Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionメタデータ・リポジトリ作成者ガイド 12c (12.2.1.2.0) E82973-02 |
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管理ツールで「リポジトリ・マージ・ウィザード」を使用して、Oracle BIリポジトリをマージできます。
リポジトリは、バイナリ(RPD)形式またはMDS XML形式でマージできます。次の3つのタイプのマージがあります。
完全なマージは、一般的に、2つの異なるリポジトリをマージする必要がある開発プロセス中に使用されます。管理ツールには3方向のマージ機能があります。双方が1つの元リポジトリ(第3リポジトリ)から導出された、2つのリポジトリをマージできます。完全なマージは、一方のリポジトリから他方のリポジトリにオブジェクトをインポートする場合も使用できます。
パッチ・マージは、同じリポジトリの2つのバージョンの間の差を適用するときに使用されます。たとえば、開発バージョンのリポジトリから本番リポジトリに変更を適用するため、またはOracle BI Applicationsのリポジトリをアップグレードするためにパッチ・マージを使用する必要があります。
デフォルトでは、patchrpd
ユーティリティのマージ機能は、パッチ・モードを使用します。リポジトリ・マージ・ウィザードを設定してpatchrpd
ユーティリティのデフォルトのマージ機能と一致させるには、リポジトリ・マージ・ウィザードをパッチ・モードで実行する必要があります。
マルチユーザー開発マージは、マルチユーザー開発環境を使用して変更をプロジェクトに公開する際に使用されます。「マルチユーザー開発のマージ・プロセスについて」を参照してください。
リポジトリ・オブジェクトのマージ方法の詳細は、「マージ・ルール」を参照してください。
この項では、次の項目について説明します。
Oracle BI管理ツールを使用して、異なるリポジトリをマージできます。
この項では、管理ツールで完全な(標準)リポジトリ・マージ機能を使用する方法について説明します。
この項では、次の項目について説明します。
マージ・プロセスには、一般的に次の3つのバージョンのOracle BIリポジトリが関与しています。元のリポジトリ、変更済リポジトリおよび現行のリポジトリです。
元のリポジトリとは元の未編集リポジトリ(親リポジトリ)ですが、変更済(修正済)リポジトリと現行リポジトリは、変更が加えられマージを必要とする2つのリポジトリです。現行のリポジトリは、管理ツールで現在開いているリポジトリです。
マージ・プロセス中、管理ツールは、現行のリポジトリを使用して、元のリポジトリを変更済リポジトリおよび現行のリポジトリと比較します。2つの比較の結果、競合する変更があると、競合が発生します。たとえば、変更済リポジトリでオブジェクトAをBに名前変更したが、現行のリポジトリでオブジェクトAをCに名前変更すると、競合が発生します。
リポジトリのマージ機能を使用すると、オブジェクト・ベースで最終的なマージ・リポジトリで維持する変更を決定できます。競合がない場合、マージは自動的に実行されます。
完全なマージには、次の2つのタイプがあります。
共通の親。このマージは、3方向マージと呼ばれ、共通の親リポジトリおよび2つの派生リポジトリがある場合に便利です。1つの親(元の)リポジトリと2つの派生リポジトリがあります。マージ後、4番目のマージ済リポジトリが作成されます。
次の図の例では、バイナリ(RPD)リポジトリをマージしていると想定していますが、MDS XMLリポジトリでこのタイプのマージを実行することもできます。
共通の親なし。このマージは、2方向マージとも呼ばれ、一方のリポジトリから他方のリポジトリにオブジェクトをインポートする場合に便利です。この場合、共通の親を持たない2つの異なるリポジトリのオブジェクトがマージされます。これを実行するには、管理ツールで、完全に空のリポジトリを元のリポジトリとして指定して3方向マージを実行しますこの機能は、以前のリリースで廃止された「リポジトリからのインポート」機能の置換えです。
次の図の例では、バイナリ(RPD)リポジトリをマージしていると想定していますが、MDS XMLリポジトリでこのタイプのマージを実行することもできます。
Oracle BI管理ツールを使用して、共通の親を使用した完全なリポジトリ・マージを実行する方法について説明します。
一般的に、この方法は、元の親リポジトリがあり、変更済の2つのリポジトリ・バージョン(現行のバージョンおよび変更済バージョン)にあるオブジェクトに対して実行された変更をマージする場合に使用されます。現行のリポジトリに存在しないオブジェクトが新しいオブジェクトとして作成されます。
「オブジェクトの等化」を参照してください。
この表では、「マージ戦略の定義」画面の要素をリストし、説明します。
要素 | 説明 |
---|---|
「競合」表 |
「競合」表には、次の列があります。
