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Oracle® Fusion Middlewareディザスタ・リカバリ・ガイド
12c (12.2.1.2)
E82708-02
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4 障害時リカバリ・サイトの設定と管理

Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・トポロジについて確認し、本番サイトおよびスタンバイ・サイトを設定する方法について確認します。

注意:

スイッチオーバーやフェイルオーバーなどの障害時リカバリ操作は、Oracle Site Guardを使用して自動化できます。『Oracle Site Guard管理者ガイド』を参照してください。

この章の内容は次のとおりです。

4.1 サイトの設定

Oracle障害時リカバリ・サイトを設定する方法を確認します。

本番サイトの作成を開始する前に、次の点を確認します。

  • 「ホスト名の計画」の説明に従って、中間層ホストのホスト名別名を設定します。

  • 「ディレクトリ構造とボリュームの設計」の説明に従って、本番サイトの共有ストレージに必要なボリュームを作成します

  • 使用するOracle Data Guard構成は、データベースのデータ損失要件に加えて、REDO生成と比較した場合の使用可能な帯域幅や待機時間など、ネットワークに関する考慮事項に基づいて決定します。

この項には次のトピックが含まれます:

4.1.1 ディレクトリ構造とボリュームの設計

障害時リカバリ・トポロジで推奨されるディレクトリ構造について確認します。

このドキュメントで推奨されるディレクトリ・レイアウトと異なるものを選択できますが、採用されているモデルを使用すると、コンポーネントが最適に分離され、構成における対称性が保たれるとともに、バックアップと障害時リカバリが容易になり、最大限の可用性が実現されます。

次の一覧では、ディレクトリとディレクトリ環境変数について説明します。

  • ORACLE_BASE: この環境変数および関連するディレクトリ・パスは、Oracle製品がインストールされているベース・ディレクトリを表します。

  • ORACLE_HOME: この関連ディレクトリ・パスは、Oracle Fusion Middlewareが存在する場所を指します。

  • WL_HOME: この環境変数と関連ディレクトリ・パスには、Oracle WebLogic Serverをホストするために必要なファイルがインストールされて格納されています。

  • PROD_DIR: この環境変数および関連するディレクトリ・パスは、製品スイート(Oracle SOA Suite、Oracle WebCenter Portal、Oracle Identity Managementなど)がインストールされている場所を表します。

  • DOMAINディレクトリ: このディレクトリ・パスは、Oracle WebLogic Domain情報(構成アーティファクト)が保存されている場所を表します。各種のWebLogic Serverは、同じノード内にある場合でも異なるドメイン・ディレクトリを使用できます。

  • ORACLE_INSTANCE: Oracleインスタンスには、1つ以上のシステム・コンポーネントが含まれます。Oracleインスタンスのディレクトリには、構成ファイル、ログ・ファイル、一時ファイルなど、更新可能なファイルが格納されます。

「Oracle SOA Suiteに推奨されるディレクトリ構造」を参照してください。

この項には次のトピックが含まれます:

4.1.1.1 Oracle SOA Suiteに推奨されるディレクトリ構造

Oracle SOA Suiteに推奨されるディレクトリ構造について確認します。

Oracle Fusion Middlewareでは、単一のバイナリ・インストールから複数のSOA管理対象サーバーを作成できます。そのため、共有ストレージの1箇所にバイナリ・ファイルをインストールして、異なるノードのサーバーでそのインストールを再利用できます。ただし、最大限の可用性を確保するには、冗長バイナリ・インストールを使用することをお薦めします。このモデルでは、2つのOracleホーム(それぞれに、各製品スイートのWL_HOMEORACLE_HOMEがある)が共有ストレージにインストールされます。同じタイプのサーバーを追加する場合(スケール・アウトまたはスケール・アップする場合)は、これらのいずれかの場所を、追加でインストールすることなくそのまま使用できます。冗長バイナリの場所では、ユーザーは2つの異なるボリュームを使用して、可能なかぎり障害を各ボリュームで分離することが理想的です。さらに保護を強化するために、これらのボリュームでストレージ・レプリケーションを使用することをお薦めします。複数のボリュームが利用できない場合は、マウント・ポイントを使用して、共有ストレージの異なるディレクトリで同じマウント場所をシミュレートすることをお薦めします。複数のボリュームによって実現する保護はこれによって保証されませんが、ユーザーによる削除や個々のファイルの破損から保護できます。

また、管理サーバーと管理対象サーバーで別々のドメイン・ディレクトリが使用されるようにすることをお薦めします。これによって、管理対象サーバーで使用されるドメイン・ディレクトリの対称構成が実現し、管理サーバーのフェイルオーバーが分離されます。管理サーバーのドメイン・ディレクトリは、同じ構成の別のノードにフェイルオーバーできるように、共有ストレージに配置する必要があります。また、管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリは、ローカル・ファイル・システムへの配置もサポートされていますが、共有ストレージに配置することをお薦めします。このことは、障害時リカバリ・サイトを念頭に置いて本番サイトを設計するような場合には特に重要です。図4-1は、Oracle SOA Suiteのディレクトリ構造のレイアウトを示しています。

図4-1 Oracle SOA Suiteのディレクトリ構造

図4-1の説明が続きます
「図4-1 Oracle SOA Suiteのディレクトリ構造」の説明

このディレクトリ構造の設定の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』を参照してください。

ボリューム設計の詳細は、次の項を参照してください。

4.1.1.2 Oracle SOA Suiteに推奨されるボリューム設計

Oracle SOA Suiteに推奨されるボリューム設計について確認します。

図4-2および図4-3は、Oracle SOA Suiteのトポロジ・ダイアグラムです。この項で説明するボリューム設計は、このOracle SOA Suiteトポロジのものです。このトポロジをインストールおよび構成する手順の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』を参照してください。

図4-2 Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Activity Monitoringエンタープライズ・トポロジのダイアグラム

図4-2の説明が続きます
「図4-2 Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Activity Monitoringエンタープライズ・トポロジのダイアグラム」の説明

図4-3 Oracle SOA SuiteおよびOracle Service Busエンタープライズ・デプロイメント参照用トポロジのダイアグラム

図4-3の説明が続きます
「図4-3 Oracle SOA SuiteおよびOracle Service Busエンタープライズ・デプロイメント参照用トポロジのダイアグラム」の説明

このOracle SOA Suiteトポロジの障害時リカバリについては、次のボリューム設計をお薦めします。

  • 製品の冗長バイナリ・ファイルを格納する2つのOracleホーム用にボリュームを2つプロビジョニングします(表4-1VOLFMW1およびVOLFMW2)。

  • 管理サーバーのドメイン・ディレクトリ用にボリュームを1つプロビジョニングします(表4-1VOLADMIN)。

  • 管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリ用に各ノードでボリュームを1つプロビジョニングします(表4-1VOLSOA1およびVOLSOA2)。このディレクトリは、そのノード上のすべての管理対象サーバー間で共有されます。

  • JMSファイル・ストアおよびJTAトランザクション・ログ用にボリュームを1つプロビジョニングします(表4-1VOLDATA)。ドメイン全体で1つのボリュームが、ドメインのすべてのノードでマウントされます。

  • Oracle HTTP ServerのOracleホーム用に各ノードでボリュームを1つプロビジョニングします(表4-1VOLWEB1およびVOLWEB2)。

  • Oracle HTTP Serverのドメイン・ホーム用に各ノードでボリュームを1つプロビジョニングします(表4-1VOLOHS1およびVOLOHS2)。

    注意:

    Web層のホストには、通常、ローカル・ストレージが推奨されます。この構成を定期的に他のアプリケーション層のボリュームにレプリケートして、スタンバイに同期したり、本番WebホストからスタンバイWebホストに直接同期することができます。

表4-1に、図4-2および図4-3に示されているOracle SOA Suiteトポロジのボリューム設計に関する推奨事項の概要を示します。

表4-1 Oracle SOA Suiteのボリューム設計に関する推奨事項

ボリューム名 マウントされるホスト マウント・ポイント 備考

Web

VOLWEB1

WEBHOST1

/u02/oracle/products/fmw

Oracle HTTP Serverインストール用のボリューム

Web

VOLWEB2

WEBHOST2

/u02/oracle/products/fmw

Oracle HTTP Serverインストール用のボリューム

Web

VOLOHS1

WEBHOST1

/u02/oracle/config/domains/ohs_domain

Oracle HTTP Serverのドメイン・ディレクトリのボリューム 

Web

VOLOHS2

WEBHOST2

/u02/oracle/config/domains/ohs_domain

Oracle HTTP Serverのドメイン・ディレクトリのボリューム 

Web

VOLSTATIC1

WEBHOST1

/u02/oracle/config/static

(オプション)静的HTMLコンテンツ用のボリューム

Web

VOLSTATIC2

WEBHOST2

/u02/oracle/config/static

(オプション)静的HTMLコンテンツ用のボリューム

アプリケーション

VOLFMW1

SOAHOST1

/u01/oracle/products/fmw

WebLogic ServerおよびOracle SOA Suiteバイナリ・ファイルのためのボリューム

アプリケーション

VOLFMW2

SOAHOST2

/u01/oracle/products/fmw

WebLogic ServerおよびOracle SOA Suiteバイナリ・ファイルのためのボリューム

アプリケーション

VOLADMIN

SOAHOST1SOAHOST2

/u01/oracle/config

管理サーバーのドメイン・ディレクトリおよびその他の共有構成(デプロイメント・プラン、アプリケーション、キーストアなど)のボリューム

アプリケーション

VOLSOA1

SOAHOST1

/u02/oracle/config

管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリ用のボリューム

アプリケーション

VOLSOA2

SOAHOST2

/u02/oracle/config

管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリ用のボリューム

アプリケーション

VOLRUNTIME

SOAHOST1SOAHOST2

/u01/oracle/runtime

トランザクション・ログおよびJMSデータ用のボリューム

コンシステンシー・グループに関する推奨事項は、次を参照してください。

4.1.1.2.1 Oracle SOA Suiteに推奨されるコンシステンシー・グループ

Oracle SOA Suiteに推奨されるコンシステンシー・グループについて確認します。

Oracle SOA Suiteトポロジについては、次のコンシステンシー・グループをお薦めします。

  • 管理サーバーおよび管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリを含むボリュームをメンバーとするコンシステンシー・グループを1つ作成します(表4-2DOMAINGROUP)。

  • JMSファイル・ストアおよびトランザクション・ログ・データを含むボリュームをメンバーとするコンシステンシー・グループを1つ作成します(表4-2RUNTIMEGROUP )。

  • Oracleホームを含むボリュームをメンバーとするコンシステンシー・グループを1つ作成します(表4-2FMWHOMEGROUP)。

表4-2に、図4-2に示されているOracle SOA Suiteトポロジのコンシステンシー・グループに関する推奨事項の概要を示します。

表4-2 Oracle SOA Suiteのコンシステンシー・グループ

グループ名 メンバー 備考

アプリケーション

DOMAINGROUP

VOLADMIN

VOLSOA1

VOLSOA2

管理サーバー、管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリ用のコンシステンシー・グループ

アプリケーション

RUNTIMEGROUP

VOLRUNTIME

JMSファイル・ストアおよびトランザクション・ログ・データ用のコンシステンシー・グループ

アプリケーション

FMWHOMEGROUP

VOLFMW1

VOLFMW2

Oracleホーム用のコンシステンシー・グループ

4.1.2 ストレージ・レプリケーションの設定

Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジで使用するストレージ・レプリケーションを設定する方法を確認します。

Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジで使用するストレージ・レプリケーションを設定するには、次のようにします。

  • スタンバイ・サイトで、本番サイトのピア・ホストに使用されている物理ホスト名と同じホスト名別名が作成されていることを確認します。

  • スタンバイ・サイトの共有ストレージに、本番サイトの共有ストレージで作成したものと同じボリュームを作成します。

  • スタンバイ・サイトで、本番サイトで作成したものと同じマウント・ポイントおよびシンボリック・リンクを作成します(スタンバイ・サイトでシンボリック・リンクを設定する必要があるのは、本番サイトでシンボリック・リンクを設定した場合のみです)。ただしシンボリック・リンクが必要なのは、複数のボリュームにわたって、一貫したレプリケーションがストレージ・システムで保証されていない場合のみです。シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。

  • 本番サイトにインストールしたものと同じOracle Fusion Middlewareインスタンスをスタンバイ・サイトにインストールする必要はありません。本番サイトのストレージがスタンバイ・サイトのストレージにレプリケートされる際に、本番サイトのボリュームにインストールされているOracleソフトウェアがスタンバイ・サイトのボリュームにレプリケートされます。

