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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの理解
12c (12.2.1.3.0)
E90327-01
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8 WebLogic Serverデータ・ソース

WebLogic Serverでは、Java Database Connectivity (JDBC)データ・ソースを構成して、WebLogicドメイン内のサーバーまたはクラスタにそのリソースをターゲット指定またはデプロイすることにより、データベース接続を構成できます。

この章の内容は次のとおりです。

JDBCデータ・ソースの理解

データ・ソースは、データ・ソース・インスタンスの作成時に作成されるデータベース接続のプールで、データ・ソース・インスタンスの作成は、データ・ソースのデプロイ時、ターゲット指定時、またはホストのWebLogic Serverインスタンスの起動時に発生する可能性があります。

Oracle WebLogic Serverでは、次の5種類のデータ・ソースが提供されています。

  • 汎用データ・ソース - 汎用データ・ソースとその接続プールによって、効率的なシステム運用の維持を円滑にする接続管理プロセスが提供されます。アプリケーションや環境に適合するオプションをデータ・ソースで設定できます。

  • Active GridLinkデータ・ソース - Oracle RACインスタンス内の状態変更に適応的に応答するイベント・ベースのデータ・ソース。

  • マルチ・データ・ソース - ロード・バランシングやフェイルオーバー処理を提供する汎用データ・ソースのグループを抽象化したもの。

  • プロキシ・データ・ソース - WebLogic Serverマルチテナント環境のデータベース間で切替えを実行できるデータ・ソース。

  • ユニバーサル接続プール(UCP)データ・ソース - Oracle Universal Connection Pooling (UCP)を使用してOracle Databaseに接続するユーザー用のオプションとして提供されるデータ・ソース。UCPは、Oracle WebLogic Server接続プーリングに対する代替接続プーリング・テクノロジを提供します。

WebLogic Serverでは、データベース接続の柔軟性と移植性を向上するようにプログラミングで定義できるJava EE DataSourceオブジェクトもサポートされています。Java EE DataSourceオブジェクトの詳細は、『Oracle WebLogic Server JDBCアプリケーションの開発』の「DataSourceリソース定義の使用」を参照してください。

汎用データ・ソースの理解

一般的なデータ・ソースとその接続プールはデータベース・アクセスおよびデータベース接続の管理プロセスを提供し、システムの効率的な稼動に役立ちます。各汎用データ・ソースには、データ・ソース作成時およびサーバー起動時に作成される、データベース接続のプールが含まれています。アプリケーションは、JNDIツリーまたはローカル・アプリケーション・コンテキストでデータ・ソースをルックアップし、次にgetConnection()を呼び出すことで、データ・ソースからのデータベース接続を予約します。接続の使用が終わったら、アプリケーションはできるだけ早くconnection.close()を呼び出して、データベース接続をプールに戻し、他のアプリケーションが使用できるようにする必要があります。

Active GridLinkデータ・ソースの理解

単一のActive GridLink (AGL)データ・ソースにより、WebLogic ServerとOracle Databaseサービス(複数のOracle RACクラスタが含まれることもあります)間の接続が提供されます。AGLデータ・ソースは、Oracle RACインスタンス内の状態変更に適応的に応答するため、Oracle Notification Service (ONS)を使用します。Oracle Databaseサービスは、共通属性を持つ作業負荷を表します。これにより、管理者は単一のエンティティとして作業負荷を管理できます。クラスタ内のノード数に関係なく、データベース内のサービス数が増加するに従い、AGLデータ・ソース数をスケールします。

AGLデータ・ソースには、汎用データ・ソースの機能に加え、Oracle RACに対する次のサポートが含まれています。

  • 高速接続フェイルオーバー

  • ランタイム接続ロード・バランシング

  • Oracle RAC停止時の正常操作

  • GridLinkアフィ二ティ

  • SCANアドレス

  • Oracle Walletを使用してセキュアな通信

JDBCマルチ・データ・ソースの理解

概念的には、マルチ・データ・ソースは、汎用データ・ソースのプールと考えることができます。マルチ・データ・ソースは、冗長なデータベースやOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)など、可用性の高いデータベース・システムのノード間のフェイルオーバーまたはロード・バランシングに使用するのが最適です。 マルチ・データ・ソースは、汎用データ・ソースがJNDIツリーにバインドされているのと同じ方法で、JNDIツリーまたはローカル・アプリケーション・コンテキストにバインドされます。アプリケーションは、データ・ソースの場合と同じようにJNDIツリー上のマルチ・データ・ソースまたはローカル・アプリケーション・コンテキスト(java:comp/env),内のマルチ・データ・ソースをルックアップし、その後データベース接続をリクエストします。マルチ・データ・ソースでは、そのマルチ・データ・ソース構成で選択されているアルゴリズム(ロード・バランシングまたはフェイルオーバー)に応じて、リクエストに対応できるように、使用するデータ・ソースが決定されます。

