『Oracle Spatial and Graph GeoRaster開発者ガイド』のこのリリースでの変更点

ここでは、次の項目について説明します。

Oracle Database 18.1での変更点

次に、Oracle Database 18.1のOracle Spatial and Graph GeoRaster開発者ガイドでの変更点を示します。

新しいSDO_GEOR_GDALパッケージ

新しいSDO_GEOR_GDAL PL/SQLパッケージは、GDALの一部をOracleデータベース・サーバーに統合します。サーバー側のラスター・データのロード、エクスポート、データベース内地形分析および視覚化機能を提供します。また、GDAL APIにより、C/C++プラグインの開発が可能になり、簡素化されます。

このパッケージの説明とそのサブプログラムのリファレンス情報は、SDO_GEOR_GDALパッケージのリファレンスを参照してください。

GeoRaster PL/SQL APIの変更点

次の変更は、GeoRaster PL/SQLサブプログラムに関連しています。

  • いくつかのサブプログラムには、オンザフライ・イメージ処理および視覚化をサポートするために、出力としてBLOBを使用する新しい形式があります(SDO_GEOR_IP.equalizeSDO_GEOR_IP.filterSDO_GEOR_IP.normalizeSDO_GEOR_IP.piecewiseStretchSDO_GEOR_IP.stretch)。

  • SDO_GEOR_IP.dodgeの新しい形式によって、イメージが参照イメージに覆い焼きされます。

  • 新しいSDO_GEOR_AGGR.getMosaicStatisticsプロシージャによって、仮想モザイクの統計およびヒストグラムが生成されます。

  • SDO_GEOR.getRasterSubsetの新しいパイプライン・テーブル・ファンクションによって、セル値の表が返され、ユーザーはSQL分析を簡単に利用できます。

GeoRaster Java APIの変更点

次の変更は、GeoRaster Java APIに関連しています。

  • 新しいPL/SQLファンクションおよびプロシージャに関してJava APIが追加されます(SDO_GEOR_GDALパッケージを除く)。

  • 新しいグローバル・イメージ処理ファンクションがJava APIに追加されます(自動線形ストレッチ、手動線形ストレッチ、区分ストレッチ、正規化、均等化)。これらのファンクションによって、GeoRasterオブジェクトの統計に基づくイメージ処理が可能になり、大規模イメージおよび仮想モザイクの一貫性のある視覚化の拡張が実現されます。

    GeoRasterビューアが、Java APIでグローバル・イメージ処理の新しいセットを使用するように拡張されます。

GeoRaster Java APIのリファレンス情報は、Oracle Spatial and Graph Java APIリファレンスに記載されています。

外部JPEG2000イメージ・ファイルに対する4GBの制限の削除

外部JPEG2000イメージ・ファイルに対する4GBのサイズ制限が削除されるため、このような大規模なJPEG2000イメージを解凍せずにデータベースに直接ロードできます。

大文字と小文字が混在したユーザー名およびスキーマ名のサポート

大文字と小文字が混在したユーザー名およびスキーマ名の使用が、GeoRasterでサポートされます。

Oracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)での変更点

次に、Oracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)の『Oracle Spatial and Graph GeoRaster開発者ガイド』での変更点を示します。

ネイティブJPEG 2000圧縮

GeoRasterをJPEG 2000圧縮でネイティブに格納できるようになりました(「GeoRasterオブジェクトのJPEG 2000圧縮」を参照)。GDALを使用して解凍あり/なしでJPEG 2000ファイルをロードおよびエクスポートできます(「解凍しないJPEGおよびJPEG 2000イメージのロード」を参照)。

GeoRasterには、JPEG 2000圧縮および解凍のための新しい2つのプロシージャ(SDO_GEOR.compressJP2およびSDO_GEOR.decompressJP2)が含まれています。ほとんどのGeoRasterファンクションは、SDO_GEOR.getRasterSubsetSDO_GEOR.subsetSDO_GEOR.rectify、大規模なモザイク処理、仮想モザイクおよびラスター代数などの主要な操作を含むJP2圧縮したGeoRasterオブジェクトの読取りまたは書込みをサポートします。

新しいイメージ処理機能

モザイク処理では、新しいカラー・バランス・メソッド(参照イメージの使用または自動検出の重複する領域の使用による統計一致およびヒストグラム一致)をサポートします(「モザイク処理中のカラー・バランス」および「SDO_GEOR_AGGR.mosaicSubset」のmosaicParamキーワード表のcolorBalanceSTATISTICMATCHINGおよびHISTOGRAMMATCHING値を参照)。モザイク処理のピクセルの8個の重複するGeoRasterオブジェクトの以前の制限はなくなりました。

