1 Oracle Databaseリリース18cの新機能

この章では、Oracle Databaseリリース18cのすべての新機能を説明します。

アプリケーション開発

APEX

Application Express5.1: 新規および更新済パッケージ・アプリケーション

Oracle Application Expressリリース5.1の新しい生産性アプリケーションは、次のとおりです。

  • 競合分析 - 多くのユーザーが同時に編集できる対照比較を作成します。これらの比較は、集計されたグラフ形式で、またはより詳細なテキスト形式でスコアを付けて表示できます。
  • クイックSQL - マークダウンのような形式のテキストに基づいてリレーショナルSQLデータ・モデルを生成するための、迅速かつ直感的な方法を提供します。さらに、このアプリケーションには、トリガー、APIおよび履歴表の生成など、SQLを生成するための多くのオプションが用意されています。
  • RESTクライアント・アシスタント - 開発者がApplication Expressワークスペースおよびパブリック・サービスの両方で定義されたRESTfulなサービスにアクセスできるようにします。このアプリケーションは、サービス応答データからSQL結果セット列へのメタデータ駆動型マッピングを提供します。生成されるSQLおよびPL/SQLコードは、Oracle Application Expressアプリケーションで使用できます。

5.1の新機能を含むように更新された既存のサンプルと生産性アプリケーションは次のとおりです。

  • サンプル・チャート・ - 新しいOracle JETチャートおよびデータ・ビジュアライゼーション機能を示すために改訂されました。
  • サンプル・マスター・ディテール - マーキー・ページまたは対話グリッドの様々な組合せを使用して関連表を表示できる様々な方法を強調表示します。
  • サンプル対話グリッド - 対話グリッドの特徴および機能を示します。サンプル・ページでは、読取り専用機能、ページ区切りオプション、編集機能および高度なテクニックを強調表示します。
  • サンプル・プロジェクト - 対話グリッドおよびJETチャートなどの新機能を強調表示します。
  • サンプルRESTサービス - Oracle Application Expressページから外部RESTサービスにアクセスする方法を示します。

すべての生産性アプリケーションとサンプル・アプリケーションが、リリース5.1の拡張機能を含むように更新されました。

Application Express5.1: 対話グリッド

対話グリッドでは、一連のデータが検索およびカスタマイズ可能なレポートでエンド・ユーザーに表示されます。機能の観点からは、対話グリッドには、対話モード・レポートで使用可能なカスタマイズ機能と、マウスを使用して対話的にレポートを再配置する機能が含まれています。編集可能対話グリッドでは、ユーザーはページ上で直接データ・セットを追加、変更およびリフレッシュすることもできます。

主な機能は次のとおりです。

  • フル機能を備えたグリッド: 固定ヘッダー、固定列、スクロール・ページ区切り、複数のフィルタ、ソート、集計、計算などの強力なレポート機能が含まれています。 
  • 拡張可能かつカスタマイズ可能: テキスト、数値データおよびLOVを編集します。対話グリッドは、すべてのアイテム・タイプとアイテム・タイプ・プラグインをサポートしています。
  • マスター・ディテール: マスター・ディテール関係を作成し、その縦横のレベルの数は任意です。マスター・ディテール関係を作成し、その縦横のレベルの数は任意です。

対話グリッドは豊かな機能のクライアント側リージョン・タイプで、JSON対応の動的グリッド内の複数行のデータの高速編集をサポートします。対話グリッドは、対話レポートと表形式の両方の優れた機能を組み合せています。

Application Express5.1: フォントAPEXアイコン・ライブラリ

フォントAPEXは、Oracle Application Expressおよびユニバーサル・テーマ用に特別に設計された新しいアイコン・ライブラリです。フォントAPEXには、16×16行のアイコンとして設計された1,100を超えるアイコンが含まれています。フォントAPEXは、ビジネスとデータベースに関連する追加のアイコンを備えた、Font Awesomeのスーパーセットです。 フォントAPEXの詳細は、ユニバーサル・テーマのサンプル・アプリケーションをインストールしてください。

フォントAPEXアイコン・ライブラリは、美しくスケーラブルなアイコンを組み込んだOracle Application Expressビジネス・アプリケーションの開発を補完するように特別に設計されています。

Application Express 5.1: ページ・デザイナの機能強化

リリース5.1のページ・デザイナの機能強化は次のとおりです。

  • ドラッグ・アンド・ドロップによるタブの順序変更: 開発者がペイン間でタブを順序変更して、ページ・デザイナをカスタマイズできるようになりました。
  • プロパティ・エディタのフィルタ・プロパティ検索: 「フィルタ・プロパティ」フィールドにキーワードを入力して、プロパティ・エディタのグループまたは属性を検索します。
  • プロパティ・エディタの変更インジケータ - 変更した属性は、開発者がページを保存するまで青色のマーカーとともに表示されます。
  • 「コンポーネント・ビュー」タブ - 「コンポーネント・ビュー」タブは、開発者がページデザイナに移行するのを支援します。レガシー・コンポーネント・ビューの外観と同様、ページ・デザイナの「コンポーネント・ビュー」タブには、ユーザー・インタフェース要素とアプリケーション・ロジックがコンポーネント・タイプ別に表示されます。ただし、コンポーネントをクリックすると、プロパティ・エディタの右ペインで対応する属性がハイライトされます。
  • 2ペイン・モード: ページ・デザイナで、開発者が3つではなく2つのペインのみを表示できるようになりました。2ペイン・モードにより、開発者が同時に2つのペインに集中できます。

このリリースのページ・デザイナの機能強化は、開発者の生産性を向上させ、開発者がレガシー・コンポーネント・ビューから移行する際に役立つように設計されています。

Application Express5.1: カレンダの機能強化

リリース5.1のカレンダには多くの改善が加えられています。

  • 包含表示される終了日 - 以前のリリースでは、カレンダは終日イベントの終了日がその日を含まないとみなされていました。リリース5.1では、他のすべてのOracle Application Expressコンポーネントと同様、終了日が含められます。
  • JavaScriptカスタマイズ: 開発者は、新しい初期化JavaScriptコード属性を使用して、FullCalendar初期化のカスタマイズをサポートするJavaScriptコードを追加できます。
  • 動的アクション・イベント - 開発者がカレンダ内のイベントを取得して、これらのイベントに対する動的アクションを定義できます。
  • キーボート・サポート - カレンダ・グリッドがフォーカスされている場合、矢印キーを使用してカレンダ内をナビゲートできます。

Oracle Application Expressリリース5.1では、カレンダの機能強化により開発者の生産性が向上します。

Application Express5.1: Oracle JETチャート

Oracle Application Expressリリース5.1のチャートは、Oracle JavaScript拡張機能ツールキット(Oracle JET)のデータ・ビジュアライゼーションを基盤としています。これらは、最新のJavaScript、CSS3およびHTML5のデザイン原理と開発原理に基づいたオープン・ソース・ツールキットであるOracle JETのコンポーネントです。Oracle JETのデータ・ビジュアライゼーションは、高速かつカスタマイズ可能で、様々な目的で使用できます。チャートはHTML5に完全に対応し、応答性が高く、プラットフォーム、画面サイズまたは機能に関係なく、すべての最新のブラウザで動作します。アプリケーションのアップグレード・ウィザードを使用して、既存のAnyChartチャートを簡単に移行します。

Oracle JETのデータ・ビジュアライゼーションをOracle Application Express 5.1に統合することで、開発者はアプリケーション内で高度にカスタマイズ可能で、アクセス可能な対話型で応答性の高いチャートを提供できるようになりました。開発者は今、美しく、速く、非常に汎用性のあるチャートを作成できます。

一般

OCIコール・タイムアウト属性

この機能により、OCIアプリケーションでデータベースへのラウンド・トリップ・コールにミリ秒単位のタイムアウト値を指定するための新しい属性が導入されました。

アプリケーションを細かく制御して、文の実行などの予期しないOCIコール時間を回避できます。

プライベート一時表

プライベート一時表は、トランザクションまたはセッションの終了時に自動的に削除される一時データベース・オブジェクトです。プライベート一時表はメモリー内に格納され、それを作成したセッションにのみ表示されます。

プライベート一時表では一時表の有効範囲をセッションまたはトランザクションに制限するため、アプリケーション・コードの柔軟性が向上し、コード管理が容易になり、機能をすぐに使用できるようになります。

キー・ストア・サービス(KSS)のJDBCサポート

キー・ストア・サービス(KSS)のJDBCドライバのサポート

JDBCアプリケーションは、キー・ストア・サービスの構成をWebLogicサーバーまたは他のJavaコンテナに統合できるようになりました。

データベース・クラウド・サービスのJDBCにおけるウォレット・サポート

手動で入力せずに接続構成値を解決するためのデフォルト値またはプログラム・ロジックを含む自己設定型SSL機能。

Oracle Cloud内のデータベースへのSSL接続をより簡単で単純にします。

グラフ

SQLベースのプロパティ・グラフ問合せによる共同フィルタのサポート

一連のPL/SQL API (OPG_APIS.CF)が、Oracle Databaseのプロパティ・グラフ表に対してSQLおよびPL/SQLを使用して共同フィルタ・アルゴリズムを実装します。

共同フィルタはソーシャル・フィルタリングとも呼ばれ、他のユーザーの推奨事項を使用して情報を拡充します。共同フィルタは、類似のプリファレンスを持つ他のユーザーの購入内容に基づいて製品を推奨するシステムで広く使用されています。これらのAPIは、Oracle Databaseに共同フィルタ・アルゴリズムを実装して、SQLアプリケーションにアクセスできるようにします。

インメモリー・アナリスト(PGX)のNode.jsおよびZepplinサポート

インメモリー・アナリスト(PGX)には、Node.jsクライアントと、Apache Zeppelinバージョン0.7.0用のインタプリタ実装が含まれています。

Node.jsのこのPGXクライアント実装は、Node.jsを使用したグラフ・アプリケーションの開発をサポートします。Zeppelinインタープリタは、開発者およびデータ・サイエンティストがZeppelinノートブックを使用して、PGXアルゴリズムを呼び出し、PGQL問合せを組み込み、Oracle Databaseのプロパティ・グラフ関数にアクセスするアプリケーションを開発することを可能にします。

プロパティ・グラフ分析

新しいプロパティ・グラフ分析は、Oracle Spatial and Graphで利用できます。新しいApproximate Pagerank分析は、より精度の低いものが受け入れられる場合に使用できるPagerankの高速なバリアントです。新しい加重ページランク分析では、エッジの重みが考慮されます。新しいパーソナライズドSALSA分析は、特定のハブ・ノードのセットに対するノードの相対的重要性を評価します。新しいKコア分析は、グラフのkコア分解を計算します。

これらの新しいプロパティ・グラフ分析は、組込み分析のライブラリをソーシャル・ネットワーク分析で最も人気のある40項目にまで拡張し、迅速な開発と評価時間を可能にします。それらは、ネットワーク内で最も人気がある、つまり重要なエンティティおよびグループを発見するために、より迅速で豊かな方法を提供しています。たとえば、影響者を見つけ出して推奨を実行することは、エンティティの関係の相対的重要度を考慮し、グラフ内の全体的な疎密を評価することによって達成されます。

プロパティ・グラフ問合せ言語

プロパティ・グラフ・データを問い合せるための新しいSQLのような宣言言語が、Oracle Spatial and Graphのプロパティ・グラフ機能に追加されました。プロパティ・グラフ問合せ言語(PGQL)には、グラフ・パターン・マッチング機能、算術式をサポートするWHERE、SELECT、ORDER BY、GROUP BY句およびMIN、MAXとCOUNT集計の豊富なセットが含まれています。

現在、PGQLにより、開発者は宣言型言語またはJava APIを使用してプロパティ・グラフ・パターン・マッチングとパス問合せを作成できます。PGQLのSQLに似た性質により、問合せの表現性が向上し、開発者の学習時間が短縮され、問合せの作成がより速く容易になり、他のユーザーがより簡単に読み取れるようになります。

RDFグラフ・ネットワークの複合パーティション化

DBAは、リスト-ハッシュ複合パーティション化を使用してRDFグラフ・ネットワークを作成できるようになりました。  このスキームでは、RDFネットワークがモデルIDでリスト・パーティション化され、各パーティション内のRDFクワッドはさらにRDF述語のハッシュに基づいてサブパーティションに分割されます。

この新しいパーティション化方法を使用すると、パラレル度が向上し、より効率的な問合せ実行計画が可能になるため、問合せのパフォーマンスが5倍から10倍に向上します。

RDFセマンティック・グラフ・インメモリー列グラフ

ユーザーは、Oracle Spatial and GraphおよびOracle Database In-Memoryオプションを使用して、より高速なグラフ問合せのRDFグラフ・インメモリー仮想モデルを作成できるようになりました。

