1 Oracle Data Pumpの概要
Oracle Data Pumpテクノロジを使用すると、データおよびメタデータをデータベース間で非常に高速に移動できます。
次の項目を理解することは、Oracle Data Pumpを最大限に活用するために役立ちます。
- データ・ポンプのコンポーネント
Oracle Data Pumpは3つの個別コンポーネントで構成されます。それらは、コマンドライン・クライアント、expdp
、impdp
、DBMS_DATAPUMP
PL/SQLパッケージ(データ・ポンプAPI)およびDBMS_METADATA
PL/SQLパッケージ(メタデータAPI)です。 - Oracle Data Pumpによるデータの移動方法
Oracle Data Pumpによりデータベース内におよびデータベース外にデータを移動するには、いくつかの方法を使用できます。ユースケースに最適な方法を選択できます。 - CDBでのデータ・ポンプの使用
データ・ポンプを使用すると、データベースの全部または一部の非CDBからPDBへの移行、同じかまたは異なるCDB内のPDB間での移行、PDBから非CDBへの移行が可能です。 - データ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートの操作に必要なロール
データ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートの多くの操作では、DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASE
ロールまたはDATAPUMP_IMP_FULL_DATABASE
ロール(あるいはその両方)をユーザーが持っている必要があります。 - データ・ポンプ・ジョブ実行中に行われる処理
データ・ポンプ・ジョブでは、マスター表、マスター・プロセス、ワーカー・プロセスを使用して、処理が実行され、進捗状況が追跡されます。 - ジョブの状態の監視
データ・ポンプ・エクスポートおよびインポート・クライアント・ユーティリティでは、ロギング・モードまたは対話方式コマンド・モードのいずれでも、ジョブに接続できます。 - ジョブの実行状況の監視
表データの転送を行うデータ・ポンプ操作(エクスポートおよびインポート)では、ジョブの進捗状況(単位は、転送された表データのメガバイト数)を示す動的パフォーマンス・ビューV$SESSION_LONGOPS
のエントリが保持されます。このエントリは、転送の推定サイズを含み、実際に転送されたデータの量が反映されるように定期的に更新されます。 - ファイルの割当て
Oracle Data Pumpでは、様々なタイプのファイルを管理します。対話方式モードのコマンドを使用して、データ・ポンプでのファイルの割当て方法および処理方法を変更できます - 異なるデータベース・リリース間のエクスポートとインポート
データ・ポンプを使用して、異なるリリースのデータベース・ソフトウェア間で全データベースまたは一部を移行できます。 - SecureFiles LOBに関する考慮点
データ・ポンプ・エクスポートを使用してSecureFiles LOBをエクスポートした場合の結果の動作は、エクスポートのVERSION
パラメータの値、ContentTypeが存在するかどうか、LOBがアーカイブされてデータがキャッシュされるかどうかなどの条件によって異なります。 - データ・ポンプの終了コード
データ・ポンプでは、エクスポートおよびインポート操作の結果がログ・ファイルおよびプロセス終了コードにレポートされます。 - データ・ポンプ・ジョブの監査
特定のユーザー・データベース・アクションを監視および記録するには、統合監査を使用してデータ・ポンプ・ジョブの監査を実行します。 - データ・ポンプによるタイムスタンプ・データの処理方法
この項では、タイムスタンプ・データ型のTIMESTAMP WITH TIMEZONE
およびTIMESTAMP WITH LOCAL TIMEZONE
を含むエクスポートおよびインポート・ジョブの正常な完了に影響する可能性のある要因について説明します。 - 文字セットおよびグローバリゼーション・サポートに関する考慮点
データ・ポンプ・エクスポートおよびインポートのグローバリゼーション・サポートの動作。 - データ・バインドされた照合に関連するOracle Data Pumpの動作
Oracle Data Pumpでは、データ・バインドされた照合(DBC)がサポートされます。
親トピック: Oracle Data Pump
1.1 データ・ポンプのコンポーネント
Oracle Data Pumpは、次の3つのコンポーネントで構成されています。それらは、コマンドライン・クライアント、expdp
、impdp
、DBMS_DATAPUMP
PL/SQLパッケージ(データ・ポンプAPI)およびDBMS_METADATA
PL/SQLパッケージ(メタデータAPI)です。
データ・ポンプ・クライアントであるexpdp
およびimpdp
は、それぞれデータ・ポンプ・エクスポート・ユーティリティおよびデータ・ポンプ・インポート・ユーティリティを起動します。
expdp
クライアントおよびimpdp
クライアントでは、コマンドラインで入力されたパラメータを使用してエクスポートおよびインポートを実行するために、PL/SQLパッケージDBMS_DATAPUMP
で提供されているプロシージャを使用します。これらのパラメータは、完全なデータベースまたはデータベースのサブセットに対するデータおよびメタデータをエクスポートおよびインポート可能にします。
メタデータを移動する場合、データ・ポンプでは、PL/SQLパッケージDBMS_METADATA
で提供される機能が使用されます。DBMS_METADATA
パッケージは、ディクショナリのメタデータの抽出、操作および再作成に関する集中的な機能を提供します。
DBMS_DATAPUMP
およびDBMS_METADATA
の2つのPL/SQLパッケージは、データ・ポンプ・クライアントとは別に使用できます。
ノート:
ダンプ・ファイルの読取りおよび書込みを含むすべてのデータ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートの処理は、指定したデータベース接続文字列によって選択されるシステム(サーバー)上で実行されます。つまり、ユーザーに権限がない場合は、データベース管理者(DBA)が、そのサーバーのファイル・システムで読取りおよび書込みが実行されるデータ・ポンプ・ファイル用のディレクトリ・オブジェクトを作成する必要があります。(セキュリティ上の理由から、承認されたユーザーのみが、ディレクトリ・オブジェクトにアクセスできるようにする必要があります。)特権ユーザーは、デフォルトのディレクトリ・オブジェクトを使用できます。ディレクトリ・オブジェクトの詳細は、ダンプ・ファイル、ログ・ファイルおよびSQLファイルのデフォルトの位置の理解を参照してください。
Oracle Databaseリリース18c以降では、Oracle Data Pumpを使用して、完全または部分のどちらかのエクスポートおよびインポート操作に統合監査証跡を含めることができます。ユーザー・インタフェースの変更はありません。データベースのエクスポートまたはインポート操作を実行する場合は、データ・ポンプ・ダンプ・ファイルに統合監査証跡が自動的に含まれます。DBMS_DATAPUMP
パッケージおよびDBMS_METADATA
パッケージの詳細は、Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンスを参照してください。Oracle Data Pumpを使用した統合監査証跡のエクスポートとインポートの詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。
1.2 Oracle Data Pumpによるデータの移動方法
Oracle Data Pumpによりデータベース内におよびデータベース外にデータを移動するには、いくつかの方法を使用できます。ユースケースに最適な方法を選択できます。
ノート:
Oracle Database 18c以降のリリースでのUTL_FILE_DIR
のサポート終了は、Oracle Data Pumpに影響します。このサポート終了は、Oracle Data Pump、BFILEおよび外部表を含む(ただし、これに制限されない)、シンボリック・リンクを使用する以前のリリースの機能に影響する可能性があります。シンボリック・リンクで構成された影響を受ける機能を使用しようとした場合、ORA-29283: 無効なファイル操作です。: パスがsymlinkをトラバースしています
が発生します。シンボリック・リンクのかわりにディレクトリ・オブジェクトを使用することをお薦めします。
データ・ポンプでは、無効な一意索引を持つ表は、ロードされません。データを表にロードするには、その索引を削除するかまたは再度有効にする必要があります。
- データ・ファイル・コピーを使用したデータ移動
最も高速なデータ移動の方法は、データベースのデータ・ファイルを、データの解析や変更を行わずに、ターゲット・データベースにコピーすることです。この方法では、データ・ポンプ・エクスポートを使用して、構造的な情報(メタデータ)のみをダンプ・ファイルにアンロードします。 - ダイレクト・パスを使用したデータ移動
ダイレクト・パスは、データ・ファイル・コピーの次に高速なデータ移動方法です。この方法では、データベースのSQLレイヤーはバイパスされ、最小限の解析のみで行の移動がダンプ・ファイル間で行われます。 - 外部表を使用したデータ移動
データ・ファイル・コピーが選択されず、ダイレクト・パスでデータを移動できない場合、外部表によるメカニズムが使用されます。 - 従来型パスを使用したデータ移動
表属性の競合が存在する場合、データ・ポンプは従来型パスを使用してデータを移動します。 - ネットワーク・リンク・インポートを使用したデータ移動
インポート操作のネットワーク・リンクの指定でNETWORK_LINK
インポート・パラメータを使用した場合、デフォルトでダイレクト・パス方式が使用されます。サポートされているデータベース・リンク・タイプを確認します。
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.2.1 データ・ファイル・コピーを使用したデータ移動
最も高速なデータ移動の方法は、データベースのデータ・ファイルを、データの解析や変更を行わずに、ターゲット・データベースにコピーすることです。この方法では、データ・ポンプ・エクスポートを使用して、構造的な情報(メタデータ)のみをダンプ・ファイルにアンロードします。
-
トランスポータブル表領域のエクスポートの指定に、
TRANSPORT_TABLESPACES
パラメータが使用されている場合。指定した表領域のメタデータのみがエクスポートされます。 -
表モード・エクスポート(
TABLES
パラメータで指定)、全体モード・エクスポート(FULL
パラメータで指定)、または全体モード・ネットワーク・インポート(FULL
およびNETWORK_LINK
パラメータで指定)でTRANSPORTABLE=ALWAYS
パラメータが指定されている場合。
エクスポート操作でデータ・ファイル・コピーが使用されている場合、対応するインポート・ジョブでも常にデータ・ファイル・コピーが使用されます。その後のインポート操作時に、データ・ファイルとエクスポート・ダンプ・ファイルの両方をロードする必要があります。
ノート:
トランスポータブル・インポート中、表領域は一時的に読取り/書込み可能にされ、その後、読取り専用に戻されます。一時的な設定変更は、パフォーマンスを向上させるために、Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)で導入されました。ただし、この動作により、インポート・ジョブ・データ・ファイルのSCNが変更される場合もあることに注意してください。データ・ファイルのSCNを変更すると、将来、これらのファイルをトランスポータブル・インポートするときに問題が発生する可能性があります。
たとえば、表領域を読取りまたは書き込み可能にした後に、トランスポータブル表領域インポートが失敗した場合(読取り専用に戻した場合でも)、データ・ファイルは破損します。これらはリカバリできません。
トランスポータブル・ジョブは再開できないため、失敗したジョブを最初から再開する必要があります。破損したデータ・ファイルを削除し、破損していないバージョンをターゲット宛先にコピーする必要があります。
