この章の内容は次のとおりです。
WebLogic Server 12c (12.2.1.3.0)は、Java EE 7との互換性があります。この互換性があるため、あるオペレーティング・システム・プラットフォームでJava EE 7に準拠したアプリケーションを開発し、そのアプリケーションを別のプラットフォームに本番環境としてデプロイできます。その際、Java EE 7アプリケーションのコードを変更する必要はありません。
OracleはこのようなJava EE 7アプリケーションの移植に関する互換性をWebLogic Serverの1つのリリース・レベルの範囲内で保証しています。
1つの例外を除き、WebLogic Server 12c (12.2.1.3.0)にアップグレードする場合、アプリケーションを再コンパイルしてクラスを新しく生成する必要はありません。
WebLogic Server 12cに含まれているバージョンのEJBGenユーティリティは、JDK 5.0以降のメタデータ・アノテーション・スタイルのEJBGenタグのみを認識し、以前のJavadocスタイルのタグは認識しません。つまり、Javadocスタイルのタグを使用するソース・ファイルは、同等のアノテーションを使用するようにアップグレードしてから、現在のバージョンのEJBGenを使用して再コンパイルする必要があります。
WebLogicドメインの範囲内で、Oracle WebLogic Serverは、そのドメインで実行可能な特定のバージョンのWebLogic Serverインスタンスに加え、これらのサーバー・インスタンスが実行可能なハードウェア、オペレーティング・システム、およびJVMプラットフォームの組合せに関して、幅広い互換性をサポートします。
ただし、WebLogicクラスタなど、ドメインに存在する特定の構成によっては、最適なパフォーマンスを達成するための具体的な推奨事項があります。次のトピックでは、WebLogicドメイン内での互換性に関する重要な情報について説明します。
WebLogicドメイン内では、管理サーバー、管理対象サーバー・インスタンスおよびドメイン自体に、それぞれのWebLogic Serverバージョン番号あります。バージョン番号は、5桁で構成されます(例、WebLogic Server 12.2.1.0.0)。各桁の意味は、次のとおりです。
先頭の2桁で、メジャー・バージョン番号を表します(例: 12.2.1.0.0の12.2)。WebLogic Server 12.2メジャー・バージョン・リリースは、WebLogic Server 12cR2メジャー・バージョン・リリースとも呼ばれます。
先頭の3桁を合わせて、マイナー・バージョン番号を表します(例、12.2.1.0.0の「12.2.1」)。WebLogic Server 12.2.1 (または12.2.1.0.0)は、WebLogic Server 12.2メジャー・バージョン・リリースの最初のマイナー・バージョン・リリースです。WebLogic Server 12.1.3 (または12.1.3.0.0)は、WebLogic Server 12.1メジャー・バージョン・リリースの3番目のマイナー・バージョン・リリースです。
WebLogic Server 12.2.1.0.0のパッチ・セット・リリースでは、4桁目が増加します。たとえば、12.2.1.1.0はパッチ・セットの最初のリリースです。
パッチ・セットの更新リリースは、5桁目をYYMMDDの形式のパッチ・セッチ更新リリースの日付で増加することで一意に命名されます。(例、12.2.1.0.160719)。この規則は、パッチ・セットの更新の命名に使用されます(例、My Oracle Supportで利用可能なダウンロードに命名する場合など)。ただし、パッチ・セット更新のアプリケーションでは、WebLogic Server 12.2.1インストーラで使用されるOracleインベントリ・ディレクトリ(oraInventory
)で参照されているように、既存のWebLogic Serverインストールのバージョン番号は変更されません。
WebLogic Serverインスタンスやドメインのバージョン番号とパッチ・セット・レベルは、様々な方法で取得できます。次に例を示します。
管理サーバーまたは管理対象サーバーのインスタンスの場合は、サーバーの起動時にstdout
に送信されたバージョン・メッセージを表示できます。次に例を示します。
<Version: WebLogic Server 12.2.1.1.0 Thu Aug 13 16:15:36 PDT 2015 1698759 >
ドメインの場合は、ドメイン構成ファイルconfig.xml
の<domain-version>
要素の値を表示できます。次に例を示します。
<domain-version>12.2.1.1.0</domain-version>
WebLogicドメイン内では、管理サーバー、すべての管理対象サーバー・インスタンスおよびWebLogicドメインは、同一のWebLogic Serverメジャーおよびマイナー・バージョンである必要があります。つまり、WebLogic Server 12.2.1では、管理サーバー、管理対象サーバーおよびWebLogicドメインはすべてバージョン12.2.1である必要があります。ドメイン内のパッチ・セット更新および臨時/個別パッチのレベルの整合性を維持するために、次のガイドラインに注意してください。
注意:
12.1.2より前のWebLogic Serverのバージョンでは、特定のドメインでサポートされているWebLogic Serverバージョンに関する互換性の制限が若干異なります。Oracle WebLogic Serverのアップグレードを参照してください。
一般に、安定状態の操作では、ドメイン内のすべてのサーバー・インスタンスでパッチ・セット更新(PSU)および臨時/個別パッチのレベルを同じにすることがベスト・プラクティスになります。ただし、場合によってはドメイン内のサーバー・インスタンスを異なるPSUおよび臨時/個別パッチのレベルで実行しなければならないことがあります。その主な例を次に示します。
PSUまたは臨時/個別パッチをドメイン内のサーバー・インスタンス全体にローリング方式で適用する場合。この場合は、管理サーバーのPSUおよび臨時/個別パッチのレベルが管理対象サーバーと同じかそれよりも高くなるように、最初に保守を管理サーバーに適用する必要があります。『Oracle WebLogic Serverのアップグレード』のローリング更新に関する項を参照してください。
