第 12 章 Oracle VM構成要素のバックアップおよびリストア
この章では、Oracle VM Manager、データベース・リポジトリおよび仮想マシンをバックアップおよびリストアするために必要な基本的な情報を説明します。
Oracle VM Serverのバックアップは、重要なデータが含まれていないためお薦めしません。 Oracle VM Serverをバックアップおよびリカバリするかわりに、障害発生時にOracle VM ServerをOracle VM Managerから削除し、必要に応じてOracle VM Serverソフトウェアを再インストールして再検出してください。
Oracle VMを構成する様々なエンティティのバックアップおよびリストアの詳細は、次に示すサイトのOracle VM 3: バックアップおよびリカバリのベスト・プラクティス・ガイドを参照してください。
https://www.oracle.com/technetwork/server-storage/vm/overview/index.html
12.1 Oracle VM Managerのバックアップおよびリストア
この項では、データベース・リポジトリを含むOracle VM Managerを手動でバックアップおよびリストアする方法に関する情報を示します。
Oracle VM Managerを手動でバックアップするステップの概要は次のとおりです。
-
Oracle VM Manager構成ファイルのコピーを作成します。
Oracle VM Manager構成ファイルのバックアップの詳細は、 12.1.1項「Oracle VM Manager構成ファイルのバックアップ」を参照してください。
-
Oracle VM Managerデータベースをバックアップします。
Oracle VM Managerデータベースは、MySQL Enterprise Backupユーティリティで24時間ごとに自動的にバックアップされますが、バックアップを手動で行うことも可能です。
Oracle VM Manager MySQLデータベースのバックアップおよびリストア機能の詳細は、 12.1.2項「MySQLデータベース・リポジトリのバックアップ」を参照してください。
12.1.1 Oracle VM Manager構成ファイルのバックアップ
Oracle VM Managerをバックアップするには、次の場所にあるOracle VM Manager構成ファイルのコピーを作成してください。
/u01/app/oracle/ovm-manager-3/.config
この構成ファイルには、データベース接続情報、ポートおよびOracle VM ManagerのUUIDが含まれます。 次に、構成ファイル構造の例を示します。
DBTYPE=MySQL
DBHOST=localhost
SID=ovs
LSNR=46500
OVSSCHEMA=ovs
APEX=None
WLSADMIN=weblogic
OVSADMIN=admin
COREPORT=54321
UUID=uuid
BUILDID=x.x.x.xxx
次の表では、構成ファイルのプロパティおよび値を説明します。
名前 |
説明 |
---|---|
|
データベース・タイプです。 これは、レガシー構成プロパティです。 値は常に |
|
データベース・サーバーのホスト名です。 これは、レガシー構成プロパティです。 値は常に |
|
Oracle System ID (SID)。 デフォルト値は |
|
データベース・リスナーのポート番号です。 デフォルト値は |
|
Oracle VM Managerのデータベース名です。 デフォルト値は |
|
これは、レガシー構成プロパティです。 デフォルト値は |
|
Oracle WebLogic Server管理者ユーザー名です。 デフォルト値は |
|
Oracle VM Manager管理者ユーザー名です。 デフォルト値は |
|
Oracle VM Managerコアのポート番号です。 デフォルト値は |
|
Oracle VM Manager汎用一意識別子(UUID)です。 |
|
Oracle VM Managerバージョンおよびビルド番号です。 |
12.1.2 MySQLデータベース・リポジトリのバックアップ
この項では、Oracle VM Manager MySQLバックアップ機能を説明します。
Oracle VM Managerリリース3.2.1でローカルのMySQLデータベースは、自動的にバックアップされます。 バックアップはデフォルトで/u01/app/oracle/mysql/dbbackup
内に格納され、常に最新のバックアップのみが格納されるよう定期的にローテーションされます。 バックアップでは、MySQL Commercial Backupユーティリティを使用します。 MySQL Enterprise Backupユーティリティの詳細は、https://www.mysql.com/products/enterprise/backup.htmlを参照してください。
