この章では、IdcCommandユーティリティを使用して、他のアプリケーションからOracle WebCenter Content Serverサービスにアクセスする方法について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
IdcCommandユーティリティは、Content Serverサービスを実行するスタンドアロンのJavaアプリケーションです。コンテンツ・サーバーのブラウザ・インタフェースまたは管理アプレットから実行可能なほとんどのアクションは、IdcCommandから実行できます。
プログラムは、サービス・コマンドおよびパラメータを含むコマンド・ファイルを読み取った後、指定されたサービスを呼び出します。ログ・ファイルには、コールの実行時間、サービスの実行の成否および実行エラーの有無を記録できます。
注意:
IdcCommandユーティリティは、コマンドの成否に関する情報のみを返します。対話型セッションでContent Serverから情報を取得するには、Microsoft Windowsプラットフォームで使用可能なJava COMラッパーのIdcCommandXを使用します。
IdcCommandユーティリティを実行するには、コマンドラインまたはintradoc.cfg
構成ファイルで次のパラメータを指定する必要があります。
auto
、server
またはstandalone
)特定のコマンドは、standalone
モードでは実行できません。一般に、サーバーは、これらのコマンドをバックグラウンド・スレッドで非同期に実行します。これは、検索索引の更新または再構築で発生します。
カスタム・コンポーネントにおけるサービスの使用の詳細は、『コンテンツ・サーバーのコンポーネントのスタート・ガイド』および『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentサービス・リファレンス』のサービスの使用に関する項を参照してください。
IdcCommandを設定するには、次を指定する必要があります。
コマンド・ファイル。実行するサービスおよびサービス・パラメータを指定します。
詳細は、「コマンド・ファイルの指定」を参照してください。
構成オプション。コマンド・ファイルおよび他のIdcCommand情報を指定します。IdcCommand構成オプションは、次の2か所で設定できます。
構成ファイルにおけるIdcCommandオプション詳細は、{例 - 構成ファイルにおけるIdcCommandオプション}を参照してください。
コマンドラインで、{例 - コマンドラインにおけるIdcCommandオプション}に示すようにIdcCommand実行時のオプション・フラグを指定します。
詳細は、「構成オプションの指定」を参照してください。
例 27-1 構成ファイルにおけるIdcCommandオプション
IdcCommandFile=newfile.hda
IdcCommandUserName=sysadmin
IdcCommandLog=C:/domain/newlog.txt
ConnectionMode=server
例 27-2 コマンドラインにおけるIdcCommandオプション
-f newfile.hda -u admin -l C:/domain/newlog.txt -c server
コマンド・ファイルは、IdcCommandユーティリティによって実行されるサービス・コマンドおよびパラメータを定義します。コマンド・ファイルは、構文、優先順位、および特殊タグと特殊文字に関するルールに従う必要があります。
コマンド・ファイルでは、HDA (ハイパーデータ・ファイル)構文を使用してサービス・コマンドを定義します。
@Properties LocalData
セクションに指定します。@ResultSet
セクションを使用して追加情報を指定します。次の例では、ADD_USER
サービスを実行し、2人の新規ユーザーの属性を定義するコマンド・ファイルを示します。
例27-3 ADD_USERサービスのコマンド・ファイル
<?hda version="5.1.1 (build011203)" jcharset=Cp1252 encoding=iso-8859-1?> # Add users @Properties LocalData IdcService=ADD_USER dName=jsmith dUserAuthType=Local dFullName=Jennifer Smith dPassword=password dEmail=email@example.com @end @ResultSet UserAttribInfo 2 dUserName AttributeInfo jsmith role,contributor,15 @end <<EOD>> @Properties LocalData IdcService=ADD_USER dName=pwallek dUserAuthType=Local dFullName=Peter Wallek dPassword=password dEmail=email@example.com @end @ResultSet UserAttribInfo 2 dUserName AttributeInfo pwallek role,contributor,15,account,marketing,7 @end <<EOD>>
