プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Enterprise Managerライフサイクル・マネージメント管理者ガイド
13c リリース2
E78870-07
目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
次

30 Fusion Middlewareドメインのスケール・アップ/スケール・アウト

この章では、Oracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)を使用して、SOAドメイン、サービス・バス・ドメイン、WebLogicドメインおよびWebCenterドメインをスケール・アップおよびスケール・アウトする方法について説明します。この章の具体的な内容は次のとおりです。

注意:

1つのセッションで複数の製品をスケールアップする場合は、各製品のクラスタから同時にサーバーをクローニングできます。

30.1 概要

WebLogicドメインは、単独またはクラスタで動作する一連の管理対象サーバーで構成され、分散リソースを共有します。WebLogic Serverクラスタは、同時に動作し、連携して高度なスケーラビリティと信頼性を実現する複数のWebLogic管理対象サーバーで構成されます。クラスタを構成する複数のサーバー・インスタンスは同じマシン上で実行することも、複数のマシンに配置することもできます。クラスタの能力は、既存のマシン上のクラスタにさらにサーバー・インスタンスを追加することによって、または、新規サーバー・インスタンスをホストするためのマシンをクラスタに追加することによって、強化できます。ドメインのスケール・アップまたはスケール・アウトのデプロイメント・プロシージャを使用すると、ドメインのスケール・アップまたはスケール・アウトを自動的に実行できます。次の操作を実行できます。

  • ドメインまたはクラスタにすでに存在するホストに管理対象サーバーを追加またはクローニングすることにより、ドメインをスケール・アップします。

  • ドメインまたはクラスタに存在していないホストに管理対象サーバーを追加またはクローニングすることにより、ドメインをスケール・アウトします。

30.2 前提条件

ミドルウェアのスケール・アップまたはスケール・アウトのデプロイメント・プロシージャを実行する前に、この項にリストされた前提条件を満たしている必要があります。

注意:

Middlewareプロビジョニング用のインフラストラクチャの設定方法の詳細は、Middlewareプロビジョニング・プロファイルからプロビジョニングするための前提条件を参照してください。

次の前提条件を満たしてから、WebLogicドメインの拡張を開始してください。

  • スケール・アップまたはスケール・アウトするWebLogicドメインは、Cloud Controlで検出された既存のドメインにする必要があります。

  • ドメインをスケール・アウトする場合、宛先のマシンに十分な領域があることを確認します。ソース・マシンのMiddlewareホームのサイズが3GBであれば、ソースと宛先マシンの作業ディレクトリに約3GBの空き領域が必要になります。さらに、宛先マシンには、Middlewareホーム用に3GBの領域が必要になります。デプロイメント・プロシージャが正常終了すれば、作業ディレクトリの中は空になります。

  • 宛先マシンに指定するMiddlewareホームのディレクトリは、新規ディレクトリか空のディレクトリにする必要があります。

  • 管理エージェントが、(管理サーバーが実行されている)ソース・マシンおよび宛先マシンにインストールされている必要があります。ドメインの管理サーバーが起動され、実行されている必要があります。

  • 管理サーバーおよび管理対象サーバー(クローニングされるサーバー)は、デプロイメント・プロシージャを実行する前に稼働している必要があります。

  • 管理対象サーバーおよびノード・マネージャのポートは、空いている必要があります。

  • ユーザーは、作業ディレクトリ内のステージング・ディレクトリに対して必要な権限があることを確認します。ユーザーに十分な権限が付与されていないと、スケール・アップがエラーで失敗することがあります。このような場合、700の権限をステージング・ディレクトリに割り当て、再試行します。

  • ドメインをスケール・アウトする場合、ユーザーは、次の権限を持っている必要があります。

    • 次の読取り権限:

      • 管理サーバーのホスト・ミドルウェア・ディレクトリ

      • 管理サーバーのホスト・ドメイン・ディレクトリ

    • 次の書込み権限:

      • 管理サーバーのホスト作業ディレクトリ

      • すべての宛先管理対象サーバー・ホストの作業ディレクトリ

      • すべての宛先管理対象サーバー・ホストのミドルウェア・ディレクトリ

      • すべての宛先管理対象サーバー・ホストのドメイン・ディレクトリ

  • ドメインをスケール・アップする場合、ユーザーは、次の権限を持っている必要があります。

    • 次の読取り権限:

