プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Process Managementプロジェクトの移行
12c (12.2.1.2.0)
E82790-01
目次へ移動
目次

前
前へ
次
次へ

2 BPM移行ユーティリティ

この章では、BPM 10gR3プロジェクトをBPM 12cに移行する際に使用できるユーティリティについて説明します。

この章の内容は次のとおりです。

2.1 BPM移行ユーティリティについて

Oracle BPM 12cには、移行を容易にする次の2つのユーティリティがあります。

それらは次のとおりです。

  • BPM移行ユーティリティ

  • BPM OU移行スクリプト

BPM移行ユーティリティは、BPMプロセス、スクリーンフローおよびビジネス・カタログ・アーティファクトを10gR3から12cに移行するAntスクリプトです。これは、12cにインポート可能なBPM 12cエクスポート・プロジェクト・ファイルを作成します。また、移行プロセス時に発生した問題のトラブルシューティングに使用可能な移行ログも作成します。

BPM OU移行スクリプトは、ロールやカレンダ・ルールなどの組織情報をBPM 10gR3環境からBPM 12cに移行するAntスクリプトです。

2.2 BPM移行ユーティリティがサポートされるプラットフォーム

BPM移行ユーティリティは、多くのプラットフォームでサポートされています。

サポートされるプラットフォームは次のとおりです。

  • Oracle Enterprise Linux 5.8 (64ビット)

  • Oracle Enterprise Linux 6.4 (64ビット)

  • Windows 7 Professional (64ビット)

  • Windows 8.1 Enterprise (64ビット)

2.3 BPM移行環境の前提条件

BPM 10gR3ソース環境に、BPM移行ユーティリティおよびBPM OU移行スクリプトを実行するための多数のパッケージが含まれている必要があります。

10gR3環境に存在する必要があるパッケージは、次のとおりです。

移行したプロジェクトを編集、デプロイおよび実行するには、Oracle Business Process Management Suite 12cがインストールされた環境が必要です。Oracle BPM Suiteのインストール方法は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA SuiteおよびBusiness Process Managementのインストールと構成』を参照してください。

2.4 BPM移行ユーティリティの準備

BPM移行ユーティリティの実行前に、プロジェクトおよび環境が適切に準備されていることを確認する必要があります。

最新バージョンのBPM 10gR3 - 最新のホットフィックス(このガイドの執筆時点ではビルド101298)が適用されたBPM 10gR3 (10.3.3)を使用して、移行するプロジェクトを検証する必要があります

コンパイル・エラーがない - 移行するプロジェクトにコンパイル・エラーがないこと

プロジェクト依存性 - すべての依存プロジェクト(つまり、連携するプロジェクトで、「プロジェクト・プリファレンス」→「依存」→「プロジェクト依存の使用」が選択されている)が同じフォルダ内にあること。

解凍されたファイル名 - 一部の解凍ツールでは、無効な文字を使用すると、解凍されたファイル名が正しく表示されません。必ずBPM Studio 10gR3を使用して、インポートしたプロジェクトの.expファイルを展開します。マイグレータ・プロジェクトの場所パラメータで、BPM Studio 10gR3によって作成されたプロジェクト・ルート・フォルダを指し示す必要があります。たとえば、C:\OracleBPM\SampleProjectなどです。

英語以外の文字 - 無効な文字として表示される外国語文字('?'と表示される'è'など)を英語の代用文字('e'など)で置き換えます。BPMファイル・メタデータ内の英語以外の文字は受け入れられます。

BPM 5.5および5.7ファイルのメタデータ - BPM移行ツールでは、特定のファイル(.xpdlファイルや.xsdlファイルなど)内のBPM 5.xメタデータをサポートしません。Antコンソールの出力や移行レポートは、これらのファイルの名前を表します。ファイルのメタデータを更新するには、BPM Studio 10gR3を使用して、影響を受けるファイルを編集し、重要ではない変更をアクティビティに加えて(わずかに移動するなど)、プロジェクトを保存します。

ファイルの無効なメタデータによる移行レポートのエラー・メッセージの例を次に示します。

SEVERE: path/to/process_name.xpdl is a legacy file format and cannot be processed. Only 10.3 format is supported. In order to migrate it please edit and save the file (Process, Screenflow or Procedure) using Studio 10.3, export the project and re-run the migration.

列挙 - BPM移行ユーティリティを実行する際に特定のAntパラメータを使用して、イントロスペクトされたjar内で指定された列挙を指定する必要があります。次に例を示します。

ant -lib myenum.jar mgrate10-12...

Plumtree - Plumtreeコンポーネントをスクリプトで使用する場合、ant -libパラメータを使用して、配布されたedk jar (fuego.edk-10.3.3.jar)の場所を指定します。次に例を示します。

ant -lib route/to/fuego.edk-10.3.3.jar migrate10-12...

