この章では、DIVArchive システムの一般的な概念について説明します。
DIVArchive アーキテクチャーでは、多数の異なるタイプのサーバーとテクノロジ (たとえば、ブロードキャストビデオサーバー、Storage Area Network、エンタープライズテープライブラリ) を統合できます。DIVArchive のインストールはサイトによって異なるため、特定の DIVArchive プラットフォームの正確な構成はこのガイドでは説明しません。特定の DIVArchive システムのインストールおよび構成の詳細は、使用中の DIVArchive のサイト構成を参照し、システム管理者に問い合わせてください。
サイト構成は、サイトに DIVArchive をインストールしたあとで Oracle (または関連するシステムインテグレータ) によって作成されるドキュメントです。これは、DIVArchive サブシステム、サードパーティーのインタフェース、サイトの詳細と連絡先、ユーザー名とパスワード、およびリモートアクセスコードの構成の完全なレコードです。
サイト構成は、このガイドのさまざまな箇所で参照されています。該当する場合には、サイト構成を参照してください。
このセクションでは、Oracle DIVArchive 7.5 の新機能と拡張機能について説明します。各機能と拡張機能に関する具体的な情報については、Oracle DIVArchive コアのドキュメントライブラリの『Oracle DIVArchive インストールおよび構成ガイド』を参照してください。DIVArchive のライセンス情報については、付録Aを参照してください。
現在、DIVArchive のすべてのコアコンポーネントで Oracle Linux 7 x86_64 以降がサポートされています。
英語以外の言語の Linux 環境が必要な場合、ユーザーを作成して、ユーザープロファイルで希望の言語を指定します。Oracle Linux 7 x86_64 以降では、さまざまな言語 (英語以外) がサポートされており、Linux のインストール中に言語を選択します。
Windows インストールでは英語を使用する必要があり、Oracle は英語ベースの Windows 環境のみをサポートしています。
Linux ベースの Actor では、Vantage トランスコーディング操作のみがサポートされます。
同じファイルを同じ宛先に 2 回並行して復元する場合、Windows での動作と Linux での動作は異なります。Windows では、最初の復元 (完全に同時には終了できません) では、2 番目の復元が終了するようにファイルをロックします。Linux では、ファイルシステムレベルでそのようなロックは行われません。両方の復元が同時に実行され、どちらでも同じファイルに書き込まれます。結果のファイルの内容は予測不可能です。
Windows サービス、Linux サービス、およびトランスコーダの実行と、Linux 環境での操作時の特定の制限に関する詳細は、Oracle DIVArchive 7.5 コアのドキュメントライブラリにある『Oracle DIVArchive インストールおよび構成ガイド』および『Oracle DIVArchive サポート対象環境ガイド』を参照してください。
UNC パスは、Windows Actor で直接マウントされている場合、SMB の Source/Destinations と管理対象ディスクでサポートされます。
Linux オペレーティングシステムの Oracle DIVArchive Actor では、CIFS ソースと宛先の UNC パスはサポートされません。ただし、マウントされた SMB 共有へのローカルパスを定義できます。
Linux ベースの Actor では CIFS を使用できないため、Linux ベースの Actor が内容を SMB ネットワーク共有 (トランスコーダキャッシュ) の間で転送できるようにするには、新しいパスが必要です。パスは、次のように区切られたリストで actorPath
パラメータの値として指定します。
[actor:actor_name,actorPath:actor_path,transcoder:trancoder_ip_address],cifs://username:password@\\transcoder_cache_ip_address\transcoder_cache
既存の Vantage トランスコーダ構成で使用するために Windows Actor から Linux Actor に切り替える場合は、既存の CIFS パスを変更する必要はありません。Vantage がキャッシュにアクセスするためには、CIFS パスのみが使用されます。変更するのは、actorPath
をトランスコーダの作業ディレクトリに追加することだけです。actorPath