トランスポータブル・ジョブを実行する場合、ベスト・プラクティスは、インポート・ジョブがターゲット・システムで正常に完了するまで、ソース・システムにデータ・ファイルのコピーを保持することです。インポート・ジョブがなんらかの理由で失敗しても、コピーを保持しておくことで、破損していないデータ・ファイルのコピーを確保できます。
データ・ファイル・コピーを使用してデータを移動する場合、ソース・データベースとターゲット・データベース間の文字セットの互換性に関する制限があります。
ソース・プラットフォームとターゲット・プラットフォームのエンディアンが異なる場合、転送するデータを変換してターゲット・プラットフォームの形式にする必要があります。DBMS_FILE_TRANSFER
PL/SQLパッケージまたはRMAN
CONVERT
コマンドを使用してデータを変換できます。
関連項目:
-
RMAN
CONVERT
コマンドの詳細は、Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンスを参照してください -
データベース間で行う表領域の転送の詳細および例(データの変換方法を含む)は、Oracle Database管理者ガイドを参照してください
親トピック: Oracle Data Pumpによるデータの移動方法
1.2.2 ダイレクト・パスを使用したデータ移動
ダイレクト・パスは、データ・ファイル・コピーの次に高速なデータ移動方法です。この方法では、データベースのSQLレイヤーはバイパスされ、最小限の解析のみで行の移動がダンプ・ファイル間で行われます。
データ・ポンプでは、データをロードおよびアンロードするために、表の構造上可能なかぎり、自動的にダイレクト・パスによる方法が使用されます。たとえば、表にBFILE
型の列が含まれる場合は、ダイレクト・パスを使用して表をロードできないため、かわりに外部表が使用されます。
次の項では、ロードおよびアンロードに、ダイレクト・パスを使用できない場合について説明します。
ダイレクト・パス・ロードが使用されない場合
表が次に示すいずれかの条件に該当する場合、データ・ポンプでは、その表へのデータのロードにダイレクト・パスではなく外部表が使用されます。
-
CONTEXT
タイプの索引ではないドメイン索引がLOB列に存在する。 -
単一パーティションのロード中に、複数パーティション表のグローバル索引が存在する。この場合、パーティション化されたオブジェクト表も含まれる。
-
クラスタ内に表が存在する。
-
既存の表にアクティブなトリガーが存在する。
-
既存の表で、ファイングレイン・アクセス・コントロールが挿入モードで有効である。
-
表に
BFILE
列または不透明な型の列が存在する。 -
既存の表に参照整合性制約が存在する。
-
表に不透明な型が埋め込まれた
VARRAY
列が存在する。 -
表に暗号化された列がある。
-
データのインポート先が既存の表であり、次に示す1つ以上の条件に該当する。
-
アクティブなトリガーが存在する。
-
表がパーティション化されている。
-
ファイングレイン・アクセス・コントロールが挿入モードである。
-
参照整合性制約が存在する。
-
一意索引が存在する。
-
-
サプリメンタル・ロギングが有効で、表に1つ以上のLOB列がある。
-
指定した表のデータ・ポンプ・コマンドが、
QUERY
、SAMPLE
またはREMAP_DATA
パラメータを使用している。 -
表に
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データ型を持つ列(VARRAY
列を含む)が含まれ、かつ、タイムゾーン・データ・ファイルのバージョンがエクスポート・システムとインポート・システムの間で異なる。
ダイレクト・パス・アンロードが使用されない場合
表が次に示すいずれかの条件に該当する場合、データ・ポンプでは、その表へのデータのアンロードにダイレクト・パスではなく外部表が使用されます。
-
SELECT
に対するファイングレイン・アクセス・コントロールが有効である。 -
表は、キュー表である。
-
表に1つまたは複数の
BFILE
型または不透明な型の列、あるいは不透明な列を含むオブジェクト型が存在する。 -
表に暗号化された列がある。
-
表にアップグレードが必要な進化した型の列がある。
-
指定した表のデータ・ポンプ・コマンドが、
QUERY
、SAMPLE
またはREMAP_DATA
パラメータを使用している。 -
アンロード操作の前に、NOT NULLかつ指定されたデフォルト値を持つ列を含むように表が変更されている。
親トピック: Oracle Data Pumpによるデータの移動方法
1.2.3 外部表を使用したデータ移動
データ・ファイル・コピーが選択されず、ダイレクト・パスでデータを移動できない場合、外部表によるメカニズムが使用されます。
外部表によるメカニズムでは、データベース表のダンプ・ファイル・データにマップする外部表が作成されます。その後、SQLエンジンを使用してデータが移動されます。可能な場合は、インポート時にAPPEND
ヒントが使用されて、データベースへのデータのコピーが高速化されます。ダイレクト・パス・データと外部表データは、ダンプ・ファイル内で同様に表示されます。したがって、データ・ポンプでは、エクスポート時にはダイレクト・パスによるメカニズムが使用されても、ターゲット・データベースへのデータのインポート時には外部表が使用される場合があります。同様に、データ・ポンプでは、エクスポートに外部表、インポートにダイレクト・パスが使用される場合もあります。
特に、データ・ポンプでは、次のような場合に外部表が使用されます。
-
パラレルSQL機能の使用がメリットとなる状況において、非常に大きい表およびパーティションをロードおよびアンロードする場合
-
グローバル索引またはドメイン索引が定義されている表(パーティション・オブジェクト表など)をロードする場合
-
トリガーがアクティブになっている表またはクラスタ表をロードする場合
-
暗号化された列が含まれている表をロードおよびアンロードする場合
-
ファイングレイン・アクセス・コントロールでの挿入が使用可能な表をロードする場合
-
インポート操作以外で作成された表をロードする場合(インポートを開始する前から表が存在する)
ノート:
データ・ポンプがデータ・アクセスに外部表を使用する場合は、ORACLE_DATAPUMP
アクセス・ドライバが使用されます。ただし、外部表を使用する際にデータ・ポンプで作成されるファイルは、ユーザーがSQL CREATE TABLE ... ORGANIZATION EXTERNAL
文を使用して外部表を手動で作成する際に作成されるファイルとは互換性がないことに注意してください。
関連項目:
-
APPEND
ヒントの使用方法の詳細は、Oracle Database SQL言語リファレンスを参照してください
親トピック: Oracle Data Pumpによるデータの移動方法
1.2.4 従来型パスを使用したデータ移動
表属性の競合が存在する場合、データ・ポンプは従来型パスを使用してデータを移動します。
表属性の競合が存在する場合、データ・ポンプは、ダイレクト・パスと外部表のいずれの方法でも表にデータをロードできません。このような場合は従来型パスが使用されますが、パフォーマンスに影響する可能性があります。
親トピック: Oracle Data Pumpによるデータの移動方法
1.2.5 ネットワーク・リンク・インポートを使用したデータ移動
インポート操作のネットワーク・リンクの指定でNETWORK_LINK
インポート・パラメータを使用した場合、デフォルトでダイレクト・パス方式が使用されます。サポートされているデータベース・リンク・タイプを確認します。
(たとえば、列の1つがBFILE
であるなどの理由で)ダイレクト・パスを使用できない場合、データの移動にはSQLのINSERT SELECT
文が使用されます。(Oracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)より前には、デフォルトでINSERT SELECT
文が使用されていました。)SELECT
句は、ネットワーク・リンク上のリモート・データベースからデータを取得します。INSERT
句はSQLを使用してデータをターゲット・データベースに挿入します。ダンプ・ファイルは含まれません。
エクスポート操作のネットワーク・リンクの指定にNETWORK_LINK
エクスポート・パラメータが使用されている場合、リモート・データベースのデータがターゲット・データベースのダンプ・ファイルに書き込まれます。(読取り専用のデータベースからのエクスポートには、NETWORK_LINK
パラメータが必要です。)
リンクとは、ネットワーク接続されたリモートのデータベースを示すため、データベース・リンクおよびネットワーク・リンクという用語は、同じ意味で使用されます。
サポートされているリンク・タイプ
データ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートでは、次のタイプのデータベース・リンクの使用がサポートされています。
-
パブリック固定ユーザー
-
パブリック接続ユーザー
-
パブリック共有ユーザー(リンク所有者により使用される場合のみ)
-
プライベート共有ユーザー(リンク所有者により使用される場合のみ)
-
プライベート固定ユーザー(リンク所有者により使用される場合のみ)
サポートされていないリンク・タイプ
データ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートでは、次のタイプのデータベース・リンクの使用はサポートされていません。
-
プライベート接続ユーザー
-
現在のユーザー
関連項目:
-
データベース・リンクを介したエクスポートの実行の詳細は、エクスポートの「NETWORK_LINK」パラメータを参照してください。
-
データベース・リンクを介したインポートの実行の詳細は、インポートの「NETWORK_LINK」パラメータを参照してください。
-
データベース・リンクおよび異なるタイプのリンクを作成する方法の詳細は、Oracle Database管理者ガイドを参照してください
親トピック: Oracle Data Pumpによるデータの移動方法
1.3 CDBでのデータ・ポンプの使用
データ・ポンプでは、データベースの全部または一部の非CDBからPDBへの移行、同じかまたは異なるCDB内のPDB間での移行、PDBから非CDBへの移行が可能です。
- CDBでのデータ・ポンプの使用方法の理解
一般的に、PDBでデータ・ポンプを使用することは、非CDBでデータ・ポンプを使用することと同じです。データ・ポンプを使用すると、データベースの全部または一部の非CDBからPDBへの移行、同じかまたは異なるCDB内のPDB間での移行、PDBから非CDBへの移行が可能です。 - データ・ポンプを使用したCDBへのデータベースの移動
CDBに空のPDBを作成した後、Oracle Data Pumpの全体モード・エクスポートおよびインポート操作を使用して、データをPDBに移動できます。 - データ・ポンプの使用によるCDB内または間のPDBの移動
PDBに対するデータ・ポンプ・エクスポートおよびインポート操作は、共通ユーザーの処理方法を除き、非CDBに対する操作と同じです。
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.3.1 CDBでのデータ・ポンプの使用方法の理解
一般的に、PDBでデータ・ポンプを使用することは、非CDBでデータ・ポンプを使用することと同じです。データ・ポンプを使用すると、データベースの全部または一部の非CDBからPDBへの移行、同じかまたは異なるCDB内のPDB間での移行、PDBから非CDBへの移行が可能です。
マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)は、0、1または多数のユーザー作成のプラガブル・データベース(PDB)を含むOracleのデータベースです。PDBは、スキーマ、スキーマ・オブジェクトおよび非スキーマ・オブジェクトのポータブル・セットで、Oracle Netクライアントからは、非CDBとして表示されます。非CDBとは、CDBではないOracle Databaseです。
ノート:
データ・ポンプでは、CDB全体にわたる操作はサポートされていません。CDBのルートまたはシード・データベースに接続している場合、データ・ポンプにより次の警告が発行されます。
ORA-39357: Warning: Oracle Data Pump operations are not typically needed when connected to the root or seed of a container database.