IdcCommandでは、優先順位を使用して、コマンド・ファイルのLocalData
セクション内の名前/値のペア間の競合を解決します。標準の名前/値のペアが解析される場合、それらは@Properties LocalData
タグ内にあると想定されます。セクションにHDAタグが含まれる場合、標準の名前/値のペアは、@Properties LocalData
タグ内の名前/値のペアに優先します。
たとえば、foo=x
が標準の名前/値のペアであり、foo=y
が@Properties LocalData
タグ内にある場合、foo=x
という名前/値のペアがタグ外にあるため、このペアが優先されます。
次の特殊タグと特殊文字は、コマンド・ファイルで使用できます。
特殊文字 | 説明 |
---|---|
IdcService= |
コマンド・ファイルの各セクションには、コールするサービスの名前を指定する必要があります。 |
<<EOD>> |
データ終了マーカー。コマンド・ファイルには、1つ以上のセクションを、データ終了マーカーで区切って含めることができます。例については、「コマンド・ファイルの構文」を参照してください。 |
# |
行の先頭にあるシャープ文字は、その行がコメントであることを示します。 |
\ |
バックスラッシュは、エスケープ文字です。 |
@Include filename |
このタグを使用すると、 |
IdcCommandユーティリティを実行するには、コマンドラインまたはDomainHome
/ucm/cs/bin/intradoc.cfg
構成ファイルで次のパラメータを指定します。
パラメータ | 必須 | コマンドライン構文 | 構成ファイルの構文 |
---|---|---|---|
はい |
|
|
|
はい |
|
|
|
いいえ |
|
|
|
いいえ |
|
|
注意:
コマンドライン構成オプションは、構成ファイル内の設定をオーバーライドします。
サービス・コマンドおよびパラメータを含むコマンド・ファイルの名前を指定する必要があります。コマンド・ファイル・パラメータには、フルパス(C:/command_files/command.txt
など)、または相対パスを指定できます。詳細は、「コマンド・ファイルの指定」を参照してください。
IdcCommandログ・ファイルのパスおよびファイル名を指定できます。各コマンドが実行されると、メッセージがログ・ファイルに送信されます。ログ・ファイルには、コマンドの実行時間および成功または失敗のステータスが記録されます。ログ・ファイルがすでに存在する場合は、新しいメッセージで上書きされます。ログ・ファイルを使用して、処理に関する情報をユーザーに表示することができます。
実行されたアクションが成功した場合は、成功を示すメッセージがログ・ファイルに書き込まれます。
実行されたアクションが失敗した場合は、エラー・メッセージがログ・ファイルに書き込まれます。
ログ・ファイルが指定されていない場合、情報は画面にのみ表示されます。
IdcCommandサービスを実行するための接続モードを指定できます。
接続モード | 説明 |
---|---|
|
IdcCommandは、コンテンツ・サーバー・インスタンスへの接続を試行します。これが失敗すると、サービスは これは、デフォルトの接続モードです。 |
|
IdcCommandは、コンテンツ・サーバーを通じてのみサービスを実行します。 |
|
IdcCommandは、スタンドアロン・セッションでサービスを実行します。 特定のサービスは、standaloneモードでは実行できません。一般に、これらのサービスは、サーバーによってバックグラウンド・スレッドで非同期に実行されます。これは、たとえば、検索索引の更新または再構築の際に発生します。 |
IdcCommandを実行する手順は次のとおりです。
例27-4 intradoc.cfgファイルにおけるIdcCommandオプション
IdcCommandFile=newfile.hda
IdcCommandUserName=sysadmin
IdcCommandLog=C:/domain/newlog.txt
ランチャは、Windows環境でのサービスの管理やJava VMのコマンドライン引数および環境設定の構成に使用されるネイティブのC++アプリケーションです。
