5 フリート・パッチ適用およびプロビジョニングと保守
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングは、Oracleホームのプロビジョニングと保守のためのソフトウェア・ライフサイクル管理方法です。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、データベース、クラスタ、およびユーザー定義ソフトウェア・タイプの標準的な操作環境の一括デプロイメントおよび保守が可能になります。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用することで、クラスタのインストールと、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Database 11gリリース2 (11.2)以降のプロビジョニング、パッチ適用、スケーリング、およびアップグレードを行うこともできます。また、アプリケーションおよびミドルウェアのプロビジョニングもできます。
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ゴールド・イメージと呼ばれる標準化されたイメージを格納および管理する中央サーバー(フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー)として。ゴールド・イメージは、データ・センター全体の任意の数のノードにデプロイできます。デプロイされたホームを使用して、新しいクラスタとデータベースの作成、および既存のインストールに対するパッチ適用、アップグレード、およびスケーリングを行うことができます。
サーバーは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー自体をホストするクラスタ上のソフトウェア・ホーム、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを管理し、さらにOracle Grid Infrastructure 11g リリース2 (11.2.0.3と11.2.0.4)および12c リリース1 (12.1.0.2)を実行するインストールも管理できます。サーバーは、グリッド・インフラストラクチャを実行せずにインストールを管理することもできます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、新規インストールをプロビジョニングでき、さらに既存のインストールを変更せずに(たとえば、エージェント、デーモン、構成の前提条件なし)、既存のインストールを管理できます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーには、ピア・フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー間でゴールド・イメージを自動的に共有し、データセンターが地理的に分散している企業をサポートする機能があります。
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クライアント(フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント)として、中央フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーから管理することも、またはフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント自体でコマンドを実行することによって直接管理することもできます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーと同様に、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、Oracle Grid Infrastructureに組み込まれたサービスであり、Oracle Grid Infrastructureの12cリリース2 (12.2.0.1)以降で使用できます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント・サービスは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーからゴールド・イメージを取得することも、ポリシーに基づいて新しいイメージをアップロードしたり、メンテナンス操作をそれ自体に適用したりすることもできます。
パッチ適用操作の場合、3番目のオプションは、Oracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructure 18cで使用できます。データベースおよびグリッド・インフラストラクチャ・ホームを更新する手順は、Oracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureに同梱されている独立オートマトンにモジュール化されており、アーキテクチャに中央フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーが存在しなくてもローカルで実行できます。これにより、Oracle Databaseまたはクラスタを起動すると、すぐにフリート・パッチ適用およびプロビジョニングの機能を使用できます。
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デプロイされるソフトウェアのゴールド・イメージおよび系統の管理により、標準化および高レベルの自動化が可能になります。
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アクティブ・データベースまたはクラスタを中断させることなく、新規ホーム(ゴールド・イメージ)をアウトオブプレースでデプロイすることで保守ウィンドウが最小化されます。
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データベース・バージョンおよびデプロイメント・モデル全体でAPIを使用して呼び出されるオートマトンを提供することにより、保守が簡素化されます。
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操作をエンドツーエンドで確実に成功させる組込みの検証とドライラン・モードにより保守リスクが軽減されます。
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問題が発生しても、コマンドを再開および再起動できるため、保守操作のリスクがさらに軽減されます。
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次の機能により、パッチ適用およびアップグレードの影響が最小化、また多くの場合は解消されます。
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停止時間0のデータベース・アップグレード: 追加ノードまたは外部記憶域を必要とせずにデプロイメント内ですべて実行される完全に自動化されたアップグレード。
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ローリング・パッチ適用中のデータベース・セッションおよびOJVMのアダプティブ管理。
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一括デプロイメントを詳細に管理するためのオプション。
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デプロイメントおよび保守操作は拡張可能で、カスタマイズにより、自動化されたワークフローに環境固有のアクションを組み込むことができます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングの自動化
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停止時間0のデータベース・アップグレードにより、データベースのアップグレードに必要な手順のすべてが自動化され、Oracleデータベースのアップグレード中、アプリケーションの停止時間が最小化され、場合によっては解消されます。また、リソース要件が最小化され、アップグレードをロールバックする必要がある場合にはフォールバック・パスが提供されます。
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OJVMデプロイメントのアダプティブOracle RACローリング・パッチ適用: クラスタ化環境で、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでデータベースにパッチを適用するデフォルトの方法は、Oracle RACローリング・パッチ適用です。ただし、パッチ適用対象のデータベース・ホームにOJVMパッチが含まれる場合、非ローリングが必要になることがあります。この場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、ローリング・パッチ適用が可能かどうか判別され、可能な場合はパッチが適用されます。
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ドライラン・コマンド評価: フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、コマンドの実行前に、コマンドを確実に成功させるために、多様な事前条件がチェックされます。ただし、一部の条件は、コマンド実行前に検出できません。また、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、エラー状況の修正後に、失敗したコマンドの取消しや再開が可能ですが、コマンド実行前に、可能なかぎり多くの潜在的な問題を解決しておくことをお薦めします。コマンド評価モードでは、コマンドが実際に実行される前に、何も変更を加えずに特定コマンドの事前条件がテストされ、発生する可能性のある問題がレポートされ、それらが修正されます。
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独立オートマトン: Oracle Database 18cより以前は、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング操作(データベース・ホームを新しいバージョンに切り替えるなど)を実行するには、中央のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーが必要でした。Oracle Database 18c以降は、アーキテクチャ内に中央フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーがなくても、主な機能は独立して実行できます。
注意:
Oracle Grid Infrastructureをインストールすると、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーがローカル・モードでデフォルトで構成され、ローカル・スイッチ・ホーム機能がサポートされます。一般的なフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー製品を構成する必要がある場合は、root
として次のコマンドを使用して、現在のローカル・モードのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーを削除する必要があります。# srvctl stop rhpserver
「フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーが実行されていません」のようなメッセージを無視します。
# srvctl remove rhpserver
グローバル・フリートの標準化および管理
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ピア・フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー間でのゴールド・イメージの共有: 大企業は、通常、複数のデータ・センターをホストし、各データ・センター内には、分離されたネットワーク・セグメントが存在する場合があります。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・アーキテクチャでは、特定のデータ・センター(またはデータ・センターのネットワーク・セグメント)内の一連のターゲットに対して1つのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーが実行されます。このため、各データ・センターに少なくとも1つのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーが必要です。
各データ・センターには、ターゲット・サーバーが使用するゴールド・イメージに関して固有の要件が存在する場合もありますが、標準化の目標は、可能な場合は常に、すべてのデータ・センター間で同一のゴールド・イメージを使用することです。そのために、複数のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー間でゴールド・イメージを簡単に伝播できるように、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングではゴールド・イメージのピア・ツー・ピア共有がサポートされています。
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ゴールド・イメージ・ドリフトの検出および集約: ゴールド・イメージからソフトウェア・ホームをプロビジョニングした後、デプロイされたホームにパッチを直接適用することが必要な場合があります。この時点で、デプロイされたホームはゴールド・イメージからドリフトしています。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングには、ドリフトを監視およびレポートする次の2つの機能が提供されています。
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フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、特定のホームとその親のゴールド・イメージが比較され、ホームに適用され、ゴールド・イメージに適用されていないパッチがリストされます。
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フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、特定のゴールド・イメージとそのすべての子孫のホームが比較され、それらのホームに適用され、ゴールド・イメージに適用されていないすべてのパッチの集約がリストされます。これにより、元のゴールド・イメージのすべての子孫に適用できる新規ゴールド・イメージのビルド仕様が得られ、それらのデプロイメントのどこからもパッチが失われないようにします。
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構成の収集およびレポート: フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、指定されたフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントのオペレーティング・システムの構成とルート・ファイル・システムの内容を収集し、保持できます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント・ノードが使用不可として表示されている場合(たとえば、ユーザーがオペレーティング・システムの構成やルート・ファイル・システムを誤って削除または変更した場合など)、問題の特定および修正が困難な場合があります。この機能により、関連する情報の収集が自動化され、ノード障害が発生した場合に簡単なリストアを行うことができます。
柔軟性と拡張性
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RESTful API: フリート・パッチ適用およびプロビジョニング、パッチ適用、アップグレード、問合せ操作など、多くの一般的な操作のためのRESTful APIを提供します。
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カスタマイズ可能な認証: 特にコンプライアンスに配慮する業界(金融、電子商取引など)では、特定環境のホスト対ホスト認証で、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングがネイティブでサポートされていないテクノロジおよび製品が多く使用されます。この機能により、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング認証とデータ・センターで使用されているメカニズムを統合できます。
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コマンド・スケジューラ: 自動タスクをスケジュールおよびバンドルする機能は、大規模なデータベース資産の保守に非常に重要です。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、ソフトウェア・ホームのプロビジョニング、新しいホームへの切替え、クラスタのスケーリングなどのタスクのスケジューリングがサポートされます。また、コマンドにクライアントのリストを追加して、大規模な操作を容易にすることができます。
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構成可能な接続: 多くの企業では、セキュリティ上の問題やコンプライアンス要件が増えるにつれて、イントラネットに関する接続の制限事項も増えます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーとそのクライアント間の通信に使用される小規模なポート・セットを構成することで、ファイアウォールや監査対象環境への影響を低減できます。
その他のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング機能
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停止時間0のアップグレード: 関連するすべてのアップグレード手順の自動化により、Oracle Databaseのアップグレード時のアプリケーションの停止時間が最小化、さらには解消されます。また、リソース要件も最小化され、アップグレードをロールバックする必要がある場合にはフォールバック・パスが提供されます。停止時間0のアップグレードは、Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeデータベースの特定バージョンに対して実行できます。
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新しいサーバー・プールのプロビジョニング: フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーでは、Oracleソフトウェア・インベントリのないノードにOracle Grid Infrastructure (11g リリース2 (11.2.0.4)、12c リリース1 (12.1.0.2)、およびリリース2 (12.2))をインストールし、構成することで、完全なフリート・パッチ適用およびプロビジョニング機能を使用してそれらのデプロイメントを管理できます。
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ソフトウェア・ホームのプロビジョニングおよび管理: フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、あらゆるソフトウェア・ホームからゴールド・イメージを作成できます。その後、そのソフトウェアをゴールド・イメージの作業用コピーとして任意のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントまたはターゲットにプロビジョニングできます。ソフトウェアは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントで実行するバイナリか、またはターゲットで実行するバイナリです。
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Oracle Grid Infrastructureのプロビジョニング、スケーリング、パッチ適用、およびアップグレード: フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーでは、Oracle Grid Infrastructure 11g リリース2 (11.2.0.4)ホームのプロビジョニング、Oracle Grid Infrastructure構成に対するノードの追加または削除を実行でき、また、Oracle Grid Infrastructureホームのパッチ適用およびアップグレードにも使用できます。また、失敗したパッチ適用手順を簡単に元に戻すことができるロールバック機能も存在します。Oracle Grid Infrastructureのパッチ適用中に、必要に応じてフリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用して、クラスタ上でホストされる任意のデータベース・ホームにパッチを適用できます。
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Oracle Databaseのプロビジョニング、スケーリング、パッチ適用、およびアップグレード: フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用でき、Oracle Database 11g リリース2 (11.2.0.4)以降のプロビジョニング、スケーリング、およびパッチ適用が可能です。また、Oracle Databaseを11g リリース2 (11.2.0.3)から11g リリース2 (11.2.0.4)に、11g リリース2 (11.2.0.4)から12c リリース1 (12.1.0.2)に、および11g リリース2 (11.2.0.4)または12c リリース1 (12.1.0.2)から12c リリース2 (12.2)にアップグレードできます。
このようなソフトウェアをプロビジョニングするとき、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによって、多様なタイプのデータベース(Oracle RAC、シングル・インスタンス、Oracle Real Application Clusters One Node (Oracle RAC One Node)データベースなど)をタイプの異なる記憶域に作成する追加機能や、その他のテンプレートの使用やコンテナ・データベース(CDB)の作成などのオプションが提供されます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーにより、Oracle RAC構成へのノードの追加およびOracle RAC構成からのノードの削除を実行できます。また、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、データベース・ソフトウェアへのパッチ適用が改善され、効率がよくなります。このため、ソフトウェアのリモートでの高速パッチ適用が可能になり、ほとんどのケースでデータベースの停止時間が発生しません。
