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第 5 章 SNMPを使用したOracle VM Serverの監視

Oracle VM Serverは、Simple Network Management Protocol (SNMP)の監視をサポートします。 どのSNMPアプリケーションがデフォルトでインストールされているかを確認し、SNMPの使用を開始する方法を学習します。

5.1 インストールされたSNMPパッケージ

Oracle VM Serverのデフォルト・インストールには、アプリケーションのNET-SNMPスイートが含まれます。 これらのアプリケーションによって、SNMPプロトコルを使用してOracle VM Serverを監視できるようになります。

次に示すSNMPパッケージがデフォルトでインストールされます。

パッケージ

説明

net-snmp

SNMPエージェント・デーモンおよびドキュメント。

net-snmp-libs

ランタイム・ライブラリおよび管理情報ベース(MIB)。

net-snmp-utils

snmpgetおよびsnmpwalkなどのネットワーク管理ユーティリティ。

ovs-snmp

Oracle VM Serverを監視できるようにするSNMP共有オブジェクト・モジュール。

Oracle VM Server管理情報ベース(MIB)では、サーバーおよびサーバー上で実行される仮想マシンに関する情報を提供するいくつかのオブジェクトが定義されます。 このMIBのベースOIDは、1.3.6.1.4.1.111.57.1です。 このMIBで定義されているオブジェクトの詳細は、Oracle VM Server上のファイル/usr/share/snmp/mibs/ORACLE-OVS-MIB.txtにあります。

ノート

  • このパッケージは、デフォルトでインストールされます。 ただし、オブジェクト・モジュールをsnmpd.confに手動で追加する必要があります。 5.2項「Oracle VM Serverオブジェクト・モジュールの追加」を参照してください。

  • Oracle VM Serverオブジェクト・モジュールはx86システムのみに適用されます。 このオブジェクト・モジュールはOracle VM Server for SPARCには適用されません。

インストール済パッケージを次に示すようにチェックします。 

# rpm -qa | grep snmp
net-snmp-5.5-xx.x.x.xxx_x.x.x86_64
net-snmp-libs-5.5-xx.x.x.xxx_x.x.x86_64
net-snmp-utils-5.5-xx.x.x.xxx_x.x.x86_64
ovs-snmp-x.x-x.el6.x86_64

詳細は、NET-SNMPのドキュメントを参照してください。

5.2 Oracle VM Serverオブジェクト・モジュールの追加

ovs-snmp共有オブジェクト・モジュールを使用してOracle VM Server構成を監視するには、/etc/snmp/snmpd.confに次の行を追加する必要があります。 

dlmod ovs /usr/lib64/ovs-snmp/ovs.so
ノート

Oracle VM Serverのデフォルトsnmpd.confでは構成例を示しており、これをビジネス・ニーズに合うように変更してください。 snmpd.confの構成は、このドキュメントの範囲では完全には説明していません。 詳細は、snmpd.confのマニュアル・ページを参照してください。

snmpd.confにovs-snmp共有オブジェクト・モジュールを追加するステップの概要は次のようになります。

  1. Oracle VM Serverの該当するインスタンスに接続します。

  2. 編集するために/etc/snmp/snmpd.confを開きます。

  3. 次の行を追加します。 

    dlmod ovs /usr/lib64/ovs-snmp/ovs.so

  4. snmpd.confに読取りアクセス権限があることを確認してください。

    ヒント

    snmpd.confの先頭に一時的にrocommunity publicを追加して、ネットワーク上のすべてのコンピュータからの読取りアクセスを許可することが可能です。

  5. /etc/snmp/snmpd.confを保存して閉じます。

  6. SNMPサービスが実行中の場合には、再起動します。 

    # service snmpd restart

5.3 SNMPサービスの有効化

Oracle VM Serverを監視するためにSNMPを使用する場合は、デフォルトで無効となっているSNMPデーモンを有効にする必要があります。 構成を確認して、サービスが次のように有効になっているかどうかを確認できます。 