  • 本番サイトの共有ストレージのベースライン・スナップショット・コピーを作成します。これによって、本番サイトとスタンバイ・サイトの共有ストレージ間のレプリケーションが設定されます。初期のベースライン・コピーおよび以降のスナップショット・コピーを作成する際には、非同期レプリケーション・モードを使用してください。ベースライン・スナップショット・コピーを実行した後、スタンバイ・サイトのボリューム内のすべてのディレクトリの内容が本番サイトのボリューム内のディレクトリと同じであることを検証します。

  • スタンバイ・サイトにレプリケートされる、本番サイトの共有ストレージの以降のコピーの頻度を設定します。非同期レプリケーション・モードを使用している場合、要求した頻度で、本番サイトの共有ストレージで変更されたデータ・ブロック(前のスナップショット・コピーとの比較に基づきます)が新しいスナップショット・コピーとなり、そのスナップショット・コピーがスタンバイ・サイトの共有ストレージに転送されます。

  • Oracle Fusion Middleware障害時リカバリの本番サイトに含まれているデータベースの障害保護機能がOracle Data Guardによって提供されていることを確認します。Oracle Databaseの障害保護にストレージ・レプリケーション・テクノロジは使用しないでください。

  • スタンバイ・サイトの共有ストレージは、本番サイトの共有ストレージから定期的に転送されるスナップショットを受け取ります。スナップショットが適用されると、フェイルオーバーまたはスイッチオーバーの前に本番サイトから最後に転送されたスナップショットに含まれていたデータまでのすべてのデータがスタンバイ・サイトの共有ストレージに復元されます。

  • 本番サイトの中間層に対して変更が加えられた場合(本番サイトで新しいアプリケーションがデプロイされた場合など)は必ず、同期操作を手動で強制的に実行することを強くお薦めします。ストレージ・レプリケーション・テクノロジを使用して同期を強制的に実行するには、ベンダー固有の手順に従ってください。

4.1.3 データベースのインストールおよび構成

Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメントでOracle Database 11.2またはOracle Database 12.1 MAAデータベースをインストールおよび構成する方法を確認します。

Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジで使用されるOracle Databaseの設定に関する推奨事項と考慮事項は、「データベースに関する考慮事項」を参照してください。

4.1.3.1 Oracle Database 11.2または12.1 MAA環境のインストールおよび構成

Oracle Maximum Availability Architecture (MAA)は、計画停止の停止時間を短縮し、計画外停止を防止、検出およびリカバリするOracleの包括的なアーキテクチャです。

Real Application Clusters (RAC)およびData Guardは、プライマリ・サイトにRACデータベースが含まれ、セカンダリ・サイトにRAC物理スタンバイ・データベースが含まれるデータベースMAAソリューションの基礎を提供します。

この項では、次の項目について説明します。

ヒント:

また、この項のタスクの多くはOracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)を使用して実行することもできます。

Cloud Controlを使用したデータベースの設定および管理は、ダウンタイムの制御および障害時リカバリ操作の簡略化に役立ちます。

Enterprise Manager Cloud Control 12cのインストールの詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド』を参照してください。

Cloud Controlを使用したOracle Data Guardの設定の詳細は、Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12cによるOracle Data Guardの設定および管理を参照してください。

4.1.3.1.1 前提条件

次の前提条件が満たされていることを確認してください。

  • スタンバイ・サイトのOracle RACクラスタおよび自動ストレージ管理(ASM)インスタンスが作成済です。

  • スタンバイ・サイトおよび本番サイトのOracle RACデータベースでフラッシュ・リカバリ領域を使用しています。

  • Oracle RACデータベースがarchivelogモードで実行されています。

  • スタンバイ・サイトのデータベース・ホストにOracleソフトウェアがすでにインストールされています。

  • 共有ORACLE_HOME構成では、TNS_ADMINディレクトリはローカルの非共有ディレクトリである必要があります。

4.1.3.1.2 Oracle Data Guard環境の説明

この項で示す例には、表4-3で説明する環境変数が含まれています。

表4-3 プライマリおよびスタンバイ・データベースで使用される変数

変数 プライマリ・データベース スタンバイ・データベース

データベース名

soa

soa

SOAデータベースのホスト名

soadc1.dbhost1、soadc1.dbhost2

soadc2.dbhost1soadc2.dbhost2

データベースの一意の名前

psoa

ssoa

インスタンス名

soa1 soa2

soa1soa2

サービス名

psoassoa

psoassoa

4.1.3.1.3 プライマリ・データベースの複製の手順

次の手順に従って、Oracle Data Guardの設定用のプライマリ・データベースを準備します。

注意:

Oracle Data Guardの設定の前提条件の詳細は、『Oracle Data Guard Broker』の前提条件に関する項を参照してください。

  1. プライマリ・データベースで強制ロギングを使用可能にします。

    SQL> alter database force logging;
    SQL> select name, log_mode, force_logging from v$database;
    NAME LOG_MODE FOR
    ---------- ---------------- -------
    PSOA ARCHIVELOG YES
    
  2. オンラインREDOログと同じサイズのスタンバイREDOログをプライマリ・データベースに作成します。DUPLICATEコマンドは、スタンバイ・データベースでスタンバイREDOログを自動的に作成します。

    **INTERNAL XREF ERROR**に示すように、同じ数に1つ加えた追加のREDOログを各スレッドで使用することをお薦めします。

  3. スタンバイ・ノード1で、例4-1に示すように、スタンバイ・データベースの静的SIDエントリを提供し、プライマリ(soa1)と同じORACLE_SIDの値を持つリスナー(たとえば、LISTENER_DUPLICATE)を作成し、起動します。

    listener.oraファイルへの次のパスを提供します。

    GRID_HOME/network/admin/listener.ora
  4. 次のコマンドを実行して、GRID_HOME/bin::からlsnrctlを使用し、リスナーを起動および検証します。

    lsnrctl start listener_duplicate
    lsnrctl status listener_duplicate
    
  5. スタンバイ・ノード2で、例4-2に示すように、スタンバイ・データベースの静的SIDエントリを提供し、プライマリ(soa2)と同じORACLE_SIDの値を持つリスナー(たとえば、LISTENER_DUPLICATE)を作成し、起動します。

    listener.oraファイルへの次のパスを提供します。

    GRID_HOME/network/admin/listener.ora
    

    注意:

    リスナーはクラスタ・レベルで構成され、すべてのノードがリスナーのポートおよび環境設定を継承します。したがって、TNS_ADMINディレクトリ・パスはすべてのノードで同じ値を持ちます。

    共有ORACLE_HOME構成では、TNS_ADMINディレクトリはローカルの非共有ディレクトリである必要があります。これらのネットワーク・ファイルはIFILESとして含まれます。

    次の手順を実行して、それぞれインスタンスSOA1およびSOA2を持つSOADC1.DBHOST1およびSOADC1.DBHOST2の2ノード・クラスタに共有ORACLE_HOMETNS_ADMINを設定します。

    1. 各ノードにローカル・ネットワーク・ディレクトリを作成します。たとえば、/local_network_dir/network_adminなどです。

    2. 各ノードの場所/local_network_dir/network_adminにローカルlistener.oraファイルを作成します。

    3. ローカルlistener.oraファイルに、LISTENER_duplicateパラメータの値を追加します。

    4. 共通listener.oraファイルのGRID_HOME/network/adminに、IFILEパラメータ値を次のように追加します。

      IFILE=/local_network_dir/network_admin/listener.ora
  6. 次のコマンドを実行して、リスナーを起動および検証します。

    lsnrctl start listener_duplicate
    lsnrctl status listener_duplicate
    
  7. プライマリ・ノードのデータベース・ホームに、手順3で作成したリスナーに接続するためのOracle Net別名を作成します。例4-3を参照してください。

    たとえば、GRID_HOME/bin/tnsping dupです。

  8. REDOトランスポート用のOracleパスワード・ファイル認証を構成します。次の要件を満たすことを確認します。

    • remote_login_passwordfileEXCLUSIVEに設定します。

      SQL> show parameter 
      remote_login_passwordfile
      NAME TYPE VALUE
      --------------------------------- -------------- --------------------------------
      remote_login_passwordfile string EXCLUSIVE
      
    • プライマリ・パスワード・ファイルを補助インスタス用の場所にコピーします。

  9. スタンバイ・ホストのORACLE_HOME/dbsディレクトリで、次のパラメータを使用してpfile、initsoa1.oraを作成します。

    db_name=soa
    db_unique_name=ssoa
    sga_target=5g
    
  10. すべてのスタンバイ・ホストにsoaデータベースの監査ディレクトリを作成します。

    mkdir -p /u01/app/oracle/admin/soa/adump
    
  11. スタンバイ・ホスト上のssoaデータベースにアクセスするために、Oracle Net別名をすべてのプライマリ・ホストに作成します。

    すべてのホストにpsoa and ssoa用のOracle Net別名があることを確認します。作成するすべての別名は、ノードVIPではなくスキャン・リスナーを参照する必要があります。また、local_listener変数がプライマリ・ホストの別名に設定されている場合は、スタンバイ・サイトに、プライマリ・ホスト上のローカル・リスナーを指す変数の詳細を入力します。例4-4例4-5を参照してください。

    注意:

    • プライマリ・ノード2 (SOADC1.DBHOST2)では、次のように、プライマリ・ノード2のVIPを指すようにpsoa_local_listenerHOST値を更新します。

      psoa_local_listener = 
          (ADDRESS_LIST =
            (ADDRESS=(PROTOCOL = TCP)
      (HOST=prmy2-vip)(PORT = 1521))
          )
        )
    • 共有Oracleホームを使用している場合は、2つのノードのVIPをlocal_listenerパラメータに追加します。

      次に例を示します。

      psoa_local_listener =
        (DESCRIPTION =
          (ADDRESS_LIST =
            (ADDRESS=(PROTOCOL = TCP)
      (HOST=prmy1-vip)(PORT = 1521))
          (ADDRESS=(PROTOCOL = TCP)
      (HOST=prmy2-vip)(PORT = 1521))
          )
        )

    注意:

    • スタンバイ・ノード2 (SOADC2.DBHOST2)では、次のように、スタンバイ・ノード2のVIPを指すようにssoa_local_listenerHOST値を更新します。

      ssoa_local_listener = (ADDRESS_LIST =
            (ADDRESS=(PROTOCOL = TCP)
      (HOST=stby2-vip)(PORT = 1521))
          )
        )
      
    • 共有Oracleホームを使用している場合は、2つのノードのVIPをlocal_listenerパラメータに追加します。

      次に例を示します。

      ssoa_local_listener =
        (DESCRIPTION =
          (ADDRESS_LIST =
            (ADDRESS=(PROTOCOL = TCP)
      (HOST=stby1-vip)(PORT = 1521))
          (ADDRESS=(PROTOCOL = TCP)
      (HOST=stby2-vip)(PORT = 1521))
          )
        )
  12. スタンバイ・ホストで、ORACLE_SIDをプライマリ・データベースと同じ値(ORACLE_SID=soa1)に設定し、手順9で作成したスタンバイPFILEを使用してスタンバイ・データベースでstartup nomountコマンドを実行します。

  13. 値を取得するには、次の問合せを使用します。

    SQL> select p.inst_id,instance_name, name,value from gv$parameter p, gv$instance i where p.inst_id=i.inst_id and p.name='cluster_interconnects'; 
    INST_ID INSTANCE_NAME NAME VALUE
    1 dbm1 cluster_interconnects 192.168.44.225
    2 dbm2 cluster_interconnects 192.168.44.226
  14. プライマリ・ホストでパラメータcluster_interconnectsが設定されている場合は、これを無効にします。

    SQL> alter system reset cluster_interconnects scope=spfile sid='soa1';
    SQL> alter system reset cluster_interconnects scope=spfile sid='soa2';
    
  15. プライマリ・ホストで、Recovery Manager (RMAN)スクリプトを実行して、コマンドduplicate target database for standby from active databaseを使用してプライマリ・データベースを複製します。

    注意:

    このコマンドは、環境によって異なります。コマンドの使用方法の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』のデータベースの複製に関する項を参照してください。

    例4-6を参照して、異なるディスクグループ名を持つ2つのシステム間での複製方法を理解します。

    例4-7を参照して、同じディスクグループ名+DATAを持つ2つのシステム間での複製方法を理解します。

  16. 手順14で説明するように、プライマリ・ホストでパラメータcluster_interconnectsを無効にした場合は、spfileで元の値に戻す必要があります。

  17. (オプション) 手順3で作成したリスナーを停止し、削除します。

例4-1 静的SIDを持つリスナーを作成および起動するスクリプト

LISTENER_duplicate =
 (DESCRIPTION_LIST =
  (DESCRIPTION =
   (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)
   (HOST = soadc2.dbhost1)
   (PORT = 1521)(IP = FIRST))))
 
