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Oracle® Fusion Middleware WebLogic Server Multitenantの使用
12c (12.2.1.2.0)
E82912-01
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26 パーティションのモニタリングおよびデバッグ

この章では、Oracle WebLogic Server Multitenant (MT)でパーティションをモニターおよびデバッグする方法について説明します。この章の説明に従い、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlまたはWebLogic Scripting Tool (WLST)のいずれかを使用して、パーティションをモニターできます。この章では、適宜追加情報について、Oracle Fusion Middleware、Oracle CoherenceおよびOracle Traffic Directorのドキュメント・セットおよびオンライン・ヘルプを参照します。

この章の内容は以下のとおりです。

ドメイン・パーティションのモニタリング: 概要

WebLogic診断フレームワーク(WLDF)は、パーティション・スコープの次の診断機能を提供します。

  • ロギング

    様々なWebLogic Serverコンポーネント(パーティション・スコープJMS、SAF、サーブレット・リソースなど)のログがパーティション・ファイル・システム・ディレクトリに用意されています。マルチテナント環境で、パーティション・ユーザーは、パーティション・スコープ・ロガーを構成し、他のパーティションに影響を与えることなくこれらのロガーのレベルを制御できます。詳細は、「パーティション・スコープのロギングの構成」を参照してください。

    注意:

    サーバー・スコープおよびドメイン・スコープのリソースのログ(サーバー・スコープHTTPアクセス・ログ、ハーベスタ・コンポーネント、インストゥルメンテーション・コンポーネント、サーバー・ログとドメイン・ログなど)は、WLDFデータ・アクセサからのみ使用できます。詳細は、「診断データへのアクセス」を参照してください。

  • デバッグ

    システム管理者と連携して、パーティション・ユーザーは、WebLogic Serverコンポーネント上にデバッグ・フラグを設定して、他のパーティションに影響を与えることなく、パーティションで実行された作業のかわりにデバッグ・メッセージをブロードキャストできるようにします。詳細は、「パーティション・スコープのデバッグの構成」を参照してください。

  • パーティション・リソースのモニタリング

    リソース・グループまたはリソース・グループ・テンプレートに診断システム・モジュールを構成して、パーティション固有のメトリックの収集を有効にし、パーティション・スコープのリソースでポリシーおよびアクションを構成できます。詳細は、「診断システム・モジュールの構成」を参照してください。

    また、WLDFは、パーティション・スコープのリソース消費メトリックを収集することもでき、これはPartitionResourceMetricsRuntimeMBeanで属性として公開されます。詳細は、「リソース消費管理のモニタリング」を参照してください。

  • ログ・データの表示

    パーティション管理者は、ログ・ファイルにファイル・レベルではアクセスできませんが、WLDFデータ・アクセサおよびサポートされているWLST機能を使用できます。詳細は、「診断データへのアクセス」を参照してください。

  • アプリケーション・インストゥルメンテーションの計測

    パーティション内にデプロイされたアプリケーションは、WLDFインストゥルメンテーション・コンポーネントを使用して計測できます。詳細は、「パーティション・スコープのアプリケーションの計測」を参照してください。

  • 診断イメージ・キャプチャ

    イメージ・キャプチャは、パーティション・スコープ・ユーザーが手動で、またはパーティション・スコープ診断システム・モジュールで構成されたポリシーによって開始できます。生成される診断イメージには、パーティション固有のコンテンツのみが含められます。詳細は、「パーティション・スコープの診断イメージ・キャプチャの構成」を参照してください。

パーティション・ログおよび診断データ

WebLogic Serverは、次のログおよび診断データ・ファイルを維持して、パーティションのかわりに実行されたイベントおよびアクティビティを追跡します。パーティション固有のログ・ファイルは、partitions/<partition>/system/servers/<server-name>ディレクトリにあります。


ログ・ファイル 目次

ServerLog

パーティションのスコープ内で作業を行う際に生成されたWeblogic Serverイベントのログ・レコード。サーバー・ログは、パーティション・ファイル・システム内では使用できません。WLDFデータ・アクセサを介してのみ使用できます。

DomainLog

パーティションのかわりに生成されたドメイン・スコープのイベントのログ・レコード。ドメイン・ログは、パーティション・ファイル・システム内では使用できません。WLDFデータ・アクセサを介してのみ使用できます。

