マルチテナント環境にアプリケーションやモジュールをデプロイする方法は、非マルチテナント環境にデプロイする方法と同様です。デプロイメントをパーティション固有にするには、それらをパーティション・スコープに制限して、パーティション固有のデプロイメント・プランを指定することでその構成をオーバーライドできます。
注意:
リソース・グループ、リソース・グループ・テンプレート、アプリケーション・オーバーライドなどのOracle WebLogic Server Multitenant (MT)の多くの新機能は、WebLogic Serverの12.2.1バージョンでも使用できます。この章では、適宜これらの機能について、WebLogic Serverドキュメントを参照します。
この章の内容は次のとおりです。
3つのデプロイメント・スコープによって、アプリケーションとライブラリがドメイン・レベルで使用可能になりますが、パーティションに対する制限を行うのは1つのみです。
グローバル。これは、非パーティション環境のドメイン・レベルと同等です。
リソース・グループ・テンプレートこれは常にドメイン・レベルです。リソース・グループ・テンプレートにデプロイするアプリケーションまたはライブラリがドメイン・レベルまたはパーティションで使用できるかどうかは、リソース・グループ・テンプレートを参照するリソース・グループのスコープに応じて異なります。
パーティション内のリソース・グループ。これは、パーティションに制限される唯一のスコープです。
ドメイン・レベルでのリソース・グループ。
デプロイメント・スコープの詳細は、「スコープについて」を参照してください。
アプリケーションとライブラリの共通のセットをリソース・グループ・テンプレートにデプロイして、ドメインまたはドメイン・パーティション全体のアプリケーション構成を簡略化できます。リソース・グループは、リソース・グループ・テンプレートを参照したときに、テンプレートで定義されたリソースの独自のランタイム・コピーを取得します。その後、リソース・グループ・テンプレートにデプロイされたすべてのアプリケーションとライブラリがリソース・グループにデプロイされます。
リソース・グループ・テンプレートにより、アプリケーションの同じコレクションを複数のドメイン・パーティションにデプロイすることが簡単になります。アプリケーション構成をカスタマイズするために、リソース・グループの特定のアプリケーションに対して別のデプロイメント・プランを指定して、デフォルトのリソース・グループ・テンプレート構成をオーバーライドできます。
サポートされるデプロイメント操作と使用可能なデプロイメント・クライアントに関する情報を含む、アプリケーションのリソース・グループ・テンプレートへのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のリソース・グループ・テンプレートを使用したアプリケーションのデプロイメントに関する項を参照してください。
WebLogic Serverシステム管理者のみが、アプリケーションおよびライブラリをリソース・グループ・テンプレートにデプロイできます。主要な手順は次のとおりです。
これらの操作は、リソース・グループ・テンプレートを参照しているリソース・グループから実行する必要があるため、リソース・グループ・テンプレートにデプロイされたアプリケーションは起動または停止できません。
注意:
リソース・グループ・テンプレートに対してデプロイメント操作を実行すると、テンプレートを参照しているすべてのリソース・グループでただちに操作が実行されます。たとえば、リソース・グループ・テンプレートからアプリケーションをアンデプロイすると、そのリソース・グループ・テンプレートを参照しているすべてのリソース・グループからアプリケーションがアンデプロイされます。
Fusion Middleware Controlを使用してリソース・グループ・テンプレートにアプリケーションをデプロイするには、オンライン・ヘルプのリソース・グループ・テンプレートのデプロイメントの構成に関する項を参照してください。
次の例では、WLSTを使用して、リソース・グループ・テンプレートを使用したデプロイメント操作を実行する方法を示します。
次の例では、sampleapp
アプリケーションをリソース・グループ・テンプレートmyRGT
にデプロイします。
edit()
startEdit()
deploy(appName='sampleapp', path='path_to_application', resourceGroupTemplate='myRGT')
activate()
次の例では、デプロイメント・プラン・ファイルplan.xml
を使用して、sampleapp
アプリケーションをリソース・グループ・テンプレートmyRGT
に再デプロイします。
edit()
startEdit()
redeploy(appName='sampleapp', planPath='path_to_plan.xml', resourceGroupTemplate='myRGT')
activate()
次の例では、sampleapp
アプリケーションをリソース・グループ・テンプレートmyRGT
からアンデプロイします。
edit() startEdit() undeploy (appName='sampleapp', resourceGroupTemplate='myRGT') activate()
次の例では、デプロイメント・プラン・ファイルplan.xml
を使用して、リソース・グループ・テンプレートmyRGT
のsampleapp
アプリケーションを更新します。
edit()
startEdit()
updateApplication(appName='sampleapp', planPath='path_to_plan.xml', resourceGroupTemplate='myRGT')
activate()
リソース・グループ・テンプレートの詳細は、「リソース・グループ・テンプレートの構成」を参照してください