SID_LIST_LISTENER_duplicate =
 (SID_LIST =
  (SID_DESC =
   (SID_NAME = soa1)
   (ORACLE_HOME = /u01/app/oracle/product/11.2.0/db_1)))

例4-2 静的SIDを持つリスナーを作成および起動するスクリプト

LISTENER_duplicate =
 (DESCRIPTION_LIST =
  (DESCRIPTION =
   (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)
   (HOST = soadc2.dbhost2)
   (PORT = 1521)(IP = FIRST))))

SID_LIST_LISTENER_duplicate =
 (SID_LIST =
  (SID_DESC =
   (SID_NAME = soa2)
   (ORACLE_HOME = /u01/app/oracle/product/11.2.0/db_1)))

例4-3 Oracle Net別名を作成するスクリプト

dup =
(DESCRIPTION =
 (ADDRESS =
  (PROTOCOL = TCP)
   (HOST = soadc2.dbhost1)
   (PORT = 1521))
 (CONNECT_DATA =
  (SERVER = DEDICATED)
   (SID = soa1)))

例4-4 プライマリ・ノード1 (SOADC1.DBHOST1)のサンプルtnsnames.oraファイル

psoa =
  (DESCRIPTION =
    (ADDRESS_LIST =
      (ADDRESS=(PROTOCOL= TCP)
(HOST=prmy-scan)(PORT = 1521))
    )
    (CONNECT_DATA =
      (SERVER = DEDICATED)
      (SERVICE_NAME = psoa)
    )
  )
 
ssoa =
  (DESCRIPTION =
    (ADDRESS_LIST =
      (ADDRESS=(PROTOCOL = TCP)
(HOST=stby-scan)(PORT = 1521))
    )
    (CONNECT_DATA =
      (SERVER = DEDICATED)
      (SERVICE_NAME = ssoa)
    )
  )
 
psoa_local_listener = 
  (DESCRIPTION =
    (ADDRESS_LIST =
      (ADDRESS=(PROTOCOL = TCP)
(HOST=prmy1-vip)(PORT = 1521))
    )
  )

例4-5 スタンバイ・ノード1 (SOADC2.DBHOST1)のサンプルtnsnames.oraファイル

psoa =
  (DESCRIPTION =
    (ADDRESS_LIST =
      (ADDRESS=(PROTOCOL= TCP)(HOST=prmy-scan)(PORT = 1521))
    )
    (CONNECT_DATA =
      (SERVER = DEDICATED)
      (SERVICE_NAME = psoa)
    )
  )
 
ssoa =
  (DESCRIPTION =
    (ADDRESS_LIST =
      (ADDRESS=(PROTOCOL = TCP)
(HOST=stby-scan)(PORT = 1521))
    )
    (CONNECT_DATA =
      (SERVER = DEDICATED)
      (SERVICE_NAME = ssoa)
    )
  )
 
ssoa_local_listener = 
  (DESCRIPTION =
    (ADDRESS_LIST =
      (ADDRESS=(PROTOCOL = TCP)
(HOST=stby1-vip)(PORT = 1521))
    )
  )

例4-6 異なるディスクグループ名を持つ2つのシステム間でのデータの複製

rman <<EOF
connect target sys/password;
connect auxiliary sys/password@dup;
run { 
allocate channel prmy1 type disk; 
allocate channel prmy2 type disk; 
allocate channel prmy3 type disk; 
allocate channel prmy4 type disk; 
allocate auxiliary channel stby type disk; 
duplicate target database for standby from active database 
spfile 
parameter_value_convert '+DATA_prmy','+DATA_stby','+RECO_prmy','+RECO_stby' 
set db_file_name_convert '+DATA_prmy','+DATA_stby' 
set db_unique_name='ssoa' 
set db_create_online_log_dest_1='+DATA_stby' 
set db_create_file_dest='+DATA_stby' 
set db_recovery_file_dest='+RECO_stby' 
set log_file_name_convert '+DATA_prmy','+DATA_stby','+RECO_prmy','+RECO_stby' 
set control_files='+DATA_stby/ssoa/standby.ctl' 
set local_listener='ssoa_local_listener'
set remote_listener='stby-scan:1521'; 
} EOF

例4-7 同じディスクグループ名+DATAを持つ2つのシステム間でのデータの複製

rman <<EOF
connect target sys/password;
connect auxiliary sys/password@dup;
run {
allocate channel prmy1 type disk;
allocate channel prmy2 type disk;
allocate channel prmy3 type disk;
allocate channel prmy4 type disk;
allocate auxiliary channel stby type disk;
 
duplicate target database for standby from active database
spfile
set db_unique_name='ssoa'
set control_files='+DATA/ssoa/standby.ctl'
set local_listener='ssoa_local_listener'
set remote_listener='stby-scan:1521';
}
EOF

例4-8 サンプルREDOログ

SQL> alter database add standby logfile thread 1
group 9 size 500M,
group 10 size 500M,
group 11 size 500M;
 
SQL> alter database add standby logfile thread 2
group 12 size 500M,
group 13 size 500M,
group 14 size 500M;
4.1.3.1.4 スタンバイ・データベースのRAC構成の完了の手順

スタンバイ・データベースでRAC構成を完了するには、「プライマリ・データベースの複製の手順」の手順を実行します。さらに、次の手順を実行します。

  1. スタンバイ・データベースで一時パラメータ・ファイルを作成します。

    SQL> create pfile='/tmp/p.ora' from spfile;
    
  2. スタンバイ・データベースの+DATA_stbySPFILEを作成します。

    SQL> create spfile='+DATA_stby/ssoa/spfilessoa.ora' from pfile='/tmp/p.ora';
    
  3. デフォルト・ファイルを削除します。

    $rm /u01/app/oracle/product/12.1.0.2/dbhome_1/dbs/spfilesoa1.ora
  4. すべてのスタンバイ・ホストにinitsoan.oraファイルを作成します。ファイルは、手順2で作成したSPFILEの場所を指す必要があります。

    soadc2.dbhost1で、次を実行します
    cat /u01/app/oracle/product/11.2.0/dbs/initsoa1.ora
    spfile='+DATA/ssoa/spfilesoa.ora
  5. スタンバイ・システムで、マウント状態のインスタンスを再起動します。

    startup mount
    
  6. 次のようにRACデータベースをCRSに登録します。

    srvctl add database -d ssoa –o /u01/app/oracle/product/11.2.0/db_1
    srvctl add instance -d ssoa -i soa1 -n soadc2.dbhost1
    srvctl add instance -d ssoa -i soa2 -n soadc2.dbhost2
    srvctl modify database –d ssoa –r physical_standby
    
4.1.3.1.5 Data Guard Broker構成の作成

この項では、Data Guard構成の作成の基本的な手順について説明します。

Data Guard Brokerの詳細は、Oracle Data Guardのインストールに関する項の手順を参照してください。

Data Guard Broker構成を作成するには、次の手順を実行します。

  1. 静的SIDの値を、構成のすべてのホストのグリッド・インフラストラクチャ・ホームにあるローカル・ノード・ファイルlistener.oraに追加します。
    LISTENER_SCAN2=(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=IPC)(KEY=LISTENER_SCAN2))))
    LISTENER_SCAN3=(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=IPC)(KEY=LISTENER_SCAN3))))
    LISTENER=(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=IPC)(KEY=LISTENER)))) 
    
    LISTENER_SCAN1=(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=IPC)(KEY=LISTENER_SCAN1))))
    ENABLE_GLOBAL_DYNAMIC_ENDPOINT_LISTENER_SCAN1=ON
    ENABLE_GLOBAL_DYNAMIC_ENDPOINT_LISTENER=ON 
    SID_LIST_LISTENER = 
    (SID_LIST = 
    (SID_DESC = 
    (GLOBAL_DBNAME = psoa_DGMGRL) 
    (SID_NAME = soa1)
    (ORACLE_HOME = /u01/app/oracle/product/11.2.0/db_1)))
    ENABLE_GLOBAL_DYNAMIC_ENDPOINT_LISTENER_SCAN3=ON
    

    注意:

    • 各ホストのパラメータGLOBAL_DBNAMEおよびSID_NAMEに適切な値を入力します。

    • IFILEが共有ORACLE_HOMEに使用されている場合は、IFILEで指定した対応するローカルlistener.oraファイルを変更します。

  2. プライマリ・サイトとスタンバイ・サイトのリスナーをバウンスして、ファイルに対する変更を適用します。
    srvctl stop listener
    srvctl start listener
    
  3. Data Guard Brokerメタデータ・ファイルを構成し、プライマリ・サイトとスタンバイ・サイトでブローカを次のように有効化します。

    プライマリ・サイト

    SQL> alter system set dg_broker_config_file1='+DATA_prmy/psoa/dr1.dat' scope=both;
    SQL> alter system set dg_broker_config_file2='+DATA_prmy/psoa/dr2.dat' scope=both;
    SQL> alter system set dg_broker_start=true scope=both;
    

    スタンバイ・サイト

    SQL> alter system set dg_broker_config_file1='+DATA_stby/ssoa/dr1.dat' scope=both;
    SQL> alter system set dg_broker_config_file2='+DATA_stby/ssoa/dr2.dat' scope=both;
    SQL> alter system set dg_broker_start=true scope=both;
    
  4. プライマリ・ホストでdgmgrlにアクセスし、構成を作成します。例4-9を参照してください。

例4-9 dgmgrlへのアクセスによるプライマリ・ホストのData Guard Broker構成の作成

dgmgrl sys/password
 
DGMGRL> create configuration 'dg_config' as 
primary database is 'psoa'
connect identifier is psoa;
 
Configuration "dg_config" created with primary database "psoa"
 
DGMGRL> add database 'ssoa' as
connect identifier is ssoa;
 
Database "ssoa" added
 
DGMGRL> enable configuration;
 
Enabled.
4.1.3.1.5.1 Data Guard Broker構成の検証

次の手順を実行して、Data Guard Broker構成が正常に作成されたことを確認します。

  1. V$ARCHIVED_LOGビューへの問合せを実行して、アーカイブされたREDOログ内の既存のファイルを特定することで、Oracle Data Guardの構成を確認します。次に例を示します。
    SQL> SELECT SEQUENCE#, FIRST_TIME, NEXT_TIME 
      2> FROM V$ARCHIVED_LOG ORDER BY SEQUENCE#;
    
    SEQUENCE# FIRST_TIME NEXT_TIME
    ---------- ------------------ ------------------
             8 11-JUL-13 17:50:45 11-JUL-13 17:50:53
             9 11-JUL-1317:50:53 11-JUL-1317:50:58
            10 11-JUL-13 17:50:58 11-JUL-13 17:51:03
     
    3 rows selected
    
  2. プライマリ・データベースで、次のSQL文を発行してログ切替えを強制し、現在のオンラインREDOログ・ファイル・グループをアーカイブします。
    SQL> alter system archive log current;
    
  3. スタンバイ・データベースでV$ARCHIVED_LOGビューへの問合せを実行して、REDOデータがスタンバイ・データベースで受信およびアーカイブされていることを確認します。
    SQL> SELECT SEQUENCE#, FIRST_TIME, NEXT_TIME 
      2> FROM V$ARCHIVED_LOG ORDER BY SEQUENCE#;
    
    SEQUENCE# FIRST_TIME NEXT_TIME
    ---------- ------------------ ------------------
             8 11-JUL-13 17:50:45 11-JUL-13 17:50:53
             9 11-JUL-1317:50:53 11-JUL-1317:50:58
             10 11-JUL-13 17:50:58 11-JUL-13 17:51:03
             11 11-JUL-13 17:51:03 11-JUL-1318:34:11
    
    4 rows selected
    
  4. show configurationコマンドを使用して、スタンバイ・サイトに構成が正常に作成されたことを確認します。例4-10を参照してください。

例4-10 Data Guard Broker構成の検証

DGMGRL> show configuration;

Configuration - dg_config

Protection Mode: MaxPerformance
Databases:
psoa- Primary database
ssoa- Physical standby database

Fast-Start Failover: DISABLED

Configuration Status:
SUCCESS
4.1.3.1.5.2 データベースのスイッチオーバーおよびスイッチバックのテスト

データベースのスイッチオーバーおよびスイッチバックを実行できます。

Oracle Data Guard Brokerを使用したスイッチオーバー操作の実行

Oracle Data Guard Brokerを使用してスイッチオーバー操作を実行するには、次のタスクを完了します。

  1. 「Data Guard Broker構成の作成」の手順を使用して作成したOracle Data Guard Broker構成を検証します。

    構成を検証するには、次のコマンドを実行します。

    DGMGRL> show configuration;
     
    Configuration - dg_config
     
    Protection Mode: MaxPerformance
    Databases:
    psoa- Primary database
    ssoa- Physical standby database
     