RDFグラフの問合せは、永続記憶域要件を増やさずに、Oracle Database In-Memoryを使用してメモリー内仮想モデルで最大100倍に高速化できます。

JSON

JSONのSQLの拡張機能

JSONデータをデータベースに格納して問い合せるための複数のSQL拡張機能が提供されています。

* 指定したSQL式がTREAT (... AS JSON)を使用してJSONデータを返すように指定できます。

* SQL/JSON問合せおよび生成関数は、結果をLOBデータとして返せます。

SQL/JSON生成関数は、様々なSQLデータ型の入力を受け入れることができ、必要に応じて整形式のJSONデータを返すことが必要になる可能性があります。

* SQL/JSONパス式は、指定されたSQLデータ型に変換できないデータをフィルタするために、追加の項目メソッドを受け入れます。 項目メソッドは、より多くのSQL/JSON関数で使用できます。項目メソッドstring()はLOBデータを返せます。

* データ・ディクショナリ・ビューを使用して、JSONフィールド・パスを抽出し、データ・ガイド対応のJSON検索索引に記録された情報を入力できます。

* SQL/JSON関数json_tableは、フィールドにアクセスするためのドット表記と投影された列の自動命名という、より単純な構文をサポートしています。* json_tableを使用して作成されたマテリアライズド・ビューは、自動的に同期化できます。

TREAT (... AS JSON)では、指定したSQL式からの戻り値をJSONデータとして扱うように指定できます。このような式には、PL/SQLファンクション・コールおよびSQL WITH句で指定された列を含めることができます。 新しいデータ・ガイド・ビューでは、索引バックアップ・データ・ガイド用に記録されたJSONフィールドのパスとタイプ情報に簡単にアクセスできます。生成および問い合されたJSONデータをLOBインスタンスに返すことで、リレーショナル・データの使用範囲が広がります。

C用のSODA

C用のSimple Oracle Document Access (SODA)を使用すると、CおよびC ++プログラムはOracle Databaseに格納されたSODAドキュメント・コレクションと対話できます。これには、JSONドキュメントのCRUD (作成、読取り、更新、削除)操作の実行も含まれます。どのSODA実装(PL/SQL、Java、CまたはREST)を使用してドキュメントを作成またはアクセスする場合でも、コレクションとの相互作用は一貫性があり、安全です。C用のSODAは、Oracle Call Interface (OCI)の一部です。

SODAを使用すると、スキーマレスなNoSQLスタイルの開発モデルを使用できます。SODAを使用して構築されたアプリケーションは、データをJSONドキュメントとして永続化できるため、要件の進化に応じたアプリケーション・データ・モデルの変更が容易になります。

PL/SQL用のSODA

PL/SQL用のSimple Oracle Document Access (SODA)を使用すると、PL/SQLプログラムはOracle Databaseに格納されたSODAドキュメント・コレクションと対話できます。これには、JSONドキュメントのCRUD (作成、読取り、更新、削除)操作の実行も含まれます。どのSODA実装(PL/SQL、Java、CまたはREST)を使用してドキュメントを作成またはアクセスする場合でも、コレクションとの相互作用は一貫性があり、安全です。

SODAを使用すると、スキーマレスなNoSQLスタイルの開発モデルを使用できます。SODAを使用して構築されたアプリケーションは、データをJSONドキュメントとして永続化できるため、要件の進化に応じたアプリケーション・データ・モデルの変更が容易になります。

64文字より長いJSONキー名の索引作成のサポート

上限は、JSON検索索引によって索引付けが可能なJSONキー名の場合に増加します。Oracle Database 18cのJSONキー名の上限は255バイトです。以前のリリースでは、作成されたJSON検索索引は64バイトを超えるキー名を索引付けしませんでした。

GSONやJACKSONなどのオブジェクト・シリアライザを使用してJSONなどのJavaハッシュ・マップをシリアライズする場合、64バイトを超えるキー名は非常に一般的です。最大255文字の長さのJSONキー名を含むJSONパス式に対する操作は、JSON検索索引で最適化できるようになりました。索引付けのためにキー名のサイズの上限を上げると、HASH MAPのような構造から生成されるJSONドキュメントの検索の効率が向上します。

PL/SQL

PL/SQL階層型プロファイラ(HPROF)の拡張機能

Oracle Database 18c以降、新しいDBMS_HPROFプロシージャは、未処理のプロファイラ・データ・ファイルの代替として、未処理のプロファイラ出力を収集および分析するために必要な表および構造を作成します。

INSERT、CREATEおよびSELECT権限を持つPL/SQLパフォーマンス・エンジニアは、プロファイラ実行情報をデータベース表に記録し、SQL*PlusやSQL Developerなどのツールを使用してレポートを生成できます。エンジニアがオペレーティング・システム・ディレクトリにあるスクリプト・ファイルにアクセスするには、追加のファイル権限は必要ありません。

PL/SQL修飾式

Oracle Database 12cリリース2では、ネストした表の型コンストラクタを使用するなどして、非スカラー・データ型の値に式を指定することができました。 Oracle Databaseリリース18cからは、コンストラクタのような(レコードや連想配列などの)式によってPL/SQL値を指定できるため、抽象データ型の値が提供されます。PL/SQLでは、SQL用語「型コンストラクタ」ではなく「修飾式」および「集計」という用語が使用されますが、機能は同じです。

集計とそれに必要な補助的な修飾式により、プログラムの明確さとプログラマの生産性が向上します。

空間

Spatialデータ型を持つシャード・データベースのサポート

SDO_Geometry列で空間索引、演算子と関数でデータベース表がOracle Shardingで使用できます。SDO_Geometry列と空間索引、演算子および関数を含むデータベース表をOracle Shardingで使用できるようになりました。

これにより、Oracle Shardingで使用可能なデータの水平スケーラビリティおよび地理的分布を希望するお客様は、Spatialデータ型を含めることができます。シャード・データベース・アーキテクチャ上で実行されるアプリケーションは、直線的なスケーラビリティ、極限のデータ可用性および地理的データ分散を実現できます。

分散およびOracle XAトランザクションのサポート

Rツリー空間索引の使用は、分散トランザクションおよびOracle XAトランザクションではサポートされません。

アプリケーションで分散WebベースDML操作専用の接続管理コードを含める必要はなくなりました。

Open Geospatial Consortium (OGC) Webカタログ・サービス(CS-W)サポートの機能強化

国際標準化機構(ISO)は、OGC Webカタログ・サービスのための新しいメタデータ・プロファイルを定義しています。これらのカタログ・サービスは、分散地理空間データ、アプリケーションおよびサービスの検索、管理および維持に使用されます。Oracle Spatial and Graphは、CSW 2.0仕様に基づくISO 19139に準拠したXMLエンコーディングをサポートし、ISO 19115/ISO 19119メタデータ用のこのアプリケーション・プロファイルをサポートするようになりました。

これらの新しいプロファイルにより、アプリケーションや組織での空間データとメタデータの交換が容易になります。以前は、システムとサービスの開発者は、CS-Wの標準インタフェースと機能に基づいて公開された特定のカタログ・サービスの情報モデルを定義する必要がありました。このISOプロファイルに準拠することにより、Oracle Spatial and Graph CS-Wサービスは、ISOプロファイルを実装するAPIリクエスト、問合せ言語、検索用語などと相互運用できます。

拡張された空間JSONのサポート

JSONのサポートにより、GeoJSONの機能を超える機能が追加されます。  これは、2Dおよび3D、ソリッド、サーフェスおよびLRSジオメトリを含む、より広い範囲のジオメトリをサポートします。GeoJSON固有のAPIは引き続きサポートされていますが、これらは、次のような空間JSON機能のより包括的なセットを提供しています。

JSONオブジェクトをSDO_GEOMETRYオブジェクトに変換する_UTIL.FROM_JSONは、GeoJSONオブジェクトを読み取り、変換することもできます。

SDO_GEOMETRYオブジェクトをJSONオブジェクト(それぞれCLOBまたはVARCHAR2)に変換する_UTIL.TO_JSONおよびSDO_UTIL.TO_JSON_VARCHARは、Spatial and Graphでサポートされるすべてのジオメトリを変換できます。

JSON APIとREST APIは、クラウド・アプリケーションの標準です。すべてのジオメトリ・データ型のJSON表現をサポートすることにより、REST APIを呼び出すアプリケーションは、Oracle Databaseで空間データおよび演算子を使用できるようになりました。

テキスト

テキスト: 自動バックグラウンド索引メンテナンス

自動バックグラウンド・タスクでは、索引データを更新ステージング領域からメイン索引に移動し、そのままデフラグします。

頻繁な挿入、更新および削除によるメイン索引の断片化が発生しなくなり、問合せのパフォーマンスが向上します。多くのアプリケーションでは、コミット時に同期オプションが使用されている場合でも、手動の索引の最適化を実行する必要はありません。

テキスト: ファセット・ナビゲーションのサポート

ファセット・ナビゲーションのサポートにより、検索結果とともにサマリー情報を示せます。これにより、サマリー情報に従って検索を制限して、問合せ結果にドリルダウンできます。たとえば、ある一連の作者を、作者ごとの本の数とともに表示する場合、1人以上の作者を選択することで、検索を絞り込めます。

ファセット・ナビゲーションのサポートにより、アプリケーションのナビゲーションが高速および効率的になります。

テキスト: ワイルドカード検索

新しい単語リスト設定WILDCARD_INDEXが、現在のオプションSUBSTRING_INDEX, PREFIX_INDEX,およびREVERSE_INDEX.を置き換えます。

ワイルドカード検索は、以前のオプションよりも効率的で、より速く、簡単に理解できます。索引作成と記憶域のオーバーヘッドは以前のオプションと比較して少なくなります。

テキスト: 同時DMLサポート

テキスト索引を含む表でのDMLリクエスト(挿入、更新および削除)を処理するためのメカニズムが更新されました。一般的にこれらの変更は内部的なものであり、ユーザーには表示されませんが、CTX_USER_PENDINGビューに変更が加えられます。多くの更新は、その表にキューイングされることなく自動的に処理されるためです。

多くのプロセスが同じテキスト索引付き表を同時に更新する主要なボトルネックを排除します。

テキスト: 索引を最適化する新しいオプション

最適化索引には、最適化するトークンの数と索引付けするセクションのタイプを制限する2つの新しいオプションがあります。

これにより、最も重要なトークンまたはセクション・タイプのみを最適化できる短い最適化セッションを実行できるため、重い最適化の負荷をかけずに問合せのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。

可用性

アプリケーション・コンティニュイティ

サービスまたはPDBの再配置または停止に先立つサーバーの排出

Oracle Database 18以降、データベース自体が、計画されたメンテナンスが開始する前にセッションを排出します。これは、PDBまたはサービスが再配置されたときに、排出用のセッションをマークすることによって行われます。排出用にマークされると、ドライバとデータベースは、アプリケーションが中断されていないセッションを排出するためのルールを満たそうとし始めます。データベース自体は、拡張可能な一連のルールを使用して、データベース・セッションをいつ終了するかを検出します。排出が始まると、データベース・セッションはルールが満たされるまでデータベースに保持されます。

このアプローチの利点は、更新や修理などのメンテナンス作業をサポートするために企業がアプリケーションへのコストのかかるアクセスを経験する必要がないことです。

Oracle Databaseにリクエスト境界が表示される

リクエスト境界は、アプリケーションとアプリケーション・サーバーが接続プールから接続を借りて返す場所を示します。リクエストの境界がないと、データベースは、アプリケーションとアプリケーション・サーバーが接続をどのように管理しているかを把握できません。  リクエスト境界をOracleデータベースに表示することで、計画メンテナンス、ロード・バランシング、多重化の排出などの機能をデータベースで分離できるため、アプリケーション層に目に見える混乱を招くことなくセッションを再確立できます。リクエスト境界は、AWR、システム、セッションおよびサービス統計でサポートされています。

リクエスト境界を使用して、データベース自体は、計画排出、ロード・リバランスをサポートし、完了した作業の割合と保護のレベルに関するAWR統計も提供します。

透過アプリケーション・コンティニュイティ(TAC)