# chkconfig --list |grep snmp
snmpd           0:off   1:off   2:off   3:off   4:off   5:off   6:off
snmptrapd       0:off   1:off   2:off   3:off   4:off   5:off   6:off

SNMPサービスを有効にするには、次のコマンドを発行して手動で開始します。 

# service snmpd start

SNMPサービスを永続的に有効にするには、次のコマンドを発行します。 

# chkconfig --level 2345 snmpd on
ノート

Oracle VM Server MIBでは、SNMPトラップは定義されていません。 snmptrapdサービスは、他の目的で必要な場合のみ起動してください。

5.4 MIBオブジェクトを取得する方法

SNMPサービスが実行されている場合、NET-SNMPアプリケーションを使用してOracle VM Serverのコマンドラインから直接MIBオブジェクトを取得できます。 Oracle Enterprise Managerなどの別のアプリケーションを使用してMIBオブジェクトを取得することもできます。

この項では、デモ目的のみの使用例を示します。 ビジネス・ニーズにあわせてMIBオブジェクトを取得する方法を決定するには、NET-SNMPアプリケーションのマニュアル・ページまたは該当するNMSのドキュメントを参照してください。

ノート

この項の例では、次の点に注意してください。

  • publicコミュニティを読取りアクセス用に構成済であると想定しています。

  • アクセス用に低いセキュリティ・レベル(SNMP v2c)を使用します。 アクセス制御を許可されたユーザーに制限するために、SNMP v3を構成する必要があります。 アクセス制御およびセキュリティ・レベルの詳細およびSNMP v3の構成手順の詳細は、該当するドキュメントを参照してください。

ヒント

出力の最後の行に、No more variables left in this MIB View (It is past the end of the MIB tree)と表示される場合、snmpd.confに読取りアクセス権限がない可能性があります。 この問題を解決するには、/etc/snmp/snmpd.confの先頭に一時的にrocommunity publicを追加して、ネットワーク上のすべてのコンピュータからの読取りアクセスを許可することができます。