リソース・グループ・テンプレートへのアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のリソース・グループ・テンプレートを使用したアプリケーションのデプロイメントに関する項を参照してください
Fusion Middleware Controlを使用したアプリケーションのデプロイに関するオンライン・ヘルプは、『Fusion Middleware ControlによるOracle WebLogic Serverの管理』の「アプリケーションのデプロイメント」を参照してください
Fusion Middleware Controlを使用したリソース・グループ・テンプレートの構成に関するオンライン・ヘルプは、『Fusion Middleware ControlによるOracle WebLogic Serverの管理』の「WebLogic Serverのリソース・グループ・テンプレート」を参照してください
weblogic.Deployer
を使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』の「weblogic.Deployerコマンドライン・リファレンス」を参照してください
WLSTを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、『WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』のデプロイメント・コマンドに関する項を参照してください
wldeploy
Antタスクを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』のwldeploy Antタスクの属性のリファレンスに関する項を参照してください
Mavenを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』のMavenプラグイン・ゴールに関する項を参照してください
JSR-88デプロイメントAPIを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、「WebLogic Deployment APIの理解」を参照してください
JMXデプロイメントAPIを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、Oracle WebLogic Server MBeanリファレンスのDeploymentManagerMBean
に関する項を参照してください
ドメインまたはパーティション・レベルでリソース・グループにアプリケーションとライブラリをデプロイして、それらのアプリケーションに対して、起動や停止などのデプロイメント操作を実行できます。リソース・グループは、Java EEアプリケーションとそれらのリソースを個別の管理単位にグループ化するため便利であり、さらにドメイン・レベルで定義することも、ドメイン・パーティションに固有のものとすることもできます。リソース・グループは、リソースを直接含むか、リソースを含むリソース・グループ・テンプレートを参照できます。
リソース・グループのリソースとアプリケーションは、それらのリソースを起動したりそれらに接続するために必要なすべての情報を管理者が指定するという点で、完全修飾されます。リソース・グループにデプロイされたすべてのアプリケーションによって、そのリソース・グループに関連付けられたターゲットが使用されます。
パーティション・リソース・グループにより、各パーティションにリソースとアプリケーションの異なるセットを含めることができます。パーティション・リソース・グループ内のアプリケーションとライブラリに対して、次のデプロイメント操作を実行できます。
デプロイ
アンデプロイ
再デプロイ
更新
配布
起動
停止
操作が成功すると、指定したパーティション・リソース・グループに関連付けられたターゲットに、アプリケーションまたはライブラリがデプロイされます(または再デプロイや起動などが行われます)。パーティション・リソース・グループに対するターゲットが存在しない場合は、パーティションのデフォルト・ターゲットにアプリケーションまたはライブラリがデプロイされます。
パーティション・リソース・グループを使用したアプリケーションのデプロイメントでは、次の考慮事項に注意してください。
デプロイメント操作を実行するときに、partition
オプションを使用してパーティション名を指定します。指定したパーティションが存在する必要があり、そうでない場合は操作が失敗します。
アプリケーション名は、各パーティション内で一意である必要があります。
deploy
およびdistribute
の操作では、resourceGroup
オプションを使用してパーティション・リソース・グループ名を指定する必要があります。ただし、パーティションにリソース・グループが1つのみ存在する場合は、resourceGroup
はオプションです。
その他のデプロイメント操作では、resourceGroup
オプションを指定しないでください。WebLogic Serverでは、パーティション名と一意のアプリケーション名からリソース・グループが導出されます。指定したパーティション・リソース・グループが存在しない場合、または必要なときにresourceGroup
オプションを指定しない場合は、デプロイメント操作が失敗します。
リソース・グループ・レベルのアプリケーションに対してデプロイメント操作を実行するときにtargets
オプションを指定すると、デプロイメント操作が失敗します。アプリケーションではリソース・グループに関連付けられたターゲットが使用されるため、リソース・グループの個々のアプリケーションはターゲット指定できません。
リソースはパーティションのリソース・グループ全体で一意である必要があるため、パーティションには特定のライブラリを1回のみデプロイできます。同じパーティション・リソース・グループのアプリケーションまたはパーティションの他のリソース・グループは、ターゲットが一致する場合にライブラリを参照できます。パーティションにデプロイされたアプリケーションは、他のパーティション内のライブラリも、ドメイン内の他のライブラリも参照できません。