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単一インスタンス・データベースのサポート: フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用して、クラスタ、Oracle Restartまたは単一のスタンドアロン・ノードで実行される単一インスタンス・データベースのプロビジョニング、パッチ適用およびアップグレードを実行できます。
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拡張パッチ適用機能: Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseホームにパッチを適用する場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、クラスタの一部またはすべてのノードに順次ではなくパラレルでパッチを適用することでパッチ適用プロセスを高速化するバッチ・モードが提供されます。
Oracle Databaseホームに対して、非結合のノードのセットを定義できます。ノードの各セットは順次更新されます。それ自体で実行されるデータベース・インスタンスへの参照を含むセットを定義することで、サービス全体がオフラインになることがなくなり、ローリング更新の影響を最小化できます。この目的のために、バッチ・セットの定義に役立つsmartmoveオプションを使用できます。
もう1つの拡張機能はアプリケーションの継続性との統合で、メンテナンスの影響の解消に役立ちます。これにより、クラスタ内でサービスを正常にドレインおよび再配置して、ユーザーに対してメンテナンスを完全に隠すことができます。
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通知: フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、データ・センターで使用できるソフトウェア・ホームの中央リポジトリです。そのため、データ・センター全体の管理者が、自身の担当する領域に影響する可能性があるインベントリへの変更を把握する必要があります。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、各ユーザーがイメージ・シリーズ・イベントにサブスクライブできます。サブスクライバには、特定のイメージ・シリーズの使用可能なイメージに対する変更が電子メールで通知されます。また、クライアントでゴールド・イメージの作業用コピーが追加または削除されたときに、ユーザーに電子メールで通知できます。
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カスタム・ワークフロー・サポート: イメージのインポート、ゴールド・イメージの作業用コピーの追加または削除、ソフトウェア・ホームの管理など、様々なフリート・パッチ適用およびプロビジョニング操作のアクションを作成できます。操作ごとに異なるアクションを定義して、操作が適用されるイメージのタイプでさらに区別できます。定義したアクションは、特定の操作の前後で実行でき、操作が適用されるデプロイメント(フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを実行していないターゲット、またはフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを実行しているターゲット)で実行されます。
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失敗した操作の再開: イメージの追加、ゴールド・イメージの作業用コピーのプロビジョニング、あるいはスケーリング、パッチ適用またはアップグレードの実行などの操作が失敗した場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでエラーがレポートされて停止します。問題が解決した(たとえば、ターゲット・ノードのディレクトリの権限または所有権の構成ミスなど)後で、失敗したRHPCTLコマンドを再度実行して、失敗したところから再開できます。これにより、失敗の前に完了した作業を再度実行する必要がなくなります。
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監査コマンド: フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング操作すべての実行を記録し、その結果(成功または失敗)も記録します。監査メカニズムにより、様々なディメンションで監査ログを問い合せることができ、さらにその内容とサイズを管理できます。
注意:
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HP-UXまたはWindowsオペレーティング・システムではフリート・パッチ適用およびプロビジョニングはサポートされません。
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フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーでは、オペレーティング・システムのイメージは管理されません。
この項には次のトピックが含まれます:
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのアーキテクチャ
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのアーキテクチャに関する概念です。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのアーキテクチャは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーと、任意の数のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントおよびターゲットで構成されます。高可用性を実現するために、マルチノード・クラスタにフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーをデプロイすることをお薦めします。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー・クラスタはすべてのデータのリポジトリです。データは大きく分けて次の2つのタイプがあります。
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ゴールド・イメージ
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ユーザー、ロール、権限およびアイデンティティに関連するメタデータ
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、Oracle Databaseホーム、Oracle Grid Infrastructureホームおよびその他のアプリケーション・ソフトウェア・ホームをプロビジョニングするための中央サーバーとして機能し、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーと、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントのクラスタおよびターゲットをホストするクラスタで使用できるようにします。
ユーザーは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーまたはフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを操作して、Oracleホームのデプロイメントのリクエストや、ゴールド・イメージの問合せを行います。ユーザーがゴールド・イメージを指定してOracleホームに対するリクエストを行う場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーと通信してリクエストを渡します。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーが適切なアクションを実行してリクエストを処理します。具体的には、Oracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)、ローカル・ファイル・システムなどの使用可能なテクノロジを使用して、ゴールド・イメージのコピーをインスタンス化し、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント・クラスタで利用できるようにします。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、次に示すポートを使用して、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント(Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2.0.1)以降が稼働)およびターゲット(ターゲットはOracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1.0.2)またはリリース11.2がインストールされているターゲットか、またはOracle Grid Infrastructureがインストールされていないターゲット)と通信します。これらのポートの一部は、表5-1の説明に従い構成できます。また、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントとの通信時に使用されるポートと、ターゲットとの通信時に使用されるポートは違うので注意してください。
表5-1 フリート・パッチ適用およびプロビジョニングの通信ポート
クライアント、ターゲット、または両方 | プロトコル | ポート | 目的 | 説明 |
---|---|---|---|---|
ターゲット |
TCP |
22 |
SSH |
クライアントレス・ターゲットが含まれる認証ベースの操作。 |
クライアント |
TCP |
22 |
SSH |
Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2.0.1)以上のプロビジョニングにはSSHポートが必要です。(後続のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー/クライアント相互作用では、JMXパスが使用されます。) |
クライアント |
TCP |
23795 |
JMXレジストリおよびサーバー・ポート |
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーとフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントとの通信の確立。 このポートは、 注意: 前述のコマンドでは、サービスを再起動する必要があります。 |
クライアント |
UDP |
受信接続を受け入れるには、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーのみでポート53を開いておく必要があります。 |
GNSポート |
GNSは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントが、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーを見つけるために使用されます。 ゾーン委任の有無にかかわらずGNSを構成できます。 |
両方 |
TCP |
|
コマンド進捗リスナー |
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、エフェメラル範囲からランダムなポートを開いて、クライアントやターゲットの進捗を監視するか、 |
Oracle Database18cまたは2018年1月のRUを適用したOracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)以上を実行するクライアント |
TCP |
受信接続を受け入れるには、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント・サーバーでゴールド・イメージ・プロビジョニング用の6つのポートが必要です。 |
ゴールド・イメージは、Oracle Database18cクライアントおよび2018年1月のRUを適用したクライアントに転送します(フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーで |
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーからクライアントへのゴールド・イメージのコピーの転送では、エフェメラル範囲から選択された6つのポート、または |
両方 |
TCP/UDP |
固定ポートおよび構成可能なポート(表5-2を参照) |
NFS |
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、一時NFSマウント・ポイントを使用して、ソフトウェア・ホームをターゲットと、2018年1月のRUより前のOracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)クライアントに転送します。NFSは、クライアントおよびターゲット(すべてのバージョン)でのリモート・コマンドの実行をサポートするためにも使用されます。 |
表5-2 NFSのポート
ポート | 説明 |
---|---|
2049, 111 |
固定NFSポート |
エフェメラル範囲から選択された6つのポート(デフォルト)または |
構成可能なNFSポート。各項目の後に構成ファイル・エントリが続きます。
|
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)、Oracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)、Grid Naming Service (GNS)、およびその他のコンポーネントを使用する、高可用性ソフトウェア・プロビジョニング・システムです。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、Oracleホームのプロビジョニングで主にセントラル・サーバーとして動作し、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントおよびターゲットがOracleホームを利用できるようにします。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーの機能:
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管理ホームのゴールド・イメージおよびイメージ・シリーズを効率よく保存します(ユーザー、ロールおよび権限に関連する、個別のバイナリおよびメタデータを含む)。
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リクエストに応じて、クライアントに利用可能なホームのリストを提供します。
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ソフトウェア・ホームにパッチを1回適用してから、そのホームをフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントまたはその他のターゲットにデプロイします。すべてのサイトにパッチを適用するのではありません。
-
既存のデプロイに関するレポートが可能となります。
-
物理サーバーと仮想マシンにホームをデプロイします。
-
イメージ・シリーズに対する変更をサブスクライバに通知します。
-
すべてのRHPCTLコマンドの実行の監査ログを保持します。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのターゲット
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで認識されているコンピュータはターゲットと呼ばれます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーでは、新しいターゲットを作成でき、さらに、1つのオペレーティング・システムのみがインストールされているターゲットにOracle Grid Infrastructureをインストールして構成できます。その後、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーでは、他の多くの操作に加えて、それらのターゲットのデータベースおよびその他のソフトウェアのプロビジョニング、メンテナンスの実行、ターゲット・クラスタのスケーリングが可能です。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのコマンドはすべて、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーで実行されます。Oracle Clusterware 12cリリース2 (12.2)以降のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを実行しているターゲットは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングの多くのコマンドを実行して、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーに新しいソフトウェアをリクエストしたり、他のタスクの中で、メンテナンスを自身で開始したりできます。
注意:
12cリリース2 (12.2)より前のOracle Clusterwareでフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを実行しているターゲットがある場合、イメージをクライアントとせずにRHPCTLユーティリティを使用してインポートできます。クライアントがOracle Clusterware 12cリリース2 (12.2)以上で実行される場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを構成して有効化し、接続および資格証明の問題を簡略化する必要があります。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、Oracle Grid Infrastructureの一部です。ユーザーは、Oracleホームのデプロイのリクエストや使用可能なゴールド・イメージのリスト表示といったタスクを実行するために、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントで操作を行います。
ユーザーがゴールド・イメージを指定してOracleホームをリクエストする場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーと通信してリクエストを渡します。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、ゴールド・イメージの作業用コピーをインスタンス化し、Oracle ACFSまたは別のローカル・ファイル・システムを使用してフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントで使用可能にすることによって、リクエストを処理します。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント:
-
Oracle ACFSを使用して、ローカル・ホームとして迅速にプロビジョニングできるゴールド・イメージの作業用コピーを格納できます。新しいホームは、Oracle ACFSスナップショットを使用してすぐに作成したり元に戻すことができます。
注意:
Oracle ACFS以外のローカル・ファイル・システムも使用できます。
-
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーの使用可能なホームのリストを提供します。
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Oracle Clusterware 12c リリース2 (12.2)のすべての機能を使用でき、Oracle Clusterware 12c リリース2 (12.2)以降のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーと通信できます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング操作の認証オプション
一部のRHPCTLコマンドでは、オプション・パラメータとして認証の選択肢が表示されます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントでRHPCTLコマンドを実行する場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーでRHPCTLコマンドを実行する場合、およびフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントで操作を行う場合、認証オプションを指定する必要はありません。これは、クライアントが作成されるときにサーバーとクライアント間で信頼関係が確立され、トランザクションが実行されるたびに、認証が内部で処理されるためです。(認証オプションを指定する必要があるサーバー/クライアント通信の唯一の条件は、サーバーが新しいOracle Grid Infrastructureデプロイメントをプロビジョニングする場合です。この場合、クライアントはまだ存在しません。)
-
ターゲットの
root
パスワード(stdin
上)を指定します。 -
ターゲットの
sudo
ユーザー名、sudo
バイナリ・パス、およびパスワード(stdin
)を指定します。 -
ローカルの暗号化されたストアからパスワード(
root
またはsudouser
)を非対話的に指定します(-cred
認証パラメータを使用)。 -
SSLで暗号化されたパスワードなしの認証の場合は、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーに格納されているアイデンティティ・ファイルへのパスを指定します(
-auth sshkey
オプションを使用)。
パスワードなしの認証の詳細
crsusr
とターゲットのroot
またはsudouser
の間でユーザー等価関係を確立する必要があります。
注意:
この等価関係を作成する手順は、プラットフォームによって異なるため、ここでは詳しく説明しません。Linuxの場合、ターゲットで実行するコマンドssh-keygen
、およびフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーで実行するコマンドssh-copy-id
を参照してください。
crsusr
とターゲット・ノードnonRHPClient4004.example.com
のroot