各リポジトリで変更されるプロパティを持つオブジェクトの場合、変更されるプロパティの詳細を含むサブ表(グリッド)が表示されます。このグリッドには、次の列が含まれます。
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修飾名の表示 |
これを選択すると、デシジョン表にあるオブジェクトの完全修飾名が表示されます(「Paint」...「Month Year Ago fact」など)。 注意: 「修飾名の表示」オプションが選択されている場合、オブジェクト名の一部が長すぎて、デシジョン表のセルに入らない場合があります。省略された名前の上にマウスを移動して、オブジェクトまたはプロパティの完全な名前を表示します。あるいは、手動で列のサイズを変更するか、または列セパレータをダブルクリックして列をオブジェクト名の幅に広げます。 |
デフォルト・デシジョンの設定 |
クリックすると、管理ツールによる競合の解決方法を選択できます。各競合のデシジョンを手動で設定しない場合はこのオプションを使用します。 管理ツールがすべての未解決および解決済の競合(つまり、デシジョンをすでに指定した競合)を解決する場合は、「すべて」を選択します。このオプションを選択すると、管理ツールはすでに指定した競合のデシジョンを確認し、必要に応じて変更します。 管理ツールが未解決の競合のみを解決する場合は、未決定のみを選択します。つまり、デシジョンを指定していないすべての競合にデシジョンを割り当てます。このオプションを選択すると、管理ツールはすでに指定した競合のデシジョンを保持します。 |
マージされたRPDの整合性のチェック |
これを選択すると、マージ済ファイルが保存される前に整合性のチェックが実行されます。 |
オブジェクト・ビューの非表示 |
ダイアログのツリー・パネルを非表示にするには、このオプションを選択します。ツリー・パネルは、競合デシジョン表で選択した行に関して影響を受けるオブジェクトを表示します。 ツリー・パネルを非表示にすると、マージ戦略の定義」画面のパフォーマンスを向上できます。 |
ファイルへのデシジョンの保存 |
リポジトリ・サブディレクトリにある一時的な変更を含むファイルを保存し、マージに関する作業を停止し、後で継続できるようにします。変更(デシジョン)を保存した後、「取消」をクリックして、リポジトリのマージダイアログを閉じます。 注意: デシジョンの数が多い場合、マージ・デシジョンをCSVファイルに保存し、このファイルをExcelまたはテキスト・エディタで開き、マージ・デシジョンを手動で変更することにより、時間を節約できます。次に、更新したマージ・デシジョン・ファイルを「マージ戦略の定義」画面でロードするか、そのデシジョン・ファイルを |
デシジョン・ファイルのロード |
保存したデシジョン・ファイルをリポジトリ・サブディレクトリからロードし、リポジトリのマージ処理を続行できるようにします。 このオプションは、特に、 |
名前またはタイプによる検索 |
オブジェクトの「名前」および「タイプ」で検索します(「初期化ブロック」など)。 |
再検索 |
最新の「検索」値を再検索します。 |
変更統計の表示 |
このマージの統計(変更済リポジトリから削除されたオブジェクトの数、両方のリポジトリで変更されたオブジェクトの数など)を表示します。 |
Details |
別のウィンドウのデシジョン表の下の読取り専用のテキスト・ボックスにテキストを表示します。 |
元の/変更済/現行のリポジトリの表示 |
選択したリポジトリで影響を受けるオブジェクトのプロパティを表示します。 |
Oracle BI管理ツールを使用して、共通の親を使用せずに完全なリポジトリ・マージを実行する方法について説明します。
この方法は、あるリポジトリ(変更済リポジトリ)から別のリポジトリ(現行のリポジトリ)にオブジェクトをインポートする場合に使用します。
注意:
現行のとして定義することを選択したリポジトリでは、「プレゼンテーション」レイヤーは、「物理」レイヤーまたは「ビジネス・モデルとマッピング」レイヤーの、保持するオブジェクトを参照します。「プレゼンテーション」レイヤーのオブジェクトによって参照されない現行のリポジトリのビジネス・モデル、データベースや接続プールなどのオブジェクトは、マージ中に廃棄されます。必要に応じて、マージを実行する前に、これらのオブジェクトを参照するプレースホルダ・サブジェクト・エリアを追加して、必要なオブジェクトが保持されるようにする必要がある場合があります。
マージ・プロセス中にどのオブジェクトが保持され、どのオブジェクトが廃棄されるかの詳細は、「マージ・ルール」を参照してください。
パッチ・マージを使用して、リポジトリに加えられた変更のみを格納したXMLパッチ・ファイルを生成できます。
このパッチを古い(元の)バージョンのリポジトリに適用し、新しいバージョンを作成できます。
このマージ方法は、開発から本番へのシナリオに関して非常に便利であり、Oracle BI Applicationsの顧客がリポジトリをアップグレードする場合にも使用できます。