      • 管理サーバーのホスト作業ディレクトリ

      • すべての宛先管理対象サーバー・ホストのドメイン・ディレクトリ

  • スケール・アップ/スケール・アウトするドメインは編集モードではない必要があります。このドメインに対して実行されているWebLogicコンソールがあることを確認してください。

  • 新しいマネージャ・サーバーを既存のノード・マネージャまたはマシンと関連付けることを選択する場合、ノード・マネージャが稼働中であることを確認してください。稼働中でない場合、デプロイメント・プロシージャは失敗します。

  • Oracle HTTP Serverをフロントエンドとして使用する場合、Enterprise Managerで既存のOHSターゲットが検出されていることを確認してください。

  • スケール・アップ・プロセスを開始する前に、スケール・アップするターゲット・マシンおよびOMSが実行されているEnterprise Managerホストが、同じタイムゾーンにあることを確認します。

  • ドメインをスケール・ダウンする場合、集約サーバーを削除しないでください。集約サーバーを削除すると、多数の依存するアプリケーションが実行を停止します。

30.3 「ミドルウェアのスケール・アップ/スケール・アウト」デプロイメント・プロシージャの実行

WebLogicドメインは、単独またはクラスタで動作する一連の管理対象サーバーで構成され、分散リソースを共有します。WebLogic Serverクラスタは、同時に動作し、連携して高度なスケーラビリティと信頼性を実現する複数のWebLogic管理対象サーバーで構成されます。クラスタを構成する複数のサーバー・インスタンスは同じマシン上で実行することも、複数のマシンに配置することもできます。クラスタの能力は、既存のマシン上のクラスタにさらにサーバー・インスタンスを追加することによって、または、新規サーバー・インスタンスをホストするためのマシンをクラスタに追加することによって、強化できます。

スケール・アップ(またはスケール・アウト)ミドルウェア・ウィザードでは、既存のマシン上のクラスタにサーバー・インスタンスを追加したり、クラスタにマシンを追加して新規のサーバー・インスタンスをホストすることで、クラスタのキャパシティを拡大できます。

注意:

Javaオブジェクト・キャッシュは常に、スケール・アップの前に使用可能であったかどうかに関係なく、スケール・アウトまたはスケール・アップされたMiddleware管理対象サーバーで構成されます。

ドメインをスケール・アップまたはスケール・アウトするには、次の手順を実行します。

  1. 前提条件が満たされていることを確認します。「前提条件」を参照してください。

  2. ソース・ドメインを指定する。WebLogicドメイン・スケール・アップ: 「Fusion Middlewareドメインのスケール・アップ/スケール・アウト」ページを参照してください。

  3. 実行されるスケール・アップまたはスケール・アウトの操作を指定する。WebLogicドメイン・スケール・アップ/WebLogicドメイン・スケール・アウト: スケジュール・ページ

注意:

WebCenterドメインをスケール・アウトするため、次の手順を手動で実行する必要があります。

  1. Oracle HTTP ServerをCloud Controlでインストール、検出、モニターする必要があります。また、スケール・アウト・インスタンスに対して構成ファイルを手動で構成する必要があることを確認する必要があります。

  2. Spacesサーバーがスケール・アウトする場合、次のコマンドを実行してWebServiceポリシーをアタッチする必要があります。

    attachWebServicePolicy(application='WC_Spaces2/webcenter',
    moduleName='webcenter', moduleType='web',
    serviceName='SpacesWebService',
    subjectName='SpacesWebServiceSoapHttpPort',
    policyURI='oracle/wss11_saml_token_with_message_protection_service_policy')
    
  3. ディスカッション・サーバーがスケール・アウトする場合、次のコマンドを実行してWebServiceポリシーをアタッチする必要があります。

    attachWebServicePolicy(application='WC_Collaboration2/owc_discussions',
    moduleName='owc_discussions', moduleType='web',
    serviceName='OWCDiscussionsServiceAuthenticated',
    subjectName='OWCDiscussionsServiceAuthenticated',
    policyURI='oracle/wss10_saml_token_service_policy')
    

30.3.1 WebLogicドメイン・スケール・アップ: 「Fusion Middlewareドメインのスケール・アップ/スケール・アウト」ページ

ドメイン・スケール・アップ/アウトのデプロイメント・プロシージャを使って、ドメインまたはクラスタのスケール・アップやスケール・アウトを自動化できます。次の方法で、既存のWebLogicドメインまたはクラスタ(あるいはその両方)に容量を追加できます。

