Oracle® Fusion Middleware Oracle Reports ServicesレポートWeb公開ガイド 12c (12.2.1.2) E82763-01 |
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Oracle ReportsではPDF1.4がサポートされ、あらゆるプラットフォームで高品位のPDFレポートを生成できます。Oracle ReportsでサポートされるPDF機能は、次のとおりです。
PDF圧縮は、PDFファイルのサイズを減らすことによって、PDFファイルのダウンロードに要する時間を短縮します。
圧縮によって節約できる容量は、レポートの内容(たとえば、イメージの数とサイズ)によって変わります。
イメージ: PDF圧縮は、イメージを含むファイルのサイズにはあまり作用しません。これは、イメージ・ファイルが通常、すでに圧縮されているためです。
フォーマットされたデータ: 高度にフォーマットされたデータは、高い圧縮率を見込めます。ただし、実際の圧縮率はレポートによって異なります。
圧縮されたファイルのサイズは、元のファイルの約5分の1になります。圧縮テストでは、生成されたファイルが元のファイルの2分の1から8分の1のサイズになり、ファイルの内容よってばらつきがあることがわかりました。
デフォルトでは、Oracle Reportsによって生成されるPDF出力は圧縮されています。圧縮のレベルを指定するには、コマンドラインでPDFCOMP
を使用します。詳細は、第A.7.24項「PDFCOMP」を参照してください。
圧縮ファイルはダウンロードが短時間で済みますが、圧縮ファイルの生成にかかる時間は、非圧縮ファイルの場合よりかなり長くなります。
注意: 圧縮率は、レポートの内容に依存します。したがって、PDFファイルのサイズも、PDFファイルの生成に要する時間もレポートごとに異なります。 |
この項では、Oracle ReportsでサポートされるPDFフォント関連の機能について説明します。
フォント・エイリアシングを使用すると、あるフォントを別のフォントに置き換えること(フォント置換)が可能です。このフォント置換は通常、プラットフォーム間でアプリケーション(ここではPDFファイル)を移植する場合に使用されます。その際には、キャラクタ・セットだけでなく、マルチバイト・フォントもエイリアシングできます。多言語アプリケーションの設計時におけるフォント・エイリアシングの考慮事項の詳細は、第23.2.1.3.2項「フォント・エイリアシングの考慮事項」を参照してください。
Oracle Reports 12c リリース(12.2.1.2)で導入されたフォント強化機能により、フォントのエイリアシングがほとんどの場合で不要になります。以前のリリースでは、Windowsで利用可能なフォントでレポートを作成できても、UNIXではできませんでした(Arialフォントなど)。そのような場合では、WindowsのフォントをUNIXで利用可能な類似スタイルのある別フォント(Helveticaなど)にエイリアシングすることが必要でした。このリリースでは、TTFファイルとTTCファイルがUNIXにおいてサポートされています。また、ArialなどのフォントがWindowsとUNIXの両方でサポートされています。これによって、エイリアシングが不要になりました。
フォント・エイリアシングは、PDFファイルを生成する時点で行われます。PDFファイルには、出力の表示に必要なフォント情報だけが含まれます。使用されるフォントは、PDFファイルに埋め込まれません。
注意: フォントは、PDF出力を表示するマシンで使用可能である必要があります。PDFファイルを生成するマシンでは、フォントが使用可能でなくてもかまいません。 |
レポートを表示する時点では、Adobe Acrobatは、次の規則に基づいて、エイリアシングされたフォントを置き換えます。
出力を表示するマシンにフォントが存在しない場合、Adobe Acrobatは、そのフォントをAdobe
Sans
MM
フォントに置き換えます。
Adobe
Sans
MM
フォントが適合しない場合、出力には、データのかわりにドットが表示されます。
フォント・エイリアシングは、次のいずれか、またはすべてのフォントに対して機能します。
シングルバイト・フォント。ASCII文字セットおよびIS0-Latin文字セットの東欧フォントを含みます。
Adobe社のマルチバイトCharacter ID (CID)フォント(表11-2を参照)。これらは、Adobe社のサイトから無料でダウンロードできます。
Type1 PostScriptフォント
TrueTypeフォント
表11-2は、マルチバイト・フォントのPDFフォント・エイリアシングに使用するOracle NLS_CHARACTERSET
、CMap名およびCIDフォント名との間におけるマッピングを示しています。
表11-2 PDFフォント・エイリアシングのためのCIDフォント・マッピング
言語 | Oracle NLS_CHARACTERSET名 |
CMap名 | CIDフォント名 |