リソース・グループは、リソース・グループ・テンプレートからアプリケーション構成を継承できます。リソース・グループがリソース・グループ・テンプレートを参照する場合、リソース・グループ・テンプレートにデプロイされたアプリケーションまたはライブラリは、ただちに参照元のリソース・グループにデプロイされます。必要に応じて、デフォルトのリソース・グループ・テンプレートのアプリケーション構成をオーバーライドして、リソース・グループの特定のアプリケーションをカスタマイズできます。「アプリケーション構成のオーバーライド」を参照してください。
パーティション管理者は、WLSTを使用して独自のパーティションのアプリケーションに対してのみデプロイメント操作を実行でき、グローバル・アプリケーションや他のパーティションのアプリケーションに対しては実行できません。partition
オプションは、パーティション管理者にはオプションです。パーティション管理者がpartition
オプションを使用してパーティションを指定する場合、そのパーティションが彼らの関連するパーティションに一致しないと、操作が失敗します。パーティション管理者としてのWLSTを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、「セキュリティの構成」を参照してください。
ドメイン・リソース・グループへのアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のドメイン・リソース・グループを使用したアプリケーションのデプロイメントに関する項を参照してください。
パーティションのリソース・グループにアプリケーションおよびライブラリをデプロイする主な手順は、次のとおりです。
Fusion Middleware Controlを使用してパーティション・リソース・グループにアプリケーションをデプロイするには、オンライン・ヘルプのドメイン・パーティションのアプリケーション・デプロイメントの制御に関する項を参照してください。
次の例では、WLSTを使用して、パーティション・リソース・グループに対するデプロイメント操作を実行する方法を示します。
次の例では、sampleapp
アプリケーションをパーティションmyPartition
のリソース・グループmyRG
にデプロイします。
edit()
startEdit()
deploy(appName='sampleapp', partition='myPartition', resourceGroup='myRG', path='path_to_application')
activate()
次の例では、デプロイメント・プラン・ファイルplan.xml
を使用して、sampleapp
アプリケーションをパーティションmyPartition
に再デプロイします。
WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。
edit()
startEdit()
redeploy(appName='sampleapp', planPath='path_to_plan.xml', partition='myPartition')
activate()
次の例では、パーティションmyPartition
からsampleapp
アプリケーションをアンデプロイします。
WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。
edit() startEdit() undeploy (appName='sampleapp', partition='myPartition') activate()
次の例では、デプロイメント・プラン・ファイルplan.xml
を使用して、パーティションmyPartition
のsampleapp
アプリケーションを更新します。
WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。
edit()
startEdit()
updateApplication(appName='sampleapp', planPath='path_to_plan.xml', partition='myPartition')
activate()
次の例では、sampleapp
アプリケーションをパーティションmyPartition
のリソース・グループmyRG
に配布します。
edit()
startEdit()
distributeApplication (appPath='path_to_sampleapp', resourceGroup='myRG', partition='myPartition')
activate()
次の例では、パーティションmyPartition
のsampleapp
アプリケーションを起動します。
WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。
edit() startEdit() startApplication (appName='sampleapp', partition='myPartition') activate()
Representational State Transfer (REST) APIを使用してアプリケーションをデプロイするデプロイヤ・ロールのパーティション・ユーザーの例は、『RESTful管理サービスによるOracle WebLogic Serverの管理』のパーティション・スコープのアプリケーションのデプロイに関する項を参照してください。
パーティションの詳細は、「ドメイン・パーティションの構成」を参照してください
リソース・グループの詳細は、「リソース・グループの構成」を参照してください
ドメイン・レベルでのリソース・グループへのアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のドメイン・リソース・グループを使用したアプリケーションのデプロイメントに関する項を参照してください
Fusion Middleware Controlを使用したアプリケーションのデプロイに関するオンライン・ヘルプは、『Fusion Middleware ControlによるOracle WebLogic Serverの管理』の「アプリケーションのデプロイメント」を参照してください