MySQL Enterprise Backupパッケージは、Oracle VM Managerのインストール時に付属してインストールされます。 Oracle Linuxシステムでは、これはmysql-commercial-backup-
をインストールすることで処理されます。
version_number
.x86_64.rpm
x86システムでは、バックアップ構成オプションはOracle VM Managerホストの/etc/sysconfig/ovmm
に定義されています。
MySQLデータベース・バックアップ・ファイルを格納するために使用するデフォルト・パスを構成するには、次の行を検索します。
DBBACKUP=/u01/app/oracle/mysql/dbbackup
このパスは、ディスク領域の要件を満たすために別の場所に変更できます。
mysqlbackupバイナリのデフォルト・パスは次の行で指定されています。
DBBACKUP_CMD=/opt/mysql/meb-x.x
/bin/mysqlbackup
このパスは、MySQL Enterprise Backupパッケージが今後更新された場合に対応できるようにする目的で明確にしています。 これは変更しないようにする必要があります。
自動データベース・バックアップ機能の実行頻度やローテーションを通じて保持されるバックアップ数などの構成オプションは、データベース自体に格納されます。 これらのパラメータは、Oracle VM Manager WebインタフェースまたはOracle VM Managerコマンドライン・インタフェースを使用して設定できます。 これらのパラメータの設定方法の詳細は、Oracle VM Managerオンライン・ヘルプの「優先度」に関する項および「Oracle VM Managerコマンドライン・インタフェース・ユーザー・ガイド」のsetDbBackupConfigコマンドを参照してください。
12.1.2.1 バックアップ・ディレクトリのコンテンツ
MySQLデータベース・バックアップ・ディレクトリには、次に示すネーミング規則があります: AutoFullBackup-
。
MMDDYYYY
_hhmmss
バックアップ・ディレクトリには、次のディレクトリが含まれます。
-
AutoBackup.log
。これには、バックアップ・プロセス中に発生したイベントに関する情報が含まれています。 -
MySQL構成ファイルのコピー。
-
データベースのバイナリ・ログを含む
datadir
ディレクトリ。 -
MySQL Enterprise Backupプロセスに固有のファイルを含む
meta
ディレクトリ。 -
バックアップされたデータベースの
MBI
イメージ・ファイル
12.1.2.2 バックアップ間隔およびローテーションの構成
MySQLデータベース・バックアップの頻度およびOracle VM Managerが保持するデータベース・バックアップの数を設定できます。 詳細は、Oracle VM Managerオンライン・ヘルプの「プリファレンス」セクションを参照してください。
12.1.2.3 手動でのMySQLデータベースのバックアップ
バックアップは手動で開始できます。 これは通常Oracle VM Managerのアップグレードを実行する際に行います。 mysqlbackupユーティリティを直接呼び出すことは可能ですが、/u01/app/oracle/ovm-manager-3/ovm_tools/bin/BackupDatabase
でバックアップ・スクリプトを使用することをお薦めします。
このスクリプトの例を次に示します。
# /u01/app/oracle/ovm-manager-3/ovm_tools/bin/BackupDatabase -w Enter your OVM Manager username: admin Enter your OVM Manager password: INFO: Backup job starting with destination: /u01/app/oracle/mysql/dbbackup/ManualBackup-time_stamp
Job Id = 'Start Backup to: ManualBackup(ID
) Uri: https://localhost:7002/ovm/core/wsapi/rest/Job/ID
' Job Name = 'Start Backup to: ManualBackup' INFO: Backup job finished
Oracle VM ManagerデータベースとMySQLデータベースの両方で、MySQLルート・ユーザーのパスワードが同じであることが重要です。 それ以外の場合、データベースのバックアップは失敗します。