    Fast-Start Failover: DISABLED
     
    Configuration Status:
    SUCCESS
    
  2. SWITCHOVERコマンドを実行して、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースのロールを入れ替えます。**INTERNAL XREF ERROR**では、Data Guard Brokerが、古いプライマリ・データベースの停止および再起動を、スイッチオーバー操作の一部として自動的に実行する方法を示します。

    DGMGRL> switchover to 'ssoa';
    Performing switchover NOW, please wait...
    New primary database "ssoa" is opening...
    Operation requires shutdown of instance "psoa1" on database "psoa"
    Shutting down instance "psoa1"...
    ORA-01109: database not open
     
    Database dismounted.
    ORACLE instance shut down.
    Operation requires startup of instance "psoa1" on database "psoa"
    Starting instance "psoa1"...
    ORACLE instance started.
    Database mounted.
    Switchover succeeded, new primary is "ssoa"
    
  3. スイッチオーバーの完了後、SHOW CONFIGURATIONコマンドを使用して、スイッチオーバー操作が正常終了したかどうかを検証します。

    DGMGRL> show configuration;
    Configuration - dg_config
    Protection Mode: MaxPerformance
    Databases:
    ssoa- Primary database
    psoa- Physical standby database
    Fast-Start Failover: DISABLED
    Configuration Status:
    SUCCESS
    

SQL Plusを使用したスイッチオーバー操作の実行

次の操作を実行して、新しく作成したフィジカル・スタンバイ・データベースとプライマリOracle RACデータベース間でデータベースを正しくスイッチオーバーまたはスイッチバックします。

  1. プライマリ・サイトのOracle RACデータベース(PSOA)の、1つを除くすべてのインスタンスを停止します。たとえば、本番サイトのSOADC1.DBHOST1で次のコマンドを実行します。
    srvctl stop instance -d psoa -i soa2
    
  2. 現在のプライマリ・データベースでフィジカル・スタンバイへのロール移行を開始します。たとえば、本番サイトのSOADC1.DBHOST1で次のコマンドを実行します。
    SQL > ALTER DATABASE COMMIT TO SWITCHOVER TO PHYSICAL STANDBY WITH SESSION SHUTDOWN;
    
  3. プライマリ・インスタンスを停止し、プライマリ・インスタンスをマウントします。たとえば、本番サイトのSOADC1.DBHOST1で次のコマンドを実行します。
    SQL > shutdown immediate
    SQL > startup mount
    
  4. これで、両方のデータベースがフィジカル・スタンバイ・モードになりました。

    インスタンスにログインして続行します。

  5. 両方のデータベースがフィジカル・スタンバイ・モードであることを確認するには、両方のデータベースで次のSQL問合せを実行します。
    SQL> select database_role from v$database;
    DATABASE_ROLE
    ----------------
    PHYSICAL_STANDBY
    
  6. フィジカル・スタンバイ・データベース・ロールをプライマリ・ロールに切り替えます。たとえば、スタンバイ・サイトのSOADC2.DBHOST1で次のコマンドを実行します。
    SQL> ALTER DATABASE COMMIT TO SWITCHOVER TO PRIMARY WITH SESSION SHUTDOWN;
    
  7. これで、フィジカル・スタンバイ・データベースが新しいプライマリ・データベースになりました。
  8. 新しいプライマリ・データベースを停止し、srvctlを使用して両方のRACノードを起動します。たとえば、新しいプライマリ・サイトSOADC2.DBHOST1で次のコマンドを実行します。
    srvctl start database -d ssoa
    
  9. 新しいフィジカル・スタンバイ・データベース(元のプライマリ)で、データベースの管理リカバリを開始します。たとえば、プライマリ・サイトのSOADC1.DBHOST1で次のコマンドを実行します。
    SQL> ALTER DATABASE RECOVER MANAGED STANDBY DATABASE DISCONNECT FROM SESSION;
    
  10. 新しいフィジカル・スタンバイ・データベースへのREDOデータの送信を開始します。たとえば、新しいプライマリ・サイトSOADC2.DBHOST1で次のコマンドを実行します。
    SQL> ALTER SYSTEM SWITCH LOGFILE;
    
  11. V$ARCHIVED_LOGビューへの問合せを実行して、新しいフィジカル・スタンバイ・データベースでアーカイブ・ログ・ファイルが受信されているかどうかを確認します。
  12. スイッチバック操作を実行します。スイッチバックは、スイッチオーバー操作の後にデータベースのロールを元の状態に戻す操作です。

注意:

Oracle Data Guard Brokerのスイッチオーバーおよびフェイルオーバー操作の詳細は、『Oracle Data Guard Broker』のスイッチオーバーおよびフェイルオーバー操作に関する項を参照してください。

4.2 本番サイトの作成

Oracle SOAエンタープライズ・デプロイメント・トポロジで本番サイトを作成する方法を確認します。

本番サイトを作成する前に:

  • 「ホスト名の計画」の説明に従って、中間層ホストのホスト名別名を設定します。

  • 「ディレクトリ構造とボリュームの設計」の説明に従って、本番サイトの共有ストレージに必要なボリュームを作成します。

  • 使用するOracle Data Guard構成は、データベースのデータ損失要件に加えて、REDO生成と比較した場合の使用可能な帯域幅や待機時間など、ネットワークに関する考慮事項に基づいて決定します。

この項には次のトピックが含まれます:

4.2.1 Oracle SOA Suiteトポロジの本番サイトの作成

Oracle SOA Suiteトポロジの本番サイトを作成します。

『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』の説明に従って、本番サイトをインストールおよび構成します。

注意:

この項では、Oracle SOA Suiteトポロジの本番サイトの作成方法について説明します。異なるトポロジの本番サイトを作成する場合は、Install a Production Environment: Plan, Install & Configure an Enterprise Deploymentカテゴリに記載されている適切なOracle Fusion Middlewareのエンタープライズ・デプロイメント・ガイドを参照してください。

次の項で、本番サイトのインストールおよび構成を実行する方法について説明します。

4.2.1.1 ボリュームおよびコンシステンシー・グループの作成

共有ストレージ・デバイスでボリュームおよびコンシステンシー・グループを作成します。

共有ストレージ・デバイスにボリュームおよびコンシステンシー・グループを作成するには、 「Oracle SOA Suiteに推奨されるボリューム設計」を参照してください。

4.2.1.2 物理ホスト名およびホスト名別名の設定

本番サイトの物理ホスト名、およびスタンバイ・サイトの物理ホスト名とホスト名別名を設定します。

本番サイトおよびスタンバイ・サイトのホスト名の計画の詳細は、「ホスト名の計画」を参照してください。

4.2.1.3 Oracle SOA Suiteのインストールおよび構成

Oracle SOA Suiteをインストールおよび構成します。

Oracle SOA Suiteをインストールおよび構成するには、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』を参照し、次の変更を適用してください。

  1. 共有ストレージ・デバイス上に作成したボリュームにOracle SOA Suiteコンポーネントをインストールします。
  2. 物理および仮想ホスト名の別名を使用して、本番およびスタンバイ・サイトを設定します。
  3. JMSストアおよびトランザクション・ログ用に各サイトで別個のボリュームを作成します。
  4. 本番サイトのインストールおよび構成後、ホスト名の検証をオフにします。管理サーバーおよび管理対象サーバーのホスト名検証をオフにする詳細な手順は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』を参照してください。
  5. ホスト名の検証をオフにしない場合、「スタンバイ・サイトの自己署名証明書および鍵の更新」の手順に従って、ノード・マネージャの通信を構成します。
  6. ノード・マネージャの通信が正しく機能するように、すべてのOracle Fusion Middlewareホストでホスト名別名を使用してSSL証明書を作成します。

4.2.2 Oracle Fusion Middlewareアクティブ-パッシブ・デプロイメントのデータ・ソースの構成

SOA Suiteを例としてOracle Fusion Middlewareが使用するデータ・ソースを構成し、プライマリ・データベースのフェイルオーバーまたはスイッチオーバーの場合に接続のフェイルオーバーを自動化します。

ドメインで使用されるすべてのデータ・ソースを構成します。

さらに、データベースを使用した永続ストアおよびサーバー移行に使用するリース・データ・ソースを構成してフェイルオーバーを自動化します。GridLinkデータ・ソースを変更する必要があります。

  • ONS構成を更新して、本番およびスタンバイ両方のサイトONSを含めます。

    次の例に示すように、ONSアドレス・リストの項目はカンマで区切る必要があります。

    prmy-scan:6200,stby-scan:6200
    

    「ONSクライアント構成のテスト」ページで、接続パラメータを確認して、「すべてのONSノードのテスト」をクリックします。次の例は、成功した場合の接続通知を示しています。

    Connect test for prmy-scan:6200 succeeded.
    
  • JDBC URLを更新して、両方のサイトに適切なサービスを含めます。

    データベースがData Guardを使用するOracle Fusion Middleware SOAアクティブ/パッシブ構成のSOAデータ・ソースのサンプルJDBC URLを次に示します。

    jdbc:oracle:thin:@
    (DESCRIPTION_LIST =
             (LOAD_BALANCE = off)
             (FAILOVER = on)
             (DESCRIPTION =
                      (CONNECT_TIMEOUT = 10)
                      (TRANSPORT_CONNECT_TIMEOUT = 3)
                      (RETRY_COUNT = 3)
                      (ADDRESS_LIST =
                           (LOAD_BALANCE = on)
                           (ADDRESS =
                               (PROTOCOL = TCP)(HOST = prmy-scan)(PORT = 1521)
                      )
             )
             (CONNECT_DATA =
                  (SERVICE_NAME =soaedg.example.com)
                      )
             )
    (DESCRIPTION =
             (CONNECT_TIMEOUT =10)
             (TRANSPORT_CONNECT_TIMEOUT = 3)
             (RETRY_COUNT = 3)
             (ADDRESS_LIST =
                           (LOAD_BALANCE = on)
                           (ADDRESS =
                               (PROTOCOL =TCP)(HOST = stby-scan)(PORT = 1521)
                      )
             )
             (CONNECT_DATA =
                           (SERVICE_NAME = soaedg.example.com))
    
                      )
    
    )
    

    「GridLinkデータベース接続のテスト」ページで、接続パラメータを確認して、「すべてのリスナーのテスト」をクリックします。次の例は、成功した場合の接続通知を示しています。

    Connection test for jdbc:oracle:thin:@(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=prmy-scan)(PORT=1521)))(CONNECT_DATA=(SERVICE_NAME=soaedg.example.com))) succeeded.
  • BI専用: このコマンドは、中間層データベースの接続詳細を同期し、接続詳細の変更時にBIコンポーネントが中間層データベースにアクセスできることを確認します。コマンドの位置:

    DOMAIN_HOME/bitools/bin/sync_midtier_db.sh

    注意:

    UNIXの場合、これをマスター・ホストで実行する必要があります。
    中間層データベース接続詳細を同期するには、次のようにします。
    • 同期スクリプトを実行します。

      DOMAIN_HOME/bitools/bin/sync_midtier_db.sh

    • スクリプトには、更新されるデータ・ソースが表示されます。

    • 管理対象サーバーおよびBIシステム・コンポーネントを再起動します。

4.3 スタンバイ・サイトの作成

スタンバイ・サイトを作成する方法を確認します。

スタンバイ・サイトを作成するために、Oracle SOAエンタープライズ・デプロイメント・トポロジを例として使用します。

この項には次のトピックが含まれます:

4.3.1 スタンバイ・サイトの準備

スタンバイ・サイトで操作できるように準備します。

スタンバイ・サイトで操作できるように準備するには、次のようにします。

  • 「ホスト名の計画」の手順に従って、ホスト名別名および物理ホスト名を正しく設定します。

    スタンバイ・サイトの各ホストに、本番サイトのピア・ホストの物理ホスト名と同じホスト名別名が設定されていることを確認してください。

  • 共有ストレージに、本番サイトの共有ストレージで作成したものと同じボリュームを作成します

  • 本番サイトで作成したものと同じマウント・ポイントおよびシンボリック・リンク(必要な場合)を作成します。ただしシンボリック・リンクが必要なのは、複数のボリュームにわたって、一貫したレプリケーションがストレージ・システムで保証されていない場合のみです。

    シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。

4.3.1.1 中間層のホストの設定

スタンバイ・サイトの中間層ホストでは、Oracle Fusion MiddlewareやOracle WebLogic Serverソフトウェアのインストールや構成を行う必要はありません。本番サイトのストレージがスタンバイ・サイトのストレージにレプリケートされる際に、本番サイトにインストールされているソフトウェアがスタンバイ・サイトにレプリケートされます。

