1 Oracle Database Gatewayのインストールの概要

次のトピックでは、Microsoft Windows (64-bit)へのOracle Database Gatewayのインストール方法と、ソフトウェアをインストールする前に考慮する必要がある問題について説明します。

ゲートウェイのインストール構成

Oracle Database Gatewayは、次のいずれかの構成でインストールできます。

  1. 既存のOracle Databaseと同じコンピュータの異なるOracleホームにインストール。

  2. Oracle Databaseの存在しないシステムにインストール。

  3. Oracle Databaseと同じコンピュータの同じOracleホーム・ディレクトリにインストール。この場合、Oracleデータベースとゲートウェイのリリース・レベルが同一である必要があります。

ゲートウェイのインストール方法

Oracle Database Gatewayのインストール方法は、次のとおりです。

対話型のインストールによる方法

Oracle Database Gatewayをインストールする際に対話型の方法を使用する場合、Oracle Universal Installerにより表示される一連の画面を使用して、必要な情報をすべて指定できます。

レスポンス・ファイルを使用した自動インストールによる方法

レスポンス・ファイルを作成してOracle Universal Installerの起動時にそのファイルを指定することで、Oracle Database Gatewayのインストール作業の一部または全部を自動化できます。

これらのモードの詳細と、レスポンス・ファイルを使用してインストールを完了する方法は、非対話型インストールでのレスポンス・ファイルの使用方法を参照してください。

インストール前の考慮事項

この項には、この製品のインストール前に考慮する必要のある情報が含まれます。これらは次のとおりです。

リリース・ノート

製品をインストールする前に、その製品に関するリリース・ノートを参照してください。リリース・ノートは、Oracle Database 12c リリース2 (12.2)のインストール・メディアに含まれます。最新版のリリース・ノートは、次の場所にあるOracle Technology Network(OTN)のWebサイトから入手できます。

http://docs.oracle.com/

ハードウェアおよびソフトウェアの動作保証

このマニュアルに記載されているプラットフォーム固有のハードウェア要件とソフトウェア要件は、このマニュアルの発行時点での最新情報です。このマニュアルの発行後に、新バージョンのプラットフォームおよびオペレーティング・システム・ソフトウェアが動作保証される可能性があります。このため、最新の動作保証されたハードウェア・プラットフォームおよびオペレーティング・システム・バージョンのリストは、My Oracle Support Webサイトの動作保証マトリクスを参照してください。My Oracle Support Webサイトは、次のWebサイトでアクセスできます。

https://support.oracle.com

複数のOracleホームのサポート

この製品では複数のOracleホームがサポートされています。つまり、このソフトウェアの今回のリリースまたは以前のリリースを、同じシステムの異なるOracleホーム・ディレクトリに複数回インストールできます。

Oracleがインストールされているシステムへのソフトウェアのインストール

この製品は、新規のOracleホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。あるリリースのOracle Database Gatewayの製品を別のリリースのOracleホーム・ディレクトリにインストールすることはできません。たとえば、既存のOracle10gR2のOracleホーム・ディレクトリに12c リリース1 (12.1)のソフトウェアをインストールすることはできません。以前のOracleリリースのソフトウェアを含むOracleホーム・ディレクトリに今回のリリースをインストールしようとすると、インストールに失敗します。

このリリースは、別のOracleホーム・ディレクトリにインストールするかぎり、同じシステムに複数回インストールできます。

Oracleホーム・ユーザーとしてのWindowsユーザー・アカウントの使用

Windowsでは、管理者権限を持つユーザーにログインして、Oracle Databaseソフトウェアをインストールします。また、インストール中に、(管理者でない、権限の低いユーザー・アカウントに基づいて) Oracleホーム・ユーザーを指定することもできます。

Windowsユーザー・アカウントは、次のとおりです。

  • Windowsローカル・ユーザー・アカウント

  • Windowsドメイン・ユーザー・アカウント

  • Windows管理対象サービス・アカウント(MSA)

  • Windows組込みアカウント

関連項目:

『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』のWindowsでのOracleホーム・ユーザーの使用に関する項

Windowsグループ管理対象サービス・アカウントと仮想アカウントのサポート

Oracle Database 12c リリース2 (12.2)から、グループ管理対象サービス・アカウント(gMSA)と仮想アカウントにより、パスワードなしでOracle Databaseをインストールし、データベース・サービスを作成して管理できるようになりました。ユーザー名はログオン画面に表示されません。gMSAは、ドメイン内の複数のサーバーから、このアカウントを使用してサービスを実行するために使用できるドメイン・レベルのアカウントです。

仮想アカウントは自動管理されます。

関連項目: 詳細は、Oracle® Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windowsを参照してください