は、Linux Actor がコンテンツを Linux システム上の SMB ネットワーク共有間で転送するために使用するパスを表します。
注意:
actor
、actorPath
、および transcoder
の各設定の順序は重要です。パラメータの順序は、actor
、その後に actorPath
、次に transcoder
である必要があります。例:
[actor:actor1,actorPath:/tmp/vantagecache,transcoder:100.100.100.100],cifs://Administrator:password@\\100.100.100.100\VantageStore
DIVArchive 7.5 では、Oracle Storage Cloud を使用するように構成できます。
クラウドアレイに追加されたディスクはすべて、クラウドディスクと見なされます。
DIVArchive での Storage Cloud アカウントの使用の詳細は、Oracle Storage Cloud 転送を参照してください。
Oracle Storage Cloud ストレージアカウントについては、http://docs.oracle.com/cd/E60880_01/VLPFN/whatis.htm#BABDADAE
にアクセスしてください。
DIVArchive Control GUI には、次の拡張機能が含まれています。
「Disks View」では新しい列を使用できます。「Consumed Size」というタイトルの列は、ディスク上のコンテンツで消費される K バイト単位の領域を表しています。この新しい列は、クラウドに格納されたコンテンツの量を可視化するため、ディスク領域の制限がないクラウドアカウントで特に役立ちます。
アレイに関連付けられたクラウドストレージクラスもこのビューに表示されます。クラウド以外のディスクのストレージクラスは「NONE」です。クラウドディスクのストレージクラスは、「STANDARD」(クラウドからすぐにダウンロードできます) または「ARCHIVE」(クラウドからダウンロードするには少なくとも 4 時間が必要です) です。
特定のクラウドインスタンスに関連付けられたストレージクラスを表示するために、「Object Properties View」に、「Cloud Storage Class」という名前の新しい列が含まれています。
DIVArchive 7.5 ローカル削除を使用すると、遅延削除モードで、アレイ上の残りのディスク容量に基づいていないサイト削除を実行できます。詳細は、Oracle DIVArchive 7.5 追加機能のドキュメントライブラリにある Oracle DIVArchive 7.5 ローカル削除のユーザーズガイドを参照してください。
現在 LTO7 ドライブがサポートされます。
DIVArchive 7.5 では、QOS 値に「Request Option」を指定できます。
「Request Options」として、アーカイブ要求で「Additional Service」の「Delete on Source
」、および復元要求で「Additional Services」の「Do not overwrite
」、「Do not check existence
」、および「Delete and Write
」サービスを指定できるようになりました。
DIVArchive 操作には、一部の特定のテープドライブ (Oracle T10K および IBM LTO ドライブ) について合計テープサイズが含められるようになりました。
DIVArchive 7.5 では、Sony の新しいタイプの ODA ドライブがサポートされます。これらのドライブの詳細は次のとおりです。
Sony は、新世代の ODA ドライブである ODS-280F と ODS-280U をリリースしました。DIVArchive は、ファイバチャネルタイプでのみテストされています。これらのドライブは、Gen1 ドライブの 2 倍高速です。ODS-280U は、DIVArchive 7.5 での使用に適していません。
ドライブ ODC3300R では、新しいタイプのカートリッジを使用できます。これは、3.3T バイトの容量を持つ WORM ドライブです。
Gen2 ドライブは、Gen1 ドライブを使用して Gen1 メディアに書き込まれたコンテンツを読み取ることができます。DIVArchive では読み取り専用メディアドライブの互換性はサポートされません。Oracle では、構成で Gen1 メディアを Gen2 メディアから分離する (世代間の互換性なし) ことをお勧めします。Gen1 カートリッジが含まれるライブラリには少なくとも 1 つの Gen1 ドライブが必要です。
DataExpedition リリース 1.17 がサポートされます。