ランチャの主な動作は、構成ファイルを検出して読み取り、特殊な値を計算した後、構成したコマンドラインで実行可能ファイルを起動することです。構成ファイルは、Bourne Shellのような置換をサポートしています。置換はすべてドル記号($)で始まり、英数字の識別子または中カッコ({})で囲まれた式が続きます。
ランチャの実行可能ファイルは次のディレクトリにインストールされます。
DomainHome
/ucm/native/platform/bin/Launcher/
UNIXシステムでは、Launcher.sh
(ランチャ実行可能ファイルを実行するBourne Shellラッパー)へのシンボリック・リンクがbin
ディレクトリに作成されます。このラッパーの目的は、プラットフォームに適したバイナリのランチャ実行可能ファイルを見つけることです。ランチャという用語は、ここでは、ネイティブのランチャ実行可能ファイルまたはBourne ShellスクリプトLauncher.sh
を指すために使用されます。
ランチャまたはLauncher.sh
へのシンボリック・リンクは、有効なintradoc.cfg
構成ファイルがあるディレクトリ内に存在し、起動されるJavaクラス・ファイルと同じ名前(大/小文字を区別)である必要があります。ランチャは、この名前を使用して環境変数STARTUP_CLASS
を設定します。
Windowsでは、この名前は、GetModuleFileName()
をコールして計算されます。UNIXシステムでは、argv[0]
を調べて計算されます。PLATFORM
変数は、プラットフォームのコンテンツ・サーバー識別子に設定されます。BIN_DIR
変数は、ランチャがあるディレクトリに設定されます。
ランチャは、BIN_DIR
からintradoc.cfg
という名前のファイルを読み取ります。このファイルには、IntradocDir
の値が含まれています。IntradocDir
ディレクトリは、相対パスを解決するためのベース・ディレクトリとして使用されます。このドキュメントでの非修飾パスはすべて、IntradocDir
に対して相対的であるとみなされます。コンテンツ・サーバーの将来のリリースでは、これらの変数名は変更または削除される可能性があります。
intradoc.cfg
ファイルにIdcResourcesDir
の値が含まれていない場合、ランチャによって、IdcResourcesDir
が$IntradocDir/resources
に設定されます。ランチャがWindowsサービスを起動する場合、IS_SERVICE
は1
に設定されます。また、設定されていない場合は、PATH_SEPARATOR
がプラットフォームに適した文字に設定されます。
ランチャは、まずintradoc.cfg
ファイルを読み取って構成ファイルの場所を検索し、次に使用可能なすべての構成ファイルを次の順番で読み取ります。
ランチャは、Bourne Shellのような引用符のルールを使用します。文字列を二重引用符(")で囲むと、空白をエスケープできます。バックスラッシュ(\)を任意の文字の前に置くと、その文字そのものを指定できます。最終的なコマンドラインが計算されると、ランチャは、そのコマンドラインを引用符なしの空白ごとに区切ります。その後、各文字列は、コマンドのargv
配列のエントリとして引用符なしで使用されます。
構成ファイルを読み取った後、ランチャは、変数置換を処理します。一部の変数では、ディレクトリまたはファイルを検証する、コマンドライン引数リストを作成する、PATH
のような変数を構成するなどの追加の計算を行うことができます。
これらの特殊な計算は、変数に対してそのタイプに基づいて実行されます。変数のタイプを設定するには、前述のどの構成ファイルでもTYPE_
variable
_
name
=
typename
を設定します。
ランチャの変数タイプは次のとおりです。
file
file Launcher Variables TYPE_PASSWD_FILE=file PASSWD_FILE_sys5=/etc/passwd PASSWD_FILE_bsd=/etc/master.passwd
このタイプは、ファイルを検索します。variable_name
の値が既存ファイルへのパスである場合は、その値が保存されます。そうでない場合は、variable_name_
で始まるすべての変数がチェックされます。既存ファイルへのパスである最後の値が、variable_name
の新しい値に使用されます。
この例では、PASSWD_FILE
は、/etc/master.passwd
が存在する場合は/etc/master
に設定され、/etc/passwd
が存在する場合は/etc/passwd</span>
に設定されます。それ以外の場合、PASSWD_FILE
は定義されません。
directory