スタンバイ・サイトの中間層ホストを設定するには、次の手順を実行します。

  1. 本番サイトの共有ストレージのベースライン・スナップショット・コピーを作成します。これによって、ストレージ・デバイス間のレプリケーションが設定されます。初期のベースライン・コピーおよび以降のスナップショット・コピーを作成する際には、非同期レプリケーション・モードを使用してください。
  2. 本番サイトの共有ストレージをスタンバイ・サイトの共有ストレージと同期します。これによって、本番サイトからスタンバイ・サイトに初期のベースライン・スナップショットが転送されます。
  3. スタンバイ・サイトにレプリケートされる、本番サイトの共有ストレージの以降のコピーの頻度を設定します。非同期レプリケーション・モードを使用している場合、要求した頻度で、本番サイトの共有ストレージで変更されたデータ・ブロック(前のスナップショット・コピーとの比較に基づきます)が新しいスナップショット・コピーとなり、そのスナップショット・コピーがスタンバイ・サイトの共有ストレージに転送されます。
  4. ベースライン・スナップショット・コピーを実行した後、スタンバイ・サイトのボリューム内のすべてのディレクトリの内容が本番サイトのボリューム内のディレクトリと同じであることを検証します。

4.3.2 スタンバイ・サイトの自己署名証明書および鍵の更新

Oracle WebLogic管理サーバーでホスト名の検証を有効にしている場合、スタンバイ・サイトの証明書の適切なトラスト・ストアおよびキー・ストアを更新します。

証明書は、スタンバイ・サイトのノード専用に作成する必要があります。

ノードの証明書の作成の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』の中間層とハードウェア・ロード・バランサ間のSSL通信の有効化に関する項を参照してください。

これらの項の例では、図4-2に示されているOracle SOA Suiteエンタープライズ・トポロジに対してタスクを実行する方法を紹介します。

注意:

  • 図4-2に示されているOracle SOA Suiteエンタープライズ・トポロジを障害時リカバリ・トポロジの本番サイトとして設定する場合は、図4-2に示されているホスト名のかわりに、表3-1に示されている物理ホスト名を本番サイトのホストに使用する必要があります。

  • この項の手順は、Oracle WebLogic Serverがインストールされているアプリケーション層ホストで実行する必要があります。

この項には次のトピックが含まれます:

4.3.2.1 自己署名証明書の生成

自己署名証明書を生成する方法を確認します。

自己署名証明書を生成するには、次の手順を実行します。

  1. WL_HOME/server/bin/setWLSEnv.shスクリプトを実行して環境を設定します。

    Bourneシェルで次のコマンドを実行します。

    . setWLSEnv.sh
    

    CLASSPATH環境変数が設定されていることを確認します。

    echo $CLASSPATH
    
  2. 証明書用のユーザー定義ディレクトリを作成します。
    mkdir home/user_projects/domains/SOADomain/certs
    
  3. ディレクトリをユーザー定義ディレクトリに変更します。
    cd home/user_projects/domains/SOADomain/certs
    
  4. ユーザー定義ディレクトリからutils.CertGenツールを実行して、ノード内のサーバーによって使用される物理ホスト名と仮想ホスト名の両方に対応する証明書を作成します。
    java utils.CertGen key_passphrase cert_file_name key_file_name [export|domestic] [hostname]
    

    次に例を示します。

    java utils.CertGen password soadc1host1_cert soahost1_key domestic soahost1
    java utils.CertGen password soadc1host2_cert soahost2_key domestic soahost2
    

4.3.2.2 キー・ストアへの証明書のインポート

utils.ImportPrivateKeyユーティリティを使用して証明書をキー・ストアにインポートします。

utils.ImportPrivateKeyユーティリティを使用して証明書をキー・ストアにインポートするには、次の手順を実行します。

  1. 次のユーティリティを実行して、証明書および秘密鍵をアイデンティティ・ストアにインポートし、必ず、インポートする証明書と鍵のペアごとに異なる別名を使用してください。
    java utils.ImportPrivateKey 
       keystore_file 
       keystore_password 
       certificate_alias_to_use private_key_passphrase 
       certificate_file private_key_file keystore_type
    

    注意:

    keystore_typeのデフォルト値はjksです。

    次の例は、このユーティリティの使用方法を示したものです。

    java utils.ImportPrivateKey 
       appIdentityKeyStore.jks password
       appIdentity1 password
       ASERVER_HOME/certs/SOAHOST1.example.com_cert.pem 
       ASERVER_HOME/certs/SOAHOST1.example.com_key.pem
     
  2. プライマリおよびスタンバイ・サイトのすべてのホストについて前述の手順を繰り返します。

4.3.2.3 トラスト・キー・ストアの作成

トラスト・キー・ストアを作成し、keytoolユーティリティを使用して証明書をインポートします。

トラスト・キー・ストアを作成し、証明書をそこにインポートするには、次の手順を実行します。

  1. 標準のjavaキー・ストアには必要なほとんどのルートCA証明書がすでに含まれているため、これをコピーして、新しいトラスト・キー・ストアを作成します。標準のJavaトラスト・キー・ストアを直接変更することはお薦めしません。

    次の例に示すように、WL_HOME/server/libディレクトリにある標準のJavaキー・ストアのCA証明書を、証明書のあるディレクトリにコピーします。

    cp $WL_HOME/server/lib/cacerts 
       $home/user_projects/domains/SOADomain/certs/appTrustKeyStore.jks
    
  2. 標準のJavaキー・ストアのデフォルトのパスワードはchangeitです。keytoolユーティリティを使用して、デフォルト・パスワードを変更することをお薦めします。
    keytool 
      -storepasswd 
      -new NewPassword 
      -keystore TrustKeyStore 
      -storepass OriginalPassword
    

    次の例は、このユーティリティの使用方法を示したものです。

    keytool 
      -storepasswd 
      -new passwrd 
      -keystore home//user_projects/domains/SOADomain/certs/appTrustKeyStore.jks 
      -storepass changeit
    
  3. このCA証明書(CertGenCA.der)は、utils.CertGenツールで生成するすべての証明書の署名に使用され、WL_HOME/server/libディレクトリに存在しています。keytoolユーティリティを使用してCA証明書をappTrustKeyStoreにインポートします。
    keytool 
      -import 
      -v 
      -noprompt 
      -trustcacerts 
      -alias AliasName 
      -file CA_file_location 
      -keystore key_store_location 
      -storepass key_store_password
    

    次の例は、このユーティリティを使用して証明書をインポートする方法を示したものです。

    keytool 
      -import 
      -v 
      -noprompt 
      -trustcacerts 
      -alias clientCACert 
      -file $WL_HOME/server/lib/CertGenCA.der 
      -keystore appTrust.jks 
      -storepass password
    

4.3.3 スタンバイ・サイトの設定の検証

スタンバイ・サイトを検証します。

スタンバイ・サイトを検証するには、次の手順を実行します。

  1. 本番サイトで実行中のプロセスを停止します。これらには、データ層のデータベース・インスタンス、Oracle Fusion Middlewareインスタンスおよびアプリケーション層とWeb層のその他のプロセスが含まれます。
  2. 本番サイトの共有ストレージとスタンバイ・サイトの共有ストレージ間のレプリケーションを停止します。
  3. スイッチバック操作を実行します。スイッチバックは、スイッチオーバー操作の後にデータベースのロールを元の状態に戻す操作です。
  4. スタンバイ・サイトのホストで、すべてのプロセスを手動で開始します。これらには、データ層のデータベース・インスタンス、Oracle Fusion Middlewareインスタンスおよびアプリケーション層とWeb層のその他のプロセスが含まれます。
  5. ブラウザ・クライアントを使用してフェイルオーバー後のテストを実行し、リクエストが解決されてスタンバイ・サイトにリダイレクトされていることを確認します。

4.4 非対称スタンバイ・サイトの作成

非対称Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジを作成する方法について説明します。

非対称トポロジは、本番サイトとスタンバイ・サイトで異なる障害時リカバリ構成です。障害時リカバリのほとんどの非対称トポロジでは、スタンバイ・サイトと本番サイトの相違点は、スタンバイ・サイトのリソースの数が本番サイトより少ないという点です。

このドキュメントの前述の章で対称トポロジの設定方法を確認してください。対称トポロジの設定に使用する概念の多くは、非対称トポロジを設定する際にも有効です。

この項には次のトピックがあります。

4.4.1 非対称スタンバイ・サイトの作成

Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジの非対称スタンバイ・サイトを作成します。

本番サイトは、図4-2に示されているOracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメントとして想定します。非対称スタンバイ・サイトは本番サイトと異なるものになります。

非対称スタンバイ・サイトを作成するには、次の手順を実行します。

  1. 本番サイトとスタンバイ・サイトを設計します。スタンバイ・サイトが本番ロールを引き継いだときに許容されるパフォーマンスを確保できるように、スタンバイ・サイトで必要となるリソースを特定してください。

    注意:

    スタンバイ・サイト・インスタンスのポートでは、本番サイトのピア・インスタンスと同じポート番号を使用する必要があります。そのため、スタンバイ・サイトで必要となるすべてのポート番号が使用可能である(スタンバイ・サイトで使用中でない)ことを確認してください。

  2. 次の操作を実行して、Oracle Fusion Middleware障害時リカバリの本番サイトを作成します。

    1. 本番サイトの共有ストレージ・システムで、本番サイト用にインストールするOracle Fusion Middlewareインスタンスのボリュームを作成します。「ディレクトリ構造とボリュームの設計」を参照してください。

    2. 本番サイトの共有ストレージ・システムのボリュームにインストールされるOracle Fusion Middlewareインスタンスに対して、Oracleホーム・ディレクトリへのマウント・ポイントとシンボリック・リンクを本番サイトのホスト上に作成します。ただしシンボリック・リンクが必要なのは、複数のボリューム間で、一貫したレプリケーションがストレージ・システムで保証されていない場合のみです。

      シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。

      ボリューム設計の詳細は、「Oracle SOA Suiteに推奨されるボリューム設計」を参照してください。

    3. 本番サイトの共有ストレージ・システムのボリュームにインストールされるOracle Fusion Middlewareインスタンスに対して、Oracle中央インベントリ・ディレクトリへのマウント・ポイントとシンボリック・リンクを本番サイトのホスト上に作成します。ただしシンボリック・リンクが必要なのは、複数のボリューム間で、一貫したレプリケーションがストレージ・システムで保証されていない場合のみです。

      シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。

      Oracle中央インベントリ・ディレクトリの詳細は、「OracleホームとOracleインベントリ」を参照してください。

    4. 本番サイトの共有ストレージ・システムのボリュームにインストールされるOracle HTTP Serverインスタンスに対して、静的HTMLページ・ディレクトリへのマウント・ポイントとシンボリック・リンクを本番サイトのホスト上に作成します(該当する場合)。ただしシンボリック・リンクが必要なのは、複数のボリューム間で、一貫したレプリケーションがストレージ・システムで保証されていない場合のみです。

      シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。

    5. 本番サイトの共有ストレージ・システムのボリュームに、本番サイト用のOracle Fusion Middlewareインスタンスをインストールします。「Oracle SOA Suiteトポロジの本番サイトの作成」を参照してください。

  3. スタンバイ・サイトの共有ストレージ・システムでも、本番サイトの共有ストレージ・システムでOracle Fusion Middlewareインスタンスに対して作成したのと同じボリュームを、同じファイル権限とディレクトリ権限で作成します。この手順は重要です。これにより、後からストレージ・レプリケーションを使用してスタンバイ・サイト用にOracle Fusion Middlewareのピア・インスタンスのインストールを作成できるようになり、Oracle Universal Installerを使用したインストールが不要になるからです。

    注意:

    ストレージ・レプリケーションを構成する際には、本番サイトの共有ストレージ・システムで設定したすべてのボリュームがスタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム上の同じボリュームにレプリケートされるようにしてください。

    本番サイトの一部のインスタンスやホストがスタンバイ・サイトに存在しない場合でも、本番サイトのOracle Fusion Middlewareインスタンスに対して設定したすべてのボリュームでストレージ・レプリケーションを構成する必要があります。

  4. 共有ストレージを構成して、本番サイトの共有ストレージ・システムとスタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム間のストレージ・レプリケーションを有効にします。本番サイトの共有ストレージ・システムのボリュームをスタンバイ・サイトの共有ストレージ・システムに非同期でコピーするように、ストレージ・レプリケーションを構成してください。

  5. 本番サイトの共有ストレージ・システムの初期のベースライン・スナップショット・コピーを作成して、本番サイトとスタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム間のレプリケーションを設定します。初期のベースライン・スナップショット・コピーおよび以降のスナップショット・コピーを作成する際には、非同期レプリケーション・モードを使用してください。ベースライン・スナップショット・コピーを実行した後、スタンバイ・サイトのボリュームのすべてのディレクトリの内容が本番サイトのボリュームのディレクトリと同じであることを検証します。初期のスナップショットを作成する方法、および本番サイトとスタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム間のストレージ・レプリケーションを有効にする方法の詳細は、共有ストレージ・ベンダーのドキュメントを参照してください。