Webサービス - Webサービス内のコールされたWebサービス(.wsdlファイル)にアクセスできることを確認します

スキーマ - スキーマ・ファイル内のコールされたxmlスキーマ(.xsdファイル)にアクセスできることを確認します

2.5 BPM移行ユーティリティのオプション

この項では、BPM移行ユーティリティのコマンド行オプションについて説明します。

BPM移行ユーティリティのコマンド行の構文は次のとおりです。

ant migrate10-12 -DprojectLocation=<source> -Ddestination=<target> [-Doption=-L<log_level>] [-DcustomXMLmappingDirs=<mappingdirs>]

それぞれの意味は次のとおりです。

  • source - 移行するBPM 10gR3プロジェクトの場所を指定します

  • target - 移行するプロジェクトとレポート・ファイルの宛先

  • log_level - ログとして記録するメッセージの詳細レベル。指定したレベル以上のメッセージをログとして記録します。ログ・レベルを指定しない場合、デフォルトのレベルは-L2です。これは、L2、L3、L4およびL5のメッセージのログを記録します。

    ログ・レベルは次のとおりです。

    • -L1: 詳細な情報メッセージ

    • -L2: 情報メッセージ

    • -L3: 警告メッセージ

    • -L4: 重大な問題メッセージ

    • -L5: 致命的なエラー・メッセージ

  • mappingdirs - Business Process Languageスクリプトの移行時に使用するカスタムXMLマッピングを含むディレクトリのリスト。:で区切ります。たとえば、dir1:dir2:dirnのようになります。

    コマンド行呼出しの例を示します。

    ant migrate10-12 -DprojectLocation=/user/migrationTests/input/samples/ExpenseReimbursement -Ddestination=/user/migrationTests/output/samples/export1

    出力の詳細を取得するには、ant -dおよび-vコマンド行パラメータと、比較的高いログ・レベルを使用します。

    ant -d -v migrate10-12 -DprojectLocation=/user/migrationTests/input/samples/ExpenseReimbursement -Ddestination=/user/migrationTests/output/samples/export2 -Doption=-L1

    不正なコマンド行引数を使用してBPM移行ユーティリティを実行すると、ターミナルにUSAGE文が出力されます。この文は、USAGE文に含める必要のある内容と、使用する必要のある表記規則を説明しています。次に例を示します。

    ant migrate10-12 -DprojectLocation=source -Ddestination=target (-Doption="options") (-DcustomXMLmappingDirs=customXmlDirs)

    antパラメータを使用した移行統計の生成の詳細は、「スクリプト内でのコンポーネントの移行統計の生成」を参照してください。

2.6 スクリプト内でのコンポーネントの移行統計の生成

スクリプトで使用されるコンポーネントの移行統計を生成できます。

スクリプトで使用されているコンポーネントの移行統計を生成するには、BPM移行ユーティリティを実行する前に、パラメータ-Doracle.bpm.migration10to12.statistics=trueANT_OPTS環境変数に追加します。

このパラメータにより、BPM移行ユーティリティの出力パスに<project_name>_mapperStats.csvというCSVファイルが作成されます。

このファイルには、次の列があります。

  • ソース

    返される値: 事前定義済コンポーネント、ユーザー定義コンポーネント

  • コンポーネント

    コンポーネントの完全な名前が指定されます。

  • コンポーネント・タイプ

    使用されているテクノロジが指定されます。

  • メンバー・タイプ

    返される値: タイプ、メソッド、属性(読取り、書込み)

  • 数量

    コンポーネントの相対的使用状況が示されます。

2.7 BPM移行ユーティリティの実行

BPM移行ユーティリティを使用して、BPM 10gR3バージョンからBPM 12cにプロジェクトを移行します。

環境および前提条件の詳細は、「BPM移行ユーティリティがサポートされるプラットフォーム」および「BPM移行環境の前提条件」を参照してください。

BPM移行ユーティリティの実行前に行う手順については、「BPM移行ユーティリティの準備」を参照してください。

BPM移行ユーティリティの実行手順

  1. コマンド行(LINUX)またはコマンド・プロンプト(Windows)にアクセスします。
  2. $JDEV_HOME/soa/plugins/jdeveloper/bpm/にナビゲートします
  3. BPM移行ユーティリティを次のように実行します。ant migrate10-12 -DprojectLocation=<source> -Ddestination=<target> [-Doption=-L<log level>] [-DcustomXMLmappingDirs=<mappingdirs>
    例: ant migrate10-12 -DprojectLocation=/home/myUser/OracleBPMWorkspace/Sample103Project -Ddestination=/home/myUser/migTests/FirstTest
    BPM移行ユーティリティのパラメータとオプションの詳細は、「BPM移行ユーティリティのオプション」を参照してください。

