されていることを確認します。ソフトウェア・ライブラリの構成の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。
時間の経過につれて、デプロイメント・プロシージャをカスタマイズしている可能性がありますが、このようなデプロイメント・プロシージャをCloud Controlの別のインスタンスで再利用するとします。このような状況では、カスタマイズしたデプロイメント・プロシージャをCloud Controlのインスタンスからエクスポートして、Cloud Controlの別のインスタンスにデプロイすることができます。
emctl partoolユーティリティは、コマンドライン・インタフェースを使用してこれらの機能を実行するためのCloud Control提供のツールです。emctl partoolユーティリティの基本機能は次のとおりです。
デプロイメント・プロシージャと関連するコンポーネントやディレクティブをPARファイルとしてエクスポートします。
PARファイルをCloud Controlの同一インスタンスまたは別のインスタンスにインポートします。
emctl partoolユーティリティは$ORACLE_HOME/bin
ディレクトリにあります。
次のように、$ORACLE_HOME/bin/emctl partool
を実行した場合、使用状況に関する情報が表示されます。
emctl partool <deploy|view> -parFile <file> -force(optional) emctl partool <deploy|view> -parFile <file> -force(optional) -ssPasswd <password> emctl partool <deploy|view> -parDir <dir> -force(optional) emctl partool export -guid <procedure guid> -file <file> -displayName <name> -description <desc> -metadataOnly(optional) emctl partool check emctl partool help
表C-1に、emctl partoolユーティリティで使用できる追加オプションを示します。
表C-1 emctl partoolのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
-repPasswd <repPassword> |
リポジトリのパスワードを指定します。-repPasswdがコマンドラインに指定されない場合は、リポジトリのパスワードを入力するようにユーザーが求められます。 注意: コマンドラインでのパスワードの指定は安全性が低いため、本番環境では行わないでください。 |
-force |
ソフトウェア・ライブラリ・エンティティの再作成または再アップロードを強制的に行います。すでに存在する場合は、新しいバージョンが作成されます。 |
check |
ソフトウェア・ライブラリが構成されているかどうかをチェックします。 |
-file <file> |
PARファイルを指定します。 |
-action <deploy|view|export> |
PARファイルのデプロイ、表示またはエクスポートを指定します。 |
-verbose |
冗長モードを指定します。 |
help |
ヘルプ情報を表示します。 |
-displayName <displayName> |
PARファイル名を示します。 |
-parDir <dir> |
PARファイルが存在する場所。 |
-metadataOnly |
メタデータのみをエクスポートするためのフラグ。 |
-guid <guid> |
エクスポートするプロシージャGUID。 複数のプロシージャをエクスポートするときは、GUIDを「,」で区切って指定します。 |
-parFile <file> |
PARファイルのパス。 |
-description <description> |
PARファイルの説明。 |
-ssPasswd <secretStorePassword> |
これは省略可能です。 -action exportと一緒に使用する場合 - エクスポートされるソフトウェア・ライブラリ・エンティティのいずれかにシークレット・プロパティが含まれる場合、シークレット・プロパティの値を格納するためにOracle Walletが作成されます。指定したパスワードを使用してOracle Walletが作成されます。-ssPasswdスイッチを使用するが、コマンドライン引数としてパスワードを指定しないと、パスワードの入力を求められます。新しいリポジトリにPARファイルをインポートするときは、同じパスワードを使用する必要があります。 -action <deploy|view>と一緒に使用する場合 - パスワード保護されたOracle Wallet (エンティティのシークレット・プロパティ値を含む)がPARファイルに含まれる場合、このストアを開くためにこのパラメータが必要です。-ssPasswdスイッチを使用するが、コマンドライン引数としてパスワードを指定しないと、パスワードの入力を求められます。 |
emctl partoolユーティリティを実行してPARファイルをエクスポートまたはインポートする前に、$ORACLE_HOME
環境変数にOracle Management Service (OMS)のOracleホーム・ディレクトリが設定され、ソフトウェア・ライブラリのパスが構成されていることを確認します。
ソフトウェア・ライブラリをチェックするには、次のコマンドを実行します。
$ORACLE_HOME/bin/emctl partool check
デプロイメント・プロシージャをエクスポートするには、まずそれらのデプロイメント・プロシージャのGUIDを取得する必要があります。その後、emctl partoolユーティリティを実行してPARファイルを作成します。この項の内容は次のとおりです。
Cloud Controlを使用してデプロイメント・プロシージャのGUIDを取得するには、次の手順を実行します。
例: https://adc2171248.us.example.com:14500/em/console/paf/procedureView?guid=B3B4B6C76AE46A67E040E50A65751782
GUIDはB3B4B6C76AE46A67E040E50A65751782です。
または、次のEMCLIコマンドを使用してプロシージャのGUIDを取得できます。