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日本語 |
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韓国語 |
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繁体字中国語 |
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簡体字中国語 |
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(*)これらのフォントはAdobe Acrobat Reader 5.0以降で利用できます。
(**)これらのフォントはAdobe Acrobat Reader 4.0以降で利用できます。
予期しないフォント・マッピングにより、マルチバイト・キャラクタが文字化けしないようにするため、Version 5.0 CID Fonts(*)の使用をお薦めします。Version 5.0フォントは、Adobe Acrobat Reader 5.0以降と互換性があります。
フォントのエイリアシングが必要な場合、以前のリリースで行っていたようにuifont.ali
ファイルを直接編集するのではなくエイリアシングを定義します。フォントの構成の詳細は、第6.4.1項「フォントの構成」を参照してください。
uifont.ali
ファイルの詳細は、第9.3項「フォント構成ファイル」の「uifont.ali」を参照してください。
フォント・エイリアシングが機能しない場合は、次のことを確認します。
Acrobat Reader 6.0以降の場合は、「ファイル」→「文書のプロパティ」→「フォント」を選択します。(それよりも前のリリースでAcrobat Reader 3.0以降の場合は、「ファイル」→「文書情報」→「フォント」を選択します)。エイリアシングされたフォントがリストに追加されていることを確認します。そのフォントがリストに含まれていない場合は、フォント・エイリアシングが行われていません。フォントが検出されていないか、uifont.ali
ファイルのエントリが正しくありません。
レポート用に指定されたフォントが、レポートを表示するマシン上で使用可能であること。
uifont.ali
ファイルの[PDF]
セクション名が変更されていないこと。Oracle Reportsでは、このセクション名を探してファイルを解析します。
レポートの表示に使用しているAdobe Acrobat Readerがバージョン3.0以降であること。マルチバイト・キャラクタのレポートを表示するには、最低でもこのバージョンが必要です。
フォント・サブセットを使用すると、PDFのレンダリングに必要なフォント情報がPDFファイルに含まれます。フォント・サブセットは、レポートの表示に使用されるマシンでそのフォントを使用できるかどうかに依存しません。PDFのフォント・サブセットは、シングルバイト・フォント、マルチバイト・フォントおよびUnicodeフォントで使用可能で、マルチバイト・レポートの作成では、最もよく使用される方式です。
PDFファイル内のフォントのサブセットを作成すると、レポート出力に必要な文字のみのフォント情報がPDF出力に埋め込まれます。
注意: PDFファイルの変更には、次のものが必要です。
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フォント・サブセットを使用する前に、次の作業が必要です。
フォント・ファイルのパスをREPORTS_PATH
環境変数に追加します。Oracle Reportsでは、PDFファイルの生成時に、REPORTS_PATH
環境変数で指定されたパスでフォントを探します。
フォント・サブセットのエントリは、uifont.ali
ファイルに格納します。Oracle Reportsでは、uifont.ali
ファイルにリストされているフォント・エントリが、生成中のPDFファイルに存在する場合にのみ、フォント・サブセットを作成します。
注意: uifont.ali ファイルは次のディレクトリにあります。
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uifont.ali
ファイル内の、フォント・サブセットのセクションは、[PDF:Subset]
で、そのエントリは次のとおりです。
[PDF:Subset] font_name = "font_file_name"
説明:
font_name
はフォント名です。このフォント名に複数の単語が含まれる場合は、必ず引用符で囲む必要があります。
font_file_name
はフォント・ファイル名です。このファイル名は必ず引用符で囲む必要があり、大文字と小文字が区別されます。これが既存のフォント・ファイル名と完全に一致しない場合は、REP-1924
エラーが生成されます。
フォント・ファイルは、DOMAIN_HOME
/reports/
font_folder
など、任意のフォルダに保存できます。フォント・ファイルのパスは、$REPORTS_PATH