directory Launcher Variables TYPE_JDK=directory JDK_java_home=$JAVA_HOME IdcNativeDir=$IdcHomeDir/native DEFAULT_JDK_DIR=$OS_DIR/$PLATFORM JDK_legacy142=$DEFAULT_JDK_DIR/j2sdk1.4.2_04 JDK_default=$DEFAULT_JDK_DIR/jdk1.5.0_07
この例では、JDK
は、ディレクトリを示す最後のJDK_
変数と同じ値に設定されます。通常これは、Oracle Fusion MiddlewareとともにインストールされたJDKを指します。JDK_java_home
は$JAVA_HOME
を参照することに注意してください。変数がどの構成ファイルにも定義されておらず、環境に定義されている場合は、環境の値が使用されます。
executable
executable Launcher Variables TYPE_JAVA_EXE=executable JAVA_EXE_default=java$EXE_SUFFIX JAVA_EXE_jdk_default=$JDK/bin/java$EXE_SUFFIX
executableタイプは、実行可能ファイルを検索します。これは、fileタイプと非常によく似た動作をしますが、各候補値について$PATH
内のすべてのディレクトリを調べます。この例では、JAVA_EXE
は、JDK
内のJava実行可能ファイルが存在する場合は、そのファイルに設定されます。それ以外の場合は、PATH
内の最初のJava実行可能ファイルに設定されます。
list
list Launcher Variables TYPE_JAVA_OPTIONS=list JAVA_MAX_HEAP_SIZE=384 DEFINE_PREFIX=-D JAVA_OPTIONS_BIN_DIR=${DEFINE_PREFIX}idc.bin.dir=$BIN_DIR JAVA_OPTIONS_maxheap=${JAVA_MAX_HEAP_SIZE+-Xmx${JAVA_MAX_HEAP_SIZE\}m} JAVA_OPTIONS_service=${IS_SERVICE+$JAVA_SERVICE_EXTRA_OPTIONS}
list
タイプは、実行可能ファイルのオプションのリストを計算します。variable_name_
で始まる各値が引用符付きのオプションになり、variable_name
にはリスト全体が設定されます。この例では、JAVA_OPTIONS
は次の文字列に設定されます。
"-Didc.bin.dir=/intradocdir/bin/" "-Xmx384m"
path
path Launcher Variables IdcResourcesDir=${IdcResourcesDir-$IdcHomeDir/resources} BASE_JAVA_CLASSPATH_source=$IdcResourcesDir/classes BASE_JAVA_CLASSPATH_serverlegacy=$SharedDir/classes/server.zip BASE_JAVA_CLASSPATH_server=$JLIB_DIR/idcserver.jar
TYPE_JAVA_CLASSPATH=path
JAVA_CLASSPATH_legacy=$CLASSPATH
JAVA_CLASSPATH_orig=$IntradocDir/classes
JAVA_CLASSPATH_unpackaged=$SharedDir/classes
JAVA_CLASSPATH_components=$COMPONENTS_CLASSPATH
JAVA_CLASSPATH_server=$SharedDir/classes/server.zip
JAVA_CLASSPATH_refinery=$SharedDir/classes/idcrefinery.zip
JAVA_CLASSPATH_flexion=$SharedDir/classes/flexionxml.jar
JAVA_CLASSPATH_ldap=$SharedDir/classes/ldapjdk.jar
path
タイプは、パスのような値を計算します。variable_name_
で始まる各変数の値が、PATH_SEPARATOR
の値で区切られてvariable_name
の値に追加されます。この例では、BASE_JAVA_CLASSPATH
は、非常に長いクラスパスに設定されます。
lookupstring