GeoRasterには、線形ストレッチ、区分ストレッチ、均等化、正規化、ヒストグラム一致、覆い焼きおよびフィルタ処理をサポートする新しいイメージ処理パッケージのSDO_GEOR_IPが含まれています。このパッケージのサブプログラムの詳細は、「SDO_GEOR_IPパッケージのリファレンス」を参照してください。

GeoRasterは、ワーピング(「イメージのワーピング」および「SDO_GEOR.warp」を参照)およびアファイン変換(「SDO_GEOR.affineTransform」を参照)もサポートします。

すべての新しいファンクションがパラレル化されます。

新しいラスター代数機能

GeoRasterでは、conditionalExpr(IF-THEN-ELSE)、^(XOR)、%(MODULO)、POWERFACTORIALおよびローカル統計演算子を含む25を超える新しい演算子をラスター代数言語に追加します。

GeoRasterでは、新しいラスター代数ファンクション(スタック統計分析を実行するSDO_GEOR_RA.stackおよび論理演算を実行するSDO_GEOR_RA.diffSDO_GEOR_RA.over)を提供します。

単一のラスター代数操作の8個のGeoRasterオブジェクトの以前の制限はなくなりました。

新しいコア・サブプログラムおよび拡張機能

次のいくつかの新しいコア・ファンクションおよび拡張機能が提供されます。

Java API、クライアント側のビューアおよびETL拡張機能

すべてのリリース12.2のサーバー側の新しいファンクションおよびプロシージャは、GeoRaster Java APIでサポートされます。詳細は、『Oracle Spatial and Graph Java APIリファレンス』を参照してください。

GeoRasterは、高速な統合を可能にし、高度な視覚化アプリケーションをサポートする新しい仮想モザイクJava APIも提供します。詳細は、『Oracle Spatial and Graph Java APIリファレンス』を参照してください。

GeoRaster ETLおよびビューアは、デプロイメントおよび使用を簡潔にするため、1つのツールに統合されます。ビューアの仮想モザイク表示が大幅に拡張されています。GeoRasterツールでは、GeoRaster表の作成、ピラミッドの生成、デモンストレーション目的のイメージの幾何補正などの一部のPL/SQLタスクを自動化する新しいGUIを提供します。

また、GDALはOracle Spatial and Graphとともに配布されます。「Spatial and GraphインストールからのGDALの使用」を参照してください。

Web Coverage Service (WCS) 2.0.1サポート

WMS以外に、GeoRasterは、Open Geospatial Consortium (OGC) Web Coverage Services (WCS)をサポートします。WCSを使用してデータベースのGeoRasterオブジェクトを公開できます。ユーザーは、サブセット化、再投影および多数のファイル形式のサポートを含めてWeb経由でラスター・データを取得できます。(GeoRaster Spatial Web Servicesを参照)

SDO_GEOR_IPパッケージ

SDO_GEOR_IPパッケージには、GeoRasterオブジェクトの一部のイメージ処理操作を実行するためのサブプログラムが含まれています。サブプログラムのリファレンスおよび使用情報は、「SDO_GEOR_IPパッケージのリファレンス」を参照してください。

Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)での変更点

次に、Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)の『Oracle Spatial and Graph GeoRaster開発者ガイド』での変更点を示します。

GeoRasterをデフォルトで有効にしない

Oracle Spatial and Graphの最初のインストール後、デフォルトではGeoRaster機能が無効になっています。GeoRasterを有効にするには、次のステップに従います。

  1. SYS AS SYSDBAとしてデータベースに接続します。

  2. 次の文を入力します。

    EXECUTE MDSYS.enableGeoRaster;
    

詳細は、『Oracle Spatial and Graph開発者ガイド』のインストールまたはアップグレード後にGeoRasterが正しく動作するための確認事項に関する項を参照してください。

JAVA APIによるリリース12cのすべての新機能のサポート

GeoRasterのJava APIが更新され、リリース12.1の新しいパッケージ、ファンクション、プロシージャ、その他の機能がすべてサポートされます。これにはラスター代数、高度なイメージ処理、リレーショナルRDT表および新しいメタデータが含まれます。GeoRasterのJava APIについては、Oracle Spatial and Graph Java APIリファレンスに記載されています。

サード・パーティのプラグインのインストールの変更

LizardTechプラグインをインストールする前に、インストール準備のいくつかのステップに従う必要があります。詳細は、「圧縮に使用するサード・パーティのプラグイン」を参照してください。

GDALベースのETLツールの強化

GDALベースのETLツールのユーザー・インタフェースが強化され、操作性が向上して新しいロード・オプションが追加されました。これは最新のGDALバージョンでも更新されます。詳細は、最新のユーザーズ・ガイド($ORACLE_HOME/md/demo/georaster/tool/georaster_etl_user_guide.pdf)を参照してください。