透過アプリケーション・コンティニュイティ(TAC)は、セッションおよびトランザクション状態を透過的に追跡して記録し、リカバリ可能な停止がユーザーから隠されるようにします。これは、アプリケーションの知識やコードの変更に依存せず、安全に行われ、すべてのアプリケーションでアプリケーション・コンティニュイティを有効にできます。  透過アプリケーション・コンティニュイティは完全に自動化されています。  透明性は、アプリケーションがユーザー呼出しを発行する際のセッション状態の使用状況を理解する、新しい状態追跡インフラストラクチャを使用することによって実現されます。アプリケーションの実装方法を知る必要はなく、将来の変更について気にかけたり制限する必要はありません。透過アプリケーション・コンティニュイティは、Java、OCIおよびODP.NET、管理対象外プロバイダを使用するアプリケーションで使用できます。

透明性は、アプリケーションの知識やアプリケーション・コードの変更に依存せず安全に達成され、アプリケーションの標準として透明アプリケーション・コンティニュイティを有効にできます。

Data Guard

Oracle Data GuardマルチインスタンスREDO Applyは、RMANバックアップ用のブロック変更追跡ファイルの使用をサポートします

RMANブロック変更トラッキング・ファイルは、マルチインスタンスREDO Applyを使用しているOracle Active Data Guardスタンバイで有効にできるようになりました。

同じOracle Active Data Guardスタンバイで最速のREDO Applyテクノロジと増分バックアップ・テクノロジを使用して、両方の機能を最大限に活用できるようになりました。

Data Guardスタンバイ・データベースでのログに記録されないブロックの自動訂正

生成されるREDOの量を大幅に増やさずにOracle Active Data Guard環境での使用をサポートするため、データベースのロギングなし機能が拡張されました。2つの新しいロギングなしモードがあります。

  • ロード・パフォーマンスのためのスタンバイ・ロギングなし - プライマリでのロード速度への影響を最小限に抑えて、ログに記録されないデータ変更をスタンバイが受け取ることを保証しますが、ログに記録されない一時的なブロックをスタンバイに持たせるという代償を払います。これらのログに記録されないブロックは、管理対象スタンバイ・リカバリによって自動的に解決されます。
  • データ可用性のためのスタンバイ・ロギングなし - プライマリ・ロードがコミットされたときにすべてのスタンバイにデータがあることを保証しますが、プライマリでのデータのロード速度低下という代償を払います。これは、スタンバイにはログに記録されないブロックはないことを意味します。

プライマリ・データベースとスタンバイ・データベース間の同期レベルを選択して、Oracle Data Guardスタンバイ・データベースの整合性を損なうことなく、本番データベースへのデータのロード時にデータベース・ロギングなしを使用できます。

一般

シャドウ消失書込み保護

シャドウ消失書込み保護では、書込みが失われたことが検出される前にデータが破損する可能性があります。Oracle Data Guardスタンバイ・データベースを必要とせずに、データベース、表領域またはデータ・ファイルに対するシャドウ消失書込み保護を有効化できます。

シャドウ消失書込み保護は、失われた書込みに対して迅速な検出と即時応答を提供し、データ破損のためにデータベースで発生する可能性のあるデータ損失を最小限に抑えます。

暗号化されたCDBと暗号化されていないCDBの間のPDBの複製

RMANは、PDB内の暗号化されていないPDBまたは表領域を宛先CDBで暗号化されるように複製できます。この複製を実行するには、DUPLICATEコマンドのAS ENCRYPTED句を使用します。

同様に、DUPLICATEコマンドのAS DECRYPTED句を使用して、暗号化されたPDBを暗号化を使用せずに宛先CDBに複製します。

オンプレミス・データベースとOracle Cloudの間でデータベースをシームレスに複製することにより、必要に応じてOracle Cloudを簡単かつ安全に活用できます。

RMANがスタンバイ単純化をリカバリ

RECOVERコマンドの機能強化により、スタンバイ・データベースは、手動での介入を最小限に抑えて、プライマリ・データベースに対する変更を取得できます。

スタンバイ・データベースをロール・フォワードするプロセスを単純化し、手動手順により発生する可能性のあるユーザー・エラーを最小限に抑えます。

新しいCDBにプラグインした後に使用可能なPDBバックアップ

PDBをソースCDBから抜き取り、ターゲットCDBに差し込んでPDBの位置を変えることができます。ソースCDB上に作成されたPDBバックアップはプリプラグイン・バックアップと呼ばれます。RMANは、プリプラグイン・バックアップを使用して、ターゲットCDBでPDBのリストアおよびリカバリ操作を実行できます。RESTOREおよびRECOVERコマンドのPREPLUGIN句は、プリプラグイン・バックアップで使用されます。

RMANは、CATALOG、CHANGE、CROSSCHECK、DELETEおよびLISTの各コマンドでPREPLUGIN句の使用をサポートします。

あるCDBから別のCDBに移動した後、バックアップ・コンプライアンスを維持します。

CDBへの移行後に非CDBからのバックアップが使用可能

非CDBは、既存のCDB内のPDBとして移行してプラグインできます。移行前にソースの非CDBで作成されたバックアップは、プリプラグイン・バックアップと呼ばれます。RMANを使用すると、プリプラグイン・バックアップを使用して、プラグインされたPDBに対してリストアおよびリカバリ操作を実行できます。RESTOREおよびRECOVERコマンドのPREPLUGIN句は、プリプラグイン・バックアップで使用されます。

また、宛先CDB上でRMANコマンド(CATALOG、CHANGE、CROSSCHECK、DELETEおよびLIST)とともにPREPLUGIN句を使用することもできます。

以前に作成した非CDBのバックアップをRESTORE、RECOVER、CATALOG、CHANGE、CROSSCHECK、DELETEおよびLISTに利用できるようにすることで、CDBへの移行後にバックアップ・コンプライアンスを維持します。

RMANが既存のCDBにPDBを複製

RMANでは、DUPLICATEコマンドを使用して、既存のCDBにPDBを複製できます。

重複排除タスク用に追加のCDBを作成するかわりに、環境内の既存のCDBを活用してPDBを複製します。

アーカイブ記憶域へのバックアップ

アーカイブ記憶域をサポートするためにOracle Cloud SBTライブラリを拡張します。

RMANは、アーカイブ記憶域にバックアップを送信できます。

シャーディング

シャードされたデータベースの一元化された診断能力と管理性

SHARDS句を使用すると、V$、DBA/USER/ALLビューおよびディクショナリ表など、オラクル社が提供するオブジェクトをセントラル・シャード・カタログからすべてのシャード間にわたって問い合せることができます。SHARDS句を含む問合せは、シャード・カタログ・データベース上でのみ実行できます。

この機能は、シャード・カタログからすべてのシャード間にわたって、オラクル社が提供するオブジェクト(V$、DBA/USER/ALLビュー、ディクショナリ・オブジェクトおよび表)からのパフォーマンス、診断および監査データを問い合せる機能を提供することにより、一元的な管理を強化します。 

シャードとカタログとしてのPDBのサポート

このリリースでは、Oracle Shardingは、CDB内の単一のPDBとしてシャードまたはシャード・カタログをサポートしています。CDB内の複数のPDBはサポートされていません。

シャードとしてのPDBの使用をサポートするために、GDSCTLコマンドADD SHARDとCREATE SHARDが拡張され、新しいコマンドADD CDB、CREATE CDB、MODIFY CDB、CONFIG CDBおよびREMOVE CDBが実装されています。

PDBのサポートにより、シャードの統合、一体としての多数管理、データベースのアップグレードなど、シャードされたデータベースに多くの管理性の利点が提供されます。

ユーザー定義のシャーディング・メソッド

Oracle Shardingのユーザー定義のシャーディング・メソッドを使用すると、LISTまたはRANGEベースのパーティション化戦略を定義し、個々のシャードへのデータのマッピングを明示的に指定できます。

ユーザー定義のシャーディングは、パフォーマンスや規制などの理由で、特定のデータを特定のシャードに格納する必要があり、シャード間のデータの移動を完全に制御する必要がある場合に使用します。ユーザー定義のシャーディングでは、シャードの計画停止または計画外停止の場合、どのようなデータが使用できないかも正確にわかります。ユーザー定義のシャーディングにはコストがかかります。シャード間でバランスのとれたデータおよびワークロードの監視と維持が必要です。

JSON、LOBおよび空間オブジェクトのシャーディング・サポート

Oracleバイナリ・ラージ・オブジェクト(BLOB)およびキャラクタ・ラージ・オブジェクト(CLOB)が、シャードされた構成で使用できるようになりました。これにより、JSONと空間機能を活用するものを含め、BLOBおよびCLOBを直接的または間接的に操作するアプリケーションに対してOracle Shardingが可能になります。

問合せおよびDML文:

  • シャード間の問合せがサポートされています。単一のシャードに関わるDML操作がサポートされています。1つ以上のシャードに関わるDMLはサポートされていません

API

  • BFILEの操作を除いて、現在のすべてのDBMS_LOBおよびOCILob機能がサポートされています。複数のLOBに作用する機能は同じシャードからのLOBに制限されます。
  • 新しいメソッドDBMS_LOB.isremoteおよびOCILobディスクリプタOCI_ATTR_LOB_REMOTEは、シャードされた表から取得されたLOBに対してTRUEを返します。

BLOBおよびCLOBは、Oracle Databaseで広く使用されています。この機能により、Oracle Sharding環境でBLOB、CLOB、JSONおよび空間オブジェクトを使用できるようになります。これは、シャードされた表への格納でビジネス要件が容易になるところでこれらのデータ型を使用するアプリケーションに役立ちます。

マルチシャード問合せのための一貫性レベル

シャードされたデータベース内の複数のシャード間の問合せに対して、異なる一貫性レベルを指定できます。たとえば、一部の問合せでシャード間のSCN同期のコストを回避する場合に、これらのシャードをグローバルに分散できます。もう1つの使用例は、レプリケーションにスタンバイを使用する場合で、プライマリとスタンバイから結果を取得できるためにシャード間の問合せでわずかに古いデータが許容される場合です。  シャード間でマルチシャード問合せを実行するときに、初期化パラメータMULTISHARD_QUERY_DATA_CONSISTENCYを使用して様々な一貫性レベルを設定できます。

この機能を使用すると、シャード間でマルチシャード問合せを実行中にSCN同期のコストを避けることができ、これらのシャードは潜在的にグローバルに分散される可能性があります。

マルチシャード問合せの場合、この機能により、スタンバイ・データベースからわずかに古いデータが許可されます。

シャードされたデータベース問合せの最適化機能の強化

シャーディングは、共通のスキーマを持つ別々のデータベースにデータを格納および管理できるようにする目的で、Oracle Database 12cリリース2で導入されました。シャード問合せの堅牢性およびフォールト・トレランスを向上させるために、様々な機能強化が行われています。問合せの実行計画が拡張され、問合せに参加しているすべてのシャードの情報が表示されます。

これらの最適化機能の強化により、シャード問合せの堅牢性と診断能力が向上します。

Oracle GoldenGateの自動デプロイメント

この機能は、シャード間のOracle GoldenGateの双方向レプリケーションの構成を自動化します。競合の検出と解決は、アプリケーションを変更することなく自動的に有効になります。

読取りと書込みのワークロードをパーティションの1つ以上の同期されたコピーに分散して、使用率を高めるとともに、コピーが使用できなくなった場合にデータへの継続的なアクセスを提供できます。自動競合の検出と解決により、管理上のオーバーヘッドが軽減し、アプリケーションが双方向レプリケーションを可能にするために以前必要であった作業が不要になります。

Oracle GoldenGateの自動CDR

この機能では、指定が単純で、管理しやすく、ユーザー・アプリケーションを変更する必要がない、組込みの競合の検出および解決メカニズムを提供することによって、大規模なアクティブ-アクティブのレプリケーションを使用しやすくするために、Oracle GoldenGateのOracleからOracleへのレプリケーションでの競合の検出および解決(CDR)機能を拡張します。CDRメカニズムでは、競合の検出および解決のメカニズムを、すべての削除の競合とLOB列を処理するように拡張します。

ユーザー・アプリケーションを変更する必要がなく、構成や使用のしやすい、包括的な組込みの競合の検出および解決メカニズムを提供することによって、この機能では、Oracle DatabaseおよびOracle GoldenGateレプリケーションを使用して、大規模なアクティブ-アクティブのレプリケーション環境でのアプリケーションのデプロイメントが有効になります。 

Oracle RAC Sharding

Oracle RAC Shardingは、表のパーティションをOracle RACインスタンスに親和化し、パーティション化キーを指定するデータベース・リクエストを、対応するパーティションを論理的に保持するインスタンスにルーティングします。これにより、キャッシュ使用率が向上し、インスタンス間のブロックpingが大幅に削減されます。パーティション化キーは、パフォーマンスに影響するリクエストにのみ追加できます。キーを指定しないリクエストは引き続き透過的に機能し、どのインスタンスにもルーティングできます。この機能を有効にするためにデータベース・スキーマを変更する必要はありません。