デフォルトでは、バックアップ・スクリプトは自動バックアップのためのローテーションを避けるために、手動バックアップとしてバックアップを格納します。
前述の例は、-w
コマンドライン・スイッチを使用して、バックアップ・ジョブが完了するまでバックアップ・スクリプトを強制的に待機させています。 このオプションは、潜在的なエラー・メッセージを取得する必要がある場合には便利ですが、ジョブが完了するかエラーで終了するまでスクリプトを待機してしまいます。 -w
コマンドライン・スイッチを使用しない場合には、Oracle VM Manager WebインタフェースまたはOracle VM Managerコマンドライン・インタフェースを確認して、ジョブが正常に完了したかどうかを判断してください。 -h
コマンドライン・スイッチを使用して、このコマンドでサポートされているオプションの全体リストを取得できます。
バックアップ・スクリプトは、本番環境内でCA署名SSL証明書を使用していることを前提としています。 自己署名証明書の使用は薦められておらず、スクリプトの実行時にエラーが発生する可能性があります。 --insecure
コマンドライン・パラメータを使用したSSL検証を無効にすることは可能ですが、これは操作のセキュリティを損なう可能性があり、お薦めできません。 2.2.6項「デフォルトのSSL証明書の変更」で説明しているように、SSL検証エラーを解決する優れたアプローチは、認定されたCAによって署名されたSSL証明書をインストールすることです。
MySQL Enterprise Backupの使用方法の詳細は、https://dev.mysql.com/doc/mysql-enterprise-backup/enを参照してください。
12.1.3 Oracle VM Managerのバックアップおよびリストアのトラブルシューティング
Oracle VM Managerに関する問題が発生した場合は、次の手順を実行します:
-
データベース・リストアを実行します。 詳細については、第12.1.4項、「Oracle VM Managerのリストア」を参照してください。
アーカイブに適切なバックアップが作成されている場合は、元に戻すことができます。 最新のデータベース・バックアップをチェックするには、Oracle VM Managerホストで次のコマンドを実行します:
ls -ltr /u01/app/oracle/mysql/dbbackup/
バックアップが存在する場合は、第12.1.4項、「Oracle VM Managerのリストア」に記載されているステップに進むことができます。
ノートOracle VM Managerデータベースのリストアの詳細は、Oracle Support Knowledge Baseで「ドキュメントID 2405023.1」を参照することもできます。
各バックアップを実行する前にチェックが完了し、データベースをバックアップできるかどうかを判定します。 データベースの一貫性チェックに失敗すると、自動バックアップは生成されなくなります。 詳細は、Oracle Supportナレッジ・ベースの「ドキュメントID 2060953.1」を参照してください。
-
データベースのバックアップが適切でない場合、または他のデータベースの破損の問題がある場合は、データベースを再構築します。 第12.1.5項、「データベース・バックアップがない場合のOracle VM Managerのリストア」を参照
また、Oracle VM Managerデータベースの再生成に関する追加情報は、Oracle Supportナレッジ・ベースの「ドキュメントID 2038168.1」を参照してください。
12.1.4 Oracle VM Managerのリストア
Oracle VM ManagerおよびOracle VM Managerデータベースをバックアップからリストアする手順は次のとおりです。
-
まず、Oracle VM Managerを再インストールまたはアップグレードする必要がある場合、Oracle VM Managerのインストール・メディアを使用し、サーバーにソフトウェアのインストールまたはアップグレードを実行します。 「インストールおよびアップグレード・ガイド」を参照してください。
runInstaller.sh --uuid
uuid
コマンドを使用してインストールを実行し、バックアップの作成元である以前のマネージャのインストールのUUIDを指定する必要があります。 UUIDは、Oracle VM Managerの構成ファイルにあります。ノートOracle VM Manager UUIDは、Oracle Linuxの
ファイルおよび/etc/sysconfig/ovmm
ファイルにも保持されます。 Oracle VM Managerをインストールまたはリストアするサーバーのシステム・ディスクが完全に削除されていない場合、既存のUUIDは依然として存在するため、インストーラの実行時に検出されます。/etc/opt/ovmm