Fusion Middleware Controlを使用したパーティションの構成に関するオンライン・ヘルプは、『Fusion Middleware ControlによるOracle WebLogic Serverの管理』の「WebLogic Serverのドメイン・パーティション」を参照してください
Fusion Middleware Controlを使用したリソース・グループの構成に関するオンライン・ヘルプは、『Fusion Middleware ControlによるOracle WebLogic Serverの管理』の「WebLogic Serverのリソース・グループ」を参照してください
weblogic.Deployer
を使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』の「weblogic.Deployerコマンドライン・リファレンス」を参照してください
WLSTを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、『WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』のデプロイメント・コマンドに関する項を参照してください
wldeploy
Antタスクを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』のwldeploy Antタスクの属性のリファレンスに関する項を参照してください
Mavenを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』のMavenプラグイン・ゴールに関する項を参照してください
JSR-88デプロイメントAPIを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、「WebLogic Deployment APIの理解」を参照してください
JMXデプロイメントAPIを使用したアプリケーションのデプロイの詳細は、Oracle WebLogic Server MBeanリファレンスのDeploymentManagerMBean
に関する項を参照してください
パーティション管理者は、独自のパーティションのアプリケーションに対してのみデプロイメント操作を実行でき、グローバル・アプリケーションや他のパーティションのアプリケーションに対しては実行できません。同様に、自分自身のパーティション内のアプリケーションでのみデプロイメントAPIを呼び出すことができます。アプリケーションまたはターゲットのリストを返すデプロイメントAPIを呼び出すと、自分自身のパーティション内のアプリケーションおよびターゲットのみが返されます。
WebLogic Serverシステム管理者は、パーティション管理者のかわりにアプリケーションをパーティションにデプロイできます。JMX APIを使用してアプリケーションをパーティションにデプロイする場合、(ドメイン・レベルのDeploymentManagerMBean
インスタンスを使用するかわりに)、関連するパーティションの下のDeploymentManagerMBean
インスタンスを取得する必要があります。次の例は、システム管理者およびパーティション管理者がJMXデプロイメントAPIを使用してパーティションでデプロイメント操作を実行する方法を示しています。
システム管理者がグローバル・ドメイン(たとえばt3://localhost:7001
)に接続する場合:
JMXルックアップは、DomainPartitionRuntime
=partition_name
を含めて、パーティションのDeploymentManagerMBean
を取得する必要があります。
WLSTを使用して、パーティションのDomainPartitionRuntimeMBean
に移動して、partition_name
のDeploymentManagerMBean
を取得する必要があります。次に例を示します。
connect('system_admin', 'gumby1234', 't3://localhost:7001') domainRuntime() cd('DomainPartitionRuntimes/partitionA') cd('DeploymentManager/partitionA') props=java.util.Properties() props.setProperty("resourceGroup", "partitionAResourceGroup") path="/scratch/user/foo.war" cmo.deploy("foo", path, None, None, props)
パーティション管理者がドメイン・パーティション(たとえばt3://localhost:7001/partitionA
)に接続する場合:
JMXルックアップは、PartitionDomainRuntime=partitionA
を含めて、partitionA
のDeploymentManagerMBean
を取得する必要はありません。JMXコンテナによって追加されます。
WLSTを使用して、domainRuntime()
コマンドを実行すると、cmo
がパーティションのDomainPartitionRuntimeMBean
に設定されます。
connect('partitionA_admin', 'welcome1', 't3://localhost:7001/partitionA') domainRuntime() cd('DeploymentManager/partitionA') props=java.util.Properties() props.setProperty("resourceGroup", "partitionAResourceGroup") path="/scratch/user/foo.war" cmo.deploy("foo", path, None, None, props)