親トピック: CDBでのデータ・ポンプの使用
1.3.2 データ・ポンプを使用したCDBへのデータベースの移動
CDBに空のPDBを作成した後、Oracle Data Pumpの全体モード・エクスポートおよびインポート操作を使用して、データをPDBに移動できます。
このジョブは、トランスポータブル・オプションを指定しても指定しなくても実行できます。トランスポータブル・オプションを全体モード・エクスポートまたはインポートで使用する場合、全体トランスポータブル・エクスポート/インポートと呼ばれます。
トランスポータブル・オプションが使用される場合、エクスポートおよびインポートでは、トランスポータブル表領域のデータ移動と従来のデータ移動の両方を使用しますが、後者はSYSTEM
やSYSAUX
などの非トランスポータブル表領域に存在する表が対象です。トランスポータブル・オプションを使用すると、表データをアンロードおよび再ロードする必要と、ユーザー表領域の索引構造を再作成する必要がなくなるため、エクスポート時間と(特に)インポート時間を短縮できます。
エクスポート/インポート操作に対して特定のPDBを指定するには、データ・ポンプ・コマンドラインで、データ・ポンプの開始時に接続文字列に接続識別子を指定します。たとえば、pdb1
というPDBにデータをインポートするには、データ・ポンプ・コマンドラインで次のように入力します。
impdp hr@pdb1 DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp TABLES=employees
データ・ポンプを使用してCDBにデータを移動する場合、次の要件に注意してください。
-
マルチテナント環境を管理するには、
CDB_DBA
ロールを持っている必要があります。 -
Oracle Database 11.2.0.2以前からの全体データベース・エクスポートは、Oracle Database 12c (CDBまたは非CDB)にインポートされる場合があります。ただし、登録したオプションおよびコンポーネントの情報がエクスポートに含まれるように、まずソース・データベースをOracle Database 11gリリース2 (11.2.0.3以降)にアップグレードすることをお薦めします。
-
全体データベース・エクスポートまたは全体トランスポータブル・データベース・エクスポートのいずれかを使用して、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.3以上)をCDB(または非CDB)に移行する場合、Oracle Database 12cにインポートできるダンプ・ファイルを生成するためにデータ・ポンプ・エクスポート・パラメータ
VERSION=12
を設定する必要があります。VERSION=12
を設定しない場合、生成したエクスポート・ファイルには、登録したデータベース・オプションおよびコンポーネントの完全な情報は含まれません。 -
ネットワーク・ベースの全体トランスポータブル・インポートでは、
FULL=YES
、TRANSPORTABLE=ALWAYS
およびTRANSPORT_DATAFILES=datafile_name
パラメータを使用する必要があります。ソース・データベースがOracle Database 11gリリース11.2.0.3以上で、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)より前の場合、VERSION=12
パラメータも必要です。 -
ファイル・ベースの全体トランスポータブル・インポートでは、
TRANSPORT_DATAFILES=datafile_name
パラメータのみを使用する必要があります。データ・ポンプ・インポートでは、TRANSPORTABLE=ALWAYS
およびFULL=YES
パラメータの存在が推測されます。 -
Oracle Database 12
c
リリース2 (12.2)以降、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)環境では、CDBの各PDBに対する一意のパスとして、デフォルトのデータ・ポンプ・ディレクトリ・オブジェクトDATA_PUMP_DIR
が定義されます。この一意のパスは、CREATE PLUGGABLE DATABASE
文のPATH_PREFIX
句が相対パスに定義されているかどうかに関係なく、定義されます。
親トピック: CDBでのデータ・ポンプの使用
1.3.3 データ・ポンプの使用によるCDB内または間のPDBの移動
PDBに対するデータ・ポンプ・エクスポートおよびインポート操作は、共通ユーザーの処理方法を除き、非CDBに対する操作と同じです。
CDBで共通ユーザーを作成した場合、CDBのPDB内からそのユーザーの全データベースまたは特権スキーマをエクスポートすると、標準のCREATE USER C##common name
DDL文がインポート時に実行されます。ユーザー名の共通ユーザー接頭辞C##
が原因で、文は失敗します。次のエラー・メッセージが返されます。
ORA-65094:invalid local user or role name
エクスポート対象のPDBで、そのユーザーのスキーマにローカル・オブジェクトを作成してそれらをインポートする場合、同じ名前の共通ユーザーがすでにターゲットCDBインスタンスに存在することを確認するか、次のようにimpdp
コマンドでデータ・ポンプ・インポートのREMAP_SCHEMA
パラメータを使用します。
REMAP_SCHEMA=C##common name:local user name
関連項目:
-
コマンドラインで接続識別子を指定する方法の詳細は、「ネットワークに関する考慮点」を参照してください
親トピック: CDBでのデータ・ポンプの使用
1.4 データ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートの操作に必要なロール
データ・ポンプ・エクスポートおよびデータ・ポンプ・インポートの多くの操作では、DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASE
ロールまたはDATAPUMP_IMP_FULL_DATABASE
ロール(あるいはその両方)をユーザーが持っている必要があります。
これらのロールは、データベース作成の一環として標準スクリプトを実行すると、自動的にOracle Database用に定義されます。(これらのロールの名前にはFULLという語が含まれますが、これらのロールは、実際には全体モードのみではなく、任意のエクスポートまたはインポート・モードのすべての特権操作に適用されることに注意してください。)
DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASE
ロールはエクスポート操作にのみ影響します。DATAPUMP_IMP_FULL_DATABASE
ロールは、インポート操作と、SQLFILE
インポート・パラメータを使用する操作に影響します。これらのロールによって、ユーザーは次の処理を行うエクスポートおよびインポート操作を実行できます。
-
自分のスキーマ・スコープ以外での操作の実行
-
他のユーザーが開始したジョブの監視
-
権限のないユーザーが参照できないオブジェクトのエクスポート(表領域定義など)とインポート(ディレクトリ定義など)
これらは強力なロールです。これらのロールをユーザーに付与する際は、十分に注意する必要があります。
SYS
スキーマには、これらのいずれのロールも割り当てられていません。ただし、データ・ポンプが実行するセキュリティ・チェックの中でこれらのロールを必要とするものについては、SYS
スキーマにアクセス権が付与されます。
ノート:
ORA-39181: ファイングレイン・アクセス・コントロールのため、データの一部のみがエクスポートされました
というエラー・メッセージが表示される場合は、My Oracle Supportノート422480.1の有効ファイングレイン・アクセス・コントロール・ポリシーを持つ表データのエクスポート時のセキュリティに関する情報を参照してください。
関連項目:
Oracle Databaseのインストールで事前定義されるロールの詳細は、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.5 データ・ポンプ・ジョブ実行中に行われる処理
データ・ポンプ・ジョブでは、マスター表、マスター・プロセス、ワーカー・プロセスを使用して、処理が実行され、進捗状況が追跡されます。
- ジョブの調整
すべてのデータ・ポンプ・エクスポート・ジョブおよびデータ・ポンプ・インポート・ジョブに対して、マスター・プロセスが作成されます。 - ジョブ内での進捗状況の追跡
データおよびメタデータの転送中、ジョブ内の進捗状況の追跡にマスター表が使用されます。 - ジョブ実行中のデータおよびメタデータのフィルタ処理
EXCLUDE
およびINCLUDE
パラメータを使用して、エクスポートおよびインポートされるオブジェクト型をフィルタできます。 - ジョブ実行中のメタデータの変換
メタデータの変換は、データ・ポンプ・インポート・パラメータのREMAP_DATAFILE
、REMAP_SCHEMA
、REMAP_TABLE、REMAP_TABLESPACE
、TRANSFORM
およびPARTITION_OPTIONS
を使用して実行されます。 - ジョブ・パフォーマンスの最大化
データ・ポンプでは、複数のワーカー・プロセスを採用し、それらをパラレルに実行して、ジョブのパフォーマンスを向上させることができます。 - データのロードおよびアンロード
ワーカー・プロセスによって、メタデータおよび表データがアンロードおよびロードされます。エクスポートでは、トランスポータブル表領域を使用するジョブを除いて、すべてのメタデータおよびデータがパラレルでアンロードされます。インポートでは、正しい依存順序でオブジェクトを作成する必要があります。
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.5.1 ジョブの調整
すべてのデータ・ポンプ・エクスポート・ジョブおよびデータ・ポンプ・インポート・ジョブに対して、マスター・プロセスが作成されます。
マスター・プロセスによって、ジョブ全体(クライアントとの通信、ワーカー・プロセス・プールの作成および制御、ロギング操作の実行など)が制御されます。
親トピック: データ・ポンプ・ジョブ実行中に行われる処理
1.5.2 ジョブ内での進捗状況の追跡
データおよびメタデータの転送中、ジョブ内の進捗状況の追跡にマスター表が使用されます。
マスター表は、ユーザー表としてデータベース内に実装されます。また、エクスポート・ジョブおよびインポート・ジョブ用のマスター表固有の機能は、次のとおりです。
-
エクスポート・ジョブの場合、マスター表には、ダンプ・ファイル・セット内のデータベース・オブジェクトの位置が記録されます。エクスポート・ユーティリティでは、ジョブの継続中に、マスター表の作成およびメンテナンスが行われます。エクスポート・ジョブ終了時に、マスター表の内容がダンプ・ファイル・セット内のファイルに書き込まれます。
-
インポート・ジョブの場合、マスター表は、ダンプ・ファイル・セットからロードされ、ターゲット・データベースにインポートする必要があるオブジェクトの位置を特定する操作の順序の制御に使用されます。