  6. ベースライン・スナップショットを作成したら、スタンバイ・サイトのホストでOracle Fusion Middlewareインスタンスについて次の手順を実行します。

    1. スタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム上のOracle Fusion Middlewareインスタンスに対して、Oracleホーム・ディレクトリへのマウント・ポイント・ディレクトリをスタンバイ・サイトのホスト上に設定します。スタンバイ・サイトのホスト上のピア・インスタンスに対して設定するマウント・ポイント・ディレクトリは、そのインスタンスに対して本番サイトのホスト上に設定したマウント・ポイント・ディレクトリと同じである必要があります。

    2. スタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム上のOracle Fusion Middlewareインスタンスに対して、Oracleホーム・ディレクトリへのシンボリック・リンクをスタンバイ・サイトのホスト上に設定します。ただしシンボリック・リンクが必要なのは、複数のボリューム間で、一貫したレプリケーションがストレージ・システムで保証されていない場合のみです。

      シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。スタンバイ・サイトのホスト上のピア・インスタンスに対して設定するシンボリック・リンクは、そのインスタンスに対して本番サイトのホスト上に設定したシンボリック・リンクと同じである必要があります。

    3. スタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム上のOracle Fusion Middlewareインスタンスに対して、Oracle中央インベントリ・ディレクトリへのマウント・ポイント・ディレクトリをスタンバイ・サイトのホスト上に設定します。スタンバイ・サイトのホスト上のピア・インスタンスに対して設定するマウント・ポイント・ディレクトリは、そのインスタンスに対して本番サイトのホスト上に設定したマウント・ポイント・ディレクトリと同じである必要があります。

    4. スタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム上のOracle Fusion Middlewareインスタンスに対して、Oracle中央インベントリ・ディレクトリへのシンボリック・リンクをスタンバイ・サイトのホスト上に設定します。ただしシンボリック・リンクが必要なのは、複数のボリューム間で、一貫したレプリケーションがストレージ・システムで保証されていない場合のみです。

      シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。スタンバイ・サイトのホスト上のピア・インスタンスに対して設定するシンボリック・リンクは、そのインスタンスに対して本番サイトのホスト上に設定したシンボリック・リンクと同じである必要があります。

    5. スタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム上のOracle HTTP Serverインスタンスに対して、Oracle HTTP Serverの静的HTMLページ・ディレクトリへのマウント・ポイント・ディレクトリをスタンバイ・サイトのホスト上に設定します。スタンバイ・サイトのホスト上のピア・インスタンスに対して設定するマウント・ポイント・ディレクトリは、そのインスタンスに対して本番サイトのホスト上に設定したマウント・ポイント・ディレクトリと同じである必要があります。

    6. スタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム上のOracle HTTP Serverインスタンスに対して、Oracle HTTP Serverの静的HTMLページ・ディレクトリへのシンボリック・リンクをスタンバイ・サイトのホスト上に設定します。シンボリック・リンクは、ストレージ・システムによって複数のボリューム間で一貫性のあるレプリケーションが保証されない場合にのみ必要です。シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。スタンバイ・サイトのホスト上のピア・インスタンスに対して設定するシンボリック・リンクは、そのインスタンスに対して本番サイトのホスト上に設定したシンボリック・リンクと同じである必要があります。

この時点で、本番サイトのOracle Fusion Middlewareインスタンスのインストールがスタンバイ・サイトにレプリケートされています。スタンバイ・サイトは、次のすべての項目に該当する状態となります。

  • Oracle Fusion Middlewareインスタンスは、本番サイトと同じボリューム上の同じOracleホーム・ディレクトリにインストールされています。また、ホストでは、Oracleホーム・ディレクトリに対して本番サイトと同じマウント・ポイント・ディレクトリおよびシンボリック・リンクが使用されています。シンボリック・リンクは、ストレージ・システムによって複数のボリューム間で一貫性のあるレプリケーションが保証されない場合にのみ必要です。シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。

  • Oracle中央インベントリ・ディレクトリは、本番サイトと同じボリューム上の同じディレクトリにあります。また、ホストでは、Oracle中央インベントリ・ディレクトリに対して本番サイトと同じマウント・ポイント・ディレクトリおよびシンボリック・リンクが使用されています。シンボリック・リンクは、ストレージ・システムによって複数のボリューム間で一貫性のあるレプリケーションが保証されない場合にのみ必要です。シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。

  • Oracle HTTP Serverの静的HTMLページ・ディレクトリは、本番サイトと同じボリューム上の同じディレクトリにあります。また、ホストでは、Oracle HTTP Serverの静的HTMLページ・ディレクトリに対して本番サイトと同じマウント・ポイント・ディレクトリおよびシンボリック・リンクが使用されています。シンボリック・リンクは、ストレージ・システムによって複数のボリューム間で一貫性のあるレプリケーションが保証されない場合にのみ必要です。シンボリック・リンクの詳細は、「ストレージ・レプリケーション」を参照してください。

  • スタンバイ・サイトのOracle Fusion Middlewareインスタンスには、本番サイトの同じインスタンスに使用されているものと同じポートが使用されています。

ホストおよびインスタンスの数が少ない非対称スタンバイ・サイトを作成するには、次のトピックを参照してください。

4.4.1.1 ホストおよびインスタンスの数が少ない非対称スタンバイ・サイトの作成

ホストおよびOracle Fusion Middlewareインスタンスの数が本番サイトより少ない非対称スタンバイ・サイトを作成します。

このOracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジの本番サイトは、図4-2に示されているOracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメントとして想定します。「サイトの設定」から「ディレクトリ構造とボリュームの設計」では、この本番サイトと共有ストレージ・システムのボリュームを設定する方法および必要なマウント・ポイントの作成方法について説明しています。

図4-4に、図4-2に示されている本番サイトの非対称スタンバイ・サイトを示します。

図4-4 ホストおよびインスタンスの数が少ない非対称スタンバイ・サイト

図4-4の説明が続きます
「図4-4 ホストおよびインスタンスの数が少ない非対称スタンバイ・サイト」の説明

図4-4に示されているOracle SOA Suiteの非対称スタンバイ・サイトのホストおよびインスタンスの数は、図4-2に示されているOracle SOA Suiteの本番サイトより少なくなっています。

図4-2の本番サイトには、ホストWEBHOST2およびSOAHOST2とこれらのホスト上のインスタンスが存在しますが、図4-4の非対称スタンバイ・サイトには、これらのホストとそのインスタンスが存在しません。そのため、スタンバイ・サイトのホストおよびインスタンスの数は、本番サイトより少なくなっています。

この非対称スタンバイ・サイトには、本番ロールを引き継いだときに適切なパフォーマンスを提供できるように、十分なリソースを確保することが重要です。

「非対称スタンバイ・サイトの作成」に記載されている手順に従って、この非対称スタンバイ・サイトを設定すれば、スタンバイ・サイトは本番ロールを引き継ぐように適切に構成されます。

非対称スタンバイ・サイトを正しく設定するには、本番サイトの共有ストレージで作成したものと同じボリュームおよびコンシステンシー・グループをスタンバイ・サイトの共有ストレージで作成します。たとえば、Oracle SOA Suiteデプロイメントについて、表4-1のボリューム設計に関する推奨事項と表4-2のコンシステンシー・グループに関する推奨事項を使用して、本番サイトの共有ストレージを設定したとします。その場合、本番サイトの共有ストレージに使用したものと同じボリューム設計に関する推奨事項とコンシステンシー・グループに関する推奨事項を使用して、非対称スタンバイ・サイトの共有ストレージを設定します。

非対称スタンバイ・サイトでは、本番サイトに存在する一部のホストがスタンバイ・サイトに存在しません。たとえば、図4-4に示されているOracle SOA Suiteの非対称スタンバイ・サイトでは、WEBHOST2とSOAHOST2が存在しないため、スタンバイ・サイトの共有ストレージ・ボリュームに対してこれらのホスト上にマウント・ポイントを作成することはできず、作成する必要はありません。

4.4.2 非対称スタンバイ・サイトの設定の検証

スタンバイ・サイトを検証します。

スタンバイ・サイトを検証するには、次の手順を実行します。

  1. 本番サイトで実行中のプロセスを停止します。これらには、データ層のデータベース・インスタンス、Oracle Fusion Middlewareインスタンスおよびアプリケーション層とWeb層のその他のプロセスが含まれます。
  2. 本番サイトの共有ストレージとスタンバイ・サイトの共有ストレージ間のレプリケーションを停止します。
  3. Oracle Data Guardを使用して、データベースをスイッチオーバーします。
  4. スタンバイ・サイトのホストで、すべてのプロセスを手動で開始します。これらには、Oracle Fusion Middlewareインスタンスおよびアプリケーション層とWeb層のその他のプロセスが含まれます。
  5. ブラウザ・クライアントを使用してフェイルオーバー後のテストを実行し、リクエストが解決されてスタンバイ・サイトにリダイレクトされていることを確認します。

4.5 サイトの操作および管理の実行

Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジを操作および管理する方法を確認します。

この項には次のトピックが含まれます:

4.5.1 本番サイトおよびスタンバイ・サイトの同期化

本番サイトで中間層の変更を導入した場合に、本番サイトとスタンバイ・サイトの同期化を強制的に実行する方法を確認します。

通常の操作では、スタンバイ・サイトの共有ストレージは、本番サイトの共有ストレージから定期的に転送されるスナップショットを受け取ります。スナップショットが適用されると、フェイルオーバーまたはスイッチオーバーの前に本番サイトから最後に転送されたスナップショットに含まれていたデータまでのすべてのデータがスタンバイ・サイトの共有ストレージに復元されます。

本番サイトで中間層の変更を導入した場合(本番サイトに新しいアプリケーションをデプロイした場合など)、同期化を強制的に実行します。ストレージ・レプリケーション・テクノロジを使用して同期化を強制的に実行するには、ベンダー固有の手順に従ってください。

Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジでのデータベースの同期化は、Oracle Data Guardによって管理されます。

4.5.2 スイッチオーバーの実行

スイッチオーバー操作は、スタンバイ・サイトを本番ロールとして設定します。

本番サイトを停止したり(メンテナンスを実行する場合など)、現在のスタンバイ・サイトを本番サイトにすることを計画している場合に、この操作が必要になります。

スイッチオーバー操作を実行するには、次の手順を実行します。

  1. 本番サイトで実行中のプロセスを停止します。これらには、データ層のデータベース・インスタンス、Oracle Fusion Middlewareインスタンスおよびアプリケーション層とWeb層のその他のプロセスが含まれます。
  2. 本番サイトの共有ストレージとスタンバイ・サイトの共有ストレージ間のレプリケーションを停止します。
  3. 中間層のアーティファクトがある共有ストレージ・ボリュームをアンマウントし、現在の本番サイトで、新しい本番サイトとなる現在のスタンバイ・サイト上の対応するボリュームをマウントします。
  4. Oracle Data Guardを使用して、データベースをスイッチオーバーします。
  5. スタンバイ・サイトのホストで、すべてのプロセスを手動で開始します。これらには、データ層のデータベース・インスタンス、Oracle Fusion Middlewareインスタンスおよびアプリケーション層とWeb層のその他のプロセスが含まれます。
  6. グローバルDNSプッシュ、またはそれに類似する機能(グローバル・ロード・バランサの更新など)を実行して、すべてのユーザー・リクエストがスタンバイ・サイトにルーティングされるようにします。
  7. ブラウザ・クライアントを使用してスイッチオーバー後のテストを実行し、リクエストが解決されてスタンバイ・サイトにリダイレクトされていることを確認します。

    これで、元のスタンバイ・サイトが新しい本番サイトになり、元の本番サイトが新しいスタンバイ・サイトになりました。

  8. 2つのサイト間のレプリケーションを再確立します。ただし、スナップショット・コピーが逆方向に(現在の本番サイトから現在のスタンバイ・サイトへ)転送されるようにレプリケーションを構成してください。スナップショット・コピーが逆方向に転送されるようにレプリケーションを構成する方法の詳細は、ご使用の共有ストレージのドキュメントを参照してください。

これで、前のスタンバイ・サイトが新しい本番サイトになり、元の本番サイトでメンテナンスを実行できるようになりました。元の本番サイトでメンテナンスを実行した後、将来、そのサイトを本番サイトとしてもスタンバイ・サイトとしても使用できます。

注意:

この注意事項はBI固有のシステムにのみ適用されます。

スイッチオーバー操作後、CDSでEssbaseキューブを作成すると、次のようなエラーで失敗する可能性があります。

oracle.essbase.cds.util.CDSException: oracle.essbase.cds.util.CDSException: java.sql.SQLException: ORA-25153:

この問題を回避してEssbaseキューブを作成するには、現在のプライマリ・データベースで次のようにします。
  • 次のようなselect文を使用して一時表領域を指定します(ここで、BIS17V1はOracle Business Intelligence RCU接頭辞です)。

    select username,temporary_tablespace from dba_users where username like 'BIS17V1%'

    前述のコマンドを実行すると、次のような一時表領域のリストが返されます。

    USERNAME.....TEMPORARY_TABLESPACE

    BIS17V1_IAU_VIEWER.....BIS17V1_IAS_TEMP

    BIS17V1_STB.....BIS17V1_IAS_TEMP     

    BIS17V1_IAU_APPEND.....BIS17V1_IAS_TEMP

    BIS17V1_MDS.....BIS17V1_IAS_TEMP

    BIS17V1_IAU.....BIS17V1_IAS_TEMP

    BIS17V1_BIPLATFORM......BIS17V1_IAS_TEMP

    BIS17V1_OPSS.....BIS17V1_IAS_TEMP

  • スイッチオーバー後、内容およびデータファイルも含め、表領域BIS17V1_IAS_TEMPが削除されます。

  • 一時表領域BIS17V1_IAS_TEMPを一時ファイルとして、/work/primy/oradata/stnby/BIS17V1_IAS_TEMP.dbfの場所(例)に250MBのサイズで作成します。

  • 次のように、(一時表領域のリストを使用する場所で)alterコマンドを発行します。

    alter user BIS17V1_OPSS temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_BIPLATFORM temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_IAU temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_MDS temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_IAU_APPEND temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_STB temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_IAU_VIEWER temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

元の本番サイトを本番サイトとして使用するには、「スイッチバックの実行」の説明に従って、スイッチバックを実行します。

4.5.3 スイッチバックの実行

スイッチバック操作は、現在の本番サイトとスタンバイ・サイトのロールを元に戻します。

スイッチバック操作を実行するには、次の手順を実行します。

  1. 現在の本番サイトで実行中のプロセスを停止します。これらには、データ層のデータベース・インスタンス、Oracle Fusion Middlewareインスタンスおよびアプリケーション層とWeb層のその他のプロセスが含まれます。
  2. 現在の本番サイトの共有ストレージとスタンバイ・サイトの共有ストレージ間のレプリケーションを停止します。
  3. 中間層のアーティファクトがある共有ストレージ・ボリュームをアンマウントし、現在の本番サイトで、新しい本番サイトとなる現在のスタンバイ・サイト上の対応するボリュームをマウントします。
  4. Oracle Data Guardを使用して、データベースをスイッチバックします。
  5. 新しい本番サイトのホストで、すべてのプロセスを手動で開始します。これらには、Oracle Fusion Middlewareインスタンスおよびアプリケーション層とWeb層のその他のプロセスが含まれます。
  6. グローバルDNSプッシュ、またはそれに類似する機能(グローバル・ロード・バランサの更新など)を実行して、すべてのユーザー・リクエストが新しい本番サイトにルーティングされるようにします。
  7. ブラウザ・クライアントを使用してスイッチバック後のテストを実行し、リクエストが解決されて新しい本番サイトにリダイレクトされていることを確認します。

    これで、元のスタンバイ・サイトが新しい本番サイトになり、元の本番サイトが新しいスタンバイ・サイトになりました。

  8. 2つのサイト間のレプリケーションを再確立します。ただし、スナップショット・コピーが逆方向に(新しい本番サイトから新しいスタンバイ・サイトへ)転送されるようにレプリケーションを構成してください。スナップショット・コピーが逆方向に転送されるようにレプリケーションを構成する方法の詳細は、ご使用の共有ストレージのドキュメントを参照してください。

4.5.4 フェイルオーバーの実行

フェイルオーバー操作は、本番サイトが使用できなくなった場合に、スタンバイ・サイトを本番ロールとして設定します。

フェイルオーバー操作を実行するには、次の手順を実行します。

  1. 本番サイトの共有ストレージとスタンバイ・サイトの共有ストレージ間のレプリケーションを停止します。
  2. 新しい本番サイトとなる現在のスタンバイ・サイトで、中間層のアーティファクトがある共有ストレージ・ボリュームをマウントします。
  3. スタンバイ・サイトから、Oracle Data Guardを使用して、データベースをフェイルオーバーします。
  4. スタンバイ・サイトのホストで、すべてのプロセスを手動で開始します。これらには、Oracle Fusion Middlewareインスタンスおよびアプリケーション層とWeb層のその他のプロセスが含まれます。
  5. グローバルDNSプッシュ、またはそれに類似する機能(グローバル・ロード・バランサの更新など)を実行して、すべてのユーザー・リクエストがスタンバイ・サイトにルーティングされるようにします。
  6. ブラウザ・クライアントを使用してフェイルオーバー後のテストを実行し、リクエストが解決されて本番サイトにリダイレクトされていることを確認します。

    これで、スタンバイ・サイトが新しい本番サイトになりました。元の本番サイトが使用できなくなった原因を調べることができます。

  7. 元の本番サイトを現在のスタンバイ・サイトとして使用するには、2つのサイト間のレプリケーションを再確立する必要があります。ただし、スナップショット・コピーが逆方向に(現在の本番サイトから現在のスタンバイ・サイトへ)転送されるようにレプリケーションを構成してください。スナップショット・コピーが逆方向に転送されるようにレプリケーションを構成する方法の詳細は、ご使用の共有ストレージのドキュメントを参照してください。

注意:

フェイルオーバー操作後、CDSでEssbaseキューブを作成すると、次のようなエラーで失敗する可能性があります。

oracle.essbase.cds.util.CDSException: oracle.essbase.cds.util.CDSException: java.sql.SQLException: ORA-25153:

この問題を回避してEssbaseキューブを作成するには、現在のプライマリ・データベースで次のようにします。
  • 次のようなselect文を使用して一時表領域を指定します(ここで、BIS17V1はOracle Business Intelligence RCU接頭辞です)。

    select username,temporary_tablespace from dba_users where username like 'BIS17V1%'

    前述のコマンドを実行すると、次のような一時表領域のリストが返されます。

    USERNAME.....TEMPORARY_TABLESPACE

    BIS17V1_IAU_VIEWER.....BIS17V1_IAS_TEMP

    BIS17V1_STB.....BIS17V1_IAS_TEMP     

    BIS17V1_IAU_APPEND.....BIS17V1_IAS_TEMP

    BIS17V1_MDS.....BIS17V1_IAS_TEMP

    BIS17V1_IAU.....BIS17V1_IAS_TEMP

    BIS17V1_BIPLATFORM......BIS17V1_IAS_TEMP

    BIS17V1_OPSS.....BIS17V1_IAS_TEMP

  • フェイルオーバー後、内容およびデータファイルも含め、表領域BIS17V1_IAS_TEMPが削除されます。

  • 一時表領域BIS17V1_IAS_TEMPを一時ファイルとして、/work/primy/oradata/stnby/BIS17V1_IAS_TEMP.dbfの場所(例)に250MBのサイズで作成します。

  • 次のように、(一時表領域のリストを使用する場所で)alterコマンドを発行します。

    alter user BIS17V1_OPSS temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_BIPLATFORM temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_IAU temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_MDS temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_IAU_APPEND temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_STB temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

    alter user BIS17V1_IAU_VIEWER temporary tablespace  BIS17V1_IAS_TEMP ;

元の本番サイトを本番サイトとして再度使用するには、「スイッチバックの実行」の説明に従って、スイッチバックを実行します。

4.5.5 スタンバイ・サイトのテスト

スタンバイ・サイトの読取り専用共有ストレージのクローンを作成し、これを使用してスタンバイ・サイトをテストする方法を確認します。

通常のOracle Fusion Middleware障害時リカバリ構成では、次のものを使用します。

  • ストレージ・レプリケーション。これを使用して、本番サイトの共有ストレージからスタンバイ・サイトの共有ストレージにOracle Fusion Middlewareの中間層のファイル・システムおよびデータをコピーします。通常の操作時には、本番サイトはアクティブで、スタンバイ・サイトはパッシブです。本番サイトがアクティブな場合、スタンバイ・サイトはパッシブで、スタンバイ・サイトの共有ストレージは読取り専用モードです。スタンバイ・サイトの共有ストレージに対して行われる書込み操作は、本番サイトの共有ストレージからスタンバイ・サイトの共有ストレージへのストレージ・レプリケーション操作のみです。

  • Oracle Data Guard。これを使用して本番サイトのOracle Databaseのデータベース・データをスタンバイ・サイトのスタンバイ・データベースにコピーします。デフォルトでは、本番サイトのデータベースはアクティブで、スタンバイ・サイトのスタンバイ・データベースはパッシブです。スタンバイ・サイトがスタンバイ・ロールの間(パッシブである間)、スタンバイ・サイトのスタンバイ・データベースは管理リカバリ・モードです。本番サイトがアクティブな場合、スタンバイ・データベースに対して行われる書込み操作は、Oracle Data Guardによって実行されるデータベースの同期操作のみです。

  • スタンバイ・サイト。本番サイトが使用できなくなった場合に、これを本番ロールとして使用します。現在の本番サイトが予期せず使用できなくなった場合は、フェイルオーバー操作(「フェイルオーバーの実行」を参照)を実行して、本番ロールを引き継ぐようにスタンバイ・サイトを有効にします。また、現在の本番サイトを意図的に停止する場合は(予定したメンテナンスの場合など)、スイッチオーバー操作(「スイッチオーバーの実行」を参照)を実行して、本番ロールを引き継ぐようにスタンバイ・サイトを有効にします。

通常の方法でスタンバイ・サイトをテストする場合は、現在の本番サイトを停止し、スイッチオーバー操作を実行して、本番ロールを引き継ぐようにスタンバイ・サイトを有効にします。ただし、企業では、現在の本番サイトを停止してスイッチオーバー操作を実行することなく、障害時リカバリのスタンバイ・サイトの定期テストを実行することもできます。

スタンバイ・サイトをテストする別の方法では、スタンバイ・サイトの読取り専用共有ストレージのクローンを作成し、クローニングされたスタンバイ・サイト共有ストレージをテストで使用します。

この代替テスト方法を使用するには、次の手順を実行します。

  1. 共有ストレージ・ベンダーが提供しているクローニング・テクノロジを使用して、スタンバイ・サイトの共有ストレージでスタンバイ・サイトの読取り専用ボリュームのクローンを作成します。クローニングされたスタンバイ・サイトのボリュームが書込み可能であることを確認します。スタンバイ・サイトを1回のみテストする場合、これは1回かぎりのクローン操作にできます。ただし、スタンバイ・サイトを定期的にテストする場合は、スタンバイ・サイトの読取り専用ボリュームの、スタンバイ・サイトの読取り/書込みクローン・ボリュームへの定期的クローニングを設定できます。

  2. スタンバイ・サイトのデータベースのバックアップを実行し、本番サイトとスタンバイ・サイトのデータベース間のOracle Data Guardレプリケーションを変更します。

    • 10.2以降のデータベースについては、次の手順に従って、スナップショット・スタンバイ・データベースを確立します。

      1. フラッシュ・リカバリ領域がない場合は、設定します。

      2. REDO適用を取り消します。

        SQL> ALTER DATABASE RECOVER MANAGED STANDBY
             DATABASE CANCEL;
        
      3. 保証付きリストア・ポイントを作成します。

        SQL> CREATE RESTORE POINT standbytest
             GUARANTEE FLASHBACK DATABASE;
        
      4. プライマリ(本番)サイトで現在のログをアーカイブします。

        SQL> ALTER SYSTEM ARCHIVE LOG CURRENT;
        
      5. アクティブ化するスタンバイ・サイト接続先を遅延させます。

        SQL> ALTER SYSTEM SET
             LOG_ARCHIVE_DEST_STATE_2=DEFER;
        
      6. ターゲット・スタンバイ・データベースをアクティブ化します。

        SQL> ALTER DATABASE ACTIVATE STANDBY DATABASE;
        
      7. データベースが読取り専用で開いている場合、Forceオプションを指定してデータベースをマウントします。

        SQL> STARTUP MOUNT FORCE;
        
      8. 保護モードを下げて、データベースを開きます。

        SQL> ALTER DATABASE SET STANDBY DATABASE TO 
             MAXIMIZE PERFORMANCE;
        SQL> ALTER DATABASE OPEN;
        
  3. Oracle Data Guardのデータベース・リカバリ手順に従って、スタンバイ・データベースをオンラインにします。

  4. スタンバイ・サイトのコンピュータで、次の手順に従って、スタンバイ・サイトのクローニングされた読取り/書込み共有ストレージ・ボリュームを指すようにmountコマンドを変更します。