次の例は、snmpwalkアプリケーションを使用して、MIBツリーのすべてのオブジェクトに値を返します。 

# snmpwalk -v2c -c public localhost
SNMPv2-MIB::sysDescr.0 = STRING: Linux FQDN 3.8.13-68.2.2.el6uek.x86_64
 #2 SMP time_stamp x86_64
SNMPv2-MIB::sysObjectID.0 = OID: NET-SNMP-MIB::netSnmpAgentOIDs.10
DISMAN-EVENT-MIB::sysUpTimeInstance = Timeticks: (2654) 0:00:26.54
SNMPv2-MIB::sysContact.0 = STRING: Root <root@localhost>
 (configure /etc/snmp/snmp.local.conf)
SNMPv2-MIB::sysName.0 = STRING: FQDN
SNMPv2-MIB::sysLocation.0 = STRING: Unknown (edit /etc/snmp/snmpd.conf)
SNMPv2-MIB::sysORLastChange.0 = Timeticks: (18) 0:00:00.18
SNMPv2-MIB::sysORID.1 = OID: SNMP-MPD-MIB::snmpMPDMIBObjects.3.1.1
SNMPv2-MIB::sysORID.2 = OID: SNMP-USER-BASED-SM-MIB::usmMIBCompliance
SNMPv2-MIB::sysORID.3 = OID: SNMP-FRAMEWORK-MIB::snmpFrameworkMIBCompliance
SNMPv2-MIB::sysORID.4 = OID: SNMPv2-MIB::snmpMIB
SNMPv2-MIB::sysORID.5 = OID: TCP-MIB::tcpMIB
SNMPv2-MIB::sysORID.6 = OID: IP-MIB::ip
SNMPv2-MIB::sysORID.7 = OID: UDP-MIB::udpMIB
SNMPv2-MIB::sysORID.8 = OID: SNMP-VIEW-BASED-ACM-MIB::vacmBasicGroup
SNMPv2-MIB::sysORDescr.1 = STRING: The MIB for Message Processing and Dispatching.
SNMPv2-MIB::sysORDescr.2 = STRING: The MIB for Message Processing and Dispatching.
SNMPv2-MIB::sysORDescr.3 = STRING: The SNMP Management Architecture MIB.
SNMPv2-MIB::sysORDescr.4 = STRING: The MIB module for SNMPv2 entities
SNMPv2-MIB::sysORDescr.5 = STRING: The MIB module for managing TCP implementations
SNMPv2-MIB::sysORDescr.6 = STRING: The MIB module for managing IP and ICMP implementations
SNMPv2-MIB::sysORDescr.7 = STRING: The MIB module for managing UDP implementations
SNMPv2-MIB::sysORDescr.8 = STRING: View-based Access Control Model for SNMP.
SNMPv2-MIB::sysORUpTime.1 = Timeticks: (17) 0:00:00.17
SNMPv2-MIB::sysORUpTime.2 = Timeticks: (17) 0:00:00.17
SNMPv2-MIB::sysORUpTime.3 = Timeticks: (17) 0:00:00.17
SNMPv2-MIB::sysORUpTime.4 = Timeticks: (17) 0:00:00.17
SNMPv2-MIB::sysORUpTime.5 = Timeticks: (18) 0:00:00.18
SNMPv2-MIB::sysORUpTime.6 = Timeticks: (18) 0:00:00.18
SNMPv2-MIB::sysORUpTime.7 = Timeticks: (18) 0:00:00.18
SNMPv2-MIB::sysORUpTime.8 = Timeticks: (18) 0:00:00.18
....

次の例は、snmpwalkアプリケーションを使用して、ORACLE-OVS-MIBをロードし、Oracle VM Server MIBツリーのオブジェクトに値を返します。 

# snmpwalk -v2c -c public localhost -OQ -m +ORACLE-OVS-MIB .1.3.6.1.4.1.111.57.1
ORACLE-OVS-MIB::ovsType.0 = Oracle VM Server
ORACLE-OVS-MIB::ovsVersion.0 = version
ORACLE-OVS-MIB::ovsClusterState.0 = DLM_Ready
ORACLE-OVS-MIB::ovsClusterType.0 = nfs
ORACLE-OVS-MIB::ovsClusterStorage.0 = hostname:/nfs/clusterfs/path
ORACLE-OVS-MIB::ovsManagerUUID.0 = 0004fb0000010000af78ad71a2719608
ORACLE-OVS-MIB::ovsServerpoolName.0 = my-pool
ORACLE-OVS-MIB::ovsAgentState.0 = Running
ORACLE-OVS-MIB::ovsFreeMemory.0 = 12766
ORACLE-OVS-MIB::vmIndex.0 = 0
ORACLE-OVS-MIB::vmIndex.1 = 1
ORACLE-OVS-MIB::vmIndex.2 = 2
ORACLE-OVS-MIB::vmType.0 = 0004fb00000600002eb4165c672efe28
ORACLE-OVS-MIB::vmType.1 = 0004fb0000060000959d078c46ec4268
ORACLE-OVS-MIB::vmType.2 = Domain-0

次の例は、snmptableアプリケーションを使用して、ORACLE-OVS-MIB::vmTable SNMP表からOracle VM Serverの実行中の仮想マシンを取得します。

ノート

ORACLE-OVS-MIB::vmTable SNMP表には、60秒を経過すると失効するキャッシュされた値が含まれています。 

# snmptable -v 2c -c public localhost ORACLE-OVS-MIB::vmTable
SNMP table: ORACLE-OVS-MIB::vmTable

 vmIndex                           vmType
       0 0004fb00000600002eb4165c672efe28
       1 0004fb0000060000959d078c46ec4268
       2                         Domain-0

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