マスター表は、エクスポートまたはインポート操作を実行している現在のユーザーのスキーマ内に作成されます。そのため、このユーザーには、CREATE TABLE
システム権限およびマスター表を作成するための十分な表領域の割当て制限が必要です。マスター表の名前は、その表を作成したジョブと同じ名前になります。したがって、データ・ポンプ・ジョブに、既存の表またはビューと同じ名前を明示的には指定できません。
すべての操作で、ジョブの再起動にマスター表の情報が使用されます。(トランスポータブル・ジョブは再開できないことに注意してください。)
マスター表は、状況に応じて、次のとおり保持または削除されます。
-
ジョブが正常に終了すると、マスター表は削除されます。これを上書きするには、ジョブに対してデータ・ポンプの
KEEP_MASTER=YES
パラメータを設定します。 -
ジョブが正常に完了しなかった場合、マスター表は自動的に保持されます。
-
対話方式コマンド
STOP_JOB
を使用してジョブを停止すると、ジョブの再起動に使用できるようにマスター表は保持されます。 -
対話方式コマンド
KILL_JOB
を使用してジョブを中断すると、マスター表は削除され、ジョブを再起動できません。 -
ジョブが突然終了した場合でも、マスター表は保持されます。このジョブを再起動しない場合、マスター表を削除できます。
-
ジョブが実行を開始する前(つまり、データベース・オブジェクトがコピーされる前)に停止すると、マスター表は削除されます。
関連項目:
ジョブ名の形式の詳細は、「JOB_NAME」を参照してください。
親トピック: データ・ポンプ・ジョブ実行中に行われる処理
1.5.3 ジョブ実行中のデータおよびメタデータのフィルタ処理
EXCLUDE
およびINCLUDE
パラメータを使用して、エクスポートまたはインポートされるオブジェクト型をフィルタできます。
マスター表内では、名前や自分のスキーマなどの属性が特定のオブジェクトに割り当てられます。オブジェクトは、オブジェクトのクラス(TABLE
、INDEX
、DIRECTORY
など)にも属します。オブジェクトのクラスは、オブジェクトのオブジェクト型と呼ばれます。EXCLUDE
およびINCLUDE
パラメータを使用して、エクスポートまたはインポートされるオブジェクト型を制限できます。オブジェクトの名前またはオブジェクトを自分のスキーマの名前に基づいて、制限するオブジェクトを指定できます。データ固有のフィルタを指定して、エクスポートおよびインポートする行を制限することもできます。
親トピック: データ・ポンプ・ジョブ実行中に行われる処理
1.5.4 ジョブ実行中のメタデータの変換
メタデータの変換は、データ・ポンプ・インポート・パラメータのREMAP_DATAFILE
、REMAP_SCHEMA
、REMAP_TABLE、REMAP_TABLESPACE
、TRANSFORM
およびPARTITION_OPTIONS
を使用して実行されます。
データベース間でデータを移動する場合は、表領域間で記憶域を再マップしたり、特定のオブジェクトの所有者を再定義するために、メタデータの変換を実行すると有効です。
親トピック: データ・ポンプ・ジョブ実行中に行われる処理
1.5.5 ジョブ・パフォーマンスの最大化
データ・ポンプでは、複数のワーカー・プロセスを採用し、それらをパラレルに実行して、ジョブのパフォーマンスを向上させることができます。
PARALLEL
パラメータを使用して、現状の環境で最大限の効果を得る並列度を設定します。たとえば、本番システムへのジョブの影響を制限する場合、データベース管理者(DBA)は並列度を制限する必要があります。並列度は、ジョブの実行中いつでも再設定できます。たとえば、運用時間中は特定のジョブの並列度が2に制限されるようにPARALLEL
を2に設定し、非運用時間中は8に再設定することができます。並列度の設定は、マスター・プロセスによって施行され、マスター・プロセスによって、1回の操作でデータおよびメタデータの処理を実行するワーカー・プロセスに、実行対象の処理が割り当てられます。これらのワーカー・プロセスは、パラレルで動作します。並列度を設定する場合の推奨事項は、エクスポートのPARALLELおよびインポートのPARALLELパラメータの説明を参照してください。
ノート:
並列度を調整する機能は、Oracle DatabaseのEnterprise Editionでのみ使用可能です。
1.5.6 データのロードおよびアンロード
ワーカー・プロセスによって、メタデータおよび表データがアンロードおよびロードされます。エクスポートでは、トランスポータブル表領域を使用するジョブを除いて、すべてのメタデータおよびデータがパラレルでアンロードされます。インポートでは、正しい依存順序でオブジェクトを作成する必要があります。
同じタイプのオブジェクトが、複数のワーカーを使用するのに十分なだけ存在する場合、それらのオブジェクトは複数のワーカー・プロセスによってインポートされます。一部のメタデータ・オブジェクトには相互依存性があり、その依存性を満たすために、1つのワーカー・プロセスで、これらのオブジェクトを順に作成する必要があります。ワーカー・プロセスは、コマンドライン・パラメータPARALLEL
に指定した値と同数になるまで必要に応じて作成されます。アクティブなワーカー・プロセスの数は、ジョブの存続期間中いつでも再設定できます。ワーカー・プロセスは、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境内の様々なノードで起動できます。
ノート:
Oracle DatabaseのStandard Editionでは、PARALLEL
の値は1に制限されています。
非常に大きい表またはパーティションをロードまたはアンロードするタスクがワーカー・プロセスに割り当てられた場合、パラレル実行を最大限に利用できるように、外部表によるアクセス方法が使用されることがあります。その場合、ワーカー・プロセスはパラレル実行コーディネータになります。実際のロードおよびアンロード処理は、Oracle RAC環境内の使用可能なプロセスのプールから割り当てられたパラレルI/Oの実行プロセス(スレーブとも呼ばれる)間で分割されます。
親トピック: データ・ポンプ・ジョブ実行中に行われる処理
1.6 ジョブの状態の監視
データ・ポンプ・エクスポートおよびインポート・クライアント・ユーティリティでは、ロギング・モードまたは対話方式コマンド・モードのいずれでも、ジョブに接続できます。
ロギング・モードでは、ジョブの実行中に、そのジョブの詳細な状態がリアルタイムで自動的に表示されます。表示される情報には、ジョブおよびパラメータの説明、処理されるデータ量の推定、現在の操作または処理中のアイテムの説明、ジョブで使用されるファイル、発生したエラーおよび最終的なジョブの状態(停止または完了)があります。
対話方式コマンド・モードでは、ジョブの状態をリクエストに表示できます。表示される情報には、ジョブの説明および状態、現在の操作または処理中のアイテムの説明、書込み中のファイルおよび累積的な状態があります。
ジョブの実行中にログ・ファイルを書き込むこともできます。ログ・ファイルには、ジョブの進捗状況のサマリーが記録され、ジョブの実行中に発生したエラーがリストされます。また、ジョブの完了状態も記録されます。
ジョブの状態を判断したり、データ・ポンプ・ジョブについての情報を表示するには、かわりにDBA_DATAPUMP_JOBS
ビュー、USER_DATAPUMP_JOBS
ビューまたはDBA_DATAPUMP_SESSIONS
ビューを問い合せることもできます。詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。
関連トピック
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.7 ジョブの実行状況の監視
表データの転送を行うデータ・ポンプ操作(エクスポートおよびインポート)では、ジョブの進捗状況(単位は、転送された表データのメガバイト数)を示す動的パフォーマンス・ビューV$SESSION_LONGOPS
のエントリが保持されます。このエントリは、転送の推定サイズを含み、実際に転送されたデータの量が反映されるように定期的に更新されます。
パラメータCOMPRESSION
、ENCRYPTION
、ENCRYPTION_ALGORITHM
、ENCRYPTION_MODE
、ENCRYPTION_PASSWORD
、QUERY
およびREMAP_DATA
を使用しても、推定値の決定には反映されません。
エクスポート操作の推定値が有効かどうかは、操作開始時に要求された推定のタイプによって異なります。この値は、実際の転送量を超えた場合に必要に応じて更新されます。インポート操作の推定値は、厳密な値です。
データ・ポンプ・ジョブに関連するV$SESSION_LONGOPS
列は、次のとおりです。
-
USERNAME
: ジョブの所有者 -
OPNAME
: ジョブ名 -
TARGET_DESC
: ジョブ操作 -
SOFAR
: ジョブ実行中に転送されたメガバイト数 -
TOTALWORK
: ジョブ内の推定メガバイト数 -
UNITS
: メガバイト(MB) -
MESSAGE
: 状態メッセージ。次の形式で表示されます。'job_name: operation_name : nnn out of mmm MB done'
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.8 ファイルの割当て
Oracle Data Pumpでは、様々なタイプのファイルを管理します。対話方式モードのコマンドを使用して、データ・ポンプでのファイルの割当て方法および処理方法を変更できます
- データ・ポンプでのファイルの割当ての理解
データ・ポンプでのこれらのファイルの割当て方法および処理方法を理解すると、エクスポートおよびインポートを最大限に利用できます。 - ファイルの指定およびダンプ・ファイルの追加
エクスポート操作の場合、ダンプ・ファイルは、ジョブの定義時およびエクスポート操作の後の段階で指定できます。 - ダンプ・ファイル、ログ・ファイルおよびSQLファイルのデフォルトの位置
Oracle Data Pumpのファイルのデフォルトの場所を理解し、Oracle RAC、Oracle Automatic Storage Managementおよびマルチテナント・アーキテクチャを使用している場合にこれらの場所がどのように影響を受けるかを理解するには、これらのトピックを参照してください。 - 置換変数の使用
エクスポート操作で、特定のファイル名を指定するかわりに、または指定したうえで、ファイル名に置換変数を使用してDUMPFILE
パラメータで複数のダンプ・ファイルを指定できます。これは、ダンプ・ファイル・テンプレートと呼ばれます。
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.8.1 データ・ポンプでのファイルの割当ての理解
データ・ポンプでのファイルの割当て方法および処理方法を理解すると、エクスポート・ユーティリティおよびインポート・ユーティリティを最大限に利用できます。
