トピック:
バックアップ戦略によりデータを保護しておくと、後に実データの損失などの重大な障害からのリカバリが可能になります。
次の各項目では、バックアップ戦略について説明します。
Oracle Fusion Middleware環境は、オフラインまたはオンラインでバックアップできます。
オフライン・バックアップとは、環境を停止してからファイルをバックアップする必要があることを意味します。オフライン・バックアップを行う場合は、管理サーバーとドメイン内のすべての管理対象サーバーを停止する必要があります。
オンライン・バックアップとは、環境を停止せずにファイルをバックアップすることを意味します。バックアップの矛盾を防ぐために、バックアップが完了するまでは、いずれの構成も変更しないでください。WebLogic Serverドメインで変更が行われないようにするには、「WebLogic Server構成のロック」で説明しているようにWebLogic Serverの構成をロックします。
Oracle Fusion Middleware環境全体をバックアップすることも、頻繁に変更されるファイルであるランタイム・アーティファクトをバックアップすることもできます。
全体バックアップを実行するには、静的ファイルおよび静的ディレクトリとともに、ランタイム・アーティファクトをバックアップする必要があります(「バックアップ・アーティファクト」を参照)。
バックアップ・アーティファクトには、静的ファイルや静的ディレクトリ、およびランタイム・アーティファクトが含まれます。
静的ファイルや静的ディレクトリは、頻繁に変更されるものではありません。次のものがあります。
Oracleホーム(ORACLE_HOME)。Oracleホームは、WebLogic ServerホームやOracle共通ホームなどの製品ホームで構成され、製品バイナリが含まれています。
また、推奨されてはいませんが、静的ファイルではないOracle WebLogic Serverドメインを格納したuser_projectsディレクトリが含まれる場合もあります。
OraInventory
LinuxおよびUNIXの場合はoraInst.locファイル。これは、次のディレクトリにあります。
(Linux and IBM AIX) /etc (Other UNIX systems) /var/opt/oracle
LinuxおよびUNIXの場合はoratabファイル。これは、次のディレクトリにあります。
/etc
beahomelistファイル。これは、次の場所にあります。
(UNIX) user_home/bea/beahomelist
(Windows) C:\bea\beahomelist
Windowsの場合は次のレジストリ・キー。
HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\oracle
また、Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネント用に、次のWindowsレジストリ・キーをバックアップする必要があります。
HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services
ランタイム・アーティファクトは頻繁に変更されるファイルです。これらのファイルは、全体バックアップの実行時、および定期的にバックアップします。ランタイム・アーティファクトには、次のものがあります。
管理サーバーおよび管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリ。
ほとんどの場合、管理対象サーバーのディレクトリを個別にバックアップする必要はありません。管理サーバーのドメインには管理対象サーバーすべてに関する情報が格納されているためです。
.earファイルや.warファイルなど、ドメインの外にあるアプリケーション・アーティファクト。
管理対象サーバーのディレクトリ構造のアプリケーション・アーティファクトは、管理対象サーバーの起動時に管理サーバーから取得できるため、バックアップする必要はありません。
Oracle Fusion Middlewareで使用されるデータベース・ベースのメタデータ・リポジトリ。
JMSプロバイダやトランザクション・ログなどの永続ストア。
この項では、バックアップの実行に際し推奨される戦略について説明します。この戦略に従って、このマニュアルで説明するリカバリ手順を実行することができます。
オフラインの全体バックアップの実行: これには、「バックアップ・アーティファクト」で説明しているエンティティのバックアップも含まれます。オフラインの全体バックアップは、次の時点で実行します。
Oracle Fusion Middlewareのインストール直後
Oracle Fusion Middleware環境のパッチ適用またはアップグレードの直前
オペレーティング・システムをアップグレードする直前
Oracle Fusion Middlewareのアップグレードまたはパッチ適用の直後
全体バックアップの実行の詳細は、「全体オフライン・バックアップの実行」を参照してください。
ランタイム・アーティファクトのオンライン・バックアップの実行: これには、「バックアップ・アーティファクト」で説明しているランタイム・アーティファクトのバックアップも含まれます。ランタイム・アーティファクトをバックアップすることにより、構成とメタデータを最後にバックアップした時点の一貫性のある状態に環境をリストアすることができます。バックアップの矛盾を防ぐために、バックアップが完了するまでは、いずれの構成も変更しないでください。ランタイム・アーティファクトのオンライン・バックアップは、次の時点で実行します。