他のデプロイメント・クライアントを使用する場合、partition
オプションは、パーティション管理者にはオプションです。weblogic.Deployer
を使用すると、次のようになります。
java weblogic.Deployer -deploy -adminurl <partition_url> -username <partition_admin_user> -password <partition_admin_password> -name <application_name> path_to_application
次に例を示します。
java weblogic.Deployer -deploy -username partition1_admin -password welcome1 -adminurl t3://localhost:7001/partition1 -name foo /scratch/user/foo.war
リソース・グループは、リソース・グループ・テンプレートを参照したときに、リソース・グループ・テンプレートで定義されたリソースまたはアプリケーションの独自のランタイム・コピーを取得します。リソース・グループはリソース・グループ・テンプレートで定義されたアプリケーション構成を継承するため、各アプリケーションを手動でデプロイおよび構成する必要はありません。リソース・グループ・テンプレートにデプロイされたアプリケーションとライブラリは、ただちに参照元のリソース・グループにデプロイされます(または実行したデプロイメント操作に応じて、アンデプロイや再デプロイなどが行われます)。
リソース・グループの特定のアプリケーションをカスタマイズする必要がある場合は、別のデプロイメント・プランを指定して、デフォルトのアプリケーション構成をオーバーライドできます。そのデプロイメント・プランで、リソース・グループ・テンプレートのデプロイメント・パラメータを、特定のアプリケーションに使用する値でオーバーライドします。元のデプロイメント・プラン・ファイル内の個々のエントリのみではなく、デプロイメント・プラン・ファイル全体がオーバーライドされます。その後、アプリケーションまたはモジュールが、リソース・グループ・テンプレートで設定された値ではなく、そのアプリケーション構成用の新しいデプロイメント・プランを使用して更新または再デプロイされます。
注意:
リソース・グループ・テンプレートからアプリケーションをアンデプロイすると、参照元のリソース・グループで定義されたアプリケーション構成のオーバーライドが削除されます。
リソース・グループ・テンプレートにアプリケーションを再デプロイすると、参照元のリソース・グループで定義されたアプリケーション構成のオーバーライドがそのアプリケーションの以前のデプロイメントから削除されます。このシナリオでは、リソース・グループのアプリケーション構成を再びオーバーライドして、オーバーライド値を維持する必要があります。
オーバーライド・デプロイメント・プランを使用するためにアプリケーションを更新するか、再デプロイするかは、オーバーライドするプロパティのタイプに応じて異なります。動的プロパティのオーバーライド時のみにupdate
コマンドを使用します。update
コマンドでアプリケーションが中断されることはありません。動的プロパティと非動的プロパティのオーバーライド時にredeploy
コマンドを使用します。redeploy
コマンドではアプリケーションが中断されます。
ドメインまたはパーティション・レベルのリソース・グループのアプリケーション構成をオーバーライドできます。ドメイン・リソース・グループのアプリケーション構成のオーバーライドの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のアプリケーション構成のオーバーライドに関する項を参照してください。
継承されたリソース・グループ・テンプレートで定義されたデフォルトのアプリケーション構成をオーバーライドして、リソース・グループの特定のアプリケーションをカスタマイズする主な手順は、次のとおりです。
これにより、アプリケーションで、その構成に対してデフォルトのテンプレート構成ではなく、オーバーライド・デプロイメント・プランが使用されるようになります。
複数のリソース・グループが同じリソース・グループ・テンプレートを参照している場合は、すべての必要なリソース・グループのアプリケーション構成を確実にオーバーライドします。
次に、例を示します。
デプロイメント・プラン・ファイルplan.xml
を使用して、アプリケーションsampleapp
をリソース・グループ・テンプレートmyRGT
にデプロイします。
edit() startEdit() deploy(appName='sampleapp', resourceGroupTemplate='myRGT', path='path_to_application', planPath='path_to_plan.xml') activate()
パーティションmyPartition
内の参照元のパーティション・リソース・グループに対して、オーバーライド・デプロイメント・プランoverride_plan.xml
を使用するようにアプリケーションsampleapp
を更新または再デプロイします。
WebLogic Serverで一意のアプリケーション名とパーティション名からリソース・グループが導出されるため、パーティション・リソース・グループを指定する必要はありません。
アプリケーションの動的属性のオーバーライド時にupdate
コマンドを使用します。アプリケーションの動的属性または非動的属性のオーバーライド時にredeploy
コマンドを使用します。
edit() startEdit() updateApplication(appName='sampleapp', planPath='path_to_override_plan.xml', partition='myPartition') activate() edit() startEdit() redeploy(appName='sampleapp', planPath='path_to_override_plan.xml', partition='myPartition') activate()