lookupstring Launcher Variables TYPE_VDK_PLATFORM=lookupstring PARAMETER_VDK_PLATFORM=${PLATFORM}_${UseVdkLegacySearch+vdk27} VDK_PLATFORM_aix_vdk27=_rs6k41 VDK_PLATFORM_aix_=_rs6k43 VDK_PLATFORM_hpux_vdk27=_hpux11 VDK_PLATFORM_hpux_=_hpux11 VDK_PLATFORM_freebsd_vdk27=_ilnx21 VDK_PLATFORM_freebsd_=_ilnx21 VDK_PLATFORM_linux_vdk27=_ilnx21 VDK_PLATFORM_linux_=_ilnx21 VDK_PLATFORM_solaris_vdk27=_ssol26 VDK_PLATFORM_solaris_=_ssol26 VDK_PLATFORM_win32_vdk27=_nti40 VDK_PLATFORM_win32_=_nti40
lookupstring
タイプは、2番目のパラメータを使用して最終的な値の検索キーを構成します。2番目のパラメータとは、$PARAMETER_
variable_name
の値です。この値が定義されていない場合は、variable_name
の現在の値が検索キーとして使用されます。この例では、PARAMETER_VDK_PLATFORM
は、UseVdkLegacySearch
の値に応じて、${PLATFORM}_
または${PLATFORM}_vdk27
の値となります。
この値はその後、変数VDK_PLATFORM_${PARAMETER_VDK_PLATFORM}
の値の検索に使用されます。検索された値は、引用符で囲まれてVDK_PLATFORM
に割り当てられます。
lookuplist Launcher Variables TYPE_STARTUP_CLASS=lookuplist STARTUP_CLASS_version=Installer --version STARTUP_CLASS_installer=Installer STARTUP_CLASS_WebLayoutEditor=IntradocApp WebLayout STARTUP_CLASS_UserAdmin=IntradocApp UserAdmin STARTUP_CLASS_RepositoryManager=IntradocApp RepositoryManager STARTUP_CLASS_Archiver=IntradocApp Archiver STARTUP_CLASS_WorkflowAdmin=IntradocApp Workflow STARTUP_CLASS_ConfigurationManager=IntradocApp ConfigMan
lookuplist
タイプは、2番目のパラメータを使用して最終的な値の検索キーを構成します。2番目のパラメータとは、$PARAMETER_
variable_name
の値です。この値が定義されていない場合は、variable_name
の現在の値が検索キーとして使用されます。
lookupstring
とは異なり、lookuplist
は、最終的な値を引用符で囲みません。この例では、STARTUP_CLASS
の現在の値はversion
です。STARTUP_CLASS
は、Installer --version
という値に置き換えられます。
計算される設定の処理後、ランチャは、文字列EXPORT_
で始まるすべての変数に対して繰り返し適用されます。各変数の値は、環境変数の名前として使用されます。環境変数の名前には、EXPORT_
変数の後半の値が割り当てられます。たとえば、EXPORT_IDC_LIBRARY_PATH=LD_LIBRARY_PATH
は、IDC_LIBRARY_PATH
変数の値をLD_LIBRARY_PATH
という名前でエクスポートします。
変数JAVA_COMMAND_LINE
は、コマンドラインの取得に使用されます。使用されていないランチャに対するコマンドライン引数はすべて、コマンドラインに追加されます。UNIXシステムでは、コマンドラインが解析され、引用符は付けられず、execv
がコールされます。Windowsでは、シャットダウンのミューテックスが作成され、CreateProcess
がコマンドラインを使用してコールされます。CreateProcess
ではバックスラッシュを付ける処理を元に戻すことはできないため、注意する必要があります。
ランチャをデバッグするための主な方法は、最終的なコマンドの引数の前に-debug
フラグを追加することです。$BIN_DIR/debug.log
というファイルを作成することもできます。このファイルは、デバッグ・モードをトリガーしてデバッグ出力を格納します。
ランチャは、動作を制御するために設定または使用される次の構成エントリを認識します。これらの構成変数は、コンテンツ・サーバーの将来のリリースで変更または削除される可能性があることに注意してください。
IDC_SERVICE_NAME
: サービスの登録、登録解除、起動および停止に使用されるwin32サービスの名前。
IDC_SERVICE_DISPLAY_NAME
: サービスの登録に使用されるwin32の表示名。
IntradocDir
: 相対パス名のベース・ディレクトリ。
IdcBaseDir
