このドキュメントは、WebLogic Server Java Message Service (JMS)を利用したアプリケーションを開発および構成するソフトウェア開発者を対象としています。また、WebLogic Serverを評価するビジネス・アナリストや、特定のアプリケーション用にWebLogic Server JMSの使用を考えているシステム設計者にとって便利な情報も掲載しています。
このドキュメントのトピックでは、ソフトウェア・プロジェクトの設計および開発段階に関連する情報を提供します。また、プロジェクトのテストおよび本番前のフェーズで見つかるアプリケーションの問題を解決するうえで便利なトピックもあります。
このドキュメントでは、本番フェーズでのJMSの管理、モニター、パフォーマンス・チューニングについては扱いません。
Java EEおよびJMSの概念をよく理解している必要があります。このドキュメントでは、WebLogic Server JMSが提供する付加価値機能と、JMSアプリケーションを実行するWebLogic Server機能の使い方に関する主要な情報が重点的に扱われています。
この章「概要とロードマップ」では、このドキュメントの構成を紹介します。
「WebLogic JMSの理解」では、Java Message Serviceの概要を説明します。また、WebLogic JMSコンポーネントと機能についても説明します。
「アプリケーション設計のベスト・プラクティス」では、WebLogic Server JMSの設計オプション、設計のプロセスで検討するアプリケーションの動作、および推奨される設計パターンについて説明します。
「WebLogic JMSをEJBやサーブレットと組み合せて使用するために拡張されたサポート」では、WebLogic JMSをJava EEコンポーネント(エンタープライズJava Bean、サーブレットなど)と組み合せて使用するのを容易にする最良の方法について説明します。
「基本的なJMSアプリケーションの開発」では、WebLogic JMSアプリケーションを開発する方法について説明します。
「簡略化APIプログラミング・モデルの理解」では、JMS 2.0簡略化APIを使用してWebLogic JMSアプリケーションを開発する方法を説明します。
「アプリケーションの管理」では、WebLogic JMSの付加価値機能を使用してJMSアプリケーションをプログラム的に管理する方法について説明します。
「JMSモジュール・ヘルパーを使用したアプリケーションの管理」では、JMSサーバー、ストア・アンド・フォワード・エージェント、およびJMSシステム・リソースをプログラム的に作成および管理する方法について説明します。
「WebLogic JMSでのマルチキャストの使い方」では、マルチキャストを使用して、指定したホストのグループへのメッセージ配信を有効にする方法について説明します。マルチキャストで配信されたメッセージは、その後サブスクライバに転送されます。
「分散宛先の使用」では、WebLogic JMSで分散宛先を使用する方法について説明します。
「メッセージ順序単位の使用」では、メッセージ順序単位を使用して、WebLogic JMSキューの使用時に厳格なメッセージ順序を提供する方法について説明します。
「作業単位メッセージ・グループの使用」では、作業単位メッセージ・グループを使用して、WebLogic JMSの使用時にメッセージのグループを提供する方法について説明します。
「WebLogic JMSによるトランザクションの使い方」では、WebLogic JMSでトランザクションを使用する方法について説明します。
「拡張パブリッシュ/サブスクライブ・アプリケーションの開発」では、高可用性アプリケーションの設計に必要な共通分散トピック(UDT)の機能および詳細概念について説明しています。
「サーバー障害からの回復」では、サーバーで障害が発生した場合にJMSアプリケーションを正常に終了させる方法、およびサーバーで障害が発生した後にJMSデータを移行する方法について説明します。
「WebLogic JMS C API」では、WebLogic JMSと相互運用するCプログラムを開発する方法について説明します。
「サーバー・セッション・ポール(非推奨)」では、このリリースのWebLogic Serverで非推奨になった機能について説明します。
「FAQ :リモートJMSプロバイダの統合」では、WebLogic ServerをリモートJMSプロバイダと統合する方法に関するよくある質問とその回答を紹介します。
「宛先のルックアップ方法」では、宛先をルックアップするために使用できる方法の概要について説明します。
「JMS宛先の可用性ヘルパーAPIを使用した分散宛先に関する拡張プログラミング」が宛先が使用可能または使用不可になったときに通知を受信する手段を提供します。