ドメイン・レベルでのアプリケーション構成のオーバーライドの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のアプリケーション構成のオーバーライドに関する項を参照してください
JMSやJDBCなどのリソース構成のオーバーライドの詳細は、「リソース・オーバーライドの構成」を参照してください
Fusion Middleware Controlを使用したアプリケーション構成のオーバーライドに関するオンライン・ヘルプは、『Fusion Middleware ControlによるOracle WebLogic Serverの管理』のアプリケーション構成のオーバーライドに関する項を参照してください
weblogic.Deployer
を使用したアプリケーション構成のオーバーライドの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』の「weblogic.Deployerコマンドライン・リファレンス」を参照してください
WLSTを使用したアプリケーション構成のオーバーライドの詳細は、『WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』のデプロイメント・コマンドに関する項を参照してください
wldeploy
Antタスクを使用したアプリケーション構成のオーバーライドの詳細は、『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』のwldeploy Antタスクの属性のリファレンスに関する項を参照してください
Mavenを使用したアプリケーション構成のオーバーライドの詳細は、『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』のMavenプラグイン・ゴールに関する項を参照してください
JSR-88デプロイメントAPIを使用したアプリケーション構成のオーバーライドの詳細は、「WebLogic Deployment APIの理解」を参照してください
JMXデプロイメントAPIを使用したアプリケーション構成のオーバーライドの詳細は、Oracle WebLogic Server MBeanリファレンスのDeploymentManagerMBean
に関する項を参照してください
リソース・グループの特定のアプリケーションをカスタマイズする必要がなくなった場合、オーバーライド属性を含むデプロイメント・プランを削除して、アプリケーション・オーバーライドを削除できます。
その後、アプリケーション構成はそのデフォルトの構成に戻ります。
リソース・グループからアプリケーション・オーバーライドを削除する主な手順は、次のとおりです。
removePlanOverride
オプションを指定します。 removePlanOverride
オプションを指定します。 Fusion Middleware Controlを使用してアプリケーション・オーバーライドを削除するには、オンライン・ヘルプのアプリケーション構成のオーバーライドの削除に関する項を参照してください。
次の例では、removePlanOverride
オプションを使用して、アプリケーションsampleapp
を再デプロイして既存のオーバーライド・デプロイメント・プランを削除します。
edit() startEdit() redeploy(appName='sampleapp', removePlanOverride, partition='myPartition') activate()
ドメイン・レベルでのアプリケーション・オーバーライドの削除の詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のアプリケーション・オーバーライドの削除に関する項を参照してください
JMSやJDBCなどのリソース構成のオーバーライドの詳細は、「リソース・オーバーライドの構成」を参照してください
Fusion Middleware Controlを使用したアプリケーション・オーバーライドの削除に関するオンライン・ヘルプは、『Fusion Middleware ControlによるOracle WebLogic Serverの管理』のアプリケーション構成のオーバーライドの削除に関する項を参照してください
weblogic.Deployer
を使用したアプリケーション・オーバーライドの削除の詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』の「weblogic.Deployerコマンドライン・リファレンス」を参照してください
WLSTを使用したアプリケーション・オーバーライドの削除の詳細は、『WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』のデプロイメント・コマンドに関する項を参照してください
wldeploy
Antタスクを使用したアプリケーション・オーバーライドの削除の詳細は、『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』のwldeploy Antタスクの属性のリファレンスに関する項を参照してください
Mavenを使用したアプリケーション・オーバーライドの削除の詳細は、『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』のMavenプラグイン・ゴールに関する項を参照してください
JSR-88デプロイメントAPIを使用したアプリケーション・オーバーライドの削除の詳細は、「WebLogic Deployment APIの理解」を参照してください
JMXデプロイメントAPIを使用したアプリケーション・オーバーライドの削除の詳細は、Oracle WebLogic Server MBeanリファレンスのDeploymentManagerMBean
に関する項を参照してください