  • 既存のクラスタへの新規管理対象サーバーの属性の追加。

  • 既存のクラスタへの新規管理対象サーバーの属性の追加およびコピー。

  • 管理対象サーバーのクローニング。ソース・サーバーをクラスタ化する場合、既存の管理対象サーバーをクローニングすると、別の管理対象サーバーが同じクラスタに作成されます。

ウィザードに従って処理を行います。

  1. 「ターゲット」メニューから、「ミドルウェア」を選択します。
  2. Middlewareターゲットのリストが表示されます。スケール・アップまたはスケール・アウト操作のソースとして使用するWebLogicドメインを見つけます。そのWebLogicドメインを右クリックすると、コンテキスト依存メニューが表示されます。このメニューから、「プロビジョニング」を選択して、「WebLogicドメインのスケール・アップ/スケール・アウト」を選択します。

    または、「WebLogicドメイン」リンクをクリックできます。ドメインのホーム・ページの「WebLogicドメイン」メニューから、「プロビジョニング」および「WebLogicドメインのスケール・アップ/スケール・アウト」を選択します。

    「Fusion Middlewareドメインのスケール・アップ/スケール・アウト」ページが表示されます。

    Middlewareプロビジョニング・ページからこれをプロシージャとして起動することもできます。これを行うには、「エンタープライズ」メニューから「プロビジョニングとパッチ適用」を選択し、「Middlewareプロビジョニング」 を選択します。Middlewareプロビジョニング・ページで、「デプロイメント・プロシージャ」表から「ミドルウェアのスケール・アップ/スケール・アウト」を選択し、「起動」をクリックします。この場合、拡張する必要のあるWebLogicドメインを選択して、ソース情報を指定する必要があります。


    スケールアウト
  3. 「WebLogicドメイン」セクションの「作業ディレクトリ」フィールドの詳細に、ドメイン・スケール・アップに関連するファイルを一時的に保存する管理サーバー・マシンのディレクトリを指定します。一時ファイルを保存するには、1GB以上の空き容量が必要です。このディレクトリが存在しない場合は、作成されます。ドメイン・スケール・アップ操作が完了すると、このディレクトリの内容は削除されます。

    ホスト資格証明: このセクションでは、管理対象サーバーが稼働しているすべてのホストの資格証明を指定する必要があります。これを行うには、各ホストに対して追加アイコンをクリックし、「新規資格証明の追加」ダイアログ・ボックスで有効なユーザー名とパスワードを入力します。ジョブの実行時にターゲットごとにこれらの資格証明が使用されるようにするには、「優先資格証明として設定」チェック・ボックスを選択します。

    JVMDエージェントのデプロイ: WeblogicドメインのサーバーまたはクラスタにJVMDエージェントをデプロイします。Java仮想マシン診断(JVMD)を使用すると、Javaアプリケーションのパフォーマンス問題を管理者が診断できます。JVMDエージェントをターゲットのJVM (本番WebLogic Serverで動作しているもの)にデプロイすると、リアルタイム・データが収集されて、JVM診断エンジンに送信されます。

    WebLogic管理者資格証明: このセクションでは、WebLogic管理サーバーにアクセスするための資格証明を設定する必要があります。これを行うには、各WebLogicドメインに対して「追加」をクリックし、「新規管理者資格証明の追加」ダイアログ・ボックスで有効な管理者名とパスワードを入力します。ジョブの実行時にターゲットごとにこれらの資格証明が使用されるようにするには、「優先資格証明として設定」チェック・ボックスを選択します。

    注意:

    ミドルウェア・ホームまたはWebLogicドメイン・ホームのディレクトリの下に、作業ディレクトリを作成しないでください。

  4. 「ホスト」セクションで、「追加」をクリックし、管理対象サーバーを追加するホストを選択します。
  5. 「マシン」セクションで、宛先ホストを追加して、必要に応じて新規マシンを作成できます。

    注意:

    Enterprise Manager Cloud Controlから起動と停止のような管理操作を実行する場合は、ノード・マネージャを構成してから、マシンで実行する必要があります。

  6. 「サーバー」セクションで、新規管理対象サーバーをWebLogicドメインに追加できます。

    新規管理対象サーバーをWebLogicドメインに追加するには、「追加」をクリックします。新規管理対象サーバーの一意の名前、リスニング・アドレスおよびSSLポートなど、新規管理対象サーバーの構成の詳細を入力します。

    注意:

