Oracle Automatic Storage Management用のディスクの手動構成

ダイレクト接続ストレージ(DAS)またはストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)でOracle Automatic Storage Managementを使用するには、ディスクにヘッダーを付ける必要があります。

対話型モードでOracle Restartをインストールする場合は、インストール・プロセス中にOracle Universal Installerによってディスクのヘッダーが構成されます。ただし、レスポンス・ファイル・モードでOracle Restartをインストールする場合は、インストールの前にasmtoolg (GUI)またはasmtool (コマンドライン)を使用してディスクを構成しておく必要があります。これらのツールを使用して、インストール後にディスクを再構成することもできます。asmtoolgおよびasmtoolユーティリティはパーティション化されたディスクでのみ動作します。パーティション化されていないディスクではOracle Automatic Storage Managementを使用できません。

asmtoolgおよびasmtoolツールは、ディスクに意味のある永続的な名前を関連付けることによって、Oracle Automatic Storage Managementでこれらのディスクを使用しやすくします。Oracle Automatic Storage Managementでは、ディスクをグループ化しやすくするために、ディスク文字列を使用します。したがって、asmtoolgまたはasmtoolが作成する名前を使用すると、Windowsのドライブ文字よりもグループ化が容易になります。

asmtoolgまたはasmtoolで作成されたディスク名は、識別のためにすべて接頭辞ORCLDISKで始まり、その後にユーザー定義の接頭辞(デフォルトはDATA)とディスク番号が続きます。

asmtoolgツールの使用(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)

asmtoolgツールはデバイス名を作成するためのグラフィカル・インタフェースです。asmtoolgを使用して、Oracle Automatic Storage Managementで使用可能なデバイスを追加、変更、削除および調査します。

ディスク・スタンプを追加または変更するには:

  1. Oracle Grid Infrastructure 18cというラベルのインストール・メディアで、メディアのルートからasmtoolディレクトリに移動し、asmtoolg.exeをダブルクリックします。

    Oracle Databaseがインストールされている場合は、ORACLE_HOME\binに移動し、asmtoolg.exeをダブルクリックします。

    ユーザー・アカウント制御が有効な場合は、デスクトップにコマンド・プロンプト・ウィンドウのショートカットを作成します。デスクトップにそのショートカットのアイコンが表示されます。新しく作成されたショートカットのアイコンを右クリックし、「管理者として実行」を指定します。コマンド・ウィンドウが開いたら、ORACLE_HOME\binに移動し、asmtoolgと入力します。

  2. 「Add or change label」オプションを選択し、「Next」をクリックします。

    asmtoolgツールにより、システムで使用可能なデバイスが表示されます。認識されないディスクには「Candidate device」、スタンプ付きのOracle Automatic Storage Managementディスクには「Stamped ASM disk」、スタンプなしのOracle Automatic Storage Managementディスクには「Unstamped ASM disks」というラベルが付けられます。このツールでは、Windowsによってファイル・システムとして認識されるディスク(NTFSなど)も表示されます。これらはディスクとしては使用できないため、選択できません。また、Microsoftのダイナミック・ディスクもOracle Automatic Storage Managementディスクとしては使用できません。

  3. Stamp Disksウィンドウで、スタンプを付けるディスクを選択します。

    Oracle Automatic Storage Managementでは、指定した接頭辞に対して選択されたすべてのデバイスに、一意のスタンプを生成できます。スタンプは、指定された接頭辞と番号を連結することによって生成されます。たとえば、接頭辞がDATAの場合、最初のOracle Automatic Storage Managementリンク名はORCLDISKDATA0となります。

    また、個々のデバイスのスタンプも指定できます。

  4. (オプション)ディスクを選択して、個々のスタンプ(Oracle Automatic Storage Managementリンク名)を編集します。

  5. 「次」をクリックします。

  6. 「終了」をクリックします。

ディスク・スタンプを削除するには:

  1. 「Delete labels」オプションを選択した後、「Next」をクリックします。

    「delete」オプションは、ディスクがスタンプされている場合にのみ使用できます。削除ウィンドウには、すべてのスタンプ付きOracle Automatic Storage Managementディスクが表示されます。

  2. Delete Stampsウィンドウで、スタンプを削除するディスクを選択します。
  3. 「次」をクリックします。
  4. 「終了」をクリックします。

例5-1 asmtoolユーティリティの使用(コマンドライン)

asmtoolユーティリティは、ディスクにスタンプを付けるためのコマンドライン・インタフェースです。ユーザー・アカウント制御が有効な場合は、デスクトップにコマンド・プロンプト・ウィンドウのショートカットを作成できます。デスクトップにそのショートカットのアイコンが表示されます。新しく作成されたショートカットのアイコンを右クリックし、「管理者として実行」を選択します。次に、asmtoolを起動します。

これには、次のオプションがあります。

オプション 説明

-add

スタンプを追加または変更します。ハードディスク、パーティションおよび新規のスタンプ名を指定する必要があります。ディスクがRAWデバイスまたは既存のOracle Automatic Storage Managementスタンプが付いている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。また、使用可能なディスクを再スキャンするためのOracle Automatic Storage Managementインスタンスも設定します。

例:

asmtool -add [-force]
\Device\Harddisk1\Partition1 ORCLDISKASM0
\Device\Harddisk2\Partition1 ORCLDISKASM2...

-addprefix

スタンプを自動的に生成するために、共通の接頭辞を使用してスタンプを追加または変更します。スタンプは、指定された接頭辞と番号を追加することによって生成されます。ディスクがRAWデバイスまたは既存のOracle Automatic Storage Managementスタンプが付いている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。また、使用可能なディスクを再スキャンするためのOracle Automatic Storage Managementインスタンスも設定します。

例:

asmtool -addprefix ORCLDISKASM [-force]
\Device\Harddisk1\Partition1
\Device\Harddisk2\Partition1...

-list

使用可能なディスクの一覧を表示します。スタンプ、Windowsデバイス名およびMB単位のディスク・サイズが表示されます。ディスクがファイル・システムの場合、スタンプは付けられません。ディスクがRAWデバイスまたは既存のOracle Automatic Storage Managementスタンプが付いている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。

例:

asmtool -list [-force]

-delete

ディスクから既存のスタンプを削除します。また、使用可能なディスクを再スキャンするためのOracle Automatic Storage Managementインスタンスも設定します。

例:

asmtool -delete ORCLDISKASM0 ORCLDISKASM1...