19 ADRCI: ADRコマンド・インタプリタ

自動診断リポジトリ・コマンド・インタプリタ(ADRCI)ユーティリティは、Oracle Database診断データの管理に使用するコマンドライン・ツールです。

次のトピックを参照してください。

関連項目:

診断データの管理の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

19.1 ADRコマンド・インタプリタ(ADRCI)ユーティリティ

ADRCIは、Oracle Database 11gに導入された故障診断機能インフラストラクチャに使用されるコマンドライン・ツールです。

ADRCIでは、次の操作を実行できます。

  • 自動診断リポジトリ(ADR)内の診断データを表示します。

  • 状態モニターのレポートを表示します。

  • Oracleサポート・サービスへ送信するために、インシデントや問題の情報をZIPファイルにパッケージ化します。

診断データには、インシデントおよび問題についての説明、トレース・ファイル、ダンプ、状態モニターのレポート、アラート・ログ・エントリなどが含まれます。

ADRデータは、ADRディレクトリのオペレーティング・システム権限により保護されているため、ADRCIにログインする必要はありません。

ADRCIには豊富なコマンド・セットがあり、対話型モードまたはスクリプト内で使用できます。

ノート:

診断データを管理する場合の簡単で推奨される方法は、Oracle Enterprise Managerサポート・ワークベンチ(サポート・ワークベンチ)を使用する方法です。ADRCIでは、サポート・ワークベンチの機能の大部分にかわるコマンドライン機能が備わり、トレース・ファイルのリスト表示や問合せなどの機能が追加されています。

サポート・ワークベンチの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

19.2 定義

ADRCIおよびOracle Databaseの故障診断機能インフラストラクチャで使用される用語の定義を示します。

具体的には次のとおりです。

自動診断リポジトリ(ADR)

自動診断リポジトリ(ADR)は、データベース診断データ(トレース、ダンプ、アラート・ログ、状態モニターのレポートなど)のファイルベース・リポジトリです。複数のインスタンスや製品にまたがる一元化されたディレクトリ構造を持っています。リリース11g以上では、データベース、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)およびその他のオラクル社の製品やコンポーネントは、すべての診断データをADRに格納します。各製品のインスタンスはそれぞれ、診断データを独自のADRホーム・ディレクトリの下に配置します(「ADRホーム」を参照)。たとえば、共有記憶域とASMを使用するOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境では、各データベース・インスタンスおよび各Oracle ASMインスタンスがADR内にホーム・ディレクトリを持ちます。ADRの統一されたディレクトリ構造を使用することで、ユーザーおよびOracleサポート・サービスによる、複数のインスタンスおよび複数の製品間での診断データを関連付けた分析が可能になります。

問題

問題はデータベースにおけるクリティカル・エラーです。クリティカル・エラーには、ORA-00600などの内部エラーや、ORA-07445(オペレーティング・システムの例外)、ORA-04031(共有プールのメモリー不足)などのその他の重大なエラーが含まれます。問題はADRで追跡されます。各問題には、問題キーと一意の問題IDが割り当てられます(「問題キー」を参照)。

インシデント

インシデントとは、問題の1回の発生です。問題が複数回発生した場合は、発生ごとにインシデントが作成されます。インシデントはADR内で追跡されます。各インシデントは、数値型のインシデントIDによって識別されます。このIDはADR内で一意です。インシデントが発生すると、データベースによりアラート・ログ内にエントリが作成され、Oracle Enterprise Managerにインシデント・アラートが送信されます。次に、インシデントに関する診断データがダンプ・ファイルの形式(インシデント・ダンプ)で収集され、インシデントIDを使用してインシデント・ダンプにタグが付けられ、インシデント・ダンプがそのインシデント用に作成されたADRサブディレクトリに格納されます。

通常、クリティカル・エラーの診断と解決は、インシデント・アラートから開始されます。ADR内のすべてのインシデントのリストは、ADRCIコマンドを使用して取得できます。各インシデントは1つの問題にのみマップされます。

インシデントはフラッド制御されているため、1つの問題が生成するインシデントやインシデント・ダンプが多すぎることはありません。インシデント・フラッド制御の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

問題キー

すべての問題には問題キーが割り当てられています。問題キーはエラー・コード(ORA 600など)を含むテキスト文字列で、1つ以上のエラー・パラメータを含むことがあります。2つのインシデントは、その2つの問題キーが一致した場合に発生原因が同じとみなされます。

インシデント・パッケージ

インシデント・パッケージ(パッケージ)は、1つ以上の問題に対するインシデント・データの集合です。Oracleサポート・サービスにインシデント・データを送信する前に、インシデント・パッケージング・サービス(IPS)を使用してパッケージにデータを収集する必要があります。パッケージを作成した後は、パッケージに外部ファイルを追加したり、パッケージ内からファイルを選択して削除することや、パッケージ内で選択したファイルを修正(編集)して機密データを削除することも可能です。

パッケージは、パッケージの内容から物理ファイルを作成するまでは論理構成のみです。つまり、インシデント・パッケージは、ADR内のメタデータの集合として開始されます。パッケージの内容を追加および削除する場合は、メタデータのみが変更されます。Oracleサポート・サービスへデータをアップロードする準備ができたら、データをZIPファイルに保存するADRCIを使用して物理パッケージを作成します。次に、ZIPファイルをOracleサポートにアップロードできます。

ファイナライズ

ADRCIで論理パッケージから物理パッケージを生成する前に、パッケージをファイナライズする必要があります。これにより、他のコンポーネントが呼び出され、相関診断データ・ファイルがこのパッケージにすでに存在するインシデントに追加されます。また、ファイナライズすることで、最新のトレース・ファイル、アラート・ログ・エントリ、状態モニター・レポート、SQLテスト・ケースおよび構成情報も追加されます。このステップは、物理パッケージが生成されると自動的に実行されますが、ADRCIユーティリティを使用して手動で実行することもできます。パッケージを手動でファイナライズした後、追加されたファイルを確認し、機密情報を含むファイルを削除または編集することができまます。

関連項目:

相関診断データの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

ADRホーム

ADRホームは、特定のオラクル社の製品またはコンポーネントの特定のインスタンスに対するすべての診断データ(トレース、ダンプ、アラート・ログなど)のルート・ディレクトリです。たとえば、Oracle ASMを使用するOracle RAC環境では、各データベース・インスタンスと各Oracle ASMインスタンスにADRホームがあります。すべてのADRホームは、同じ階層ディレクトリ構造を共有します。各ADRホームの標準的なサブディレクトリには、アラート(アラート・ログ)、トレース(トレース・ファイル)およびインシデント(インシデント情報)を含むものもあります。すべてのADRホームはADRベース・ディレクトリ内に配置されます。(詳細は、「ADRベース」を参照してください。)

一部のADRCIコマンドは、同時に複数のADRホームでの動作が可能です。カレントADRCIホームパスにより、ADRCIコマンドの発行時に診断データを検索するADRホームが決定されます。詳細は、「ホームパス」を参照してください。

ADRベース

複数のADRホーム間で診断データの相関付けを行うことができるようにするために、ADRホームはADRベースと呼ばれる同じルート・ディレクトリ下でグループ化されます。たとえば、Oracle RAC環境では、ADRベースが共有ディスク上に存在し、各Oracle RACインスタンスのADRホームがこのADRベース下に配置される場合があります。

データベース・インスタンスのADRベースの場所は、DIAGNOSTIC_DEST初期化パラメータによって設定されます。このパラメータが指定されない場合またはNULLである場合は、データベースではこのパラメータがデフォルト値に設定されます。詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

複数のデータベース・インスタンスがOracleホームを共有しているときは、これらのインスタンスが複数の単一インスタンスであるかOracle RACデータベースの複数のインスタンスであるかどうかに関係なく、1つ以上のこれらのインスタンスがADRベースを異なる場所に設定している場合、最後に起動するインスタンスがADRCIのデフォルトADRベースを決定します。

ホームパス

すべてのADRCIコマンドは、カレントADRホーム内の診断データに対して動作します。常に複数のADRホームをカレントにできます。一部のADRCIコマンド(SHOW INCIDENTなど)は、すべてのカレントADRホームから診断データを検索して表示します。その他のコマンドは、1つのADRホームをとカレントとし、カレントADRホームが複数存在している場合はエラー・メッセージを表示します。

ADRCIホームパスにより、カレントであるADRホームが決定されます。これは、ADRベース階層内のディレクトリを指定することによって決定されます。1つのADRホーム・ディレクトリが指定されている場合、そのADRホームが唯一のカレントADRホームとなります。ホームパスが階層内のADRホーム・ディレクトリ・レベルより上位のディレクトリを示している場合は、そのディレクトリより下位のすべてのADRホームがカレントになります。

デフォルトでは、ADRCI起動時のホームパスはNULLです。つまり、ADRベース下のADRホームはすべてカレントになります。

SHOW HOMEおよびSHOW HOMEPATHの各コマンドは、カレントであるADRホームのリストを表示し、SET HOMEPATHコマンドはホームパスを設定します。

関連項目:

19.3 ADRCIの起動とヘルプの利用

ADRCIは対話方式モードまたはバッチ・モードで使用できます。

詳細は次の項を参照してください。

19.3.1 対話方式モードでのADRCIの使用方法

ADRCI対話方式モードでは、個々のコマンドを1つずつ入力するように要求されます。

対話方式モードでADRCIを使用するには:

  1. ORACLE_HOMEおよびPATH環境変数が適切に設定されていることを確認します。

    Windowsプラットフォームの場合、これらの環境変数はインストール時に自動的にWindowsレジストリに設定されます。その他のプラットフォームの場合は、オペレーティング・システムのコマンドを使用して環境変数を設定および確認する必要があります。

    PATH環境変数には、ORACLE_HOME/binが含まれている必要があります。

  2. オペレーティング・システムのコマンド・プロンプトで、次のコマンドを入力します。
    ADRCI
    

    ユーティリティが起動し、次のプロンプトが表示されます。

    adrci>
    
  3. ADRCIコマンドを入力します。各コマンドの入力後に[Enter]キーを押します。
  4. 次のコマンドのいずれかを入力して、ADRCIを終了します。
    EXIT
    QUIT

19.3.2 ヘルプの表示

ADRCIのヘルプを利用します。

ADRCIヘルプ・システムを使用すると、次の項目を実行できます。

  • ADRコマンドのリストの表示

  • 個々のコマンドのヘルプの表示

  • ADRCIコマンドライン・オプションのリストの表示

ADRCIコマンドのリストを表示するには:

  1. 対話方式モードでADRCIを起動します。

    詳細は、「対話方式モードでのADRCIの使用方法」を参照してください。

  2. ADRCIプロンプトで、次のコマンドを入力します。

    HELP
    

特定のADRCIコマンドのヘルプを利用するには:

  1. 対話方式モードでADRCIを起動します。

    詳細は、「対話方式モードでのADRCIの使用方法」を参照してください。

  2. ADRCIプロンプトで、次のコマンドを入力します。
    HELP command
    

    たとえば、SHOW TRACEFILEコマンドに関するヘルプを利用するには、次のように入力します。

    HELP SHOW TRACEFILE
    

コマンドライン・オプションのリストを表示するには:

  • オペレーティング・システムのコマンド・プロンプトで、次のコマンドを入力します。

    ADRCI -HELP
    

    ユーティリティによって、次のような出力が示されます。

    Syntax:
       adrci [-help] [script=script_filename] [exec="command [;command;...]"]
     
    Options      Description                     (Default)
    -----------------------------------------------------------------
    script       script file name                (None)
    help         help on the command options     (None)
    exec         exec a set of commands          (None)
    -----------------------------------------------------------------

19.3.3 バッチ・モードでのADRCIの使用方法

バッチ・モードを使用すると、入力を求めるプロンプトが表示されることなく、一連のADRCIコマンドを一度に実行できます。

バッチ・モードを使用するには、ADRCIの起動時にADRCIコマンドにコマンドライン・パラメータを追加します。バッチ・モードでは、シェル・スクリプトまたはWindowsバッチ・ファイルにADRCIコマンドを含めることができます。対話方式モードと同様、ADRCIを起動する前に、ORACLE_HOMEおよびPATH環境変数を設定する必要があります。

次のコマンドライン・パラメータは、バッチ操作に使用できます。

表19-1 バッチ操作用のADRCIのコマンドライン・パラメータ

パラメータ 説明

EXEC

ADRCIを起動するオペレーティング・システム・コマンドラインで、1つ以上のADRCIコマンドを発行できます。コマンドが複数ある場合は、セミコロン(;)で区切ります。

SCRIPT

ADRCIコマンドを含むスクリプトを実行できます。

コマンドラインでADRCIコマンドを発行するには:

  • オペレーティング・システムのコマンド・プロンプトで、次のコマンドを入力します。

    ADRCI EXEC="COMMAND[; COMMAND]..."
    