の間でユーザー等価関係が確立されており、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーの/home/oracle/rhp/ssh-key/key –path
に鍵の情報が保存されている場合、次のコマンドで、パスワードなし認証を使用して、ターゲット・ノードに指定のゴールド・イメージのコピーをプロビジョニングします。$ rhpctl add workingcopy -workingcopy db12102_160607wc1 –image db12102_160607
-targetnode nonRHPClient4004.example.com –path /u01/app/oracle/12.1/rhp/dbhome_1
-oraclebase /u01/app/oracle -auth sshkey -arg1 user:root -arg2
identity_file:/home/oracle/rhp/ssh-key/key
crsusr
とターゲットの特権ユーザー(root
以外)の間の等価関係の場合、コマンドの-auth
部分は次のようになります。-auth sshkey -arg1 user:ssh_user -arg2 identity_file:path_to_identity_file_on_RHPS
-arg3 sudo_location:path_to_sudo_binary_on_target
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのロール
管理者は、ロールをフリート・パッチ適用およびプロビジョニングのユーザーに割り当てます(各ロールにはアクセスレベル権限が定義されています)。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントのユーザーにも、特定のロールが割り当てられます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングには、基本組込みロールと複合組込みロールが含まれます。
基本組込みロール
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GH_ROLE_ADMIN: ロールに関連するすべてのための管理ロール。このロールを割り当てられたユーザーは、
rhpctl verb role
コマンドを実行できます。 -
GH_SITE_ADMIN: フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントに関連するすべてのための管理ロール。このロールを割り当てられたユーザーは、
rhpctl verb client
コマンドを実行できます。 -
GH_SERIES_ADMIN: イメージ・シリーズに関連するすべてのための管理ロール。このロールを割り当てられたユーザーは、
rhpctl verb series
コマンドを実行できます。 -
GH_SERIES_CONTRIB: このロールを割り当てられたユーザーは、シリーズへのイメージの追加(
rhpctl insertimage series
コマンド使用)またはシリーズからのイメージの削除(rhpctl deleteimage series
コマンド使用)を行うことができます。 -
GH_WC_ADMIN: ゴールド・イメージの作業用コピーに関連するあらゆるものを対象とする管理ロール。このロールを割り当てられたユーザーは、
rhpctl verb workingcopy
コマンドを実行できます。 -
GH_WC_OPER: このロールでは、
rhpctl add workingcopy
コマンドを使用して、自分または他のユーザーのためにゴールド・イメージの作業用コピーを作成できます。他のユーザーのために作成する場合は-user
オプションを指定します。このロールが割り当てられたユーザーには管理権限はありません。自分が作成するゴールド・イメージの作業用コピーのみ管理できます。 -
GH_WC_USER: このロールでは、
rhpctl add workingcopy
コマンドを使用してゴールド・イメージの作業用コピーを作成できます。このロールが割り当てられたユーザーには管理権限はありません。自分で作成した作業用コピーのみ削除できます。 -
GH_IMG_ADMIN: イメージに関連するすべてのための管理ロール。このロールが割り当てられたユーザーは、
rhpctl verb image
コマンドを実行できます。 -
GH_IMG_USER: このロールでは、
rhpctl add | import image
コマンドを使用してイメージを作成できるようになります。このロールが割り当てられたユーザーには管理権限はありません。自分で作成したイメージのみ削除できます。 -
GH_IMG_TESTABLE: このロールでは、
TESTABLE
状態のイメージの作業用コピーを追加できるようになります。このロールが割り当てられたユーザーが作業用コピーを追加するためには、GH_WC_ADMINロールまたはGH_WC_USERロールのいずれかの割当てが必要です。 -
GH_IMG_RESTRICT: このロールでは、
RESTRICTED
状態のイメージから作業用コピーを追加できるようになります。このロールが割り当てられたユーザーが作業用コピーを追加するためには、GH_WC_ADMINロールまたはGH_WC_USERロールのいずれかの割当てが必要です。 -
GH_IMG_PUBLISH: このロールが割り当てられたユーザーは、イメージを別の状態にプロモートするか、
PUBLISHED
状態のイメージをTESTABLE
またはRESTRICTED
状態にリトラクトできます。 -
GH_IMG_VISIBILITY: このロールが割り当てられたユーザーは、
rhpctl allow | disallow image
コマンドを使用して、プロモート済または公開済のイメージへのアクセスを変更できます。
複合組込みロール
-
GH_SA: フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー上のOracle Grid Infrastructureユーザーは自動的にこのロールを継承します。
GH_SAロールに含まれる基本組込みロール: GH_ROLE_ADMIN、GH_SITE_ADMIN、GH_SERIES_ADMIN、GH_SERIES_CONTRIB、GH_WC_ADMIN、GH_IMG_ADMIN、GH_IMG_TESTABLE、GH_IMG_RESTRICT、GH_IMG_PUBLISHおよびGH_IMG_VISIBILITY。
-
GH_CA: フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント上のOracle Grid Infrastructureユーザーは自動的にこのロールを継承します。
GH_CAロールに含まれる基本組込みロール: GH_SERIES_ADMIN、GH_SERIES_CONTRIB、GH_WC_ADMIN、GH_IMG_ADMIN、GH_IMG_TESTABLE、GH_IMG_RESTRICT、GH_IMG_PUBLISHおよびGH_IMG_VISIBILITY。
-
GH_OPER: このロールに含まれる基本組込みロール: GH_WC_OPER、GH_SERIES_ADMIN、GH_IMG_TESTABLE、GH_IMG_RESTRICTおよびGH_IMG_USER。このロールが割り当てられたユーザーは、自分が作成したイメージのみを削除できます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーで使用できるG1
というゴールド・イメージについて考えてみます。
また、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントCl1
のユーザーU1
がGH_WC_USERロールを持っているとします。U1
がゴールド・イメージG1
に基づくOracleホームのプロビジョニングをリクエストすると、GH_WC_USERロールによって付与される権限によりU1
はそれを実行できます。ただし、U1
がG1
の削除をリクエストした場合、GH_WC_USERロールには必要な権限が含まれないため、そのリクエストは拒否されます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントにユーザー・ロール・マッピングを関連付けることができます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーがユーザー・ロール・マッピングを委任すると、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントに属するすべてのユーザーに対して、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー上のユーザーとロールのマッピングを変更できます。つまり、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント・サイトからのユーザーIDを、そのサイトのクライアント・クラスタ名でのみ修飾するということです。したがって、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントCL1
は、CL2
上のユーザーのユーザー・マッピングを更新できません(CL2
は別のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントのクラスタ名)。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのイメージ
デフォルトでは、rhpctl import imageまたはrhpctl add image
を使用してゴールド・イメージを作成した場合、そのイメージを作業用コピーのプロビジョニングにすぐ使用できます。ただし、一定の条件の下では、イメージへのアクセスを制限して、他の人にイメージのテストまたは検証を要求してから、一般に使用できるようにする必要があります。
同一のリリース・バージョン、特定のユーザーによって公開されたゴールド・イメージ、組織内の特定の部門用のイメージなど、互いに関連するゴールド・イメージ・シリーズとしてまとめて分類できる一連のゴールド・イメージをフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーで作成することもできます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー間でのゴールド・イメージの配布
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー間でゴールド・イメージを自動的に共有および同期化できます。
RHPS_1
)は、ピアのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーの名前がRHPS_1
の管理ドメイン内の高速ホーム・プロビジョニング・クライアントまたはターゲットと同じ名前である場合、そのピア・フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーを登録できません。
$ rhpctl query peerserver
$ rhpctl query image -server server_cluster_name
前述のコマンドでは、特定のピア・フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーのすべてのイメージが表示されます。また、-image image_name
パラメータと一緒にピア・サーバーを指定することで、特定ピア・サーバーの特定イメージの詳細を表示できます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは複数のピアを持つことができます。ただし、Oracleでは、ピア間の結合関係はサポートされません。たとえば、RHPS_1
がRHPS_2
のピアであり、RHPS_2
がRHPS_3
のピアである場合、RHPS_1
とRHPS_3
の間では関係が確立されたり、暗黙的に関係を持つことはありません。ただし、これらは必要に応じてピアにすることができます。
$ rhpctl instantiate image –server server_cluster_name
rhpctl instantiate image
コマンドを実行して、自動更新メカニズムをアクティブ化します。その時点から、ピア・フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー(RHPS_2
など)にゴールド・イメージを作成すると、インスタンス化操作を実行したフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー(RHPS_1
など)に自動的にコピーされる候補になります。新しいゴールド・イメージが自動的にコピーされるかどうかは、そのイメージが、コマンドに含めることができるインスタンス化パラメータに関連しているかどうかによって決まります。
-
-all
:RHPS_2
で作成されたすべてのゴールド・イメージのRHPS_1
への自動プッシュを作成します。 -
-image image_name
:RHPS_2
で作成された指定のイメージの新しいすべての子孫ゴールド・イメージのRHPS_1
への自動プッシュを作成します。指定のイメージの子孫は、rhpctl add image
コマンドを使用してRHPS_2
で作成されるイメージです。 -
-series series_name
:RHPS_2
の指定のシリーズに追加されたすべてのゴールド・イメージのRHPS_1
への自動プッシュを作成します。 -
-imagetype image_type
:RHPS_2
で作成された、指定のイメージ・タイプのすべてのゴールド・イメージのRHPS_1
への自動プッシュを作成します。
rhpctl instantiate image
コマンドで確立された更新の受信を停止するには、rhpctl uninstantiate image
を実行し、ピア・フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーを指定し、さらにall、イメージ名、イメージ・シリーズ名、またはイメージ・タイプのいずれかを指定します。
$ rhpctl unregister server -server server_cluster_name
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーの監査
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング操作すべての実行を記録し、それらの操作が成功したか失敗したかも記録します。
監査メカニズムにより、管理者が様々なディメンションで監査ログを問い合せることができ、さらにその内容とサイズを管理できます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングの通知
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、データ・センターで使用できるソフトウェア・ホームの中央リポジトリです。そのため、データ・センター全体の管理者が、自身の担当する領域に影響する可能性があるインベントリへの変更を把握する必要があります。
イメージ・シリーズ・イベントへのサブスクリプションを作成できます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、サブスクライブするロールまたは複数のユーザーに、イメージの追加や削除などの、シリーズの使用可能なイメージに対する変更が電子メールで通知されます。シリーズごとに固有のサブスクライバのグループを作成できます。
また、ターゲットに対するゴールド・イメージの作業用コピーの追加または削除が実行されたときに、作業用コピーの所有者と追加ユーザーに電子メールで通知できます。追加のフリート・パッチ適用およびプロビジョニングのイベントに関する通知を有効にする場合は、次の項で説明するように、ユーザー定義のアクションを作成できます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングの実装
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングの実装には、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーの作成、サーバーへのゴールド・イメージの追加、およびソフトウェアをプロビジョニングするゴールド・イメージの作業用コピーの作成が含まれます。
Oracle Clusterwareをインストールして構成した後で、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを構成して、使用を開始できます。データベースなどのソフトウェア・ホームのゴールド・イメージを作成および格納するフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーを作成する必要があります。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーの作成
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、Oracle ACFSファイル・システムに作成されたリポジトリを使用します。ここに、クライアントおよびターゲットで利用できるようにするすべてのソフトウェア・ホームを格納します。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーを作成する手順は、次のとおりです。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーの起動後に、さらにフリート・パッチ適用およびプロビジョニングを管理するにはフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・コントロール(RHPCTL)ユーティリティを使用します。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーへのゴールド・イメージの追加
後でソフトウェアをプロビジョニングするために、RHPCTLを使用してゴールド・イメージを追加します。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、ソフトウェア・ホームのゴールド・イメージの保存および提供を行います。このようなイメージは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーでインスタンス化される必要があります。
注意:
イメージは読取り専用です。イメージからプログラムを実行することはできません。利用可能なソフトウェア・ホームをイメージから作成するには、ゴールド・イメージの作業用コピーを作成する必要があります。イメージをソフトウェア・ホームとして直接使用することはできません。ただし、イメージを使用して作業用コピー(ソフトウェア・ホーム)を作成できます。
次の方法の1つを使用して、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーにソフトウェアをインポートできます。
-
次のコマンドを使用して、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーにインストールされたホームからイメージをインポートできます。
rhpctl import image -image image_name -path path_to_installed_home [-imagetype ORACLEDBSOFTWARE | ORACLEGISOFTWARE | ORACLEGGSOFTWARE | SOFTWARE]
-
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントから次のコマンドを使用して、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントにインストールされたホームからイメージをインポートできます。
rhpctl import image -image image_name -path path_to_installed_home
-
次のコマンドを使用して、既存の作業用コピーからイメージを作成できます。
rhpctl add image –image image_name -workingcopy working_copy_name
前のリストの最初の2つのコマンドを使用して、イメージ・リポジトリをシードして、時間の経過とともにイメージを追加します。既存のゴールド・イメージに適用されるパッチを含むゴールド・イメージを作成するワークフローの一部として、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーで3つ目のコマンドを使用します。
また、これらの3つのコマンドを実行すると、次のようなOracle ACFSファイル・システムがフリート・パッチ適用およびプロビジョニングのルート・ディレクトリに作成されます。
/u01/rhp/images/images/RDBMS_121020617524
イメージの状態
イメージの状態をTESTABLE
またはRESTRICTED
に設定すると、GH_IMG_TESTABLEまたはGH_IMG_RESTRICTロールを持つユーザーのみがこのイメージから作業用コピーをプロビジョニングできます。イメージのテストまたは検証が終了したら、rhpctl promote image -image
image_name
-state PUBLISHED
コマンドを実行して、状態を変更し、イメージを一般に使用できるようにします。新しいゴールド・イメージを追加したときのデフォルトのイメージ状態はPUBLISHED
ですが、rhpctl add image
コマンドとrhpctl import image
コマンドを使用して、異なる状態を指定することもできます。
イメージ・シリーズ
イメージ・シリーズは、様々なゴールド・イメージを論理的な順序でグループ化する方法として便利です。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングは、各イメージを他のイメージとは独立したエンティティとして扱います。イメージが特定の体系に沿っている場合でも、イメージ間に関係はないとみなされます。イメージ管理者は、ユーザーのコミュニティで理解できる論理的な方法でイメージに名前を付けることができますが、これによってフリート・パッチ適用およびプロビジョニングのフレームワーク内に管理グループが作成されることはありません。
rhpctl add series
コマンドを使用して、イメージ・シリーズを作成し、1つ以上のイメージをそのシリーズに関連付けます。イメージ・シリーズ内のイメージのリストは、順序付きのリストです。rhpctl insertimage series
とrhpctl deleteimage series
を使用して、イメージ・シリーズに対してイメージを追加および削除します。これらのコマンドを使用してシリーズ内のイメージの順序を変更することもできます。
insertimage
とdeleteimage
のコマンドでは、実際のゴールド・イメージがインスタンス化されることも削除されることもありませんが、リストの変更のみ行われます。また、イメージは、複数のシリーズに属する(またはシリーズにまったく属さない)ことができます。
イメージ・タイプ
ゴールド・イメージを追加またはインポートするときに、イメージ・タイプを指定する必要があります。
- ORACLEDBSOFTWARE
- ORACLEGISOFTWARE
