ldmd - Logical Domains Manager デーモン
/opt/SUNWldm/bin/ldmd
ldmd デーモンは Logical Domains Manager と呼ばれます。これは、論理ドメインの作成および管理に使用される、ldm コマンド用のデーモンプログラムです。ldmd デーモンは、サービスプロセッサ (SP) により作成される初期ドメインである、制御ドメイン上で実行されます。物理ドメインがあるプラットフォームの場合、Logical Domains Manager は、各物理ドメインの制御ドメインでのみ実行されます。制御ドメインの名前は primary です。
論理ドメインとは、独自のオペレーティングシステム、リソース、識別情報を単一システム内に持つ個別の論理グループです。各論理ドメインは、サーバーの電源の再投入を必要とせずに、作成、破棄、再構成、およびリブートを単独で行うことができます。セキュリティー上の理由から、論理ドメインを使用してさまざまなアプリケーションを異なるドメインで動作させて、アプリケーションの独立性を維持することができます。
svccfg コマンドを使用して、次のプロパティーを変更できます。
inter-vnet-link=auto の場合、このプロパティーは inter-vnet リンクを有効にすることが許可されている仮想ネットワークの最大数です。同じ仮想スイッチに接続された仮想ネットワークの数がこの制限を超えると、inter-vnet リンクは自動的に無効になります。デフォルト値は 8 です。
自動回復ポリシーを指定します。このプロパティーには、次の値のいずれかを指定できます。
autorecovery_policy=1 – 自動保存構成が、対応する実行中の構成よりも新しい場合に、警告メッセージをログに記録します。これらのメッセージは、ldmd SMF ログファイルに記録されます。ユーザーは、構成の回復を手動で実行する必要があります。これはデフォルトのポリシーです。
autorecovery_policy=2 – 自動保存構成が、対応する実行中の構成よりも新しい場合に、通知メッセージを表示します。この通知メッセージは、毎回の Logical Domains Manager の再起動後に最初に ldm コマンドが発行されたときに、いずれかの ldm コマンドの出力になります。ユーザーは、構成の回復を手動で実行する必要があります。
autorecovery_policy=3 – 自動保存構成が、対応する実行中の構成よりも新しい場合に、構成を自動的に更新します。この処理により、次の電源再投入時に使用される SP 構成が書き換えられます。この構成は、制御ドメインに保存されている、より新しい構成で更新されます。この処理は、現在実行中の構成には影響を与えません。これは、次の電源再投入時に使用される構成にのみ影響します。新しい構成が SP 上で保存され、次回システムで電源再投入を実行したときにブートされるというメッセージも記録されます。これらのメッセージは、ldmd SMF ログファイルに記録されます。
Fujitsu M10 プラットフォームおよび Fujitsu SPARC M12 プラットフォームの CPU 自動置換ポリシーを指定します。このプロパティーには、次の値のいずれかを指定できます。
autoreplacement_policy_cpu=1 – 障害が発生した CPU リソースの自動的な交換を試みる CPU 自動置換プロセスを有効にします。これはデフォルトのポリシーです。
autoreplacement_policy_cpu=0 – CPU 自動置換プロセスを無効にします。
Fujitsu M10 プラットフォームおよび Fujitsu SPARC M12 プラットフォーム上の CPU 自動置換プロセスの最大再試行回数を指定します。値 0 を指定すると、試行の回数が無制限になります。デフォルト値は 5 回です。
Fujitsu M10 プラットフォームおよび Fujitsu SPARC M12 プラットフォーム上の CPU 自動置換プロセスの再試行間の間隔を秒単位で指定します。最小の間隔は 1 秒です。デフォルト値は 300 秒です。
使用する停止方法を指定します。Logical Domains Manager の起動時に default_quick_stop を true に設定した場合、コマンド行でオーバーライドされないかぎり、次回の ldm stop-domain コマンドで –q の方法が使用されます。default_quick_stop を false に設定した場合、ldm stop-domain コマンドでは、指定されたドメインで使用可能な場合は shutdown コマンドが使用され、それ以外の場合は –q オプションに自動的にフォールバックます。デフォルト値は false です。
SP が deleteboard コマンドを使用して CPU コアの再マップ要求を行う場合、または CPU 自動置換で CPU コアの再マップが必要となる場合に使用する CPU コアの再マップポリシーを指定します。
有効な値は次のとおりです。
auto は、システムに最適なポリシーを選択します。デフォルト値は auto です。
enable は、CPU コアの再マップ操作をすべて有効にします。
disable は、CPU コアの再マップ操作をすべて無効にします。
このプロパティーは、Fujitsu M10 プラットフォームおよび Fujitsu SPARC M12 プラットフォームにのみ適用されます。
新しいドメインに fj-software-limit-pagesize=256MB の設定を適用します。デフォルト値は false です。
このプロパティーは、Fujitsu M10 プラットフォームおよび Fujitsu SPARC M12 プラットフォームにのみ適用されます。
SP が deleteboard コマンドを使用して動的リソースの削除要求を行う場合に使用するリソース削除ポリシーを指定します。このプロパティーは、Fujitsu M10 プラットフォームおよび Fujitsu SPARC M12 プラットフォームにのみ適用されます。
有効なポリシー値は次のとおりです。
auto – 最近サポートされた fj_ppar_dr_policy ポリシー値 ratio を使用します。デフォルトのポリシーは auto です。
ratio – 指定されたリソースがドメインから削除されるまで、各ドメインのリソースを同じ相対比率で維持します。
このポリシーでは、システム内のすべてのドメインが Oracle Solaris 11.3 以上の OS でインストールされている必要があります。targeted ポリシーは、いずれかのドメインが古いバージョンの Oracle Solaris OS でインストールされている場合に使用されます。