この項では、2つのリポジトリ間の相違点を含むパッチを生成し、このパッチをリポジトリ・ファイルに適用する方法について説明します。
この項では、次の項目について説明します。
パッチ・マージでは、現行のリポジトリと元のリポジトリの間の相違点を含むパッチを作成します。
このパッチ・ファイルを変更済リポジトリに適用します。現在および元のリポジトリの違いは、両方のリポジトリの既存のプロジェクトの一致に存在する必要があります。
開発から本番へのシナリオ。元の親リポジトリ、開発の最新変更が組み込まれた現行リポジトリ、および元のリポジトリのデプロイ済コピーである変更済リポジトリが存在します。
パッチを生成するには、現行のリポジトリを開き、元のリポジトリを選択し、次にパッチを作成します。
パッチを適用するには、変更済リポジトリを開いて元のリポジトリを選択してパッチを適用します。
Oracle BI Applicationsのリポジトリ・アップグレード・シナリオ。現行のリポジトリはオラクル社から出荷された最新バージョンのリポジトリで、元のリポジトリはオラクル社から出荷された元のリポジトリです。変更済リポジトリは元のリポジトリにユーザーによる変更が加えられたものです。
パッチを生成するには、現行のリポジトリを開き、元のリポジトリを選択し、次にパッチを作成します。
パッチを適用するには、変更済リポジトリを開いて元のリポジトリを選択してパッチを適用します。
Oracle BI管理ツールを使用して2つのリポジトリ間の相違点を含むパッチを生成します。
「オブジェクトの等化」を参照してください。
パッチに接続プール・パスワードなどのパスワードが含まれている場合、そのパッチ・ファイルは、現行のリポジトリからリポジトリ・パスワードを使用して暗号化されます。現行のリポジトリ・パスワードは、事実上、そのパッチ・ファイルのパスワードになります。このパッチ・ファイル・パスワードが元のリポジトリのリポジトリ・パスワードと異なるときは、パッチを適用するときにそのパッチ・ファイル・パスワードを指定することが必要な場合があります。
comparerpd
ユーティリティを使用してコマンドラインでパッチを生成することもできます。「comparerpdを使用したリポジトリの比較」を参照してください。
Oracle BI管理ツールを使用して2つのリポジトリ間の相違点を含むパッチを適用します。
注意:
大きなマルチユーザー・リポジトリから小さなサブセット抽出リポジトリにパッチを適用できます。この場合、サブセット内の変更のみがパッチから適用されます。
patchrpdユーティリティを使用してパッチを適用できます。
管理ツールを使用できないLinuxシステムおよびUNIXシステムでリポジトリのパッチ適用を行う場合にpatchrpdを使用します。patchrpd
ユーティリティは、WindowsシステムとUNIXシステムの両方で使用できます。patchrpd
は、RPD形式のバイナリ・リポジトリでのみ実行できます。
管理ツールのパッチ機能とは異なり、patchrpd
には、競合に対して自動的にデフォルトのデシジョンを適用するオプションがあります。また、これは、すべての競合をデシジョン・ファイルに保存する機能も備えており、ユーザーは結果を調べて、追加の手動による変更が必要かどうかを判断できます。「パッチ・プロセスを自動化するためのPatchrpdの使用方法」を参照してください。
patchrpd
には、マージ・ルールのセットを選択して適用する機能もあります。デフォルトではパッチのマージ・ルールが使用されますが、オプションで完全な(アップグレード)マージ・ルールまたはマルチユーザー開発マージ・ルールを使用することを選択できます。
patchrpd
ユーティリティの場所は、次のとおりです。
BI_DOMAIN/bitools/bin
構文
patchrpd
ユーティリティは次のパラメータを取ります。
patchrpd [-P modified_rpd_password] -C modified_rpd_pathname [-Q original_rpd_password] -G original_rpd_pathname [-S patch_file_password] -I patch_file_pathname [-S patch_file_2_password -I patch_file_2_pathname ...] [-D input_decision_file_pathname] -O output_rpd_pathname [-V output_decision_file_pathname] [-E] [-M mode] [-R] [-A] [-U] [-N] [-8]
説明:
-P
modified_rpd_passwordは、変更済リポジトリのリポジトリ・パスワードで、カスタマ・リポジトリまたはカスタマイズ済リポジトリとも呼ばれます。
-C
modified_rpd_pathnameは、変更済リポジトリの名前および場所です。
-Q