    たとえば、SHOW HOMESコマンドをバッチ・モードで実行するには、オペレーティング・システムのコマンド・プロンプトで次のコマンドを入力します。

    ADRCI EXEC="SHOW HOMES"
    

    SHOW HOMESコマンドを実行してから、SHOW INCIDENTコマンドを実行するには、次のように入力します。

    ADRCI EXEC="SHOW HOMES; SHOW INCIDENT"
    

ADRCIスクリプトを実行するには:

  • オペレーティング・システムのコマンド・プロンプトで、次のコマンドを入力します。

  • ADRCI SCRIPT=SCRIPT_FILE_NAME
    

    たとえば、adrci_script.txtというスクリプト・ファイルを実行するには、オペレーティング・システムのコマンド・プロンプトで次のコマンドを入力します。

    ADRCI SCRIPT=adrci_script.txt
    

    スクリプト・ファイルには、次のようにセミコロン(;)または改行で区切られた一連のコマンドが含まれています。

  • SET HOMEPATH diag/rdbms/orcl/orcl; SHOW ALERT -term

19.4 ADRCIコマンドを使用する前のADRCIホームパスの設定

問題を診断するときは、複数のデータベース・インスタンスまたはコンポーネントからの診断データを使用する場合や、1つのインスタンスまたはコンポーネントからの診断データを対象とする場合があります。

複数のインスタンスまたはコンポーネントからの診断データを使用するには、これらのインスタンスまたはコンポーネントすべてのADRホームがカレントであることを確認する必要があります。1つのインスタンスまたはコンポーネントからの診断データを使用するには、そのインスタンスまたはコンポーネントのADRホームのみがカレントであることを確認する必要があります。ADRCIホームパスを設定してカレントのADRホームを制御します。

複数のホームがカレントになっている場合は、ADRディレクトリ構造におけるホームパスは、直下に複数のADRホーム・ディレクトリを含むディレクトリを示しています。1つのADRホームを対象とするには、ホームパスをディレクトリ階層の下部にある1つのADRホーム・ディレクトリを示すように設定する必要があります。

たとえば、orclbiという名前のOracle RACデータベースが、SID orclbi1orclbi2が指定された2つのインスタンスを持ち、Oracle RACが共有Oracleホームを使用している場合は、次の2つのADRホームが存在します。

/diag/rdbms/orclbi/orclbi1/
/diag/rdbms/orclbi/orclbi2/

すべてのADRCIコマンドおよび出力では、ADRホーム・ディレクトリ・パス(ADRホーム)は常にADRベースに対して相対的に示されます。したがって、ADRベースが現在/u01/app/oracleである場合、これら2つのADRホームの絶対パスは次のようになります。

/u01/app/oracle/diag/rdbms/orclbi/orclbi1/
/u01/app/oracle/diag/rdbms/orclbi/orclbi2/

SET HOMEPATHコマンドを使用して、1つ以上のADRホームをカレントに設定します。ADRベースが/u01/app/oracleである場合に、ホームパスを/u01/app/oracle/diag/rdbms/orclbi/orclbi2/に設定するには、このコマンドを次のように使用します。

adrci> set homepath diag/rdbms/orclbi/orclbi2

ADRCIの起動時には、ホームパスはデフォルトでNULLになります。つまり、ADRベース下のすべてのADRホームがカレントとなります。前述の例では、両方のOracle RACインスタンスのADRホームがカレントになります。

adrci> show homes
ADR Homes:
diag/rdbms/orclbi/orclbi1
diag/rdbms/orclbi/orclbi2

この場合、実行するADRCIコマンドはいずれも、複数のカレントADRホームをコマンドがサポートしていると想定して、両方のADRホームからの診断データを処理します。ホームパスを/diag/rdbms/orclbi/orclbi2に設定すると、orclbi2のSIDを持つインスタンスのADRホームのみがカレントになります。

adrci> set homepath diag/rdbms/orclbi/orclbi2
adrci> show homes
ADR Homes:
diag/rdbms/orclbi/orclbi2

この場合、実行するADRCIコマンドはいずれも、この1つのADRホームからの診断データのみを使用します。

関連項目:

19.5 アラート・ログの表示

アラート・ログは、XML形式ファイルとテキスト・ファイルの両方として書き出されます。任意のテキスト・エディタでいずれかの形式のファイルを表示するか、ADRCIコマンドを実行してXMLタグを省略したXML形式のアラート・ログを表示することができます。

デフォルトでは、ADRCIはデフォルトのエディタにアラート・ログを表示します。SET EDITORコマンドを使用すると、デフォルトのエディタを変更できます。

ADRCIでアラート・ログを表示するには:

  1. 対話方式モードでADRCIを起動します。

    詳細は、「ADRCIの起動とヘルプの利用」を参照してください。

  2. (オプション)SET HOMEPATHコマンドを使用して、ADRホームを1つ選択します(カレントにします)。

    最初にSHOW HOMESコマンドを使用すると、カレントのADRホームのリストを表示できます。詳細は、「ホームパス」および「ADRCIコマンドを使用する前のADRCIホームパスの設定」を参照してください。

  3. ADRCIプロンプトで、次のコマンドを入力します。
    SHOW ALERT
    

    複数のADRホームがカレントの場合は、リストから1つのADRホームを選択するように要求されます。デフォルトのエディタに、XMLタグを省略したアラート・ログが表示されます。

  4. エディタを終了し、ADRCIコマンド・プロンプトに戻ります。

SHOW ALERTコマンドのバリエーションを次に示します。

SHOW ALERT -TAIL

これは、ターミナル・セッションでのアラート・ログの最後の部分(最後の10エントリ)を表示します。

SHOW ALERT -TAIL 50

これは、ターミナル・セッションでのアラート・ログの最後の50エントリを表示します。

SHOW ALERT -TAIL -F

これは、アラート・ログの最後の10エントリを表示した後、アラート・ログに到着する追加メッセージを待機します。各メッセージは、到着時に表示に追加されます。このコマンドにより、アラート・ログのライブ監視を実行できます。待機を停止してADRCIプロンプトに戻るには、[Ctrl]を押しながら[C]を押します。

SPOOL /home/steve/MYALERT.LOG
SHOW ALERT -TERM
SPOOL OFF

これは、XMLタグのないアラート・ログを/home/steve/MYALERT.LOGファイルに出力します。

SHOW ALERT -P "MESSAGE_TEXT LIKE '%ORA-600%'"

これは、文字列ORA-600を含むアラート・ログ・メッセージのみを表示します。出力は次のようになります。

ADR Home = /u01/app/oracle/product/11.1.0/db_1/log/diag/rdbms/orclbi/orclbi:
******************************************************************************
01-SEP-06 09.17.44.849000000 PM -07:00
AlertMsg1: ORA-600 dbgris01, addr=0xa9876541

関連項目:

19.6 トレース・ファイルの検索

ADRCIにより、現在自動診断リポジトリ(ADR)に存在するトレース・ファイルの名前が表示できます。

ADR内に存在するすべてのトレース・ファイルの名前を表示することも、フィルタを適用して名前のサブセットを表示することもできます。たとえば、ADRCIのコマンドで、次の操作を行うことができます。

  • ファイル名が検索文字列と一致するトレース・ファイルのリストの取得

  • 特定のディレクトリ内に存在するトレース・ファイルのリストの取得

  • 特定のインシデントに関連するトレース・ファイルのリストの取得

適切なコマンドライン・パラメータを使用して、フィルタ処理機能を組み合せることができます。

SHOW TRACEFILEコマンドは、カレントADRホーム下のトレース・ディレクトリおよびインシデント・ディレクトリに存在するトレース・ファイルのリストを表示します。複数のADRホームがカレントの場合、すべてのADRホームからのトレース・ファイル・リストが順次出力されます。

次の文は、フィルタ処理を行わずに、カレントADRホームに存在するすべてのトレース・ファイルの名前を表示します。

SHOW TRACEFILE

次の文は、ファイル名に文字列mmonが含まれるすべてのトレース・ファイルの名前を表示します。パーセント符号(%)はワイルドカード文字として使用されます。また、検索文字列では大/小文字が区別されます。

SHOW TRACEFILE %mmon%

この文は、/home/steve/tempディレクトリ内でファイル名に文字列mmonを含むすべてのトレース・ファイルの名前を表示します。

SHOW TRACEFILE %mmon% -PATH /home/steve/temp

この文は、トレース・ファイルの名前を、最終変更時間を逆にたどる順序でリストします。つまり、最近変更されたトレース・ファイルがリストの最初に示されます。

SHOW TRACEFILE -RT

この文は、インシデント番号1681に関連付けられているすべてのトレース・ファイルの名前を表示します。

SHOW TRACEFILE -I 1681

関連項目:

19.7 インシデントの表示

ADRCIのSHOW INCIDENTコマンドでは、未解決のインシデントに関する情報が表示されます。

インシデントごとに、インシデントID、問題キーおよびインシデント作成時間が表示されます。複数のカレントADRホームが存在するようにADRCIホームパスが設定されている場合、レポートにはすべてのカレントADRホームからのインシデントが含まれます。

すべての未解決のインシデントに関するレポートを表示するには:

  1. ADRCIを対話方式モードで開始し、ホームパスがADRベース・ディレクトリ階層内で正確なディレクトリを示していることを確認します。

    詳細は、「ADRCIの起動とヘルプの利用」および「ホームパス」を参照してください。

  2. ADRCIプロンプトで、次のコマンドを入力します。
    SHOW INCIDENT
    

    ADRCIによって、次のような出力が生成されます。

ADR Home = /u01/app/oracle/product/11.1.0/db_1/log/diag/rdbms/orclbi/orclbi:
*****************************************************************************
INCIDENT_ID       PROBLEM_KEY               CREATE_TIME
----------------- ------------------------- ---------------------------------
3808              ORA 603                   2010-06-18 21:35:49.322161 -07:00
3807              ORA 600 [4137]            2010-06-18 21:35:47.862114 -07:00
3805              ORA 600 [4136]            2010-06-18 21:35:25.012579 -07:00
3804              ORA 1578                  2010-06-18 21:35:08.483156 -07:00
4 rows fetched

SHOW INCIDENTコマンドのバリエーションを次に示します。

SHOW INCIDENT -MODE BRIEF
SHOW INCIDENT -MODE DETAIL

これらのコマンドは、インシデント・レポートの詳細バージョンを生成します。

SHOW INCIDENT -MODE DETAIL -P "INCIDENT_ID=1681"

これは、インシデント1681のみを対象とする詳細なインシデント・レポートを表示します。

19.8 インシデントのパッケージ化

Oracleサポート・サービスに送信して分析を依頼するために、ADRCIコマンドを使用して1つ以上のインシデントをパッケージ化できます。

詳細は、次の項目を参照してください。

19.8.1 インシデントのパッケージ化

インシデントのパッケージ化プロセスは次の3つのステップで構成されています。

ステップ1: 論理インシデント・パッケージの作成

インシデント・パッケージ(パッケージ)は、自動診断リポジトリ(ADR)内のメタデータとしてのみ存在するため、論理パッケージとして示されます。インシデント・パッケージは、論理パッケージから物理パッケージを生成するまではコンテンツが含まれません。論理パッケージにはパッケージ番号が割り当てられますので、以降のコマンドではこの番号を使用してパッケージを参照します。

論理パッケージは空のパッケージとして作成することも、インシデント番号、問題番号、問題キーまたは時間間隔に基づいたパッケージとして作成することもできます。パッケージを空のパッケージとして作成する場合は、ステップ2でパッケージに診断情報を追加できます。

インシデントに基づいてパッケージを作成する場合は、そのインシデントの診断データ(ダンプ、状態モニターのレポートなど)が含まれます。問題番号または問題キーに基づいてパッケージを作成する場合は、パッケージにその問題番号または問題キーを参照するインシデントの診断データが含まれます。時間間隔に基づいてパッケージを作成する場合は、その時間間隔内で発生したインシデントに関する診断データが含まれます。

ステップ2: インシデント・パッケージへの診断情報の追加

インシデント番号、問題番号、問題キーまたは時間間隔に基づいて論理パッケージを作成した場合、このステップはオプションとなります。パッケージにインシデントを追加したり、ADR内のファイルをパッケージに追加することができます。空のパッケージを作成した場合は、ADRCIコマンドを使用してパッケージにインシデントまたはファイルを追加する必要があります。

ステップ3: 物理インシデント・パッケージの生成

コマンドを送信して物理パッケージを生成するときに、ADRCIは必要なすべての診断ファイルを収集して、指定したディレクトリ内のZIPファイルに追加します。完全なZIPファイルまたは増分ZIPファイルを生成できます。増分ファイルには、同じ論理パッケージに対してZIPファイルが最後に作成されて以降に追加または変更された診断ファイルすべてが含まれます。増分ファイルは完全ファイルを作成した後にのみ作成でき、必要な数だけ作成できます。各ZIPファイルには順序番号が割り当てられるため、ファイルを正しい順序で分析できます。

ZIPファイルの名前は次の形式に従って指定されます。

packageName_mode_sequence.zip

説明:

  • packageNameは、問題キーの一部とその後のタイムスタンプで構成されます。

  • modeは、COM(完全)またはINC(増分)のいずれかです

  • sequenceは、整数です。

たとえば、2006年9月6日午後4時53分に作成した論理パッケージの完全なZIPファイルを生成してから、同じ論理パッケージに対して増分ZIPファイルを生成する場合、次のような名前のファイルを作成します。

ORA603_20060906165316_COM_1.zip
ORA603_20060906165316_INC_2.zip

19.8.2 インシデント・パッケージの作成

次のトピックでは、インシデント・パッケージの作成方法を説明します。

論理インシデント・パッケージ(パッケージ)の作成および物理パッケージの生成に使用するADRCIコマンドについて次に説明します。

19.8.2.1 論理インシデント・パッケージの作成

IPS CREATE PACKAGEコマンドの変形を使用して、論理パッケージ(パッケージ)を作成します。

インシデントに基づいてパッケージを作成するには:

  1. ADRCIを対話方式モードで開始し、ホームパスがADRベース・ディレクトリ階層内で正確なディレクトリを示していることを確認します。

    詳細は、「ADRCIの起動とヘルプの利用」および「ホームパス」を参照してください。

  2. ADRCIプロンプトで、次のコマンドを入力します。
    IPS CREATE PACKAGE INCIDENT incident_number
    

    たとえば、次のコマンドはインシデント3に基づいてパッケージを作成します。

    IPS CREATE PACKAGE INCIDENT 3
    

    ADRCIによって、次のような出力が生成されます。

    Created package 10 based on incident id 3, correlation level typical
    

    この論理パッケージに割り当てられたパッケージ番号は10です。

IPS CREATE PACKAGEコマンドのバリエーションを次に示します。

IPS CREATE PACKAGE

これは空のパッケージを作成します。IPS ADD INCIDENTまたはIPS ADD FILEの各コマンドを使用して、生成する前にパッケージに診断データを追加する必要があります。