データ・ポンプ・ジョブは、次のタイプのファイルを管理します。
-
移動中のデータおよびメタデータを格納するダンプ・ファイル。
-
操作に関連したメッセージを記録するログ・ファイル。
-
SQLFILE操作の出力を記録するSQLファイル。SQLFILE操作は、データ・ポンプ・インポートの
SQLFILE
パラメータを使用して起動され、他のパラメータに基づいてImportが実行されるSQL DDLとして、SQLファイルに書き込まれます。 -
トランスポータブル・インポート中に
DATA_FILES
パラメータにより指定されるファイル
ノート:
データ・ポンプ・ジョブによってネットワーク・ファイル・ストレージ(NFS)関連のエラーが生成される場合、使用しているプラットフォームのインストレーション・ガイドを参照して適切なNFSマウント設定を決定してください。
親トピック: ファイルの割当て
1.8.2 ファイルの指定およびダンプ・ファイルの追加
エクスポート操作の場合、ダンプ・ファイルは、ジョブの定義時およびエクスポート操作の後の段階で指定できます。
エクスポート操作中に領域が不足した場合は、データ・ポンプ・エクスポート・ユーティリティのADD_FILE
コマンドを対話方式モードで使用して、追加ダンプ・ファイルを追加できます。
インポート操作の場合、ジョブの定義時にすべてのダンプ・ファイルを指定する必要があります。
既存のファイルは、ログ・ファイルおよびSQLファイルによって上書きされます。ダンプ・ファイルの場合は、REUSE_DUMPFILES
エクスポート・パラメータを使用して、既存のダンプ・ファイルを上書きするかどうかを指定できます。
親トピック: ファイルの割当て
1.8.3 ダンプ・ファイル、ログ・ファイルおよびSQLファイルのデフォルトの位置
Oracle Data Pumpのファイルのデフォルトの場所を理解し、Oracle RAC、Oracle Automatic Storage Managementおよびマルチテナント・アーキテクチャを使用している場合にこれらの場所がどのように影響を受けるかを理解するには、これらのトピックを参照してください。
- ダンプ・ファイル、ログ・ファイルおよびSQLファイルのデフォルトの位置の理解
データ・ポンプは、クライアントベースではなくサーバーベースです。ダンプ・ファイル、ログ・ファイルおよびSQLファイルはサーバーベースのディレクトリ・パスとの相対でアクセスされます。 - Oracle RACでのOracle Data Pumpの使用方法の理解
Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)環境でOracle Data Pumpを使用するには、いくつかのチェックを実行して、クラスタ・メンバー・ノードが使用可能であることを確認する必要があります。 - Oracle Automatic Storage Managementを使用可能にした場合のディレクトリ・オブジェクトの使用方法
Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を使用可能にして、データ・ポンプ・エクスポートまたはインポートを使用できます。Oracle ASMディスク・グループ名が,オペレーティング・システムのディレクトリ・パスのかわりに使用されるように、ダンプ・ファイルに対して使用されるディレクトリ・オブジェクトを定義する必要があります。 - DATA_PUMP_DIRディレクトリ・オブジェクトおよびプラガブル・データベース
CDBの各PDBに対する一意のパスとして、デフォルトのデータ・ポンプ・ディレクトリ・オブジェクトDATA_PUMP_DIR
が定義されます。
親トピック: ファイルの割当て
1.8.3.1 ダンプ・ファイル、ログ・ファイルおよびSQLファイルのデフォルトの位置の理解
データ・ポンプは、クライアントベースではなくサーバーベースです。ダンプ・ファイル、ログ・ファイルおよびSQLファイルはサーバーベースのディレクトリ・パスとの相対でアクセスされます。
データ・ポンプでは、ディレクトリ・パスをディレクトリ・オブジェクトとして指定する必要があります。ディレクトリ・オブジェクトは、ファイル・システムのディレクトリ・パスに名前をマップします。DBAは、承認されたユーザーのみが、ディレクトリ・パスに関連付けられたディレクトリ・オブジェクトにアクセスできるようにする必要があります。
次の例は、/usr/apps/datafiles
にあるディレクトリにマップされるdpump_dir1
というディレクトリ・オブジェクトを作成するSQL文を示しています。
SQL> CREATE DIRECTORY dpump_dir1 AS '/usr/apps/datafiles';
ディレクトリ・オブジェクトは、データのセキュリティおよび整合性を確保するために必要です。例:
-
入力ファイルのディレクトリ・パスの位置を指定する権限を付与された場合、ユーザーは、サーバーにはアクセス権があるが、ユーザー自身はアクセス権を持たないデータの読取りを実行できる場合があります。
-
出力ファイルのディレクトリ・パスの位置を指定する権限を付与された場合、通常、ユーザーが削除権限を持たないファイルが、サーバーによって上書きされる場合があります。
UNIXおよびWindowsオペレーティング・システムの場合、デフォルトのディレクトリ・オブジェクトDATA_PUMP_DIR
は、データベースが作成されるとき、またはデータベース・ディレクトリがアップグレードされるたびに作成されます。デフォルトでは、特権ユーザーのみが使用できます。(ユーザーSYSTEM
は、デフォルトでDATA_PUMP_DIR
ディレクトリへの読取りおよび書込みアクセス権を持っています。)DATA_PUMP_DIR
ディレクトリの定義は、アップグレード時またはパッチの適用時にOracleによって変更されることがあります。
権限のないユーザーの場合、データ・ポンプ・エクスポートまたはデータ・ポンプ・インポートを実行できるようにするには、データベース管理者(DBA)またはCREATE
ANY
DIRECTORY
権限を持つユーザーがディレクトリ・オブジェクトを作成する必要があります。
ディレクトリの作成後、ディレクトリ・オブジェクトを作成するユーザーは、そのディレクトリに対するREAD
権限またはWRITE
権限を他のユーザーに付与する必要があります。たとえば、dpump_dir1
で指定されたディレクトリのユーザーhr
のかわりに、Oracle Databaseがファイルを読取りまたは書込みできるようにするには、DBAが次のコマンドを実行する必要があります。
SQL> GRANT READ, WRITE ON DIRECTORY dpump_dir1 TO hr;
ディレクトリ・オブジェクトに対するREAD
権限またはWRITE
権限は、Oracle Databaseによって対応するディレクトリにあるファイルの読取りまたは書込みのみを実行できることを意味します。適切なオペレーティング・システム権限がないかぎり、Oracle Databaseの外部にあるファイルには直接アクセスできません。同様に、Oracle Databaseには、ディレクトリのファイルに対して読取りおよび書込みを行うオペレーティング・システム権限が必要です。
データ・ポンプ・エクスポートおよびインポート・ユーティリティでは、次の順序でファイルの位置が判断されます。
-
ディレクトリ・オブジェクトがファイル指定の一部として指定されている場合は、そのディレクトリ・オブジェクトで指定された位置が使用されます。(ディレクトリ・オブジェクトとファイル名は、コロンで区切る必要があります。)
-
ディレクトリ・オブジェクトがファイル指定の一部として指定されていない場合は、
DIRECTORY
パラメータで指定されたディレクトリ・オブジェクトが使用されます。 -
ディレクトリ・オブジェクトがファイル指定の一部として指定されていない場合、および
DIRECTORY
パラメータでディレクトリ・オブジェクトが指定されていない場合は、環境変数DATA_PUMP_DIR
の値が使用されます。この環境変数は、データ・ポンプ・エクスポートおよびインポート・ユーティリティが実行されるクライアント・システムで、オペレーティング・システム・コマンドを使用して定義されます。このクライアント・ベースの環境変数には、DBAがサーバー・システムで最初に作成するサーバー・ベースのディレクトリ・オブジェクトの名前を割り当てる必要があります。たとえば、次のSQL文では、サーバー・システムにディレクトリ・オブジェクトが作成されます。このディレクトリ・オブジェクトの名前はDUMP_FILES1
で、位置は'/usr/apps/dumpfiles1'
です。SQL> CREATE DIRECTORY DUMP_FILES1 AS '/usr/apps/dumpfiles1';
csh
を使用しているUNIXベースのクライアント・システムのユーザーは、環境変数DATA_PUMP_DIR
に、値DUMP_FILES1
を割り当てることができます。コマンドラインでは、DIRECTORY
パラメータは省略できます。ダンプ・ファイルemployees.dmp
およびログ・ファイルexport.log
は、'/usr/apps/dumpfiles1'
に書き込まれます。%setenv DATA_PUMP_DIR DUMP_FILES1 %expdp hr TABLES=employees DUMPFILE=employees.dmp
-
前述の3つの条件では、ディレクトリ・オブジェクトの位置を判断できない場合、特権ユーザーであれば、データ・ポンプはデフォルトのサーバー・ベースのディレクトリ・オブジェクト
DATA_PUMP_DIR
の値を試行します。このディレクトリ・オブジェクトは、データベースが作成されるとき、またはデータベース・ディレクトリがアップグレードされるたびに自動的に作成されます。DATA_PUMP_DIR
のパス定義は、次のSQL問合せを使用して確認できます。SQL> SELECT directory_name, directory_path FROM dba_directories 2 WHERE directory_name='DATA_PUMP_DIR';
特権ユーザーでない場合は、
DATA_PUMP_DIR
ディレクトリ・オブジェクトへのアクセス権限が、DBAによって事前に付与されている必要があります。デフォルトの
DATA_PUMP_DIR
ディレクトリ・オブジェクトと、同じ名前のクライアント・ベースの環境変数とを混同しないでください。
1.8.3.2 Oracle RACでのOracle Data Pumpの使用方法の理解
Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)環境でOracle Data Pumpを使用するには、いくつかのチェックを実行して、クラスタ・メンバー・ノードが使用可能であることを確認する必要があります。
-
Oracle RAC構成でデータ・ポンプまたは外部表を使用するには、ディレクトリ・オブジェクトのパスがクラスタ・ファイル・システム上に存在するようにする必要があります。
ディレクトリ・オブジェクトは、データ・ポンプまたは外部表プロセス(あるいはその両方)を実行できるすべてのインスタンスから参照およびアクセス可能な共有物理記憶域を指している必要があります。
-