-
Oracle Linuxの
--uuid
オプションは、この既存のUUIDをオーバーライドします。 Oracle Solarisユーザーは、このオプションを短縮した形式で使用する必要があります:-u
。 -
/etc/sysconfig/ovmm
にUUIDが存在しない場合、--uuid
オプションはOracle Linux上のファイルにUUIDを追加します。 このファイルにUUIDが存在しない場合、Oracle Solarisでは、-u
オプションにより、
にUUIDが追加されます。/etc/opt/ovmm
次に、Oracle Linuxのインストール・コマンド構文の例を示します:
# ./runInstaller.sh --uuid 0004FB000000100002CB7F2DFFA8D8
Oracle VM Managerのインストーラによってインストール情報の入力が求められる場合には、Oracle VM Manager構成ファイルのバックアップに記載されているものと同じユーザー名をデータベース・スキーマ、Oracle WebLogic ServerおよびOracle VM Manager管理ユーザーに再利用します。
可能であれば、Oracle VM Managerがバックアップからリストアされた後、Oracle VM Managerの再起動で問題が起きないように、再インストール前にOracle VM Managerで使用していたものと同じパスワードを再使用してください。 パスワードを変更する場合には、リストア操作を完了してから変更してください。
再インストール時に新しいパスワードを使用すると、データベースをリストアした後、Oracle VM Managerサービスを起動できなくなります。 この状況を正すために、MySQLデータベースでovsユーザーおよびappfwユーザーのパスワードを手動でリセットする必要があります。 これは、mysqladminツールを使用して行うことができます。
-
-
インストール、再インストールまたはアップグレード後、バックアップをリストアする前にOracle VM Managerコマンドライン・インタフェース、Oracle VM Managerおよびデータベースを停止します。 Linuxの場合:
# /sbin/service ovmcli stop # /sbin/service ovmm stop # /sbin/service ovmm_mysql stop
-
データベース・リストアをoracleユーザーで起動するには、次の例のように
/u01/app/oracle/ovm-manager-3/ovm_tools/bin
にあるRestoreDatabase
コマンドを使用します。# su - oracle $ bash /u01/app/oracle/ovm-manager-3/ovm_tools/bin/RestoreDatabase.sh \
ManualBackup-time_stamp_ID
RestoreDatabase
スクリプトでは、「インストールおよびアップグレード・ガイド」で説明されているように、特定のバックアップ・ディレクトリのディレクトリ名が必要です。 バックアップ・ディレクトリへの完全なパスは、DBBACKUP変数ですでに指定済であるため、指定する必要はありません。RestoreDatabase
スクリプトでは、データベース・リストア操作が正常に実行できるように、既存のデータベース・ディレクトリおよびそのコンテンツを削除するよう求めるプロンプトが表示されます。 スクリプトを実行する前に、このデータを安全に削除できることを確認する必要があります。 このデータを削除しない場合には、データが削除されるまでスクリプトを続行できません。 この操作は、手動で行うのではなく、スクリプトが実行できるようにすることをお薦めします。Before the database can be restored, the following database directories/files must be deleted: appfw ibdata1 ib_logfile0 ib_logfile1 mysql ovs performance_schema Are you sure it is safe to delete these directories/files now? [y,n] y Deleting directory /u01/app/oracle/mysql/data/appfw Deleting directory /u01/app/oracle/mysql/data/ibdata1 Deleting directory /u01/app/oracle/mysql/data/ib_logfile0 Deleting directory /u01/app/oracle/mysql/data/ib_logfile1 Deleting directory /u01/app/oracle/mysql/data/mysql Deleting directory /u01/app/oracle/mysql/data/ovs Deleting directory /u01/app/oracle/mysql/data/performance_schema INFO: Expanding the backup image... INFO: Applying logs to the backup snapshot... INFO: Restoring the backup... INFO: Restoring OVM keystores and certificates INFO: Success - Done! INFO: Log of operations performed is available at: /u01/app/oracle/mysql/dbbackup/ManualBackup-
time_stamp_ID
/Restore.log IMPORTANT: As 'root', please start the OVM Manager database and application using: service ovmm_mysql start; service ovmm start; service ovmcli start重要RestoreDatabase
スクリプトは、バージョン・チェックを実行して、データベースのバージョンが、バックアップの作成元のデータベースのバージョンと一致することを確認します。 バージョンの不一致があると、Oracle VM Managerが使用できなくなる可能性があるため、スクリプトは警告で終了します。スクリプトの起動時に
--skipversionchecks
オプションを使用することで、このバージョン・チェックを無効にできます。 バージョンの不一致はOracle VM Managerに望ましくない結果をもたらす可能性があるため、このオプションは注意して使用する必要があります。たとえば、以前の3.4.xリリースのデータベース・バックアップは、リリース3.4.5以降のOracle VM Managerデプロイメントではデータベース・スキーマの変更のために使用できません。
-
データベースとOracle VM ManagerおよびOracle VM Managerコマンドライン・インタフェースを再起動します。 Oracle Linuxの場合:
# /sbin/service ovmm_mysql start # /sbin/service ovmm start # /sbin/service ovmcli start
-
Oracle VM Manager WebインタフェースやOracle VM Managerコマンドライン・インタフェースなど、様々なコンポーネントの認証に必要な証明書は新規インストール時に再生成され、これらのマッピングはデータベース・リストアによって上書きされるため、これらのコンポーネントの認証に使用する証明書を再構成する必要があります。
次のスクリプトを実行してOracle WebLogic Serverを再構成します。
# export MW_HOME=/u01/app/oracle/Middleware # /u01/app/oracle/ovm-manager-3/ovm_upgrade/bin/ovmkeytool.sh setupWebLogic
ovmkeytool.shスクリプトの詳細は、 2.2.1項「Oracle VM Key Tool」を参照してください。
-
Oracle VM Managerを新しいホストに移動した場合、次のように新しいSSLキーを生成する必要があります。
# /u01/app/oracle/ovm-manager-3/ovm_upgrade/bin/ovmkeytool.sh gensslkey
新しいSSLキーの生成の詳細は、 2.2.5項「新規SSLキーの生成」を参照してください。
-
次に示すように、Oracle VM Managerを再起動し、クライアント証明書構成スクリプトを実行します。
# /sbin/service ovmm restart # /u01/app/oracle/ovm-manager-3/bin/configure_client_cert_login.sh /
path
/to
/cacert
ここで、
/
は、CA証明書の絶対パスです。 デフォルトのOracle VM Manager CA以外のCAを使用してSSL証明書に署名した場合、CA証明書へのパスを指定する必要があります。path
/to
/cacert