- ORACLEGGSOFTWARE
- SOFTWARE
すべてのゴールド・イメージがイメージ・タイプを持つ必要があり、独自のイメージ・タイプを作成できます。新しいイメージ・タイプは、いずれかの組込みのタイプに基づく必要があります。イメージ・タイプにより、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseホームを管理するためにその機能がフリート・パッチ適用およびプロビジョニングに適用されます。また、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでイメージ・タイプを使用して、カスタム・ワークフロー・サポート・フレームワークを編成します。
カスタム・イメージ・タイプの作成
カスタム・イメージ・タイプを作成するには、rhpctl add imagetype
コマンドを使用します。
たとえば、ORACLEDBSOFTWAREイメージ・タイプに基づくDBTESTというイメージ・タイプを作成するには、次のコマンドを実行します。
$ rhpctl add imagetype -imagetype DBTEST -basetype ORACLEDBSOFTWARE
注意:
既存のイメージ・タイプに基づくイメージ・タイプを作成する場合、新しいイメージ・タイプでは、ベースとなるタイプから(カスタム・ワークフロー・サポートの)ユーザー・アクションは継承されません。ゴールド・イメージのコピーのプロビジョニング
RHPCTLを使用して、ゴールド・イメージのコピーを、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー、クライアント、およびターゲットに向けてプロビジョニングします。
ゴールド・イメージを作成し、インポートした後、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント、またはターゲットでゴールド・イメージのコピー(「作業用コピー」と呼ぶ)を追加することで、ソフトウェアをプロビジョニングできます。その後、サーバーまたはクライアントでソフトウェア・プロビジョニング・コマンドを実行できます。
注意:
-
-path
パラメータに指定するディレクトリは空であることが必要です。 -
システム・エラーまたはユーザー・エラーによって中断または失敗した場合には、プロビジョニング・コマンドを再実行できます。報告されたエラーを修正してからコマンドを再実行すると、失敗したところから再開します。
関連トピック
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでのユーザー・グループ管理
移動操作またはアップグレード操作の一部としてゴールド・イメージの作業用コピーを作成すると、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、新しい作業用コピーのオペレーティング・システムのグループがソースのソフトウェア・ホームのものと一致するように構成されます(移動元またはアップグレード元のホームは管理対象かどうかを問いません)。
SOFTWAREイメージ・タイプのゴールド・イメージを作成した場合、ソースのユーザー・グループが継承されることはなく、このタイプのイメージにユーザー・グループ情報が含まれることはありません。rhpctl add workingcopy
コマンドを使用してSOFTWAREゴールド・イメージから作業用コピーをプロビジョニングする場合、必要に応じて-groups
パラメータを使用して作業用コピーのユーザー・グループを構成できます。
rhpctl move database
、rhpctl move gihome
、rhpctl upgrade database
およびrhpctl upgrade gihome
のすべてのコマンドで、ソース・ホーム(フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してプロビジョニングした管理対象外ホームまたは管理対象ホーム(作業用コピー))および宛先ホーム(作業用コピーである必要があります)を指定する必要があります。
rhpctl add workingcopy
コマンドを使用して宛先ホームをプロビジョニングした場合、移動操作またはアップグレード操作を実行する前に、ソース・ホームで構成されたグループを宛先ホームのグループと一致させる必要があります。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、追加操作の一部としてグループが構成されます。
ソースのソフトウェア・ホーム(rhpctl import image
コマンドを使用)または作業用コピー(rhpctl add image
コマンドを使用)からORACLEGISOFTWAREまたはORACLEDBSOFTWAREイメージ・タイプのゴールド・イメージを作成すると、ゴールド・イメージが、ソースで構成されたOracleユーザー・グループを継承します。この機能は無効にできません。
次の各項で説明するように、イメージ・タイプとユーザー・グループに応じて、rhpctl add workingcopy
コマンドを使用してORACLEGISOFTWAREおよびORACLEDBSOFTWAREの作業用コピーに対してユーザー・グループを定義できます。
この項では、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでユーザー・グループ構成を管理する方法と、rhpctl add workingcopy
の-groups
コマンドライン・オプションがどのように機能するかについて説明します。
ORACLEGISOFTWARE (Oracle Grid Infrastructure 11g リリース2 (11.2)と、12c リリース1 (12.1)およびリリース2 (12.2))
Oracle Grid Infrastructureのゴールド・イメージの作業用コピーをプロビジョニングすると、プロビジョニングのタイプ(通常のプロビジョニングか、ソフトウェアのみか、および-local
パラメータを指定したかどうか)、およびrhpctl add workingcopy
で-groups
パラメータを指定したかどうかに応じて、作業用コピーでグループが設定されます。-softwareonly
コマンド・パラメータを指定するか、rhpctl add workingcopy
コマンドでレスポンス・ファイルを使用して、Oracle Grid InfrastructureソフトウェアにOSDBAおよびOSASMユーザー・グループを定義できます。
-softwareonly
コマンド・パラメータを使用してOracle Grid Infrastructureソフトウェアのみをプロビジョニングしている場合は、-groups
パラメータを使用することはできず、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでアクティブなGridホームからOSDBAおよびOSASMユーザー・グループ情報が取得されます。
rhpctl add workingcopy
で-local
コマンド・パラメータ(これは、-softwareonly
コマンド・パラメータを使用する場合にのみ有効)を使用すると、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで、コマンドラインからグループの値が取得される(-groups
パラメータを使用)か、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングがゴールド・イメージのosdbagrp
バイナリから取得するデフォルト値が使用されます。
前述のものがいずれも該当しない場合、インストーラのデフォルトのユーザー・グループが使用されます。
-
コマンドラインからユーザー・グループの値を使用します(OSDBAまたはOSASM、あるいはその両方に対して指定されている場合)。
-
コマンドラインで値を指定しない場合、レスポンス・ファイルに定義されたユーザー・グループ情報が取得されます。
OSOPER Oracleグループを定義している場合は、その後、再度-softwareonly
コマンド・パラメータを使用するか、rhpctl add workingcopy
コマンドでレスポンス・ファイルを使用できます。
-softwareonly
コマンド・パラメータを使用する場合は、コマンドラインで値を指定する(-groups
パラメータを使用)ことも、ユーザー・グループを未定義のままにすることもできます。
レスポンス・ファイルからの情報を使用してゴールド・イメージの作業用コピーをプロビジョニングおよび構成している場合、コマンドラインで値を指定することも、レスポンス・ファイルに含まれる情報を使用することも、OSOPER Oracleグループを未定義のままにすることもできます。
ORACLEDBSOFTWARE (Oracle Database 11g リリース2 (11.2)と、12c リリース1 (12.1)およびリリース2 (12.2))
Oracle Databaseソフトウェアの作業用コピーをプロビジョニングしており、Oracleグループを定義する場合は、rhpctl add workingcopy
コマンドで-groups
コマンド・パラメータを使用します。Oracle Databaseの各種リリースで使用できるOracleグループは、次のとおりです。
-
Oracle Database 11gリリース2(11.2)
- OSDBA
- OSOPER
-
Oracle Database 12c リリース1 (12.1)
- OSDBA
- OSOPER
- OSBACKUP
- OSDG
- OSKM
-
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)
- OSDBA
- OSOPER
- OSBACKUP
- OSDG
- OSKM
- OSRAC
定義しているグループが前述のいずれでも(OSOPERを除く)、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで、コマンドラインからグループの値が取得される(-groups
パラメータを使用)か、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングがゴールド・イメージのosdbagrp
バイナリから取得するデフォルト値が使用されます。
データベース・ユーザーが属しているグループのリストに、osdbagrp
バイナリから選択したグループが含まれていない場合(id
コマンドで確認)、インストーラのデフォルトのユーザー・グループが使用されます。それ以外の場合、データベース・ユーザーはrhpctl add workingcopy
コマンドを実行しているユーザーです。
プロビジョニングするソフトウェアのための記憶域オプション
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでゴールド・イメージの作業用コピーを格納する3つの記憶域オプションのいずれかを選択します。
rhpctl add workingcopy
コマンドを使用してソフトウェアをプロビジョニングする場合、3つの記憶域オプションから選択して、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでそのソフトウェアを次の場所に配置できます。
-
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで管理されるOracle ACFS共有ファイル・システム(データベース・ホームの場合のみ)
-
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで管理されていないローカル・ファイル・システム
–storagetype
と–path
のパラメータを指定してrhpctl add workingcopy
コマンドを使用すると、プロビジョニングした作業用コピーを格納する場所を選択できます。パラメータが適用可能かどうかは、作業用コピーのプロビジョニング対象の1つ以上のノードがフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーであるか、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントであるか、非フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントであるかに応じて異なります。–stroragetype
パラメータの値は、次の値から選択できます。
-
RHP_MANAGED
: フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーおよびフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントに使用可能なこの値を選択すると、Oracle ACFS共有ファイル・システムに作業用コピーが格納されます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで記憶域オプションが管理されるため、このオプションでは–path
パラメータは使用されません。注意:
-
RHP_MANAGED
記憶域にOracle Grid Infrastructureホームを格納することはできません。 -
Oracle ASMディスク・グループを含むように構成されたフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーおよびクライアントで使用できる
RHP_MANAGED
記憶域タイプを使用することをお薦めします。 -
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーで作業用コピーをプロビジョニングする場合は、デフォルトで
RHP_MANAGED
が設定されるため、-storagetype
オプションを指定する必要はありません。 -
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントで作業用コピーをプロビジョニングする場合に、
-path
パラメータを指定しないと、クライアントにOracle ASMディスク・グループがある場合にのみ、記憶域タイプがデフォルトでRHP_MANAGED
に設定されます。それ以外の場合、コマンドは失敗します。-path
パラメータにクライアント上の場所を指定すると、Oracle ASMディスク・グループの有無に関係なく、記憶域タイプがデフォルトでLOCAL
に設定されます。
-
-
LOCAL
: この値を選択すると、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで管理されていないローカル・ファイル・システムに作業用コピーが格納されます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントまたは非フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントのファイル・システムへのパス、あるいはフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントのOracle ASMディスク・グループへのパスを指定する必要があります。
–path
パラメータを指定する場合、クラスタのすべてのノードでファイル・システムが共有されていると、この共有記憶域に作業用コピーが作成されます。ファイル・システムが共有されていない場合は、クラスタの各ノードの指定パスの場所に作業用コピーが作成されます。
注意:
-path
パラメータに指定するディレクトリは空であることが必要です。
関連トピック
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー間でのイメージの伝播
自動イメージ伝播を使用すると、様々なピア・フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー間でソフトウェア・イメージの自動コピーを設定できます。1つのサイトに登録するゴールド・イメージは、ピア・フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーにコピーされます。
RHPS-A
とRHPS-B
)の間で関係を確立します。RHPS-A
がソース、RHPS-B
がソフトウェア・イメージの宛先です。
Oracle Grid Infrastructureの管理
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、Oracle Grid Infrastructureホームを、ターゲットとフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントに分散するための効率的でセキュアなプラットフォームを提供します。
また、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントには、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーからOracle Grid Infrastructureホームをフェッチする機能もあります。
Oracle Grid Infrastructureホームは、ゴールド・イメージの作業用コピーの形式で配布されます。作業用コピーがプロビジョニングされた後は、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによって、オプションでOracle Grid Infrastructureを構成できます。これにより、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで、最初にOracle Grid Infrastructureがインストールされていない1つ以上のノードで構成されるグループにOracle Grid Infrastructureインストールを作成できます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングには、パッチが適用されたホームへの切替えや新しいバージョンのOracle Grid Infrastructureへのアップグレードなど、Oracle Grid Infrastructureホームを管理するコマンドもあります。これらはいずれも、関連する多数の手順を統合する単一のコマンドです。元のホームに、同様に簡単に戻すことができます。また、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、Oracle Grid Infrastructure構成のノードを追加または削除できます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング(FPP)を使用したOracle Grid Infrastructureのデプロイについて
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング(FPP)は、Oracleホームのプロビジョニングと保守のためのソフトウェア・ライフサイクル管理方法です。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、データベース、クラスタ、およびユーザー定義ソフトウェア・タイプの標準的な操作環境の一括デプロイメントおよび保守が可能になります。
注意:
Oracle Grid Infrastructure 19c以上では、これまで高速ホーム・プロビジョニング(RHP)と呼ばれていた機能がフリート・パッチ適用およびプロビジョニング(FPP)という名前になります。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、クラスタのインストールと、Oracle Grid Infrastructure、Oracle Restart、およびOracle Databaseホームのプロビジョニング、パッチ適用、スケーリング、およびアップグレードを行うことができます。サポートされているバージョンは11.2、12.1、12.2、18cおよび19cです。アプリケーションおよびミドルウェアもフリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してプロビジョニングできます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングは、次のいずれかのモードで使用できるOracle Grid Infrastructureのサービスです。
-
中央フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーでは、ゴールド・イメージと呼ばれる標準化されたイメージが保存および管理されます。ゴールド・イメージは、データ・センターの任意の数のノードにデプロイできます。デプロイされたホームに新規クラスタおよびデータベースを作成し、それらを使用して、既存のインストールのパッチ適用、アップグレード、およびスケーリングを行うことができます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、次のタイプのインストールを管理できます。-
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー自体をホストするクラスタ上のソフトウェア・ホーム。
-
Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)、18cおよび19cを実行しているフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント。
-
Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)および12cリリース1 (12.1)を実行しているインストール。
-
Oracle Grid Infrastructureなしで実行されるインストール。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、新規インストールをプロビジョニングでき、さらに既存のインストールに変更を加えることなく既存のインストールを管理できます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、ピア・サーバー間でゴールド・イメージを自動的に共有し、データセンターが地理的に分散している企業をサポートできます。
-
-
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーから管理することも、クライアント自体でコマンドを実行することで直接管理することもできます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、Oracle Grid Infrastructureに組み込まれたサービスであり、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以上のリリースで使用できます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーからゴールド・イメージを取得することも、ポリシーに基づいて新しいイメージをアップロードしたり、メンテナンス操作をそれ自体に適用したりすることもできます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用したOracleソフトウェアのデプロイには、次の利点があります。
-
デプロイされるソフトウェアのゴールド・イメージおよび系統の管理により、標準化および高レベルの自動化が可能になります。
-