デフォルトのデータ・ポンプの動作では、Oracle RAC構成内の任意のインスタンスでワーカー・プロセスを実行できます。したがって、このようなOracle RACインスタンス上のワーカーは、ディレクトリ・オブジェクトによって定義された場所(共有ストレージ・メディアなど)に物理的にアクセスできる必要があります。この目的で使用できる共有ストレージが構成内にない場合にも並列処理が必要であれば、
CLUSTER=NO
パラメータを使用して、すべてのワーカー・プロセスを、データ・ポンプ・ジョブが開始されたインスタンスのみに置くことができます。 -
データ・ポンプは、パラレル問合せスレーブを使用して、データのロードおよびアンロードを実行する場合があります。Oracle RAC環境では、これらのスレーブの実行場所はデータ・ポンプによって制御されません。したがって、これらのスレーブは、データ・ポンプ・ジョブの
CLUSTER
およびSERVICE_NAME
に指定されたインスタンスに関係なく、クラスタ内の他のクラスタ・メンバー・ノードで実行できます。パラレル問合せ操作の制御は、データ・ポンプとは無関係です。パラレル問合せスレーブがデータ・ポンプ・ジョブの一部として他のインスタンスで実行される場合は、ダンプ・ファイル・セットの物理記憶域へのアクセスも必要になります。
1.8.3.3 Oracle Automatic Storage Managementを使用可能にした場合のディレクトリ・オブジェクトの使用方法
Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を有効にして、データ・ポンプのエクスポートまたはインポートを使用できます。Oracle ASMディスク・グループ名が,オペレーティング・システムのディレクトリ・パスのかわりに使用されるように、ダンプ・ファイルに対して使用されるディレクトリ・オブジェクトを定義する必要があります。
ログ・ファイルには、オペレーティング・システムのディレクトリ・パスを指す個別のディレクトリ・オブジェクトを使用します。
たとえば、このプロシージャを使用して、Oracle ASMダンプ・ファイルのディレクトリ・オブジェクトを作成できます。
SQL> CREATE or REPLACE DIRECTORY dpump_dir as '+DATAFILES/';
このディレクトリ・オブジェクトを作成した後、ログ・ファイル用の個別のディレクトリ・オブジェクトを作成します。
SQL> CREATE or REPLACE DIRECTORY dpump_log as '/homedir/user1/';
ユーザーhr
に、これらのディレクトリ・オブジェクトに対するアクセス権を付与する場合は、このユーザーに必要な権限を割り当てます。
SQL> GRANT READ, WRITE ON DIRECTORY dpump_dir TO hr; SQL> GRANT READ, WRITE ON DIRECTORY dpump_log TO hr;
最後に、次のデータ・ポンプ・エクスポート・コマンドを使用できます。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir DUMPFILE=hr.dmp LOGFILE=dpump_log:hr.log
コマンドを実行する前に、パスワードの入力を求められます。
ノート:
データ・ポンプのダンプ・ファイルをASMとディスク・ディレクトリの間で単にコピーする場合には、DBMS_FILE_TRANSFER
PL/SQLパッケージを使用できます。
1.8.3.4 DATA_PUMP_DIRディレクトリ・オブジェクトおよびプラガブル・データベース
CDBの各PDBに対する一意のパスとして、デフォルトのデータ・ポンプ・ディレクトリ・オブジェクトDATA_PUMP_DIR
が定義されます。
Oracle Database 12c
リリース2 (12.2)からは、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)環境において、相対パスにCREATE PLUGGABLE DATABASE
のPATH_PREFIX
句が定義されているどうかに関係なく、デフォルトのデータ・ポンプ・ディレクトリ・オブジェクトDATA_PUMP_DIR
がCDB内の各PDBの一意のパスとして定義されます。
1.8.4 置換変数の使用
エクスポート操作で、特定のファイル名を指定するかわりに、または指定したうえで、ファイル名に置換変数を使用してDUMPFILE
パラメータで複数のダンプ・ファイルを指定できます。これは、ダンプ・ファイル・テンプレートと呼ばれます。
ノート:
この項では、データ・ポンプでの置換変数の使用方法について、%Uを使用して説明します。その他の使用可能な置換変数の詳細は、データ・ポンプ・エクスポートの「DUMPFILE」パラメータおよびデータ・ポンプ・インポートの「DUMPFILE」パラメータを参照してください。必要に応じて、新しいダンプ・ファイルが作成されます。たとえば、置換変数%Uを使用している場合、必要に応じて新しいダンプ・ファイルが作成されるときに、%U
は最初は01
になり、その後、02
、03
などが順に使用されます。PARALLEL
パラメータの現行の設定で指定されたすべてのプロセスをアクティブにできるように、十分な数のダンプ・ファイルが作成されます。FILESIZE
パラメータで指定した最大サイズに達したためにダンプ・ファイルが一杯になると、ダンプ・ファイルはクローズされ、新しく生成された名前を持つ新しいダンプ・ファイルが、それにかわるファイルとして作成されます。
複数のダンプ・ファイル・テンプレートが提供されている場合、これらのテンプレートは、ラウンドロビン法によるダンプ・ファイルの生成に使用されます。たとえば、並列度6のジョブに、expa%U
、expb%U
およびexpc%U
がすべて指定された場合、expa01
.dmp
、expb01
.dmp
、expc01
.dmp
、expa02
.dmp
、expb02
.dmp
およびexpc02
.dmp
が初期ダンプ・ファイルとして作成されます。
インポートおよびSQLFILE操作では、ダンプ・ファイル指定expa%U
、expb%U
およびexpc%U
を指定した場合、ダンプ・ファイルexpa01
.dmp
、expb01
.dmp
およびexpc01
.dmp
をオープンすると操作が開始されます。マスター表は複数のダンプ・ファイルにまたがることができます。したがって、マスター表のすべての部分が検出されるまで、ダンプ・ファイルは、置換変数の増加および新しいファイル名(expa02
.dmp
、expb02
.dmp
、expc02
.dmp
など)の検索を行うことによって、オープン状態を継続します。ダンプ・ファイルが存在しない場合は、エラーとなったダンプ・ファイル指定の置換変数の増加が中止されます。たとえば、expb01
.dmp
およびexpb02
.dmp
は検出され、expb03
.dmp
は検出されなかった場合、expb%U
指定を使用したファイルの検索は中止されます。マスター表全体が検出されると、その表を使用して、ダンプ・ファイル・セット内のすべてのダンプ・ファイルの位置が特定されているかどうかを確認できます。
親トピック: ファイルの割当て
1.9 異なるデータベース・リリース間のエクスポートとインポート
データ・ポンプを使用して、異なるリリースのデータベース・ソフトウェア間で全データベースまたは一部を移行できます。
通常、データベース・リリース間で移行するには、データ・ポンプ・エクスポートのVERSION
パラメータを使用します。VERSION
を使用すると、指定したバージョンと互換性のあるデータ・ポンプのダンプ・ファイル・セットが生成されます。
VERSION
のデフォルト値はCOMPATIBLE
です。この値は、エクスポートされたデータベース・オブジェクト定義がCOMPATIBLE
初期化パラメータで指定されたリリースと互換性があることを示します。
アップグレードで、データ・ポンプ・ベースの移行のターゲット・リリースがソースより新しい場合、通常は、VERSION
パラメータを指定する必要はありません。ターゲット・リリースがソースより新しい場合、ソース・データベース内のすべてのオブジェクトには、これらの新しいターゲット・リリースとの互換性があります。例外は、Oracle Database 11g (リリース11.2.0.3以降)全体をOracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)以降にインポートするための準備としてエクスポートする場合です。この場合、VERSION=12
をFULL=YES
とともに明示的に指定して、Oracle内部のコンポーネント・メタデータの完全セットを含めます。
ダウングレードで、データ・ポンプ・ベースの移行のターゲット・リリースがソースより古い場合、VERSION
パラメータ値をターゲットと同じバージョンに設定します。ターゲット・リリース・バージョンがソース・システムのCOMPATIBLE
初期化パラメータの値と同じである場合は例外です。この場合、VERSION
を指定する必要はありません。ただし、通常は、VERSION
パラメータが明示的に指定されていなければ、データ・ポンプ・インポートでは、現在のリリースよりも新しいOracleリリースで作成されたダンプ・ファイル・セットを読み取ることができません。
異なるデータベース・リリース間のエクスポートとインポートを行う場合、次の点を考慮する必要があります。
-
データ・ポンプのエクスポートで、現在のデータベース・バージョンより古いデータベース・バージョンを指定すると、その古いバージョンのデータベースにインポート可能なダンプ・ファイル・セットが作成されます。たとえば、Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)を実行していて、エクスポートで
VERSION=11.2
を指定する場合、作成されるダンプ・ファイル・セットはOracle 11.2のデータベースにインポートできます。ノート:
以前のリリースへのインポートに関して、次の点に注意してください。
-
Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)以降のみで有効なデータベース権限(たとえば、表、ビュー、マテリアライズド・ビューおよびシノニムに対する
READ
権限)はOracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)以降にインポートできません。これを実行しようとすると、エラーとして報告され、インポート操作が続行されます。 -
Oracle Database 12c リリース2 (12.2.0.1)よりも前のリリースにエクスポートする場合、データ・ポンプでは30バイトを超えるオブジェクト名を除外しません。オブジェクトはエクスポートされ、インポート時に、30バイトを超える名前のオブジェクトを作成しようとすると、エラーが返されます。
-
-
現在のデータベース・リリースより古いデータベース・リリースを指定した場合、特定の機能およびデータ型を使用できないことがあります。たとえば、
VERSION=10.1