安定状態の操作において、ドメイン内の管理対象サーバーを異なるPSUおよび臨時/個別パッチのレベルで実行する特定の要件がある場合。この場合は、管理サーバーのPSUレベルがすべての管理対象サーバーと同じかそれよりも高くなるように、管理サーバーのPSUレベルを最も高くする必要があります。ドメイン内の管理対象サーバーが異なる臨時/個別パッチで実行されている場合、管理サーバーに一貫性のある臨時/個別パッチのセットを適用することはできません。このように複雑な保守は管理が難しくなるため、一般には、ドメイン内のすべてのサーバーでPSUおよび臨時/個別パッチのレベルを同じにすることがベスト・プラクティスになります。
クラスタまたはドメイン内のサーバー・インスタンスは、Oracle Technology Networkの「Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成」ページにリストされているハードウェアおよびオペレーティング・システムであれば、いかなるハードウェアおよびオペレーティング・システム上でも実行できます。ただし、クラスタ化された管理対象サーバー・インスタンスを別のハードウェアとオペレーティング・システムで実行すると、ロード・バランシングとパフォーマンスに影響する可能性があることに注意してください。一般に、クラスタ内のすべての管理対象サーバーは、同じハードウェアおよびオペレーティング・システム上で実行することがベスト・プラクティスになります。
WebLogicドメインがOracle Enterprise Manager Cloud Controlインストールの一部である場合、ドメインで構成可能なハードウェア、オペレーティング・システムおよびJVMの組合せに関する追加の要件が存在します。『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。
WebLogicドメインの詳細は、Oracle WebLogic Serverドメイン構成の理解(特に、ドメインの互換性に関して追加の詳細情報を提供する、ドメインの制約)を参照してください。
ドメイン内のWebLogic Serverインスタンスは、任意のハードウェア、オペレーティング・システムおよびJVMプラットフォームで実行できます。ただし、そのハードウェア、オペレーティング・システムおよびJVMが現在のバージョンのWebLogic Serverでサポートされている場合にかぎります。詳細は、Oracle Technology NetworkのOracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成ページを参照してください。
注意:
このプラットフォームの互換性のサポートは、クラスタ内の管理対象サーバー・インスタンスにまで及びますが、基礎となるハードウェア、オペレーティング・システムおよびJVMをクラスタ内で均一にすることをお薦めします。同一クラスタ内で実行中の管理対象サーバー・インスタンスは同等であると見なされるため、混合プラットフォーム上でクラスタ化されたサーバー・インスタンスを実行すると、ロード・バランシングとパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。混合プラットフォームでクラスタを運用する必要がある場合は、ロード・バランシングとパフォーマンスへの影響を把握しておくことを強くお薦めします。
Oracle WebLogic Server 12.2.1.3.0で削除され、以前は非推奨だったAPIのリストは、『Oracle WebLogic Server 12.2.1.3.0の新機能』の削除された機能とコンポーネントに関する項を参照してください。
WebLogic Server 12c (12.2.1.3.0)とWebLogic Server 10.0、10.3.x、12.1.1、12.1.2および12.1.3との相互運用性は、WebLogicクライアント、トランスポート・プロトコル、およびWebLogicプロキシ・プラグインに関する複数のシナリオでサポートされています。ただし、互換性セキュリティを使用するように構成されているWebLogicドメインに関しては、相互運用性に関する重要な制限が存在します。
サポートされている相互運用性シナリオは次のとおりです。
WebLogic Server 10.0、10.3.x、12.1.1、12.1.2および12.1.3クライアントは、IIOP、T3、T3S、HTTPおよびHTTPSを使用してWebLogic Server 12c (12.2.1.3.0)サーバーがホストするRMIベースのアプリケーションを呼び出すことができます。JMSアプリケーションは、T3、T3S、HTTP、およびHTTPSを使用して呼び出すことができます。
WebLogic Server 12c (12.2.1.3.0)クライアントは、IIOP、T3、T3S、HTTPおよびHTTPSを使用してWebLogic Server 10.0、10.3.x、12.1.1、12.1.2および12.1.3サーバーがホストするRMIベースのアプリケーションを呼び出すことができます。JMSアプリケーションは、T3、T3S、HTTP、およびHTTPSを使用して呼び出すことができます。
WebLogicプロキシ・プラグインは、10.0、10.3.x、12.1.1、12.1.2および12.1.3の最新のパッチ・セット・リリースのサーバーでプロキシが可能です。
重要な制限の1つは、WebLogic Server 12c (12.2.1.3.0)と、互換性セキュリティを使用するWebLogic Serverの古いリリースとの間の相互運用性に関する制限です。WebLogic Serverバージョン12.2.1以降、サーバーとクライアントの両方で互換性セキュリティのサポートが削除されています。互換性セキュリティを使用するWebLogic Serverとの相互運用性を有効にするには、次の選択肢のいずれかを選択します。
古いWebLogic Serverドメインとの通信に使用するネットワーク・チャネルを構成し、T3のかわりにIIOPプロトコルを使用します。『Oracle WebLogic Serverサーバー環境の管理』のネットワーク・リソースの構成に関する項を参照してください。
WebLogic Serverバージョン12.1.3またはそれ以前のクライアントを使用します。『Oracle WebLogic Serverスタンドアロン・クライアントの開発』の「スタンドアロン・クライアントの概要」を参照してください。
互換性セキュリティを使用しないように、WebLogic Serverの古いリリースのドメインをアップグレードします。