環境変数にデフォルトで追加されます。
注意: このfont_file_name は、Oracle Reports Builderで表示されるフォント名ではありません。 |
例1
[PDF:Subset] Arial = "arial.ttf"
TrueType Collection(.ttc
)ファイル内にあるTrueTypeフォントを使用する場合は、uifont.ali
の[PDF:Subset]
セクションのエントリの構文は次のようになります。
[PDF:Subset] font_name = "ttc_file_name[,table_directory_number]"
説明:
font_name
はフォント名です。このフォント名に複数の単語が含まれる場合は、必ず引用符で囲む必要があります。
ttc_file_name
はTrueType Collectionファイル名です。
table_directory_number
は、TrueType Collectionファイル内のTrueTypeフォントに対する表ディレクトリ番号で、ゼロベースのインデックスが使用されます(たとえば、"MS PGothic" = "msgothic.ttc,1"
は、TrueType Collectionファイル内の2番目のフォントの使用を指定することを示す)。table_directory_number
が省略されていたり、無効な値が指定されている場合は、TrueType Collectionファイル内の最初のフォント・プログラムのサブセットが使用されます。
例2
[PDF:Subset] "MS PGothic" = "msgothic.ttc,1" "MS UI Gothic" = "msgothic.ttc,2"
表11-3に、Windowsプラットフォームにおける東アジア系言語用の一般的TrueType Collectionファイルと、それに含まれるフォント名およびその表ディレクトリ番号値を示します。
表11-3 Windowsプラットフォームにおける東アジア系言語用の一般的TrueType Collectionファイル
TTCファイル名 | フォント名 | 表ディレクトリ番号 |
---|---|---|
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レポートに使用されているフォントは、次の方法で表示できます。
Acrobat Reader 6.0以降の場合は、「ファイル」→「文書のプロパティ」→「フォント」を選択します。(それよりも前のリリースでAcrobat Reader 3.0以降の場合は、「ファイル」→「文書情報」→「フォント」を選択します。)
「フォント情報」ダイアログ・ボックスに、「オリジナルフォント」、「種類」、「エンコーディング」、「実際のフォント」(使用しているフォント)および「種類」が表示されます。
注意: フォント・サブセットでは、次のようになります。
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以前のリリースのフォント・メカニズムと下位互換性を維持できるようにするために環境変数が2つ用意されています。
REPORTS_ENHANCED_FONTHANDLINGでは、新しい12cリリース(12.2.1.1)用フォント・モデルを使用するか、11.1.2/11.1.1のツールキット・フォント処理メカニズムに戻すかを指定できます。デフォルトでは、REPORTS_ENHANCED_FONTHANDLING
=YES
となっています。
REPORTS_ENHANCED_SUBSETでは、Oracle Reports 11.1.2/11.1.1で導入された拡張TTFフォント・サブセット機能も含めるかどうかを指定できます。デフォルトでは、生成されたPDFファイルへのアクセスと検索を実行できるようにREPORTS_ENHANCED_SUBSET
=YES
に設定されています。
Oracle Reports 11.1.2/11.1.1よりも前のリリースで使用されているフォント・サブセット(つまり、Type3フォント)の実装に戻すには、環境変数REPORTS_ENHANCED_SUBSET
=NO
を設定します。
REPORTS_ENHANCED_SUBSET
=NO
を設定する場合、Adobe Acrobat Readerを使用して次の手順を実行することで、最適な表示を確実にします。
「編集」→「環境設定」→「ページ表示」を選択します。
「テキストのスムージング」、「ラインアートのスムージング」および「画像のスムージング」を選択します。
(ラップトップ/LCD画面の場合)「CoolType使用」チェックボックスを選択します。
「OK」をクリックします。
注意: この手順はAdobe Acrobat Reader 7.0に適用されます。 |
フォント・サブセットが機能しない場合は、次のことを確認します。