管理上の変更が行われた直後および定期的。ランタイム・アーティファクトのバックアップは夜間に行うことをお薦めします。
コンポーネントに対して構成の変更を行う前。
コンポーネントに対して構成の変更を行った後。
管理対象サーバーまたはクラスタにカスタムのJava EEアプリケーションをデプロイする前。
サーバーやクラスタの作成など、デプロイメント・アーキテクチャに対して大きな変更が行われた後。
ランタイム・アーティファクトのバックアップの実行の詳細は、「ランタイム・アーティファクトのオンライン・バックアップの実行」を参照してください。
オンライン・バックアップを実行する場合、バックアップが完了するまでは、いずれの構成も変更しないでください。WebLogic Serverドメインで変更が行われないようにするには、「WebLogic Server構成のロック」で説明しているようにWebLogic Serverの構成をロックします。
アップグレードやパッチの適用、次のいずれかのファイルの変更など、大きな変更を行った後には、新たな全体バックアップを実行します。
DOMAIN_HOME/nodemanager/nodemanager.properties ORACLE_HOME/wlserver/common/bin/wlsifconfig.sh ORACLE_HOME/wlserver/common/bin/setPatchEnv.sh ORACLE_HOME/wlserver/common/bin/commEnv.sh
全体バックアップの実行の詳細は、「全体オフライン・バックアップの実行」を参照してください。
データベースの全体バックアップまたは増分バックアップの実行: RMANを使用してデータベースをバックアップします。RMANの使用方法および推奨されるデータベースのバックアップ方法については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Fusion Middleware環境の記録を作成します。「Oracle Fusion Middleware構成の記録の作成」を参照してください。
バックアップを作成したら、そのアーカイブ・ファイルに一意の名前を付けます。名前に日時を付加することを検討してください。たとえば、Oracleホームのバックアップを2014年6月5日に作成した場合は、そのバックアップに次の名前を付けます。
oracle_home_backup_06052014.tar
図17-1のフロー・チャートは、特定の状況に適したバックアップのタイプを判断する方法の概要を示しています。
データのバックアップ時には、一定の制限事項が適用されます。
次の点に注意してください:
LDAPバックアップ: 組込みのLDAPを使用する場合、LDAPデータのバックアップ中にセキュリティ・プロバイダの構成を更新しないでください。LDAPディレクトリ・ツリーのバックアップ中に変更があると(たとえば、管理者がユーザーを追加するなど)、ldapfilesサブディレクトリのバックアップにおいて一貫性が損なわれる場合があります。LDAPのバックアップ手順の詳細は、「WebLogic Server管理サーバーの起動と停止」を参照してください。
Java Transaction API (JTA): JTAトランザクション・ログのバックアップおよびリストアはお薦めしません。
Audit Framework: Oracle Fusion Middleware Audit Frameworkを、データベースにデータを書き込むように構成している場合は、バス・ストップ内のローカル・ファイルはバックアップしないでください。(各コンポーネントから発生する監査対象イベントは、バス・ストップと呼ばれるリポジトリに格納されます。Oracle WebLogic Serverには、それぞれ独自のバス・ストップがあります。データはこのファイル内に永続的に置くか集中リポジトリにアップロードでき、集中リポジトリからは、レコードを表示したりレポート作成に使用したりできます。)
ローカル・ファイルをバックアップする場合、重複レコードがデータベースにアップロードされます。つまり、バス・ストップの作成時にデータベースにアップロードされ、その後ファイルをリストアしたときに再度アップロードされます。
バス・ストップのローカル・ファイルのデフォルトの場所は次のとおりです。
Javaコンポーネントの場合:
DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/auditlogs/component_type
Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントの場合:
DOMAIN_HOME/auditlogs/component_type/component_name
Oracle Fusion Middleware Audit Frameworkおよびバス・ストップの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Platform Security Servicesによるアプリケーションの保護』の監査の構成および管理の説明を参照してください。
Oracle BI EEをバックアップする前に、Oracle BI Presentation Catalogをロックして、カタログとRPDの同期が確保されるようにする必要があります。次のスクリプトを実行します。
ORACLE_INSTANCE/bifoundation/OracleBIPresentationServicesComponent/coreapplication_obips1/catalogmanager/runcat.sh
以下のコマンドを使用します。
