Oracle RightNowアダプタは、Connect Web Services API for SOAPを基盤とし、Oracle RightNow Cxプラットフォームとのリアルタイム統合を提供します。RightNow APIバージョン1.3はサポートされます。Oracle RightNow Connect Web Servicesプラットフォームは、コール側アプリケーションに2つのWebサービス定義(WSDL)を公開します。
標準WSDL。このWSDLは、Oracle RightNowインスタンスに固有の統合をモデル化するために、統合設計者が使用します。型指定されたWSDLは、Connect Common Object Modelの厳密に型指定された表現です。厳密に型指定されたWSDLには、標準のHTTP GETリクエストを使用して次のURLからアクセスできます。標準WSDLには、ビジネス・オブジェクトとイベント・サブスクリプションの両方に対するサポートを含めることができます。これにより、ビジネス・オブジェクトかイベント・サブスクリプションのいずれかを、リクエストとしてOracle RightNowアプリケーションから受信できます。イベント・サブスクリプションは、Oracle RightNowアプリケーションのバージョンがバージョン15.5 (2015年5月リリース)か、それ以降の場合にのみサポートされます。そうでない場合は、ビジネス・オブジェクトのみが、選択肢として構成ウィザードに表示されます。
<a target="_blank" href="http://">http://</a><host_name>/cgi-bin/<interface>.cfg/services/soap?wsdl=typed
標準WSDLは、組織の特定のOracle RightNow Cxインスタンスに関連付けられるため、インスタンス構成の変更またはカスタマイズが発生すると変更されます。
パートナWSDL。このWSDLは、Oracle RightNow Cxの複数のインスタンスで動作する統合を構築する統合設計者が使用します。これによって、Oracle RightNowの複数のインスタンスで使用できる汎用オブジェクトと連携動作できます。汎用WSDLには、標準のHTTP GETリクエストを使用して次のURLからアクセスできます。
<a target="_blank" href="http://">http://</a><host_name>/cgi-bin/<interface>.cfg/services/soap?wsdl=generic
このWSDLは、静的で、組織ごとに変更されないため、組織固有のRightNow Cxインスタンスに対するカスタマイズや変更は発生しません。これは、主にパートナが使用するため、パートナWSDLという名前で呼ばれます。
Oracle RightNowアダプタによって、顧客は、標準WSDLを通じて特定のOracle RightNow Cxインスタンスとの統合を実行できます(ただし、パートナWSDLベースの統合は現在サポートされていません)。
標準WSDLは、次のようなカテゴリの操作を公開します。
基本CRUD操作(RightNowでのビジネス・オブジェクトの作成、取得、更新、破棄)
ROQL (オブジェクトとしてのRightNowのデータの問合せのみ)
バッチ操作(1つの操作における1つ以上の他の操作のバッチ)
前述の操作(特にCRUD操作)は、本質的に多相です。この場合、アプリケーションでサポートされるすべてのビジネス・オブジェクト全体で4つの汎用CRUD操作(作成、取得、更新および破棄)のみを必ず公開することで、統合インタフェースが簡略化されるように見えますが、同時に統合プロセス中(特にデータ・マッピング中)における課題も発生します。詳細は、「サービス・コンポーネントとのBPEL統合の理解(BPEL/メディエータ)」および「Oracle RightNowアダプタとのOracle Service Bus統合の開発」を参照してください。
例1-1に、汎用CRUD操作を含むRightNow標準WSDLを示します。
例1-1 RightNow標準WSDLでの汎用CRUD操作
<wsdl:operation name="Create"> <wsdl:input message="rnw_v1_2:CreateRequest"/> <wsdl:output message="rnw_v1_2:CreateResponse"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:RequestErrorFault" name="RequestErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:ServerErrorFault" name="ServerErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2: UnexpectedErrorFault"name="UnexpectedErrorFault"/> </wsdl:operation> <wsdl:operation name="Get"> <wsdl:input message="rnw_v1_2:GetRequest"/> <wsdl:output message="rnw_v1_2:GetResponse"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:RequestErrorFault" name="RequestErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:ServerErrorFault" name="ServerErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2: UnexpectedErrorFault" name="UnexpectedErrorFault"/> </wsdl:operation> <wsdl:operation name="Get"> <wsdl:input message="rnw_v1_2:GetRequest"/> <wsdl:output message="rnw_v1_2:GetResponse"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:RequestErrorFault" name="RequestErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:ServerErrorFault" name="ServerErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2: UnexpectedErrorFault" name="UnexpectedErrorFault"/> </wsdl:operation> <wsdl:operation name="Update"> <wsdl:input