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Oracle® Database管理者リファレンス
18c for Microsoft Windows
E99714-01
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ハードウェアまたはオペレーティング・システムのストライプ化の概要

遅いハード・ドライブの影響を軽減するための効果的な方法であるデータのストライプ化について説明します。

CPUおよびメモリーの速度と比較して、ハード・ディスク・ドライブは速度がきわめて遅くなります。ハード・ディスク・ドライブは比較的安価になっているため、Windows Serverでは、ストライプ化された物理ディスクで構成される論理ボリュームを使用することをお薦めします。データのストライプ化は、ファイルI/Oを同時に多数のハード・ディスク・ドライブに分散することにより、比較的速度の遅いハード・ディスク・ドライブの影響を少なくする効率的な手段です。

注意:

オペレーティング・システムによるデータのストライプ化と、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)を併用することはできません。ASM自体がストライプ化を実行するからです。ハードウェアのストライプ化とOracle ASMを組み合せることは可能ですが、そうする必要性がありません。

多数あるディスク間でデータをストライプ化することは、Redundant Array of Inexpensive Disks(RAID)の一例です。RAIDには様々なタイプがあり、これらのタイプはRAIDレベルとも呼ばれており、パフォーマンスの高いタイプから信頼性の高いタイプまであります。Oracle Databaseのインストール環境で最も一般的なRAIDレベルは、RAID-0、RAID-1およびRAID-5の3種類です。RAIDの各レベルの説明を「Oracle DatabaseインストールのRAIDレベル」に示します。この表では、各レベルの読取りと書込みのペナルティを示しています。

表8-2 Oracle DatabaseインストールのRAIDレベル

RAIDレベル 読込み時のペナルティ 注1 書込み時のペナルティ 注2

0 (ディスクのストライプ化)

1:1

1:1

1 (ディスクのミラー化)

1:1

2:1

0 + 1

1:1

2:1

5 (分散データ保護)

1:1

4:1

注1

読込み時のペナルティは、読込み要求に対するI/O操作の比率です。

注2

書込み時のペナルティは、書込み要求に対するI/O操作の比率です。

ディスクのストライプ化について

RAIDレベル0は、高パフォーマンスの、フォルト・トレラントでないディスクのストライプ化を可能にします。複数の物理ハード・ディスクが、ディスク・コントローラまたはオペレーティング・システムにより論理的な1つのまとまりに集約されます。論理ボリュームに対するデータ操作は、配列化された物理ドライブと同じ数のチャンクに分割され、すべてのディスクが同時に使用されます。同一のハード・ディスクを使用した際に、1つのハード・ディスクのスループット率がDISKRATE操作数/秒の場合、RAID-0の論理ボリュームのスループット率は、次のようになります。

(DISKRATE * [number of physical  drives in array]) operations/second

RAID-0の短所は、フォルト・トレランスがないことです。論理ボリューム内のディスクの1つに障害が発生すると、論理ボリューム全体が影響され、バックアップからリストアする必要があります。

ディスクのミラーリングについて

RAIDレベル1は、フォルト・トレラントなディスクのミラー化を使用可能にしますが、パフォーマンスが低下する可能性があります。基本的に、ミラー化されたディスクに対する書込みは、この目的専用の別ドライブ(ミラー・ドライブ)にすべて複製されます。ミラー化されたディスクに障害が発生すると、ミラー・ドライブがリアルタイムでオンラインになります。障害の発生したドライブが置き換えられた後、ミラー構成を再設定できます。

RAIDレベル1の読込み時のペナルティは、名目上は1:1ですが、コントローラによっては、分割読込みにより有利になることがあります。たとえば、最も速くアクセスできるミラーをコントローラが認識している場合は、そのディスクにI/O操作を誘導することにより、検索時間を短縮できます。

ディスクのストライプ化とミラーリングについて

RAIDレベル0+1は、ストライプ化されたハード・ディスク配列のミラー化を可能にします。これはRAID-0とRAID-1の混合使用で、高性能のフォルト・トレランスを提供します。

分散データ保護について

RAIDレベル5は、パリティ機構付きのディスクのストライプ化とも呼ばれ、ミラーリングに必要な価格を抑えることができます。RAID 5ではRAID 0と同様に、複数のハード・ディスクが、ストライプ化された1つの論理的なボリュームにまとめられますが、それぞれのドライブにはパリティ情報が格納されているため、いずれかのドライブで障害が発生してもシステムが稼動できるようになっています。RAID-5システムでは、1つのドライブで障害が発生したときに、パリティ情報に基づいてバイトが急ピッチで再構築されるため、アクセス・タイムは大幅に遅くなりますが、データへのアクセスを継続できます。RAID-5ソリューションを導入した場合には通常、障害の発生したドライブと交換用のドライブをホットスワップで交換し、パリティ情報に基づいて障害の発生したドライブのデータを交換用のドライブに再構築することができます。

4:1という書込み時のペナルティは、パリティ計算中の2回の読込みと2回の書込みから生じます。

関連項目:

『Oracle Database管理者ガイド』の「自動メモリー管理の使用」に関する項

順次アクセスおよびランダム・アクセス用の複数のストライプ化ボリュームについて

Windows Serverに十分な数の物理ディスクがある場合は、(オペレーティング・システム用のスタンドアロン・ハード・ディスクまたはストライプ化ボリュームの他に)少なくとも2つのストライプ化ボリュームを作成します。

ストライプ化ボリュームの1つは順次データ・アクセスに、もう1つはランダム・データ・アクセスに使用できます。

たとえば、Oracle DatabaseのREDOログおよびアーカイブREDOログは、順次書き込まれます。ヘッドの移動が減るため、ハード・ディスクのパフォーマンスは、順次データの読込みまたは書込みのときに最もよくなります。

ただし、Oracle Databaseのデータ・ファイルは通常はランダムな順序でアクセスされます。ハード・ディスクでのランダム・アクセスは、ヘッドの移動がかなり多くなり、データ・アクセス速度は低下します。

REDOログ・ファイルが(物理デバイス・レベルで)データ・ファイルと分離されていないかぎり、UNDOファイルのI/O競合が発生し、両方のファイルのアクセス時間が増加する可能性があります。