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Oracle® Fusion Middleware Oracle User Messaging Serviceの管理
12c (12.2.1.3.0)
E90140-01
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1 Oracle User Messaging Serviceの概要

この章では、Oracle User Messaging Service (UMS)について説明します。この章の内容は次のとおりです。

1.1 概要

UMSによって、ユーザーとデプロイされたアプリケーション間の双方向の通信が可能になります。主な機能は次のとおりです。

  • 様々なメッセージング・チャネルに対するサポート: メッセージは、電子メール、インスタント・メッセージ(IM) (XMPP)、ショート・メッセージ・サービス(SMS) (SMPP)などの各種チャネルを介して送受信できます。

  • 双方向メッセージング: アプリケーションからユーザーへのメッセージ送信(アウトバウンド・メッセージングとも呼ばれる)以外に、ユーザーは、メッセージングの相互作用(インバウンド・メッセージング)を開始できます。たとえば、ユーザーが特定のアドレスに電子メールまたはテキスト・メッセージを送信すると、そのメッセージは適切なアプリケーションにルーティングされ、次に、アプリケーションでは、ビジネス・ロジックに従ってユーザーに応答するか、または別のプロセスを起動します。

  • ユーザー・メッセージング・プリファレンス: エンド・ユーザーは、Webインタフェースを使用して、メッセージング通知の受信方法と受信時間に関するプリファレンスを定義できます。アプリケーションでは、ユーザーの電子メール・アドレスやIMクライアントへの送信を判断せずに、その柔軟性によって、単にメッセージをユーザーに送信し、その先のメッセージのルーティングをユーザーのプリファレンスに従ってUMSに任せます。


    注意:

    ユーザー・メッセージング・プリファレンスのUIは、http://host:port/sdpmessaging/userprefs-uiまたはhttps://host:sslport/sdpmessaging/userprefs-uiで入手できます。

  • 強力なメッセージ配信: UMSは、メッセージング・ゲートウェイが提供する配信ステータス情報を継続して記録し、アプリケーションにこの情報を提供しているため、アプリケーションは失敗した配信に対応できます。また、アプリケーションでは、初期のアドレスへの配信が失敗した場合に備えて、メッセージに対して1つ以上のフェイルオーバー・アドレスを指定できます。UMSのフェイルオーバー機能を使用することで、アプリケーション開発者は、複雑な再試行ロジックの実装から解放されます。この再試行ロジックは、12cで導入された自動再送信機能でもサポートされます。

  • Oracle Fusion Middleware内の広範な統合: UMSは、他のFusion Middlewareコンポーネントと統合して、単一の統合された双方向のユーザー・メッセージング・サービスを提供します。

    • Oracle BPEL Process Managerとの統合: Oracle JDeveloperには、メッセージング操作に対応した事前作成のBPELアクティビティが含まれています。開発者は、目的のアクティビティを任意のワークフローにドラッグ・アンド・ドロップして、メッセージング機能をSOAコンポジット・アプリケーションに追加できます。

    • ヒューマン・ワークフローとの統合: UMSによって、ヒューマン・ワークフロー・サービス・エンジンは、アクション可能なメッセージをユーザーに送信し、電子メールを介して返信を受信できるようになります。

    • Oracle BAMとの統合: Oracle BAMでは、UMSを使用し、イベントの監視に対応した電子メール・アラートを送信します。

    • Oracle WebCenter Portalとの統合: 開発者は、Oracle WebCenter Portal: スペースに対するアプリケーションの作成にUMS APIを使用できます。Oracle WebCenter Portalの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築を参照してください。

1.1.1 コンポーネント

UMSを構成するコンポーネントには、次の3つのタイプがあります。これらのコンポーネントは標準のJava EEアプリケーションであるため、デプロイが容易であり、Oracle WebLogic Serverが提供する標準のツールを使用して管理できます。

  • UMSサーバー: UMSサーバーは、アプリケーションとユーザー間のメッセージ・フローを統合します。このサーバーは、アウトバウンド・メッセージをクライアント・アプリケーションから適切なドライバにルーティングし、インバウンド・メッセージを適切なクライアント・アプリケーションにルーティングします。また、このサーバーは、以前送信したメッセージのリポジトリを永続ストアで保守し、配信ステータスの情報を以前送信したメッセージに関連付けます。