: IntradocDir
の代替名。
IdcResourcesDir
: 特に定義されていない場合は、$IdcHomeDir/resources
に設定されます。
IdcNativeDir
: 特に設定されていない場合は、デフォルトで$IdcHomeDir/native
に設定されます。
PATH_SEPARATOR
: 特に設定されていない場合は、コロン(:)またはセミコロン(;)のいずれかに設定されます。
STARTUP_CLASS
: ランチャ実行可能ファイルの名前に設定されます。
MUTEX_NAME
: win32でシャットダウンのミューテックスを作成するために使用される名前。
BEFORE_WIN_SERVICE_START_CMD
: 設定された場合、win32サービスの起動前に実行されるコマンドラインになります。
UseRedirectedOutput
: 設定された場合、win32上のランチャにJava VMからの出力をファイルにリダイレクトするように指示します。
ServiceStartupTimeout
: Javaプロセスがwin32で正常に起動するのを待機するために使用されるタイムアウト。
注意:
Launcher.exe
を使用してstatus.dat
ファイルを変更し、JVMコマンドラインの値を変更すると、理論上は、どのJavaプログラムもWindowsサービスとして実行できます。この方法は、通常の使用にはお薦めしませんが、こうすることで、ランチャのいくつかの構成方法が明らかになります。
ランチャのUIは、起動するアプリケーションと同じです。たとえば、ランチャの名前をIntradocApp
に変更した場合、Webレイアウト・エディタを起動するには、次のコマンドライン引数を指定します。
IntradocApp WebLayout
これにより、Webレイアウト・エディタは、スタンドアロン・アプリケーションとして起動されます。
デフォルトでは、アプリケーションはコンソール出力なしの状態で起動されます。ただし、IdcServer、IdcAdmin、IdcCommandXまたはInstallerを起動すると、Java出力が画面に表示されます。その他の場合はすべて、出力はクリーナ・インタフェースに対して表示されません。
バッチ・ローダーやリポジトリ・マネージャなど、アプリケーションによっては、アプリケーションからのJava出力を表示するほうが望ましいものがあります。ランチャがJava出力を画面にダンプするようにするには、次のように-console
フラグを使用します。
IntradocApp RepMan -console
これで、リポジトリ・マネージャの起動元のコンソールに出力が書き込まれます。
ランチャの名前をIdcServer、BatchLoader、SystemProperties、または追加パラメータを必要としないその他の任意のJavaクラスに変更すると、ダブルクリックするだけで起動できます。その他の場合は、ショートカットを使用すると、ダブルクリックで起動できます。
ランチャを使用するには、まず、Launcher.exeファイルの名前を変更して、起動するクラス・ファイルと同じ名前の実行可能ファイルにします。一般的な例としては、IdcServer.exe
やIntradocApp.exe
などがあります。
注意:
カスタム・アプリケーションを作成する場合、カスタム・ディレクトリを作成し、Launcher.exe
ファイルの名前を、起動するサービスに変更する必要があります。有効なintradoc.cfg
ファイルが実行可能ファイルと同じディレクトリに存在している必要があります。必須パラメータはIntradocDir
のみです。ただし、他のエントリを追加してJavaアプリケーションの起動方法を変更できます。
実行する必要のあるアプリケーションの構成ファイルを変更できます。次の例に、ほぼすべてのコンテンツ・サーバー・アプリケーションを起動するのに十分な構成ファイルのエントリを示します。
Configuration File Entries for Content Server Applications
<?cfg jcharset="Cp1252"?>
#Content Server Directory Variables
IntradocDir=C:/domain/idcm1/
CLASSPATH=$COMPUTEDCLASSPATH;$SHAREDDIR/classes/jtds.jar
BASE_JAVA_CLASSPATH_source=$IdcResourcesDir/classes BASE_JAVA_CLASSPATH_serverlegacy=$SharedDir/classes/server.zip BASE_JAVA_CLASSPATH_server=$JLIB_DIR/idcserver.jar