スクリプトでは、Oracle VM Managerが実行されていることが必要で、Oracle VM Managerへのアクセスに使用する管理者のユーザー名およびパスワードを求めるプロンプトが表示されます。 スクリプトによって変更が加えられ、これによりOracle VM Managerの再起動が必要な場合があります。
# /sbin/service ovmm restart
-
Oracle VM Manager内の「Servers and VMs」タブに進み、既存のサーバー・プールで「Refresh All」を実行します。 これらのオプションの詳細は、Oracle VM Managerオンライン・ヘルプを参照してください。
12.1.5 データベース・バックアップがない場合のOracle VM Managerのリストア
ここで示す手順は、最後の手段として使用してください。 バックアップ計画が適切であり、データベース・バックアップがこの目的に合った記憶域にあることを確認する必要があります。 通常、これらのバックアップはなんらかのネットワーク接続ストレージに格納する必要があり、なんらかのミラーリングを行うRAIDを使用することをお薦めします。 バックアップ・パスを適切な場所に変更する方法の詳細は、 12.1.2項「MySQLデータベース・リポジトリのバックアップ」を参照してください。
runInstaller.sh --uuid uuid
コマンドを使用してOracle VM Managerを最初から再インストールしていて、UUIDを以前のマネージャのインストールから取得しているが、データベース・バックアップをとっていない場合、Oracle VM Serverおよび接続されている記憶域に格納されている情報に基づいて一定のレベルの復元は可能です。 Oracle VM Serverがメンバーであるサーバー・プールが適切にリカバリできるように、一連の処理を順番に実行することが重要です。 これらのステップの概要は次のようになります。
-
各サーバー・プールからOracle VM Serverを1つ検出します。
-
サーバー・プール・ファイル・システムが含まれている記憶域を検出します。 新しく検出されたOracle VM Serverに提示します。 ストレージをリフレッシュします。
-
サーバー・プール・ファイル・システムが含まれているファイル・システムまたは物理ディスクをリフレッシュします。
-
サーバー・プールによって使用されるリポジトリが含まれているファイル・システムまたは物理ディスクをリフレッシュします。 物理ディスクのリフレッシュ時に次に示すようなエラーが発生した場合、次を実行します。
OVMAPI_7281E Cannot perform operation on file system...
リポジトリの所有権を取得して、物理ディスクのリフレッシュを再度実行します。
-
Oracle VM Serverで、リポジトリを提示します。
-
リポジトリをリフレッシュします。
-
サーバー・プール内の残りのOracle VM Serverを検出します。
-
サーバー・プールのOracle VM Serversすべてをリフレッシュして、仮想マシンを検出します。
12.1.6 Oracle WebLogic Serverのバックアップおよびリストア
一般的に、Oracle VM Managerで使用されるOracle WebLogic Serverコンポーネントの個別のバックアップを実行する必要はありません。ただし、Oracle VM Managerへのアクセスに使用できる様々なログイン資格証明を容易にするために個別のOracle WebLogic Serverユーザーを作成したインスタンスでは、認証に使用するOracle WebLogic Server LDAPディレクトリの独自のバックアップを実行する必要があります。 これは、Oracle WebLogic Server内で手動で構成されたユーザー資格証明は更新プロセス中に失われる可能性があるため、Oracle VM Managerをアップグレードする場合には特に重要です。
Oracle WebLogic Server LDAPのバックアップ・プロセスおよびOracle WebLogic Server LDAPバックアップの構成方法を説明する完全なドキュメントは、次のサイトにあります。
https://docs.oracle.com/middleware/1221/wls/START/failures.htm#START162
Oracle VMコンテキストでは、Oracle WebLogic ServerのLDAPデータは、次のサイトに格納されています。
/u01/app/oracle/ovm-manager-3/domains/ovm_domain/servers/AdminServer/data/ldap
Oracle WebLogic Serverドキュメントに示されている情報に基づき、独自のスケジュールでこのディレクトリのフル・バックアップを実行するか、次のサイトにあるOracle WebLogic Serverの自動バックアップを使用することもできます。
