12.3 OJDSのコマンドライン・ツール

拡張されたojvmjavaコマンドを使用すると、OJDSを操作および参照できます。この項では、次のコマンドについて説明します。

12.3.1 lsコマンド

lsコマンドは、コンテキストの内容を表示します。

構文

ls [options] [context1] [context2] [obj|context]...

オプション

次の表で、lsコマンドのオプションについて説明します。

オプション 説明

Context obj

一覧表示するコンテキストまたはオブジェクトの名前を指定します。

-l

名前、作成時刻、所有者、権限などを含む長い形式でコンテンツを表示します。オブジェクトのクラスを表示します。

dir

UNIXのls –dコマンドと同様に、コンテキストのみを表示します。

ldir

–lコマンドのように長い形式でコンテンツを表示しますが、UNIXの–ldと同様にバインドされたオブジェクトを無視します。

R

子コンテキスト全体を再帰的に一覧表示します。

次のコマンドは、ルート・コンテキストの内容を短い形式で表示します。

$ ls /

etc/      public/

次のコマンドは、ルート・コンテキストの内容を長い形式で表示します。

$ ls -l
Read      Write    Exec        Owner    Date       Time      Type       Name
PUBLIC    SYS      PUBLIC      SYS      Dec 14     14:59     Context    etc
PUBLIC    PUBLIC   PUBLIC      SYS      Dec 14     14:59     Context    public

12.3.2 cdコマンド

cdコマンドは、作業コンテキストを変更します。このコマンドは、UNIXのcdコマンドと同様に、ディレクトリを変更します。

次のコマンドは、コンテキストをルート・コンテキストに変更します。

$ cd /

12.3.3 pwdコマンド

pwdコマンドは、現行作業コンテキストを一覧表示します。

現行コンテキストが/test/alphaの場合、pwdコマンドの出力は次のようになります。

$ pwd

/test/alpha/

12.3.4 chownコマンド

chownコマンドは、コンテキストまたはオブジェクトの所有権を変更します。

注意:

コンテキストまたはオブジェクトの所有権を変更できるのは、SYSユーザーのみです。

構文

chown [options] {user | role} <object name>

オプション

次の表で、chownコマンドのオプションについて説明します。

オプション 説明

User role

所有者になるユーザーまたはロールの名前を指定します。

<object name>

変更するコンテキストまたはオブジェクトの名前を指定します。

-R

次のものの所有権を再帰的に変更します。

  • コンテキスト

  • コンテキスト内のすべてのサブコンテキスト

  • コンテキストおよびサブコンテキストに含まれるすべてのオブジェクト

次のコマンドは、HR/alpha/beta/gammaコマンドの所有者にします。

$ chown HR /alpha/beta/gamma

12.3.5 mkdirコマンド

mkdirコマンドは、指定した名前でコンテキストを作成します。

注意:

新規のコンテキストを作成するには、ターゲット・コンテキストに対する書込み許可を持っている必要があります。

オプション

次の表で、mkdirコマンドのオプションについて説明します。

オプション 説明

<name>

作成するコンテキストの名前を指定します。

-path | -p

中間コンテキストが存在しない場合は作成します。

次のコマンドは、/testコンテキストがすでに存在する場合に、/test/alphaというコンテキストを作成します。

mkdir /test/alpha

次のコマンドは、/test/alpha/betaコンテキストが存在しない場合に、/test/alpha/beta/gammaというコンテキストを作成します。

$ mkdir -path /test/alpha/beta/gamma

12.3.6 rmコマンド

rmコマンドは、UNIXシェル・コマンドのrmと同様です。このコマンドは、オブジェクトまたはコンテキストを、その内容も含めて削除します。

注意:

オブジェクトを削除するには、そのオブジェクトを含むコンテキストに対する書込み権限が必要です。

オプション

次の表で、rmコマンドのオプションについて説明します。

オプション 説明

<Object>

削除するコンテキストまたはオブジェクトの名前を指定します。

-recurse | -r

コンテキストを仮定し、コンテキストとその内容を再帰的に削除します。

次のコマンドは、オブジェクト/test/bankを削除します。

rm /test/bank

次のコマンドは、コンテキスト/test/release3とその内容を削除します。

rm -r /test/release3

12.3.7 lnコマンド

lnコマンドは、UNIXのlnコマンドと同様です。リンクとは、コンテキストまたはオブジェクトのシノニムのことです。コンテキストまたはオブジェクトを移動すると、コンテキストまたはオブジェクトへの参照が無効になることがあります。lnコマンドは、古い名前でリンクを作成し、古い名前と新しい名前の両方でオブジェクトにアクセスできるようにします。