HTTPAccessLog (パーティション・スコープの仮想ターゲット・アクセス・ログ)

各仮想ターゲットのWebサーバーのaccess.logファイル。パーティションごとに個別に維持され、パーティション・ユーザーがアクセスできます。

HarvestedDataArchive

WLDFハーベスタ・コンポーネントによって収集され、パーティションに適用されるMBeanメトリック。このファイルは、WLDFデータ・アクセサを介してのみ使用できます。

EventsDataArchive

WLDFインストゥルメンテーション・コンポーネントで生成されたイベント。このファイルは、WLDFデータ・アクセサを介してのみ使用できます。

JMSMessageLog (partition-scoped)

パーティション・スコープのJMSリソースのログ・レコード。個々のログ・ファイルは、パーティションごとに維持され、パーティション・ユーザーがアクセスできます。

JMSSAFMessageLog (partition-scoped)

パーティション・スコープのSAFエージェント・リソースのログ・レコード。個々のログ・ファイルは、パーティションごとに維持され、パーティション・ユーザーがアクセスできます。

DataSourceLog

パーティションのスコープ内で作業を行う際に生成されたデータ・ソース・プロファイル・レコード。

WebAppLog (partition-scoped)

パーティション・スコープのアプリケーションからのサーブレット・コンテキスト・ログ。個々のログ・ファイルは、パーティションごとに維持され、パーティション・ユーザーがアクセスできます。

ConnectorLog (partition-scoped)

パーティション・スコープのリソース・アダプタからのJava EE Connector Architectureリソース・アダプタ・ログ。個々のログ・ファイルは、パーティションごとに維持され、パーティション・ユーザーがアクセスできます。


パーティション・スコープのロギングの構成

WebLogic Server MTでは、パーティションにデプロイされたアプリケーションによって使用されるjava.util.loggingロガーのレベルの構成を許可します。WebLogic Serverドメイン内で、異なるパーティションに同じアプリケーションのコピーを含めることができます。このような場合、アプリケーションの異なるインスタンスは、同じ名前のjava.util.loggingロガーを使用できます。アプリケーションは、java.util.loggingロガーを使用するライブラリ、またはシステム・クラスパスにあるライブラリに依存することがあります。マルチテナント環境で、パーティション・ユーザーは、他のパーティションに影響を与えることなく、パーティションのスコープ内のこれらのロガーのレベルを制御できます。

パーティション・スコープのリソースのjava.util.loggingロガー・レベルを構成する機能は、次によって有効になります。

  • カスタム・ログ・マネージャWLLogManager。これは、システム管理者が、ドメインのグローバル・ログ・マネージャとして構成する必要があります

  • PartitionLogMBean.PartitionLoggerLevels属性。これは、パーティション・ユーザーが、ログ出力名と対応するjava.util.logging.Level名で構成されるキーと値のペアを指定することによって構成できます

パーティション・ユーザーがパーティション・スコープのロガー・レベルを構成する機能を有効にするには、次の手順を実行します。

  1. システム管理者は、次のweblogic.ServerオプションをWebLogic Server起動コマンドに含めることによって、ドメインにWLLogManagerを構成する必要があります。
    -Djava.util.logging.manager=weblogic.logging.WLLogManager
    
  2. パーティション・ユーザーは、PartitionLogMBean.PartitionLoggerLevels属性でキーと値のペアを構成します。

次の例は、WLSTを使用して、パーティションp1に対してパーティション・スコープのロギングおよびデバッグを構成する方法を示しています。

startEdit()            
cd('/')
p1 = cmo.createPartition('p1')
plog = p1.getPartitionLog()
plog.addEnabledServerDebugAttribute('DebugJNDI')
props = java.util.Properties()
props.put('foo.bar.logging','WARNING')
plog.setPlatformLoggerLevels(props)                     
save()
activate()

デバッグの詳細は、「パーティション・スコープのデバッグの構成」を参照してください。

パーティション・スコープのデバッグの構成

WebLogic Server MTは、次の手段によるパーティション・スコープのリソースのデバッグをサポートします。

  • ServerDebugMBeanには、PartitionDebugLoggingEnabled属性が含まれます。この属性は、パーティション・スコープのデバッグを有効にするかどうかを制御し、システム管理者のみがアクセスできます。

