この章の内容は次のとおりです。
JD Edwards (JDE) EnterpriseOneは、ビジネス価値、標準ベースのテクノロジおよび業界での豊富な経験を結合し、総所有コストの低いビジネス・ソリューションを実現する、包括的なERPソフトウェアの統合アプリケーション・スイートです。
Oracle Data IntegratorのJDEナレッジ・モジュールは、次のような目的で、JDE EnterpriseOneの成熟したデータベースレベルの統合メソッドを使用しています。
JDE EnterpriseOneデータ構造のリバース・エンジニアリング
JDE EnterpriseOneからのデータの読取り(ダイレクト・データベース統合)
JDEアプリケーションへのZ表によるデータの書込み(インタフェース表の統合)
Oracle Data Integratorには、JDE EnterpriseOneデータを処理するためのナレッジ・モジュールが用意されています。これらのリストを次の表に示します。これらの特定のJDE KMでは、Oracle Data IntegratorによるJDE EnterpriseOneプラットフォームと任意のデータベース・アプリケーションとの接続性および統合を提供しています。
表3-1 JDEナレッジ・モジュール
ナレッジ・モジュール | 説明 |
---|---|
RKM JDE EnterpriseOne Oracle |
Oracle DatabaseにインストールされたJDE EnterpriseOneからの表やインタフェース表など、アプリケーションのオブジェクトのメタデータをリバース・エンジニアリングします。 |
RKM JDE EnterpriseOne SQL Server |
SQL ServerにインストールされたJDE EnterpriseOneからの表やインタフェース表など、アプリケーションのオブジェクトのメタデータをリバース・エンジニアリングします。 |
RKM JDE EnterpriseOne DB2 UDB |
IBM DB2 UDBデータベースにインストールされたJDE EnterpriseOneからの表やインタフェース表など、アプリケーションのオブジェクトのメタデータをリバース・エンジニアリングします。 |
RKM JDE EnterpriseOne DB2 AS400 |
IBM DB2 for iSeriesサーバーにインストールされたJDE EnterpriseOneからの表やインタフェース表など、アプリケーションのオブジェクトのメタデータをリバース・エンジニアリングします。 |
IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE) |
任意のソースからのデータをJDE EnterpriseOneに統合します。制御追加モードでEnterpriseOne Z表のデータを統合します。
|
JDE EnterpriseOneデータでの作業を開始する前に、この項の情報を必ず読んでください。
インストールを実行する前に、システム要件および動作保証のドキュメントを読み、インストールする製品の最小インストール要件を環境が満たしていることを確認します。
サポートされているプラットフォームおよびバージョンのリストには、次のOracle Technical Network (OTN)からアクセスできます。
http://www.oracle.com/technology/products/oracle-data-integrator/index.html
IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)を使用するには、RunUBEユーティリティがインストールされているJDEサーバーに、Oracle Data Integratorのランタイム・エージェントがインストールされている必要があります。
RKM JDE EnterpriseOne DB2 UDBを使用して表およびZ表をリバース・エンジニアリングするには、IBM DB2 UDBデータベースが別のDB2データベースに格納されているデータにアクセスできる必要があります。次の手順では、DB2ファミリ・データソースへのアクセスを構成する方法について説明します。
Oracle Data Integratorは、JDBC接続を使用してJDEデータをホストするデータベースに接続します。Oracle Database、Microsoft SQL Server、IBM DB2 UDBおよびIBM DB2 for iSeriesとのJDBC接続性の詳細は、『Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』の次の項を参照してください。
この手順では、データ・サーバーおよび、JDEデータの格納に使用される物理スキーマと論理スキーマを、Oracle Data Integratorで宣言します。
基盤となるテクノロジにより、JDE表は、Oracleスキーマ、Microsoft SQL Serverデータベース、IBM DB2 UDBスキーマまたはIBM DB2 for iSeriesライブラリに格納できます。
JDE表をホストするテクノロジのデータ・サーバーを作成します。詳細は、『Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』の次の項を参照してください。
このデータ・サーバーは、JDEデータを格納するインスタンス、スキーマ、データベースまたはライブラリ(後続の項では、すべてのテクノロジに対してスキーマという用語が使用されます)を指している必要があります。