Oracle RAC Shardingは、最小限のアプリケーション変更でパフォーマンスとスケーラビリティのメリットをもたらします。

一意の索引/制約を持つ表の自動CDRサポート。

自動CDRは、Oracle Database 12cリリース2 (およびOracle GoldenGate 12.3)で、アクティブ/アクティブなGoldenGateレプリケーション設定で競合の検出および解決構成を自動化するために導入されました。ただし、自動CDRは主キーを持つ表でしか許可されていませんでした。Oracle Database 18cでは、自動CDRは一意のキー/索引のみを持ち主キーを持たない表でサポートされます。

アクティブ/アクティブOracle GoldenGateレプリケーション・カスタマは、より多くのタイプの表に自動競合検出および解決機能を使用してアクティブ/アクティブ・レプリケーション設定を単純化できます。

ビッグ・データおよびデータ・ウェアハウス

分析ビュー

分析ビューのFILTER FACTおよびADD MEASUREキーワード

分析ビューからのSELECTを実行する問合せにFILTER FACTキーワードを含めて、集計前に分析ビューからアクセスされたデータをフィルタできます。たとえば、年レベルのデータの集計データを返す問合せでは、FILTER FACTキーワードを使用して、1月と2月の月のみを使用するように問合せを制限する場合があります。その場合、1年間の集計値は、1年のすべての月の値ではなく、1月と2月の値の合計です。

新しいADD MEASURESキーワードを使用すると、計算済メジャーをSELECT文内に定義してアプリケーションが独自のメジャーを動的に定義できるようになりました。以前は、計算済メジャーしか分析ビュー定義に追加できませんでした。

FILTER FACTキーワードとADD MEASURESキーワードの両方により、アプリケーション開発者に追加の計算能力と柔軟性がもたらされ、アプリケーション開発を簡素化する機会が新たに与えられます。

非正規化ファクト表とスノーフレーク・スキーマの分析ビューのサポート

分析ビューは、スター・スキーマ内の表を使用することに加えて、スノーフレーク・スタイルのスキーマ内の表を使用して、ディメンション属性とファクト・データが同じ表にある非正規化ファクト表を使用できるようになりました。CREATE ANALYTIC VIEW文のREFERENCES DISTINCTキーワードは、非正規化ファクト表の使用をサポートしています。CREATE ATTRIBUTE DIMENSION文のJOIN PATHキーワードは、スノーフレーク・スタイルのディメンション表の使用をサポートしています。

両方の機能により、データ・ウェアハウスおよびアプリケーションの開発者は、より多くのデータセットで分析ビューを使用し、アプリケーション開発およびスキーマを簡素化する機会が増えるようになります。

新しい分析ビュー計算関数

分析ビューでは、計算済メジャー式で使用できる様々な新機能がサポートされるようになりました。新しい関数には、RANK_*、PERCENTILE_*、STATS_*、COVAR_*、HIER_DEPTH、HIER_LEVEL、HIER_MEMBER_NAME、HIER_MEMBER_UNIQUE_NAME、HIER_CAPTIONおよびHIER_DESCRIPTIONが含まれます。また、計算済メジャーの定義に階層属性を使用できるようになりました。たとえば、CASE文に属性を使用して、属性の値に基づいて様々な計算式を指定できます。

これらの新機能により、分析ビューの計算機能が拡張され、より幅広いアプリケーションをサポートしてアプリケーション開発を簡素化する機会が増えるようになります。

データ・マイニング

アルゴリズム・メタ・データの登録

アルゴリズム・メタ・データの登録では、Rの拡張性フレームワークで新しいアルゴリズムの統合が簡略化され、合理化されます。この機能により、新しいアルゴリズム関数とその設定を登録する統一された一貫したアプローチが可能になります。

拡張性フレームワークにおける新しいアルゴリズムの統合が簡略化されます。GUIは、そのような新しいアルゴリズムをシームレスに選択してサポートできます。

分解ベースの属性と行の重要度

CURアルゴリズムを使用すると、ユーザーはデータを説明するのに最適な列および機能を見つけることができます。このアルゴリズムは、ユーザーが容易に理解できる用語を使用してデータを把握できるため、人気があります。これとは対照的に、SVDのような分解法は解釈が困難な暗黙の特徴を引き出します。CURは、SVDから派生したインサイトを使用しますが、元の行と列の観点で変換しようとしています。

CURベースの属性と行の重要度は、データ・インサイトやデータ・フィルタの後に追加の分析処理を提供するために使用できます。これは、重要な列のみでなく重要な行を選別する最初のOAAアルゴリズムになります。

指数平滑法

新しいマイニング関数であるTime Seriesが、時系列解析を実行するためのアルゴリズムである指数平滑法とともに追加されました。時系列データからの予測には指数平滑法(ESM)が広く使用されています。当初、ARIMAなどの競合相手よりも柔軟性と精度が低いと考えられていたESMは、最近になってより広範なクラスのモデルをカバーするようになり、記述的リアリズムと精度の両方を高めるように拡張されました。Oracle ESMには、これらの最近の拡張の多くが、任期のあるHolt(トレンド)およびHolt Winters (トレンドおよび季節変動)モデルを含めて、不規則な時系列間隔を処理する合計14モデルの機能が含まれています。

指数平滑技法は、時系列分析で正常に使用されています。これらは、多数の時系列を同時に処理することが必要で複雑なアプローチが実用的でない場合に特に有用です。

ランダム・フォレスト

ランダム・フォレストはパワー・マシンの学習アルゴリズムです。ランダムな機能選択で構築された複数のツリーを組み合せたアンサンブル法を使用します。事実、個々のツリーはランダムな部分空間に構築され、バギング・アンサンブル法を使用して結合されます。

ランダム・フォレストは非常に人気のあるアルゴリズムであり、多くのベンチマークで優れたパフォーマンスを発揮します。これはOREの一部ですが、実装はパブリックRパッケージに基づいています。カーネル・コードとして実装することで、パフォーマンスとスケーラビリティに大きな利点がもたらされます。

ニューラル・ネットワーク

ニューラル・ネットワーク・アルゴリズムは、相互接続された単位(ニューロン)の集合が関数を近似することを学習する、生物学から発想されたアプローチです。ニューラル・ネットワークは、分類問題と回帰問題の両方で非線形近似に適しています。

ニューラル・ネットワークは、任意の非線形関数を学習できる強力なアルゴリズムです。非線形回帰/時系列、コンピュータ・ビジョン、音声認識など、いくつかの難問に正常に使用されています。

明示的セマンティック分析による分類の拡張

明示的セマンティック分析(ESA)は、Oracle Database 12cリリース2でFEATURE_EXTRACTIONの下にのみトピック・モデルとして公開されています。通常は、数十万の明示的な機能が使用されます。このアルゴリズムは、分類を実行するために容易に適合させることができ、現在のOAAアルゴリズムによって適切に対処されていない重要ではあるが非常に困難な分類の問題である数十万クラスのユースケースに対処できます。

大きなテキストの分類のタスクは、ビッグ・データのコンテキストでは非常に重要です。ESAを分類に拡張することで、テキスト分類ドメインでの提供が大幅に強化され、OAAは現在この製品で扱いにくいユースケースに対処できます。

一般

新しいパラレル文キューのタイムアウトおよびデキュー処理

新しいリソース・マネージャのディレクティブPQ_TIMEOUT_ACTIONにより、データベース管理者はパラレルSQL文キューからタイムアウトされるパラレルSQL文に対して実行するアクションを指定できます。データベース管理者は、手動でパラレルSQL文をデキューすることもできます。

この機能によって、データベース管理者は、重要なSQL文のパラレルSQL文キューの管理を改善できます。これはクリティカル・ユーザーに対してより適切なSQL実行パフォーマンスを実現します。

不要な問合せの手動終了

パラレル・サーバーなど、過度にリソースを消費するSQL問合せをALTER SYSTEM CANCEL SQL文を使用して終了できます。

この機能により、データベース管理者は、SQL文を使用して不要なSQL問合せを終了できます。他のSQL問合せが使用できるように、不要なSQL問合せによって消費されたシステム・リソースを解放します。

インライン外部表

インライン外部表では、外部表のランタイム定義をSQL文の一部にできるため、データ・ディクショナリ内に永続データベース・オブジェクトとして外部表を作成する必要がなくなります。

インライン外部表では、Oracleデータベース外部のデータにアクセスするための外部表を明示的に作成する必要がなくなります。これにより、外部データへのアクセスが簡単になり、より簡単で効率的なデータベース・アプリケーションの開発が可能になります。

近似上位N問合せ処理

データ解析アプリケーションは、集計関数を多用します。近似問合せ処理(Oracle Databaseリリース12cリリース1以降で使用可能)は、これらの問合せに対してより速く結果を配信することを目標としています。近似結果は正確な結果と同じではありませんが、非常に近い結果です。rank、sumおよびcountの新しい近似SQL関数が、上位Nスタイル問合せに使用できるようになりました。

近似問合せ処理を使用することで、既存の分析ワークロードのパフォーマンスが即座に向上し、より迅速な非定型データ探索が可能になります。

多相表の拡張機能

この表関数は、行の集合を返し、SQL問合せブロック内にFROM句の一部として呼び出すことができる関数です。

多相表関数(PTF)は、戻り型が、PTFに渡された引数によって決定される新しいタイプの表関数です。使いやすく、非常に効率的でスケーラブルな実装を提供する新しいフレームワークが用意されています。

新しい多相表関数(PTF)は、Oracle Databaseの分析機能を拡張するための効率的でスケーラブルなフレームワークを提供します。SQLレポート・ライターは、PTFの実装の詳細がわからなくてもこれらの関数を呼び出すことができ、PTFは、詳細または関数の実行方法(シリアルまたはパラレル)または入力行がパーティション化されているか順序付けられているか(あるいはその両方か)を認識する必要はありません。

したがって、PTFは、SQL開発者およびDBAが任意の入力表または問合せに対して機能する一般的な拡張機能を提供する場合に便利です。

IMC、Big Data SQLによるLOBサポート

このリリースから、Oracle Databaseでは、LOBおよびLOB関連の機能をOracle Database In-MemoryおよびBig Data SQLとともに使用できます。また、LOB操作のパフォーマンスと、LOB列を使用したSQL文およびDMLのパフォーマンスを向上させるために、複数の拡張機能が提供されます。

ラージ・オブジェクト(バイナリおよびテキスト)が、Oracle Database In-MemoryおよびBig Data SQLとともに使用できるようになりました。

ユーザーは、LOB操作の実行中とDMLおよびSQL操作でのLOB列の使用中に、パフォーマンスがわずかに向上していることがわかります。

データベース全般

接続管理

Traffic DirectorモードでのOracle Connection Manager

この機能により、Oracle Connection Manager (CMAN)をTraffic Directorモードで構成し、HA、セキュリティ、パフォーマンスおよびスケーラビリティをコードを変更せずに様々なデータベース・サービスに接続するアプリケーションを提供できます。

Traffic DirectorモードのOracle Connection Managerには、次の利点が提供されています。

  • 透過的なパフォーマンスの強化と接続の多重化
    • Traffic Directorモード・インスタンスで複数のCMANを使用すると、クライアント側の接続時のロード・バランシングやロード・バランサ(BIG-IP、NGINXなど)を使用してアプリケーションのスケーラビリティが向上します。

  • 計画されたデータベース・メンテナンスまたはプラガブル・データベース(PDB)の再配置、read-mostlyワークロードに対する計画外のデータベース停止など、アプリケーションの停止時間はゼロです。
  • 単一障害点を回避するためのTraffic DirectorモードでのCMANの高可用性。
  • セキュリティおよび分離: Traffic DirectorモードのCMANが次の機能を提供します。
    • transmission control protocol/transmission control protocol secure (TCP/TCPS)とプロトコル変換をサポートするデータベース・プロキシ

    • IPアドレス、サービス名、セキュア・ソケット・レイヤー/トランスポート・レイヤー・セキュリティ(SSL/TLS)ウォレットに基づくファイアウォール

    • マルチテナント環境におけるテナント分離

    • サービス拒否攻撃およびファジング攻撃からの保護

    • Oracle DatabaseオンプレミスおよびOracle Cloudを介したデータベース・トラフィックの安全なトンネリング

コンテナ・データベース・アーキテクチャ

Oracle Data Guard環境でのPDBのコピー

STANDBY_PDB_SOURCE_FILE_DBLINKSTANDBY_PDB_SOURCE_FILE_DIRECTORYの2つの新しい初期化パラメータを使用して、PDBのリモート・クローンまたはプラグインを実行するときにスタンバイ・データベースを自動的にメンテナンスできるようになりました。