構文

ln [-symbolic | -s] <object> <link>

オプション

次の表で、lnコマンドのオプションについて説明します。

オプション 説明

-s

<link>への<object>のソフト・リンクを作成します。

<object>

コンテキストまたはオブジェクトの名前を指定します。

<link>

コンテキストまたはオブジェクトをリンクする先のシノニムの名前を指定します。

次のコマンドは、オブジェクト名がnewに変更された後も、oldオブジェクトへのアクセスを保持します。

$ mv old new
$ ln new old

12.3.8 mvコマンド

mvコマンドは、コンテキストまたはオブジェクトの名前を新しい名前に変更(または古い名前を再バインド)します。

構文

mv <old> <new>

次のコマンドは、コンテキスト/test/fooの名前を/test/barに変更します。

$ mv /test/foo /test/bar

12.3.9 chmodコマンド

chmodコマンドは、UNIXシェル・コマンドのchmodと同様です。このコマンドは、コンテキストまたはオブジェクトに対するユーザーまたはロールの権限を変更します。

注意:

オブジェクトに対する権限を変更できるのは、SYSユーザーまたはオブジェクト所有者のみです。

構文

chmod [options] {+|-} {r|w|x} {<user> | <role>, ...} <objectname>

オプション

次の表で、chmodコマンドのオプションについて説明します。

オプション 説明

+/-rwx

読取り、書込みまたは実行の権限を追加(+)または削除(-)します。

<user> | <role>

追加または削除する権限を所有するユーザーまたはロール

<objectname>

権限を変更するコンテキストまたはオブジェクト

-R

権限を再帰的に変更します。

次の例では、/alpha/beta/gammaコンテキストの権限をHRおよびNANCYに変更します。

$ chmod +x HR,NANCY /alpha/beta/gamma

注意:

複数のスキーマはカンマでのみ区切ります。

次の例では、/alpha/beta/gammaコンテキストでのHRの書込み権限を削除します。

$ chmod -w HR /alpha/beta/gamma

関連トピック

12.3.10 bindコマンド

bindコマンドは、オブジェクト参照またはコンテキストをJNDIネームスペースにバインドします。

構文

bind <objectname> [options] [-context] [-rebind] {-class | -c <classname>} [-factory | -f <factory>] [-location | -l <URL>][-string <type_name>

<string_value> [-string <type_name> <string_value> ...]] [-binary <type_name> <string_value> [-binary <type_name> <string_value> ...]]

オプション

次の表で、bindコマンドのオプションについて説明します。

オプション 説明

<objectname>

バインド先のオブジェクトの名前

-context

バインドするオブジェクトは、ContextまたはInitialContextです。

-rebind

JNDI名がすでに存在する場合、そのバインド先のオブジェクトをこのオブジェクトで置換します。

-class <classname>

バインドされるオブジェクトのクラス名を指定します。

-factory <factory>

オブジェクトを作成するためのファクトリ・クラス名を指定します。JNDIでは、オブジェクトを作成する際にこれが使用されます。

-location <URL>

デフォルトの場所を使用しない場合、ファクトリの場所を指定します。これにはJNDI URLが使用されます。

-string <type_name> <string_value>

オブジェクトの文字列参照属性をタイプ名および値で指定します。

-binary <type_name> <string_value>

オブジェクトのバイナリ参照属性をタイプおよびバイナリ値で指定します。指定された16進文字列値は、バイナリに変換されます。

次のコマンドは、オブジェクト参照をネームスペースにバインドします。文字列およびバイナリ属性が参照に提供されます。

bind /tmp/myprinter  -class gen.Inkjet  -factory gen.InkjetFactory  -string PRINTERNAME co2  -binary DPI  0X12C

12.3.11 binddsコマンド

このコマンドは、DataSourceオブジェクトをJNDIネームスペースにバインドします。このコマンドは、指定されたオプションに応じて、汎用データ・ソース、XAデータ・ソースまたはプールされたデータ・ソースをバインドします。