IPS CREATE PACKAGE PROBLEM problem_ID

これは、パッケージを作成して、指定した問題ID(問題IDは整数)を参照するインシデントの診断情報を含めます。(問題IDは整数です。)表示されているレポートからインシデントの問題IDを取得するには、SHOW INCIDENT -MODE BRIEFコマンドを使用します。同じ問題IDを割り当てられたインシデントが数多く存在する場合もあるため、ADRCIは、90日を超えるインシデントを除き、この問題IDを持つインシデントで最初に発生した3つのインシデント(早期インシデント)と最後に発生した3つのインシデント(最新インシデント)の診断情報をパッケージに追加します。

ノート:

早期インシデントと最新インシデントの数と90日の経過日数制限はデフォルト値であり、変更が可能です。IPS SET CONFIGURATIONを参照してください。

また、ADRCIによって、すでに追加されているインシデントに時間その他の基準で密接に相関付けられている他のインシデントが追加される場合もあります。

IPS CREATE PACKAGE PROBLEMKEY "problem_key"

これは、パッケージを作成し、指定した問題キーを参照するインシデントの診断情報を含めます。表示されているレポートから問題キーを取得するには、SHOW INCIDENTコマンドを使用します。同じ問題キーを割り当てられたインシデントが数多く存在する場合もあるため、ADRCIは、90日を超えるインシデントを除き、この問題キーを持つインシデントで最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントの診断情報のみをパッケージに追加します。

ノート:

早期インシデントと最新インシデントの数と90日の経過日数制限はデフォルト値であり、変更が可能です。IPS SET CONFIGURATIONを参照してください。

また、ADRCIによって、すでに追加されているインシデントに時間その他の基準で密接に相関付けられている他のインシデントが追加される場合もあります。

問題キーに空白や引用符が含まれている場合、問題キーを一重引用符(')または二重引用符(")で囲む必要があります。

IPS CREATE PACKAGE SECONDS sec

これは、パッケージを作成し、sec秒前から現在までに発生したすべてのインシデントの診断情報を含みます。secは整数である必要があります。

IPS CREATE PACKAGE TIME 'start_time' TO 'end_time'

これは、パッケージを作成し、指定した時間範囲内で発生したすべてのインシデントの診断情報を含めます。start_timeおよびend_timeは、YYYY-MM-DD HH24:MI:SS.FF TZR書式で指定する必要があります。これは、NLS_TIMESTAMP_TZ_FORMAT初期化パラメータに対して有効なフォーマット文字列です。時間の小数(FF)部分はオプションで、HH24:MI:SSのデリミタにはコロンまたはピリオドを使用できます。

たとえば、次のコマンドは、2010年7月24日から7月30日に発生したインシデントを含むパッケージを作成します。

IPS CREATE PACKAGE TIME '2010-07-24 00:00:00 -07:00' to '2010-07-30 23.59.59 -07:00'
19.8.2.2 論理インシデント・パッケージへの診断情報の追加

既存の論理パッケージ(パッケージ)に診断情報を追加できます。

例:

  • 特定のインシデントに関するすべての診断情報

  • ADR内の名前付きファイル

既存のパッケージにインシデントを追加するには:

  1. ADRCIを対話方式モードで開始し、ホームパスがADRベース・ディレクトリ階層内で正確なディレクトリを示していることを確認します。

    詳細は、「ADRCIの起動とヘルプの利用」および「ホームパス」を参照してください。

  2. ADRCIプロンプトで、次のコマンドを入力します。
    IPS ADD INCIDENT incident_number PACKAGE package_number
    

既存のパッケージにADR内のファイルを追加するには:

  • ADRCIプロンプトで、次のコマンドを入力します。

    IPS ADD FILE filespec PACKAGE package_number
    

    filespecは、(パスを含む)完全修飾ファイル名である必要があります。ADRベース・ディレクトリ階層内に存在するファイルのみを追加できます。

19.8.2.3 物理インシデント・パッケージの生成

パッケージを生成するときは、既存の論理パッケージに対して物理パッケージ(ZIPファイル)を作成します。

物理インシデント・パッケージを生成するには:

  1. ADRCIを対話方式モードで開始し、ホームパスがADRベース・ディレクトリ階層内で正確なディレクトリを示していることを確認します。

    詳細は、「ADRCIの起動とヘルプの利用」および「ホームパス」を参照してください。

  2. ADRCIプロンプトで、次のコマンドを入力します。
    IPS GENERATE PACKAGE package_number IN path
    

    これは、指定したパスに完全な物理パッケージ(ZIPファイル)を生成します。たとえば、次のコマンドは、ディレクトリ/home/steve/diagnosticsに論理パッケージ番号2から完全な物理パッケージを作成します。

    IPS GENERATE PACKAGE 2 IN /home/steve/diagnostics
    

また、最後にパッケージを生成して以降に発生したインシデントのみを含む増分パッケージも生成できます。

増分物理インシデント・パッケージを生成するには:

  • ADRCIプロンプトで、次のコマンドを入力します。

    IPS GENERATE PACKAGE package_number IN path INCREMENTAL

19.9 ADRCIコマンド・リファレンス

ADRCIコマンドについて説明します。

ADRCIには次の4種類のコマンドが用意されています。

  • 1つ以上のカレントADRホームで動作するコマンド

  • 1つのカレントADRホームのみで動作し、複数のカレントADRホームが存在する場合にはエラー・メッセージを発行するコマンド

  • 複数のカレントADRホームが存在するときに、1つのADRホームを選択するように要求するコマンド

  • カレントADRホームを必要としないコマンド

すべてのADRCIコマンドは、1つのカレントADRホームが存在する場合をサポートしています。

ノート:

特に指定されないかぎり、すべてのコマンドは複数のカレントADRホームで動作します。

19.9.1 CREATE REPORT

用途

指定したレポート・タイプと実行IDのレポートを作成し、そのレポートをADRに格納します。現在は、hm_run(状態モニター)レポート・タイプのみがサポートされています。

ノート:

状態モニターの実行の結果は、内部形式でADRに格納されます。これらの結果を表示するには、結果から状態モニター・レポートを作成した後に、このレポートを表示する必要があります。レポートは1回のみ作成する必要があります。その後は、このレポートを複数回表示できます。

構文および説明

create report report_type run_name

report_typehm_runである必要があります。run_nameは状態モニターの実行名です。SHOW HM_RUNコマンドを使用して実行名を取得します。

すでにレポートが存在する場合は、そのレポートが上書きされます。レポートを表示するにはSHOW REPORTコマンドを使用します。

このコマンドは、複数のADRホームをサポートしていません。

この例では、実行名hm_run_1421を使用した状態モニターの実行に対するレポートを作成します。

create report hm_run hm_run_1421

ノート:

CREATE REPORTは、複数のADRホームが設定されている場合には機能しません。1つのADRホームの設定については、「ADRCIコマンドを使用する前のADRCIホームパスの設定」を参照してください。

19.9.2 ECHO

用途

入力文字列を出力します。このコマンドを使用すると、ADRCIスクリプトからカスタム・テキストを出力できます。

構文および説明

echo quoted_string

文字列は、一重引用符または二重引用符で囲んで記述します。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

次の例は、文字列Hello, world!を出力します。

echo "Hello, world!"
echo 'Hello, world!'

19.9.3 EXIT

用途

ADRCIユーティリティを終了します。

構文および説明

exit

EXITは、QUITコマンドのシノニムです。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

19.9.4 HOST

用途

ADRCIを終了しないでオペレーティング・システムのコマンドを実行します。

構文および説明

host ["host_command_string"]

hostのみを使用すると、オペレーティング・システムのシェルに入り、複数のオペレーティング・システムのコマンドを入力できるようになります。シェルを終了してADRCIに戻るにはEXITを入力します。

同じ行でコマンド(host_command_string)を二重引用符で囲んで指定することもできます。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

host
host "ls -l *.pl"

19.9.5 IPS

用途

インシデント・パッケージング・サービス(IPS)を呼び出します。IPSコマンドは、論理インシデント・パッケージ(パッケージ)の作成、パッケージへの診断データの追加、およびOracleサポート・サービスへ送信する物理パッケージの生成を行うためのオプションを提供します。

ノート:

IPSコマンドは、複数のADRホームが設定されている場合には機能しません。1つのADRホームの設定については、「ADRCIコマンドを使用する前のADRCIホームパスの設定」を参照してください。

関連項目:

パッケージ化の詳細は、「インシデントのパッケージ化」を参照してください

19.9.5.1 IPSコマンドでの<ADR_HOME>および<ADR_BASE>変数の使用

IPSのコマンド・セットは、カレントADRホームおよびADRベースのディレクトリを参照するためのショートカットを提供します。カレントADRホームのディレクトリにアクセスするには、<ADR_HOME>変数を次のように使用します。

ips add file <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc package 12

ADRベース・ディレクトリにアクセスするには、<ADR_BASE>変数を次のように使用します。

ips add file <ADR_BASE>/diag/rdbms/orcl/orcl/trace/orcl_ora_13579.trc package 12

ノート:

山カッコ(< >)は、ここに示すとおりに入力します。

19.9.5.2 IPS ADD

用途

インシデントをパッケージに追加します。

構文および説明

ips add {incident first [n] | incident inc_id | incident last [n] | 
     problem first [n] | problem prob_id | problem last [n] |
     problemkey pr_key | seconds secs | time start_time to end_time} 
     package package_id

表19-2に、IPS ADDの引数を示します。

表19-2 IPS ADDコマンドの引数

引数 説明

incident first [n]

最初に発生したnつのインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最初に発生した5つのインシデントが追加されます。nを省略すると、デフォルトの1となり、最初に発生したインシデントが追加されます。

incident inc_id

IDがinc_idのインシデントをパッケージに追加します。

incident last [n]

最後に発生したnつのインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最後に発生した5つのインシデントが追加されます。nを省略すると、デフォルトの1となり、最後に発生したインシデントが追加されます。

problem first [n]

最初に発生したnつの問題のインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最初に発生した5つの問題のインシデントが追加されます。nを省略すると、デフォルトの1となり、最初に発生した問題のインシデントが追加されます。

90日を超えるインシデントを除き、各問題について、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

problem prob_id

問題IDがprob_idのインシデントをすべてパッケージに追加します。90日を超えるインシデントを除き、その問題について、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

problem last [n]

最後に発生したnつの問題のインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最後に発生した5つの問題のインシデントが追加されます。nが省略されると、デフォルトの1となり、最後に発生した問題のインシデントが追加されます。

90日を超えるインシデントを除き、各問題について、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

problemkey pr_key

問題キーがpr_keyのインシデントをパッケージに追加します。90日を超えるインシデントを除き、その問題キーについて、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。)

seconds secs

現時点で過去secs秒以内に発生したすべてのインシデントを追加します。

time start_time to end_time

start_timeend_timeの間のすべてのインシデントをパッケージに追加します。時刻の書式はYYYY-MM-YY HH24:MI:SS.FF TZRです。小数部分(FF)はオプションです。

package package_id

インシデントの追加先となるパッケージを指定します。

この例では、インシデント22をパッケージ12に追加します。

ips add incident 22 package 12

この例では、90日を超えるインシデントを除き、問題IDが6の最初に発生した3つの早期インシデントおよび最後に発生した3つの最新インシデントをパッケージ2に追加します。

ips add problem 6 package 2

この例では、過去1分間に発生したすべてのインシデントをパッケージ5に追加します。

ips add seconds 60 package 5

この例では、2010年5月1日の午前10時から午後11時の間に発生したすべてのインシデントを追加します。

ips add  time '2010-05-01 10:00:00.00 -07:00' to '2010-05-01 23:00:00.00 -07:00'
19.9.5.3 IPS ADD FILE

用途

ファイルを既存のパッケージに追加します。

構文および説明

ips add file file_name package package_id

file_nameは、ファイルのフルパス名です。必要に応じて、<ADR_HOME>および<ADR_BASE>変数を使用できます。ファイルは、パッケージと同じADRベース下に存在する必要があります。

package_idはパッケージのIDです。

この例では、トレース・ファイルをパッケージ12に追加します。

ips add file <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc package 12

関連項目:

<ADR_HOME>ディレクトリ構文の詳細は、「IPSコマンドでの<ADR_HOME>および<ADR_BASE>変数の使用」を参照してください

19.9.5.4 IPS ADD NEW INCIDENTS

用途

指定したパッケージ内の問題すべてに対して新しいインシデントを検索して追加します。

構文および説明

ips add new incidents package package_id

package_idは更新するパッケージのIDです。パッケージ内の問題の新しいインシデントのみが追加されます。

この例では、パッケージ12内の問題について新しい最新インシデントを3つまで追加します。

ips add new incidents package 12

ノート:

追加される最新インシデントの数はデフォルト値であり、変更が可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

19.9.5.5 IPS COPY IN FILE

用途

外部ファイル・システムからADRへファイルをコピーします。

パッケージ内のファイルを編集するには、ファイルを指定したディレクトリにコピーし、そのファイルを編集してから、コピーして元のパッケージに戻す必要があります。この作業は、パッケージをOracleサポート・サービスに送信する前にファイル内の機密データを削除するために行うことがあります。

構文および説明

ips copy in file filename [to new_name][overwrite] package package_id
     [incident incid]

外部ファイルfilename(フルパス名で指定)をADRにコピーし、その際に既存のパッケージpackage_idおよびオプションでインシデントincidと関連付けます。ADR内でコピーされたファイルに新しいファイル名を付ける場合は、to new_nameオプションを使用します。すでに存在するファイルを上書きする場合は、overwriteオプションを使用します。

この例では、トレース・ファイルをファイル・システムからADRにコピーします。ファイルはパッケージ2およびインシデント4に関連付けます。

ips copy in file /home/nick/trace/orcl_ora_13579.trc to <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc package 2 incident 4