アクティブ・データベースまたはクラスタを中断させることなく、新規ホームをアウトオブプレースでイメージ(ゴールド・イメージと呼ばれる)としてデプロイすることで、停止時間を最小限に抑えられます。
-
データベース・バージョンおよびデプロイメント・モデル全体で、簡単な一貫性のあるAPIによって呼び出されるオートマトンを提供することにより、保守が簡素化されます。
-
操作をテストするための組込みの検証と「ドライラン」モードにより保守リスクが軽減されます。
-
予期せぬ問題が発生した場合にコマンドを再開または再起動できるため、保守操作のリスクが軽減されます。
-
次のような機能により、パッチ適用およびアップグレードの影響が最小限に抑えられ、多くの場合、排除されます。
-
追加ノードまたは外部記憶域が不要で、デプロイメント内ですべてが実行される完全自動化された停止時間0のデータベース・アップグレード。
-
ローリング・パッチ適用中のデータベース・セッションおよびOJVMのアダプティブ管理。
-
一括デプロイメントを管理するためのオプション。
-
-
デプロイメントおよび保守操作では、カスタマイズにより、自動化されたワークフローに環境固有のアクションをインクルードできます。
関連項目:
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーおよびクライアントの設定と、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseホームのプロビジョニングおよびパッチ適用のためのゴールド・イメージの作成および使用については、Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイドを参照してください。Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのプロビジョニング
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングには、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Restartグリッド・インフラストラクチャのホームをプロビジョニングして、オプションで構成する方法がいくつか用意されています。
rhpctl add workingcopy
コマンドを使用します。
rhpctl add workingcopy
コマンドの-softwareonly
パラメータを使用します。これによってプロビジョニングされますが、新しいGridホームがアクティブ化されるわけではないため、新しいホームに切り替えることができる場合は、単一のコマンドで実行できます。
Oracle Grid Infrastructureソフトウェアへのパッチ適用
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングには、Oracle Grid Infrastructureソフトウェア・ホームにパッチを適用する方法として、ローリング、非ローリングおよびバッチの3つがあります。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーが存在しない環境で独立オートマトンを使用してこの操作を実行することもできます。この場合、ソース・ホームおよび宛先ホームはゴールド・イメージの作業用コピーではありませんが、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用する以外の方法でデプロイした2つのインストール済ホームです。
この項には次のトピックが含まれます:
ローリング方式を使用したOracle Grid Infrastructureへのパッチ適用
Oracle Grid Infrastructureへのパッチ適用のローリング方式は、デフォルトの方法です。
rhpctl move gihome
コマンド(アトミック操作)を使用し、これは、新しいホームで各ノードのOracle Grid Infrastructureスタックが再起動された後に戻されます。ノードは順次再起動されるため、一度に1つのみのノードがオフラインになり、クラスタのその他すべてのノードはオンラインのままになります。
注意:
-
Gridホームは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで管理されていないホームには移動できません。このため、(元のホームへの)ロールバックは、2つの作業用コピー間での移動にのみ適用されます。この制限は、管理対象外のホームでのみ作用するため、独立オートマトンを使用している場合は適用されません。
-
Gridホームを移動した後、いつでもソースの作業用コピーを削除できます。ただし、作業用コピーを削除した後は、ロールバックを実行できません。また、
rhpctl delete workingcopy
コマンド(rm
などではなく)を使用してソースの作業用コピーを削除し、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・インベントリを正常な状態に保ちます。 -
-abort
パラメータを使用してパッチ適用操作を終了する場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、クリーン・アップは行われず、またパッチ適用手順は元に戻されません。すべてのノードにパッチが適用されていないため、クラスタ、データベース、あるいはその両方が一貫性のない状態である可能性があります。
非ローリング方式を使用したOracle Grid Infrastructureへのパッチ適用
rhpctl move gihome
コマンドで-nonrolling
パラメータを使用して、すべてのノードのOracle Grid Infrastructureスタックをパラレルで再起動できます。
バッチを使用したOracle Grid Infrastructureへのパッチ適用
3つ目のパッチ適用方法は、ノードのバッチを順次処理し、各バッチの多数のノードをパラレルで再起動する方法です。
ユーザー定義のバッチ
このパッチ適用の方法を使用する場合、初めてrhpctl move gihome
コマンドを実行するときに、ソース・ホーム、宛先ホーム、バッチおよび必要に応じてその他のオプションを指定する必要があります。コマンドは、最初のノードの再起動後に終了します。
定義したバッチを使用してOracle Grid Infrastructureにパッチを適用するには、次の手順を実行します。
-
次の例のように、コマンドラインでバッチのリストを定義して、パッチ適用プロセスを開始します。
$ rhpctl move gihome -sourcewc wc1 -destwc wc2 -batches "(n1),(n2,n3),(n4)"
前述のコマンド例では、移動操作を開始し、最初のバッチでOracle Grid Infrastructureスタックが再起動したときに終了し、成功をレポートします。Oracle Grid Infrastructureは、
-batches
パラメータで指定した順序でバッチを再起動します。コマンド例では、ノード
n1
は最初のバッチを形成し、ノードn2
およびn3
は2つ目のバッチを形成し、ノードn4
は最後のバッチを形成しています。コマンドでは、ソースの作業用コピーがwc1
として、パッチが適用された(宛先)作業用コピーがwc2
として定義されています。注意:
シングルトン・サービス(ポリシー管理シングルトン・サービスまたは1つのインスタンスで実行中の管理者管理シングルトン・サービス)がバッチ間で再配置されて、非シングルトン・サービスが引き続きパッチ適用プロセス中に部分的に使用できるように、バッチを指定できます。
-
次のように、
rhpctl move gihome
コマンドを再度実行して、次のバッチを処理する必要があります。$ rhpctl move gihome -destwc wc2 -continue
前述のコマンド例では、2つ目のバッチ(ノード
n2
およびn3
)のOracle Grid Infrastructureスタックを再起動します。コマンドは、2つ目のバッチが正常にパッチ適用されたことをレポートして、終了します。 -
ノードの最後のバッチが処理されるまで、前述の手順を繰り返します。最後のバッチが処理された後で
-continue
パラメータを含むコマンドを実行しようとすると、コマンドでエラーが返されます。前述の一連の手順のいずれかで
rhpctl move gihome
コマンドが失敗した場合は、失敗の原因を特定し、修正した後、-continue
オプションを指定してコマンドを再度実行し、失敗したバッチへのパッチ適用を試行します。失敗したバッチをスキップして次のバッチに進む場合は、-continue
と-skip
のパラメータを使用します。最後のバッチをスキップしようとすると、移動操作が終了します。また、
-revert
パラメータを使用してコマンドを再発行することで、行われた変更を元に戻し、構成を初期状態に戻すことができます。前述の手順のいずれかで
-continue
パラメータではなく-abort
パラメータを使用して、パッチ適用プロセスを終了し、クラスタを現在の状態のままにすることができます。注意:
-
1つのアクティブ・サーバーによるサーバー・プールでホストされたポリシー管理サービスと、1つの優先インスタンスによる管理者管理サービスおよび使用可能なインスタンスがない管理者管理サービスは再配置できず、インスタンスの再起動中にオフラインになります。
-
移動操作が進行中の場合は、同じソース・ホームからの別の移動操作または同じ宛先ホームへの別の移動操作は開始できません。
-
移動操作が終了した後で、移動の前に実行されていたものとは異なるノードでサービスが実行されている場合があり、必要に応じてこれらを元のインスタンスに手動で配置しなおす必要があります。
-
-abort
パラメータを使用してパッチ適用操作を終了する場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、クリーン・アップは行われず、またパッチ適用手順は元に戻されません。すべてのノードにパッチが適用されていないため、クラスタ、データベース、あるいはその両方が一貫性のない状態である可能性があります。 -
起動依存性に応じて、移動の開始前にオフラインだったサービスが移動中にオンラインになる場合があります。
-
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング定義のバッチ
ノードのバッチの定義とパッチ適用にフリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用することは、次のコマンド例、つまり、ソースの作業用コピーがwc1
で宛先の作業用コピーがwc2
となっている例で示すように、実行する必要があるコマンドが1つのみであることを意味します。
$ rhpctl move gihome -sourcewc wc1 -destwc wc2 -smartmove -saf Z+ [-eval]
コマンドで-separate
パラメータを使用していないかぎり、他の操作を実行する必要はありません。その場合、移動操作は次のバッチに進むためのユーザーの介入を待機し、各バッチが完了した後、-continue
パラメータを指定してコマンドを実行する必要があります。
$ rhpctl move gihome -destwc destination_workingcopy_name -revert [authentication_option]
管理対象外のホームを指定して-revert
パラメータを使用できます。
前述の例で使用されているパラメータは、次のとおりです。
-
-smartmove
: このパラメータにより、Oracle Grid Infrastructureを起動する前にシングルトン・リソースが再配置されるように、非結合のノードのセット上のOracle Grid Infrastructureスタックが再起動されます。注意:
リソースが属するサーバー・プールに含まれるアクティブ・サーバーが1つのみの場合は、再配置を実行できないため、そのリソースはオフラインになります。-smartmove
パラメータ:-
サービスとそれらが実行されているノードのマップを作成します。
-
ノードのバッチを作成します。構成がOracle Flex Clusterの場合は、最初のバッチにはハブ・ノードのみが含まれます。追加バッチについては、次の場合にノードをバッチにマージできます。
-
このノードで実行されている非シングルトン・サービスの可用性が、指定したサービスの可用性ファクタ(またはデフォルトの50%)を下回っていない。
-
このノードに実行中のシングルトン・サービスがあり、バッチにサービスの再配置ターゲット・ノードが含まれていない。
-
-
バッチごとにOracle Grid Infrastructureスタックを再起動します。
-
-
サービスの可用性ファクタ(
-saf Z+
): データベース・サービスを実行する必要があるデータベース・インスタンスの最小数を示す正数を割合として指定できます。次に例を示します。-
2つのインスタンスで実行されるサービスに対して
-saf 50
を指定した場合は、一度に1つのインスタンスのみをオフラインにすることができます。 -
3つのインスタンスで実行されるサービスに対して
-saf 50
を指定した場合は、一度に1つのインスタンスのみをオフラインにすることができます。 -
2つのインスタンスで実行されるサービスに対して
-saf 75
を指定した場合、ターゲットは対応できないため、エラーが発生します。 -
サービスの可用性ファクタは、2つ以上のインスタンスで実行されるサービスに適用できます。そのため、サービスの可用性ファクタは非ローリング移動を示す0%にすることはできますが、100%にすることはできません。デフォルトは50%です。
-
シングルトン・サービスに対してサービスの可用性ファクタを指定した場合、そのようなサービスの可用性は100%であるためパラメータが無視されて、サービスが再配置されます。
-
-
-eval
: オプションでこのパラメータを使用して、自動生成されたバッチを表示できます。また、このパラメータでは、実際にソフトウェアにパッチを適用することなく、移動操作の順序が表示されます。
関連トピック
Oracle Grid InfrastructureとOracle Databaseのパッチ適用の結合
Oracle Grid Infrastructureデプロイメントにパッチを適用するときに、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、クラスタのOracle Databaseホームに同時にパッチを適用できるため、単一のメンテナンス操作で両方のタイプのソフトウェア・ホームにパッチを適用できます。
注意:
独立オートマトンを使用して、Oracle Grid InfrastructureとOracle Databaseの両方の組合せにパッチを適用することはできません。次のrhpctl move gihome
コマンドのオプション・パラメータは、Oracle Grid InfrastructureとOracle Databaseのパッチ適用の結合のユースケースに関連します。
-
-auto
: Oracle Grid Infrastructureへのパッチ適用とともに自動的にデータベースにパッチを適用します。 -
-dbhomes mapping_of_Oracle_homes
: 次の形式のソースと宛先の作業用コピーのマッピング:sourcewc1=destwc1,...,source_oracle_home_path=destwcN
-
-dblist db_name_list
: 指定したデータベースのみにパッチを適用します。 -
-excludedblist db_name_list
: 指定したデータベースを除くすべてのデータベースにパッチを適用します。 -
-nodatapatch
: 移動するデータベースに対してdatapatch
が実行されないことを示します。
たとえば、Oracle Grid Infrastructure 12c リリース2 (12.2)のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーによって、ノードtest_749
を含むOracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1.0.2)ターゲット・クラスタの次の作業用コピーがプロビジョニングされているとします。
-
GI121WC1
: Oracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1.0.2)クラスタのアクティブなGridホーム -
GI121WC2
: Oracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1.0.2)クラスタのソフトウェアのみのGridホーム -
DB121WC1
: データベース・インスタンスを実行しているOracle RAC 12c リリース1 (12.1.0.2.0)データベース・ホーム -
DB121025WC1
: データベース・インスタンスのないOracle RAC 12c リリース1 (12.1.0.2.5)データベース・ホーム(これがパッチが適用されたホームです) -
DB112WC1
: データベース・インスタンスを実行しているOracle RAC 11g リリース2 (11.2.0.4.0)データベース・ホーム -
DB112045WC1
: データベース・インスタンスのないOracle RAC 11g リリース2 (11.2.0.4.5)データベース・ホーム(これがパッチが適用されたホームです)
また、同時に次の移動を実行するとします。
-
Oracle Grid Infrastructureを作業用コピー
GI121WC1
から作業用コピーGI121WC2
に -
Oracle RACデータベース
db1
を作業用コピーDB121WC1
から作業用コピーDB121025WC1
に -
Oracle RACデータベース
db2
を作業用コピーDB112WC1
から作業用コピーDB112045WC1
に
次の単一のコマンドによって移動が完了します。
$ rhpctl move gihome -sourcewc GI121WC1 -destwc GI121WC2 -auto
-dbhomes DB121WC1=DB121025WC1,DB112WC1=DB112045WC1 -targetnode test_749 {authentication_option}
注意:
-
現在作業用コピーでない既存のOracleホームがある場合、ソース・ホームには作業用コピーの名前ではなくOracleホームのパスを指定します。前述の例では、既存の12.1.0.2ホームのOracleホームのパスが
/u01/app/prod/12.1.0.2/dbhome1
である場合は、DB121WC1=DB121025WC1
を/u01/app/prod/12.1.0.2/dbhome1=DB121025WC1
に置き換えます。 -
移動操作が完了前のある時点で失敗した場合は、失敗の原因を解決し、コマンドの再実行によって操作を再開するか、次のコマンドを発行して、部分的に完了した操作を元に戻すことができます。このコマンドにより、構成がその初期状態に戻されます。
$ rhpctl move gihome -destwc GI121WC2 -revert {authentication_option}
前述のコマンド例では、Oracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1.0.2)のGridホームが作業用コピーGI121WC1
から作業用コピーGI121WC2
に移動し、作業用コピーDB121WC1
で実行されているデータベースが作業用コピーDB121025WC1
に移動し、作業用コピーDB112WC1
で実行されているデータベースが作業用コピーDB112045WC1
に移動します。
クライアント・クラスタの各ノードでは、RHPCTLの手順は次のとおりです。
-
Oracle Grid Infrastructureを移動する構成済の操作前ユーザー・アクションを実行します(
move gihome
)。 -
データベースの作業用コピーを移動する構成済の操作前ユーザー・アクションを実行します(
move database
)。 -
ノードで実行されているサービスを停止して、ドレインと切断のオプションを適用します。
-
Oracle ClusterwareとOracle Databaseの関連するパッチ適用操作を実行します。
-
データベースの作業用コピーを移動する構成済の操作後ユーザー・アクションを実行します(
move database
)。 -
Oracle Grid Infrastructureの作業用コピーを移動する構成済の操作後ユーザー・アクションを実行します(
move gihome
)。
関連トピック
ローカル・モード構成を使用したOracle Grid Infrastructureへのパッチ適用
Oracle Grid Infrastructureをインストールするとき、または以前のバージョンを現在のバージョンにアップグレードする場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーはローカル・モードで自動的に構成されます。
rhpctl move gihome
またはrhpctl move database
コマンドを使用して、グリッド・インフラストラクチャまたはデータベースのパッチ適用済ホームのいずれかをデプロイしてパッチ操作を実行し、作業用コピー名のかわりにソースと宛先のパスを指定します。
注意:
ローカル・モードのパッチ適用操作を使用するには、次のコマンドを使用して、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーを有効化および起動する必要があります。$ srvctl enable rhpserver
$ srvctl start rhpserver
$ srvctl stop rhpserver
$ srvctl remove rhpserver
「フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーの作成」の手順に従って、中央モードのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーを作成します。
rhpctl move gihome
コマンド・パラメータを使用します。
-
-node
: 移動するホームが複数のノードにインストールされているOracle Grid Infrastructureホームである場合、デフォルトの操作はすべてのノードのローリング更新です。1つのノードにのみパッチを適用するには、このパラメータでそのノードの名前を指定します。 -
-nonrolling
: 移動するホームが複数のノードにインストールされているOracle Grid Infrastructureホームである場合、デフォルト操作はすべてのノードのローリング更新です。非ローリング方式ですべてのノードにパッチを適用するには、-node
パラメータのかわりにこのパラメータを使用します。 -
-ignorewcpatches
: デフォルトでは、宛先ホームにソース・ホームに存在するパッチがない場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは移動操作は実行されません。この機能は、このパラメータを使用して上書きできます。たとえば、更新を元に戻す必要がある場合、前のソース・ホームに戻すことができます。
エラー防止および自動リカバリ・オプション
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングには、保守操作中に役立つエラー防止オプションおよび自動リカバリ・オプションがあります。
