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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの理解
12c (12.2.1.2.0)
E82893-02
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13 モニタリング、診断およびトラブルシューティング

この章では、WebLogic Serverにおけるモニタリング、診断およびトラブルシューティングについて説明します。

この章の内容は次のとおりです。

13.1 WebLogic Server診断フレームワーク

WebLogic診断フレームワーク(WLDF)とは、WebLogic Serverのプロセス内で実行され標準的なサーバーのライフサイクルに参加する、一連のサービスを定義および実装するモニターおよび診断フレームワークです。WLDFを使用すると、実行中のサーバーおよびそのコンテナ内にデプロイされているアプリケーションによって生成された、診断データを作成、収集、分析、アーカイブし、それらのデータに対するアクセスを行うことができます。。このデータを基に、サーバーおよびアプリケーションの実行時パフォーマンスを把握できます。また、フォルト発生時に、このデータを使用して、フォルトを隔離および診断できます。

WLDFには、次のようなデータの収集および分析用コンポーネントが含まれています。

  • JavaHotSpotとの統合 - WebLogic ServerがJava HotSpot VMで構成されている場合は、WebLogic ServerイベントをオプションでJavaフライト・レコーダ(パフォーマンスのモニタリングとプロファイリング用のツール)に伝播できます。WebLogic Serverでは、Javaフライト・レコーダとの固有の統合点が用意されています。

    • WebLogic Serverイベントは、ランタイムまたはインシデント後の解析用に共有データ・セットに含めるためにJavaフライト・レコーダに伝播されます。

    • フライト記録のデータもWLDF診断イメージ・キャプチャに含まれるため、WLDFの監視ルールに基づいてフライト記録のスナップショットをキャプチャできます。この一連の機能により、実行中のJVMコンポーネントとFusion Middlewareコンポーネントの両方について、単一のビューで実行時システム情報をキャプチャおよび分析できます

  • 診断イメージ・キャプチャ - 障害発生後の分析に使用できる診断スナップショットをサーバーから作成します。診断イメージ・キャプチャには、Javaフライト・レコーダのデータが含まれており、それが使用可能である場合、Java Mission Controlで表示できます。

  • 組込み診断モジュール - WebLogic Serverインスタンスの基本的なヘルスやパフォーマンスのモニタリングを実行するための、単純で簡単に使用できるメカニズムを提供します。組込みの診断モジュールでは、WebLogic Serverランタイム、JDBC、JMS、サーブレットやEJBをホストするJava EEコンテナなどの、サーバー・インスタンスの主要コンポーネントをモニタリングする、重要なWebLogic Server実行時MBeanからデータが収集されます。

  • アーカイバ - サーバー・インスタンスおよびアプリケーションから、データ・イベント、ログ・レコード、およびメトリックをキャプチャし、永続化します。

  • インストゥルメンテーション - WebLogic Serverインスタンスおよびその上で実行されているアプリケーションに診断コードを追加し、コード内の指定された場所で診断アクションを実行します。インストゥルメンテーション・コンポーネントは、システム内のリクエストの流れを追跡できるように、診断コンテキストをリクエストに関連付けるための手段を提供します。WebLogic Server管理コンソールには、アプリケーションにおけるパフォーマンスの問題の識別に役に立つツールとして機能しているWLDFインストゥルメンテーション機能から取得したメソッド・パフォーマンス情報のリアルタイムおよび履歴ビューを表示する「リクエスト・パフォーマンス」ページが含まれています。

  • ハーベスタ - WebLogic Server MBeanやカスタムMBeanなどのランタイムMBeanからメトリックをキャプチャします。メトリックはアーカイブして、履歴データを参照するために後でアクセスできます。

  • ポリシーおよびアクション - サーバーとアプリケーションの状態を監視し、監視に設定された基準に基づいて通知を送信するための手段を提供します。

  • モニタリング・ダッシュボードでは、サーバーとサーバー上で実行されているアプリケーションの診断データをグラフで表示できるビューとツールが提供されます。診断データを生成、取得、および存続させるための基になる機能は、WebLogic診断フレームワークによって提供されています。また、モニタリング・ダッシュボードでは、そのデータをチャートとグラフで表示するために追加ツールが提供されます。

    モニタリング・ダッシュボードにより表示される診断データでは、測定に役立つ数値またはブール値を持つランタイムMBean属性の現在値または系時的に変更した値が表示されます。これらの値は、モニタリング・ダッシュボードでメトリックと呼ばれ、ドメイン内の1つ以上のサーバーの1つ以上のランタイムMBeanインスタンスから送信されます。

WLDFは、診断データに対する動的なアクセスと制御を可能にする標準化された一連のアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)、ならびにサーバーに関する可視性をもたらす改良されたモニターを実現します。独立系ソフトウェア・ベンダー(ISV)は、カスタム・モニタリングとWLDFとの統合に使用される診断ツールの開発にこれらのAPIを使用できます。

WLDFにより、標準インタフェースを通じてサーバー・データへの動的なアクセスが可能となり、特定の時点にアクセスされたデータを、サーバーの停止および再起動を行うことなく変更できます。

13.2 ロギング・サービス

WebLogicロギング・サービスには、ログ・メッセージの作成、表示、フィルタ、およびリスニング機能があります。ログ・メッセージは、WebLogic Serverインスタンス、サブシステム、およびWebLogic ServerまたはクライアントJVM上で実行されるJava EEアプリケーションによって生成されます。WebLogic Serverサブシステムは、ロギング・サービスを使用して、新しいアプリケーションのデプロイメント、1つまたは複数のサブシステムの障害などのイベントに関する情報を提供します。サーバー・インスタンスは、それを使用してサーバーのステータスを通知したり、特定のイベントに応答したりします。たとえば、WebLogicロギング・サービスを使用すると、エラー状態を報告したり、特定のサブシステムからログ・メッセージをリスニングしたりすることが可能です。