    この属性は、デフォルトでは無効になっています。有効にすると、パーティション・スコープのデバッグは、ドメイン内のすべてのパーティションで使用可能になります。

  • PartitionLogMBeanには、EnabledServerDebugAttributes属性が含まれ、これに対してパーティション・ユーザーは、Stringsの配列として、ServerDebugMBeanで使用できる任意のデバッグ・フラグを定義できます。

  • デバッグがドメイン内で有効になり、パーティションで構成されると、パーティションのかわりに作業を行うシステム・リソースによってブロードキャストされたデバッグ・メッセージがそのパーティションに送信されます。

注意:

サーバーの問題のトラブルシューティングの際に、パーティション・ユーザーとシステム管理者は、パーティションのサーバー・レベルのデバッグを有効にする前に、互いに相談することをお薦めします。さらに、パーティション・スコープのデバッグは、短期間のみ有効にする必要があります。

パーティション・スコープのデバッグの通常のユースケースでは、PartitionLogMBean.EnabledServerDebugAttributes属性で構成する必要がある特定のデバッグ・フラグを識別するために、パーティション・ユーザーがOracleサポート・サービスに相談します。

パーティション・スコープのデバッグの構成を示すサンプルWLSTスクリプトは、前述の例を参照してください。

診断システム・モジュールの構成

WLDF診断システム・モジュールをリソース・グループおよびリソース・グループ・テンプレートに含めて、パーティション固有のモニタリングを許可できます。ドメイン・スコープの診断システム・モジュールで提供される機能のすべてが、パーティションにスコープされたときに有効になるわけではありません。特に、サーバー・レベルのWLDFインストゥルメンテーション・コンポーネントは、サーバー全体に影響しますが、パーティション・レベルでは使用できません。

次の各項では、パーティション・スコープの診断システム・モジュールの構成方法について説明します。

メトリックの収集

WLDFハーベスタ・コンポーネントは、診断システム・モジュールの構成と一致するJMXランタイムMBean属性を定期的にサンプリングし、データをアーカイブに格納します。この機能は、パーティションのスコープ内で使用できますが、診断システム・モジュールでは次のようになります。

  • 同じパーティション内のみのリソースのランタイムMBeanにアクセスできます。パーティション・ユーザーは、グローバル・レベルでのMBeanの特定のモニタリング情報への読取り専用アクセスが可能です。これらのMBean属性は、パーティション・スコープのWLDF診断システム・モジュールから収集できます。

  • 他のパーティションのリソースのランタイムMBeanにはアクセスできません。

  • パーティションに依存しない方法でハーベスタ・コンポーネントを構成できます。つまり、partition-idまたはpartition-nameは、構成内に記述する必要はありません。これにより、WLDF構成は、割り当てられるパーティションに関係なくポータブルになります。

アーカイブ・コンポーネントに保存されたパーティション・スコープのデータは、パーティション固有の識別子でタグ付けされ、データには、システム管理者およびそのパーティションのユーザーはアクセス可能で、他のユーザーはアクセスできなくなります。

パーティション管理者が診断システム・モジュールに使用できるWLSTコマンドのリストは、「パーティション管理者用のWLST診断コマンド」を参照してください。

ポリシーとアクションの構成

診断システム・モジュール内でWLDFポリシーおよびアクション・コンポーネントを使用して、一般的なJMXランタイムMBeanメトリック、ログ・レコードおよびインストゥルメンテーション・イベントを評価するポリシーを作成できます。この機能は、次の制約においてパーティション・レベルで使用できます。

  • ポリシーは、パーティションで使用可能なMBean属性にのみアクセスできます。

  • ログ・ポリシーは、パーティションに固有のサーバーおよびドメインのログ・レコードに対してのみ評価されます。

  • SNMPアクションはサポートされていません。

  • SMTPアクションでは、使用されるメール・セッションをJNDI内のパーティションで表示可能にする必要があります。

  • パーティション・スコープの診断システム・モジュールのすべてのポリシー式は、Java式言語(EL)を使用する必要があります。詳細は、『Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使用』のポリシー式に関する項を参照してください。