関連項目:

19.9.5.6 IPS COPY OUT FILE

用途

ADRから外部ファイル・システムへファイルをコピーします。

パッケージ内のファイルを編集するには、ファイルを指定したディレクトリにコピーし、そのファイルを編集してから、コピーして元のパッケージに戻す必要があります。この作業は、パッケージをOracleサポート・サービスに送信する前にファイル内の機密データを削除するために行うことがあります。

構文および説明

ips copy out file source to target [overwrite]

ファイルsourceをADRの外の場所target(フルパス名で指定)にコピーします。すでに存在するファイルを上書きする場合は、overwriteオプションを使用します。

この例では、カレントのADRホームのトレース・サブディレクトリ内のファイルorcl_ora_13579.trcをローカル・フォルダにコピーします。

ips copy out file <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc to /home/nick/trace/orcl_ora_13579.trc

関連項目:

19.9.5.7 IPS CREATE PACKAGE

用途

新しいパッケージを作成します。ADRCIにより、新しいパッケージに対してパッケージ番号が自動的に割り当てられます。

構文および説明

ips create package {incident first [n] | incident inc_id | 
     incident last [n] | problem first [n] | problem prob_id |
     problem last [n] | problemkey prob_key | seconds secs | 
     time start_time to end_time} [correlate {basic |typical | all}]

また、指定されたオプションを使用しても、インシデントを新しいパッケージに追加できます。

表19-3に、IPS CREATE PACKAGEの引数を示します。

表19-3 IPS CREATE PACKAGEコマンドの引数

引数 説明

incident first [n]

最初に発生したnつのインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最初に発生した5つのインシデントが追加されます。nを省略すると、デフォルトの1となり、最初に発生したインシデントが追加されます。

incident inc_id

IDがinc_idのインシデントをパッケージに追加します。

incident last [n]

最後に発生したnつのインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最後に発生した5つのインシデントが追加されます。nを省略すると、デフォルトの1となり、最後に発生したインシデントが追加されます。

problem first [n]

最初に発生したnつの問題のインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最初に発生した5つの問題のインシデントが追加されます。nを省略すると、デフォルトの1となり、最初に発生した問題のインシデントが追加されます。

90日を超えるインシデントを除き、各問題について、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

problem prob_id

問題IDがprob_idのインシデントをすべてパッケージに追加します。90日を超えるインシデントを除き、その問題について、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

problem last [n]

最後に発生したnつの問題のインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最後に発生した5つの問題のインシデントが追加されます。nが省略されると、デフォルトの1となり、最後に発生した問題のインシデントが追加されます。

90日を超えるインシデントを除き、各問題について、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

problemkey pr_key

問題キーがpr_keyのインシデントをすべてパッケージに追加します。90日を超えるインシデントを除き、その問題キーについて、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。)

seconds secs

現時点で過去secs秒以内に発生したすべてのインシデントを追加します。

time start_time to end_time

start_timeend_timeの間に発生したすべてのインシデントをパッケージに追加します。時刻の書式はYYYY-MM-YY HH24:MI:SS.FF TZRです。小数部分(FF)はオプションです。

correlate {basic |typical | all}

パッケージに相関インシデントを指定する方法を選択します。この引数には3つのオプションがあります。

  • correlate basicを選択すると、インシデント・ダンプおよびインシデント・プロセスのトレース・ファイルが指定されます。

  • correlate typicalを選択すると、各インシデントのインシデント・ダンプ、および5分以内に変更されたトレース・ファイルが指定されます。時間間隔を変更するには、INCIDENT_TIME_WINDOW構成パラメータを変更します。

  • correlate allを選択すると、インシデント・ダンプ、およびインシデントが最初に選択された時刻と最後に選択された時刻の間に変更されたすべてのトレース・ファイルが指定されます。

デフォルト値はcorrelate typicalです。

この例では、インシデントを含まないパッケージを作成します。

ips create package

出力:

Created package 5 without any contents, correlation level typical

この例では、指定された日の午前10時から午後11時の間に発生したすべてのインシデントを含むパッケージを作成します。

ips create package time '2010-05-01 10:00:00.00 -07:00' to '2010-05-01 23:00:00.00 -07:00'

出力:

Created package 6 based on time range 2010-05-01 10:00:00.00 -07:00 to 2010-05-01 23:00:00.00 -07:00, correlation level typical

この例では、パッケージを作成し、90日を超えるインシデントを除いて、問題IDが3の最初に発生した3つの早期インシデントおよび最後に発生した3つの最新インシデントを追加します。

ips create package problem 3

出力:

Created package 7 based on problem id 3, correlation level typical

ノート:

追加される早期インシデントと最新インシデントの数と90日の経過日数制限はデフォルト値であり、変更が可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

19.9.5.8 IPS DELETE PACKAGE

用途

ADRからパッケージおよびその内容を削除します。

構文および説明

ips delete package package_id

package_idは削除するパッケージです。

ips delete package 12
19.9.5.9 IPS FINALIZE

用途

アップロードする前にパッケージをファイナライズします。

構文および説明

ips finalize package package_id

package_idはファイナライズするパッケージのIDです。

ips finalize package 12

関連項目:

パッケージのファイナライズの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

19.9.5.10 IPS GENERATE PACKAGE

用途

ターゲット・ディレクトリに物理パッケージ(ZIPファイル)を作成します。

構文および説明

ips generate package package_id [in path] [complete | incremental]

package_idは生成するパッケージのIDです。オプションで、ディレクトリpathにファイルを保存できます。このオプションを指定しない場合、パッケージは現在の作業ディレクトリに生成されます。

completeオプションを指定すると、ADRCIにより、すべてのパッケージ・ファイルがパッケージに強制的に含まれるようになります。これはデフォルトの動作です。

incrementalオプションを選択すると、このパッケージが最後に生成された後に追加または変更されたファイルのみが指定されます。したがって、incrementalオプションでのコマンドの動作はより短い時間で終了します。

この例では、パス/home/steveに物理パッケージ・ファイルを生成します。

ips generate package 12 in /home/steve

この例では、物理パッケージが最後に生成された後に追加または変更されたファイルからパッケージを生成します。

ips generate package 14 incremental
19.9.5.11 IPS GET MANIFEST

用途

パッケージのZIPファイルからマニフェストを抽出して表示します。

構文および説明

ips get manifest from file filename

filenameは、パッケージのZIPファイルです。マニフェストは、パッケージ・ファイルのXML形式のメタデータのセットで、ADR構成、相関ファイル、インシデントおよびパッケージが生成された方法に関する情報を含みます。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

ips get manifest from file /home/steve/ORA603_20060906165316_COM_1.zip
19.9.5.12 IPS GET METADATA

用途

パッケージ・ファイルからADR関連のメタデータを抽出して表示します。

構文および説明

ips get metadata {from file filename | from adr}

filenameは、パッケージのZIPファイルです。(metadata.xmlに格納されている)パッケージ・ファイルのメタデータには、ADRホーム、ADRベースおよび製品に関する情報が含まれています。

IPS UNPACKを使用してADRホームに解凍されたパッケージZIPファイルからメタデータを取得するには、from adrオプションを使用します。

from adrオプションを使用する場合は、ADRホームを設定する必要があります。

この例では、パッケージ・ファイルからメタデータを表示します。

ips get metadata from file /home/steve/ORA603_20060906165316_COM_1.zip

次の例では、ディレクトリ/scratch/oracle/package1に解凍したパッケージ・ファイルからメタデータを表示します。

set base /scratch/oracle/package1
ips get metadata from adr

前述の例でADRCIは、SET BASEコマンドを受け取ると、IPS UNPACK FILEコマンドで/scratch/oracle/package1に作成されたADRホームをホームパスに自動的に追加します。

関連項目:

パッケージ・ファイルの解凍の詳細は、「IPS UNPACK FILE」を参照してください

19.9.5.13 IPS PACK

用途

すぐにパッケージを作成して、物理パッケージを生成します。

構文および説明

ips pack [incident first [n] | incident inc_id | incident last [n] | 
     problem first [n] | problem prob_id | problem last [n] | 
     problemkey prob_key | seconds secs | time start_time to end_time] 
     [correlate {basic |typical | all}] [in path]

ADRCIにより、自動的に新しいパッケージに対してパッケージ番号が生成されます。パッケージの内容が指定されない場合、IPS PACKは空のパッケージを作成します。

表19-4に、IPS PACKの引数を示します。

表19-4 IPS PACKコマンドの引数

引数 説明

incident first [n]

最初に発生したnつのインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最初に発生した5つのインシデントが追加されます。nを省略すると、デフォルトの1となり、最初に発生したインシデントが追加されます。

incident inc_id

IDがinc_idのインシデントをパッケージに追加します。

incident last [n]

最後に発生したnつのインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最後に発生した5つのインシデントが追加されます。nを省略すると、デフォルトの1となり、最後に発生したインシデントが追加されます。

problem first [n]

最初に発生したnつの問題のインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最初に発生した5つの問題のインシデントが追加されます。nを省略すると、デフォルトの1となり、最初に発生した問題のインシデントが追加されます。

90日を超えるインシデントを除き、各問題について、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

problem prob_id

問題IDがprob_idのインシデントをすべてパッケージに追加します。90日を超えるインシデントを除き、その問題について、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

problem last [n]

最後に発生したnつの問題のインシデントをパッケージに追加します(nは正の整数)。たとえばn5を設定すると、最後に発生した5つの問題のインシデントが追加されます。nが省略されると、デフォルトの1となり、最後に発生した問題のインシデントが追加されます。

90日を超えるインシデントを除き、各問題について、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

problemkey pr_key

問題キーがpr_keyのインシデントをパッケージに追加します。90日を超えるインシデントを除き、その問題キーについて、最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントのみを追加します。(ノート: これらの制限はデフォルト値であり、変更可能です。)

seconds secs

現時点で過去secs秒以内に発生したすべてのインシデントを追加します。

time start_time to end_time

start_timeend_timeの間に発生したすべてのインシデントをパッケージに追加します。時刻の書式はYYYY-MM-YY HH24:MI:SS.FF TZRです。小数部分(FF)はオプションです。

correlate {basic |typical | all}

パッケージに相関インシデントを指定する方法を選択します。この引数には3つのオプションがあります。

  • correlate basicを選択すると、インシデント・ダンプおよびインシデント・プロセスのトレース・ファイルが指定されます。

  • correlate typicalを選択すると、各インシデントのインシデント・ダンプ、および5分以内に変更されたトレース・ファイルが指定されます。時間間隔を変更するには、INCIDENT_TIME_WINDOW構成パラメータを変更します。

  • correlate allを選択すると、インシデント・ダンプ、およびインシデントが最初に選択された時刻と最後に選択された時刻の間に変更されたすべてのトレース・ファイルが指定されます。

デフォルト値はcorrelate typicalです。

in path

物理パッケージをディレクトリpathへ保存します。

この例では、空のパッケージを作成します。

ips pack

この例では、インシデント861に関するすべての情報を含む物理パッケージを作成します。

ips pack incident 861

次の例では、過去1分間のすべてのインシデントを完全な相関状態で含む物理パッケージを作成します。

ips pack seconds 60 correlate all

関連項目:

構成パラメータの設定の詳細は、「IPS SET CONFIGURATION」を参照してください。

19.9.5.14 IPS REMOVE

用途

既存のパッケージからインシデントを削除します。

構文および説明

ips remove {incident inc_id | problem prob_id | problemkey prob_key} 
     package package_id

パッケージからインシデントを削除した後も、これらのインシデントは引き続きパッケージのメタデータ内で追跡され、(ADD NEW INCIDENTSなどを使用したときに)ADRCIが後から自動的にこれらのインシデントを追加してしまうのを防ぎます。

表19-5では、IPS REMOVEの引数を示します。

表19-5 IPS REMOVEコマンドの引数

引数 説明

incident inc_id

IDがinc_idのインシデントをパッケージから削除します。

problem prob_id

問題IDがprob_idのインシデントをすべてパッケージから削除します。

problemkey pr_key

問題キーがpr_keyのインシデントをすべてパッケージから削除します。

package package_id

IDがpackage_idのパッケージからインシデントを削除します。

この例では、パッケージ12からインシデント22を削除します。

ips remove incident 22 package 12

関連項目:

パッケージのメタデータの詳細は、「IPS GET MANIFEST」を参照してください

19.9.5.15 IPS REMOVE FILE

用途

既存のパッケージからファイルを削除します。

構文および説明

ips remove file file_name package package_id

file_nameはパッケージpackage_idから削除するファイルです。ファイルの完全パスを指定する必要があります。(必要に応じて、<ADR_HOME>および<ADR_BASE>変数を使用できます。)

削除後も、このファイルは引き続きパッケージのメタデータ内で追跡され、(ADD NEW INCIDENTSなどを使用したときに)ADRCIが後から自動的にこのファイルを追加してしまうのを防ぎます。したがって、ファイルを削除しても、そのファイルのEXCLUDEフラグがExplicitly excludedに設定されるだけです。

この例では、パッケージ12からトレース・ファイルを削除します。

ips remove file <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc package 12
Removed file <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc from package 12
ips show files package 12

.
.
.
FILE_ID                4
FILE_LOCATION          <ADR_HOME>/trace
FILE_NAME              orcl_ora_13579.trc
LAST_SEQUENCE          0
EXCLUDE                Explicitly excluded
.
.
.