JDBC Thin ドライバを使用すると、「Oracle SID」設定の代わりに「Oracle Service Name」を使用できます。
Oracle DIVArchive Partial File Restore 操作のための MPEG2 トランスポートストリームの拡張機能。この機能では、AES3 音声トラック付きの HD MPEG ビデオエッセンスがサポートされるようになりました。
Promedia Carbon (以前の Rhozet) のサポート。これは、DIVArchive 7.5 でサポートされる新しいトランスコーダです。構成ユーティリティーからトランスコーダタイプ Rhozet を選択できるようになりました。「Name」と「GUID」の両方が、「Presets」および「Profiles」形式タイプのオプションとしてサポートされます。
空のファイルとフォルダのアーカイブと復元がサポートされるようになりました。
空のファイルとフォルダは AXF でのみサポートされます。レガシー形式を使用しているときに、転送中に空のファイルまたはフォルダが検出されると、DIVArchive によってエラーが報告されます (以前の動作はサポートされなくなりました)。レガシー形式にアーカイブされた空のファイルまたはフォルダが含まれているオブジェクトは成功しますが、空のファイルとフォルダは無視されます。空のファイルとフォルダが含まれているデータをレガシーメディアにアーカイブすることに慣れているユーザーは、AXF メディアに切り替えるように指示されます。
空のファイルは、「Object Properties」ダイアログボックスの「Instances」タブの「Elements」リストに表示されるようになりました。フォルダは単なるメタデータであり、テープ上に物理的には存在しないため、「Elements」リストには表示されません。
すべてのファイルとフォルダが「Object Properties」ダイアログボックスの「Components」タブに表示されます。
Windows オペレーティングシステムを使用して作成されるショートカットはファイルとして扱われるため、シンボリックリンクとして表示されません。UNIX プラットフォーム上に作成されるシンボリックリンクのみがアーカイブされ、DIVArchive でシンボリックリンクとして表示されます。
getFilesAndFolders
呼び出しから返される Java および C++ API のファイルリストには、シンボリックリンクが含まれています。
エクスポート操作とインポート操作の type
属性には、シンボリックリンクを表すために文字 S
を含めることができるようになりました。
長いパス名は、Windows と Linux の両方でサポートされます。絶対パス名は、Windows と Linux の両方でサポートされ、最大 4000 文字です。相対パス名は、Windows システム (のみ) では 256 文字に制限されます。
Control GUI では、「Object Properties」ダイアログボックスの「Properties」タブの「Components」リストに、ファイルへの完全修飾パスと空のフォルダへの完全修飾パスが表示されるようになりました。
移行サービスジョブには、イベントが関連付けられるようなりました。すべてのジョブイベントが、「Job Properties」ダイアログボックスの「Job Events」タブに表示されます。デフォルトでは、イベントは time および event id によって降順でロードされます。「Job Events」タブの「Events」テーブルでは、重要度に基づいて異なる色でイベントが強調表示されます。赤色はエラー、黄色は警告、白は情報を示します。新しい「Refresh」ボタンは、「Job Properties」ダイアログボックス全体をリフレッシュします。
移行ジョブを使用して、テープ形式をレガシーから AXF に変更する必要があります。テープをリパックしても、テープ形式は変更されません。既存のレガシー形式のオブジェクトをリパックすると、テープグループ形式が構成でレガシーから AXF に更新された場合でも、テープの形式が保持されます。
Oracle DIVArchive Storage Plan Manager は、64 ビットのオペレーティングシステムを使用するために移植されました。
アクションを右クリックして、コンテキストメニューから「Mark Action Completed」を選択することで、「SPM Failed Actions」のステータスを「Completed」に変更できるようになりました。