message="rnw_v1_2:UpdateRequest"/> <wsdl:output message="rnw_v1_2:UpdateResponse"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:RequestErrorFault" name="RequestErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:ServerErrorFault" name="ServerErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:UnexpectedErrorFault" name="UnexpectedErrorFault"/> </wsdl:operation> <wsdl:operation name="Destroy"> <wsdl:input message="rnw_v1_2:DestroyRequest"/> <wsdl:output message="rnw_v1_2:DestroyResponse"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:RequestErrorFault" name="RequestErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:ServerErrorFault" name="ServerErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2: UnexpectedErrorFault" name="UnexpectedErrorFault"/> </wsdl:operation>
RightNow Object Query Language (ROQL (ロックウェルと発音))は、APIのクライアントがOracle RightNow Cxプラットフォームに対してSQLに似た問合せを実行できるようにする問合せサブシステムです。この言語は、Object Data Management Group (ODMG)によって開発された、SQLの後にモデル化されたオブジェクト指向データベース向けの問合せ言語標準であるObject Query Language (OQL)から発展しました。
ROQLでは、オブジェクトの問合せのみがサポートされます。QueryObjectでは、コール側アプリケーションはオブジェクトのリストとしてデータを取得できます。
例1-2 特定のIDでインシデントの詳細を取得するROQL問合せの例
select Incident from Incident I where I.ID=102345
Oracle RightNowアダプタは、統合モデラーからインタフェースの複雑性を隠蔽する簡易なグラフィカル形式のオブジェクト操作ビューで、標準WSDLで定義された機能を公開します。多相インタフェース定義とは対照的に、Oracle RightNowアダプタは、設計時構成から、厳密に型指定されたサービス操作を生成します。これによって、データ・マッピング作業が大幅に簡略化されます。
次に、SOA SuiteまたはOracle Service BusのいずれかとOracle RightNowアダプタを使用して統合のモデル化を開始するための前提条件を示します。
これらの前提条件に加え、適切にサポートされたバージョンのSOA SuiteおよびOracle Service Busが存在することを確認する必要があります。サポートされるバージョンおよびプラットフォームの詳細は、http://www.oracle.com/technetwork/middleware/ias/downloads/fusion-certification-100350.htmlのリリース動作保証マトリックスを参照してください。
標準WSDLを取得します。標準WSDLの詳細は、Oracle RightNow Connect Web Services for SOAP開発者ガイドのWSDLの取得に関する項を参照してください。
有効なRightNow Cx資格証明があることを確認します。詳細は、Oracle RightNow Connect Web Services for SOAP開発者ガイドのOracle Cloud Adapter for Service Cloud接続パラメータに関する項を参照してください。
クライアント証明書を取得します。詳細は、Oracle RightNow Connect Web Services for SOAP開発者ガイドのクライアント/サーバーに対するService Cloud証明書に関する項を参照してください。
Oracle RightNowアダプタは、複数のアダプタ・インスタンスを持つことができます。アダプタ・インスタンスは、基本的に、構成されたOracle RightNowアダプタで、これはRightNow CXサーバーに接続し、構成中に選択したRightNow Cxクラウド操作を起動できます。
各アダプタ・インスタンスには、統合WSDLやJCAファイルなどの独自のアーティファクトがあります。
各アダプタ・インスタンスは単一のRightNow Cxクラウド操作を参照するため、アダプタ・インスタンスからRightNow Cxクラウド操作に対する1対1対応があります。サポートされる操作のリストは、「操作の作成、読取り、更新および削除の理解」を参照してください。
アダプタ・インスタンスは、SOAコンポジットの一部です。アダプタ・ウィザードが実行されるたびに、Oracle RightNowアダプタの1つのインスタンスが作成されます。
Oracle RightNowアダプタ・インスタンスは、JCAファイル、WSDL、およびcomposite.xmlに追加された参照要素で構成されます。
Oracle RightNowアダプタでは、Oracle SOA Suiteからアウトバウンド同期コールを作成するRightNowがサポートされます。
Oracle RightNowアダプタのランタイム・フレームワークでは、前述の手順で生成されたアーティファクトが使用されます。
表1-1は、アダプタ構成ウィザードによって生成されるSOAコンポジット・アダプタ・アーティファクトとその注意事項を示しています。
表1-1 Oracle RightNowアダプタ・アーティファクト
アーティファクト | 備考 |
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Oracle RightNowアダプタでは、標準WSDLのみがサポートされます。 |
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JCAファイルには、実行時にアダプタが使用する内部実装の詳細が含まれます。これには、アダプタが使用する様々な相互作用と接続のプロパティが含まれます。操作は、エンドポイントに対して実行する必要のあるアクション(作成や更新など)を記述します。ファイルの内容は、アダプタ構成中の選択によって決定されます。 |