保守操作中、エラーは、可能な場合は必ず回避する必要があり、エラーが発生した場合には、サービスの中断を回避するために自動リカバリ・パスを用意する必要があります。
エラー防止
多くのRHPCTLコマンドには、-eval
パラメータがあります。このパラメータを使用すると、コマンドを実行して、変更を加えることなく現在の構成を評価し、コマンドを正常に実行できるかどうか、およびコマンド実行が構成にどのように影響するかを判別できます。-eval
パラメータを使用して実行するコマンドは、構成を変更せずに、可能なかぎり多くの前提条件チェックを実行します。エラーが発生した場合は、RHPCTLにより、それらのエラーがコマンド出力で報告されます。エラーを修正した後、-eval
を使用してコマンドを再実行することで、その修正を検証できます。–eval
を使用してコマンドが正常に実行されると、実際のコマンドを実行しても成功する確実性が高くなります。
保守ウィンドウの外部で-eval
パラメータを使用してコマンドをテストできるため、保守手順自体にはフル・ウィンドウを使用できます。
自動リカバリ・オプション
保守操作時、処理中(たとえば、rhpctl move database
またはrhpctl move gihome
コマンドの途中)、または操作成功後(たとえば、rhpctl move database
コマンドの後、パフォーマンスや動作に関する問題が発生)にエラーが発生することがあります。
処理中のエラー
-
RHPCTLによって報告されたエラーを修正し、コマンドを再実行します。これにより、障害のポイントから実行が再開されます。
コマンドの再実行が成功し、移動操作に操作後のユーザー・アクションが関連付けられている場合は、そのユーザー・アクションが実行されます。ただし、操作前ユーザー・アクションがある場合、RHPCTLでは、コマンドは再実行されません。
-
失敗した移動の宛先(作業用コピーまたは管理対象外ホーム)、認証オプション(必要な場合)のみ指定し、
-revert
パラメータを使用して、新しいmoveコマンドを実行します。これにより、構成が初期状態に戻ります。操作に関連付けられているユーザー・アクションは実行されません。
-
失敗した移動の宛先(作業用コピーまたは管理対象外ホーム)、認証オプション(必要な場合)、および
-abort
パラメータのみ指定して、新しいmoveコマンドを実行します。この場合、構成は現在の状態のままです。この時点で構成を最終状態にするには、手動操作が必要です。操作に関連付けられているユーザー・アクションは実行されません。
更新後の問題
注意:
独立オートマトンでは、ソース・ホームおよび宛先ホームは、常に管理対象外のホーム(フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによってプロビジョニングされていないホーム)です。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーまたはフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントで移動操作を実行する場合、宛先ホームは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでプロビジョニングされた管理対象ホームである必要があります。Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのアップグレード
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用している場合、1つのコマンドでOracle Grid Infrastructureホームをアップグレードできます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングは、Oracle Grid Infrastructure 11g リリース2 (11.2.0.3および11.2.0.4)から12c リリース1 (12.1.0.2)へのアップグレードをサポートします。Oracle Grid Infrastructure 11g リリース2 (11.2.0.3と11.2.0.4)および12c リリース1 (12.1.0.2)から12c リリース2 (12.2.0.1)へのアップグレードがサポートされています。すでにプロビジョニングされているゴールド・イメージの作業用コピーをアップグレード先にすることも、この操作の一部として作業用コピーを作成することもできます。
たとえば、ターゲット・クラスタが、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによってプロビジョニングされたOracle Grid InfrastructureホームでOracle Grid Infrastructureを実行しているとします。このOracle Grid Infrastructureホームは11g リリース2 (11.2.0.4)で、それに従って作業用コピーに名前が付けられます。
Oracle Grid Infrastructure 12c リリース2 (12.2.0.1)の作業用コピー・バージョン(この例ではGIOH12201)をプロビジョニングしたら、次の1つのコマンドでその作業用コピーにアップグレードできます。
$ rhpctl upgrade gihome -sourcewc GIOH11204 -destwc GIOH12201
注意:
アップグレードの完了後は、いつでもソースの作業用コピーを削除できます。ただし、作業用コピーを削除した後は、ロールバックを実行できません。また、rhpctl delete workingcopy
コマンド(rm
などではなく)を使用してソースの作業用コピーを削除し、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・インベントリを正常な状態に保ちます。
Oracle Databaseソフトウェアの管理
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、Oracle Databaseホームを、ターゲットとフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントに分散するための効率的でセキュアなプラットフォームを提供します。
また、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーからデータベース・ホームをフェッチできます。
Oracle Databaseホームは、ゴールド・イメージの作業用コピーの形式で配布されます。その後、作業用コピーでデータベース・インスタンス(1つ以上)を作成できます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングには、パッチが適用されたホームへの切替えや新しいバージョンのデータベースへのアップグレードなど、既存のデータベースを管理するコマンドもあります。これらはいずれも、関連する多数の手順を統合する単一のコマンドです。元のホームに、同様に簡単に戻すことができます。
データベース・ホームのゴールド・イメージのコピーのプロビジョニング
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー、クライアントまたはターゲットでデータベース・ホームの作業用コピーをプロビジョニングするには、rhpctl add workingcopy
コマンドを使用します。
関連トピック
ゴールド・イメージのコピーでのOracle Databaseの作成
作業用コピーでOracle Databaseを作成します。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー自体、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント、または非フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント・ターゲットにある作業用コピーにデータベースを追加できます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント自体で実行中の作業用コピーにデータベースを作成できます。
注意:
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してデータベースを作成する場合、データベースのSYSとSYSTEMの両方のスキーマに、取得できないランダムなパスワードが使用されます。DBAまたはオペレータのロールを持つユーザーは、実行中のノードのデータベースにローカルに接続して、パスワードをこれら2つのアカウントにリセットする必要があります。Oracle Databaseソフトウェアへのパッチ適用
Oracle Databaseにパッチを適用するには、データベース・ホームを、実装するパッチが含まれる新しいホームに移動します。
rhpctl move database
コマンドを使用します。データベースは、作業用コピー、またはフリート・パッチ適用およびプロビジョニングで管理されていないOracle Databaseホームで実行できます。
-nonrolling
オプションを使用します。 こうすると、古いORACLE_HOME
データベースでデータベースが完全に停止してから、新しくパッチ適用されたORACLE_HOME
から再起動して実行されます。
注意:
パッチ適用プロセスの一部には、データパッチの適用が含まれます。Oracle Database 12c リリース1 (12.1)以降を移動する場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでこの手順が自動的に完了します。ただし、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)より前のバージョンに移動する場合は、手動でデータパッチを実行する必要があります。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングではOracle Data Guardが認識され、Oracle Data Guardスタンバイにはデータパッチは適用されません。データベースへのパッチ適用のワークフロー
DB122
というOracle Database 12c リリース2 (12.2)のゴールド・イメージから作成された作業用コピーでmyorcldb
というデータベースが実行されているとします。Oracle Databaseホームにパッチを適用する一般的なワークフローは次のとおりです。
バッチを使用したOracle Databaseへのパッチ適用
データベースへのパッチの適用中に、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによって、ノードのバッチを順次処理し、各バッチの多数のノードをパラレルで再起動できます。この方法により、パッチ適用プロセス中のサービスの可用性が最大化されます。コマンドラインでバッチを定義することも、クラスタで実行されているデータベース・サービスの分析に基づいてフリート・パッチ適用およびプロビジョニングでバッチのリストを生成することもできます。
OJVMデプロイメントのアダプティブOracle RACローリング・パッチ適用
クラスタ化環境で、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによりデータベース保守を適用するデフォルトの方法は、Oracle RACローリングです。ただし、新しい(パッチ適用対象の)データベース・ホームにOJVMパッチが含まれる場合、非ローリングが必要になることがあります。この場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングにより、ローリング方式が可能かどうか判別され、可能な場合はローリングが行われます。(詳細は、MOS Note 2217053.1を参照してください。)
独立オートマトンを使用したOracle Databaseへのパッチ適用
独立したローカル・モードのオートマトンは、クラスタ内のOracle Database単一インスタンス・データベース、スタンドアロン(Oracle Grid Infrastructureなし)、Oracle RACデータベース、またはOracle RAC One NodeデータベースなどのOracle Databaseホームを更新します。
rhpctl move database
コマンド・パラメータを使用します。
-
-dbname
: データベース・ホームが複数のデータベースをホストしている場合、このパラメータでカンマ区切りのリストを指定することで、特定のデータベースを移動できます。指定されていないデータベースは移動されません。このパラメータを使用しない場合、RHPCTLはすべてのデータベースを移動します。注意:
非クラスタ化(シングル・インスタンス)データベースを移動する場合は、-dbname
パラメータの値に対して、データベース名ではなくデータベースのSIDを指定する必要があります。 -
-ignorewcpatches
: デフォルトでは、宛先ホームにソース・ホームに存在するパッチがない場合、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは移動操作は実行されません。この機能は、このパラメータを使用して上書きできます。たとえば、更新を元に戻す必要がある場合、前のソース・ホームに戻すことができます。
-
-node
: 移動するホームが複数のノードにインストールされているデータベース・ホームである場合、デフォルトの操作はすべてのノードのローリング更新です。1つのノードにのみパッチを適用するには、このパラメータでそのノードの名前を指定します。 -
-nonrolling
: 移動するホームが複数のノードにインストールされているデータベース・ホームである場合、デフォルトの操作はすべてのノードのローリング更新です。非ローリング方式ですべてのノードにパッチを適用するには、-node
パラメータのかわりにこのパラメータを使用します。
-disconnect
および-noreplay
: シングル・インスタンスのOracle Database、Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeデータベース・インスタンスに適用されます。サービスを停止または再配置する前にすべてのセッションを切断する場合は、-disconnect
パラメータを使用します。-disconnect
を使用するように選択した場合、-noreplay
パラメータを使用して切断中のセッション再生を無効にするように選択できます。
-drain_timeout
: シングル・インスタンスのOracle Database、Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeデータベース・インスタンスに適用されます。このパラメータを使用して、各ノードからリソース・ドレインが完了するまでの許容時間を秒数で指定します。受け入れられる値は、空の文字列("")、0または任意の正の整数です。デフォルト値は空の文字列で、このパラメータが設定されていないことを意味します。これは従来の動作を維持するために古いバージョンに適用できます。0に設定されている場合、停止オプションはただちに適用されます。
ドレイン期間は、計画的なメンテナンス操作のために意図されています。ドレイン期間中は、各ノードで連続して、現在のすべてのクライアント要求は処理されますが、新しい要求は受け入れません。
-stopoption
: シングル・インスタンスのOracle Database、Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeデータベース・インスタンスに適用されます。データベースの停止オプションを指定します。停止オプションには、ABORT、IMMEDIATE、NORMAL、TRANSACTIONALおよびTRANSACTIONAL_LOCALがあります。
注意:
rhpctl move database
コマンドはOracle Data Guard対応であり、データベースがOracle Data Guardスタンバイの場合、データパッチは実行されません。
関連トピック
Oracle Exadataソフトウェアへのパッチ適用
Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseホームに加えて、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングは、Oracle Exadataコンポーネント(データベース・ノード、ストレージ・セル、およびInfiniBandスイッチ)へのパッチ適用をサポートしています。
rhpctl add workingcopy
コマンドを実行します。これにより、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーにOracle Exadataシステムの情報(ノードとそれらのノードに最後にパッチを適用したときに使用されたイメージのリスト)が保管されます。
rhpctl update workingcopy
コマンドを実行します。パッチを適用した後、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによりノードのイメージが更新されます。
EXAPATCHSOFTWARE
イメージ・タイプに基づいた作業用コピーに対してrhpctl query workingcopy
コマンドを実行すると、ノードとそれらのイメージのリストが返されます。
Oracle Databaseソフトウェアのアップグレード
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、Oracle Databaseをアップグレードするオプションが2つ用意されています。どちらのオプションも、単一のコマンドで実行します。
rhpctl upgrade database
コマンドでは、従来のアップグレードが実行され、停止時間が発生します。rhpctl zdtupgrade database
コマンドでは、停止時間は最小限またゼロで、Oracle RACまたはOracle RAC One Nodeのアップグレードが実行されます。
rhpctl upgrade database
コマンドを使用します。Oracle Database 11g リリース2 (11.2.0.3と11.2.0.4)およびOracle Database 12c リリース1 (12.1.0.2)からOracle Database 12c リリース2 (12.2.0.1)へのアップグレードがサポートされています。
注意:
アップグレード前のデータベースが実行されているOracle Grid Infrastructureのバージョンは、アップグレード先のデータベースのバージョン以上にする必要があります。注意:
アップグレードの完了後は、いつでもソースの作業用コピーを削除できます。ただし、作業用コピーを削除した後は、ロールバックを実行できません。また、rhpctl delete workingcopy
コマンド(rm
などではなく)を使用してソースの作業用コピーを削除し、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・インベントリを正常な状態に保ちます。
停止時間0のアップグレード
データベース・アップグレードを自動化および調整するフリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用すると、サービスを中断することなくOracle RACまたはOracle RAC One Nodeデータベースをアップグレードできます。
エラーにより処理が中断した場合でも、停止時間0のアップグレード・プロセスは、再開、再起動、およびリカバリできます。問題を修正した後、コマンドを再実行できます。これにより、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、エラーが発生したポイントから処理が続行されます。また、Oracleでは、停止時間0のアップグレード・プロセスの開始時とと終了時にフックが提供され、これにより、ユーザー定義スクリプトを呼び出すことができるため、プロセスをカスタマイズできます。
-
データベース・アップグレード・ターゲット: Oracle RACおよびOracle RAC One Node。次のアップグレード・パスがあります。
- 11g リリース2 (11.2.0.4)から12c リリース1 (12.1.0.2)
- 11g リリース2 (11.2.0.4)から12c リリース2 (12.2.0.1)
- 12c リリース1 (12.1.0.2)から12c リリース2 (12.2.0.1)
-
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング管理: ソース・データベース・ホームは、管理対象外にも(フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サービスでプロビジョニングされていない)、管理対象にも(フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サービスでプロビジョニング)できます。
-
データベース状態: ソース・データベースはアーカイブ・ログ・モードである必要があります。
コンテナ・データベースのアップグレード
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してCDBをアップグレードできますが、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、アップグレード中に非CDBをCDBに変換することはできません。停止時間0のアップグレードを準備するには、構成手順および検証チェックを実行します。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用して停止時間0のアップグレードを実行した場合は、必要に応じてアップグレードを停止し、再開できます。アップグレード・エラーからリカバリできます。また、アップグレードを再開できます。また、アップグレード中に独自のスクリプトの呼び出しを挿入する機能もあるため、アップグレード手順をカスタマイズできます。
停止時間0のアップグレードの環境の前提条件
-
サーバー環境: フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用したOracle Grid Infrastructure 18c
-
データベース・ホスト: 次のいずれかのプラットフォームでホストされているデータベース
-
Oracle Grid Infrastructure 18cのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント
-
Oracle Grid Infrastructure 18cのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー
-
Oracle Grid Infrastructure 12c (12.2.0.1)のフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント
-
Oracle Grid Infrastructure 12c (12.1.0.2)のターゲット・クラスタ
-
-
環境のデータベース固有の前提条件: アップグレード中に、新しいデータベースの準備ができたときに適用されるトランザクションを保持するため、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、ローカル・データ・ファイルへのレプリケーションが管理されます。次の2種類のローカル・データ・ファイルが使用されます。