Oracle Database Gatewayのアップグレード

Oracle Database Gatewayではアップグレードはサポートされません。

インストール・ソフトウェアへのアクセス

Oracle Database Gatewayソフトウェアにアクセスするには、次のいずれかの方法を使用します。

OTN WebサイトからのOracleソフトウェアのダウンロード

OTNからインストール・ファイルをダウンロードして、システム上のローカル・ディレクトリに解凍できます。

インストール・ファイルをダウンロードするには、次の手順を実行します。

  1. 任意のブラウザを使用して次の場所にあるOTNのソフトウェア・ダウンロード・ページにアクセスします。
  2. インストールを希望する製品の各ダウンロード・ページに移動します。
  3. 各ダウンロード・ページで、必要な各ファイルのファイル・サイズを合計して、必要なディスク領域を確認します。ファイル・サイズは、ファイル名の隣に表示されます。
  4. ファイルを保存して展開するのに十分な空き領域のあるファイル・システムを選択します。一般的に、使用可能なディスク領域の容量として、各圧縮ファイルのサイズの2倍以上が必要です。
  5. 選択したファイル・システムに、インストールする各製品のインストール・ディレクトリを格納するための親ディレクトリ(たとえば、Dg_1など)を作成します。
  6. 作成したディレクトリにすべてのインストール・ファイルをダウンロードします。
  7. ダウンロードしたファイルがOTN上の対応するファイルと同じサイズであることを確認します。
  8. 作成した各ディレクトリでファイルを解凍します。
  9. 必要なインストール・ファイルを抽出したら、Oracle Universal Installerの実行の項に移動してください。

Oracleソフトウェアのコピー

Oracle Database Gatewayをインストールする前に、ローカル・ディレクトリにソフトウェアをコピーできます。これにより、インストール・プロセスの実行が高速化します。

インストール・メディアの内容をローカル・ディレクトリにコピーする手順は、次のとおりです。

  1. ハード・ドライブにディレクトリを作成します。次に例を示します。
    d:\install\Disk1
    
  2. インストール・メディアの内容を作成したディレクトリにコピーします。
  3. 必要なすべてのインストール・ファイルをコピーしたら、Oracle Universal Installerの実行の項に移動してください。

Oracle Universal Installerの実行

通常は、Oracle Universal Installerにより提供されるグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)を使用してゲートウェイをインストールします。ただし、GUIを使用せずに、Oracle Universal Installerを使用して非対話型インストールを実行することも可能です。

関連項目:

非対話型インストールとその他の拡張インストールの詳細は、非対話型インストールでのレスポンス・ファイルの使用方法を参照してください

次のようにインストーラを起動して、ソフトウェアをインストールします。

  1. ローカル・ディレクトリからインストールする場合、ダウンロードまたはコピーしたインストール・ファイル用に作成したディレクトリに存在するsetup.exeをダブルクリックします。

  2. インストール・メディアからインストールする場合、自動実行画面が自動的に表示されます。自動実行画面が表示されない場合、次の手順を実行します。

    1. 「スタート」メニューで、「ファイル名を指定して実行」を選択します。

    2. 次のように入力します。

      DRIVE_LETTER:\autorun\autorun.exe
      

      自動実行画面で、「製品のインストール/削除」を選択します。

  3. 次のガイドラインを使用して、インストールを実行します。

    • インストーラ・ウィンドウに表示される指示に従います。追加情報が必要な場合は、「ヘルプ」をクリックします。

    • ソフトウェアのインストール中またはリンク中にエラーが発生した場合、Oracle Database Gatewayのトラブルシューティングでトラブルシューティング情報を参照してください。

  4. インストールが完了したら、「終了」「はい」をクリックしてインストーラを終了します。

クラスタ環境のインストールと構成

Oracle Database Gatewayは、すべてのノード上の既存のOracle Databaseホームまたは個別のゲートウェイ・ホームにインストールできます。Oracle OUIでは、すべてのノードまたは選択したノードにOracle Database Gatewayをインストールできます。

Oracle Database Gatewayホームからリスナーを使用しないことをお薦めします。かわりに、Gridホームにリスナーを構成します。デフォルトでは、ローカル・リスナーは、グリッド・インフラストラクチャ・ホームから実行されるクラスタ構成中に作成され、ノードの仮想IP(VIP)の指定されたポート(デフォルトは1521)でリスニングしています。

単一クライアント・アクセス名(SCAN)のサポート

Oracle Database 11g リリース2以降のクライアントは、単一クライアント・アクセス名(SCAN)のサポートを使用してデータベースに接続します。これはOracle RACに接続しているクライアントに単一の名前を提供し、この名前は、クラスタのノードを追加または削除しても、クラスタの存続期間中は変更されません。SCANに接続しているクライアントでは、Thin JDBC URLやEZConnectなどの単一の接続文字列を使用でき、ロード・バランシングおよびクライアントの接続フェイルオーバーが実現されます。