  • UMSドライバ: UMSドライバは、UMSをメッセージング・ゲートウェイに接続し、UMSでサポートされている様々なプロトコルに対してコンテンツを適合させます。これらのドライバは、特定のインストールで使用できるメッセージング・チャネルに従って、相互に独立してデプロイまたはアンデプロイできます。

  • UMSクライアント・アプリケーション: UMSクライアント・アプリケーションは、メッセージの送受信に関するビジネス・ロジックを実装します。UMSクライアント・アプリケーションは、BPELワークフローの1手順としてメッセージを送信するSOAアプリケーション、またはWebインタフェースからメッセージを送信できるWebCenterポータル・スペース・アプリケーションの場合があります。

UMS自体を構成するコンポーネントに加え、メッセージング環境における他の主なエンティティは、各メッセージング・チャネルに必要な外部ゲートウェイです。これらのゲートウェイは、UMSまたはOracle WebLogic Serverの一部ではありません。UMSドライバは、広範に適合できるメッセージング・プロトコルをサポートしているため、企業の電子メール・サーバーやXMPP (Jabber)サーバーなどの既存のインフラストラクチャにUMSを統合できます。または、SMPPがサポートされているSMSサービスの外部プロバイダにUMSを接続できます。

1.1.2 アーキテクチャ

図1-1に、UMSのシステム・アーキテクチャを示します。

12cでは、UMSはJRFの一部として使用できます。そのため、上位スタックと簡単に統合できます。JRFテンプレートを使用したドメインの構成の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールと構成』の「Oracle Fusion Middleware Infrastructureドメインの構成」の章を参照してください。

柔軟性を最大にするために、UMSの各コンポーネントは、それぞれが個別のJava EEアプリケーションです。このため、それらは相互に独立してデプロイおよび管理できます。たとえば、他のすべてのチャネルでのメッセージ配信に影響を与えずに、特定のドライバを停止して再構成できます。

UMSクライアント・アプリケーションとUMSサーバー間のデータ交換は、SOAP/HTTP WebサービスによるUMS WebサービスAPIクライアントのリクエスト時に発生するか、リモートのEnterprise JavaBeans (EJB)とJMSによるUMS Java APIクライアントのコールを介して発生します。UMSサーバーとUMSドライバ間のデータ交換は、JMSキューを介して発生します。

図1-1 UMSのアーキテクチャ

図1-1の説明が続きます
「図1-1 UMSのアーキテクチャ」の説明

1.2 Oracle User Messaging Serviceの構成の概要

UMSでメッセージの送受信ができるようにするには、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用してドメインまたはクラスタで適切なドライバを構成し、UMSの環境を設定します。図1-2を参照してください。UMSには、電子メール、IM、SMSなどの各種チャネルを介したメッセージングをサポートするドライバが組み込まれています。UMSの構成の詳細は、第4章「Oracle User Messaging Serviceの構成」を参照してください。

図1-2 Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control

図1-2の説明が続きます
「図1-2 Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control」の説明

ワークフローの参加者が通知を受信するには、メッセージのアクセスに使用するデバイスをユーザー通信プリファレンスを介して登録する必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle User Messaging Serviceによるアプリケーションの開発』の「ユーザー通信プリファレンス」を参照してください。


注意:

APIの一部の詳細は、基礎となるプロトコルによって異なる場合があります。管理ガイド(http://docs.oracle.com/middleware/1213/ums/administer/ns_descriptions.htm#UMSAG97610)のドライバの説明の章、特に「UMS APIプログラマ・ノート」に関する項を学習してください。

1.3 非推奨の機能

次の機能は12.2.1リリースで非推奨となった機能です。

  • UMSプロキシ・ドライバ

  • UMS VoiceXMLドライバ

  • UMSワークリスト・ドライバ

  • UMS EJB API

  • UMS Parlay Xマルチメディア・メッセージングAPI