レポートに使用されているフォントに、太字、イタリックおよび太字のイタリックの各バージョンがあること。PDFフォント・サブセットで、レポートにイタリックまたは太字スタイルが使用されているときに、出力にイタリックまたは太字スタイルが表示されない場合は、WindowsのTTFファイルを確認します。Windowsでは、すべてのフォントに、太字、イタリックおよび太字のイタリックの各バージョンがあるわけではありません。たとえば、Arialには、arialbd.ttf
(太字のArial)、ariali.ttf
(イタリックのArial)およびarialbi.ttf
(太字のイタリックのArial)がありますが、Arial Unicode MS (ARIALUNI.TTF
)などの一部のフォントには、太字またはイタリックのバージョンがありません。フォントに太字またはイタリックのバージョンがない場合、Windowsでは、Windows上のOracle Reportsと同様に、レポートの表示時にメインのフォント・ファイルから太字またはイタリック・スタイルが合成されます。これらのスタイルは、HTML/HTMLCSS、RTFおよびPDF (PDFサブセットまたは埋込みのない)出力で保持されます。ただし、実際にはフォント絵文字がレポートに含まれるため、PDFサブセットまたは埋込みの実行時に、Oracle Reportsはスタイルを含むTTFファイルを必要とします。つまり、レポートにArialの太字スタイルを含めるには、arialbd.ttf
が必要となります。ただし、こうしたTTFファイルを持たないArial Unicode MSなどのフォントでは、PDFのサブセット出力に太字またはイタリック・スタイルが表示されません。
「実際のフォント」値が「埋め込み サブセット」、「種類」が「TrueType」であること(Acrobat Reader 6.0以降の場合は「ファイル」→「文書のプロパティ」→「フォント」を、それよりも前のリリースでAcrobat Reader 3.0以降の場合は「ファイル」→「文書情報」→「フォント」を選択)。これが指定されていない場合は、フォント・サブセットが実装されていません。問題の原因として、フォントが検出されていないこと、またはuifont.ali
ファイルのエントリが正しくないことが考えられます。
フォント・ファイル名が有効であること。
フォント・ファイル名の大文字・小文字が、ファイルの定義と一致すること。
フォント・タイプがTrueType、つまり、filename
.ttf
/filename
.ttc
であること。
フォント名に複数の単語が含まれる場合は、二重引用符で囲まれていること。
フォント名に埋込みカッコが含まれていないこと。
フォント・ファイルが、REPORTS_PATH
環境変数で指定されているパスにあること。PDFファイルの生成時に、Oracle Reportsでは、REPORTS_PATH
環境変数で指定されたパスでフォントを探します。
フォント名が正しいこと、およびPDFファイルを生成したマシンでそのフォントが使用可能であること。
uifont.ali
ファイルの[PDF:Subset]
セクション名が変更されていないこと。Oracle Reportsでは、このセクション名を探してファイルを解析します。
レポートの表示に使用しているAdobe Acrobat Readerがバージョン3.0以降であること。マルチバイト・キャラクタのレポートを正しく表示するには、最低でもこのバージョンが必要です。
REPORTS_ENHANCED_SUBSET
環境変数の値がYES
に設定されていること。REPORTS_ENHANCED_SUBSET
=NO
の場合は、以前のフォント・サブセット実装(PDFドキュメントの作成にType3フォントを使用する実装)に戻されます。Type3フォントはType1フォントよりもやや太い、イメージ化された文字です。表示品質を向上させる方法の詳細は、第11.2.2.2.2項「下位互換性」を参照してください。
PDFのフォントの埋込みは、データとともにフォント・セット全体をPDFファイルに含める処理です。PDFのフォント・サブセットとフォントの埋込みは、相互排他的です。
注意: フォントの埋込みは、フォントがPDFファイルに含まれている場合にのみ機能します。フォントの埋込みを行うと、PDFファイルのサイズが増えます。 |
Oracle ReportsでのPDFフォントの埋込みは、Type1フォント(シングルバイト・フォント)のみが対象であり、TrueTypeフォントは対象外です。特定のType1フォントをレポートに含めるには、市販のサード・パーティ製ツールを使用して、TrueTypeフォントをType1フォントに変換します。
Oracle ReportsでのPDFフォントの埋込みは、フォントとフォント・ファイル名のセットとの間で行われます。
注意: 出力にフォントを埋め込む前に、必要なフォント・ライセンスを保持していることを確認する必要があります。 |
PDFの埋込みの設定には、次のものが含まれます。
コマンドライン・キーワード: PDFEMBED
uifont.aliファイル・エントリ: [PDF:Embed]
PDFEMBED
コマンドライン・キーワードのPDFEMBED
により、uifont.ali