この機能により、Oracle Data Guard環境でのPDBスタンバイ操作の高可用性向上と自律性向上が実現します。

DBCA PDBクローン

マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)のプラガブル・データベース(PDB)で表されるOracleマルチテナント・アーキテクチャは、Oracle Databaseデプロイメントの標準です。DBCA PDBクローンは、複数の同一のPDBを作成する目的で、PDBのGUIベースのクローニングを可能にするDBCA (Database Configuration Assistant)ベースの機能です。

PDBクローンは、テストおよび開発の目的で同じPDBを大量作成するために役立ちます。

PDBロックダウン・プロファイルの拡張機能

このリリースでは、PDBロックダウン・プロファイルのいくつかの拡張機能が導入されています

  • PDBロックダウン・プロファイルは、アプリケーション・ルートとCDBルートに作成できるようになりました。以前のリリースでは、プロファイルをCDBルートに作成することしかできませんでした。アプリケーション・コンテナにPDBロックダウン・プロファイルを作成する機能により、アプリケーション・コンテナに関連付けられているアプリケーションへのアクセスを細かく制御できます。
  • これで、別のPDBロックダウン・プロファイル(静的ベース・プロファイルまたは動的ベース・プロファイルのいずれか)に基づくPDBロックダウン・プロファイルを作成できます。ベース・プロファイルへのこの後の変更を、ベース・プロファイルを使用する新しく作成されたプロファイルに反映するかどうかを制御できます。
  • このリリースには、<code>PRIVATE_DBAAS</code>、<code>SAAS</code>および<code>PUBLIC_DBAAS</code>の3つのデフォルトのPDBロックダウン・プロファイルが追加されています。これらのプロファイルは、クラウド環境に役立ちます。
  • 新しい動的データ・ディクショナリ・ビュー<code>V$LOCKDOWN_RULES</code>が利用可能です。このビューを使用すると、ローカル・ユーザーがPDBロックダウン・プロファイルの内容を検索できます。

この機能は、PDBプロビジョニングでセキュリティと分離を強制する必要がある環境に役立ちます。

リフレッシュ可能なPDBスイッチオーバー

リフレッシュ可能なクローンPDBは、マスターPDBとの間でロールを切り替えることができます。

リフレッシュ可能なクローンPDBは、マスターPDBの増分更新コピーです。新しいスイッチオーバー機能により、マスターPDBとクローンPDBの間でロールを変更できるため、次の場合に便利です。

1. 計画されたスイッチオーバー。以前のマスターは新しいクローンになり、以前のクローンは新しいマスターになります。ロールの切替えは、2つのCDB間のロード・バランシングに役立つ場合があります。

2. 計画外のスイッチオーバー。マスターPDBに障害が発生した場合、操作はリフレッシュ可能なクローンPDBで再開できます。このアプローチは、障害がマスターPDBに分離され、他のPDBに影響を与えない場合に役立ちます。このような場合、完全なCDBレベルのOracle Data Guardフェイルオーバーは不要です。Data Guard Brokerは、2組のCDBが2台のコンピュータに存在する場合、各組ごとに反対方向のData Guardレプリケーションを使用して、PDB単位のフェイルオーバーを実行できます。ただし、この構成には4つのCDBが必要です。リフレッシュ可能なPDBアプローチでは、一組のCDB間で、障害が発生したマスターPDBからリフレッシュ可能なクローンPDBへの計画外のスイッチオーバーが可能です。

CDBフリート管理

Oracle Databaseリリース18cでは、コンテナ・データベース(CDB)およびホストされたプラガブル・データベース(PDB)の全体でクラウド・スケールのデータベース監視と管理のためのSQLインタフェースが導入されています。CDBフリートは、リードCDBに登録され、1つの論理CDBとして管理されるCDBの集合です。リードCDBとは、すべてのCDBおよびPDBのデプロイメント、使用および接続メタデータの中心的な場所です。登録されたCDBは、自動化されたプロキシPDB接続を介してリードCDBと同期化します。フリート内のすべてのPDBがリードCDBでアクセス可能で、リードCDBでホストされているかのようにPDBを管理できます。

クラウド規模のアプリケーションは、数万のテナントをサポートする可能性があります。CDBは、最大4096のテナントPDBをホストできます。CDBフリートを構成することにより、1つのマスター・アプリケーションを維持しながら、数万のCDBにアプリケーションを拡張できます。1つのインタフェースを通じて異種テナント間でのレポート作成、監視および管理が可能となり、資本コストと運用コストが削減されてビジネスの効率性が向上します

PDBスナップショット・カルーセル

PDBスナップショットは、特定の時点でのPDBの名前付きコピーです。PDBスナップショットでPDBが有効になっている場合、最大8つのスナップショットを作成できます。一連のスナップショットはスナップショット・カルーセルと呼ばれます。

PDBスナップショット・カルーセルでは、PDBの最新のコピーを頻繁にリフレッシュしたライブラリを維持します。カルーセル内の任意のスナップショットのPoint-in-TimeクローニングまたはPoint-in-Timeリストアを実行できます。

典型的な使用例は、テストのためにPDBをクローンすることです。たとえば、本番PDBを使用する場合は、<code>test_master</code>という名前のリフレッシュ可能なクローンPDBを作成します。毎日自動PDBスナップショットを作成するように<code>test_master</code>を構成します。テスト用に新しいPDBが必要な場合は、カルーセルでスナップショットのフル・クローンを作成してから、<code>CREATE PLUGGABLE DATABASE ... SNAPSHOT COPY</code>を使用して、このスナップショットのスパース・クローンを作成します。

もう1つの使用例は、Point-in-Timeリストアです。たとえば、データ・ロードの前にPDBのスナップショットを作成し、データ・ロードによって誤って本番PDBが破損した場合は、そのスナップショットに基づいて新しいPDBを作成できます。破損したPDBを削除して、データ・ロードを再試行できます。

グローバリゼーション

OCIでのバインド変数の照合

属性OCI_ATTR_COLLATION_IDの値を介して、問合せまたはDML文のバインド変数の照合を渡すことが可能になりました。

バインド変数の照合を設定することにより、比較条件でのバインド変数の値と、バインド変数が引数であるその他のSQL操作を比較する照合を制御できます。COLLATE演算子をSQL文のテキストに動的に挿入するよりも、OCI属性による照合を制御するほうが望ましい方法です。後者は、SQLインジェクションの問題を引き起こすリスクが増加します。

宣言された照合がある列のパーティション化

表のパーティション化キー列は、宣言された照合を持つことができるようになりました。以前のOracle Databaseリリースでは、表のパーティション化キー列は、BINARY、USING_NLS_COMP、USING_NLS_SORTおよびUSING_NLS_SORT_CSの照合順序のみに制限されていました。

表のパーティション化キー列の大/小文字を区別しない照合を宣言することにより、大/小文字を区別しない方法で文字値で表をパーティション化できます。

データベース・ロケールの追加サポート

3つの新しい言語と30の新しい領域がOracle Databaseに追加され、ロケール全体のカバレッジが向上しました。

この機能により、データベースのロケール・カバレッジがローカル・ユーザーの文化的慣行の要件を満たすように拡張されます。

Unicode 9.0のサポート

AL32UTF8およびAL16UTF16キャラクタ・セット用の各国語サポート(NLS)データ・ファイルは、Unicode規格キャラクタ・データベースのバージョン9.0に適合するように更新されました。

この機能強化により、Oracle Databaseは最新バージョンのUnicode標準に準拠できます。

文字データ検証のためのUTL_I18N関数

オーバーロードされた新しい関数VALIDATE_CHARACTER_ENCODINGがPL/SQLパッケージUTL_I18Nに追加され、VARCHAR2、NVARCHAR2、CLOBおよびNCLOBデータの文字エンコーディングを検証します。

この機能により、アプリケーションは、他の処理を行う前に、無効な文字データを検出できます。

インストール、構成、パッチ

エンジニアド・システムのサポート

このリリースでは、Oracle Exadataインフラストラクチャ・パッチのサポートが導入されています。  Oracle DatabaseおよびGrid Infrastructureのホームの既存のサポートに加えて、データベース・ノード、ストレージ・セルおよびInfiniBandスイッチ・ソフトウェアのソフトウェアをRHPでパッチ適用できるようになりました。

高速ホーム・プロビジョニングへのOracle Exadataコンポーネント・サポートの統合により、集中管理された高速ホーム・プロビジョニング・サービスのインベントリを介して、これらのコンポーネントのメンテナンスを管理および追跡できます。

停止時間ゼロのデータベース・アップグレード

停止時間ゼロのデータベース・アップグレードは、データベースのアップグレードに必要なすべての手順を自動化します。アップグレード・プロセス中にアプリケーションの停止時間を最小限に抑えるか、またはなくすこともできます。リソース要件を最小限に抑えることもできます。また、必要に応じてアップグレードをロールバックするフォールバック・パスも提供します。

アップグレード・プロセスに含まれるすべての手順を自動化することで、データベースのアップグレードによる労力、リスクおよびアプリケーションへの影響を軽減します。

RHPサーバー間のゴールド・イメージの配分

高速ホーム・プロビジョニングのアーキテクチャでは、中核となる1つのRHPサーバーが、指定されたデータ・センター(またはデータ・センターのネットワーク・セグメント)内の一連のターゲット上で実行されます。  大企業は通常、複数のデータ・センターをホストし、各データ・センター内には別々のネットワーク・セグメントが存在する場合があります。それぞれに専用のRHPサーバーが必要になります。これらのお客様のために、この機能は、ゴールド・イメージをRHPサーバー間で共有するための単純で安全なメカニズムを提供します。

各データ・センターには、ターゲット・マシンが使用するゴールド・イメージに関していくつかの固有の要件がありますが、標準化の目標は、可能なかぎりすべてのデータ・センターで同じゴールド・イメージを使用することを指しています。そのため、RHPはゴールド・イメージのピアツーピア共有をサポートし、ゴールド・イメージを複数のRHPサーバーに容易に伝播します。

更新を適用するためのローカル・スイッチ・ホーム

Oracle DatabaseおよびGrid Infrastructureのホームを更新するための高速ホーム・プロビジョニングのオートマトンは、アーキテクチャ内にRHPサーバーまたはクライアントが存在しないローカル・モードで実行できます。

これらのオートマトンは、サーバーとクライアントのモードと同じユーザー・インタフェース、結果および多くのコマンド行オプションを備えています。  これにより、中央のRHPサーバーで編成された環境とRHPサーバーを使用しない環境にわたって、一貫性のある標準化されたメンテナンス手法が提供されます。

認証プラグイン

高速ホーム・プロビジョニング・サーバーとターゲット・サーバーの間の通信を認証するために、高速ホーム・プロビジョニングにより、ログイン資格証明を提供できます。または、高速ホーム・プロビジョニング・クライアントと通信する場合は、ほとんどの操作で、認証が内部的に自動処理されます。新しいプラグイン・フレームワークが追加のユーザー定義認証手順のサポートを有効にします。

顧客環境、特にコンプライアンスを意識した金融や電子商取引業界でのホスト間認証は、通常、高速ホーム・プロビジョニングでネイティブにサポートされていない高度なテクノロジや製品を活用します。この機能により、高速ホーム・プロビジョニングの認証とお客様のデータ・センターで使用されているメカニズムを統合できます。

構成ドリフトの報告と解決

ゴールド・イメージのプロビジョニングされたコピーは、たとえば、1回かぎりのパッチが適用された場合など、デプロイされた構成から潜在的にドリフトする可能性があります。  高速ホーム・プロビジョニングでは、このドリフトを報告して調整するための2つの機能があります。1.   高速ホーム・プロビジョニングでは、デプロイ済の特定のホームとその親をゴールド・イメージと比較し、ホームに適用されているがゴールド・イメージにないパッチがすべてリストされます。2.   高速ホーム・プロビジョニングは、特定のゴールド・イメージをデプロイ済のすべてのコピーと比較し、ゴールド・イメージにないホームに適用されたすべてのパッチの集計をリストします。これにより、元のゴールド・イメージのすべてのコピーに適用される可能性のある新しいゴールド・イメージのビルド仕様が提供され、新しいバージョンが適用されたときにそれらのデプロイメントからパッチが失われないようにします。オペレーティング・システム構成もドリフトの危険性があります。  高速ホーム・プロビジョニング・サーバーは、指定された高速ホーム・プロビジョニング・クライアントおよびターゲットのオペレーティング・システム構成とルート・ファイル・システムの内容を収集して保持できます。この情報は次の目的で使用できます。