「データ・サーバーの作成」で作成したデータ・サーバーの下に物理スキーマを作成します。『Oracle Data Integratorの管理』の物理スキーマの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用します。
このスキーマは、リバース・エンジニアリングを行うJDE表を含むスキーマを指している必要があります。
注意:
JDE表を格納するスキーマは、物理スキーマ定義で作業スキーマとして定義しないでください。また、このスキーマは、マッピングのステージング領域として使用しないでください。
『Oracle Data Integratorの管理』の論理スキーマの作成に関する項の説明に従って、標準の手順を使用してこの物理スキーマ用の論理スキーマを作成し、特定のコンテキストで関連付けます。
JDEの機能を使用してプロジェクトを設定するには、標準の手順に従います。『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』の統合プロジェクトの作成に関する項を参照してください。
次のKMをOracle Data Integratorプロジェクトにインポートします。
IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)
JDE表をホストするテクノロジに応じて、次のいずれかをインポートします。
RKM JDE EnterpriseOne Oracle
RKM JDE EnterpriseOne SQL Server
RKM JDE EnterpriseOne DB2 UDB
RKM JDE EnterpriseOne DB2 AS400
これらの特定のJDE KMに加えて、JDE表をホストするテクノロジの標準LKMをインポートします。利用できるKMのリストは、『Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』の次の項を参照してください。
この項では、次の項目について説明します。
『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』のモデルの作成に関する項の説明に従い、標準の手順を使用して、JDE表をホストするテクノロジに基づくモデル、およびJDE接続の構成時に作成された論理スキーマに基づくモデルを作成します。
注意:
Oracle Data Integratorで定義されるJDE EnterpriseOneテクノロジはありません。JDEデータをホストするOracle Databaseに対応する論理スキーマでデータ・モデルが作成されます。
JDE RKMはJDE表のリバース・エンジニアリングを行うことができます。これらのRKMは、表やインタフェース表など、JDEオブジェクトからメタデータを取得します。
JDE RKMを使用してJDE表のカスタマイズされたリバースエンジニアリングを実行するには、『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』のモデルのリバースエンジニアリングに関する項の説明に従って、通常の手順を使用します。この項では、JDE表固有のフィールドのみについて説明します。
リバース・エンジニアリング・プロセスによって、モジュールごとにグループ化されたデータストアが返されます。これらのデータストアをマッピングのソースまたはターゲットとして使用できます。
JDEのデータ表はマッピングのソースとして使用できます。JDE Z表は、マッピングのターゲットとして使用できます。
マッピング用に選択したKMによって、このマッピングの機能およびパフォーマンスが決まります。この項に示す推奨事項は、JDEデータのロードおよび統合に関連する様々な状況でのKMの選択に役立ちます。
RKM JDE EnterpriseOne <database>を使用してリバース・エンジニアリングを実行すると、JDEデータ表をマッピングのソースとして使用し、JDEアプリケーションからデータを抽出して他のシステム(データ・ウェアハウス、他のデータベースなど)に統合できます。
この状況でJDE EnterpriseOneをソースとして使用することは、マッピングでソースとしてOracle、Microsoft SQL Server、DB2/400またはIBM DB2 UDBデータストアを使用することと同じです。汎用SQL、Oracle Database、Microsoft SQL Server、IBM DB2 for iSeriesおよびIBM DB2 UDBのKMをこの目的で使用することもできます。詳細は、『Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』の次の章を参照してください。
Oracle Database
汎用SQL
Microsoft SQL Server
IBM DB2 for iSeries
IBM DB2 UDB
RKM JDE EnterpriseOne <database>を使用してリバース・エンジニアリングを実行すると、JDE Z表をマッピングのターゲットとして使用し、IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)により任意のシステムからのデータをJDEアプリケーションにロードできます。
JDE EnterpriseOneへのデータの統合は、次の2つのフェーズで実行されます。
最初のフェーズでは、RunUBEコマンドをコールすることなく、いくつかのマッピングを使用して、データがZ表のセットに統合されます。これらのマッピングでは、JDE_RUNUBEオプションをNo
に設定して、IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)を使用できます。