を指定した場合に、ジョブに対してデータ圧縮も指定してあるとエラーが発生します。これは、Oracle Database 10gリリース1(10.1)では圧縮がサポートされていないためです。別の例として、ソース・データベース内のユーザー定義の型またはOracle提供の型がターゲット・データベース内の型よりも新しいバージョンの場合、ターゲット・データベース内の型のいずれのバージョンとも一致しないため、この型はロードされません。 -
データ・ポンプ・インポートは、常に、古いリリースのデータベースで作成されたデータ・ポンプのダンプ・ファイル・セットを読み込むことができます。
-
データ・ポンプ操作がネットワーク・リンクを介して行われる場合、ソース・データベースとターゲット・データベースのバージョンの差違が2バージョン以下である必要があります。
たとえば、一方のデータベースがOracle Database 12cの場合、他方のデータベースは12c、11gまたは10gである必要があります。データ・ポンプがチェックするのはメジャー・バージョン番号のみ(10g、11g、12cなど)で、具体的なリリース番号(12.2、12.1、11.1、11.2、10.1、10.2など)ではありません。
-
表統計を含むOracle Database 11gダンプ・ファイルをOracle Database 12cリリース1 (12.1)以上にインポートすると、Oracle ORA-39346エラーが発生する場合があります。このエラーは、Oracle Database11gのダンプ・ファイルに、メタデータとして表の統計が含まれているために発生します。Oracle Database12cリリース1 (12.1)以降のリリースでは、表の統計が表データとして提示される必要があります。インポート操作中のこのエラーは無視しても問題ありません。インポート操作が完了した後、表の統計を再収集します。
関連項目:
-
READ
およびREAD ANY TABLE
権限の詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.10 SecureFiles LOBに関する考慮点
データ・ポンプ・エクスポートを使用してSecureFiles LOBをエクスポートした場合の結果の動作は、エクスポートのVERSION
パラメータの値、ContentTypeが存在するかどうか、LOBがアーカイブされてデータがキャッシュされるかどうかなどの条件によって異なります。
次の例に、これらの変数の様々な組合せを示します。
-
表に、ContentTypeが存在するSecureFiles LOBが含まれていて、エクスポート・ユーティリティの
VERSION
パラメータが11.2.0.0.0
未満の値に設定されていると、ContentTypeはエクスポートされません。 -
表に、ContentTypeが存在するSecureFiles LOBが含まれていて、エクスポート・ユーティリティの
VERSION
パラメータが11.2.0.0.0
以上の値に設定されていると、ContentTypeがエクスポートされて、その後のインポートでリストアされます。 -
表に、現在アーカイブされているSecureFiles LOBが含まれていて、データがキャッシュされ、エクスポート・ユーティリティの
VERSION
パラメータが11.2.0.0.0
未満の値に設定されていると、SecureFiles LOBデータがエクスポートされて、アーカイブ・メタデータが削除されます。この例では、VERSION
が11.1
以上に設定されていると、SecureFiles LOBは、標準のSecureFiles LOBになります。ただし、VERSION
が11.1
未満の値に設定されていると、SecureFiles LOBはBasicFiles LOBになります。 -
表に、現在アーカイブされているSecureFiles LOBが含まれていて、データがキャッシュされず、エクスポート・ユーティリティの
VERSION
パラメータが11.2.0.0.0
未満の値に設定されていると、ORA-45001エラーが返されます。 -
表に、現在アーカイブされているSecureFiles LOBが含まれていて、データがキャッシュされ、エクスポート・ユーティリティの
VERSION
パラメータが11.2.0.0.0
以上の値に設定されていると、キャッシュされたデータとアーカイブ・メタデータの両方がエクスポートされます。
関連項目:
SecureFilesの詳細は、Oracle Database SecureFilesおよびラージ・オブジェクト開発者ガイドを参照してください
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.11 データ・ポンプの終了コード
データ・ポンプでは、エクスポートおよびインポート操作の結果がログ・ファイルおよびプロセス終了コードにレポートされます。
Oracle Data Pumpでは、完了してすぐにエクスポートおよびインポート操作の結果が提供されます。データ・ポンプでは、結果をログ・ファイルに記録するだけでなく、プロセス終了コードで結果をレポートすることもできます。このコードを使用して、コマンドラインやスクリプトからのデータ・ポンプ・ジョブの結果を確認します。次の表に、Linux、UNIXおよびWindowsオペレーティング・システムに対応するデータ・ポンプの終了コードを示します。
表 1-1 データ・ポンプの終了コード
終了コード | 意味 |
---|---|
|
エクスポートおよびインポート・ジョブが、正常に完了しました。エラーは出力デバイスに表示されず、ログ・ファイル(ある場合)にも記録されません。 |
|
エクスポートまたはインポート・ジョブは正常に完了しましたが、ジョブ実行中にエラーが検出されました。エラーは出力デバイスに表示され、ログ・ファイル(ある場合)に記録されます。 |
|
エクスポートまたはインポート・ジョブで、次を含む1つ以上の致命的エラーが検出されました。
致命的エラーは出力デバイスに表示されますが、ログ・ファイルには記録されない場合があります。これがログ・ファイルに記録されるかどうかは、次のようないくつかの要因によります。
|
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.12 データ・ポンプ・ジョブの監査
特定のユーザー・データベース・アクションを監視および記録するには、統合監査を使用してデータ・ポンプ・ジョブの監査を実行します。
特定のユーザー・データベース・アクションを監視および記録するため、データ・ポンプ・ジョブの監査を実行できます。データ・ポンプでは、すべての監査レコードが1つの場所に一元化される統合監査を使用します。
統合監査を設定するには、統合監査ポリシーを作成するか、既存のポリシーを変更します。監査ポリシーは、データベースにおけるユーザー動作の特定の部分を監査できる監査設定の名前付きグループです。ポリシーを作成するには、SQL CREATE AUDIT POLICY
文を使用します。
監査ポリシーを作成したら、AUDIT
およびNOAUDIT
SQL文を使用してポリシーをそれぞれ有効化および無効化します。
関連項目:
-
SQL
CREATE AUDIT POLICY、ALTER AUDIT POLICY、AUDIT
およびNOAUDIT
文の詳細は、Oracle Database SQL言語リファレンスを参照してください -
Oracle Databaseで監査を使用する方法の詳細は、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.13 データ・ポンプによるタイムスタンプ・データの処理方法
この項では、タイムスタンプ・データ型のTIMESTAMP WITH TIMEZONE
およびTIMESTAMP WITH LOCAL TIMEZONE
を含むエクスポートおよびインポート・ジョブの正常な完了に影響する可能性のある要因について説明します。
ノート:
この項の情報は、Oracle Database 12c以上で実行されているOracle Data Pumpにのみ適用されます。
- TIMESTAMP WITH TIMEZONEの制限事項
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データを含むエクスポートおよびインポート・ジョブは制限されます。 - TIMESTAMP WITH LOCAL TIME ZONE制限事項
トランスポータブル・モードを使用した表の移動は制限されます。
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.13.1 TIMESTAMP WITH TIMEZONEの制限事項
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データを含むエクスポートおよびインポート・ジョブは制限されます。
- TIMESTAMP WITH TIME ZONEの制限事項の理解
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データが含まれるエクスポート・ジョブおよびインポート・ジョブを実行するには、タイムゾーン・ファイル・データとOracle Databaseリリースに関する情報を理解する必要があります。 - データ・ポンプによるTIMESTAMP WITH TIME ZONEデータのサポート
データ・ポンプでは、非トランスポータブル・モード、トランスポータブル表領域モード、トランスポータブル表モードおよび全体トランスポータブル・モードなどの様々なエクスポートおよびインポート・モードで、TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データがサポートされます。 - ソースおよびターゲットのタイムゾーン・ファイルのバージョン
ジョブが正常に完了するかどうかは、ソースとターゲットのタイムゾーン・ファイルのバージョンが一致しているかどうかによります。
親トピック: データ・ポンプによるタイムスタンプ・データの処理方法
1.13.1.1 TIMESTAMP WITH TIME ZONEの制限事項の理解
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データが含まれるエクスポート・ジョブおよびインポート・ジョブを実行するには、タイムゾーン・ファイル・データとOracle Databaseリリースに関する情報を理解する必要があります。
ジョブが正常に完了するかどうかは、次の要因に依存します。
-
ソース・データベースとターゲット・データベースのOracle Databaseタイムゾーン・ファイルのバージョン。
-
エクスポート/インポート・モードと、使用しているデータ・ポンプのバージョンで
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データがサポートされるかどうか。(Data Pump 11.2.0.1以上では、TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データがサポートされます。)
データベースのタイムゾーン・ファイルのバージョンを識別するには、次のSQL文を実行します。
SQL> SELECT VERSION FROM V$TIMEZONE_FILE;
1.13.1.2 データ・ポンプによるTIMESTAMP WITH TIME ZONEデータのサポート