-    現在の構成の表示 -    前回の収集からのドリフトを報告します

これらの機能は、データベース資産全体で標準化されたデプロイメントを維持するという目標をサポートします。

コマンド・スケジューラとバルク操作

高速ホーム・プロビジョニング・コマンドを、事前にスケジュールできます。  タスクを定期的に実行するようにスケジュールできます。  コマンド・キューが問合せおよび変更されます。  コマンドをクライアントのリストに適用することもできます。

自動化されたタスクをスケジュールしてバンドルする機能は、大規模なデータベース資産のメンテナンスにとって非常に重要です。  RHPは、ソフトウェア・ホームのプロビジョニング、新しいホームへの切替え、クラスタのスケーリングなどの主要なタスクのスケジューリングをサポートするようになりました。  また、クライアントのリストをコマンドに追加できるようになり、大規模な操作が容易になりました。

テスト実行コマンドの検証

高速ホーム・プロビジョニングのコマンドにカプセル化されたワークフローは、複数の小さな手順で構成されていますが、その中には失敗するものもあります。  新しいリリースには、コマンド実行前に潜在的な多くのエラーを見つけて修正できる「テスト実行」コマンド・モードが含まれています。

RHPでは、エラー状態が訂正された後に、失敗したコマンドを再開できますが、コマンドが実行される前に可能なかぎり多くの潜在的な問題に対処することが望ましい場合がよくあります。  これにより、メンテナンス期間中に発生する可能性のある訂正措置の問題と注意散漫が最小限に抑えられます。  新しい「テスト実行」コマンド・モードは、特定のコマンドを実行するための前提条件をテストして、何も変更を加えずに、潜在的な問題を報告します。  これらは、コマンドが実際に実行される前に訂正できます。

Oracle Databaseパスワード・ファイルの新しいデフォルトの場所

Oracle Databaseパスワード・ファイルのデフォルトの場所は、ORACLE_HOMEではなく、ORACLE_BASEになります。

ORACLE_HOMEではなくORACLE_BASEにOracle Databaseパスワード・ファイルを作成すると、Oracleホームをデータベース・ファイルの静的リポジトリとして使用できます。これにより、Oracleホームを読取り専用モードで構成し、複数のデータベース・サーバー間で共有できるソフトウェア・イメージとして使用できます。これにより、複数のデータベース・サーバーにパッチを配布するために1つのOracleホーム・イメージのみの更新で済むため、パッチ適用と大量ロールアウトが簡略化されます。

読取り専用Oracleホーム

Oracle Database 18c以降、読取り専用のOracleホームを選択すると、データベース・ツールおよびプロセスはOracleホーム・ディレクトリのかわりにORACLE_BASEパスの下に作成されます。

読取り専用Oracleホームは、ソフトウェアをデータベース構成情報およびログ・ファイルから分離します。このように分離することで、様々なデプロイメントの間でソフトウェアを簡単に共有できます。読取り専用Oracleホームは、バージョン管理と標準化も簡略化します。

RPMベースのデータベース・インストール

RPMベースのデータベース・インストール(RDI)を使用すると、Oracle DatabaseソフトウェアのRPMベースのインストールが可能になります。rpm-ivhコマンドを使用すると、RPMベースのデータベース・インストールでは、インストール前の検証が実行され、パッケージ化されたソフトウェアが抽出され、抽出されたソフトウェアの所有権が事前構成済のユーザーおよびグループに再割当てされ、Oracleインベントリが維持され、Oracle Databaseソフトウェアのインストールを完了するために必要なすべてのルート操作が実行されます。

RPMベースのデータベース・インストールを使用すると、RPMフレームワークを活用してOracle Databaseを簡単にデプロイできます。

パーティション化

パラレル・パーティション・ワイズSQL操作

パラレル・パーティション・ワイズ結合は、大きな結合を効率的かつ高速に処理するために一般的に使用されます。この機能は、次のSQL操作のためのパラレル・パーティション・ワイズ実行を導入します。

  • SELECT DISTINCT
  • ウィンドウ関数

パラレル・パーティション・ワイズSQL操作は、パーティション表の問合せパフォーマンスを大幅に向上させ、ユーザーの応答時間を向上させます。

パーティションとサブパーティションのオンライン・マージ

ALTER TABLE MERGE PARTITIONおよびSUBPARTITION SQL文でONLINEキーワードを使用すると、通常の(ヒープ構成の)表に対してオンライン・マージ操作を有効にし、進行中のパーティション・マージ操作で同時データ操作言語(DML)操作を提供できます。

オンラインでパーティション・メンテナンス操作を有効にすると、問合せ専用ウィンドウの期間を計画する必要なく、必要に応じてすべての操作をスケジュールして実行できます。これらの両方の機能により、アプリケーションの可用性が向上し、アプリケーション開発が簡単になります。

パーティション化戦略の変更

ALTER TABLE MODIFY PARTITION SQL文を使用して、通常の(ヒープ構成の)表のパーティション化戦略を変更できます。ハッシュ・パーティション化からレンジ・パーティション化などのパーティション化戦略の変更は、オフラインまたはオンラインで実行できます。索引は、表の変更の一部として保持されます。オンラインモードで実行すると、変換は進行中のDML操作に影響を与えません。

この機能により、パーティション表を手動で再作成せずに進化させることができます。オンラインで表の既存のパーティション化戦略を変更すると、アプリケーションはアプリケーションの停止時間なしに新しいビジネス要件のパーティション化を調整できます。

チューニング

SQLチューニング・アドバイザのExadataの機能強化

SQLチューニング・アドバイザには、Oracle Exadata Database Machine上で実行中のSQLをよりうまく調整するための追加のアルゴリズムがあります。

Oracle Exadata Database Machineでは、システム統計のI/Oシーク時間、マルチブロック読取り数およびI/O転送速度によって、スマート・スキャンのコストが異なります。これらのシステム統計の値は、通常、Oracle Exadata Database Machine上では異なるため、これらのシステム統計が最新でないかどうかを判断するための分析が行われます。これらの統計を収集すると計画が改善される場合、SQLチューニング・アドバイザはSQLプロファイルを受け入れることをお薦めします。

新しいSQLチューニング・セットAPI

DBMS_SQLSETを使用すると、SQLチューニング・セットを操作できます。DBMS_SQLSET内のサブプログラムは、DBMS_SQLTUNEのSQLチューニング・セット・サブプログラムと同等です。

SQLチューニング・セットは、いくつかのパフォーマンス・アドバイザおよびツールへの入力です。SQLチューニング・セットAPIを別のPL/SQLパッケージに分離すると、SQLチューニング・セットをプログラムで簡単に操作できます。

SQLパフォーマンス・アナライザによる同時SQL実行

SQLパフォーマンス・アナライザのデフォルトの動作は、パフォーマンスを測定するためのテスト時にSQLを順番に実行することです。場合によっては、非常に大きなSQLチューニング・セットが関与する場合、テスト・プロセスを高速化するためにSQLを同時に実行することが有益です。  この機能により、SQLパフォーマンス・アナライザの同時実行が可能になります。

SQLパフォーマンス・アナライザでの同時SQL実行を有効にすると、ユーザーはより迅速にテストを完了でき、柔軟性が向上します。

SQLパフォーマンス・アナライザ結果セットの検証

SQLパフォーマンス・アナライザ(SPA)の結果セットの検証では、最初のSPAテストおよびその後のテストで返された結果セットが類似しているかどうかを検証できます。問合せが期待どおりに正確に実行されていることをさらに保証します。

SPAの結果セット検証は、繰返しのSQL問合せが正確に同じデータセットを返すことをユーザーに保証します。これにより、問合せが期待どおりに実行されていることが検証され、特定の規制環境で必要です。

ユーティリティ

データ・フォーマット・エラーが発生した場合のデータ・ポンプ・スキップの継続ロード

新しいオプションCONTINUE_LOAD_ON_FORMAT_ERRORが、データ・ポンプ・インポート(impdp)のパラメータDATA_OPTIONSに追加されます。このオプションは、データのロード中にストリーム書式エラーが発生した場合、Data Pumpに次のグラニュルの先頭にスキップするよう指示します。ほとんどのストリーム書式エラーが、破損したダンプ・ファイルによって発生します。CONTINUE_LOAD_ON_FORMAT_ERRORオプションは、データ・ポンプでストリーム書式エラーが発生し、元のエクスポート・データベースを使用して表データを再度エクスポートできない場合に使用できます。データ・ポンプがデータをスキップすると、ソース・データベースのすべてのデータがインポートされるとはかぎらず、数百または数千の行がスキップされる可能性があります。

DBMS_DATAPUMP.SET_PARAMETERDATA_OPTIONSパラメータには、この動作を有効にすることもできる新しいオプションKU$_DATAOPT_CONT_LOAD_ON_FMT_ERRがあります。

現在の動作では、データ・ストリームのいずれかの部分に破損があると、Data Pumpが表データをロードできなくなります。この新しいオプションを使用すると、データ・ポンプは少なくとも読取り可能なデータをリカバリできます。

診断能力

一般

ORAchkでのウォレット統合

ORAchkデーモンは、あらかじめ定義された間隔でORAchkクライアント・ジョブを実行します。以前は、パスワード、自動実行スケジュールなどの構成パラメータ、ORAchkコレクションをアップロードするためのデータベース資格証明など、このデーモン用に構成されたパラメータはメモリーに格納されていました。これらのパラメータは、クライアント側のパスワードで保護されたOracle Walletに格納されるようになりました。

複数のクラスタを持つ大規模な統合に向けて、これらのクラスタを1つずつ管理することはますます困難になってきています。以前のリリースでは、ORAchkはデーモン・モード機能を使用してこれらのクラスタを手動で監視する必要性を排除しました。ORAchkデーモンは、スケジュールされてクラスタ上で起動されると、あらかじめ定義された間隔でORAchkクライアント・ジョブを単独で実行しました。ただし、マシンの再起動などの状況では、引き続き手動でデーモンを再起動する必要がありました。このリリースでは、ORAchkにウォレット統合が導入され、ORAchkはそれ自体で再起動し、以前にスケジュールされた間隔で実行されます。

異常検出のためのドメイン・サービス・クラスタのTFAサービス

現在、TFAはTFAコレクタを介して複数のノードにまたがる問題に関する関連情報を収集しています。このプロジェクトでは、TFAが受信者モードでも設定され、集中管理ログの監視と分析が行われます。クラスタ・ドメイン設定では、TFAはクラスタ・ドメインで受信者モードを実行し、メンバー・クラスタではコレクタ・モードを自動的に実行します。コレクタは、すべての診断先の状態や利用状況のメトリックを監視および収集して、その情報を受信者にストリーミングします。 TFAレシーバは、このデータを処理し、異常検出エンジンに渡します。異常検出エンジンは、このデータを使用して問題を診断し、このデータに基づいて訂正処置を提供します。ユーザーは、ブラウザ・インタフェースを介してこの異常分析にアクセスできます。

複雑なソフトウェア・システムは、診断データを連続的に生成するコンポーネントで構成されています。この膨大な量のログ・ファイルがある場合、それらの異常を見つけることは、乾草の中で針を見つけることのようなものです。また、問題(チケット/サービス・リクエスト)ごとにサービス・レベル契約が存在するため、解決に時間がかかるとビジネスに影響を与えます。 現在、TFAコレクタが、問題に関連する関連情報を検索します。ただし、この情報は引き続き問題の診断と解決のためにOracleサポートに提供する必要があり、そこでも問題の原因を手動で特定しようとします。  TFAサービスは、予防的に問題分析を行えます。ユーザーは、この分析を問い合せてTFAサービスから問題の推奨修正を得ることができます。これにより、オラクル社とお客様の両方の経費と時間が節約されます。

サービス・リクエスト・データ・コレクタを実装するためのTFAコレクタ

トレース・ファイル・アナライザは、診断トレース・ファイルをモニターして、様々なエラーおよびイベントに対して関連する診断データを複数のノードにわたって適時に収集します。   診断収集は、CRS、ASM、DBなどのコンポーネントによって駆動され、現在のところ、それらのコンポーネントに関連するすべてのデータが、指定された期間の有効なすべてのコンポーネントのすべてのデータを収集するために、デフォルト(コンポーネント指定なし)を使用して収集されます。  サポート内には、お客様がORA-00600やインスタンスの追出しなど、様々な問題のために収集する診断をリストしたサポート・リクエスト・データ収集文書があります。  プロジェクトは、このデータをサポートからモデル化して、問題に関連する特定のデータのみを自動収集する方法を提供します。