- スナップ・クローン。これは、データベース・データ・ファイル、REDOログ、およびアーカイブREDOログがOracle ACFSファイル・システムにある場合に使用できます。
- 他のすべての場合、フル・コピー。
-
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、停止時間0のデータベース・アップグレード中に、Oracle GoldenGateまたはOracle Data Guardのいずれかを必要とします。アップグレード手順の一部として、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、Oracle GoldenGateデプロイメントが構成および管理されます。
レプリケーションにOracle GoldenGateを使用した停止時間0のアップグレードの実行
Oracle GoldenGateをレプリケーションに使用して停止時間0のアップグレードを実行します。
-
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーを準備します。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーのイメージ・ライブラリでOracle GoldenGateソフトウェアのゴールド・イメージを作成します。注意:
Oracle eDeliveryから、ご使用のプラットフォーム用のOracle GoldenGateソフトウェアをダウンロードできます。Oracle GoldenGate 12.3インストール・キットには、Oracle Database 11gデータベースとOracle Database 12cデータベースの双方に必要なソフトウェアが含まれています。Oracle GoldenGateソフトウェアをダウンロードする場合、ソフトウェア・ホームを抽出し、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーでソフトウェアのみのインストールを実行します。
次のように、双方のデータベースにOracle GoldenGateソフトウェアのゴールド・イメージを作成します。
前述の両コマンドで、$ rhpctl import image -image 112ggimage -path path -imagetype ORACLEGGSOFTWARE $ rhpctl import image -image 12ggimage -path path -imagetype ORACLEGGSOFTWARE
path
は、各データベース・リリースのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー上のOracle GoldenGateソフトウェア・ホームの場所を示します。 -
ターゲット・データベースを準備します。
次のように、データベースをホストしているクラスタにOracle GoldenGateソフトウェアの作業用コピーをプロビジョニングします。$ rhpctl add workingcopy -workingcopy GG_Wcopy_11g -image 112ggimage -user user_name -node 12102_cluster_node -path path {-root | -sudouser user_name -sudopath sudo_bin_path} $ rhpctl add workingcopy -workingcopy GG_Wcopy_12c -image 12ggimage -user user_name -node 12102_cluster_node -path path {-root | -sudouser user_name -sudopath sudo_bin_path}
データベースがフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーでホストされている場合、-targetnode
パラメータも-client
パラメータも必要ありません。注意:
作業用コピー名は一意である必要があるため、後続のターゲットでは別の作業用コピー名を使用する必要があります。作業用コピー名にターゲットの名前/クライアント・クラスタ名を含めることで、一意の作業用コピー名を作成できます。 -
Oracle Database12cソフトウェア・ホームの作業用コピーをターゲット・クラスタにプロビジョニングします。
注意:
この準備は、ターゲットで実行されている処理を中断させることなく、保守ウィンドウより前に実行できます。レプリケーションにOracle Data Guardを使用した停止時間0のアップグレードの実行
Oracle Data Guardをレプリケーションに使用して停止時間0のアップグレードを実行します。
-
Data Guard Brokerが有効化されていない。
-
フラッシュ・リカバリ領域(FRA)が構成されている。
停止時間0のアップグレードのカスタマイズ
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのユーザー・アクション・フレームワークを使用して、停止時間0のアップグレードをカスタマイズできます。
表5-3 停止時間0のアップグレードのプラグイン
プラグイン・タイプ | 前または後 | プラグインの実行時期 |
---|---|---|
ZDTUPGRADE_DATABASE |
前 |
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによる停止時間0のアップグレードの開始前。 |
後 |
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによる停止時間0のアップグレードの完了後。 |
|
ZDTUPGRADE_DATABASE_SNAPDB |
前 |
スナップショットまたはフル・クローン・データベースの作成前。 |
後 |
スナップショットまたはフル・クローン・データベースの開始後(ただし、スイッチオーバーの前)。 |
|
ZDTUPGRADE_DATABASE_DBUA |
前 |
DBUAの実行前(スイッチオーバー後)。 |
後 |
DBUAの完了後。 |
|
ZDTUPGRADE_DATABASE_SWITCHBACK |
前 |
ユーザーをアップグレード後のソース・データベースにスイッチバックする前。 |
後 |
ユーザーをアップグレード後のソース・データベースにスイッチバックした後(スナップショットまたはフル・クローン・データベースの削除前)。 |
パッチ適用中の永続的ホーム・パス
更新を適用する場合は、アウトオブプレース・パッチ適用をお薦めします。
アウトオブプレース・パッチ適用では、パッチが適用された環境を新しいディレクトリ・パスにデプロイして、ソフトウェア・ホームをその新しいパスに切り替えます。この方法では、新しいホームのプロビジョニング時に既存のホームがアクティブに保持され、中断なくソフトウェアを配信できるため、切替え後に問題が発生した場合にパッチが適用されていないソフトウェア・ホームを使用でき、ロールバックが容易になります。また、データベースのアウトオブプレース・パッチ適用では、ホームで複数のインスタンスが実行されている場合に、インスタンスのサブセットを新しいホームに移動できますが、インプレース・パッチ適用では、すべてのインスタンスに同時にパッチを適用する必要があります。
従来のアウトオブプレース・パッチ適用の潜在的な悪影響は、ソフトウェア・ホームのパスが変更されることです。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、Oracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureソフトウェアで内部的および透過的にこのことが管理されますが、一部のユーザーがパスに依存するスクリプトを開発しています。これに対処するために、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、サイト固有の構成の変更からゴールド・イメージ・ソフトウェアを分離できるようにするファイル・システム機能が使用されているため、ソフトウェア・ホームのパスはすべての更新で永続的です。
この機能は、ローカル記憶域でプロビジョニングされたOracle Database 12c リリース2 (12.2)およびOracle Grid Infrastructure 12c リリース2 (12.2)の作業用コピーで使用できます。また、この機能を使用しないでOracle Database 12c リリース2 (12.2)またはOracle Grid Infrastructure 12c リリース2 (12.2)ホームをプロビジョニングした場合は、rhpctl move database
またはrhpctl move gihome
コマンドを使用したパッチ適用操作中に、この構成に変換して機能を利用できます。
注意:
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーからの永続的ホーム・パスに基づくホームを持つ、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントのOracle Grid Infrastructureのみにパッチを適用できます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントの管理
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントの管理タスクには、作成、有効化と無効化、ユーザーの作成とそれらのユーザーへのロールの割当ておよびパスワードの管理が含まれます。
SRVCTLおよびRHPCTLを使用すると、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントのすべての管理タスクを実行できます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントの作成
ユーザーは、Oracleホームのデプロイのリクエストやゴールド・イメージの問合せといったタスクを実行するために、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントで操作を行います。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを作成する手順は、次のとおりです。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントの有効化と無効化
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーで、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを有効または無効にできます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントは、すべてのアクションについてフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーと通信します。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーに接続せずにRHPCTLコマンドを実行することはできません。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを有効または無効にするには、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー・クラスタから次のコマンドを実行します。
$ rhpctl modify client -client client_name -enabled TRUE | FALSE
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを有効化するには、-enabled TRUE
と指定します。逆に、クライアントを無効化するには-enabled FALSE
を指定します。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント・クラスタを無効化すると、クライアントを再び有効化しないかぎり、そのクライアント・クラスタからのすべてのRHPCTLコマンドはフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーによって拒否されます。
注意:
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント・クラスタを無効化しても、そのクライアント・クラスタ上の既存の作業用コピーは無効化されません。作業用コピーは引き続き機能し、その作業用コピー内のデータベースも引き続き実行されます。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント・クラスタ・ユーザーのためのユーザーの作成とロールの割当て
rhpctl add client
コマンドを使用してフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを作成した場合は、-maproles
パラメータを使用してユーザーを作成してロールを割り当てることができます。このコマンドで、複数のユーザーをロールに関連付けたり、1ユーザーに複数のロールを割り当てたりすることができます。
クライアントが作成されたら、rhpctl grant role
コマンドを使用してユーザーのロールを追加することも、rhpctl revoke role
コマンドを使用してユーザーのロールを削除することもできます。
ユーザー定義のアクション
イメージのインポート、作業用コピーの追加および削除、ソフトウェア・ホームの追加、削除、移動およびアップグレードなど、様々なフリート・パッチ適用およびプロビジョニングの操作に関するアクションを作成できます。
イメージのインポート、ゴールド・イメージの作業用コピーの追加および削除、ソフトウェア・ホームの追加、削除、移動およびアップグレードなど、様々なフリート・パッチ適用およびプロビジョニングの操作に関するアクションを作成できます。操作ごとに異なるアクションを定義して、操作が適用されるイメージのタイプでさらにそれらを区別できます。ユーザー定義のアクションは、特定の操作の前後で実行でき、操作が実行されるデプロイメント(フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント(12c リリース2 (12.2)以降)、またはフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアントを実行していないターゲット)で実行されます。
ユーザー定義のアクションは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーに格納されるシェル・スクリプトです。スクリプト実行時に、コマンドラインで操作に関連する情報が付与されます。また、スクリプトとファイルを関連付けることができます。フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーにより、スクリプトが実行されるクライアントまたはターゲットの同じ場所にそのファイルがコピーされます。
たとえば、データベースのアップグレード後に実行するユーザー定義のアクションを作成する場合や、Oracle Database 11gと12cで異なるアクションを定義する場合などがあります。この場合、次の手順の例のように、新しいイメージ・タイプを定義する必要があります。
-
次のように、ORACLEDBSOFTWAREイメージ・タイプに基づいて、新しいイメージ・タイプ(たとえば、
DB11IMAGE
)を作成します。$ rhpctl add imagetype -imagetype DB11IMAGE -basetype ORACLEDBSOFTWARE
Oracle Database 11gゴールド・イメージを追加またはインポートするときに、
DB11IMAGE
イメージ・タイプを指定します。 -
ユーザー・アクションを定義して、それを
DB11IMAGE
イメージ・タイプおよびアップグレード操作に関連付けます。アップグレードの前または後で異なるアクションを実行できます。 -
Oracle Database 12cのアクションを定義するには、前の手順のようにORACLEDBSOFTWAREイメージ・タイプに基づく新しいイメージ・タイプ(たとえば、
DB12IMAGE
)を作成しますが、DB12IMAGE
イメージ・タイプを指定します。注意:
ユーザー定義のイメージ・タイプのベース・タイプにユーザー・アクションを定義する場合(このケースでは、ベース・タイプはORACLEDBSOFTWARE)、ユーザー定義のイメージ・タイプのアクションの前に、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによってこれらのアクションが実行されます。
rhpctl modify image
コマンドを使用して、イメージのイメージ・タイプを変更できます。さらに、他のアクションを変更、追加および削除できます。次の、表5-4と表5-5の2つの表は、それぞれ、カスタマイズできる操作と、それらの操作を定義するために使用できるパラメータを示しています。
表5-4 フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのユーザー定義操作
操作 | パラメータ・リスト |
---|---|
IMPORT_IMAGE |
|
ADD_WORKINGCOPY |
|
ADD_DATABASE |
|
DELETE_WORKINGCOPY |
|
DELETE_DATABASE |
|
MOVE_GIHOME |
|
MOVE_DATABASE |
|
UPGRADE_GIHOME |
|
UPGRADE_DATABASE |
|
ADDNODE_DATABASE |
|
DELETENODE_DATABASE |
|
ADDNODE_GIHOME |
|
DELETENODE_GIHOME |
|
ADDNODE_WORKINGCOPY |
|
ZDTUPGRADE_DATABASE |
|
ZDTUPGRADE_DATABASE_SNAPDB |
|
ZDTUPGRADE_DATABASE_DBUA |
|
ZDTUPGRADE_DATABASE_SWITCHBACK |
|
表5-5 ユーザー定義の操作のパラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
RHP_OPTYPE |
前の表に示されている、ユーザー・アクションの実行対象の操作のタイプ。 |
RHP_PHASE |
このパラメータは、ユーザー・アクションが操作の前に実行されるか、後に実行されるかを示します(PREまたはPOST)。 |
RHP_SOURCEWC |
アップグレード操作のパッチ用のソースの作業用コピー名。 |
RHP_SOURCEPATH |
ソースの作業用コピーのホームのパス。 |
RHP_DESTINATIONWC |
パッチまたはアップグレード操作用の宛先の作業用コピー名。 |
RHP_DESTINATIONPATH |
宛先の作業用コピーのホームのパス。 |
RHP_SRCGGWC |
アップグレード元のOracle GoldenGate作業用コピーのバージョンの名前。 |
RHP_SRCGGPATH |
アップグレード元のOracle GoldenGateソフトウェア・ホームのバージョンの絶対パス。 |
RHP_DESTGGWC |
アップグレード先のOracle GoldenGate作業用コピーのバージョンの名前。 |
RHP_DESTGGPATH |
アップグレード先のOracle GoldenGateソフトウェア・ホームのバージョンの絶対パス。 |
RHP_PATH |
これは、ソフトウェア・ホームの場所のパスです。このパラメータは、 |
RHP_PATHOWNER |
インポートされているゴールド・イメージのパスの所有者。 |
RHP_PROGRESSLISTENERHOST |
進捗リスナーがリスニングしているホスト。進捗リスナーのポートとともにこのパラメータを使用してTCP接続を作成し、RHPCTLコマンドが実行されているコンソールに出力を表示できます。 |
RHP_PROGRESSLISTENERPORT |
進捗リスナーがリスニングしているポート。進捗リスナーのホスト名とともにこのパラメータを使用してTCP接続を作成し、RHPCTLコマンドが実行されているコンソールに出力を表示できます。 |
RHP_IMAGE |
操作に関連するイメージ。移動操作の場合は、デスティネーション・イメージの名前が反映されます。 |
RHP_IMAGETYPE |
操作に関連するイメージのイメージ・タイプ。移動操作の場合は、デスティネーション・イメージの名前が反映されます。 |
RHP_VERSION |
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーで実行されているOracle Grid Infrastructureソフトウェアのバージョン。 |
RHP_CLI |
操作を起動するために実行された正確なコマンド。 |
RHP_STORAGETYPE |
ホームの記憶域のタイプ( |
RHP_USER |
操作の実行対象となるユーザー。 |
RHP_NODES |
プロファイルが作成されるノード。 |
RHP_ORACLEBASE |
プロビジョニングしたホームのOracleベースの場所。 |
RHP_DBNAME |
作成するデータベースの名前。 |
RHP_CLIENT |
クライアント・クラスタの名前。 |
RHP_DATAPATCH |
このパラメータは、データベースの移動操作の完了後にSQLパッチが実行されるノードで、ユーザー・アクションの最後にTRUEに設定されます。 |
RHP_USERACTIONDATA |
このパラメータはすべての操作に存在し、実行時に引数としてユーザー定義の項目をユーザー・アクションに渡すために使用されます。 |
ユーザー定義のアクションの例
Apacheデプロイメントのプロビジョニングと管理に使用する、APACHESW
というイメージ・タイプがあるとします。また、apacheinstall
という名前の、Apacheのゴールド・イメージもあるとします。次の例は、Apacheゴールド・イメージのコピーをプロビジョニングする前に実行されるユーザー・アクションを作成する方法を示しています。
以下は、addapache_useraction.sh
という名前のサンプル・ユーザー・アクション・スクリプトです。
$ cat /scratch/apacheadmin/addapache_useraction.sh
#!/bin/sh
#refer to arguments using argument names
touch /tmp/SAMPLEOUT.txt;
for i in "$@"
do
export $i
done