「Once Only」オプションが「NO」に設定されているときに、ストレージスロットの有効期限が切れる前に、SPM によってコピーされたインスタンスをユーザーが手動で (または誤って) 削除した場合、SPM は通常、完了したコピーアクションを再試行します。また、SPM によってインスタンスが削除されたあとで、ユーザーがそのインスタンスをストレージスロットメディアに手動で (または誤って) コピーした場合、SPM は通常、完了した削除アクションを再試行します。完了としてマークされたアクションが SPM によって再試行されることはありません。ただし、ユーザーが完了したアクションを右クリックして、コンテキストメニューから「Reschedule Action」を選択することで、そのアクションを再スケジュールできます。「Mark Action Completed」(ユーザーによる) オプションは、administrator プロファイルを使用した場合にのみ利用可能です。
詳細は、Oracle DIVArchive 7.5 追加機能のドキュメントライブラリにある Oracle DIVArchive 7.5 Storage Plan Manager のユーザーズガイドを参照してください。
Operator プロファイルと Advanced Operator プロファイルは、Control GUI プロファイルにあります。2 つのプロファイルの違いは、Advanced Operator プロファイルには「Insert」および「Eject」テープコマンドが含まれていることです。通常の操作中には、テープを挿入または取り出しする場合を除き、Operator プロファイルを使用します。
DIVAnet 2.1 は、DIVArchive 7.5 Linux ベースのインストールに対応した新しいリリースです。DIVAnet 2.1 は、Windows ベースのシステムでも稼働します。ただし、これには、DIVArchive 7.3.1 より前のリリースとの下位互換性はありません。DIVArchive 7.3.1 より前の DIVArchive リリースを実行している場合は、DIVAnet 2.0 またはレガシー DIVAnet のいずれかを使用する必要があります。
異なるソフトウェアリリースレベルおよび DIVArchive 7.3.1 より前のリリースと DIVArchive システムを接続するために、引き続きレガシー Oracle DIVAnet を使用できます。
7.3.1 より前の DIVArchive リリースが動作している場合は、DIVAnet 2.0 ドキュメントライブラリにある『DIVAnet インストール、構成、および操作ガイド』か、(DIVArchive リリース 6.5 および 7.2 の場合) DIVArchive Legacy ドキュメントライブラリにある適切な Legacy DIVAnet ドキュメントを参照してください。
DIVAnet 2.1 は、レガシー DIVAnet とは異なる方法で構成されおり、当座の代替品ではありません。DIVAnet 2.1 では、すべてのサイトに DIVArchive リリース 7.3.1 以降がインストールされている必要があります。
DIVAnet 2.1 の重要点は、次のとおりです。
新しいアーキテクチャーでは、より多くのサイト、要求、接続、およびオブジェクトがサポートされます。
構成可能性、管理可能性、および柔軟性が向上し、改善されたエラー処理
新しい DIVAnet ユーザーインタフェース (UI) は、より強力な要求モニタリングおよびアセット検索機能を備えており、シンプルで柔軟性の高い調整、コピー、および削除プロセスが使用されます
API 機能の拡張
Oracle Linux 7 x86_64 以降の互換性のサポート
新しい DIVAnet バージョンの詳細は、DIVAnet 2.1 ドキュメントライブラリにある『Oracle DIVAnet インストール、構成、および操作ガイド』を参照してください。
DIVArchive のライセンス情報については、付録Aを参照してください。
新機能と拡張機能が適合するよう、DIVArchive 7.5 構成ファイルに変更が加えられています。このセクションでは、変更の簡単な概要を示します。各コンポーネントに固有のセクションにより詳細な情報があります。
Manager の新しい ABORT_ARCHIVES_ON_EMPTY_FILES
構成設定により、空のファイルが含まれているアーカイブ要求は終了します。デフォルト設定は disabled で、空のファイルのアーカイブを許可します。
Manager の新しい DIVAMANAGER_DBSERVICENAME
構成設定は Oracle ServiceName
設定です。これは、データベースのインストール時に設定されます。推奨される設定は、lib5.world
です。この値または DIVAMANAGER_DBSID
を設定する必要があります。両方を設定した場合、ServiceName
が Oracle SID よりも優先されます。