現在、データベース・システムには、ビジネス要件を満たすために連携する複数のコンポーネントがあります。これらのコンポーネントは、多くの診断データを生成し、問題が発生したときに解析して診断する必要があります。現在、TFAコレクタは、複数のノードにわたる問題に関連するログのみを収集することによって、このプロセスをある程度自動化しています。ただし、このコレクションは引き続きかなり広範囲であり、問題の時系列内の複数のコンポーネントのログからの情報が含まれています。このコレクションでは、Oracleサポートが引き続き問題に関連する特定の情報を手動で見つける必要があります。TFA SRDC (サービス・リクエスト・データ・コレクタ)は、サービス・リクエストからのデータから作成されたモデルに基づいて、問題に関連する情報のみをより正確に収集します。これにより、問題解決時間が短縮され、オラクル社とお客様の両方の時間と経費が節約されます。

デフォルト値でのORAchkの事前構成

ORAchkデーモンは、あらかじめ定義された間隔でORAchkクライアント・ジョブを実行します。以前は、ユーザーはORAchkコレクションをアップロードするためのデータベース構成などの構成パラメータを設定し、すべてのクラスタで少なくとも1回デーモンを起動する必要がありました。ORAchkはデフォルト値で事前構成され、グリッド・インフラストラクチャがインストールされると自動的に起動します。

複数のクラスタを持つ、DBaaSなどの高度に統合された環境では、これらのクラスタを個別に管理することが困難になります。以前のリリースでは、ORAchkデーモンはユーザーが各クラスタで少なくとも1回手動で構成した後でのみ独自に実行されます。ORAchkデーモンはデフォルト値で事前構成されているため、各クラスタでORAchkデーモンを手動で起動する必要はありません。グリッド・インフラストラクチャがインストールされると自動的に起動します。

パフォーマンス

Database In-Memory

インメモリー式の動的獲得ウィンドウ

ユーザーは、インメモリー式を取得する時間ウィンドウを定義できます。

以前のリリースでは、ユーザーは過去24時間またはデータベース作成以降の取得間隔しか指定できませんでした。取得ウィンドウは柔軟で動的なため、ユーザーはワークロード・サイクルに適合させることができます。

自動インメモリー

自動インメモリーは、ヒート・マップ・データ、列の統計情報およびその他の関連統計を使用して、IM列ストア内のオブジェクトを管理します。メモリー圧迫状態になると、より頻繁にアクセスされるセグメントが移入の恩恵を受ける場合、IM列ストアは非アクティブなセグメントを削除します。

以前のリリースでは、どのセグメントがIM列ストアから最も恩恵を受けるかを知ることは困難でした。インメモリー・アドバイザは便利ですが、実際に使用することが、移入に最適なセグメント・セットを決定する最良の方法です。自動インメモリー管理は、IM列ストアに割り当てられたDRAMメモリーの利点を最大限に活用し、分析ワークロードに最適な分析応答時間を提供します。

外部表に対するDatabase In-Memoryサポート

インメモリー列ストアは外部表の移入をサポートしているため、ユーザーは外部データ・ストアで高度な分析問合せを実行できます。この機能は、Oracle Database In-Memoryのパフォーマンス機能を活用し、外部記憶域の不要なアクセスを回避するため、外部データの繰返し問合せに特に役立ちます。

ユーザーは、Oracleデータベースよりもはるかに大きなデータ・ドメインで高度な分析を実行できるという利点があります。Hadoop分散ファイル・システム(HDFS)またはその他のビッグ・データ・ソースなどの外部ソースからのデータは、集計してIM列ストアに移入できます。ユーザーは、ソース・データで実行するには高価すぎる可能性のあるアド・ホック分析問合せを繰り返し実行できます。

インメモリー動的スキャンを使用した柔軟なパラレル化

インメモリー動的スキャンは、インメモリー表スキャンの透過的かつ動的なパラレル実行を可能にします。以前のリリースでは、データベースは従来のOracleパラレル実行を使用していました。従来のフォームは引き続きサポートされていますが、IM動的スキャンはIM列ストアに固有であり、CPU使用率に応じて動的に調整されます。IM動的スキャンは、Oracle Database Resource Managerを使用する必要があります。

IM動的スキャンは、IMCU内で操作をパラレル化します。つまり、単一列の操作がパラレルで実行されます。動的スキャンはIMCU間でもパラレル化されます。つまり、IMCUのスキャンはパラレルで実行されます。このように、インメモリー・スキャンは、使用可能なCPUリソースを動的かつ透過的に活用することによって、はるかに高速に実行できます。

インメモリー最適化算術

インメモリー最適化算術は、共通の指数でスケーリングされた固定幅のネイティブ整数としてOracle Numbersをエンコードします。データベースは新しいSIMD最適化形式を使用して、ハードウェアで計算を実行できます。

すべての行ソースが新しい形式をサポートするわけではないため、IM列ストアでもOracle Numbersをネイティブ形式で格納する必要があります。スペース・オーバーヘッドの増加は、一部の表で15%にも上る可能性があります。パフォーマンスの向上がすべての顧客環境に役立つわけではないため、この機能はデフォルトでは無効になっています。これを有効にするには、初期化パラメータを設定し、インメモリー・オブジェクトの特定の圧縮レベルを構成します。

単純集計とGROUP BY集計のどちらもメモリー・オーバーヘッドの増加が比較的小さいため、インメモリー最適化算術から大きな恩恵を受けることができます。パフォーマンス・エンジニアは、3倍から9倍の一貫したゲインを観測しています。

一般

スケーラブルな順序

順序は、CREATE SEQUENCEまたはALTER SEQUENCE文でSCALE句を指定することによってスケーラブルにできます。スケーラブルな順序は、高いレベルの同時性を持つデータ収集ワークロードのための順序付けられていない主キーまたは一意キーを生成するために使用すると特に効率的です。スケーラブルな順序は、順序と索引ブロックの競合を大幅に削減し、CREATE SEQUENCEまたはALTER SEQUENCE文のCACHE句を使用して非常に大きな順序キャッシュを構成するソリューションと比較して、優れたデータ・ロード・スケーラビリティを提供します。

スケーラブルな順序は、同時データ・ロード操作のパフォーマンスを向上させます。特に、順序値を単一のOracleデータベース・インスタンスおよびOracle RACデータベース内の表の主キー列の移入に使用する場合です。

Memoptimized Rowstore

Memoptimized Rowstoreは、主キー列に基づいて頻繁に問い合される表のデータの高速検索を可能にします。

Memoptimized Rowstoreは、Internet of Things (IoT)など、主キー列に基づいて表を頻繁に問い合せるアプリケーションのデータ問合せパフォーマンスを改善します。

RACおよびグリッド

ASMおよびACFS

メンバー・クラスタのストレージ変換

ASMCMDコマンドを使用してメンバー・クラスタの構成を管理できます。たとえば、直接Oracle ASMから間接Oracle ASMへ、または間接Oracle ASMから直接Oracle ASMへストレージ方法を変更できます。

ASMデータの信頼性強化

この機能強化は2つの変更を意味します。最初に、デフォルトのディスク障害のタイムアウト間隔(DISK_REPAIR_TIME)が3.6時間から12時間に延長されます。多くの環境では、複数のディスク障害によるデータ損失に対して安全に対処すると同時に、一時的な障害発生時にディスクを早期に削除する不必要なオーバーヘッドを削減するには12時間がより適しています。2番目の機能強化では、CONTENT_HARDCHECK.ENABLEDという新しいディスク・グループ属性が提供され、Exatadata環境でハードウェア支援冗長データ(HARD)チェックを有効または無効にできます。

これらの2つの機能強化により、Exadataのお客様は、ASMが最も重要なデータ保護をどのように提供するかをより詳細に制御できます。具体的には、ハードウェア支援冗長データ・チェックや、障害が発生したディスクのASMディスク・グループからの自動削除です。

ASMデータベースのクローニング

ASMデータベースのクローニングは、マルチテナント・データベース(PDB)のクローニングを提供します。 この機能は、ASMの冗長性を利用して機能します。以前は、ハードウェア障害時のデータ損失に対する保護として、ASMはファイルのエクステントの追加冗長コピーを2つまで提供していました。フレックス・ディスク・グループは、最大5個の冗長コピーを提供し、1つ以上のコピーを分割してほぼ即時のレプリカを提供できるようになりました。

ストレージ・アレイ・ベースのレプリケーションと比較した場合のASMデータベース・クローニングの利点は、ASMデータベース・クローンが、物理記憶域のファイルまたはブロックではなく、完全なデータベース(PDB)をレプリケートすることです。ストレージ・アレイまたはファイル・システム・ベースのレプリケーションは、データベース環境では、レプリケーションを実行する基礎となるテクノロジとレプリケートされるデータベース・オブジェクト間の調整が必要です。ASMデータベース・クローンを使用すると、管理者は、物理的な記憶域レイアウトを理解しておく必要はありません。これは、ASMフレックス・ディスク・グループで提供されているデータベース指向の記憶域管理のもう1つの側面です。

カスケード・オプションを使用したOracle ASMファイル・グループの削除

ALTER DISKGROUP ... DROP FILEGROUP SQL文でCASCADEキーワードを使用して、ファイル・グループとその関連ファイルを削除できます(内容を含んだ削除)。

制限付きマウントなしの通常または高冗長ディスク・グループのフレックス・ディスク・グループへの変換

制限付きマウント(MOUNTED RESTRICTED)オプションを使用せずに、従来のディスク・グループ(Oracle Database18cより前に作成されたディスク・グループ)をOracle ASMフレックス・ディスク・グループに変換できます。

ASMフレックス・ディスク・グループには、クォータ管理やデータベース・クローニングなどの新しい機能がいくつか用意されています。Oracle 18cでは、通常または高冗長ディスク・グループの環境から移行するお客様は、既存のディスク・グループをフレックス・ディスク・グループへ変換するためのシームレスな手段を用意することで恩恵が得られます。18cより前のリリースでは、ディスク・グループを移行するお客様はディスク・グループを制限モードでマウントする必要があり、移行中に構成の変更ができませんでした。

メンバー・クラスタ用のOracle ACFSリモート・サービス

ローカル・ストレージが接続されたOracleメンバー・クラスタのサポートに加えて、Oracle ACFSは、ローカル・ストレージ(間接ストレージ・メンバー・クラスタ)が接続されていないメンバー・クラスタ上のネイティブOracle ACFS機能に対してOracle ACFSリモート・サービスを提供します。Oracleドメイン・サービス・クラスタ(DSC)でOracle ACFSのデプロイメントを利用すると、Oracle ACFSのリモート・サービスをOracle Application Clusterとデータベース・メンバー・クラスタの両方で使用して、アプリケーションおよびデータベースの柔軟なファイル・システム・ベースのデプロイメントを可能にできます。NFSベースのエクスポートとは異なり、Oracle ACFSリモート・サービスは、宛先メンバー・クラスタ上でレプリケーション、スナップショットおよびタグ付けなどの高度なOracle ACFS機能を完全にサポートします。

クラスタ・ヘルス・アドバイザ

クラスタ・ヘルス・アドバイザ・クロス・データベース分析のサポート

統合されたDBaaSのプライベート・クラウド・デプロイメントでは、複数のデータベースが同じ物理サーバーとそのリソースを共有しています。以前のリリースでは、クラスタ・ヘルス・アドバイザは、ホストされている各データベース・インスタンスを個別に分析し、パフォーマンスまたは可用性の問題の原因がそれ自身のものか外部のものかを検出することしかできませんでした。新しいクロス・データベース分析がサポートする外部の問題は、特定のデータベースを対象にできるため、より信頼性の高い診断と改善された訂正処理が得られます。

早期の警告、対象を絞った診断および訂正処理は、24時間×7日体制で使用可能で高性能となるように設計された現代のデータベース・デプロイメントの導入にとって不可欠な機能です。統合されたDBAaSプライベート・クラウドは、同じ物理リソースを共有しているデータベースと、これらのデプロイメント内の1対多のDBA対DBスタッフの相互作用が原因で特に難解です。Oracle Cluster Health Advisorは、これらの複雑なマルチデータベース環境の分析をサポートするようになりました。特定のデータベースの原因と訂正処理の早期の警告通知を表示することにより重要度の判定が高速化し、管理者はITスタッフと停止に関わる費用を節約しながら可用性とパフォーマンスを積極的に維持できます。

クラスタ・ヘルス・アドバイザ・クロス・クラスタ分析のサポート

以前のリリースでは、Oracle Cluster Health Advisorは各クラスタ・ノードを個別に分析しました。Oracle Cluster Health Advisorは、パフォーマンスまたは可用性の問題の原因がそれ自身のものか外部のものかを検出することしかできませんでした。新しいクラスタ間分析のサポートにより、Oracle Cluster Health Advisorは外部の問題を特定のクラスタ・ノードを対象にでき、より信頼性の高い診断と改善された訂正処理が得られます。