パーティション固有のデプロイメント・プランを使用して、リソース・グループ・テンプレートまたはパーティション内のリソース・グループにデプロイされたアプリケーションをカスタマイズできます。パーティション固有のデプロイメント・プランは、同じアプリケーションのセットを共有し、パーティションごとにいくつかのカスタマイズを必要とする、異なるパーティションを含む環境で特に役立ちます。
パーティション固有のデプロイメント・プランは、パーティション・レベルではなく、パーティション内のリソース・グループ・レベルで指定します。WebLogic Serverによってパーティション固有のデプロイメント・プランが指定されたアプリケーションに適用される場合、プランで指定された変更は、そのパーティション内のアプリケーションのデプロイメントのみに影響します。
注意:
リソース・グループ・テンプレートでアプリケーション・デプロイメント・プランを指定し、同じアプリケーションに対してパーティション固有のデプロイメント・プランを指定した場合、パーティション固有のデプロイメント・プランによってリソース・グループ・テンプレートのプランがオーバーライドされて、パーティション固有のデプロイメント・プランが使用されます。
パーティション固有のアプリケーション・デプロイメント・プランを使用するには、redeploy
またはupdateApplication
のWLSTコマンドを使用します。
次に、例を示します。
アプリケーションsampleapp
をリソース・グループ・テンプレートmyRGT
にデプロイします。パーティションmyPartition
はリソース・グループ・テンプレートmyRGT
を参照します。
edit()
startEdit()
deploy(appName='sampleapp', resourceGroupTemplate='myRGT', path='path_to_application')
activate()
パーティションmyPartition
でパーティション固有のデプロイメント・プランpartition_plan.xml
を使用するようにアプリケーションsampleapp
を更新または再デプロイします。
アプリケーションの動的属性を変更する場合にのみ、update
コマンドを使用します。アプリケーションの動的属性または非動的属性を変更する場合、redeploy
コマンドを使用します。
edit() startEdit() updateApplication(appName='sampleapp', planPath='path_to_partition_plan.xml', partition='myPartition') activate() edit() startEdit() redeploy(appName='sampleapp', planPath='path_to_partition_plan.xml', partition='myPartition') activate()
並行デプロイにより、複数のアプリケーションのデプロイメント、複数のモジュールを含む単一のアプリケーションのデプロイメントまたは複数のパーティションにまたがる1つ以上のアプリケーションのデプロイメントを含むユースケースで、パフォーマンスが向上します。
複数のパーティションにアプリケーションがデプロイされると、WebLogic Serverではアプリケーションの各インスタンスが独立したアプリケーションとして表示されます。並行デプロイが有効化されていない場合、アプリケーションの各インスタンスは各パーティションに順にデプロイされます。
パフォーマンスを向上させるために、並行デプロイを有効化して、アプリケーションのインスタンスを相互に並行してデプロイできます。
パーティション間のアプリケーションの並行デプロイを有効化するには、PartitionMBean
のParallelDeployApplications
属性を構成します。
この属性が有効化されると、デプロイ順序が同じアプリケーションが相互に並行してデプロイされます。パーティション・レベルの設定により、パーティションのアプリケーションのドメイン・レベルの設定がオーバーライドされます。
リソースとアプリケーションの全体のデプロイ順序は変更されないため、標準のデプロイ順序でアプリケーションよりも優先されるデプロイメント・タイプ(JDBCシステム・リソースやJava EEライブラリなど)が、アプリケーションがデプロイされる前に完全にデプロイされることが保証されます。
パーティションにデプロイされたアプリケーション内のモジュールの並行デプロイを有効化するには、PartitionMBean
のParallelDeployApplicationModules
属性を構成します。
アプリケーションごとにモジュールの並行デプロイを有効化するには、AppDeploymentMBean
のParallelDeployModules
属性を構成します。この属性を設定すると、個々のアプリケーションのドメインとパーティションの値がオーバーライドされます。
WebLogic Server 12.2.1以上で作成されたドメインでは、ParallelDeployApplications
属性とParallelDeployApplicationModules
属性がデフォルトで有効になっています。12.2.1より前のWebLogic Serverで作成されたドメインでは、これらの属性はデフォルトで無効になっています。
注意:
相互依存のないアプリケーションのみを並行してデプロイする必要があります。アプリケーションが他のアプリケーションに依存する場合、このアプリケーションには、依存する対象のアプリケーションの依存関係の順序よりも高い依存関係の順序が必要です。そうでない場合、並行デプロイで、その依存する対象のアプリケーションがアクティブ化される前に依存アプリケーションでデプロイが試行されると、依存のエラーが発生する可能性があります。同様に、相互依存のないモジュールを含むアプリケーションに対してのみ、モジュールの並行デプロイを有効化します。
並行デプロイの詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のアプリケーションおよびモジュールの並行デプロイの有効化に関する項を参照してください。