5 スタンドアロン・サーバーでのOracle Grid Infrastructureのインストールおよび構成

Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を使用する場合は、データベースをインストールする前に、Oracle Restartをインストールする必要があります。

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureは、単一インスタンス・データベースをサポートするOracle Grid Infrastructureのバージョンです。このサポートには、ボリューム管理、ファイル・システムおよび自動再起動の機能が含まれます。スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureには、Oracle RestartおよびOracle Automatic Storage Managementが含まれます。2つのインフラストラクチャ製品は、一式のバイナリに結合され、Oracle Restartホームにインストールされます。

Oracle RestartはOracle Grid Infrastructureの一部として提供される機能です。Oracle Restartでは、Oracle Databaseインスタンス、Oracle NetリスナーおよびOracle ASMインスタンスを監視したり再起動できます。Oracle Restartでは、現在Oracle DatabaseおよびOracle ASMインスタンスを1インスタンスのみ管理できるよう制限されており、今後のリリースでは、サポートされなくなる可能性があります。Oracle ASMは引き続き、スタンドアロン・サーバーおよびクラスタ・デプロイメント用のOracle Grid Infrastructureインストールの一部として提供されます。

Oracle Automatic Storage Managementは、Oracle Databaseファイルのボリューム・マネージャおよびファイル・システムで、単一インスタンスOracle DatabaseとOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)の構成をサポートします。また、Oracle Databaseバイナリなど、アプリケーションの要件に対して汎用ファイル・システムもサポートします。Oracle Automatic Storage Managementは、従来のボリューム・マネージャおよびファイル・システムに代わるOracle推奨のストレージ管理ソリューションです。

Oracle Restartは、次のようにしてOracleデータベースの可用性を向上させます。

  • ハードウェアまたはソフトウェアの障害が発生した場合、すべてのOracleコンポーネント(Oracleデータベース・インスタンス、Oracle Netリスナー、データベース・サービス、Oracle ASMなど)は、Oracle Restartにより自動的に起動されます。

  • データベース・ホストの再起動時、コンポーネントを正しい順序で起動します。

  • 定期的なチェックを実行してOracleコンポーネントの状態を監視します。チェック操作がコンポーネントで失敗すると、そのコンポーネントは停止し、再起動されます。

ノート:

  • Oracle Grid Infrastructureのクラスタ・メンバー・ノードにOracle Restartをインストールすることも、Oracle Grid Infrastructureのクラスタ・メンバー・ノードにOracle Restartサーバーを追加することもできません。クラスタ用のOracle Grid Infrastructureでは、クラスタ上の単一インスタンス・データベースまたはOracle RACデータベースがサポートされますが、Oracle Restartでサポートされるのは、1つのサーバー上の単一インスタンス・データベースです。

  • データベースがすでに存在するホスト・コンピュータにスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールする場合は、データベースの自動再起動を構成する前に、データベース、リスナー、Oracle ASMインスタンスおよびその他のコンポーネントをOracle Restart構成に手動で追加する必要があります。

  • Oracle Grid InfrastructureのOracle Restart実装は、単一インスタンス(非クラスタ)環境でのみ使用できます。Oracle Grid Infrastructureは、クラスタ環境のOracle Clusterwareで使用します。

  • スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureでは、1つのホスト・コンピュータ上で複数の単一インスタンス・データベースをサポートできます。

新規データベース・インストールによるスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストール

このOracle Restartのインストール・ステップを完了してから、Oracle Restartで管理するデータベースを作成します。

Oracle Restartのインストールによって、Oracle RestartとOracle ASMをインストールして、1つのディスク・グループを作成します。

  1. Oracle Restartソフトウェア所有者ユーザー(grid)としてログインします。
  2. Oracle Grid Infrastructureのインストール・イメージ・ファイルをダウンロードし、Gridホーム・ディレクトリを作成し、イメージ・ファイルをGridホーム・ディレクトリに解凍します。

    次に例を示します。

    C:\> mkdir \app\oracle\product\18.0.0\grid

    C:\> icacls grid:oinstall \app\oracle\product\18.0.0\grid

    C:\> cd \app\oracle\product\18.0.0\grid

    C:\> unzip -q download_location\grid_home.zip

    ノート:

    作成するグリッド・ホーム・ディレクトリが、Oracle Optimal Flexible Architectureの推奨事項に従っていることを確認してください。また、インストール・イメージ・ファイルは、作成したこのGridホーム・ディレクトリのみに解凍します。

  3. setup.exeを実行して、Oracle Grid Infrastructureインストール・ウィザードを開始します。

    C:> Grid_home\setup.exe

  4. 「構成オプションの選択」画面で、「Oracle Restartの構成」オプションを選択して、Oracle RestartとOracle ASMをインストールして構成します。「次へ」をクリックします。
  5. インストール中、Oracle ASMでマウントされ文字列ORCL:*でOracle ASMFDに登録されたディスク・パスが、デフォルトのデータベース記憶域の候補ディスクとして一覧表示されます。
  6. 必要に応じて追加のディスク・グループでOracle ASMを構成します。
    • デフォルトのディスク・グループ名はDATAです。ディスク・グループに新しい名前を入力する、またはデフォルト名を使用することができます。

    • 作成する追加のディスク・デバイスは、グリッド・インストールを実行するユーザーが所有する必要があります。

  7. 必要に応じて構成プロンプトに応答し、Oracle Grid Infrastructureを構成します。詳細は、「ヘルプ」をクリックしてください。
  8. rootスクリプトを自動化するための情報を入力するか、Oracle Universal Installerのプロンプトが表示されたらrootとしてスクリプトを実行します。

    rootスクリプトの実行の自動化を構成し、rootスクリプトが失敗した場合は、問題を手動で修正して「再試行」をクリックし、再度rootスクリプトを実行できます

  9. Oracle Databaseインストールを開始し、Oracle Databaseファイル記憶域のOracle ASMディスク・グループを選択します。インストール中のヘルプは、詳細が必要なOracle Universal Installerのページで「ヘルプ」をクリックします。

既存データベースに対するスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストール

この項に示すハイレベルな手順に従って、既存のOracleデータベース用のOracle Grid Infrastructureをインストールおよび構成します。

Oracle Restartでは、同じリリースおよびOracle Restartより1つ下のバージョンまでのリリースのリソースを管理できます。このため、Oracle Database 19cに対してのみサービスを提供するOracle Restartをインストールできます。ただし、以前のリリースのOracle Databaseは、Oracle Restartで管理されないで同じサーバーに共存できます。
すでにインストールされているデータベース用にOracle Restartをインストールするには:
  1. データベースと同じホスト・コンピュータに、Oracle Restartをインストールして、インストール・オプションに「スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure (Oracle Restart)の構成」を選択します。『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』の「新規インストールでのOracle Restartのインストール」を参照してください。

    Oracle Restartのコンポーネントは、Oracle Grid InfrastructureのOracleホーム(Gridホーム)にインストールされます。既存のOracle Databaseのホームとは場所が異なります。

  2. 既存のOracle Databaseがある場合は、srvctlコマンドを使用して、Oracle Restartで高可用性用に登録します。
    DRIVE_LETTER:\> cd ORACLE_HOME\bin
    DRIVE_LETTER:\> srvctl add database -db dbname -o oracle_home_path -dbtype SINGLE