7.5 デモ・システムのOracle Database QoS Managementパフォーマンス・ポリシーの作成
ここでは、Oracle Database QoS Managementの実装例をさらに進化させて、パフォーマンス・ポリシーの作成とアクティブ化、および追加のパフォーマンス・クラスでの調整を含めます。
測定のみモードでデータベース・サービスを検出することでデフォルトのパフォーマンス・ポリシーが作成されるため、最初にデフォルトのパフォーマンス・ポリシーをアクティブにし、クラスタ内ですべてのワークロードがどのように実行されるかをテストできます。ダッシュボードには、様々な要求期間中の各パフォーマンス・クラスの平均レスポンス時間を構成するリソースの使用時間と待機時間の両方が表示されます。これらの数値は、割り当てられたリソースで達成できる最小レスポンス時間を理解するのに役立ちます。
定期的に異なる時間にワークロードがピークになる場合、またはサービス・レベル合意(SLA)が時間や曜日などに基づいて変化する場合は、サーバー・プールのサイズを変更する測定のみのパフォーマンス・ポリシーを追加で作成して、ワークロードに必要な最小リソースを評価します。このデモでは、Salesアプリケーションについて、online
サーバー・プールを使用するワークロードが最低2台のサーバーを必要とします。backoffice
サーバー・プールは、ワークロード・リクエストを満たすために1台のサーバーのみ必要とします。両方のサーバー・プールに現在2台のサーバーが含まれている場合は、backoffice
サーバー・プールの最小サイズを1に設定することにより、online
サーバー・プールが必要に応じてbackoffice
サーバー・プールからサーバーを取得できるようにすることができます。「Business Hours」パフォーマンス・ポリシーでサーバー・プールのディレクティブ・オーバーライドを使用して、backoffice
サーバー・プールの最小サイズを1に指定します。
サーバー・プールの最小サイズは、そのサーバー・プールが所有しているサーバー数として解釈できます。クラスタ内のすべてのサーバー・プールの最小サイズの合計がクラスタ内のサーバー数より少ない場合、余分なサーバーはフロータと呼ばれ、すべてのサーバー・プールで共有されます。たとえば、クラスタに15台のサーバーと3つのサーバー・プールがあり、各サーバー・プールの最小サイズが4の場合、システムには3つのフロータがあります。
パフォーマンス・ポリシーが測定のみモードで実行された後、パフォーマンス目標を各パフォーマンス・クラスに追加できます。パフォーマンス目標は、そのパフォーマンス目標の維持がビジネスにとってどれほど重要かに基づいてランク付けされます。パフォーマンス目標は、観察されたレスポンス時間より長くSLAを満たすのに必要なレスポンス時間より短い範囲でヘッドルームが最大になるように設定する必要があります。パフォーマンス・クラスでワークロード・サージが発生する場合は、少なくとも50%のヘッドルームを維持することが、リソースのトレードオフをサポートするための適切な開始点です。たとえば、パフォーマンス・クラスの平均レスポンス時間が2ミリ秒(ms)の場合、パフォーマンス目標は3ms(2msのレスポンス時間と、50%のヘッドルームに対応する1ms)に設定できます。
サービスベースの分類子によって構成が簡単になりますが、サービスのパフォーマンス目標を複数定義することが必要になる場合があります。たとえば、sales
サービスには、製品の参照、顧客アカウントの追加、ショッピング・カート、注文の参照などの多くの異なるワークロードが含まれる場合があります。ショッピング・カート・ワークロードは収益を生成するため、このワークロードのレスポンス時間は他のワークロードよりも短くする必要があります。別のパフォーマンス・クラスおよび関連する分類子を作成して、様々なワークロードに対して特定のパフォーマンス目標を指定する必要があります。
ポリシー・セット・ウィザードの分類子の定義ページで、サービス名にsales
と入力することでsales cart(営業カート)パフォーマンス分類子を定義できます。アプリケーションでMODULE
またはACTION
を設定できる場合は適切な値を入力し、それ以外の場合は中間層とは別のUSERNAME
を構成します。新しいパフォーマンス・クラスを定義すると、測定のみモードのすべてのパフォーマンス・ポリシーにパフォーマンス・クラスが自動的に表示されます。新しいパフォーマンス・クラスには、デフォルトで最も低いランクが付けられます。最初はこれらの値を使用して、システムのパフォーマンスをテストします。平均パフォーマンス・レベルが特定できたら、このパフォーマンス・クラスのパフォーマンス目標とランクを各パフォーマンス・ポリシー内に設定できます。