関連項目:

19.9.5.16 IPS SET CONFIGURATION

用途

IPS構成パラメータの値を変更します。

構文および説明

ips set configuration {parameter_id | parameter_name} value

parameter_idは変更するパラメータのIDでparameter_nameは、変更するパラメータの名前です。valueは新規の値です。構成パラメータおよびそのIDのリストに対しては、「IPS SHOW CONFIGURATION」を使用します。

ips set configuration 3 10
19.9.5.17 IPS SHOW CONFIGURATION

用途

IPS構成パラメータおよびその値のリストを表示します。これらのパラメータは、タイムアウトおよびインシデント追加間隔など、IPSデータの各種しきい値を制御します。

構文および説明

ips show configuration {parameter_id | parameter_name}]

IPS SHOW CONFIGURATIONは、構成パラメータごとに次の情報を表示します。

  • パラメータID

  • 名前

  • 説明

  • パラメータを使用する単位(日数や時間数など)

  • デフォルト値

  • 最小値

  • 最大値

  • フラグ

オプションで、parameter_idまたはparameter_nameを指定して特定のパラメータに関する情報を取得できます。

次のコマンドは、すべてのIPS構成パラメータを示します。

ips show configuration

出力:

PARAMETER INFORMATION:
   PARAMETER_ID           1
   NAME                   CUTOFF_TIME
   DESCRIPTION            Maximum age for an incident to be considered for 
                          inclusion
   UNIT                   Days
   VALUE                  90
   DEFAULT_VALUE          90
   MINIMUM                1
   MAXIMUM                4294967295
   FLAGS                  0
 
PARAMETER INFORMATION:
   PARAMETER_ID           2
   NAME                   NUM_EARLY_INCIDENTS
   DESCRIPTION            How many incidents to get in the early part of the range
   UNIT                   Number
   VALUE                  3
   DEFAULT_VALUE          3
   MINIMUM                1
   MAXIMUM                4294967295
   FLAGS                  0
 
PARAMETER INFORMATION:
   PARAMETER_ID           3
   NAME                   NUM_LATE_INCIDENTS
   DESCRIPTION            How many incidents to get in the late part of the range
   UNIT                   Number
   VALUE                  3
   DEFAULT_VALUE          3
   MINIMUM                1
   MAXIMUM                4294967295
   FLAGS                  0
 
PARAMETER INFORMATION:
   PARAMETER_ID           4
   NAME                   INCIDENT_TIME_WINDOW
   DESCRIPTION            Incidents this close to each other are considered 
                          correlated
   UNIT                   Minutes
   VALUE                  5
   DEFAULT_VALUE          5
   MINIMUM                1
   MAXIMUM                4294967295
   FLAGS                  0
 
PARAMETER INFORMATION:
   PARAMETER_ID           5
   NAME                   PACKAGE_TIME_WINDOW
   DESCRIPTION            Time window for content inclusion is from x hours 
                          before first included incident to x hours after last 
                          incident
   UNIT                   Hours
   VALUE                  24
   DEFAULT_VALUE          24
   MINIMUM                1
   MAXIMUM                4294967295
   FLAGS                  0
 
PARAMETER INFORMATION:
   PARAMETER_ID           6
   NAME                   DEFAULT_CORRELATION_LEVEL
   DESCRIPTION            Default correlation level for packages
   UNIT                   Number
   VALUE                  2
   DEFAULT_VALUE          2
   MINIMUM                1
   MAXIMUM                4
   FLAGS                  0

このコマンドは、構成パラメータNUM_EARLY_INCIDENTSを示します。

ips show configuration num_early_incidents

このコマンドは、構成パラメータ3を示します。

ips show configuration 3

構成パラメータの説明

表19-6に、IPS構成パラメータの詳細を示します。

表19-6 IPS構成パラメータ

パラメータ ID 説明

CUTOFF_TIME

1

インシデントが追加対象とみなされる最長期間(日単位)。

NUM_EARLY_INCIDENTS

2

問題に基づいてパッケージを作成するときに、前半部分に含めるインシデントの数。デフォルトでは、ADRCIは最初の3つのインシデントと最新の3つのインシデントをパッケージに追加します。

NUM_LATE_INCIDENTS

3

問題に基づいてパッケージを作成するときに、後半部分に含めるインシデントの数。デフォルトでは、ADRCIは最初の3つのインシデントと最新の3つのインシデントをパッケージに追加します。

INCIDENT_TIME_WINDOW

4

2つのインシデントが相関とみなされるためのインシデント発生の間隔(分数)。

PACKAGE_TIME_WINDOW

5

インシデントをパッケージに追加するための時間ウィンドウとして使用時間数。たとえば、値が5の場合、パッケージ内でインシデントが最初に発生した5時間前、およびパッケージ内の最新のインシデントの発生から5時間後のインシデントを含めます。

DEFAULT_CORRELATION_LEVEL

6

パッケージ内のインシデントを相関付けるために使用するデフォルトの相関レベル。相関レベルは次のとおりです。

  • 1(basic): インシデント・ダンプおよびインシデント・プロセスのトレース・ファイルが含まれます。

  • 2(typical): インシデント・ダンプおよびINCIDENT_TIME_WINDOW(前述の内容を参照)で指定された時間ウィンドウ内で変更されたトレース・ファイルが含まれます。

  • 4(all): インシデント・ダンプ、および最初に選択されたインシデントと最後に選択されたインシデント間で変更されたすべてのトレース・ファイルが含まれます。同じ時間範囲内で追加インシデントが発生した場合は、これらのインシデントを自動的に含めることができます。

19.9.5.18 IPS SHOW FILES

用途

指定したパッケージ内に含まれているファイルを表示します。

構文および説明

ips show files package package_id

package_idは表示するパッケージのIDです。

この例では、パッケージ1に関連付けられているすべてのファイルを示します。

ips show files package 1

出力:

   FILE_ID                1
   FILE_LOCATION          <ADR_HOME>/alert
   FILE_NAME              log.xml
   LAST_SEQUENCE          1
   EXCLUDE                Included
 
   FILE_ID                2
   FILE_LOCATION          <ADR_HOME>/trace
   FILE_NAME              alert_adcdb.log
   LAST_SEQUENCE          1
   EXCLUDE                Included
 
   FILE_ID                27
   FILE_LOCATION          <ADR_HOME>/incident/incdir_4937
   FILE_NAME              adcdb_ora_692_i4937.trm
   LAST_SEQUENCE          1
   EXCLUDE                Included
 
   FILE_ID                28
   FILE_LOCATION          <ADR_HOME>/incident/incdir_4937
   FILE_NAME              adcdb_ora_692_i4937.trc
   LAST_SEQUENCE          1
   EXCLUDE                Included
 
   FILE_ID                29
   FILE_LOCATION          <ADR_HOME>/trace
   FILE_NAME              adcdb_ora_692.trc
   LAST_SEQUENCE          1
   EXCLUDE                Included
 
   FILE_ID                30
   FILE_LOCATION          <ADR_HOME>/trace
   FILE_NAME              adcdb_ora_692.trm
   LAST_SEQUENCE          1
   EXCLUDE                Included
.
.
.
19.9.5.19 IPS SHOW INCIDENTS

用途

指定したパッケージ内に含まれているインシデントを表示します。

構文および説明

ips show incidents package package_id

package_idは表示するパッケージのIDです。

この例では、パッケージ1のインシデントを表示します。

ips show incidents package 1

出力:

MAIN INCIDENTS FOR PACKAGE 1:
   INCIDENT_ID            4985
   PROBLEM_ID             1
   EXCLUDE                Included
 
CORRELATED INCIDENTS FOR PACKAGE 1:
19.9.5.20 IPS SHOW PACKAGE

用途

指定したパッケージに関する情報を表示します。

構文および説明

ips show package package_id {basic | brief | detail}

package_idは表示するパッケージのIDです。

basicオプションを使用して、最小限の情報を表示します。これは、package_idが指定されていない場合のデフォルトです。

briefオプションを使用して、basicオプションよりも詳細なパッケージ情報を表示します。これは、package_idが指定されている場合のデフォルトです。

detailオプションを使用して、briefオプションで表示される情報に加えて、パッケージ履歴および含まれているインシデントやファイルの情報を表示します。

ips show package 12
ips show package 12 brief
19.9.5.21 IPS UNPACK FILE

用途

物理パッケージ・ファイルを指定したパスに解凍します。

構文および説明

ips unpack file file_name [into path]

file_nameは、解凍する物理パッケージ(ZIPファイル)のフルパス名です。オプションで、ファイルをディレクトリpathに解凍することもできます。このディレクトリは、すでに存在していて書込み可能である必要があります。パスを省略すると、現在の作業ディレクトリが使用されます。解凍先のディレクトリはADRベースとして処理され、有効なADRホームが含まれるADRベースのディレクトリ階層が完全に作成されます。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

ips unpack file /tmp/ORA603_20060906165316_COM_1.zip into /tmp/newadr

19.9.6 PURGE

用途

現在の削除ポリシーに従って、カレントADRホーム内の診断データを削除します。削除が予定されているADRの内容のみが削除されます。

ADR内の診断データにはデフォルトのライフサイクルが設定されています。たとえば、インシデントおよび問題に関する情報は1年後に削除されますが、関連するダンプ・ファイル(ダンプ)はわずか30日後に削除されます。

Oracle Databaseなどの一部のオラクル社の製品では、ライフ・サイクルの終了時に診断データが自動的に削除されます。その他の製品やコンポーネントでは、このコマンドを使用して診断データを手動で削除する必要があります。また、このコマンドで、自動削除される予定のデータも削除できます。

SHOW CONTROLコマンドでは、存続期間が短いADRの内容と存続期間が長いADRの内容に対して、デフォルトの削除ポリシーが表示されます。

構文および説明

purge [-i {id | start_id end_id} | 
  -age mins [-type {ALERT|INCIDENT|TRACE|CDUMP|HM|UTSCDMP}]]

表19-7に、PURGEのフラグを示します。

表19-7 PURGEコマンドのフラグ

フラグ 説明

-i {id1 | start_id end_id}

特定のインシデントID(id)またはインシデントIDの範囲(start_idおよびend_id)を削除します。

-age mins

mins分以上経過したデータのみを削除します。

-type {ALERT|INCIDENT|TRACE|CDUMP|HM|UTSCDMP}

削除する診断データのタイプを指定します。-age句とともに使用します。

次のタイプを指定できます。

  • ALERT: アラート・ログ

  • INCIDENT: インシデント・データ

  • TRACE: トレース・ファイル(ダンプを含む)

  • CDUMP: コア・ダンプ・ファイル

  • HM: 状態モニターの実行データおよびレポート

  • UTSCDMP: 各セッションのインメモリー・トレースのダンプ

    UTSCDMPデータは、トレース・ディレクトリの下のディレクトリに格納されます。これらのディレクトリの名前は、cdmp_timestampです。バックグラウンド・プロセスは、クリティカル・エラー(ORA-600またはORA-7445エラーなど)が発生すると、このようなディレクトリを作成し、各セッションのインメモリー・トレース・データをトレース・ファイルに書き込みます。このデータは、エラーが発生する前に実行されていたインスタンスを特定するのに役立ちます。

この例では、デフォルトの削除ポリシーに基づいて、カレントADRホーム内のすべての診断データを削除します。

purge

この例では、123から456の間のすべてのインシデントについて、診断データをすべて削除します。

purge -i 123 456

この例では、過去1時間より前のすべてのインシデント・データを削除します。

purge -age 60 -type incident

ノート:

PURGEは、複数のADRホームが設定されている場合には機能しません。1つのADRホームの設定については、「ADRCIコマンドを使用する前のADRCIホームパスの設定」を参照してください。

19.9.7 QUIT

「EXIT」を参照してください。

19.9.8 RUN

用途

ADRCIスクリプトを実行します。

構文および説明

run script_name

@ script_name

@@ script_name

script_nameは、実行するADRCIコマンドを含むファイルです。フルパス名が指定されていないかぎり、ADRCIはカレント・ディレクトリでスクリプトを検索します。ファイル拡張子のないファイル名が指定されている場合、ADRCIはデフォルトの拡張子.adiを使用します。

runおよび@コマンドはシノニムです。@@コマンドは、run@と似ていますが、スクリプト内で使用される場合に、@@はカレント・ディレクトリではなくコール側スクリプトのパスを使用してscript_nameを検索する点が異なります。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

run my_script
@my_script

19.9.9 SELECT

用途

指定されたインシデントまたは問題に関して、修飾されたレコードを取得します。

構文および説明

select {*|[field1, [field2, ...]} FROM {incident|problem}
  [WHERE predicate_string]
  [ORDER BY field1 [, field2, ...] [ASC|DSC|DESC]]
  [GROUP BY field1 [, field2, ...]]
  [HAVING having_predicate_string]

表19-8 SELECTコマンドのフラグ

フラグ 説明

field1, field2, ...

取得するフィールドをリストします。*を指定すると、すべてのフィールドが取得されます。

incident|problem

インシデントまたは問題を問い合せるかどうかを示します。

WHERE "predicate_string"

SQLに類似した述語文字列を使用して、述語がtrueであるインシデントまたは問題のみを表示します。述語文字列は、二重引用符で囲む必要があります。

表19-13に、インシデントの述語文字列で使用できるフィールドを表示します。

表19-17に、問題の述語文字列で使用できるフィールドを表示します。

ORDER BY field1, field2, ... [ASC|DSC|DESC]

フィールドを指定順序、昇順(ASC)および降順(DSCまたはDESC)でソートして、結果を表示します。ORDER BY句を指定すると、結果はデフォルトの昇順で表示されます。

GROUP BY field1, field2, ...