プロキシ・データ・ソースの理解

プロキシ・データ・ソースは、WebLogic Serverマルチテナント環境のデータベース間で切替えを実行できます。プロキシ・データ・ソースによって、パーティションまたはテナントに関連付けられたデータ・ソースにアクセスするための軽量メカニズムが提供され、複数のデータ・ソースの管理が簡略化されます。多くの場合、アプリケーションは、ネーミング規則やコンテキスト名(パーティションまたはテナント)などを認識しないまま、名前でデータ・ソースに迅速にアクセスする必要があります。プロキシ・データ・ソースは、基礎となるデータ・ソースに対するアクセスを提供します。すべての重要な処理が、それが指し示すデータ・ソースで発生します。つまり、実際には、基礎となるデータ・ソースがデプロイメント、管理、セキュリティなどを処理します。プロキシ・データ・ソースの詳細は、『Oracle WebLogic Server JDBCデータ・ソースの管理』の「プロキシ・データ・ソースの使用」を参照してください。

ユニバーサル接続プール・データ・ソースの理解

ユニバーサル接続プール(UCP)データ・ソースを使用すると、Oracle Databaseへの接続にOracle Universal Connection Pooling (UCP)を使用できます。UCPデータ・ソースは、WebLogic Serverの接続プールに対する代替接続プール技術であるUCPを使用するためのオプションとして使用できます。

注意:

通常、Oracle Databaseとの接続の確立には、Active GridLinkデータ・ソース、マルチ・データ・ソースまたは汎用データ・ソースと、これらのデータ・ソース実装に含まれるOracle WebLogic Server接続プールを使用することをお薦めします。

UCPデータ・ソースの実装は、疎結合されており、アプリケーションによる新しいUCP機能の使用をサポートするためにucp.jarファイルを切り替えることができます。UCPデータ・ソースは、アプリケーション・スコープ、アプリケーション・パッケージ、またはスタンドアロン・モジュール環境ではサポートされません。『Oracle WebLogic Server JDBCデータ・ソースの管理』の「ユニバーサル接続プール・データ・ソースの使用」を参照してください。

WebLogic Serverデータ・ソースのためのロードマップ

WebLogic Serverのドキュメント・セットには、WebLogic Serverデータ・ソースの構成および使用方法の理解に役立つ、いくつかの入門的なトピック、手順的なトピック、リファレンス的なトピックがサンプルとともに含まれています。

表8-1 WebLogic Serverデータ・ソースのためのロードマップ

主要なタスク サブタスクと追加情報

WebLogic Serverデータ・ソースについてもっとよく知る

  • WebLogic ServerにおけるJDBCリソースの理解

  • データ・ソース構成ファイル

  • JDBCAリソースに対するJMXおよびWLSTのアクセス

  • クラスタリングされたJDBCリソースの概要

  • マルチ・データ・ソースの機能

  • アプリケーションでのWebLogic JDBCの使用

JDBCの構成

  • JDBCデータ・ソースの構成

  • GridLinkデータ・ソースの使用

  • JDBCマルチ・データ・ソースの構成

  • Oracleドライバの高度な構成

  • JDBCデータ・ソース・トランザクション・オプション

  • JDBCデータ・ソースを保護するためのロールおよびポリシーの使用

Java EEデータ・ソース

  • DataSourceリソース定義の使用

JDBCの管理

  • データ・ソースの管理

  • データ・ソースのモニタリング

  • GridLink JDBCリソースのモニタリング

パフォーマンスおよびチューニング

  • JDBCアプリケーションのチューニング

  • データ・ソース接続プールのチューニング

WebLogic ServerでのOracle RACの使用

  • WebLogic ServerでのOracle RACの使用

  • Oracle RACでのマルチ・データ・ソースの使用

  • Oracle RACでの高速接続フェイルオーバーの使用

JDBCドライバ

  • サード・パーティJDBCドライバの概要

  • Derby

    Derbyは、WebLogic Serverに含まれる全面的なJava DBMS製品で、WebLogic Serverの例をサポートすることだけを目的としています。製品にはドキュメントは付属しておらず、http://db.apache.org/derby/manuals/index.htmlから入手可能です。Derbyの詳細は、http://db.apache.org/derbyを参照してください。