    注意:

    移行先ユーティリティは存在していない必要があります。すでに移行済のプロジェクトへの上書きを回避するために、移行先ディレクトリが存在している場合は、BPM移行ユーティリティは稼働しません。
  4. 出力ディレクトリに移動して、次のファイルがあることを確認します。
    • 移行したプロジェクト・ファイル: 移行したプロジェクトと同じ名前に.exp拡張子が付加されたファイル

    • 移行レポート: 移行したプロジェクトと同じ名前の2つのファイル。一方の拡張子は.xml、もう一方の拡張子は.xsl

BPM移行ユーティリティの実行後、プロセスがBPM 12cに移行されます。

BPM移行ユーティリティによって、エクスポートされたBPMプロジェクトが作成され、Oracle Business Process Management 12cでこれを開くことができます。

BPM移行ユーティリティがBPMプロジェクトの各要素をどのように移行するかの詳細な説明は、次を参照してください。

移行レポートの表示方法の詳細は、「BPM移行ユーティリティの出力へのアクセス」を参照してください。

2.8 BPM移行ユーティリティの出力

BPM移行ユーティリティでは、その実行時にターゲット・ディレクトリにいくつかのファイルが作成されます。

プロジェクトmyprojectがターゲット・ディレクトリmigrateoutputに移行されると、次のファイルが作成されます。

  • myproject.exp - BPM 12c形式の移行済プロジェクト・ファイル

  • myproject.xml - 移行レポート・データ

  • report.xsl - 移行レポート形式のスキーマ

  • myproject_mapperStats.csv - (オプション)カンマ区切りの統計ファイル

  • myproject_projectStats.csv - (オプション)カンマ区切りの統計ファイル

BPM移行ユーティリティのパラメータの詳細は、「BPM移行ユーティリティのオプション」および「スクリプト内でのコンポーネントの移行統計の生成」を参照してください。

2.9 BPM移行ユーティリティの出力へのアクセス

BPM移行ユーティリティでは移行レポートが生成され、このレポートに、移行処理の結果の説明と、ソースBPMプロジェクトの各アーティファクトの移行ステータスが示されます。このレポートを使用して、移行を完了するために手動で追加変更する必要がある箇所を把握します。

移行レポートを表示する手順は、次のとおりです。

  1. BPM移行ユーティリティを実行したときに-Ddestinationで指定したターゲット・ディレクトリに移動します。
  2. Webブラウザで、移行したプロジェクトと同じ名前に.exp拡張子が付加されたファイルを開きます。
移行レポートの詳細は、「BPM移行ユーティリティの移行レポートの理解」を参照してください。

2.10 BPM OU移行スクリプトについて

BPM組織単位(OU)移行スクリプトを使用して、BPM 10gR3からBPM 12cにアーティファクトを移行します。

OU移行スクリプトにより移行されるアーティファクトは、次のとおりです。

  • 組織単位

  • カレンダ・ルール

  • 休日ルール

  • アプリケーション・ロール

  • パラメータ・ロール

  • ビジネス・パラメータ

2.11 BPM OU移行スクリプトの準備

BPM OU移行スクリプトを実行する前に、いくつかの準備タスクを実行する必要があります。

作業フォルダ - スクリプトの実行時に使用する作業フォルダを作成します

作業フォルダへのdirectory.xmlのコピー - Oracle/Middleware/<Oracle_Home>/soa/plugins/migration/bpmに移動して、directory.xmlをコピーします。このファイルのコピーを作業フォルダに置きます。

directory.xmlの構成 - directory.xmlを編集して、サーバーと接続の情報を次のように指定する必要があります。

  • localhostをSOA/BPM 12cサーバーのIPアドレスに、ポート番号7001をSOA/BPM 12cサーバーのポート番号に置き換えて、<serverURL>t3://localhost:7001</serverURL>行を編集します。

  • <admin>属性を編集して、10gR3 WebLogicサーバー管理アカウントのユーザー名を指定します

  • <adminPass>属性を編集して、10gR3 WebLogicサーバー管理アカウントのパスワードを指定します

作業フォルダへのorganizationmigrationファイルの解凍 - $BPM_HOME/ou-migrationに移動して、oracle.bpm.bpm-services.organizationmigration.jarを作業フォルダに解凍します。

BPM 10gR3コンポーネントの実行 - BPM 10gディレクトリ・サービス・データベース(Fuego Directory Interface (FDI))およびLDAPサーバーが実行している必要があります

BPM 12cの実行 - BPM 12c環境が稼働している必要があります

12c_Config.xmlの構成 - (Oracle/Middleware/<Oracle_Home>/soa/plugins/migration/bpmにある) 12c_Config.xmlを編集して、次のようにサーバーおよび接続情報を指定します。

