このリリースでのOracle Grid Infrastructureの変更点
Oracle Grid Infrastructureのこの新しいリリースでは、インストール・プロセス、パフォーマンスおよび自動化が向上しました。
Oracle Grid Infrastructureの18cでの変更点
Oracle Grid Infrastructure 18cのOracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドには、次の変更点があります。
新機能
Oracle Grid Infrastructure 18cの新機能
次に、Oracle Clusterware 18cおよびOracle Automatic Storage Management 18cの新機能を示します。
Oracle Grid Infrastructure 18cの新機能
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gridSetupベースの管理
gridSetup.sh
の使用によるゴールド・イメージベースのインストールでは、Oracle Grid Infrastructureをインストールおよび管理するための一元管理されたメカニズムが提供されます。gridSetupベースの管理では、この単純なコマンドで、クローニング、addNode操作、deleteNode操作、およびダウングレードなどの管理タスクを実行できるようになります。 -
共有単一クライアント・アクセス名(SCAN)
SCANにより、データ・センターの専用クラスタと他のクラスタで、一連のSCAN仮想IP(VIP)とリスナー(SCAN設定とも呼ばれる)を共有できます。これにより、同じSCANの設定をクラスタごとにデプロイしなくても済みます。この機能は、SCAN関連のDNSエントリの数を削減するだけでなく、1つのクラスタ構成にデプロイする必要があるVIPの数も削減します。
共有SCANにより、同時に複数のシステムで使用できる共有SCAN設定が提供されるため、データ・センターのクラスタのグループのデプロイメントおよび管理が簡単になります。
詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください
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アプリケーション用のOracleメンバー・クラスタに対する単一ネットワーク・サポート
アプリケーション用のOracleメンバー・クラスタに対する単一ネットワーク・サポートでは、単一のネットワーク接続を持つシステム上のアプリケーション用のOracleメンバー・クラスタのインストールおよび構成が可能になり、プライベート・クラスタ・インターコネクトおよびパブリック・ネットワークに対して異なるネットワーク接続を維持する必要がなくなります。
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NodeVIP-Lessクラスタ
NodeVIP-Lessクラスタにより、クラスタ内のノードごとに追加のIPを用意する必要がなくなることで、クラスタのデプロイメントおよび管理が簡単になります。
NodeVIP-Lessクラスタ・デプロイメントは、本番ではない揮発性の環境で使用するために用意されています。フェイルオーバー管理の簡略化よりも、デプロイメントの容易さのほうが重要な環境だからです。
詳細は、Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイドを参照してください
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Oracleソフトウェアの高速ホーム・プロビジョニング
高速ホーム・プロビジョニングでは、クラスタの作成と、Oracle Grid Infrastructure、Oracle RestartおよびOracle Databaseのホームのプロビジョニング、パッチ適用およびアップグレードができます。
高速ホーム・プロビジョニングでは、ゴールド・イメージ・ソフトウェアをサイト固有の構成変更と分ける新しいファイル・システム機能を利用します。このように分けることにより、更新後もホーム・パスは変わりません。この機能により、インプレース・パッチ適用とアウトオブプレース・パッチ適用の利点を組み合せることができます。この機能は、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以降で使用可能です。
詳細は、高速ホーム・プロビジョニングおよびメンテナンスを使用したOracle Grid Infrastructureのデプロイについてを参照してください
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Oracle Grid Infrastructureにパッチを適用するためのローカル・スイッチ・ホーム・コマンド
Oracle Grid Infrastructure 18c以降、Oracle Grid Infrastructureホームには組込みツール
rhpctl
が含まれており、これを使用すると現在のOracle Grid Infrastructureホームからパッチ適用済のOracle Grid Infrastructureホームに切り替えることができます。したがって、既存のホームをクローニングするのではなく、ゴールド・イメージとして新しいホームをプロビジョニングできます。この単一の
rhpctl
コマンドを使用すると、操作をロールバックする場合に、新しいホームから前のホームに切り替えることもできます。rhpctl
は、ホームを切り替えるすべてのステップを実行します。また、セッション管理を使用してクラスタ内の個々のノードまたはノード・セットのローリングまたは非ローリングのオプションも提供します。詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください
Oracle Automatic Storage Management 18cの新機能
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メンバー・クラスタの記憶域変換
ASMCMDコマンドを使用してメンバー・クラスタの構成を管理できます。たとえば、ストレージ方法を直接Oracle ASMから間接Oracle ASMに変更することや、間接Oracle ASMから直接Oracle ASMに変更することができます。
詳細は、Oracleメンバー・クラスタについてとOracle Automatic Storage Management管理者ガイドを参照してください
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Oracle ACFSレプリケーションの拡張