emcli get_procedures [-type={procedure type}] [-parent_proc={procedure associate with procedure configuration}] Example: emcli get_procedures -type=DemoNG -parent_proc=ComputeStepTest Output Column: GUID, Procedure type, name, display name, version, Parent procedure name
注意:
EMCLIの設定の詳細は、Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース・ガイドを参照してください。
1つ以上のデプロイメント・プロシージャを含むPARファイルを作成するには、exportオプションをactionに指定し、エクスポートするデプロイメント・プロシージャのGUIDを指定して、emctl partoolユーティリティを実行します。GUIDはカンマで区切ってください。
$ORACLE_HOME/bin/emctl partool export -guid <GUID> -file exportedDP.par -displayName "User exported DP" -description "<description>"
たとえば、エクスポートするデプロイメント・プロシージャのGUIDがFAC05DD31E3791C3E030579D23106C67の場合は、次のコマンドを実行します。
$ORACLE_HOME/bin/emctl partool export -guid FAC05DD31E3791C3E030579D23106C67 -file exportedDP.par -displayName "User exported DP" -description "Deployment Procedure to be copied to other OMS"
このコマンドを実行すると、exportedDP.parという名前の新しいPARファイルが、コマンドを実行したディレクトリに作成されます。このPARファイルは、Cloud Controlの同じインスタンスまたは別のインスタンスに何回でもインポートできます。
複数のデプロイメント・プロシージャをエクスポートするには、次のようにGUIDをカンマで区切って指定します。
$ORACLE_HOME/bin/emctl partool export -guid "06B62B6ED5DA20BCE040578C850862A7,0C96E96D9818BC5FE040578C8508620F,09AEFF331025AAD0EE40578C85FB5772" -file $ENV{T_WORK}/tvmgf_partool_multi_dp.par -displayName "partool multi dp test" -description "partool multi dp test description" -repPasswd sysman
注意:
emctl partoolを使用してプロシージャをエクスポートすると、プロシージャで参照されるディレクティブまたはコンポーネントもエクスポートされます。ただし、エクスポートされるのはこれらのディレクティブまたはコンポーネントの最新バージョンのみです。コンポーネントまたはディレクティブをエクスポートしない場合は、emctl partoolを実行するときに-metadataOnlyフラグを指定します。
PARファイルは、コマンドライン・インタフェースまたはCloud Controlで提供されるグラフィカル・ユーザー・インタフェース(コンソール)を使用してインポートできます。この項の内容は次のとおりです。
注意:
既存のPARファイル(以前のリリース)のEnterprise Manager Cloud Control 12cへのインポートはサポートされていません。たとえば、Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1 (11.1.0.0)をEnterprise Manager Cloud Control 12cにインポートすることはできません。
内容は次のとおりです。
特定のPARファイルをインポートまたはデプロイするには、次のコマンドを実行します。
$ORACLE_HOME/bin/emctl partool deploy -parFile $ORACLE_HOME/sysman/prov/paf/<par_file_name>
次に例を示します。
$ORACLE_HOME/bin/emctl partool deploy -parFile $ORACLE_HOME/sysman/prov/paf/asprov.par
注意:
ソフトウェア・ライブラリまたはプロシージャがすでにEnterprise Managerに存在しているときに、PARファイルの新しいリビジョンを作成する場合は、次のように-force
属性を使用します。
$ORACLE_HOME/bin/emctl partool deploy -parFile $ORACLE_HOME/sysman/prov/paf/asprov.par -force
環境に複数のOMSがある場合でも、PARファイルのデプロイや他の関連操作の実行のためにemctl partoolユーティリティを実行する必要があるのは1回のみです。
PARファイルのインポート時に、ユーザー・プロシージャがすでに設定に存在する場合は、常に改訂(増加)後のバージョンでこのプロシージャがインポートされます。
OMSにPARファイルをインポートまたはデプロイするには、emctl partoolユーティリティを使用します。または、Cloud Controlからインポートすることもできます。
PARファイルをインポートするには、次の手順を実行します。
関連項目:
「プロシージャ・ファイルのアップロード」機能を使用する例については、「カスタマイズしたプロビジョニング・エンティティをEnterprise Managerサイト間でコピー」を参照してください。
注意:
シークレット・プロパティ値を含むコンポーネントまたはディレクティブ(あるいは両方)をインポートまたはエクスポートするときは、 -ssPasswd
コマンドを使用し、Oracle Walletを作成するためにシークレット・ストアのパスワードを指定する必要があります。これにより、シークレット・プロパティ値がOracle Walletを使用して安全に格納されます。インポート時にはOracle Walletパスワードを使用しないとアクセスできません。
-ssPasswdコマンドの詳細は、表C-1を参照してください。