  • スケーリング・アクション(スケール・アップおよびスケール・ダウン)は、パーティションのスコープ内ではサポートされていません。

診断データへのアクセス

パーティション管理者は、サーバー・スコープまたはドメイン・スコープのログ・ファイルをはじめ、ドメイン内の一部のログ・ファイルにはファイル・レベルでアクセスできません。ただし、WLDFデータ・アクセサおよびサポートされているWLST機能を使用して、パーティションに関連するログ・コンテンツに選択的にアクセスできます。

ドメイン内のすべてのログ・ファイルに完全にアクセスできるシステム管理者は、次のことが確実に行われるように、ログ・ファイルの適切なセキュリティ・ポリシーの構成を担当します。

  • ログ・レコードにアクセスしようとすると認証されます。

  • パーティションに固有のログ・レコードにアクセスできます。

  • パーティションに関連しないログ・レコードへのアクセスは拒否されます。

パーティションのWLDFPartitionRuntimeMBean (PartitionRuntimeMBeanの子)の下に作成される次のMBeanを使用して、パーティションのログ・レコードにアクセスできます。


MBean 説明
WLDFPartitionAccessRuntimeMBean

パーティションで使用可能なログ・ファイルを検出します。パーティションで使用できないログ・ファイルは公開されません。

WLDFDataAccessRuntimeMBean

パーティションに固有のログ・ファイル・レコードにアクセスします。パーティションに関連しないログ・レコードは公開されません。


共有ログ・ファイル

次のログおよび診断データは、ドメイン内のすべてのパーティションで共有され、パーティション管理者は、パーティションに関連するこれらのログ内のレコードにアクセスできます。


ログ・タイプ コンテンツの説明

サーバー

パーティションに関連し、サーバー・ログ・ファイルに記録されるサーバーおよびアプリケーション・コンポーネントからのログ・イベント。

ドメイン

パーティションに関連し、ドメイン・ログ・ファイルに記録されるドメイン内のすべてのサーバー・インスタンスから一元的に収集されるログ・イベント。

データ・ソース

パーティションに関連し、データ・ソース・ログ・ファイルに記録されるデータ・ソース・ログ・イベント。

収集されたデータ・アーカイブ

パーティションに関連し、収集されたデータ・アーカイブに記録されるMBeanからWLDFハーベスタ・コンポーネントによって収集されるメトリック・データ。

イベント・データ・アーカイブ

パーティションにデプロイされたアプリケーションによって収集され、イベント・データ・アーカイブに記録されるWLDFインストゥルメンテーション・イベント。


パーティションがドメインに構成されると、これらの共有ログ・ファイルに作成された各レコードには、次の2つの属性が含まれます。

  • partition-name - 人間が判読可能なパーティション名

  • partition-id - 自動生成された一意のパーティションの識別子

収集されたデータ・アーカイブおよびイベント・データ・アーカイブには、これらの属性がリストされた追加の2つの表列PARTITION_IDおよびPARTITION_NAMEが含まれます。

注意:

パーティションがドメインに構成されると、サーバー・スコープまたはドメイン・スコープの作業のかわりに収集されたログ・レコードには、partition-id値として0partition-name値としてDOMAINが割り当てられます。

次の例は、サーバー・ログ・ファイルのログ・レコード・エントリを示しています。partition-idおよびpartition-name属性は太字で強調表示されています。

####<Oct 2, 2015 1:20:28 PM EDT> <Notice> <Partition Lifecycle>
 <tiger-mac.local> <partitionAdmin> <[ACTIVE] ExecuteThread: '2' for queue:
 'weblogic.kernel.Default (self-tuning)'> <system> <>
 <cfd4d584-ee45-49a6-ae91-9c12551330d8-000000af> <1443806428565> <[severity-value: 32] [rid: 0] 
[partition-id: d75a4899-ca61-4ed8-b519-317b0ec15061] [partition-name: p1] > <BEA-2192303> <The partition lifecycle operation "START" for partition "p1" is initiated.>

WLDFデータ・アクセサが特定のパーティションに関連するログ・レコードを取得すると、partition-id値に基づいてフィルタされます。

注意:

JVMおよび他のイベント・プロデューサ(WebLogic Serverやダイナミック・モニタリング・サービス(DMS)など)からのイベントを含むJava Flight Recorder (JFR)フライト記録には、パーティション間のデータを区別するためにpartition-idおよびpartition-name属性を含めることができます。ただし、マルチテナントの問題の診断に使用できるパーティション情報を含むJFRデータにアクセスできるのは、システム管理者のみです。

パーティション固有のログ・ファイル

次のログ・ファイルは各パーティションに固有のもので、パーティション管理者が使用できます。これらのログ・ファイルは、partitions/<partition>/system/servers/<server-name>ディレクトリに格納されます。


ログ・タイプ コンテンツの説明

HTPPアクセス・ログ

ファイルaccess.logに格納される、パーティションの仮想ターゲットWebサーバーからのすべてのHTTPトランザクションのログ・イベント。

JMSサーバー

リソース・グループまたはリソース・グループ・テンプレート内に定義され、パーティションにスコープされたJMSサーバー・リソースのJMSサーバー・メッセージ・ライフサイクル・イベント。

SAFエージェント

リソース・グループまたはリソース・グループ・テンプレート内に定義され、パーティションにスコープされたSAFエージェント・リソースのSAFエージェント・メッセージ・ライフサイクル・イベント。

コネクタ

パーティション内でリソース・グループまたはリソース・グループ・テンプレートにデプロイされたJava EE Connector Architectureリソース・アダプタ・モジュールによって生成されたログ・データ。

サーブレット・コンテキスト

パーティション内でリソース・グループまたはリソース・グループ・テンプレートにデプロイされたJava EE Webアプリケーション・モジュールによって生成されたサーブレット・コンテキスト・ログ・データ。


WLDFデータ・アクセサの使用

WLDFデータ・アクセサを使用すると、型、コンポーネント、属性を基準としてデータをルックアップできます。重大度、ソースおよびコンテンツでフィルタできます。また、表形式の診断データにアクセスすることもできます。データ・アクセサの詳細は、『Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使用』のデータ・アクセサを使用した診断データへのアクセスに関する項を参照してください。

次の表に、各ログの論理名と、データ・アクセサを使用して表示できる診断データ・ファイルを示します。WLDFDataAccessRuntimeMBeanまたはWLSTを使用する際には、論理名をキーとして使用してログ・タイプを参照します。


ログ・タイプ 論理名

サーバー・ログ

ServerLog

ドメイン・ログ

DomainLog

JDBCログ

DataSourceLog

収集されたデータ・アーカイブ

HarvestedDataArchive

イベント・データ・アーカイブ

EventsDataArchive

HTTPアクセス・ログ

HTTPAccessLog/<WebServer-Name>

JMSサーバー

JMSMessageLog/<JMSServer-Name>

SAFエージェント

JMSSAFMessageLog/<SAFAgent-Name>

サーブレット・コンテキスト

WebAppLog/<WebServer-Name>/context-path

コネクタ

ConnectorLog/connection-Factory-jndiName$partition-name

パーティション管理者として、次のツールを使用して、パーティションのログおよび診断データにアクセスできます。

  • Fusion Middleware Control

    Fusion Middleware Controlを使用して、共有ログ・ファイルとパーティション固有のログ・ファイルの両方からレコードを表示できます。詳細は、『Fusion Middleware ControlによるOracle WebLogic Serverの管理』のドメイン・パーティションのモニターに関する項を参照してください。

  • WebLogic Scripting Tool

    パーティション管理者がデータ・アクセサを使用するために使用できるWLSTコマンドのリストは、「パーティション管理者用のWLST診断コマンド」を参照してください。これらのコマンドの構文および例は、『WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』の診断コマンドに関する項を参照してください。

Oracle WebLogic Server管理コンソールは、パーティション・ログおよび診断データの表示をサポートしていません。

リソース消費管理のモニタリング

リソース消費管理(RCM)は、システム管理者が共有リソースを管理し、MT環境におけるドメイン・パーティションの一貫したパフォーマンスを提供するために、柔軟性のある動的なメカニズムを提供します。WebLogic Serverは、パーティション・スコープ内でRCMをモニターする機能をサポートしています。

