この章の内容は次のとおりです。
要求時スケーリングでは、必要に応じて、アクティブな動的クラスタから実行中の動的サーバー・インスタンスを手動で追加または削除できます。たとえば、動的クラスタ・メンバーの平均的なユーザー・リクエスト・バックログが上昇傾向で、処理容量増大の必要を示している場合、実行中の動的サーバー・インスタンスを動的クラスタに追加できます。ユーザー・リクエストのバックログが大幅に減少したら、アイドル状態の動的サーバー・インスタンスを停止できます。
実行時スケーリングを実行するには、動的クラスタを構成しておく必要があります。詳細は、『Oracle WebLogic Serverのクラスタの管理』の動的クラスタに関する項を参照してください。
WebLogic Server管理コンソール、Fusion Middleware ControlまたはWLSTを使用して、要求時スケーリングを実行できます(次の各項を参照)。
注意:
動的クラスタの実行時スケーリングを実行する前に、スケーリング操作がシステムの他の部分に対して逆効果にならないことを確認します。たとえば、スケール・アップの前に、JDBC接続プール・サイズとWork Managerパラメータを調整し、データベース容量の超過を回避することが必要になる場合があります。スケール・ダウン前には、動的サーバー・インスタンスが停止する前に、処理中の作業が完了することが可能であることを確認します。
WebLogic Server管理コンソールを使用して要求時スケーリングを実行する手順:
詳細は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプの動的クラスタの要求時スケーリングの実行を参照してください。
Fusion Middleware Controlを使用して実行時スケーリングを実行する手順:
Fusion Middleware Controlを使用したWebLogic Serverの管理の詳細は、『Fusion Middleware ControlによるOracle WebLogic Serverの管理』の「管理」を参照してください。
WLSTを使用して動的クラスタを手動でスケーリングする手順:
動的クラスタで実行中の動的クラスタの数を増やすには、scaleUp
コマンドを使用します。scaleUp
コマンドを使用し、また、updateConfiguration
引数を有効化すると、WLSTは指定された動的サーバー数によって動的クラスタの最大サイズを増やし、そのサーバー・インスタンスを起動します。
動的クラスタの最大サイズを減らすには、scaleDown
コマンドを使用します。scaleDown
コマンドを使用し、また、updateConfiguration
引数を有効化すると、WLSTは指定された数の実行中の動的サーバーを停止して、動的クラスタから削除します。
これらのコマンドの詳細は、WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンスのscaleUpおよびscaleDownを参照してください。
動的クラスタの拡張および縮小の詳細は、Oracle WebLogic Serverクラスタの管理の動的クラスタの拡張および縮小を参照してください。
例4-1は、WLSTを使用して、DynamicCluster
という名前の動的クラスタを、実行中の動的サーバー・インスタンス2つでスケール・アップし、続いて、実行中の動的サーバー・インスタンス1つのみスケール・ダウンする方法を示しています。
例4-1 WLSTを使用した要求時スケーリング
wls:/offline> connect('weblogic','weblogic','t3://localhost:8001') Connecting to weblogic server instance running at t3://localhost:8001 as username weblogic... Successfully connected to Admin Server 'AdminServer' that belongs to domain 'mydomain'. wls:/mydomain/serverConfig/> scaleUp("DynamicCluster", 2, true ,true) Remote ScaleUp started successfully after 38 seconds. Waiting for 2 servers to reach the running state. The timeout is 600 seconds. All servers are now running. wls:/mydomain/serverConfig/> scaleDown("DynamicCluster", 1, true ,true) Remote ScaleDown started successfully after 0 seconds. The servers were stopped successfully.