targeted – 削除するボードのリソースが割り当てられているドメインからのみリソースを削除します。
MAC 衝突検出メッセージが破棄される前に、たどることができるメッセージのホップ数 (またはサブネット数) を指定します。有効な値は、0 (デフォルト値を使用)、1 (同じサブネット)、32 (同じサイト)、64 (同じ領域)、128 (同じ大陸)、および 255 (無制限) です。デフォルトでは、hops は 1 に設定され、これは同じサブネット上のその他のマネージャーにのみマルチキャストメッセージが送信されることを示します。hops を 0 に設定すると、ldmd ではデフォルト値の 1 が使用されます。
xmpp_enabled も true に設定されている場合、別のシステムからこのシステムへのゲストドメインの移行を有効にします。デフォルト値は true です。
ldm set-logctl コマンドを使用しても設定できるプロパティー値を指定します。各プロパティーをコロン文字 (:) で区切ります。たとえば、cmd プロパティー値を resp に設定し、debug プロパティー値を on に設定するには、setprop ldmd logctl = cmd=resp:debug=on コマンドを実行します。変更を有効にするには、ldmd サービスをリフレッシュして再起動します。
値が true の場合は、起動中に MAC アドレスの衝突チェックを実行します。デフォルト値は false です。この検証を実行すると、Logical Domains Manager の起動が遅くなる可能性があります。MAC アドレスの衝突はすべて記録され、Logical Domains Manager の実行が継続されます。
システムへのドメイン移行の認証を強制的に行います。デフォルトの動作では、ユーザーを認証する必要があります。このプロパティーによって、システムからの移行は影響を受けません。パスワードを指定しない移行を許可するには、ターゲットマシン上で migration_authn_required を false に設定します。
このプロパティーは XML/XMPP インタフェースでのみ使用され、移行の際に常にパスワードを入力する必要がある ldm migrate-domain コマンドでは使用されません。
移行の入出力が正常に行われたあとで SP 構成を保存するかどうかを制御します。
このプロパティーが存在しないか、false に設定されている場合、移行のあとに SP 構成は保存されません。このプロパティーの値が true に設定されている場合、移行後の SP 構成が予約名 @post-migration の下に保存されます。デフォルトのプロパティー値は false です。
ソースマシンとターゲットマシンで migration_save_spconfig プロパティーの値が異なる場合、–s オプションを指定しない ldm migrate-domain コマンドでは移行のリクエストが拒否されます。
ソースマシンまたはターゲットマシンのどちらかで古いバージョンの Logical Domains Manager が実行されている場合、新しい側に migration_save_spconfig=true が設定されていると、移行のリクエストはただちに拒否されます。
移行後の SP 構成の自動保存は、Oracle VM Manager でシステム構成を保持する方法の妨げになります。Oracle VM Manager が動作している場合、migration_save_spconfig プロパティーは無視されます。ovm_manager プロパティーは、Oracle VM Manager が使用中であるかどうかを示します。
ldmd の起動時に電源管理 (PM) 可観測性モジュールを有効または無効にします。このモジュールを有効にすると、ldmpower コマンドを実行して消費電力データを表示できます。ldmpower(1M) のマニュアルページを参照してください。デフォルト値は true です。
xmpp_enabled も true に設定されている場合、このシステムから別のシステムへのゲストドメインの移行を有効にします。デフォルト値は true です。
SP で復旧モードがリクエストされたときに行われるアクションを決定します。このプロパティーは、UltraSPARC T2、UltraSPARC T2 Plus、SPARC T3、SPARC T4、および SPARC M4 の各サーバーには適用されません。有効な値は次のとおりです。
auto は、管理者による介入なしで自動的に復旧を実行します。これはデフォルトの動作です。
never は、復旧は実行されず、システムが工場出荷時のデフォルト構成のままになることを指定します。
回復中のルートドメインのブートタイムアウトを分で指定します。有効な値は 5 分以上です。デフォルト値は 30 分間です。
正常な停止操作の実行中にドメインが停止するまで待機する時間を秒数で指定します。指定されたタイムアウトの期限が切れたあともドメインが停止しない場合は、ldm stop-domain コマンドによってエラーが発行されます。shutdown_timeout の値は 0 よりも大きくする必要があります。デフォルト値は 100 秒です。
ldmd XMPP サーバーが他社製の管理アプリケーションからの構成要求を待機できるようにします。また、2 つのシステム間の移行を調整するために、ldmd デーモンが別のシステム上の ldmd デーモンと通信できるようにします。デフォルト値は true です。
次の属性の説明については、attributes(5) マニュアルページを参照してください。
|
svcs(1), attributes(5), smf(5), drd(1M), ldm(1M), ldmad(1M), ldmpower(1M), svcadm(1M), vntsd(1M)
ldmd サービスは、サービス管理機能 (Service Management Facility、SMF) により管理され、svc:/ldoms/ldmd:default サービス識別子を使用します。smf(7) マニュアルページを参照してください。
これらの SMF プロパティーの変更を有効にするには、サービスをリフレッシュして再起動する必要があります。
svcadm コマンドを使用して、再起動の有効化、無効化、リフレッシュ、またはリクエストなどの管理操作をこのサービスで実行します。svcs コマンドを使用してサービスのステータスをクエリーします。
ldmd SMF プロパティーの詳細については、Oracle VM Server for SPARC 3.5 管理ガイドを参照してください。