SDO_GEOR_AGGRパッケージの強化

SDO_GEOR_AGGR.mosaicSubsetおよびSDO_GEOR_AGGR.getMosaicSubsetプロシージャでは、mosaicParamパラメータで解像度フィルタの使用を制御する新しいresFilterキーワードを使用できます。また、HIGHREScommonPointRuleキーワードの新しいオプションで、モザイクの重複するエリアにおいて最も解像度の高い画像を選択します。これらのキーワードについては、表9-1を参照してください。

リリース12.1.0.2の他の変更

このマニュアルでは、次のような変更があります。

Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)での変更点

次に、Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)の『Oracle Spatial and Graph GeoRaster開発者ガイド』での変更点を示します。

新機能

このリリースの新機能は次のとおりです。

ラスター代数および分析

このリリースでは、ユーザーが簡単にラスター・データに代数ファンクションを適用して新しい結果を導出できるように、ラスター・データ分析やGISモデリングで使用して、ラスター分析を代数式として定義するためのラスター代数および分析がサポートされます。詳細は、「ラスター代数および分析」を参照してください。

ラスター代数および分析のサポートには、次のものが含まれます。

高度なイメージ処理および仮想モザイク

このリリースでは、高度なイメージ処理および仮想モザイクがサポートされます。詳細は、「イメージ処理および仮想モザイク」を参照してください。

高度なイメージ処理および仮想モザイクのサポートには、次のものが含まれます。

GeoRasterのコア機能の拡張

このリリースには、GeoRasterのコア機能に対する次の拡張が含まれます。

  • モザイク処理、ピラミッド化、すべてのラスター代数ファンクションおよびプロシージャに追加された、パフォーマンスが大幅に向上するパラレル処理機能(「GeoRasterでのパラレル処理」を参照)

  • 多くの新しいサブプログラムに追加された操作の進行状況レポートと、その目的で追加された多くの新しいユーティリティ・プロシージャおよびファンクション(「GeoRasterでの操作の進行状況のレポート」を参照)

  • 追加のラスター・データ記憶域としてのリレーショナルRDT表のサポート(「ラスター・データ表」を参照)

  • メタデータにデフォルトのアルファ・チャネルおよびピラミッド・レベルを指定する機能(「GeoRasterメタデータのXMLスキーマ」で定義)

  • グリッドの任意の点にセル値を内挿する新しい共2次内挿法(イメージ操作やピラミッド化の新しいリサンプリング・タイプとしても追加された共2次内挿法(「リサンプリングおよび内挿」を参照))

  • ファイルからインポートされた不明な、または外部のピラミッド・リサンプリング・タイプを示すために追加されたOTHERリサンプリング・タイプ(「リサンプリングおよび内挿」を参照)

  • ピラミッド化、再投影およびスケール変更の大幅なパフォーマンス向上

その他の新しいサーバー側サブプログラムおよび機能

追加された他の新しいサーバー側サブプログラムおよび機能は次のとおりです。

追加および強化されたクライアント側ツールとJava API

次のクライアント側ツールとJava API機能が追加または強化されました。

SDO_GEOR_AGGRパッケージ

新しいSDO_GEOR_AGGRパッケージには、仮想モザイク、大規模な物理モザイク処理、およびGeoRasterオブジェクトに対する追加操作をサポートするサブプログラムが含まれます。サブプログラムのリファレンスおよび使用情報は、「SDO_GEOR_AGGRパッケージのリファレンス」を参照してください。

SDO_GEOR_RAパッケージ

新しいSDO_GEOR_RAパッケージには、GeoRasterに関連するラスター代数および分析操作のためのサブプログラムが含まれます。サブプログラムのリファレンスおよび使用情報は、「SDO_GEOR_RAパッケージのリファレンス」を参照してください。

非推奨となった機能

次の機能は、このリリースで非推奨となりました(将来のリリースではサポートされなくなる予定です)。

その他の変更

このリリースでの追加変更は次のとおりです。

  • 新しい「ラスター代数および分析」では、ラスター代数言語(PL/SQL式と代数式)および関連するラスター操作(条件付き問合せ、セル値ベースの更新または編集、数学的操作、分類、オンザフライ統計分析、地図的モデリングでのそれらの適用など)について説明します。

  • 新しい「イメージ処理および仮想モザイク」では、高度な地理参照、再投影、幾何補正、オルソ補正、ラスター更新、ラスター追加、大規模な物理モザイク処理、仮想モザイク、仮想モザイクに対するオンザフライ空間問合せなどの高度なイメージ処理機能について説明します。