    「追加」ボタンを使用できるのは、クラスタがないドメインのみです。ドメインにクラスタがある場合は、クローニングが優先オプションになります。

    ドメインの管理ポートが有効な場合は、「管理ポート」列がサーバー表に表示され、新規サーバーの管理ポートをユーザーが入力できます。ドメインの管理ポートが有効でない場合は、この列はサーバー表に表示されません。新規サーバーが追加またはクローニングされると、新規ポートが自動的に設定されます。この新規ポートが空いていることを確認する必要があります。そうでないと、デプロイメント手順が失敗します。

    「カスタム・アイデンティティとカスタム信頼」を選択する場合、すべての「キーストア」フィールドに有効な入力を指定する必要があります。

    既存の管理対象サーバーのクローニング: これを行うには、新規サーバーを追加するホストを選択し、「クローン」をクリックします。このオプションにより、新規管理対象サーバーがドメインに追加され、既存のサーバーから事前決定済の属性セットがコピーされます。

    管理対象サーバーの削除: これを行うには、管理対象サーバーを選択し、「サーバーの削除」をクリックします。

  7. 「カスタム・スクリプトと変数」セクションでは、スクリプトに渡すカスタム・プロパティを追加できます。
  8. 「次へ」をクリックします。

注意:

SOAやOSBなどの製品があるドメインをスケーリングしている場合、ソース・ドメインに構成されている場合は「JMSサーバー」セクションが表示されます。

30.3.2 WebLogicドメイン・スケール・アップ/WebLogicドメイン・スケール・アウト: スケジュール・ページ

スケジュール・ページでデプロイメント・インスタンス名を指定します。プロシージャを即時実行する場合は、デフォルトで選択されている「即時」を選択します。

プロシージャを後で実行する場合は、「後で」を選択し、タイムゾーン、開始日および開始時刻の詳細を指定します。

デプロイメント・プロシージャのステータスに応じて、通知プリファレンスを設定できます。

前提条件のみを実行する場合、「前提条件チェックの実行後に結果を分析するためにプロシージャを停止します」 を選択します。これにより、すべての前提条件チェックを実行した後で、プロシージャの実行が一時停止されます。

「次」をクリックします。

30.4 Middlewareのプロビジョニングおよびスケール・アップ/スケール・アウトのベスト・プラクティス

この項では、「Middlewareプロビジョニング」デプロイメント・プロシージャの使用時に従う必要のあるベスト・プラクティスのいくつかを示します。

  • ソース・ドメインの構成は変更しない: これらのデプロイメント・プロシージャを実行する間は、ソース・ドメインで管理アクティビティ(ソース・ドメインでの構成変更やソフトウェア・パッチ適用など)を実行しないでください。構成を変更すると、管理対象サーバーがリクエストに応答せず、管理サーバーのステータスが「不明」になることがあります。

  • 同じマシンでのプロビジョニング: デプロイメント・プロシージャを使用してソースと同じマシンにプロビジョニングまたはスケール・アップする場合、デフォルトでソース・マシンとターゲット・マシンの作業ディレクトリが移入されます。これらの値を変更した場合は、ソース・マシンと宛先マシンの作業ディレクトリを異なるディレクトリにする必要があります。たとえば、ソース・マシンの作業ディレクトリが/tmp/sourceの場合、宛先ディレクトリの作業ディレクトリは/tmp/destのようにします。また、管理サーバーと管理対象サーバーのリスニング・ポート番号およびSSLポート番号(有効になっている場合)をソース・サーバーと宛先サーバーで異なる値にする必要もあります。

  • JDBC構成: JDBCデータソースを構成する際は、データベース・ユーザーとスキーマ所有者が適切なパスワードを入力する必要があります。

  • カスタムのJavaアプリケーションおよびそのデプロイメント・プラン: これらのデプロイメント・プロシージャでは、ステージング・モードのカスタムJavaアプリケーションがサポートされています。外部でステージングされたアプリケーションは手動でデプロイする必要があります。手動でのデプロイメント手順は、『WebLogic管理ガイド』を参照してください。

  • 複数NICマシン: 宛先マシンが複数NICシステムの場合は、管理サーバーと管理対象サーバーの両方にアクセスできるリスニング・アドレスを入力します。

  • ポートの競合: ホストに新規サーバーを追加するときには、そのサーバーに対して一意で、そのサーバーの他の既存の管理対象サーバーまたはプロセスで使用されていないポートを入力する必要があります。