./runcat.sh -cmd maintenanceMode -on -online OBIPS_URL -credentials credentials_properties_file
バックアップが完了したら、runcatコマンドを使用してメンテナンス・モードをオフにします。このコマンドの詳細は、次のようにヘルプを参照してください。
./runcat.sh -cmd maintenanceMode -help
全体オフライン・バックアップまたはランタイム・アーティファクトのオンラインまたはオフライン・バックアップを実行できます。
トピック:
全体オフライン・バックアップを実行するには、Oracle Fusion Middlewareファイルが格納されているディレクトリをコピーします。
「バックアップおよびリカバリで使用するツール」の説明に従い、アーカイブに適したツールを使用して、ソースOracleホームをアーカイブおよび圧縮します。
次の手順を実行します。
ランタイム・アーティファクト(「バックアップ・アーティファクト」を参照)のバックアップは、定期的に、また「推奨されるバックアップ戦略」で説明している時点で実行する必要があります。
ランタイム・アーティファクトをバックアップする手順は次のとおりです。
Windowsでは、Oracle Fusion Middlewareに関連するWindowsレジストリ・キーをバックアップする必要があります。バックアップするキーは、インストールされているコンポーネントによって異なります。
キーをエクスポートするには、次のコマンドを使用します。
regedit /E FileName Key
次のエントリをエクスポートします。
すべてのコンポーネント向けに、次のレジストリ・キーをエクスポートします。
HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Oracle
Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントの場合は、次のレジストリ・キー内のOracleで始まる各ノードをエクスポートします。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet001\Services HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet002\Services
次に例を示します。
regedit /E C:\oracleSMP.reg HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet001\Services
各キーには一意のファイル名を使用します。
Oracle BI EEの場合は、次のレジストリ・キーをエクスポートします。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ODBC
次に例を示します。
regedit /E C:\oracleregistry.reg HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ODBC
キーのエクスポートにはレジストリ・エディタを使用することもできます。詳細は、レジストリ・エディタのヘルプを参照してください。
Oracle Fusion Middleware環境のリストアおよびリカバリが必要な場合は、必要なすべての情報を自由に入手できることが重要です。これは、特にOracle Fusion Middleware環境全体(またはその一部)を新しいディスクまたはホストに再構築する必要があるような、ハードウェアの損失が発生した場合に当てはまります。
この項で説明されている情報を含む、Oracle Fusion Middleware環境の最新記録を維持管理する必要があります。この情報は、印刷物と電子形式の両方で保管してください。電子形式のデータは、Oracle Fusion Middleware環境とはまったく別のホストまたは電子メール・システム上に格納する必要があります。
Oracle Fusion Middlewareのハードウェアおよびソフトウェア構成の記録には、次のものが含まれます。
環境内のホストごとに次の情報が必要です。
ホスト名
仮想ホスト名(存在する場合)
ドメイン名
IPアドレス
ハードウェア・プラットフォーム
オペレーティング・システムのリリース・レベルおよびパッチ情報
Oracle Fusion Middlewareのインストールおよび構成に使用されるJDKのバージョンとそのパス
環境内のOracle Fusion Middlewareインストールごとに次の情報が必要です。
インストール・タイプ(Oracle HTTP Serverなど)
インストールが常駐するホスト
Oracleホームを所有するオペレーティング・システム・ユーザーのユーザー名、ユーザーID番号、グループ名、グループID番号、環境プロファイルおよびシェル・タイプ(/etc/passwd
および/etc/group
エントリ)
Oracleホーム、Oracle共通ホーム、製品ホーム、Oracle WebLogic Serverドメイン・ホーム(Oracleホームのuser_projectsディレクトリに存在しない場合)のディレクトリ構造、マウント・ポイントおよびフルパス
インストールで使用されるディスク領域の量
インストールで使用されるポート番号
Oracle Fusion Middlewareのインストールおよび構成に使用されるJDKのバージョンとそのパス
コンポーネントのメタデータを格納しているデータベースに関して、次の情報が必要です。
ホスト名
データベースのバージョンとパッチ・レベル
ベース言語
文字セット
グローバル・データベース名
SID
リスニング・ポート