ファイルで指定されたType 1 PostScriptフォントをOracle ReportsでPDF出力に埋め込むかどうかを指定します。詳細は、第A.7.25項「PDFEMBED」を参照してください。
uifont.aliファイル・エントリ
uifont.ali
ファイル内の、フォントの埋込みのセクションは、[PDF:Embed]
です。
(Windowsのみ)uifont.ali
ファイルのエントリは次のとおりです。
font_name = "font_name.pfm
font_name.pfb"
(UNIXのみ)uifont.ali
ファイルのエントリは次のとおりです。
font_name = "font_name.afm
font_name.pfa"
例11-1 フォントの埋込み
[PDF:Embed] Symbol = "Symbol.pfm Symbol.pfb"
例11-1では、SymbolフォントがPDFファイルに埋め込まれています。移植性を確保する手順は次のとおりです。
Symbolフォントを含むレポートを作成します。
SymbolフォントをPDFファイルに埋め込みます(図11-3)。
PDFフォントの埋込みが機能しない場合は、次のことを確認します。
Acrobat Reader 6.0以降の場合は、「ファイル」→「文書のプロパティ」→「フォント」を選択します。(それよりも前のリリースでAcrobat Reader 3.0以降の場合は、「ファイル」→「文書情報」→「フォント」を選択します)。埋め込んだフォントがリストに追加されていることを確認します。フォントが追加されていない場合、フォントの埋込みは行われていません。問題の原因として、フォントが検出されていないこと、またはuifont.ali
ファイルのエントリが正しくないことが考えられます。
正しいフォント・ファイル名が使用されていること。
REPORTS_PATH
環境変数で指定されているフォント・パスが正しいこと。PDFファイルの生成時に、Oracle Reportsでは、REPORTS_PATH
環境変数で指定されたパスでフォントを探します。
フォント・タイプがType1フォントであること。
フォント名に複数の単語が含まれる場合は、二重引用符で囲まれていること。
uifont.ali
ファイルの[PDF:Embed]
セクション名が変更されていないこと。Oracle Reportsでは、このセクション名を探してファイルを解析します。
埋込みフォントを指定する書式が有効であること。
font_name="fontfilename.pfm/.afm fontfilename.pfb/.pfa".
例(Windowsの場合):
UtopiaMediumItalic = "UtopiaMediumItalic.pfm UtopiaMediumItalic.pfb"
フォント名が正しいこと、およびPDFファイルを生成したマシンでそのフォントが使用可能であること。
表11-4に、フォント・エイリアシング、フォントの埋込みおよびフォント・サブセットの長所と短所をまとめます。
表11-4 各種PDFフォント機能の比較
PDFタイプ | 長所 | 短所 | PDFタイプ |
---|---|---|---|
フォント・エイリアシング |
マルチバイトをサポートしています。 表示品質が優れています。 小さいファイル・サイズ(日本語では、フォント・サブセットの130KBに対して、フォント・エイリアシングでは23KBで済みます)。 |
Unicode文字セットをサポートしていません。 クライアントのオペレーティング・システムとAcrobat Readerが現地語バージョンでない場合は、クライアント・マシンにAsian Font Packsが必要です。 フォントのサポートに制限があります。たとえば、フォントの強調をサポートしていません。 |
フォント・エイリアシング |
フォントの埋込み |
表示が保証されています。 |
シングルバイトしかサポートしていません。 大きいファイル・サイズ。 |
フォントの埋込み |
フォント・サブセット |
Unicodeをサポートしています。 表示が保証されています。 生成されたファイルを、Adobe Acrobatを使用して検索および編集できます。 |
スタイル(斜体と太字)をサポートしていません。 |
フォント・サブセット |
uifont.ali
ファイル内の複数の箇所に同じフォントが出現する場合、優先順位は次のとおりです。
フォント・エイリアシングがフォントの埋込みより優先される(最高の優先順位)
フォント・サブセットがフォントの埋込みより優先される(中間の優先順位)
フォントの埋込みは優先されない(最低の優先順位)
たとえば、フォントの埋込みとフォント・サブセットの両方に対して同じフォント・エントリを含めた場合は、フォント・サブセットが優先されます。これには、コマンドライン・オプションのPDFEMBED=NO
を設定していないことが前提となります。
どのフォント機能でも(フォント・エイリアシング、フォント・サブセット、フォントの埋込み)、特殊なエントリを最初に指定してから、汎用エントリを指定します。たとえば、Arial Plain、Arial Bold、Arial Italic、Arial Bold-Italicの各フォントのサブセットを作成する場合、エントリを次の順序にします。