2番目のフェーズでは、RunUBEコマンドが起動され、Z表からのデータがJDE EnterpriseOneに統合されます。これは、一般的に、最後に要求されるZ表をロードするマッピングで行われます。このマッピングでは、JDE_RUNUBEオプションをYes
に設定してIKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)を使用します。
これらのマッピングはパッケージに並べる必要があります。
Oracle Data Integratorでは、自動的にRunUBEコマンドをコールしてJDEに書き込むことができます。IKMでのRunUBEコールの有効化は、JDEへの移入に必要なすべてのZ表をロードした後でのみ行ってください。IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)により、RunUBEコマンドがコールされるとともにZ表のロードが可能となります。
JDEをターゲットにするマッピングを作成する手順は次のとおりです。
Z表をターゲット・データストアとしてマッピングを作成します。
通常どおり結合、フィルタおよびマッピングを作成します。
「フロー」タブで、IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)を選択します。
標準のKMオプション(INSERT、COMMIT、FLOW_CONTROL)を設定します。
JDE_RUNUBEオプションをYes
に設定します。
RunUBEコマンドが実行されるJDE_DIRECTORYを指定します。
パスワード・ファイルを作成する場合、次の表に示すとおり、パスワード関連オプションを設定します。
表3-3 パスワード関連KMオプション
オプション | 値 | 備考 |
---|---|---|
JDE_CREATE_PWD_FILE |
Yes |
UnixまたはiSeries環境でRunUBEのセキュリティを向上させるため、RunUBEコマンドの実行時に、システムはJDE_PWD_FILEオプションで指定されたテキスト・ファイルを読み取り、このテキスト・ファイルに示されているJD Edwards EnterpriseOneユーザーIDとパスワードを使用します。 |
JDE_PWD_FILE |
パスワード・セキュリティ・ファイルの絶対パス |
このファイルには、JDE_USER_IDおよびJDE_PWDオプションで指定されたユーザーIDとパスワードが含まれています。 |
JDE_DELETE_PWD_FILE |
|
パスワード・ファイルを削除する場合は、 パスワード・ファイルを保持する場合は、 このコマンドの実行でパスワード・ファイルを削除する場合でも、このファイルはサーバー・ファイル・システム上のセキュアな場所に保管しておく必要があります。 |
JDE_USER_ID |
JDE EnterpriseOneユーザーID |
このユーザーにはレポートを実行する権限が必要です。 |
JDE_PWD |
JDE EnterpriseOneパスワード |
ユーザーIDに対応するEnterpriseOneのパスワードです。 |
次の表に示すように、RunUBEコマンドのパラメータを設定します。
表3-4 RunUBEコマンド関連KMオプション
オプション | 値 | 備考 |
---|---|---|
JDE_ENVIRONMENT |
JDE EnterpriseOne環境 |
|
JDE_ROLE |
JDE EnterpriseOneロール |
|
JDE_REPORT |
処理するレポートのシステム名 |
例: フラット・ファイルの場合、 |
JDE_VERSION |
処理するレポートのバージョンの名前 |
例: |
JDE_JOB_QUEUE |
バッチ・ジョブのルーティング先のジョブ・キューの名前 |
例: |
JDE_PROCESSING_MODE |
処理モード |
バッチ処理を使用する場合は、 インタラクティブ・モードを使用する場合は、 |
JDE_HOLD_CODE |
保持コード |
ジョブの完了後すぐにプリンタに出力を送る場合は、 処理したファイルを印刷せずに保持する場合は、 |
JDE_SAVE_CODE |
保存コード |
処理の完了後にファイルを保存する場合は、 削除オプション( |
IKM JDE EnterpriseOne Control Append (UBE)の制限
ターゲット表が別の表(外部キー)によって参照されている場合、TRUNCATEオプションは機能しません。
RECYCLE_ERRORSオプションを使用する際には、マッピングに更新キーが設定されている必要があります。
このモジュールをジャーナル化されたソース表と組み合せて使用する場合、ソースの削除を含めないようデータが自動的にフィルタ処理されます。
FLOW_CONTROLおよびSTATIC_CONTROLオプションは、無効なデータを分離するためにチェック・ナレッジ・モジュールをコールします(CKMが設定されていない場合、エラーが発生します)。マッピングでTEMPORARYターゲット・データストアにデータが移入される場合は、両方のオプションをNoに設定する必要があります。
RunUBEコマンドはJDEサーバーで実行する必要があります。
Oracle Data Integratorランタイム・エージェントは、このサーバーにインストールする必要があります。
RunUBEコマンドが起動されたかどうかの情報以外に、RunUBEコマンドはプログラムの実行に関する詳細を示しません。プログラムの実行の詳細を把握するには、JDEサーバーで作成されたログ・ファイルを確認するか、JDEアプリケーションに接続してジョブ・ステータスの表示アプリケーション(アプリケーション = P986110
、フォーム = W986116A
)を検索します。