    1. 読取り専用の共有ストレージ・ボリュームをアンマウントします。

    2. クローニングされた読取り/書込みボリュームを同じマウント・ポイントでマウントします。

  5. スタンバイ・サイトをテストする前に、ホスト名が本番サイトのコンピュータではなくスタンバイ・サイトのコンピュータを指すように、テストの実行に使用するコンピュータのホスト名解決方法を変更します。たとえば、Linuxコンピュータの場合、スタンバイ・サイトのロード・バランサの仮想IPを指すように/etc/hostsファイルを変更します。

  6. スタンバイ・サイトのテストを実行します。

スタンバイ・サイトのテストが完了したら、次の手順に従って、元の本番サイトを本番サイトとして再度使用します。

  1. スタンバイ・サイトの読取り専用共有ストレージ上のボリュームを指すようにスタンバイ・サイト・コンピュータのmountコマンドを変更します。つまり、mountコマンドを、テストを実行する前の状態にリセットします。

    1. クローニングされた共有ストレージの読取り/書込みボリュームをアンマウントします。

    2. 読取り専用の共有ストレージ・ボリュームをマウントします。

    これで、mountコマンドがスタンバイ・サイトのテストを実行する前の状態にリセットされました。

  2. 本番サイトのデータベースとスタンバイ・サイトのスタンバイ・データベース間のレプリケーションを実行するように、Oracle Data Guardを構成します。この構成を実行すると、スタンバイ・データベースは再度、管理リカバリ・モードに設定されます。

    • Oracle Database 10.2以降については、次の手順に従います。

      1. アクティブ化したデータベースをフィジカル・スタンバイ・データベースに戻します。

        SQL> STARTUP MOUNT FORCE;
        SQL> FLASHBACK DATABASE TO POINT standbytest;
        SQL> ALTER DATABASE CONVERT TO PHYSICAL STANDBY;
        SQL> STARTUP MOUNT FORCE;
        
      2. 管理リカバリを再開します。

        SQL> ALTER DATABASE RECOVER MANAGED STANDBY
             DATABASE USING CURRENT LOGFILE DISCONNECT;
        
      3. スタンバイ接続先を再度有効にし、ログを切り替えます。

        SQL> ALTER SYSTEM SET
             LOG ARCHIVE DEST STATE 2=ENABLE;
        
    • Oracle Database 12cの場合、フィジカルおよびスナップショット・スタンバイ・データベースの管理に関する項の手順に従って、レプリケーションを再度設定します。

  3. 元の本番サイトを再度使用する前に、ホスト名がスタンバイ・サイトのコンピュータではなく本番サイトのコンピュータを指すように、本番サイトへのアクセスに使用するコンピュータのホスト名解決方法を変更します。たとえば、Linuxコンピュータの場合、本番サイトのロード・バランサの仮想IPを指すように/etc/hostsファイルを変更します。

4.5.6 テストでのピアツーピアのファイル・コピーの使用

テスト環境でユーティリティrsyncを使用して、Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジの本番サイトのホストからスタンバイ・サイトのピア・ホストに中間層のファイル・システム・データをレプリケートします。

テスト環境で中間層のコンポーネントをレプリケートする代替方法は、rsyncユーティリティ(ピアツーピア・ファイル・コピーを使用)を使用して、Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジの本番サイトのホストからスタンバイ・サイトのピア・ホストに中間層のファイル・システム・データをレプリケートします。rsyncユーティリティの使用は、対称トポロジのコンテキストで説明されています。

Oracle Fusion Middlewareコンポーネントの障害保護と障害時リカバリの場合、ストレージ・レプリケーションの使用とrsyncユーティリティの使用には多数の類似点があるため、Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジにおけるOracle Data Guardでのストレージ・レプリケーションを確認してください。

注意:

ストレージ・レプリケーション・テクノロジの使用とrsyncユーティリティの使用の次の重要な相違点に注意して、中間層のファイル・システムをレプリケートしてください。

  • ストレージ・レプリケーションの使用時は、本番サイトで前のスナップショットが作成された時点まで変更をロールバックできます。

    rsyncユーティリティの使用時は、レプリケートされた本番サイトのデータによってスタンバイ・サイトのデータが上書きされるため、レプリケーションをロールバックすることはできません。

  • ストレージ・レプリケーションの使用時は、共有ストレージ・システムで各ホスト・クラスタについて設定したボリュームによって、本番サイトの共有ストレージ・システムとスタンバイ・サイトの共有ストレージ・システム間でそのホスト・クラスタのデータの整合性が保証されます。

    rsyncユーティリティの使用時は、データの整合性は保証されません。

これらの相違点があるため、rsyncユーティリティは本番環境ではサポートされておらず、テスト環境のみでサポートされています。

この項には次のトピックが含まれます:

4.5.6.1 Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジでのrsyncとOracle Data Guardの使用

Oracle Fusion Middleware障害時リカバリにおいてUNIX rsyncユーティリティおよびOracle Data Guardを使用する方法を確認します。

注意:

Oracle Database用のOracle Data Guardの設定方法の詳細は、「データベースに関する考慮事項」を参照してください。

次の項では、rsyncユーティリティおよびOracle Data Guardを使用して、Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・トポロジで本番サイトとスタンバイ・サイト間で保護および強制的に同期化を実行する方法について説明します。

4.5.6.1.1 Oracle Fusion Middleware中間層コンポーネントでのrsyncの使用

UNIX rsyncユーティリティを使用して、Oracle Fusion Middlewareの中間層コンポーネントを保護およびリカバリします。

rsyncユーティリティを使用するには、次の手順を実行します。

  1. 本番サイトのホストからスタンバイ・サイトのピア・ホストへのファイルのレプリケーションが有効になるように、rsyncをインストールおよび設定します。ユーティリティのインストール、設定および使用方法の詳細は、ユーティリティのmanページおよびhttp://rsync.samba.orgを参照してください。
  2. 1つ以上のOracle Fusion Middlewareコンポーネントがインストールされている本番サイトの各ホストについて、次のディレクトリおよびファイルをスタンバイ・サイトのピア・ホスト上の同じディレクトリおよびファイルにコピーするように、rsyncを設定します。
    • Oracleホーム・ディレクトリ、サブディレクトリ、およびそれらのディレクトリ内のすべてのファイル。

    • ホストのOracle中央インベントリ・ディレクトリおよびファイル(Oracle Fusion Middlewareインストール用のOracle Universal Installerエントリを含む)

    • ホスト上のOracle HTTP Serverインストール用のOracle Fusion Middlewareの静的HTMLページ・ディレクトリ(該当する場合)

    • Oracle Formsによってホスト上に作成された.fmbおよび.fmxデプロイメント・ファイルと、Oracle Reportsによってホスト上に作成された.rdfデプロイメント・アーティファクト・ファイル(該当する場合)。

      注意:

      rsyncユーティリティをrootとして実行します。ユーザーにパスワードの入力を求めるプロンプトを表示せずに機能するようにするには、SSHによってパスワードの入力を求めるプロンプトが表示されないように、本番サイトのホストとスタンバイ・サイトのホスト間にSSHキーを設定します。

  3. 前の手順でrsyncを設定した本番サイトのホストについて、cronジョブなどのスケジュール済ジョブを設定します。これらのスケジュール済ジョブを使用すると、rsyncによって、本番サイトのホストからスタンバイ・サイトのホストへのこれらのファイルのレプリケーションを定期的に自動実行できます。Oracle Fusion Middlewareの構成がそれほど頻繁に変更されない本番サイトについては、1日1回の間隔をお薦めします。
  4. 本番サイトのホストでOracle Fusion Middlewareの中間層の構成が変更された場合(新しいアプリケーションがデプロイされた場合など)は必ず、rsyncを使用して、スタンバイ・サイトのピア・ホストとそのホストの手動同期を実行します。
  5. rsyncを使用して本番サイトのホストのOracle Fusion Middleware中間層インスタンスをスタンバイ・サイトのピア・ホストと手動で同期化する場合は常に、Oracle Data Guardを使用して本番サイトのデータベース・リポジトリをスタンバイ・サイトのデータベースと同期化します。Oracle DatabaseとOracle Data Guardの同期化の詳細は、「手動によるデータベースの同期化」を参照してください。
4.5.6.1.2 フェイルオーバー操作およびスイッチオーバー操作の実行

rsyncユーティリティの使用時にフェイルオーバーまたはスイッチオーバー操作を実行する方法を確認します。

rsyncの使用時に、本番サイトからスタンバイ・サイトにフェイルオーバーまたはスイッチオーバーを実行するには、次の手順を実行します。

  1. 本番サイトで実行中のプロセスを停止します(該当する場合)。
  2. 本番サイトのホストとスタンバイ・サイトのピア・ホスト間のrsyncジョブを停止します。
  3. Oracle Data Guardを使用して、本番サイトのデータベースをスタンバイ・サイトにフェイルオーバーします。
  4. スタンバイ・サイトで、Oracle Fusion Middlewareサーバー・インスタンスのプロセスを手動で開始します。
  5. グローバルDNSプッシュ、またはそれに類似する機能(グローバル・ロード・バランサの更新など)を実行して、すべてのユーザー・リクエストをスタンバイ・サイトにルーティングします。
  6. ブラウザ・クライアントを使用してフェイルオーバー後またはスイッチオーバー後のテストを実行し、スタンバイ・サイト(現在の本番サイト)でリクエストが解決されていることを確認します。

    これで、スタンバイ・サイトが新しい本番サイトになり、本番サイトが新しいスタンバイ・サイトになりました。

  7. 2つのサイト間のrsyncを再確立します。ただし、逆方向に(現在の本番サイトから現在のスタンバイ・サイトへ)レプリケートされるようにレプリケーションを構成してください。

元の本番サイトを新しい本番サイトとして使用するには、前述の手順をもう一度実行します。ただし、元の方向で(元の本番サイトから元のスタンバイ・サイトへ)レプリケートされるようにrsyncレプリケーションを構成してください。

4.6 障害時リカバリのためのOracle Site Guardの使用

Oracle Site Guardは、2つの障害時リカバリ・サイト間のスイッチオーバーおよびフェイルオーバーを編成します。

Oracle Site Guardでは、次のことを行います。

  • 企業データの高可用性、データ保護および障害時リカバリを保証します。

  • スイッチオーバーやフェイルオーバーなどのOracle Site Guard操作を実行します。プライマリ・サイトが計画停止または計画外停止のため使用不可となった場合、スイッチオーバーまたはフェイルオーバー・プロセスはOracle Site Guardを使用して開始する必要があります。

Oracle Site Guardの使用方法の詳細は、Oracle Site Guard管理者ガイドを参照してください。

4.7 Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・サイトへのパッチの適用

Oracle Fusion Middlewareパッチ・セットを適用して、Oracle Fusion Middleware障害時リカバリ・サイトに含まれるOracleホームをアップグレードします。

パッチを適用するOracle Fusion MiddlewareインスタンスのOracle中央インベントリが本番サイトの共有ストレージに配置されていて、パッチが適用されたインスタンスのOracle中央インベントリをスタンバイ・サイトにレプリケートできるようになっていることを前提としています。

Oracle Fusion Middlewareのパッチを適用するには、次の手順を実行します。

  1. 開始時の状態が保持されるように、本番サイトのバックアップを実行します。
  2. パッチ・セットを適用して、本番サイトのインスタンスをアップグレードします。
  3. パッチ・セットを適用したら、本番サイトの共有ストレージとスタンバイ・サイトの共有ストレージを手動で強制的に同期させます。これによって、本番サイトのパッチが適用されたインスタンスとOracle中央インベントリがスタンバイ・サイトの共有ストレージにレプリケートされます。
  4. パッチ・セットを適用したら、Oracle Data Guardを使用して、本番サイトとスタンバイ・サイトのOracle Databaseを手動で強制的に同期させます。Oracle Fusion Middlewareの一部のパッチ・セットでは、リポジトリが更新される場合があるため、この手順を必ず実行して、本番サイトのデータベースの変更をスタンバイ・サイトのデータベースに同期させます。
  5. これでアップグレードは完了です。障害時リカバリ・トポロジで処理を再開できます。

注意:

パッチは、Oracle Fusion Middleware 12c障害時リカバリ・トポロジの本番サイトでのみ適用する必要があります。Oracle Fusion MiddlewareインスタンスまたはOracle中央インベントリのパッチの場合、本番サイトの共有ストレージがスタンバイ・サイトの共有ストレージにレプリケートされるときに、パッチがコピーされます。本番サイトでパッチをインストールした場合は、同期操作を実行する必要があります。

同様に、本番サイトのデータベースのパッチをインストールした場合、同期を実行すると、Oracle Data Guardによってスタンバイ・サイトのスタンバイ・データベースにパッチがコピーされます。