  • localhostをSOA/BPM 12cサーバーのIPアドレスに、ポート番号7001をSOA/BPM 12cサーバーのポート番号に置き換えて、<serverURL>t3://localhost:7001</serverURL>行を編集します。

  • <adminUserLogin>属性を編集して、12c WebLogicサーバー管理アカウントのユーザー名を指定します

  • <adminUserPassword>属性を編集して、12c WebLogicサーバー管理アカウントのパスワードを指定します

LDAP接続性 - BPM 10gR3 LDAPサーバーと接続できるようにSOA/BPM 12c環境を構成します。

2.12 BPM OU移行スクリプトのオプション

この項では、BPM組織単位(OU)移行スクリプトのコマンドライン・オプションについて説明します。

BPM OU移行スクリプトのコマンド行の構文は次のとおりです。

ant -f ant-organization-migrator.xml -Dfmwhome=<path_to_fmwhome> -Dalbpm.directory.file=<path_to_10g_directory_xml> -Dconfig.file=<path_to_12c_configfile_xml> -Dfuegojarpath=<path_to_10g_fuego> -Dentity.type=<entity> [-Dversion=<target_jar_version>

それぞれの意味は次のとおりです。

  • path_to_fmwhome - BPM 12c fmwhomeディレクトリのパスを指定します

  • path_to_10g_directory_xml - BPM 10gR3のdirectory.xmlファイルの場所を指定します。これは、ファイルのコピーを置いた作業フォルダになります。

  • path_to_12c_configfile_xml - BPM 12cの12c_configfile.xmlファイルの場所を指定します。このファイルは、BPM 12cサーバーとログイン情報を指定するように編集する必要があります。「BPM OU移行スクリプトの準備」を参照してください。

  • path_to_10g_fuego - BPM 10gR3のfuegopapi.client-10.3.3.jarファイルのパス。このファイルは、通常Oracle/Middleware/<Oracle_Home>/soa/plugins/jdeveloper/bpm/librariesにあります

  • entity - 移行する組織要素を指定します。可能な値は、calendar、orgunit、approle、parametricroleおよびallです。このパラメータを空白のままにする場合、値allが使用されます。

  • target_jar_version - オプション。ターゲットの12cバージョン(12.1.3など)を指定します。指定しない場合、デフォルトは12.1.3です。

カレンダ・ルールのみを移行するコマンド行呼出しの例を示します。

ant -f ant-organization-migrator.xml -Dfmwhome=/oracle/fmwhome -Dalbpm.directory.file=/mytempworkingfolder -Dconfig.file=/oracle/product/middleware/oracle_home/soa/plugins/migration/bpm -Dfuegojarpath=OraBPMStudioHome/client/papi/lib -Dentity.type=calendar

不正なコマンド行引数を使用してBPM移行ユーティリティを実行すると、ターミナルにUSAGE文が出力されます。この文は、USAGE文に含める必要のある内容と、使用する必要のある表記規則を説明しています。

2.13 OU移行スクリプトの実行

BPM組織単位(OU)移行スクリプトを使用して、BPM 10gR3からBPM 12cに組織単位アーティファクトを移行します。

環境および前提条件の詳細は、「BPM OU移行スクリプトについて」および「BPM移行環境の前提条件」を参照してください。

OU移行スクリプトの実行前に行う手順については、「BPM OU移行スクリプトの準備」を参照してください。

OU移行スクリプトを実行する手順:

  1. コマンド行(LINUX)またはコマンド・プロンプト(Windows)にアクセスします。
  2. $JDEV_HOME/soa/plugins/jdeveloper/bpm/にナビゲートします
  3. OU移行スクリプトを実行します。

    ant -f ant-organization-migrator.xml -Dfmwhome=<path_to_fmwhome> -Dalbpm.directory.file=<path_to_10g_directory_xml> -Dconfig.file=<path_to_12c_configfile_xml> -Dfuegojarpath=<path_to_10g_fuego> -Dentity.type=<entity> [-Dversion=<target_jar_version>

    次に例を示します。

    ant -f ant-organization-migrator.xml -Dfmwhome=/oracle/fmwhome -Dalbpm.directory.file=/mytempworkingfolder -Dconfig.file=/oracle/product/middleware/oracle_home/soa/plugins/migration/bpm -Dfuegojarpath=OraBPMStudioHome/client/papi/lib -Dentity.type=calendar

OU移行スクリプトのパラメータとオプションの詳細は、「BPM OU移行スクリプトのオプション」を参照してください。

OU移行スクリプトは、組織単位の要素をターゲットのBPM 12c環境に移行して作成します。

OU移行スクリプトの呼出し元となった場所に、migr_report.xmlというXML移行レポートが作成されます。このレポートには、移行が成功した要素と失敗した要素、および移行の失敗の理由が示されます。