[ PDF:Subset ] Arial..Italic.Bold.. = "arialbi.ttf" Arial...Bold.. = "arialbd.ttf" Arial..Italic... = "ariali.ttf" Arial..... = "arial.ttf"
プレーンなArial..... = "arial.ttf"
エントリが最初にあると、このレイアウトにあるArialフォントのすべてのスタイルがArial Plainフォントのサブセットとして作成されます。次に、uifont.ali
ファイルの一部を抜粋したサンプルを示します。どのPDFエントリにも、3つのPDFセクションがすべて含まれています。
サンプル1
[ PDF ] Palatino = "Kino MT.ttf" [ PDF:Subset ] Garmond..Italic.Bold.. = "Garmacbi.ttf" Garmond...Bold.. = "Garmacb.ttf" Garmond..Italic... = "Garmaci.ttf" Garmond..... = "Garamac.ttf" [ PDF:Embed ] Arial = "Arial.pfm Arial.pfb"
サンプル2
[PDF] Arial.10.Italic = "Times New Roman".12.Italic.Bold "Courier New" = Symbol [PDF:Embed] "Times New Roman".14..Bold = "TimesBold.pfm TimesBold.pfb" [PDF:Subset] Verdana...Italic.Bold = "verdanaz.ttf" Verdana...Bold = "verdanab.ttf"
Oracle Reports 12cリリース(12.2.1.1)以降では、Oracle Reportsで生成されたPDFレポートを暗号化したりパスワードで保護できます。
このオプション機能によりPDFレポートの不正読取りや変更が防止されます。暗号化されたPDFレポートは、Acrobat Reader 5.0以降、およびPDF 1.4をサポートしている他のリーダーで読取りができます。この機能は、Oracle Reportsの以前のリリースで開発されたレポートとの互換性があります。
Oracle Reportsでは、PDFレポートの暗号化にAdobe社の標準セキュリティ・ハンドラを使用しています。この標準セキュリティ・ハンドラにより、1つのドキュメントに最大で2つのパスワード(所有者とユーザー)および8種類のアクセス権限を指定できます。
暗号化、パスワード保護および権限セキュリティをPDFレポートに適用するために、Oracle Reports 12cリリース(12.2.1.1)には、次のコマンドライン・キーワードが導入されています。
注意: Oracle Reports Builder (rwbuilder )を使用してPDF暗号化レポート出力を生成するには、rwbuilder を起動するときに、コマンドのコマンドライン・キーワードのどれか1つ以上を渡す必要があります。
Oracle Reports Builderで、「ファイルへ出力」→「PDF」を選択して、PDF暗号化出力を生成します。 |
表11-5では、PDFOWNER
とPDFUSER
のコマンドライン・キーワードで考えられる組合せによる結果を示します。
表11-5 PDFUSERとPDFOWNERのキーワードの組合せによる結果
PDFUSER の指定 |
PDFOWNER の指定 |
効果 |
---|---|---|
はい |
はい |
エンド・ユーザーがAcrobat Reader (5.0以降)で出力されたPDFレポートを開こうとすると、パスワード・プロンプトが表示され、ドキュメントを開いたり、復号化したり、画面に表示するために |
はい |
いいえ |
エンド・ユーザーがAcrobat Reader (5.0以降)で出力されたPDFレポートを開こうとすると、パスワード・プロンプトが表示され、ドキュメントを開いたり、復号化したり、画面に表示するために |
いいえ |
はい |
エンド・ユーザーがAcrobat Reader (5.0以降)で出力されたPDFレポートを開こうとすると、Oracle Reportsではそのドキュメントが開いたり、復号化されたり、画面に表示されます。エンド・ユーザーがAcrobat Writer (6.0以降)で出力されたPDFレポートの権限を変更しようとすると、ドキュメントのパスワードと権限を変更するために |
いいえ |
いいえ |
すべてのエンド・ユーザーはAcrobat Reader (5.0以降)で出力されたPDFレポートを開くことができます。さらに、Acrobat Writer (6.0以降)においてそのドキュメントのパスワードと権限を変更できます。パスワード・プロンプトは表示されません。 |
PDFSECURITY
コマンドライン・キーワードを使用して暗号化PDFレポートの特定権限を抑制する方法の詳細は、第A.7.27項「PDFSECURITY」を参照してください。