original_rpd_passwordは、元のリポジトリのリポジトリ・パスワードです。
-G
original_rpd_pathnameは、元のリポジトリの名前および場所です。
-S
patch_file_passwordは、パッチ・ファイルのパスワードです。パッチ・ファイル・パスワードは、現行のリポジトリのパスワードと同じです。パッチ・ファイル・パスワードを入力する必要があるのは、接続プール・パスワードなどオブジェクトのパスワードがパッチ・ファイルに含まれている場合と、そのパッチ・ファイル・パスワードが元のリポジトリ・パスワードとは異なる場合のみです。
-I
patch_file_pathnameは、適用するXMLパッチ・ファイルの名前と場所です。複数の-I
引数(およびペアの-S
引数も必要)を含めることで複数のパッチを適用できます。
-D
input_decision_file_pathnameは、このパッチ・マージの動作に影響を与えるために使用するCSV形式のデシジョン・ファイルの名前と場所です。この引数はオプションです。
-O
output_rpd_pathnameは、生成するRPD出力ファイルの名前と場所です。
-V
output_decision_file_pathnameは、CSV形式のデシジョン・ファイルの生成を可能にするオプションの引数です。デシジョン・ファイルは、マージによるすべての競合を示します。つまり、デシジョン・ファイルには、管理ツールのマージ・ウィザードの「マージ戦略の定義」画面に表示されるデシジョンがリストされます。デシジョン・ファイルは、ユーザーの入力によって影響を受ける可能性があるすべてのアイテムの記録を提供します。この引数は、-U
引数とともに使用する必要があります。
-E
は、等化ステップのスキップを可能にするオプションの引数です。
-M
mode
は、マージのモードの変更を可能にするオプションの引数です。デフォルトでは、patchrpd
はパッチ・モードで実行され、可能なかぎり多くの変更が警告なしで適用されます。このデフォルトを変更するため、モードについては、マルチユーザー開発マージのマージ・ルールを使用するにはmudを、完全なマージのマージ・ルールを使用するにはupgradeを指定します。「マージ・ルール」を参照してください。
デフォルトでは、管理ツールのマージ機能は完全なマージを使用します。管理ツールのデフォルト・マージ機能と一致させるためにpatchrpd
ユーティリティを実行する場合、-M
mode
引数のupgradeを指定する必要があります。
-R
は、論理列の整合性チェックをスキップするオプションの引数です。このオプションは、パッチ・ファイルに論理列から物理列へのマッピングが含まれていない場合に、パッチ・プロセスを高速化できます。
-A
は、マルチユーザー開発環境でサブセット・パッチをスキップし、かわりに入力リポジトリ・ファイルを使用してパッチを適用できるオプションの引数です。
-U
は、競合に対してデフォルトのデシジョンを自動的に適用して、patchrpd
を正常に終了できるようにするオプションの引数です。このパラメータを含めない場合、競合が検出されると、patchrpd
によって警告が表示されて終了します。
-N
は、すべての非致命的エラーを無視するために使用するオプションの引数です。非致命的エラーの例として、未解決のオブジェクト、重複したオブジェクト、壊れた式または不正確な式などがあります。
-8
はUTF-8エンコーディングを指定します。
注意:
modified_rpd_password、original_rpd_passwordおよびpatch_file_passwordなどのすべてのパスワードの引数はオプションです。パスワード引数を入力しないと、コマンドを実行したときに、必要なパスワードの入力を求めるプロンプトが表示されます。セキュリティ侵害のリスクを最小限にとどめるために、パスワード引数をコマンドラインやスクリプトで指定しないことをお薦めします。パスワード引数のサポートは下位互換性の保持を目的としており、将来のリリースでは削除される予定です。スクリプト上の理由から、標準入力によってパスワードを指定できます。
次に例を示します。
patchrpd -C customer.rpd -G original.rpd -I patch.xml -O patched.rpd -V decision.csv -U Give password for customer repository: my_modified_rpd_password Give password for original repository: my_original_rpd_password
この例では、patch.xml
というパッチがcustomer.rpdリポジトリに適用され、patched.rpdという出力リポジトリおよびdecision.csvという出力デシジョン・ファイルが生成されます。
注意:
すべてのファイル(リポジトリ・ファイルとXMLパッチ・ファイルを含む)のフルパス名を入力にしてください(これらが異なるディレクトリにある場合)。