Oracle WebCenter Content: Inbound Refineryなどの他のアプリケーションでは、クラスパスにクラスを追加する必要があります。このファイルを変更して、別のJava仮想マシンを使用してコンテンツ・サーバーを実行できるようにすることも可能です。
CLASSPATH
は、リストされたエントリの順にクラス・ファイルを検索するように設計されています。つまり、ランチャは、DomainHome
/ucm/idc/native
ディレクトリ全体を検索してから、resources
ディレクトリまたはserver.zip
ファイル内を調べます。これは、ZIPファイルにパッチを適用せずにJavaクラスをオーバーロードする場合に適しています。
さらに、Javaアプリケーションがランチャとの通信に適したAPIに準拠している場合は、ランチャを使用して、Javaアプリケーションのインストール、アンインストールおよび実行をWindowsサービスとして行うことができます。ランチャを使用してJavaアプリケーションをWindowsサービスとして実行できるようにする方法の詳細は、IdcServer.java
またはIdcAdmin.java
のソース・コードを参照してください。
COMPUTEDCLASSPATH
は、ランチャが使用するCLASSPATH
にクラス・ファイルを追加するために使用されます。クラス・ファイルを追加するには、このフラグをオーバーライドします。
注意:
intradoc.cfg
ファイルは通常、インストール時に、特定のデータベースに対するJDBCドライバの場所を含むように変更されます。別のJDBCドライバを使用する場合は、ドライバをコンテンツ・サーバーのIdcHomeDir
ディレクトリの外部に配置し、intradoc.cfg
ファイル内のJDBC_JAVA_CLASSPATH_customjdbc
エントリをドライバの場所に変更します。
次の例では、Windowsオペレーティング・システム上でIBM仮想マシンを使用してコンテンツ・サーバーを実行するコマンドを示します。
Command for Running Content Server with a Custom JVM
#customized for running the IBM VM
JAVA_EXE=full path
カスタムJVMを使用する場合は、使用するJava実行可能ファイルへのフルパスを指定します。
注意:
JVMコマンドラインのオーバーライドは避けてください。カスタム・クラス・ローダーのため、カスタマイズはより複雑なものになります。JVMコマンドラインをオーバーライドする場合は、$IdcHomeDir/resources/core/config/launcher.cfg
ファイルから始めます。
その場合は、まず次のコマンドラインを使用します。
JvmCommandLine=$JAVA_EXE $JAVA_OPTIONS $JAVA_SERVICE_EXTRA_OPTIONS $DEFINE_PREFIXjava.endorsed.dirs=$ENDORSEDPATH $APPEND_CLASSPATH "$CLASSPATH" $STARTUPCLASS
構成ファイル内のJAVA_COMMAND_LINE_SELECTION
エントリは、idcclassloader
またはtraditional
に設定できます。
使用しているJVMを変更するとき、そのJVMにすべての標準Sun SDK JARファイルがある場合は、J2SDK
構成エントリを使用してSDKディレクトリのルート・ディレクトリを再配置するほうが、JAVA_EXE
を使用してJava実行可能ファイルの場所を指定するよりもよい方法です。(これはIBM VMには適用できません。)
J2SDK
変数は、Sun SDKライブラリ(tools.jar
など)があるディレクトリを変更します。JAVA_EXE
エントリを設定せずにこのエントリを変更すると、Java実行可能ファイルはJ2SDK
のパスのbin
ディレクトリ内にあるとみなされます。J2SDK
のデフォルト値は、...\shared\os\win32\j2sdk1.4.2_04
です。
JAVA_OPTIONS
に値を追加するには、JAVA_OPTIONS_server=
-server
または別の同様の値を使用します。
次の表に、一般に使用されるコマンドライン・オプションを示します。アスタリスク(*)が付けられたオプションは、Windows オペレーティング・システムでのみ使用できます。マークが付けられていないオプションは、WindowsまたはUNIXオペレーティング・システムで使用できます。
オプション | 説明 |
---|---|
-console |
* Java出力およびエラー・ストリームがコンソールに表示されるように、Windowsコンソール・ウィンドウを開いたままにするようランチャに指示します。 |
-debug |
起動時に使用されたパスと変数、および起動時のエラーを表示します。また、これが繰り返された場合は、コンテンツ・サーバーでのJavaデバッグを可能にします。これにより、詳細レベルが上がります。 |