Oracle Cluster Health Advisorが、データベースまたはクラスタのパフォーマンスの低下や差し迫った問題の原因を特定のノードの特定の根本原因を的に絞ることにより、訂正処理を適用してデータベースの可用性やSLAの侵害を防ぐための応答時間が大幅に改善されています。

一般

共有単一クライアント・アクセス名

共有単一クライアント・アクセス名(SCAN)を使用すると、データ・センター内の1つの専用クラスタ上の1組のSCAN仮想IP (VIP)とリスナー(SCAN設定と呼ばれます)と他のクラスタの共有を可能にし、クラスタごとに1つのSCAN設定のデプロイメントを回避して、SCAN関連のDNSエントリの数を減らすのみでなく、クラスタ構成のためにデプロイする必要のあるVIPの数を減らせます。

共有SCANは、複数のシステムで同時に使用できる共有SCAN設定を提供することにより、データ・センター内のクラスタのグループのデプロイメントと管理を簡素化します。

NodeVIPレスのクラスタ

NodeVIPレスのクラスタを使用すると、パブリック・ネットワーク上のnodevipを明示的に構成する必要なしで、クラスタの構成が可能になります。ClusterwareレベルのVIPリソースは引き続き維持されますが、クラスタ内のノードごとに追加のIPをプロビジョニングする必要はありません。より大規模なクラスタ資産では、サブネットごとに数百のIPを節約できます。

NodeVIPレス・クラスタは、クラスタ内のノードごとの追加IPの必要性をなくすことによって、クラスタのデプロイメントと管理を簡素化します。

クラスタ・ドメイン・プロキシ

クラスタ・ドメイン・プロキシは、あるクラスタから別のクラスタへのリソース状態変更通知を提供し、あるクラスタ内のリソースが別のクラスタ内のリソースへの依存関係にかわって動作できるようにします。たとえば、クラスタ・ドメイン・プロキシを使用して、Oracle Application Member Cluster内のアプリケーションが、Oracle Database Member Clusterでホストされている関連データベースが使用可能な場合にのみ確実に起動するようにできます。同様に、クラスタ・ドメイン・プロキシを使用して、ドメイン・サービス・クラスタ上のOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)インスタンスが少なくとも1つ使用可能な場合にのみ、Oracle Database Member Cluster内のデータベースが確実に起動するようにできます。

クラスタ依存関係プロキシは、複数のクラスタに広がる分散インフラストラクチャで実行されるアプリケーションの管理を簡素化し、可用性を向上します。

gridSetupベースの管理

gridSetup.shまたはgridSetup.batを使用したゴールド・イメージ・ベースのインストールが、Oracle Universal Installerを使用してOracle Grid Infrastructureをインストールする方法に置き換わります。gridSetupベースの管理を使用して、クローニング、addNode操作、deleteNode操作およびダウングレードなどの管理タスクをgridSetup.shまたはgridSetup.batコマンドを使用して実行できます。

gridSetupベースの管理機能は、統合されたシンプルなツールを使用して、デプロイおよびデプロイメント関連の管理タスクを簡素化します。

リーダー・ノードのパフォーマンスの分離

リーダー・ノード・アーキテクチャでは、読取り/書込みインスタンスで行われた更新は、オンライン・レポート作成または即座の問合せに使用できるリーフ・ノード上の読取り専用インスタンスにただちに伝播されます。リーダー・ノード・パフォーマンスの分離により、リーフ・ノード上の関連するデータベース・インスタンスが更新を処理できなくても、ハブ・ノード上のOLTPワークロードの継続が可能です。

リーダー・ノードを使用した水平スケーリングは、緩やかなリーフ・ノードベースのインスタンスではOLTPのワークロードが遅くなったり影響を与えたりしないため、さらに改善されています。

RACアフィニティ・シャーディングのUCPサポート

RACアフィニティ・シャーディングは、関連するキャッシュ・エントリのグループが単一のキャッシュ・パーティション内に含まれることを保証します。Oracle RACデータベースでデータ・アフィニティが有効になっている場合、親和化された表のデータが、特定のパーティションまたは表の行のサブセットが特定のOracle RACデータベース・インスタンスに親和化されるようにパーティション化されます。

向上したキャッシュの局所性とデータ・アフィニティとのノード間の同期の減少により、アプリケーションのパフォーマンスとスケーラビリティが向上します。

セキュリティ

一般

ユーザー定義のマスター暗号化鍵を作成する機能

このリリースでは、ユーザー定義のマスター暗号化鍵を作成する機能が導入されました。これは「独自の鍵を使用する」とも呼ばれます。

ユーザー定義の鍵を作成するには、ADMINISTER KEY MANAGEMENT SET [ENCRYPTION] KEYまたはADMINISTER KEY MANAGEMENT CREATE [ENCRYPTION] KEY文を使用してマスター暗号化鍵を作成するときに、独自のマスター鍵識別値を指定します。この機能強化は、ハードウェア・キーストアではなく、ソフトウェア・キーストアでのみ使用されるマスター暗号化鍵に適用されます。これは、マルチテナントではないスタンドアロン環境やマルチテナント環境でも使用できます。

この機能の主な利点は、Oracle Databaseの外部で、信頼できる環境で鍵を生成できることです。さらに、これらの鍵をOracle Advanced Security TDEのマスター暗号化鍵として使用できます。

たとえば、クラウド・デプロイメントでは、クラウド・プロバイダに頼るのではなく、管理する信頼できる環境でこれらの鍵を作成できます。暗号化のために信頼する鍵を挿入するが、後でキーを置き換える必要があると判断した場合は、クラウド・プロバイダの介入なしに別のキーを挿入できます。

この機能を補完するために、Oracle Data Guardスタンバイ・データベースからの非アクティブなマスター暗号化鍵の自動削除を構成することもできます。

Oracle Data Pumpでデータベース・リンクに暗号化されたパスワードを使用する機能

データベース・リンク・パスワードを処理する動作は、このリリースで変更されています。

データベース・リンクのパスワードが暗号化されるようになりました。Oracle Data Pumpは、これらのパスワードのエクスポートとインポートを処理します。古いバージョンからのインポート操作と古いバージョンへのエクスポート操作は引き続き使用できます。

この機能の利点は、暗号化されたデータベース・リンクのパスワードを侵入者が復号化するのを防ぐことです。

各プラガブル・データベースのキーストアを作成する機能

コンテナ・データベース(CDB)全体に対して1つのキーストアのみが存在するのではなく、各プラガブル・データベース(PDB)が独自のキーストアを持てます。

各PDBキーストアには、独自のマスター暗号化鍵を持つことに加えて、独自のパスワードを持てます。

この機能の利点は、CDBルート・レベルでキーストアを共有するのではなく、マルチテナント環境で各テナント(PDB)が独立したキー管理操作を実行できることです。この機能は、キーストアの場所とキーストアのタイプの構成を容易にするパラメータを提供するため、マルチテナント環境と非マルチテナント環境の両方に役立ち、sqlnet.oraファイルを編集する必要はありません。

この機能は、PDBがコンテナ・データベース(CDB)と単一のキーストアを共有する既存の動作を引き続きサポートします。

さらにこの機能により、一部のPDBは、コンテナ・データベース(CDB)および一部のPDBとキーストアを共有し、独自のキーストアを持てます。

 

テナント間でのキーストアの分離は、マルチテナント環境において望ましい面です。

この機能は、次の理由でPDB間の分離をより強化します。

1.各PDBには、コンテナまたは同じCDBに接続された他のPDBとは共有されない独自のキーストアがあります

2. 各PDBには、コンテナまたは同じCDBに接続された他のPDBとは共有されない独自のパスワードがあります

3. CDBルート・レベルでキーストアを共有するのではなく、マルチテナント環境で各テナント(PDB)が独立したキー管理操作を実行できるようにします。

 

Oracle Data Pumpを使用して統合監査証跡をエクスポートおよびインポートする機能

このリリースから、Oracle Data Pumpを使用した完全なデータベースのエクスポートまたはインポート操作の一部として、統合監査証跡をエクスポートおよびインポートできます。

ユーザー・インタフェースに変更はありません。データベースのエクスポートまたはインポート操作を実行するときに、統合監査証跡が自動的にData Pumpダンプ・ファイルに組み込まれます。

この機能は、以前のリリースと同様に、監査レコードのダンプ・ファイルを作成する必要があるユーザーに役立ちます。

Active DirectoryサービスとOracle Databaseの統合

このリリースから、Microsoft Active Directoryを使用して直接ユーザーを認証および承認できます。

集中管理されたユーザー(CMU)では、Oracle Enterprise User Security (EUS)または別の中間ディレクトリ・サービスを使用せずに、OracleデータベースのユーザーおよびロールをActive Directoryのユーザーおよびグループに直接マップできます。EUSは置き換えられていないか、推奨されていません。Microsoft Active Directoryを使用してユーザーを認証および認可するのみの場合には、この新しい機能が、より簡単な別の選択肢です。

Microsoft Active Directoryとの直接統合により、エンタープライズID管理アーキテクチャを持つ高速で簡単な構成を使用して、より優れたセキュリティがサポートされます。過去には、ユーザーは、難しさと複雑さのためにデータベースとディレクトリ・サービスを統合するセキュリティの実践を回避していた可能性があります。直接統合では、データベースをより簡単にエンタープライズ・ディレクトリ・サービスに統合することで、セキュリティに対する姿勢を向上させることができます。

スキーマのみの作成アカウントを作成する機能

クライアントがスキーマにログインすることを許可せずに、オブジェクト所有権のためのスキーマのみのアカウントを作成できるようになりました。

ユーザー(または他のクライアント)は、アカウントが認証方法を受け入れるように変更されていないかぎり、データベース・スキーマにログインできません。ただし、このタイプのスキーマ・ユーザーは、単一のセッション・プロキシでプロキシを設定できます。

データ・ディクショナリの機密データを暗号化する機能

このリリースから、データ・ディクショナリのSYS.LINK$およびSYS.SCHEDULER$_CREDENTIALシステム表に格納されている機密性の高い資格証明データを暗号化できます。

以前のリリースでは、またこのリリースのデフォルトでは、これらの表のデータは不明瞭化されています。ただし、インターネット上で利用可能な不明瞭化解除アルゴリズムが登場したため、より安全なソリューションを使用してこの種の機密データを保護することが重要です。このデータは、ALTER DATABASE DICTIONARY SQL文を使用して手動で暗号化できます。

データベース・リプレイ・ファイルの機密データの暗号化

データベース・リプレイは、データベースのワークロードを取得し、それをテスト・システムで再生します。以前のバージョンでは、取得ファイルが暗号化されていないため、機密データが不正に表示できる可能性がありました。この機能強化では、データベース取得ファイル内のすべての機密データが暗号化されます。

データベースのリプレイ中に取得されたデータは、取得ファイルに保存されます。この機能強化では、取得ファイルに保存されているデータが暗号化されます。データを暗号化すると、不正なアクセスからデータを保護し、必要なセキュリティ標準に準拠しているか確認できます。

Oracle Database VaultによるOracle Database Replayのサポート

このリリースでは、Oracle Database Vault環境でOracle Database Replay操作を実行できるようになりました

Oracle Database Vaultシミュレーション・モードの機能強化

このリリースのOracle Database Vaultでは、シミュレーション・モードがいくつか変更されています。

  • シミュレーションモードでは、SQL文からすべての必須レルム違反を取得するようになりました。
  • シミュレーションモードでは、完全なコール・スタック情報を取得できます。
  • デフォルトの信頼できるパス・コンテキスト・ファクタは、連結されるかわりに別々の列として使用できるようになりました。

SQL文からすべての必須レルム違反を取得すると、必要な変更をすべて表示できます。それ以外の場合、最初の必須レルム違反が、元の修正が完了して別の回帰テストが実行されるまで気付かれない違反を隠す可能性があります。この機能強化により、高速の回帰テストとアプリケーションの動作確認が可能になります。完全なコール・スタックを見ると、違反があるSQL文を識別するのに役立ちます。多くの場合、同様のSQL文がアプリケーションの様々な部分から呼び出されます。この機能は、アプリケーション開発者が、違反を引き起こしたアプリケーション・コードを迅速に特定するのに役立ちます。コンテキスト・ファクタが、レルムとコマンド・ルールの信頼できるパスを構築するために使用されます。  信頼できるパスには一般的に使用されるいくつかのファクタがあるため、これらは最後のリリースの単一の文字列表現から独自の列に抽出されました。この機能強化により、信頼できるパス・ルール・セットで使用するファクタを簡単に特定できます。