指定したフィールドごとにグループ化された結果が表示されます。

GROUP BYフラグは行をグループ化しますが、結果セットの順序は保証しません。グループ化の順序付けを行うには、ORDER BYフラグを使用します。

HAVING "having_predicate_string"

返される行のグループを、HAVINGの述語がtrueであるグループに制限します。HAVINGフラグは、GROUP BYフラグと一緒に使用する必要があります。

ノート:

WHEREORDER BYGROUP BYおよびHAVINGフラグは、SELECT SQL文の同名の句に似ています。SELECT SQL文における句の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。

制限事項

SELECTコマンドを使用する際は、次の制限事項があります。

  • 結合できる表は、2つまでです。

  • 表の別名は使用できません。

  • 使用できる関数は、この項に示す一部の関数に限定されます。

  • 表を結合するとき、またはGROUP BY句を使用するときに、ワイルドカード(*)は使用できません。

  • 文を1つの行に収める必要があります。

  • 文に副問合せを含めることはできません。

  • 文にWITH句を含めることはできません。

  • 一部の疑似列のみ、使用可能です。たとえば、ROWNUMは使用できますが、ROWIDは使用できません。

この例では、1を超えるincident_idを持つインシデントの、incident_idおよびcreate_timeを取得します。

select incident_id, create_time from incident where incident_id > 1

この問合せの出力例を次に示します。

INCIDENT_ID          CREATE_TIME                              
-------------------- ---------------------------------------- 
4801                 2011-05-27 10:10:26.541656 -07:00       
4802                 2011-05-27 10:11:02.456066 -07:00       
4803                 2011-05-27 10:11:04.759654 -07:00       

この例では、problem_key600が含まれる各問題の、problem_idおよびfirst_incidentを取得します。

select problem_id, first_incident from problem where problem­_key like '%600%'

この問合せの出力例を次に示します。

PROBLEM_ID           FIRST_INCIDENT       
-------------------- -------------------- 
1                    4801                
2                    4802                
3                    4803                

関数

このセクションでは、SELECTコマンドと一緒に使用できる関数について説明します。

これらの関数の目的および構文は、対応するSQL関数に似ていますが、一部において異なっています。この項では、ADRCIユーティリティで使用される関数とおよびSQL関数の間の相違点について説明します。

すべての関数に次の制限事項が適用されます。

  • 式は、単純式である必要があります。単純式については、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。

  • 複数の関数コールを組み合せることはできません。たとえば、次の関数コールの組合せはサポートされません。

    sum(length(column_name))
    
  • 関数はオーバーロードされません。

  • すべての関数の引数は必須です。

  • 関数は、他のADRCIユーティリティ・コマンドと一緒に使用できません。

19.9.9.1 AVG

式の平均値を返します。

構文

制限事項

SELECTコマンドでAVG関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • 式は、数値型の列または正の数値定数である必要があります。

  • この関数は、DISTINCTまたはALLキーワードをサポートしていません。

  • この関数は、OVER句をサポートしていません。

19.9.9.2 CONCAT

2つの文字列を連結して返します。データ型がCHARおよびVARCHAR2の文字データを使用できます。戻り値は、文字データと同じデータ型です。

構文

制限事項

SELECTコマンドでCONCAT関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • この関数は、BLOBCLOBNCLOBBFILEデータ型などのLOBデータ型をサポートしていません。

  • この関数は、NCHARNVARCHAR2NCLOBデータ型などの各国語文字セットのデータ型をサポートしていません。

19.9.9.3 COUNT

問合せによって返された行数を返します。

構文

制限事項

SELECTコマンドでCOUNT関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • この式は、列、数値定数または文字列定数である必要があります。

  • この関数は、DISTINCTまたはALLキーワードをサポートしていません。

  • この関数は、OVER句をサポートしていません。

  • この関数は、通常、重複およびNULLを含めて問合せのすべての行をカウントします。

この例では、flood_controlled0(ゼロ)のインシデントの数を返します。

select count(*) from incident where flood_controlled = 0;

この例では、problem_keyORA-600が含まれる問題の数を返します。

select count(*) from problem where problem_key like '%ORA-600%';
19.9.9.4 DECODE

1つの式を各検索値と1つずつ比較します。式が検索値に等しい場合、Oracle Databaseは対応する結果を返します。一致するものがない場合、Oracleは指定されたデフォルト値を返します。

構文

制限事項

SELECTコマンドでDECODE関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • 検索引数は、文字データである必要があります。

  • デフォルト値を指定する必要があります。

次の例では、各incident_idと、インシデントがフラッド制御されているかどうかを示します。この例では、DECODE関数を使用して、flood_controlledフィールドの数値のかわりにテキストを表示します。

select incident_id, decode(flood_controlled, 0, \
  "Not flood-controlled", "Flood-controlled") from incident;
19.9.9.5 LENGTH

入力文字セットによる定義を使用して、文字列の長さを返します。

この文字列のデータ型には、CHARVARCHAR2NCHARNVARCHAR2CLOBNCLOBのいずれかを使用できます。戻り値のデータ型はNUMBERです。文字列のデータ型がCHARの場合、長さにはすべての後続の空白が含まれます。文字列がNULLの場合、この関数は0(ゼロ)を返します。

ノート:

文字列がNULLの場合、SQL関数はNULLを戻します。

構文

制限事項

SELECTコマンドは、関数LENGTHBLENGTHCLENGTH2およびLENGTH4をサポートしていません。

この例では、各問題のproblem_idおよびproblem_keyの長さを示します。

select problem_id, length(problem_key) from problem;
19.9.9.6 MAX

式の最大値を返します。

構文

制限事項

SELECTコマンドでMAX関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • この関数は、DISTINCTまたはALLキーワードをサポートしていません。

  • この関数は、OVER句をサポートしていません。

この例では、すべての記録された問題の最大のlast_incident値を示します。

select max(last_incident) from problem;
19.9.9.7 MIN

式の最小値を返します。

構文

制限事項

SELECTコマンドでMIN関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • この関数は、DISTINCTまたはALLキーワードをサポートしていません。

  • この関数は、OVER句をサポートしていません。

この例では、すべての記録された問題に関する最小のfirst_incident値を示します。

select min(first_incident) from problem;
19.9.9.8 NVL

問合せの結果において、null(空白として返される)を文字データに置換します。指定した最初の式がNULLの場合、NVLは指定した2番目の式を返します。指定した最初の式がNULLでない場合、NVLは最初の式の値を返します。

構文

制限事項

SELECTコマンドでNVL関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • 置換する値(2番目の式)は、文字データとして指定する必要があります。

  • この関数は、データ変換をサポートしません。

この例では、singalling_componentの出力のNULLをテキスト"No component"に置換します。

select nvl(signalling_component, 'No component') from incident;
19.9.9.9 REGEXP_LIKE

指定した正規表現の指定パターンに一致する行を返します。

ノート:

SQLでは、REGEXP_LIKEは関数ではなく条件です。

構文

制限事項

SELECTコマンドでREGEXP_LIKE関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • パターン一致では、常に大/小文字が区別されます。

  • この関数は、match_param引数をサポートしていません。

この例では、problem_keyが数値で終了するすべての問題のproblem_idおよびproblem_keyを表示します。

select problem_id, problem_key from problem \
  where regexp_like(problem_key, '[0-9]$') = true
19.9.9.10 SUBSTR

文字データの一部を返します。返されるデータ部分は、指定した部分から始まる、指定した文字長の部分文字列となります。SUBSTRは、入力文字セットによって定義された文字を使用して、長さを計算します。

構文

制限事項

SELECTコマンドでSUBSTR関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • この関数は、正の整数のみをサポートします。負の値または浮動小数点数については、サポートしていません。

  • SELECTコマンドは、SUBSTRBSUBSTRCSUBSTR2およびSUBSTR4関数をサポートしていません。

この例では、各problem_keyの5文字目以降を表示します。

select substr(problem_key, 5) from problem;
19.9.9.11 SUM

式の値の合計を返します。

構文

制限事項

SELECTコマンドでSUM関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • この式は、数値型の列または数値定数である必要があります。

  • この関数は、DISTINCTまたはALLキーワードをサポートしていません。

  • この関数は、OVER句をサポートしていません。

19.9.9.12 TIMESTAMP_TO_CHAR

TIMESTAMPデータ型の値を、VARCHAR2データ型の値に、指定した書式で変換します。形式を指定しない場合、値が関数によってデフォルトのタイムスタンプ形式に変換されます。

構文

『Oracle Database SQL言語リファレンス』TO_CHAR関数の構文を参照してください。

制限事項

SELECTコマンドでTIMESTAMP_TO_CHAR関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • この関数は、TIMESTAMPデータ型のみを変換します。TIMESTAMP WITH TIME ZONETIMESTAMP WITH LOCAL TIME ZONEなどのデータ型はサポートされていません。

  • この関数は、nlsparm引数をサポートしていません。この関数は、セッションのデフォルト言語を使用します。

この例では、各インシデントのcreate_timeを、TIMESTAMPデータ型からVARCHAR2データ型にDD-MON-YYYY形式で変換します。

select timestamp_to_char(create_time, 'DD-MON-YYYY') from incident;
19.9.9.13 TOLOWER

すべての文字を小文字にして、文字データを返します。データ型がCHARおよびVARCHAR2の文字データを使用できます。戻り値は、文字データと同じデータ型です。データベースは、基礎となる文字セットに対して定義したバイナリ・マッピングに基づいて文字の形式を設定します。

構文

『Oracle Database SQL言語リファレンス』LOWER関数の構文を参照してください。

制限事項

SELECTコマンドでTOLOWER関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • この関数は、BLOBCLOBNCLOBBFILEデータ型などのLOBデータ型をサポートしていません。

  • この関数は、NCHARNVARCHAR2NCLOBデータ型などの各国語文字セットのデータ型をサポートしていません。

この例では、各problem_keyをすべて小文字で表示します。

select tolower(problem_key) from problem;
19.9.9.14 TOUPPER

すべての文字を大文字にして、文字データを返します。データ型がCHARおよびVARCHAR2の文字データを使用できます。戻り値は、文字データと同じデータ型です。データベースは、基礎となる文字セットに対して定義したバイナリ・マッピングに基づいて文字の形式を設定します。

構文

『Oracle Database SQL言語リファレンス』UPPER関数の構文を参照してください。

制限事項

SELECTコマンドでTOUPPER関数を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。

  • この関数は、BLOBCLOBNCLOBBFILEデータ型などのLOBデータ型をサポートしていません。

  • この関数は、NCHARNVARCHAR2NCLOBデータ型などの各国語文字セットのデータ型をサポートしていません。

この例では、各problem_keyをすべて大文字で表示します。

select toupper(problem_key) from problem;

19.9.10 SET BASE

用途

カレントADRCIセッションで使用するADRベースを設定します。

構文および説明

set base base_str

base_strは、ディレクトリへのフルパスです。base_strの形式は、オペレーティング・システムによって異なります。ベース・ディレクトリ下に有効なADRホームが存在する場合、これらのホームはカレントADRCIセッションのホームパスに追加されます。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

set base /u01/app/oracle

関連項目:

「ADRベース」

19.9.11 SET BROWSER

用途

レポートを表示するデフォルトのブラウザを設定します。

ノート:

このコマンドは今後使用する目的で確保されています。現時点では、ADRCIはブラウザでHTML形式のレポートをサポートしていません。

構文および説明

set browser browser_program

browser_programは、ブラウザのプログラム名です(ブラウザはカレントのADR作業ディレクトリから起動可能であると想定されています)。ブラウザが設定されていない場合、ADRCIはレポートを端末またはスプール・ファイルに表示します。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

set browser mozilla

関連項目:

  • レポート表示の詳細は、「SHOW REPORT」を参照してください

  • スプールの詳細は、「SPOOL」を参照してください

19.9.12 SET CONTROL

用途

ADRの内容の削除ポリシーを設定します。

構文および説明

set control (purge_policy = value, ...)

purge_policyは、SHORTP_POLICYまたはLONGP_POLICYのいずれかです。詳細は、「SHOW CONTROL」を参照してください。

valueは、ADRの内容が削除可能になるまでの時間数です。

SHORTP_POLICYおよびLONGP_POLICYは相互に排他的ではありません。各ポリシーは、異なるタイプの内容を制御します。

このコマンドは、1つのADRホームでのみ機能します。

set control (SHORTP_POLICY = 360)

19.9.13 SET ECHO

用途

コマンド出力をオンまたはオフにします。このコマンドは、スクリプトに表示される出力またはスプール・モードを使用する出力のみに影響します。

構文および説明

set echo on|off

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

set echo off

関連項目:

スプールの詳細は、「SPOOL」を参照してください

19.9.14 SET EDITOR

用途

アラート・ログおよびトレース・ファイルの内容を表示するためのエディタを設定します。

構文および説明

set editor editor_program

editor_programは、エディタのプログラム名です。エディタが設定されていない場合、ADRCIはオペレーティング・システムの環境変数EDITORで指定されているエディタを使用します。EDITORが設定されていない場合、ADRCIはデフォルトのエディタとしてviを使用します。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

set editor xemacs

19.9.15 SET HOMEPATH

用途

1つ以上のADRホームをカレントにします。多くのADRコマンドが、カレントADRホームでのみ動作します。

構文および説明

set homepath homepath_str1 homepath_str2 ...

homepath_strn文字列は、カレントADRベースに対して相対的なADRホームのパスです。ディレクトリ名diagはパスから省略可能です。指定したパスに複数のADRホームが含まれている場合は、すべてのホームがホームパスに追加されます。

目的とする新しいADRホームがカレントADRベース内に存在しない場合は、SET BASEを使用して新しいADRベースを設定してから、SET HOMEPATHを使用します。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

set homepath diag/rdbms/orcldw/orcldw1  diag/rdbms/orcldw/orcldw2

次のコマンドにより、前述の例と同一のホームパスを設定できます。

set homepath rdbms/orcldw/orcldw1  rdbms/orcldw/orcldw2

関連項目:

「ホームパス」

19.9.16 SET TERMOUT

用途

端末への出力をオンまたはオフにします。

構文および説明

set termout on|off

この設定はスプールとは関係なく使用できます。つまり、出力は端末とファイル両方に同時に送信できます。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

関連項目:

スプールの詳細は、「SPOOL」を参照してください

set termout on

19.9.17 SHOW ALERT

用途

デフォルトのエディタにアラート・ログの内容を表示します。

構文および説明

show alert [-p "predicate_string"] [-tail [num] [-f]] [-term]
  [-file alert_file_name]

-termフラグを使用している場合を除き、このコマンドは1つのカレントADRホームでのみ動作します。複数のADRホームが設定されている場合、ADRCIによって、使用するADRホームを選択するように要求されます。

表19-9 SHOW ALERTコマンドのフラグ

フラグ 説明

-p "predicate_string"

SQLに類似した述語文字列を使用して、述語がtrueであるアラート・ログのエントリのみを表示します。述語文字列は、二重引用符で囲む必要があります。

表19-10に、述語文字列で使用できるフィールドを表示します。

-tail [num] [-f]

アラート・ログの最新のエントリを表示します。

numオプションを使用して、アラート・ログで最新のnum個のエントリを表示します。numが省略されている場合は、最新の10個のエントリが表示されます。

-fオプションが指定されている場合は、要求されたメッセージを表示した後に、コマンドが戻りません。かわりに、コマンドがアクティブのまま残り、アラート・ログに新しいエントリが到着すると、引き続きそのエントリを端末に表示します。このコマンドを使用すると、アラート・ログのライブ監視を実行できます。このコマンドを終了するには、[Ctrl]を押しながら[C]を押します。

-term

結果を端末に送信します。すべてのカレントADRホームからアラート・ログ全体を順次出力します。このオプションが指定されていない場合、結果はデフォルトのエディタに表示されます。

-file alert_file_name

ADRの外のアラート・ファイルを指定できます。alert_file_nameは、フルパス名で指定する必要があります。このオプションは、-tailオプションとともに使用できません。

表19-10 SHOW ALERTのアラート・フィールド

フィールド

ORIGINATING_TIMESTAMP

timestamp

NORMALIZED_TIMESTAMP

タイムスタンプ

ORGANIZATION_ID

text(65)

COMPONENT_ID

テキスト(65)

HOST_ID

テキスト(65)

HOST_ADDRESS

text(17)

MESSAGE_TYPE

number

MESSAGE_LEVEL

数値

MESSAGE_ID

テキスト(65)

MESSAGE_GROUP

テキスト(65)

CLIENT_ID

テキスト(65)

MODULE_ID

テキスト(65)

PROCESS_ID

text(33)

THREAD_ID

テキスト(65)

USER_ID

テキスト(65)

INSTANCE_ID

テキスト(65)

DETAILED_LOCATION

text(161)

UPSTREAM_COMP_ID

text(101)

DOWNSTREAM_COMP_ID

テキスト(101)

EXECUTION_CONTEXT_ID

テキスト(101)

EXECUTION_CONTEXT_SEQUENCE

数値

ERROR_INSTANCE_ID

数値

ERROR_INSTANCE_SEQUENCE

数値

MESSAGE_TEXT

text(2049)

MESSAGE_ARGUMENTS

text(129)

SUPPLEMENTAL_ATTRIBUTES

テキスト(129)

SUPPLEMENTAL_DETAILS

text(4000)

PROBLEM_KEY

テキスト(65)

この例では、カレントADRホームのすべてのアラート・メッセージをデフォルトのエディタに表示します。

show alert

この例では、カレントADRホームのすべてのアラート・メッセージを表示し、デフォルトのエディタではなく端末に出力を送信します。

show alert -term

この例では、カレントADRホームのすべてのアラート・メッセージを、インシデントを示すメッセージ・テキストとともに表示します。

show alert -p "message_text like '%incident%'"

この例では、最新の20個のアラート・メッセージを表示してから、アラート・ログをオープンしたままにし、新しいアラート・ログのエントリが到着すると、それらのエントリを表示します。

show alert -tail 20 -f

この例では、複数のADRホームが設定されているときに、1つのカレントADRホームのすべてのアラート・メッセージをデフォルトのエディタに表示します。

show alert

Choose the alert log from the following homes to view:

1: diag/tnslsnr/dbhost1/listener
2: diag/asm/+asm/+ASM
3: diag/rdbms/orcl/orcl
4: diag/clients/user_oracle/host_9999999999_11
Q: to quit

Please select option:
3

関連項目:

「SET EDITOR」

19.9.18 SHOW BASE

用途

カレントADRベースを示します。

構文および説明

show base [-product product_name]

特定の製品では、オプションで、製品のADRベースの場所を表示できます。現在サポートされている製品は、CLIENTADRCIです。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

次の例では、カレントADRベースを示します。

show base

出力:

ADR base is "/u01/app/oracle"

次の例では、Oracle DatabaseクライアントのカレントADRベースを示します。

show base -product client

19.9.19 SHOW CONTROL

用途

削除ポリシー属性を含む、ADRについての情報を示します。

構文および説明

show control

次の削除ポリシー属性を含む、ADRの各種属性を示します。

属性名 説明

SHORTP_POLICY

存続期間の短いADRの内容が削除可能になるまでの時間数。デフォルト値は720 (30日)です。

0(ゼロ)を設定すると、存続期間の短い内容をすべて削除できます。設定の最大値は、35791394です。35791394を超える値を指定すると、この属性は0(ゼロ)に設定されます。

存続期間の短いADRの内容を次に示します。

  • cdmp_timestampサブディレクトリに格納済のこれらのファイルを含む、トレース・ファイル

  • コア・ダンプ・ファイル

  • パッケージ情報

LONGP_POLICY

存続期間の長いADRの内容が削除可能になるまでの時間数。デフォルト値は8760 (365日)です。

0(ゼロ)を設定すると、存続期間の長い内容をすべて削除できます。設定の最大値は、35791394です。35791394を超える値を指定すると、この属性は0(ゼロ)に設定されます。

存続期間の長いADRの内容を次に示します。

  • インシデント情報

  • インシデント・ダンプ

  • アラート・ログ

ノート:

SHORTP_POLICYおよびLONGP_POLICY属性は相互に排他的ではありません。各ポリシーは、異なるタイプの内容を制御します。

19.9.20 SHOW HM_RUN

用途

状態モニターの実行に関するすべての情報を表示します。

構文および説明

show hm_run [-p "predicate_string"]

predicate_stringは、選択するフィールド名を指定するSQLに類似した述語です。表19-11に、使用可能なフィールド名のリストを示します。

表19-11 状態モニターの実行に使用するフィールド

フィールド タイプ

RUN_ID

数値

RUN_NAME

text(31)

CHECK_NAME

テキスト(31)

NAME_ID

数値

MODE

数値

START_TIME

タイムスタンプ

RESUME_TIME

タイムスタンプ

END_TIME

タイムスタンプ

MODIFIED_TIME

タイムスタンプ

TIMEOUT

数値

FLAGS

数値

STATUS

数値

SRC_INCIDENT_ID

数値

NUM_INCIDENTS

数値

ERR_NUMBER

数値

REPORT_FILE

bfile

次の例では、すべての状態モニターの実行に関するデータを示します。

show hm_run

次の例では、123のIDを持つ状態モニターの実行に関するデータを示します。

show hm_run -p "run_id=123"

関連項目:

状態モニターの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

19.9.21 SHOW HOMEPATH

用途

SHOW HOMESコマンドと同じです。

構文および説明

show homepath | show homes | show home

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

show homepath

出力:

ADR Homes:
diag/tnslsnr/dbhost1/listener
diag/asm/+asm/+ASM
diag/rdbms/orcl/orcl
diag/clients/user_oracle/host_9999999999_11

関連項目:

ホームパスの設定方法の詳細は、「SET HOMEPATH」を参照してください

19.9.22 SHOW HOMES

用途

カレントADRCIセッションのADRホームを表示します。

構文および説明

show homes | show home | show homepath

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

show homes

出力:

ADR Homes:
diag/tnslsnr/dbhost1/listener
diag/asm/+asm/+ASM
diag/rdbms/orcl/orcl
diag/clients/user_oracle/host_9999999999_11

19.9.23 SHOW INCDIR

用途

指定したインシデントのトレース・ファイルを表示します。

構文および説明

show incdir [id | id_low id_high]

1つのインシデントID(id)またはインシデントの範囲(id_lowからid_high)を指定できます。インシデントIDが指定されていない場合は、すべてのインシデントのトレース・ファイルが表示されます。

この例では、すべてのインシデントのすべてのトレース・ファイルを表示します。

show incdir

出力:

ADR Home = /u01/app/oracle/log/diag/rdbms/emdb/emdb:
*************************************************************************
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3801/emdb_ora_23604_i3801.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3801/emdb_m000_23649_i3801_a.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3802/emdb_ora_23604_i3802.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3803/emdb_ora_23604_i3803.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3804/emdb_ora_23604_i3804.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3805/emdb_ora_23716_i3805.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3805/emdb_m000_23767_i3805_a.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3806/emdb_ora_23716_i3806.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3633/emdb_pmon_28970_i3633.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3633/emdb_m000_23778_i3633_a.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3713/emdb_smon_28994_i3713.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3713/emdb_m000_23797_i3713_a.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3807/emdb_ora_23783_i3807.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3807/emdb_m000_23803_i3807_a.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3808/emdb_ora_23783_i3808.trc

この例では、インシデント3713のすべてのトレース・ファイルを表示します。

show incdir 3713

出力:

ADR Home = /u01/app/oracle/log/diag/rdbms/emdb/emdb:
*************************************************************************
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3713/emdb_smon_28994_i3713.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3713/emdb_m000_23797_i3713_a.trc

次の例では、3801から3804の間のインシデントのすべてのトレース・ファイルを表示します。

show incdir 3801 3804

出力:

ADR Home = /u01/app/oracle/log/diag/rdbms/emdb/emdb:
*************************************************************************
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3801/emdb_ora_23604_i3801.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3801/emdb_m000_23649_i3801_a.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3802/emdb_ora_23604_i3802.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3803/emdb_ora_23604_i3803.trc
diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3804/emdb_ora_23604_i3804.trc

19.9.24 SHOW INCIDENT

用途

カレントADRホームに関連付けられているすべてのインシデントを表示します。未解決のインシデントとクローズしたインシデントの両方を含めます。

構文および説明

show incident [-p "predicate_string"] [-mode {BASIC|BRIEF|DETAIL}]          [-orderby field1, field2, ... [ASC|DSC]]

表19-12に、SHOW INCIDENTのフラグを示します。

表19-12 SHOW INCIDENTコマンドのフラグ

フラグ 説明

-p "predicate_string"

述語文字列を使用して、述語がtrueであるインシデントのみを示します。述語文字列は、二重引用符で囲む必要があります。

表19-13に、述語文字列で使用できるフィールドを表示します。

-mode {BASIC|BRIEF|DETAIL}

インシデントの出力モードを選択します。BASICはデフォルトです。

  • BASICは、基本的なインシデント情報(INCIDENT_IDPROBLEM_IDおよびCREATE_TIMEの各フィールド)のみを表示します。フラッド制御されているインシデントは表示されません。

  • BRIEFは、表19-13で説明されているフィールドの指定に従って、インシデントに関連するすべての情報を表示します。フラッド制御されているインシデントも含みます。

  • DETAILは、(BRIEFモードを使用した場合と同じ)インシデントに関連するすべての情報と、インシデント・ダンプに関する情報を表示します。フラッド制御されているインシデントも含みます。

-orderby field1, field2, ... [ASC|DSC]

結果を指定した順序のフィールドでソートするだけでなく、昇順(ASC)および降順(DSC)でソートして表示します。デフォルトでは、結果は昇順で表示されます。

表19-13 SHOW INCIDENTのインシデント・フィールド

フィールド タイプ 説明

INCIDENT_ID

数値

インシデントのID

PROBLEM_ID

数値

インシデントが属する問題のID

CREATE_TIME

タイムスタンプ

インシデントが作成された時間

CLOSE_TIME

タイムスタンプ

インシデントがクローズされた時間

STATUS

数値

このインシデントの状態

FLAGS

数値

内部使用のフラグ

FLOOD_CONTROLLED

number(ADRCIによりテキスト・ステータスにデコードされる)

インシデントのフラッド制御の状態をエンコード

ERROR_FACILITY

text(10)

インシデントの原因となったエラーのエラー機能

ERROR_NUMBER

数値

インシデントの原因となったエラーのエラー番号

ERROR_ARG1

text(64)

インシデントの原因となったエラーに関する最初の引数

エラーの引数では、エラーを発行したコードの位置など、エラーの追加情報が提供されます。

ERROR_ARG2

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する2番目の引数

ERROR_ARG3

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する3番目の引数

ERROR_ARG4

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する4番目の引数

ERROR_ARG5

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する5番目の引数

ERROR_ARG6

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する6番目の引数

ERROR_ARG7

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する7番目の引数

ERROR_ARG8

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する8番目の引数

SIGNALLING_COMPONENT

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラー信号を出したコンポーネント

SIGNALLING_SUBCOMPONENT

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラー信号を出したサブコンポーネント

SUSPECT_COMPONENT

テキスト(64)

インシデントの原因の可能性があると自動的に識別されたコンポーネント

SUSPECT_SUBCOMPONENT

テキスト(64)

インシデントの原因の可能性があると自動的に識別されたサブコンポーネント

ECID

テキスト(64)

実行コンテキストID

IMPACT

数値

インシデントの影響のエンコード化

ERROR_ARG9

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する9番目の引数

ERROR_ARG10

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する10番目の引数

ERROR_ARG11

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する11番目の引数

ERROR_ARG12

テキスト(64)

インシデントの原因となったエラーに関する12番目の引数

次の例では、このADRホームのすべてのインシデントを示します。

show incident

出力:

ADR Home = /u01/app/oracle/log/diag/rdbms/emdb/emdb:
*************************************************************************
INCIDENT_ID          PROBLEM_KEY                                  CREATE_TIME
-------------------- -------------------------------------------- ----------------------------
3808                 ORA 603                                      2010-06-18 21:35:49.322161 -07:00
3807                 ORA 600 [4137]                               2010-06-18 21:35:47.862114 -07:00
3806                 ORA 603                                      2010-06-18 21:35:26.666485 -07:00
3805                 ORA 600 [4136]                               2010-06-18 21:35:25.012579 -07:00
3804                 ORA 1578                                     2010-06-18 21:35:08.483156 -07:00
3713                 ORA 600 [4136]                               2010-06-18 21:35:44.754442 -07:00
3633                 ORA 600 [4136]                               2010-06-18 21:35:35.776151 -07:00
7 rows fetched

次の例では、インシデント3805の詳細を示します。

adrci> show incident -mode DETAIL -p "incident_id=3805"

出力:

ADR Home = /u01/app/oracle/log/diag/rdbms/emdb/emdb:
*************************************************************************
 
**********************************************************
INCIDENT INFO RECORD 1
**********************************************************
   INCIDENT_ID                   3805
   STATUS                        closed
   CREATE_TIME                   2010-06-18 21:35:25.012579 -07:00
   PROBLEM_ID                    2
   CLOSE_TIME                    2010-06-18 22:26:54.143537 -07:00
   FLOOD_CONTROLLED              none
   ERROR_FACILITY                ORA
   ERROR_NUMBER                  600
   ERROR_ARG1                    4136
   ERROR_ARG2                    2
   ERROR_ARG3                    18.0.628
   ERROR_ARG4                    <NULL>
   ERROR_ARG5                    <NULL>
   ERROR_ARG6                    <NULL>
   ERROR_ARG7                    <NULL>
   ERROR_ARG8                    <NULL>
   SIGNALLING_COMPONENT          <NULL>
   SIGNALLING_SUBCOMPONENT       <NULL>
   SUSPECT_COMPONENT             <NULL>
   SUSPECT_SUBCOMPONENT          <NULL>
   ECID                          <NULL>
   IMPACTS                       0
   PROBLEM_KEY                   ORA 600 [4136]
   FIRST_INCIDENT                3805
   FIRSTINC_TIME                 2010-06-18 21:35:25.012579 -07:00
   LAST_INCIDENT                 3713
   LASTINC_TIME                  2010-06-18 21:35:44.754442 -07:00
   IMPACT1                       0
   IMPACT2                       0
   IMPACT3                       0
   IMPACT4                       0
   KEY_NAME                      Client ProcId
   KEY_VALUE                     oracle@dbhost1 (TNS V1-V3).23716_3083142848
   KEY_NAME                      SID
   KEY_VALUE                     127.52237
   KEY_NAME                      ProcId
   KEY_VALUE                     23.90
   KEY_NAME                      PQ
   KEY_VALUE                     (0, 1182227717)
   OWNER_ID                      1
   INCIDENT_FILE                 /.../emdb/emdb/incident/incdir_3805/emdb_ora_23716_i3805.trc
   OWNER_ID                      1
   INCIDENT_FILE                 /.../emdb/emdb/trace/emdb_ora_23716.trc
   OWNER_ID                      1
   INCIDENT_FILE                 /.../emdb/emdb/incident/incdir_3805/emdb_m000_23767_i3805_a.trc
1 rows fetched

19.9.25 SHOW LOG

用途

診断ログ・メッセージを表示します。

構文および説明

show log [-l log_name] [-p "predicate_string"] [-term] [ [-tail [num] [-f]] ]

表19-14に、SHOW LOGのフラグを示します。

表19-14 SHOW LOGコマンドのフラグ

フラグ 説明

-l log_name

表示するログの名前。

ログ名を指定しない場合、このコマンドによって、カレントADRホーム以下のすべての診断ログに含まれるすべてのメッセージが表示されます。

-p "predicate_string"

SQLに類似した述語文字列を使用して、述語がtrueであるログのエントリのみを表示します。述語文字列は、二重引用符で囲む必要があります。

表19-15に、述語文字列で使用できるフィールドを表示します。

-term

結果を端末に送信します。

このオプションを指定しない場合、このコマンドによってエディタに結果が表示されます。デフォルトでは、結果はEmacsに表示されますが、SET EDITORコマンドを使用して別のエディタに結果を表示することもできます。

-tail [num] [-f]

ログの最新のエントリを表示します。

numオプションを使用して、ログで最新のnum個のエントリを表示します。numが省略されている場合は、最新の10個のエントリが表示されます。

-fオプションが指定されている場合は、要求されたメッセージを表示した後に、コマンドが戻りません。かわりに、コマンドがアクティブのまま残り、ログに新しいエントリが到着すると、引き続きそのエントリを端末に表示します。このコマンドを使用すると、ログのライブ監視を実行できます。このコマンドを終了するには、[Ctrl]を押しながら[C]を押します。

表19-15 SHOW LOGのログ・フィールド

フィールド タイプ

ORIGINATING_TIMESTAMP

タイムスタンプ

NORMALIZED_TIMESTAMP

タイムスタンプ

ORGANIZATION_ID

テキスト(65)

COMPONENT_ID

テキスト(65)

HOST_ID

テキスト(65)

HOST_ADDRESS

テキスト(17)

MESSAGE_TYPE

数値

MESSAGE_LEVEL

数値

MESSAGE_ID

テキスト(65)

MESSAGE_GROUP

テキスト(65)

CLIENT_ID

テキスト(65)

MODULE_ID

テキスト(65)

PROCESS_ID

テキスト(33)

THREAD_ID

テキスト(65)

USER_ID

テキスト(65)

INSTANCE_ID

テキスト(65)

DETAILED_LOCATION

テキスト(161)

UPSTREAM_COMP_ID

テキスト(101)

DOWNSTREAM_COMP_ID

テキスト(101)

EXECUTION_CONTEXT_ID

テキスト(101)

EXECUTION_CONTEXT_SEQUENCE

数値

ERROR_INSTANCE_ID

数値

ERROR_INSTANCE_SEQUENCE

数値

MESSAGE_TEXT

テキスト(2049)

MESSAGE_ARGUMENTS

テキスト(129)

SUPPLEMENTAL_ATTRIBUTES

テキスト(129)

SUPPLEMENTAL_DETAILS

テキスト(4000)

PROBLEM_KEY

テキスト(65)

19.9.26 SHOW PROBLEM

用途

カレントADRホームの問題情報を示します。

構文および説明

show problem [-p "predicate_string"] [-last num | -all]
    [-orderby field1, field2, ... [ASC|DSC]]

次の表に、SHOW PROBLEMのフラグを示します。

表19-16 SHOW PROBLEMコマンドのフラグ

フラグ 説明

-p "predicate_string"

SQLに類似した述語文字列を使用して、述語がtrueであるインシデントのみを示します。述語文字列は、二重引用符で囲む必要があります。

表「SHOW PROBLEMの問題フィールド」に、述語文字列で使用できるフィールドを示します。

-last num | -all

最新のnum個の問題を示すか、またはすべての問題を示します。デフォルトでは、SHOW PROBLEMは最新の50個の問題を示します。

-orderby field1, field2, ... [ASC|DSC]

結果を指定した順序のフィールド(field1field2、...)でソートするだけでなく、昇順(ASC)および降順(DSC)でソートして表示します。デフォルトでは、結果は昇順で表示されます。

表19-17 SHOW PROBLEMの問題フィールド

フィールド タイプ 説明

PROBLEM_ID

数値

問題のID

PROBLEM_KEY

text(550)

問題の問題キー

FIRST_INCIDENT

数値

問題の最初のインシデントのインシデントID

FIRSTINC_TIME

タイムスタンプ

問題の最初のインシデントの作成時間

LAST_INCIDENT

数値

問題の最後のインシデントのインシデントID

LASTINC_TIME

タイムスタンプ

問題の最後のインシデントの作成時間

IMPACT1

数値

この問題の影響のエンコード化

IMPACT2

数値

この問題の影響のエンコード化

IMPACT3

数値

この問題の影響のエンコード化

IMPACT4

数値

この問題の影響のエンコード化

SERVICE_REQUEST

テキスト(64)

問題のサービス・リクエスト(サポート・ワークベンチで入力)

BUG_NUMBER

テキスト(64)

問題のバグ番号(サポート・ワークベンチで入力)

次の例では、カレントADRホームのすべての問題を表示します。

show problem -all

次の例では、IDが4の問題を示します。

show problem -p "problem_id=4"

19.9.27 SHOW REPORT

用途

指定したレポート・タイプおよび実行名のレポートを表示します。現在は、hm_run(状態モニター)レポート・タイプのみが、XML形式のみでサポートされています。HTML形式の状態モニター・レポートを表示するには、Oracle Enterprise ManagerまたはDBMS_HM PL/SQLパッケージを使用します。詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

構文および説明

SHOW REPORT report_type run_name

report_typehm_runである必要があります。run_nameは、レポートの作成元となる状態モニターの実行名です。CREATE REPORTコマンドを使用して、最初にレポートを作成する必要があります。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

show report hm_run hm_run_1421

19.9.28 SHOW TRACEFILE

用途

トレース・ファイルを表示します。

構文および説明

show tracefile [file1 file2 ...] [-rt | -t]
  [-i inc1 inc2 ...] [-path path1 path2 ...] 

このコマンドは、-iまたは-pathフラグが指定されていないかぎり、カレントADRホームのトレース・ディレクトリおよびすべてのインシデント・ディレクトリ下で1つ以上のファイルを検索します。

このコマンドの使用時に-iオプションを指定しないかぎり、ADRホームを設定しておく必要はありません。

表19-18に、SHOW TRACEFILEの引数を示します。

表19-18 SHOW TRACEFILEコマンドの引数

引数 説明

file1 file2 ...

ファイル名で結果をフィルタ処理します。%記号はワイルドカード文字です。

表19-19 SHOW TRACEFILEコマンドのフラグ

フラグ 説明

-rt | -t

トレース・ファイル名をタイムスタンプに従って並べ替えます。-tを指定すると、ファイル名がタイムスタンプの昇順でソートされ、-rtを指定すると、ファイル名がその逆の順序でソートされます。ファイル名の並べ替えは、ファイルのディレクトリを基準としてのみ行われます。トレース・ファイルの複数のディレクトリを表示すると、各ディレクトリに個別に順序付けが行われます。

このオプションを使用すると、タイムスタンプが各ファイル名の横に表示されます。

-i inc1 inc2 ...

指定したインシデントIDに対して作成されたトレース・ファイルのみを選択します。

-path path1 path2 ...

指定したパス名下のトレース・ファイルのみを問い合せます。

次の例では、カレントADRホーム下のすべてのトレース・ファイルを示します。

show tracefile

次の例では、すべてのmmonトレース・ファイルを、タイムスタンプに従って降順で表示します。

show tracefile %mmon% -rt

次の例では、/home/steve/temp下にある、インシデント1および4に対するすべてのトレース・ファイルを示します。

show tracefile -i 1 4 -path /home/steve/temp

19.9.29 SPOOL

用途

ADRCI出力をファイルへ送信します。

構文および説明

SPOOL filename [[APPEND] | [OFF]]

filenameは、出力が送信されるファイル名です。フルパス名が指定されていない場合、ファイルはカレントADRCI作業ディレクトリに作成されます。ファイル拡張子が指定されていない場合、デフォルトの拡張子.adoが使用されます。APPENDを指定すると、出力がファイルの末尾に追加されます。指定されていない場合は、ファイルが上書きされます。スプールをオフにするにはOFFを使用します。

このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。

spool myfile
spool myfile.ado append
spool off
spool

19.10 ADRCIのトラブルシューティング

一般的なADRCIエラー・メッセージについて説明します。

一般的なADRCIエラー・メッセージの一部と、その考えられる原因および回避策を次に示します。

ADRベースが設定されていません

原因: ORACLE_HOME環境変数にNULLまたは無効な変数を指定してADRCIを起動した可能性があります。

処理: ADRCIを終了し、ORACLE_HOME環境変数を設定してからADRCIを再起動します。詳細は、「ADRベース」を参照してください。

DIA-48323: 指定されたパス名[string]は現行ADRホームの内部に存在する必要があります

原因: ADRホームの外のファイルは、このコマンドではインシデント・ファイルとして使用できません。

処理: ADRホーム内のインシデント・ファイルを使用して再試行します。

DIA-48400: ADRCIの初期化に失敗しました

原因: ADRベース・ディレクトリが存在しません。

処理: DIAGNOSTIC_DEST初期化パラメータの値をチェックし、1つ以上のADRホームを含むADRベース・ディレクトリを示していることを確認します。DIAGNOSTIC_DESTが欠落している場合やNULLである場合は、ORACLE_HOME/logで有効なADRベース・ディレクトリ階層を確認します。

DIA-48431: ADRホーム・パスを1つ以上指定する必要があります

原因: そのコマンドで、1つ以上のADRホームをカレントにする必要があります。

処理: SET HOMEPATHコマンドを使用して、1つ以上のADRホームをカレントにします。

DIA-48432: ADRホーム・パス[string]が無効です

原因: 指定されたADRホームが有効ではありません。パスが存在していない可能性があります。

処理: 指定されたADRホームパスが存在していることを確認します。

DIA-48447: 入力パス[path]にADRホームが含まれていません

原因: SET HOMEPATHを使用してADRホームを設定する場合、カレントADRベースに対して相対的なパスを指定する必要があります。

処理: 目的とする新しいADRホームがカレントADRベースに存在しない場合は、まずSET BASEを使用してADRベースを設定し、その後でSHOW HOMESを使用して新しいADRベースの下でADRホームを確認します。次に、必要に応じて、SET HOMEPATHを使用して新しいADRホームを設定します。

DIA-48448: このコマンドは、複数のADRホームをサポートしていません

原因: カレントADRCIセッションに複数のカレントADRホームが存在します。

処理: SET HOMEPATHコマンドを使用して、1つのADRホームをカレントにします。