このドキュメントには、JMS固有の設計および開発上の情報が含まれています。
WebLogic Serverアプリケーションを開発、デプロイ、およびモニターするための包括的なガイドラインについては、以下のドキュメントを参照してください。
『Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理』。JMSリソースの構成と管理に関する情報が記載されています。
『Oracle WebLogic Serverストア・アンド・フォワード・サービスの管理』。WebLogic JMSでのストア・アンド・フォワード・サービスの利点および用法に関する情報が記載されています。
システム規模のWebLogic永続ストアの利点と使用方法に関する情報は、WebLogic永続ストアの管理を参照してください。
『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』。WebLogic Serverアプリケーションのデプロイメントについての主要な情報源です。
このドキュメントの他にも、様々なサンプル・コードやチュートリアルがJMS開発者向けに用意されています。サンプルとチュートリアルではWebLogic Server JMSの動作が例示され、主要なJMS開発タスクを実行する実際的な手順が示されています。
独自のJMSアプリケーションを開発する前に、まずJMSサンプルの一部またはすべてを実行することをお薦めします。
MedRecはWebLogic Serverに付属したエンドツーエンドのサンプルJava EEアプリケーションであり、一元的で独立した医療記録管理システムをシミュレートします。MedRecアプリケーションには、患者、医師、および管理者に対して、様々なクライアントを使用して患者のデータを管理するフレームワークが用意されています。
MedRecはWebLogic ServerとJava EEの機能を例示し、Oracle推奨のベスト・プラクティスを重要点として示します。MedRecは、WebLogic Serverインストールでオプションでインストールされます。MedRecはORACLE_HOME
\user_projects\domains\medrec
ディレクトリから起動できます。ORACLE_HOME
は、Oracle WebLogic ServerをインストールしたときにOracleホームとして指定したディレクトリです。
MedRecには、Webアプリケーション、Webサービス、ワークフロー・アプリケーション、および将来のクライアント・アプリケーションからのリクエストを連携して処理する複数のエンタープライズJava Bean (EJB)で構成されるサービス層があります。このアプリケーションには、メッセージドリブンEJB、ステートレス・セッションEJB、ステートフル・セッションEJB、およびエンティティEJBが含まれます。
このリリースには、WebLogic Server 12.xの次の新機能と変更された機能が含まれます。
WebLogic Server 12.2.1は、JMS 2.0で規定された簡略化APIの使用をサポートします。「簡略化APIプログラミング・モデルの理解」を参照してください。
重み設定された分散宛先は、WebLogic Server 10.3.4.0では非推奨です。共通分散宛先を使用することをお薦めします。
高可用性アプリケーションの設計に必要な、高度なWebLogic JMSのパブリッシュとサブスクライブ(pub/sub)の概念および共通分散トピック(UDT)の機能。「拡張パブリッシュ/サブスクライブ・アプリケーションの開発」を参照してください
JMSDestinationAvailabilityHelper
APIは、宛先が使用可能または使用不可になったときに通知を取得する手段を提供します。これらのAPIは、高度な使用事例のみを対象としています。このヘルパーは、WebLogic分散コンシューマの問題を解決する手段が他にない場合にのみ使用してください。『Oracle WebLogic Server JMSアプリケーションの開発』の分散キューでのJMS宛先可用性ヘルパーAPIの使用に関する項を参照してください。
WebLogic Server 10.3.6以降では、JMSModuleHelperは、既存のWebLogicセキュリティ・モデルに準拠する匿名のルックアップ(-Dweblogic.management.anonymousAdminLookupEnabled=true
を使用)をサポートしません。「匿名ユーザーのセキュリティの考慮事項」を参照してください
WebLogic Serverのこのリリースに追加された新機能の一覧については、『「Oracle WebLogic Serverの新機能」』 12.2.1.3.0を参照してください。