-fileDebug |
-debug オプションと似ていますが、このオプションは、デバッグ・データをデバッグ・ログ・ファイルにダンプします。これは通常、Windowsサービスをデバッグするために、intradoc.cfg ファイルのJAVA_OPTIONS またはJAVA_SERVICE_EXTRA_OPTIONS でのみ設定されます。 |
-install |
* ランチャによってWindowsサービスとしてみなされるJavaアプリケーションをインストールするために使用されます。 |
-install_autostart |
* -install オプションと似ていますが、このオプションは、サーバーの起動時に起動するアプリケーションをインストールします。 |
-uninstall |
* ランチャによってWindowsサービスとしてみなされるJavaアプリケーションをアンインストールするために使用されます。 |
-remove |
* -uninstall と同じです。 |
-dependent service-name |
* Windowsサービスが、service-name サービスも実行されているかどうかに依存するようにします。このコマンドは、サービスごとに依存コールを行う場合に便利です。 たとえば、コンテンツ・サーバーの起動前にデータベースが起動されるようにする場合、コンテンツ・サーバーの起動がデータベースの起動に依存するように指定できます。 |
-dependent user password |
* -install とともに使用され、user によって指定されたユーザーの資格証明とパスワードpassword を使用してサービスをインストールします。このコマンドは、資格証明に関係なくユーザーをチェックしますが、サービスをインストールしないことがあります。自動起動によってサービスが自動的に実行されるように、ユーザーの資格証明をサービスにまで拡張する必要があります。 Inbound Refineryなどの特定のサービスには、サービスがより高い権限で実行されるようにするために最後のフラグが必要です。ユーザー名は、一般的なMicrosoft形式である |
-help |
ランチャの使用に関する詳細な情報を表示します。 |
-version |
ランチャのバージョン番号を表示して終了します。 |
-asuser user password |
* インストール時に、指定されたpassword を持つ指定されたuser としてサービスをインストールするために使用されます。 |
-exec path _name |
argv[0]の設定をオーバーライドします。シンボリック・リンクのターゲットはソースを認識しないため、ターゲットのpath_name を指定するためにLauncher.sh によって使用されます。 |
-cfg configfilename |
計算される設定を特定する前に読み取る、追加の構成ファイルを指定します。 |
-idcServiceName servicename |
* Windowsサービスの名前を指定します。これは、(たとえば、インストール・ディレクトリ全体が削除された場合に)-remove とともに使用して、コンテンツ・サーバーのランチャを使用せずに別のコンテンツ・サーバー・サービスをアンインストールできます。 |
注意:
クラスパスをカスタマイズして、Oracle .dll
ファイルをロードするようにシステム・パスを変更するには、次のようにパスを設定します。
IDC_LIBRARY_PATH_customfiles=/path-to-customfiles
カスタムの共有オブジェクトおよび.dll
ファイルは、IdcHomeDir
にインストールしないでください。
注意:
クラスパスをカスタマイズして、Oracle .dll
ファイルをロードするようにシステム・パスを変更するには、次のようにパスを変更します。
PATH=$SHAREDDIR\\os\\win32\\lib\\;$SHAREDDIR\\search\\vdk\\_nti40\\bin;$SHAREDDIR\\search\\vdk\\_nti40\\filters;$OLDPATH
カスタムの.dll
ファイルをロードする場合は、それらをIdcHomeDir
/native/win32/lib
ディレクトリに配置します。
リモートでサービスを使用するには、リモート・システムに次のファイルが必要です。
DomainHome
/ucm/cs/bin/IdcCommand.exe
DomainHome
/ucm/cs/bin/intradoc.cfg
(コンテンツ・サーバー上のファイルと同じ)IntradocDir
/config/config.cfg
さらに、リモート・システム上のconfig.cfg
ファイルの#Additional Variables
セクションに、次の構成エントリを定義する必要があります。