RCMの詳細は、「リソース消費管理の構成」を参照してください。

RCMの構成

RCMの構成の詳細は、「リソース消費管理の構成: 主な手順」を参照してください。

パーティション・スコープのRCMメトリック

表26-1では、パーティション・スコープのRCMメトリックを指定できるPartitionResourceMetricsRuntimeMBeanに関する属性をリストし、概説します。


表26-1 RCMのPartitionResourceMetricsRuntimeMBean属性

属性 説明
RCMMetricsDataAvailable

RCMメトリック・データがこのパーティションで使用可能かどうかを示すブール値。

CpuTimeNanos

サーバーの起動またはパーティションの作成のいずれか遅い方以降にパーティションのコンテキストで費やされた合計CPU時間。

AllocatedMemory

サーバーの起動またはパーティションの作成のいずれか遅い方以降にパーティションのコンテキストで割り当てられた合計メモリー(バイト)。

RetainedHeapHistoricalData

パーティションの保存されるヒープ・メモリー使用率の履歴データのスナップショット。データは、一定期間にパーティションにスコープされた保存されるヒープの使用率の二次元配列として返されます。配列の各アイテムには、[timestamp (long), retainedHeap(long)]値のタプルが含まれています。

CpuUtilizationHistoricalData

パーティションのCPU使用率の履歴データのスナップショット。CPU使用率は、Weblogic Serverで使用可能なCPUに対する、パーティションで使用されるCPUの割合を示します。データは、一定期間にパーティションにスコープされたCPU使用率の二次元配列として返されます。配列の各アイテムには、[timestamp (long), cpuUsage(long)]値のタプルが含まれています。

ThreadCount

パーティションに現在割り当てられているスレッドの数。

TotalOpenedSocketCount

サーバーの起動またはパーティションの作成のいずれか遅い方以降にパーティションのコンテキストでオープンしたソケットの合計数。

CurrentOpenSocketCount

パーティションのコンテキストで現在オープンしているソケットの数。

NetworkBytesRead

サーバーの起動またはパーティションの作成のいずれか遅い方以降にパーティションのソケットから読み取られた合計バイト数。

NetworkBytesWritten

サーバーの起動またはパーティションの作成のいずれか遅い方以降にパーティションのソケットに書き込まれた合計バイト数。

TotalOpenedFileCount

サーバーの起動またはパーティションの作成のいずれか遅い方以降にパーティションのコンテキストでオープンしたファイルの合計数。

CurrentOpenFileCount

パーティションのコンテキストで現在オープンしているファイルの数。

FileBytesRead

サーバーの起動またはパーティションの作成のいずれか遅い方以降にパーティションのコンテキストで読み取られた合計バイト数。

FileBytesWritten

サーバーの起動またはパーティションの作成のいずれか遅い方以降にパーティションのコンテキストで書き込まれた合計バイト数。

TotalOpenedFileDescriptorCount

サーバーの起動またはパーティションの作成のいずれか遅い方以降にパーティションのコンテキストでオープンしたファイル・ディスクリプタの合計数。

CurrentOpenFileDescriptorCount

パーティションのコンテキストで現在オープンしているファイル・ディスクリプタの数。


一般的なRCM構成要件は、「リソース消費管理の構成」を参照してください。

パーティション・スコープのアプリケーションの計測

WLDFインストゥルメンテーション・コンポーネントは、WebLogic Serverインスタンスおよびそのサーバー・インスタンスで実行中のアプリケーションに診断コードを追加するためのメカニズムを提供します。この機能の詳細は、『Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使用』のインストゥルメンテーションの構成に関する項を参照してください。

WebLogic Server MTは、デプロイメント・ディスクリプタ(META-INF/weblogic-diagnostics.xml)またはデプロイメント・プランを使用して、パーティション内にデプロイされたアプリケーションのインストゥルメンテーションを行う機能をサポートしています。この機能は、次の条件下でサポートされます。

  • システム管理者は、システム・レベルで診断システム・モジュールを構成し、そのターゲットとして適切な管理対象サーバー・インスタンスをグローバル・レベル(パーティション・スコープではない)で指定する必要があり、インストゥルメンテーション・コンポーネントが有効になっている必要があります。