3つのSCANリスナー(仮想IPアドレスごとに1つ)に加えて、データベース・インスタンスをホストしている各ノード上にノード・リスナーがあります。リスナーの2つのレイヤー(SCANリスナーとノード・リスナー)を使用する目的は、Oracle RACにおけるリスナーの2つの機能を分離することです。1つは、接続のロード・バランスを行うことで、もう1つはセッションを起動して継承することです。SCANリスナーは、GNS (グリッド・ネーミング・サービス)によってランダムに分散される、クライアントからの接続リクエストを受信します。次にSCANリスナーは、ロード・バランシング・メトリックを使用して、リクエストされたサービスの提供に最適なノード上のノード・リスナーにリクエストをインテリジェントにリダイレクトします。データベース・インスタンスは、SCANリスナーにリモート・リスナーとして登録され、ノード・リスナーにローカル・リスナーとして登録されます。

Oracle Database Gatewayは、SCAN (Databaseがゲートウェイに接続するための単一の名前)で構成することはできません。この理由は2つあります。ゲートウェイは、リモート・リスナーに対して機能しません。SCANリスナーに設定するREMOTE_LISTENERを指定できるDatabaseと異なり、Oracle Database Gatewayではこれがサポートされていません。このことは、SCANリスナーがノード・リスナーに接続を転送するために必須となります。また、ゲートウェイは、クラスタ・リソースとして管理する目的でクラスタに登録されることはありません。

ゲートウェイの場合、Oracle DatabaseとOracle Database Gatewayが同じクラスタで実行されているときには、SCANはあまり役立ちません。Oracle Database GatewayはDatabaseがインストールされている各ノードにインストールして構成でき、Databaseは各インスタンスが同じノードで実行されているゲートウェイに接続するように構成できます。

ローカル・リスナー

Oracle Database Gatewayサービスは、ローカル・リスナーを使用して構成する必要があります。これは、ゲートウェイ・プロセスを起動するローカル・リスナーです。つまり、リスナーは起動するゲートウェイ・プロセスを認識する必要があります。グリッド・インフラストラクチャ・ホームのlistener.oraを使用して、ゲートウェイのSIDを追加します。DatabaseのSCANリスナーがそのノードですでに実行されている場合は、同じlistener.oraファイルを使用して、ローカル・リスナーを構成できます。

ロード・バランシングおよび透過的アプリケーション・フェイルオーバー(TAF)

Oracle Database Gateway自体は、ロード・バランシングに関して、クライアント側(データベース・ホームでtnsnamesを使用)もサーバー側(SCANを使用)もサポートしていません。ゲートウェイ・レベルのロード・バランシングは、ゲートウェイ・プロセスが現在単一セッション専用であるため、適用されません。ただし、データベース・インスタンスごとに異なるOracle Database Gatewayインスタンスを関連付けることで、ノード・レベルのロード・バランシングを実現できます。つまり、データベース上のロード・バランシングにより、最もロードされていないノードが選択されます。

Oracle Database Gatewayは、接続フェイルオーバー機能をサポートしています。ゲートウェイ用にクライアント側接続ロード・バランシングを構成すると、それはフェイルオーバーと同じように機能します。

データベース・フェイルオーバーが行われるたび、つまり(新しいノード上で)セッションがデータベース・インスタンス間で移行するたびに、移行したセッションはその新しいノードからゲートウェイ・インスタンスを使用します。

デフォルトでは、Oracle Call Interface(OCI)アプリケーションに対して、3種類のOracle Netフェイルオーバー機能を利用できます。

  • session: セッションをフェイルオーバーに設定します。ユーザーの接続が失われた場合に、新しいセッションを自動的に作成して、ユーザーをバックアップします。このフェイルオーバーでは、検索操作はリカバリされません。

  • select: 障害発生後もユーザーはカーソルを継続してオープンし、フェッチできるようにします。ただしこのモードでは、通常の検索操作を行うクライアント側にオーバーヘッドが生じます。

  • none: これがデフォルトです。フェイルオーバー機能は使用されません。フェイルオーバーが実行されないように、明示的に指定することもできます。

フェイルオーバーが動作するためには、データベース・ホームのtnsnames.oraを複数のリスナー・アドレスで構成する必要があります。

接続後にインスタンスに障害が発生した場合は、TAFアプリケーションが他のノードのリスナーにフェイルオーバーし、実行中のSELECT文があればその文を保持します。

ロード・バランシングがフェイルオーバーとしてのみ機能する次のtnsnames.oraの例では、gateway1-server上のゲートウェイが使用できない場合にのみ、データベースはホストgateway2-server上のゲートウェイに接続します。

dg4sybs.us.example.com=
 (DESCRIPTION=
  (LOAD_BALANCE=on) 
  (FAILOVER=on) 
  (ADDRESS=
       (PROTOCOL=tcp)  
       (HOST=gateway1-server)  
       (PORT=1521)) 
  (ADDRESS=
       (PROTOCOL=tcp)  
       (HOST=gateway2-server)  
       (PORT=1521)) 
  (CONNECT_DATA=
     (SERVICE_NAME=dg4sybs.us.example.com) (HS=OK)
     (FAILOVER_MODE=
       (TYPE=select) 
       (METHOD=basic))))