注意:

Oracle JVMでは、kprbドライバおよびThinドライバのみがサポートされています。

構文

bindds <object_name> [options] [-help | -h] [-describe | -d] [-version | -v] [-dstype <datasource>]

[-host <hostname> -port <portnum> -sid <SID> -driver <driver_type>] [-url <db_url>]

[-g | -grant {<user> | <role>} [,{<user> | <role>}]...] [-recursiveGrant | -rg {<user> |<role>}

[,{<user> | <role>}]...] [-rebind] [-user | -u <user>]

オプション

次の表で、binddsコマンドのオプションについて説明します。

オプション 説明

<objectname>

オブジェクトをバインドする名前を指定します。

-help

ヘルプ・メッセージを指定します。

-describe

ツール操作を要約します。

-version

バージョン番号を指定します。

-dstype <type>

次のいずれかのタイプから、データ・ソース・タイプを指定します。

  • なし(OracleDataDourceの場合)

  • xa (OracleXADatasourceの場合)

  • pool (OracleConnectionPoolDataSourceの場合)

-host <hostname> -port <portnum> -sid <SID> -driver <drv_type>

データベースの場所、およびデータベースに接続するためのドライバ・タイプを指定します。あるいは、-urlオプション内でこの情報をURL形式で指定することもできます。-sidオプションのデフォルト値は、ORCLです。-driverオプションの値は、thinociまたはkprbです。

-url <db_url>

このJDBC URLは、データベースの場所を指定します。

-grant <user|role>, <user|role>…

読取り権限および実行権限を<user>名と<role>名のシーケンスに付与します。再バインドする際には、読取り権限または実行権限を持つ既存のユーザーまたはロールを<user>名および<role>名で置き換えます。

-recursiveGrant <user|role>, <user|role>….

指定されたオブジェクトおよびオブジェクトが存在するすべてのコンテキストに、読取り許可および実行許可を再帰的に付与します。コンテキストの許可レベルがSYSの場合、そのコンテキストに対する付与は無視されます。

-rebind

DataSourceオブジェクトがすでに存在する場合、このオプションを指定して、既存のデータ・ソースをこの新しいオブジェクトで上書きする必要があります。そうしない場合、このオプションでバインドは実行されません。

-user <user>

データベースに接続するためのユーザー名を指定します。ユーザー名をDataSourceオブジェクト内に格納します。データベース接続の作成時にJNDIコンテキスト内でユーザー名を指定しない場合は、このユーザー名が使用されます。

次の例では、ds1データ・ソースがネームスペースにバインドされます。

bindds /test/ds1 -host localhost -port 1522 -sid orcl -driver thin
bindds /test/ds1 -url jdbc:oracle:thin:@localhost:1522:orcl

この例では、汎用データ・ソース(OracleDataSource)に対してJDBC Thinドライバを使用します。

12.3.12 bindurlコマンド

bindurlコマンドは、URLオブジェクトをネームスペースにバインドします。

オプション

次の表で、bindurlコマンドのオプションについて説明します。

オプション 説明

<objectname>

バインド先のオブジェクトの名前を指定します。

-help

ヘルプ・メッセージを指定します。

-describe

ツール操作を要約します。

-version

bindurlコマンドのバージョンを出力します。

-rebind

JNDI名がすでに存在する場合、このオプションを指定して、既存のJNDI名をこの新しいオブジェクトで上書きする必要があります。そうしない場合、このオプションでバインドは実行されません。

-grant <user|role>, <user|role>…

読取り権限および実行権限を<user>名と<role>名のシーケンスに付与します。再バインドする際には、読取り権限または実行権限を持つ既存のユーザーまたはロールを<user>名および<role>名で置き換えることができます。

-recursiveGrant <user|role>, <user|role>...

指定されたオブジェクトおよびオブジェクトが存在するすべてのコンテキストに、読取り許可および実行許可を再帰的に付与します。コンテキストの許可レベルがSYSの場合、そのコンテキストに対する付与は無視されます。

次の例では、URL文字列http://www.oracle.comがネームスペース内のURL参照/test/myURLにバインドされます。

bindurl /test/myURL http://www.oracle.com -rebind

-rebindオプションを使用して、/test/myURL参照がすでに存在しているかどうかを確認し、存在していれば文字列http://www.oracle.comで再バインドされます。