  • 計測されたアプリケーションには、META-INF/weblogic-diagnostics.xmlデプロイメント・ディスクリプタが含まれている必要があり、インストゥルメンテーション・コンポーネントが有効になっている必要があります。

  • アプリケーションは、クラス・ローダーを他のパーティションのアプリケーション・インスタンスと共有する方法で構成しないでください。

パーティション・スコープの診断イメージ・キャプチャの構成

診断イメージ・キャプチャは、それを開始したときに存在するWebLogic Serverの様々なサブシステムの関連データを対象としています。次のいずれかのツールで手動で診断イメージ・キャプチャを開始できます。

  • WebLogic Server管理コンソール

  • Fusion Middleware Control

  • WLST

  • JMX

  • WLDFポリシーおよびアクション・コンポーネント

パーティション・ユーザーが診断イメージ・キャプチャを開始すると、イメージのコンテンツは、パーティション・スコープのリソースのみに限定されます。パーティションに対応するWLDFPartitionImageRuntimeMBeanで操作を呼び出すことによって診断イメージ・キャプチャを開始すると、生成されたイメージには、そのパーティションにのみ関連するデータが含まれます。パーティション・スコープの診断イメージの場合、partition-idおよびpartition-name属性がファイル名にエンコードされます。

パーティションに対応する情報を含むJFRデータにアクセスできるのは、システム管理者のみであることに注意してください。

パーティションにスコープされると、次のコンポーネントはパーティション固有のレコードを診断イメージ・キャプチャに生成できます。

  • コネクタ

  • インストゥルメンテーション

  • JDBC

  • JNDI

  • JVM

  • ロギング

  • RCM

  • ワーク・マネージャ

  • JTA

パーティション管理者が診断イメージ・キャプチャに使用できるWLSTコマンドのリストは、「パーティション管理者用のWLST診断コマンド」を参照してください。

パーティション管理者用のWLST診断コマンド

次の表に、パーティション管理者がパーティション・スコープのロギングおよび診断データにアクセスするために使用できるWLST診断コマンドを示します。これらのコマンドは、次の3つのカテゴリで示されます。

  • データ・アクセサ: WLDFデータ・アクセサ・コンポーネントを使用して、ログ・レコード、データ・イベント、収集されたメトリックなどの様々なソースからのパーティション・スコープ診断データにアクセスするためのコマンド

  • 診断イメージ・キャプチャ: 診断イメージ・キャプチャの取得、保存およびアクセスを行うためのコマンド

  • 診断モジュール: 特定の時間間隔で診断システム・モジュールによって収集されたメトリック・データをエクスポートするためのコマンド

これらの各コマンドには、パーティション名を指定するpartition引数が含まれます。


コマンド カテゴリ サマリー
exportDiagnosticDataFromServer

データ・アクセサ

サーバー側で問合せを実行して、エクスポートされたWLDFデータを取得します。

getAvailableDiagnosticDataAccessorNames

データ・アクセサ

サーバーまたはパーティションで現在使用可能な診断データ・アクセサ・インスタンスの論理名を取得し、それを文字列値の配列として返します。

captureAndSaveDiagnosticImage

診断イメージ

診断イメージを取得し、クライアントにダウンロードします。

getAvailableCapturedImages

診断イメージ

サーバーで構成したイメージの宛先ディレクトリに格納される以前に捕捉した診断イメージのリストを文字列の配列で戻します。

saveDiagnosticImageCaptureEntryFile

診断イメージ

WLSTが現在接続されているサーバーにある診断イメージ・キャプチャから特定のエントリをダウンロードします。

saveDiagnosticImageCaptureFile

診断イメージ

WLSTが現在接続されているサーバーから指定した診断イメージ・キャプチャをダウンロードします。

purgeCapturedImages

診断イメージ

サーバーの構成済イメージ宛先ディレクトリから指定された期間の基準に従って、サーバーの診断イメージ・ファイルをパージします。

exportHarvestedTimeSeriesData

診断モジュール

特定のサーバー・スコープまたはパーティション・スコープの診断システム・モジュールの診断アーカイブ・ファイルから収集済メトリック・データをエクスポートします。


診断で使用できるWLSTコマンドの詳細は、『WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』の診断コマンドに関する項を参照してください。