デフォルトでは、WebLogicロギング・サービスはJava Logging APIに基づいた実装を使用しています。また、WebLogic Serverでは、サーバー・ロギング・ブリッジも導入されています。サーバー・ロギング・ブリッジは、現在Javaロギングを使用してログ・メッセージをWebLogicロギング・サービスにリダイレクトさせているアプリケーションに対して、軽量のメカニズムを提供しています。アプリケーションは既存の構成のままでサーバー・ロギング・ブリッジを使用できます。コードを変更したり、WebLogicロギングAPIをプログラムで使用する必要はありません。

13.3 SNMPのサポート

SNMPでは、管理対象リソースの情報に対するリクエストが、マネージャからエージェントに送信されます。エージェントはリクエストされたデータを収集し、レスポンスを返します。また、管理対象リソースに対する定義済みのしきい値または条件を検出したときに、非請求レポート(通知)をマネージャに発行するように、エージェントを構成することもできます。

特定の管理対象リソースのデータをリクエストするには、マネージャがリソースを一意に識別できる必要があります。SNMPでは、各タイプの管理対象リソースは、OID (一意のオブジェクト識別子)が指定された管理対象オブジェクトとして、MIB (管理情報ベース)内に記述されます。個々の組織は、特定の管理対象オブジェクトをMIBモジュールに定義します。特定の管理対象リソースについて通信するには、マネージャとエージェントが両方とも、同じMIBモジュールにアクセスできる必要があります。

13.4 カスタムJMXアプリケーション

カスタム管理システムをWebLogic Server管理システムと統合するために、WebLogic Serverには標準ベースのインタフェースが用意されています。これらのインタフェースは、JMX (Java Management Extensions)仕様に完全に準拠しています。ソフトウェア・ベンダーはこれらのインタフェースを使用して、WebLogic Server MBeanをモニターし、WebLogic Serverドメインの構成を変更し、ドメイン内のすべてのサーバー・インスタンスに対するこれらの変更の配布(アクティブ化)をモニターすることができます。JMXクライアントはOracle独自のクラスを使用しなくても、すべてのWebLogic Server管理機能を実行できますが、リモートJMXクライアントではWebLogic Serverプロトコル(T3など)を使用してWebLogic Serverインスタンスに接続することをお薦めします。

13.5 Java EE管理API

Java EE管理仕様には、Java EE Webアプリケーション・サーバーおよびそのリソースの実行時状態をモニターおよび管理するための標準データ・モデルが記述されています。また、Java EE MEJB (Management EJB)コンポーネントによるモデルの標準マッピングも含まれています。

Java EE管理API群を使用すると、ソフトウェア開発者は、JDBC接続プールやデプロイされているアプリケーションなどのリソースをそれ1つで検出して参照できるJavaプログラムをJava EE Webアプリケーション・サーバー上に作成できます。このAPI群はJava EEの管理仕様の一部。Java EEの管理仕様では、すべてのJava EE Webアプリケーション・サーバーは標準データ・モデルでリソースを記述する必要があります。

13.6 WebLogic Serverにおけるモニタリング、診断およびトラブルシューティングのためのロードマップ

表13-1 WebLogic Serverにおけるモニタリング、診断およびトラブルシューティングのためのロードマップ

主要なタスク サブタスクと追加情報

WLDFコンポーネントについてもっとよく知る

  • データの作成、収集、およびインストゥルメンテーション

  • アーカイブ

  • ポリシーとアクション

  • データ・アクセサ

  • モニタリング・ダッシュボードおよびリクエスト・パフォーマンス・ページ

  • 診断イメージ・キャプチャ

  • WLDF構成の理解

WebLogicロギング・サービスについてもっとよく知る

  • WebLogicロギング・サービスの特長

  • WebLogic Serverでのメッセージ・カタログの使用方法

  • ロギング・コンポーネントと環境

  • 用語

  • ロギング・プロセスの概要

  • WebLogicロギング・サービスへのJavaロギングの統合のベスト・プラクティス

  • サーバー・ログ・ファイルとドメイン・ログ・ファイル

  • サーバー・ログとサブシステム・ログ

  • ログ・メッセージのフォーマット

  • メッセージの属性

  • メッセージの重大度

  • WebLogicロギング・サービスの表示

  • WebLogicロギング・サービスの構成

  • WebLogic Serverログ・メッセージのフィルタリング

  • メッセージのサブスクライブ

  • サーバー・ロギング・ブリッジの使用方法

モニタリング・ダッシュボードの使用

  • モニタリング・ダッシュボードのインタフェースについて

  • メトリックの収集と表示方法の理解

  • チャートの構成要素

WebLogic ServerでのSNMPの使用

  • WebLogic Server SNMPエージェント

  • SNMPのセキュリティ

  • WebLogic Server用のMIBモジュール

  • カスタムMBeanのモニタリング

  • WebLogic Serverの通知

  • SNMPプロキシ

  • WebLogic SNMPコマンド行ユーティリティ

WebLogic Serverの管理を目的としたJMXアプリケーションの開発

  • JMXによるカスタム管理ユーティリティの開発

  • JMXによる管理の容易なアプリケーションの開発

  • WebLogicデプロイメントのプログラミング

Java EE管理APIについてもっとよく知る

  • JMOの階層

  • JMOのオブジェクト名

  • JMOの任意指定の機能

  • JMOへのアクセス

  • WebLogic ServerでのMEJBへのアクセス

  • WebLogic Server拡張