Oracle ACFSレプリケーションでは、レプリケーション・ロール・リバーサル機能が提供され、レプリケーションに関与する記憶域の場所としてOracle ACFSスナップショットを指定できます。Oracle ACFSレプリケーションでは、レプリケーション・ロール・リバーサル機能が提供されます。この機能により、元のプライマリおよびスタンバイの場所のロールを逆にすることができます。
acfsutil
repl
reverse
コマンドを使用すると、元のプライマリを新しいスタンバイに、および元のスタンバイを新しいプライマリに変更できます。ロール・リバーサル機能により、追加の障害回復機能を提供するようにレプリケーションが拡張されます。Oracle ACFSスナップショットをレプリケーションのプライマリまたはスタンバイの場所として指定することで、マウントされたファイルシステム、またはマウントされたファイルシステムのスナップショットをレプリケートすることを選択できます。
データベースの障害回復には、Oracle Data GuardおよびOracle Golden Gateをお薦めします。Oracle ASM18cおよびOracle ASM12cリリース2 (12.2)では、障害回復と、テストおよび開発環境の定期的なリフレッシュのためにOracle ACFSレプリケーションをOracle Standard Editionとともに使用できます。
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Oracle ACFSファイル・システムのサイズの縮小
acfsutil
size
コマンドを使用すると、このコマンドがアクションの完了のためにユーザー・データまたはメタデータを内部的に移動する必要があるかどうかに関係なく、ファイル・システムのサイズを縮小できます。 -
クラスタ・ドメイン内のOracle ACFSのサポートの拡張
ローカル記憶域が接続されたOracleメンバー・クラスタのサポートに加えて、Oracle ACFSでは、ローカル記憶域が接続されていないメンバー・クラスタ(間接記憶域メンバー・クラスタ)上のネイティブOracle ACFS機能のためにOracle ACFSリモート・サービスが提供されます。Oracleドメイン・サービス・クラスタ(DSC)上のOracle ACFSデプロイメントを利用することで、アプリケーションおよびデータベースの柔軟なファイル・システム・ベースのデプロイメントを可能にするために、Oracle ACFSリモート・サービスを、Oracle Application Clusterおよびデータベース・メンバー・クラスタの両方で使用できます。NFSベースのエクスポートとは異なり、Oracle ACFSリモート・サービスでは、宛先メンバー・クラスタ上での、レプリケーション、スナップショットおよびタグ付けなどの高度なOracle ACFS機能が十分にサポートされています。
詳細は、Oracleメンバー・クラスタについてを参照してください。
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Oracle ACFSの記憶域の使用状況に関する追加情報表示
acfsutil
info
storage
コマンドを使用すると、Oracle ASMディスク・グループ内の領域がOracle ASM、Oracle ACFSおよびOracle ADVMのコンポーネントによってどのように使用されているかを示す、プラットフォームに依存しないビューを表示できます。 -
Oracle ACFSのスナップショット・コマンドの拡張
Oracle ACFSスナップショットの管理を向上させるために、Oracle ACFSの
acfsutil
コマンドが更新されました。-
acfsutil
snap
link
コマンドを使用すると、スナップショット・リンクを作成または削除できます。スナップショット・リンクにより、.ACFS/snaps
ディレクトリ(スナップショットが作成されるデフォルトの場所)を含まない代替パスを使用して、スナップショットの内容にアクセスできます。 -
acfsutil
snap
dup
apply
コマンドには、生成されたバックアップ・スナップショットの名前を指定するための—B
オプションが用意されています。
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Oracle ACFSファイル・システムでの変更の一時凍結
acfsutil
freeze
コマンドおよびacfsutil
thaw
コマンドを使用すると、Oracle ACFSファイル・システムでの変更処理を一時的に停止および再開できます。acfsutil
freeze
コマンドを使用すると、アプリケーションを停止せずに、様々なスナップショット間で特定時点のイメージを作成できます。ノード間通信により、必ずすべてのノードで凍結操作が実行されます。凍結中は、各ノードで、指定したファイル・システム上のすべての変更操作が停止され、ユーザー・データおよびメタデータがフラッシュされ、それらのデータがディスクにコミットされ、操作が完了すると確認されます。 -
Oracle ACFSの診断コマンドの拡張
acfsutil
meta
やacfsutil
tune
などのOracle ACFS診断コマンドは、Oracle ACFSシステム・メタデータ・コレクションの診断管理を改善するためと、Oracle ACFSパラメータを調整するために更新されました。 -
マウント制限なしでのフレックス・ディスク・グループへの標準または高冗長ディスク・グループの変換
制限的なマウント(
MOUNTED
RESTRICTED
)オプションを使用せずに、従来のディスク・グループ(Oracle ASMリリース18cより前に作成されたディスク・グループ)をOracle ASMフレックス・ディスク・グループに変換できます。
詳細は、 Oracle Automatic Storage Management管理者ガイドを参照してください
非推奨となった機能
Oracle Grid Infrastructure 18cで非推奨となった機能。
次の機能は今回のリリースで非推奨となり、今後のリリースではサポートされない可能性があります。このリリースの非推奨となった機能の完全なリストは、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。
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フレックス・クラスタ(ハブ/リーフ)のアーキテクチャ
Oracle Database18c以降では、リーフ・ノードはOracle Flex Clusterアーキテクチャの一部として非推奨になっています。障害発生時に再構成の時間を短縮するために、Oracle Clusterwareスタックを継続的に改善することで、オンプレミスまたはクラウドで顧客のニーズを満たすクラスタの実装にリーフ・ノードは不要になりました。