/u01/app/oracle/ovm-manager-3/domains/ovm_domain/servers/AdminServer/data/ldap/backup
Oracle WebLogic Serverバックアップ・サービスの使用を選択すると、デフォルトのバックアップ・パラメータを変更できます。 Oracle WebLogic Serverオンライン・ヘルプの「組込みLDAPサーバーのバックアップの構成」トピックを参照してください。
12.2 仮想マシンのバックアップ
仮想マシンのバックアップを取得するために使用できるオプションは多数あります。 この項では、それらのオプションのいくつか、およびそれぞれの長所および短所を説明します。
仮想マシンをバックアップする際に考慮する必要がある重要な点の1つは、バックアップ中に仮想マシンをシャットダウンできるかどうかです。 実行中の仮想マシンのバックアップでは、マシンを使用し続けられますが、整合性のとれたリストアが容易なバックアップはできません。 実行中の仮想マシンのバックアップの作成は、表領域をバックアップ・モードまたは読取り専用モードにせずに実行中のデータベースをバックアップすることに似ています。 仮想マシンからバックアップする最初のいくつかのブロックは、バックアップの最後のいくつかのブロックと同期されていない可能性があります。 実行中の仮想マシンから取得したバックアップをリストアしようとすると、ディスク・エラーによってマシンを再構築できなくなる可能性があります。
Oracle Secure Backupなどのバックアップ・ソフトウェアを仮想マシンにインストールできます。 インストールすると、実行中の仮想マシンを安全にバックアップできるようになります。 バックアップから仮想マシンをリストアする容易さは、使用するソフトウェアによります。
次の表では、仮想マシンのバックアップ・オプションのいくつか、およびそれぞれの方法の長所および短所のいくつかの概要を示します。 これは使用可能なすべてのオプションを網羅するリストではありません。
バックアップ・オプション | 利点 | 短所 |
---|---|---|
仮想マシンにバックアップ・ソフトウェアをインストールし、外部ソースにバックアップします。 |
仮想マシンを実行し続けられます。 バックアップするファイルを詳細に制御します。 |
|
記憶域リポジトリから仮想マシンのバックアップを作成します(「ユーザー・ガイド」の「仮想マシンまたはテンプレートのクローン作成」の項を参照)。 |
仮想ディスク・ステータスの整合性がとれます。 |
仮想マシンを停止する必要があります。 |
(停止している)仮想マシンのコールドcloneを作成してから(「ユーザー・ガイド」の「仮想マシンまたはテンプレートのクローン作成」の項を参照)、記憶域リポジトリからクローンをバックアップします(「ユーザー・ガイド」の「リポジトリのパースペクティブ」の項を参照)。 |
仮想ディスク・ステータスの整合性がとれます。 |
仮想マシンを停止する必要があります。 |
(実行中の)仮想マシンのホット・クローンを作成してから(「ユーザー・ガイド」の「仮想マシンまたはテンプレートのクローン作成」セクションを参照)、記憶域リポジトリからクローンをバックアップします(「ユーザー・ガイド」の「リポジトリのパースペクティブ」の項を参照)。 |
仮想マシンを実行し続けられます。 |
仮想ディスク・ステータスが不整合です。 仮想ディスクは、ディスク修復ユーティリティを使用してリカバリする必要があります。 データの損失や破損が発生する可能性があります。 OCFS2ベースのファイル・システムでのみ使用できます(iSCSIまたはファイバ・チャネルベース・ストレージ)。 Oracle Databaseを実行中の仮想マシンでは使用しないでください(かわりに、rmanユーティリティまたは類似のものを使用してください)。 |
記憶域リポジトリ全体のバックアップを作成します(「ユーザー・ガイド」の「リポジトリのパースペクティブ」の項を参照)。 |
すべての仮想マシンを一度にバックアップします。 仮想ディスク・ステータスの整合性がとれます。 |
仮想マシンを停止する必要があります。 |
仮想マシンをバックアップするには、次の2つの方法をお薦めします。
-
仮想マシンをシャットダウンしてコールド・クローンを作成し、記憶域リポジトリからクローン・ファイルをバックアップします。
-
仮想マシンをシャットダウンして、記憶域リポジトリから仮想マシンのファイルをバックアップします。
この2つの選択肢によって、仮想ディスクが安定した整合性のとれた状態で、安全なバックアップが作成されます。 仮想マシンをリストアするには、仮想マシンをストレージ・リポジトリにインポートします(「ユーザー・ガイド」の「サーバー・プール・フォルダ」の「仮想マシンのインポート」の項を参照)。