echo "OPTYPE = $RHP_OPTYPE" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "PHASE = $RHP_PHASE" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "WORKINGCOPY = $RHP_WORKINGCOPY" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "PATH = $RHP_PATH" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "STORAGETYPE = $RHP_STORAGETYPE" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "USER = $RHP_USER" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "NODES = $RHP_NODES" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "ORACLEBASE = $RHP_ORACLEBASE" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "DBNAME = $RHP_DBNAME" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "PROGRESSLISTENERHOST = $RHP_PROGRESSLISTENERHOST" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "PROGRESSLISTENERPORT = $RHP_PROGRESSLISTENERPORT" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "IMAGE = $RHP_IMAGE" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "IMAGETYPE = $RHP_IMAGETYPE" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "RHPVERSION = $RHP_VERSION" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "CLI = $RHP_CLI" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
echo "USERACTIONDATA = $RHP_USERACTIONDATA" >> /tmp/SAMPLEOUT.txt;
$
このスクリプトは、rhpctl add workingcopy
コマンドの開始時に実行されるように登録されています。スクリプトが失敗した場合、作業用コピーの追加操作は中止されます。
次のコマンドでは、addapachepreという名前のユーザー・アクションが作成されます。
$ rhpctl add useraction -optype ADD_WORKINGCOPY -pre -onerror ABORT -useraction
addapachepre -actionscript /scratch/apacheadmin/addapache_useraction.sh
-runscope ONENODE
次のコマンドでは、APACHESW
イメージ・タイプにユーザー・アクションが登録されます。
$ rhpctl modify imagetype -imagetype APACHESW -useractions addapachepre
登録されたユーザー・アクションは、次のように、APACHESWタイプのイメージの作業用コピーをデプロイするコマンドの開始時に自動的に呼び出されます。
$ rhpctl add workingcopy -workingcopy apachecopy001 -image apacheinstall
-path /scratch/apacheadmin/apacheinstallloc -sudouser apacheadmin -sudopath
/usr/local/bin/sudo -node targetnode003 -user apacheadmin -useractiondata "sample"
このサンプル・スクリプトにより、出力ファイル/tmp/SAMPLEOUT.txt
が作成されます。例のコマンドに基づいた場合、出力ファイルには次の内容が含まれます。
$ cat /tmp/SAMPLEOUT.txt
OPTYPE = ADD_WORKINGCOPY
PHASE = PRE
WORKINGCOPY = apachecopy001
PATH = /scratch/apacheadmin/apacheinstallloc
STORAGETYPE =
USER = apacheadmin
NODES = targetnode003
ORACLEBASE =
DBNAME =
PROGRESSLISTENERHOST = mds11042003.my.company.com
PROGRESSLISTENERPORT = 58068
IMAGE = apacheinstall
IMAGETYPE = APACHESW
RHPVERSION = 12.2.0.1.0
CLI = rhpctl__add__workingcopy__-image__apacheinstall__-path__/scratch/apacheadmin
/apacheinstallloc__-node__targetnode003__-useractiondata__sample__
-sudopath__/usr/local/bin/sudo__-workingcopy__apachecopy__-user__apacheadmin__
-sudouser__apacheadmin__USERACTIONDATA = sample
$
注意:
-
前述の出力の例では、空の値は等号(
=
)で終了します。 -
RHP_CLI
パラメータのコマンドラインの値にあるスペースは、他のパラメータと区別するために、2つのアンダースコア(__
)に置き換えられます。
操作用のジョブ・スケジューラ
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのジョブ・スケジューラには、コマンドをすぐに実行するのではなくスケジュールされた時間に操作を発行して、ジョブのメタデータを問い合せ、リポジトリからジョブを削除する機能があります。
-
時間値を指定して、特定の時点で実行するコマンドをスケジュールする
-
ジョブを実行し、現在のジョブのステータスとともにジョブのメタデータを格納する
-
実行済または実行中の各ジョブのログを格納する
-
ジョブの詳細(ユーザー・ロールに基づいて、すべてのジョブまたは特定のジョブ)を問い合せる
-
ジョブの削除
-
ユーザーのロールベースのアクセス権に基づいて、ジョブを実行する、問合せる、削除する
-schedule timer_value
コマンド・パラメータを使用して、特定の高速ホーム・プロビジョニング操作をスケジュールします。
-
rhpctl add workingcopy
-
rhpctl import image
-
rhpctl delete image
-
rhpctl add database
-
rhpctl move gihome
-
rhpctl move database
-
rhpctl upgrade database
-
rhpctl addnode database
-
rhpctl deletenode database
-
rhpctl delete workingcopy
$ rhpctl add workingcopy -workingcopy 18_3 -image 18_3_Base -oraclebase /u01/app/oracle -schedule 2016-12-21T19:13:17+05
すべてのコマンドは、ISO-8601値に従ってサーバーのタイムゾーンを基準に実行され、RHPCTLには同じタイムゾーンを指定してコマンド結果が表示されます。
コマンドの結果
RHPCTLは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー上のコマンド・キューから実行されるコマンドを格納します。コマンド識別子を指定してコマンド結果を問い合せると、RHPCTLはジョブ出力ファイルへのパスを結果とともに戻します。
Job Operation
-schedule
パラメータを指定してRHPCTLコマンドを実行すると、一意のジョブIDを持つジョブが作成されます。このIDは、ジョブのステータスを取得する際に問い合せることができます。
ジョブ・ステータス
EXECUTED | TIMER_RUNNING | EXECUTING | UNKNOWN | TERMINATED
-
EXECUTED
: ジョブが完了しました。 -
TIMER_RUNNING
: ジョブのタイマーがまだ実行中です。 -
EXECUTING
: ジョブのタイマーが期限切れであり、実行中です。 -
UNKNOWN
: ターゲットの停止、ノードの停止、リソース障害などの問題が原因で、予期しない障害があります。 -
TERMINATED
: 異常終了が発生しているか、操作が停止しました。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのユース・ケース
以下のトピックでは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してソフトウェアのプロビジョニング、パッチ適用、アップグレードを行うための手順を段階ごとに示します。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングは、ソフトウェア・ライフサイクル管理ソリューションであり、標準運用環境のパッチ適用、プロビジョニングおよびアップグレードを標準化するのに役立ちます。
Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2デプロイメントの作成
現在Gridホームのない2つのノードでOracle Grid Infrastructureをプロビジョニングし、その後、マルチノードのOracle Grid Infrastructureインストールを形成するようにOracle Grid Infrastructureを構成します。
始める前に
Oracle Grid Infrastructureをインストールするための、ストレージ、ネットワーク、ユーザー、グループおよびノード情報の構成詳細を、レスポンス・ファイルに指定してください。レスポンス・ファイルは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー上の任意の場所に格納できます。
Oracle Standalone Cluster、Oracle Application Clusters、Oracle Domain Services ClusterまたはOracle Member Clustersをプロビジョニングできます。レスポンス・ファイルに、必要なクラスタ構成詳細が含まれていることを確認してください。
『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』に記載されているように、ストレージ、ネットワークおよびオペレーティング・システムの要件が構成されていることを確認してください。
手順
Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2は、同じレスポンス・ファイル内の設定に基づいてプロビジョニングされます。
プロビジョニング中にエラーが発生した場合は、プロシージャが停止し、エラーを修正できます。エラーを修正したら、最後に停止した場所からプロビジョニング操作を再開できます。
ビデオを見る
Oracle Databaseホームのプロビジョニングとデータベースの作成
この手順では、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)ソフトウェアをプロビジョニングし、Oracle Databaseインスタンスを作成します。
手順
ビデオを見る
プラガブル・データベースのプロビジョニング
プロビジョニングされたデータベース作業用コピーで実行されている既存のコンテナ・データベース(CDB)にプラガブル・データベース(PDB)をプロビジョニングできます。
rhpctl addpdb database
コマンドを使用してそのCDBにPDBを追加できます。
Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2へのアップグレード
この手順では、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用して、Oracle Grid Infrastructureクラスタを11gリリース2 (11.2.0.4)から12cリリース2 (12.2)にアップグレードします。
始める前に
Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2.0.1)にアップグレードするには、ソースがOracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2.0.3または11.2.0.4)か、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.1.0.2)である必要があります。
ソース・ホームで構成されているグループが宛先ホームのものに一致することを確認してください。
作業用コピーをプロビジョニングするための、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2.0.1)ソフトウェアのイメージGI_HOME_12201
があることを確認してください。
GI_11204
は、アップグレードされるクラスタ上のアクティブなGrid Infrastructureホームです。これは作業用コピーです(この例では、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによってクラスタがプロビジョニングされているため)。フリート・パッチ適用およびプロビジョニングでは、Grid Infrastructureホームが管理対象外のクラスタ(つまり、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによってプロビジョニングされなかったホーム)をアップグレードすることもできます。
手順
Gridホーム・パスを変更しないOracle Grid Infrastructureのパッチ適用
この手順では、Gridホーム・パスを変更せずに、Oracle Grid Infrastructureにパッチを適用する方法について説明します。
始める前に
-
Gridホームを含んだゴールド・イメージがインポートされ、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー上に存在していることを確認してください。
-
path
オプションで指定したディレクトリが既存のディレクトリでないことを確認してください。 -
ソースGridホームは、管理対象のホーム(フリート・パッチ適用およびプロビジョニングによってプロビジョニングされるホーム)である必要があります。これは、Oracleレイヤー・ファイルシステム(OLFS)準拠のホームである必要はありません。
-
Gridホームは、Oracle Grid Infrastructure 12c (12.2.0.1)以降である必要があります。
パッチ適用の手順
Oracle Grid InfrastructureとOracle Databaseの同時パッチ適用
この手順では、クラスタのダウンタイムを発生させずに、クラスタ上のOracle Grid InfrastructureとOracle Databaseに最新のパッチ・レベルを適用します。
始める前に
この手順では、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2.0.1)がターゲット・クラスタ上で実行されています。作業用コピーGI_HOME_12201_WCPY
は、このクラスタ上のアクティブなGridホームです。作業用コピーDB_HOME_12201_WCPY
では、Oracle RAC 12cリリース2 (12.2.0.1)データベースが実行され、データベース・インスタンスdb1
が実行されています。作業用コピーDB_HOME_12102_WCPY
では、Oracle RAC 12cリリース1 (12.1.0.2)データベースが実行され、データベース・インスタンスdb2
が実行されています
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー上で、Oracle Grid InfrastructureとOracle RACデータベースに必要なパッチが、イメージGI_HOME_12201_PSU1
、DB_HOME_12201_PSU1
、DB_HOME_12102_PSU5
に適用されていることを確認してください。
ソース・ホームで構成されているグループは、宛先ホームのものに一致する必要があります。
手順
ダウンタイムを発生させないOracle Database 12cリリース1のパッチ適用
この手順では、データベースをダウンさせずに、Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)に最新のパッチを適用する方法について説明します。
始める前に
最新のパッチ・レベルにパッチ適用するOracle Database db12102
があることを確認してください。
DB12102_PSU
イメージに基づく作業用コピーdb12102_psu
に、最新のパッチが含まれていて、利用可能であることを確認してください。
手順
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーから、データベース上のソースと宛先に応じて、次のいずれかのコマンドを実行します。
すべてのOracle Databaseについて、move database
コマンドでは次の追加オプションも指定できます。
-
-keepplacement
: 管理者によって管理されるOracle RACデータベース(Oracle RAC One Nodeデータベースではありません)のために、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングは移動後もサービスを同じノード上に保持します。 -
-disconnect
: サービスを停止または再配置する前にすべてのセッションを切断します。 -
-drain_timeout
: 計画的なメンテナンス操作のためのリソース排出が完了するまでの許容時間を秒数で指定します。ドレイン期間中は、現在のすべてのクライアント要求は処理されますが、新しい要求は受け入れません。このオプションは、Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降についてのみ使用できます。 -
-stopoption
: データベースを停止します。 -
-nodatapatch
: 移動するデータベースに対してdatapatch
が実行されていないことを確認します。
ビデオを見る
Oracle Database 12cリリース2へのアップグレード
この手順では、管理対象と管理対象外の両方のOracleホームを対象に、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してOracle Database 11g リリース2 (11.2)から12c リリース2へと単一コマンドでOracleデータベースをアップグレードする方法について説明します。
始める前に
-
Oracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)にアップグレードするには、ソース・データベースがOracle Database 11gリリース2 (11.2.0.3または11.2.0.4)か、Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)のいずれかである必要があります。
-
アップグレード前のデータベースが実行されているOracle Grid Infrastructureは、アップグレード先のデータベースのリリース以上である必要があります。
-
アップグレードされるソースOracleホームは、管理対象の作業用コピー(つまり、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してプロビジョニングされたOracleホーム)であっても、管理対象外のホーム(つまり、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してプロビジョニングされなかったOracleホーム)であってもかまいません。管理対象外のOracleホームをアップグレードする場合は、アップグレード用のデータベースの完全パスを指定してください。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してOracle Databaseをアップグレードする手順
注意:
アップグレード中にエラーが発生した場合は、プロシージャが停止し、エラーを修正できます。エラーを修正したら、最後に停止した場所からアップグレード操作を再開できます。ビデオを見る
クラスタへのノード追加とノードに対するOracle RACデータベースのスケーリング
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してノードを追加し、Oracle RACデータベースを新しいノードに拡張することで、ノードを2ノード・クラスタに追加できます。
始める前に
この手順では、Oracle Grid Infrastructure 12c リリース2 (12.2.0.1)がクラスタ上で実行されています。作業用コピーGI_HOME_12202_WCPY
は、このクラスタ上のアクティブなGridホームです。
Oracle RACデータベース・ホームは、作業用コピーDB_HOME_12202_WCPY
で実行されます。
『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』に記載されているように、ストレージ、ネットワークおよびオペレーティング・システムの要件が新規ノード用に構成されていることを確認してください。
手順
ビデオを見る
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング用のゴールド・イメージの追加
ソフトウェア・ホームのゴールド・イメージを作成し、それらをフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーに格納します(後でOracleホームのプロビジョニングに使用します)。
始める前に
ゴールド・イメージの作成に使用されるOracleホームは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバー、フリート・パッチ適用およびプロビジョニング・クライアント、またはフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーが通信できる任意のターゲット・マシンに配置できます。
手順
Oracleホームのゴールド・イメージを次のいずれかの方法で作成し、それらをフリート・パッチ適用およびプロビジョニング・サーバーに格納します。
注意:
イメージをソフトウェア・ホームとして直接使用することはできません。イメージを使用してソフトウェア・ホームの作業用コピーを作成してください。Webサーバーをデプロイするためのユーザー・アクションの作成
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングのユーザー・アクションを使用して、任意のタイプのソフトウェアをインストールし、構成できます。次に示すのは、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用してApache Webサーバーのデプロイメントを自動化するための手順です。