暗号化PDFドキュメントのパスワードと権限は、PDFUSER
、PDFOWNER
およびPDFSECURITY
で指定されたように、PDFドキュメントとともに格納されます。これらの値の変更権限を持つエンド・ユーザーは次の手順で格納を実行できます。
Acrobat Writer 6.0以降で、PDFドキュメントを開きます。
「Document」→「Security」→「Restrict Opening and Editing」を選択します。
パスワード・プロンプトにおいて、適切なパスワードを入力します(表11-5に従って指定)。表示されたダイアログ・ボックスで、パスワードと権限で適切な変更を行います。
表示されたダイアログ・ボックスで、パスワードと権限で適切な変更を行います。
配布におけるPDFセキュリティのサポート
Oracle Reports 12cリリース(12.2.1.1)では、レポートの配布と一括処理におけるPDF暗号化をサポートしています。この機能を使用すると、生成するPDFごとに別々のパスワードおよびセキュリティ権限を設定できます。
この機能を使用するには、少なくとも1つ以上のプロパティ(pdfuser
、pdfowner
、pdfsecurity
)を配布XMLファイルに追加する必要があります。
<destinations> <file id="F1" name="personal_report" format="pdf"> <property name="pdfsecurity" value="NOCOPY"/> <property name="pdfuser" value="mypdf"/> <property name="pdfowner" value="employee"/> <include src="mainSection"/> </file> </destinations>
配布XMLファイルの詳細は、第20.3項「配布XMLファイルの概要」および第20.5項「配布XMLファイルの例」を参照してください。
Oracle Reportsでは、様々な方法でPDFファイルにアクセシビリティ機能を含めることができます。PDFフォーマットのファイルは、PDF 1.4で定義されているタグ付きPDFの標準に従います。この標準とAcrobat Reader 5(またはそれ以降のバージョン)を使用することにより、ペーパー・レイアウトにアクセシビリティ機能を含めることができます。
Oracle Reportsで用意しているアクセシビリティ関連機能をコマンドラインから有効にする方法の詳細は、第A.5.1項「ACCESSIBLE」を参照してください。障害のあるユーザーがPDFレポート出力にアクセスできるようにする目的で設計されたOracle Reports用アクセシビリティ・プロパティ(「代替テキスト」、「ヘッダー」、「ID」、「レポート言語」および「表キャプション」の各プロパティ)の使用方法の詳細は、Oracle Reportsのオンライン・ヘルプを参照してください。
さらに、Oracle Reportsレポート作成のためのユーザーズ・ガイドマニュアルの第43章「アクセス可能なJSPベースのWebレポートの作成」およびOTNのOracleアクセシビリティ・サイト(http://www.oracle.com/accessibility/index.html
)を参照してください。このサイトでは、アクセシビリティに関するさらなる説明と、ホワイト・ペーパーのCreating Accessible Enterprise Reports Using Oracle Reportsを参照できます。
PDF文書には、その文書に関する全体的な情報(文書のタイトル、作成者、作成日時、変更日時など)を含めることができます。このような全体的な情報は、外部データベースで文書をカタログ化したり検索するときには、特に便利です。
Oracle Reportsでは、そのような分類を行うための次のプロパティが用意されています。これには、次のようなものがあります。
タイトル
作成者
件名
キーワード
表11-6 分類プロパティ
プロパティ名 | タイプ | 説明 | デフォルト値 |
---|---|---|---|
タイトル |
STRING |
文書のタイトル |
PDF文書名 |
作成者 |
STRING |
文書の作成者 |
Oracle Reports |
件名 |
STRING |
文書の件名 |
なし |
キーワード |
STRING |
文書を分類するためのキーワードを指定 |
なし |
分類プロパティの詳細は、Oracle Reportsのオンライン・ヘルプを参照してください。
Oracle Reportsには、インチ当たりのドット数(DPI)値を指定する機能が備わっています。この値は、PDF出力内のグラフのイメージ解像度に適用されます。この機能によって、イメージの品質を損なうことなく、グラフを拡大縮小できます。
詳細は、第B.1.50項「REPORTS_GRAPH_IMAGE_DPI」および第B.1.53項「REPORTS_JPEG_QUALITY_FACTOR」を参照してください。