データ・ポンプでは、非トランスポータブル・モード、トランスポータブル表領域モード、トランスポータブル表モードおよび全体トランスポータブル・モードなどの様々なエクスポートおよびインポート・モードで、TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データがサポートされます。
この項では、Oracle Databaseのタイムゾーン・ファイルのバージョンがソース・データベースとターゲット・データベースで異なる場合における、異なるエクスポートおよびインポート・モードでのデータ・ポンプによるTIMESTAMP WITH TIME ZONE
データのサポートについて説明します。
非トランスポータブル・モード
-
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データをサポートするデータ・ポンプのバージョン(11.2.0.1以上)でダンプ・ファイルを作成すると、エクスポート・システムのタイムゾーン・ファイルのバージョンがダンプ・ファイルに記録されます。データ・ポンプでは、この情報を使用してデータ変換が必要であるかどうかを決定します。ターゲット・データベースでソースのタイムゾーンのバージョンについて認識しているが、実際には新しいバージョンを使用している場合、データは新しいバージョンに変換されます。TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データはダウングレードできないため、ソースで使用しているものより古いバージョンのタイムゾーン・ファイルを使用しているターゲットにインポートを試みると、インポートは失敗します。 -
Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.1)より前のデータ・ポンプのバージョンでダンプ・ファイルを作成する場合、
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データはサポートされないため、変換が実行されずに破損する可能性があります。
トランスポータブル表領域モードおよびトランスポータブル表モード
-
トランスポータブル表領域モードおよびトランスポータブル表モードでは、ソースとターゲットのタイムゾーン・ファイルのバージョンが異なる場合、
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
列を含む表は作成されません。ジョブの開始時に、ソースとターゲットのデータベース・タイムゾーン・ファイルのバージョンを示す警告が表示されます。また、作成されなかった表ごとにメッセージが表示されます。このことは、ダンプ・ファイルを作成するために使用したデータ・ポンプのバージョンでTIMESTAMP WITH TIME ZONE
データがサポートされる場合でも同様です。(リリース11.2.0.1以上ではTIMESTAMP WITH TIMEZONE
データがサポートされます。) -
ソースがOracle Database 11gリリース2 (11.2.0.1)よりも前の場合、トランスポータブル・セットが
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
列を使用するかどうかに関係なく、タイムゾーン・ファイルのバージョンはすべてのトランスポータブル・ジョブのソースおよびターゲット・データベースで同じである必要があります。
全体トランスポータブル・モード
全体トランスポータブル・エクスポートおよびインポートがサポートされるのは、ソース・データベースがOracle Database 11gリリース2 (11.2.0.3)以上で、ターゲットがOracle Database 12cリリース1 (12.1)以上の場合です。
Data Pump 11.2.0.1以上では、TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データがサポートされます。したがって、全体トランスポータブル操作では、TIMESTAMP WITH TIME ZONE
列を含む表が作成されます。ソース・データベースとターゲット・データベースのタイムゾーン・ファイルのバージョンが異なる場合、ソースのTIMESTAMP WITH TIME ZONE
列は、ターゲットのタイムゾーン・ファイルのバージョンに変換されます。
関連項目:
-
トランスポータブル表領域の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
-
全体トランスポータブル・エクスポートの詳細は、「全体モード・エクスポート時のトランスポータブル・オプションの使用」を参照してください
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全体トランスポータブル・インポートの詳細は、「全体モード・インポート時のトランスポータブル・オプションの使用」を参照してください
親トピック: TIMESTAMP WITH TIMEZONEの制限事項
1.13.1.3 ソースおよびターゲットのタイムゾーン・ファイルのバージョン
ジョブが正常に完了するかどうかは、ソースとターゲットのタイムゾーン・ファイルのバージョンが一致しているかどうかによります。
-
Oracle Databaseのタイムゾーン・ファイルのバージョンがソース・データベースとターゲット・データベースで同じである場合、
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データの変換は不要です。エクスポート/インポート・ジョブは正常に完了します。この例外は、データ・ポンプの11.2.0.1より前のリリースを使用して実行されるトランスポータブル表領域またはトランスポータブル表のエクスポートです。この場合、
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
列を含むダンプ・ファイルの表は、タイムゾーン・ファイルのバージョンがソースとターゲットで同じであっても、インポート時に作成されません。 -
ターゲット・データベースでソースのタイムゾーン・ファイルのバージョンを使用できない場合、ジョブは失敗します。ソースのタイムゾーン・ファイルが新しいバージョンに更新されていても、ターゲットでは更新されていないことがあるため、ソースのタイムゾーン・ファイルのバージョンはターゲットで使用できない可能性があります。たとえば、タイムゾーン・ファイルのバージョンが17のOracle Database 11gリリース2 (11.2.0.2)でエクスポートを実行し、使用できるタイムゾーン・ファイルのバージョンが16のみの11.2.0.2でインポートを実行すると、ジョブは失敗します。
親トピック: TIMESTAMP WITH TIMEZONEの制限事項
1.13.2 TIMESTAMP WITH LOCAL TIME ZONEの制限事項
トランスポータブル・モードを使用した表の移動は制限されます。
表がトランスポータブル・モード(トランスポータブル表、トランスポータブル表領域または全体トランスポータブル)を使用して移動され、次の条件が存在する場合、警告が発行されて表は作成されません。
-
ソース・データベースとターゲット・データベースのデータベース・タイムゾーンが異なる場合
-
表に
TIMESTAMP WITH LOCAL TIME ZONE
データ型が含まれる場合
これらの条件が原因で作成されなかった表を正常に移動するには、トランスポータブルではないエクスポートおよびインポート・モードを使用してください。
親トピック: データ・ポンプによるタイムスタンプ・データの処理方法
1.14 文字セットおよびグローバリゼーション・サポートに関する考慮点
データ・ポンプ・エクスポートおよびインポートのグローバリゼーション・サポートの動作。
これらの項では、ユーザー・データおよびデータ定義言語(DDL)の文字セット変換に関連するデータ・ポンプ・エクスポートおよびインポートのグローバリゼーション・サポートの動作について説明します。
- データ定義言語(DDL)
エクスポート・ユーティリティでは、エクスポート・システムのデータベース文字セットを使用してダンプ・ファイルが書き込まれます。 - シングルバイト文字セットとエクスポートおよびインポート
エクスポート・データベースとインポート・データベースで同じ文字セットを使用していることを確認してください。 - マルチバイト文字セットとエクスポートおよびインポート
インポート・データベースの文字セットに同等の文字がないエクスポート・ファイル中の文字は、変換時にデフォルトの文字に置換されます。インポート・データベースの文字セットは、デフォルトの文字を定義します。
親トピック: Oracle Data Pumpの概要
1.14.1 データ定義言語 (DDL)
エクスポート・ユーティリティは、エクスポート・システムのデータベース文字セットを使用してダンプ・ファイルを書き込みます。
インポート・システムのデータベース文字セットがエクスポート・システムのデータベース文字セットと異なる場合にのみ、ダンプ・ファイルのインポート時にDDLのために文字セット変換が必要です。
文字セット変換によるデータの損失を最小限にするには、インポートのデータベース文字セットがエクスポートのデータベース文字セットのスーパーセットであることを確認します。
1.14.2 シングルバイト文字セットとエクスポートおよびインポート
エクスポート・データベースとインポート・データベースで同じ文字セットを使用していることを確認してください。
インポートが実行されるシステムで7ビット文字セットを使用し、8ビット文字セットのダンプ・ファイルをインポートすると、一部の8ビット・キャラクタは同等の7ビットに変換されることがあります。これが発生した場合の目印として、アクセント記号が付いている文字からアクセントが消去されます。
この不要な変換を回避するため、エクスポート・データベースとインポート・データベースで同じ文字セットを使用していることを確認してください。
1.14.3 マルチバイト文字セットとエクスポートおよびインポート
インポート・データベースの文字セットに同等の文字がないエクスポート・ファイル中の文字は、変換時にデフォルトの文字に置換されます。インポート・データベースの文字セットは、デフォルトの文字を定義します。
DDLの変換中にインポート・システムで置換文字を使用する必要がある場合、警告メッセージが表示され、システムは変換されたDDLをロードしようと試みます。
ユーザー・データの変換中にインポート・システムで置換文字を使用する必要がある場合、デフォルトの動作として、変換されたデータがロードされます。ただし、置換文字を使用して変換されたユーザー・データの行を拒否するようにインポート・システムに指示することが可能です。詳細は、インポートのDATA OPTIONS
パラメータを参照してください。
100%完全に変換されるためには、インポート・データベースの文字セットは、エクスポート・ファイルを生成するために使用される文字セットのスーパーセットであるか、それと同等である必要があります。
注意:
エクスポート・システムのデータベース文字セットがインポート・システムのものと異なる場合、ジョブの開始時に、データベース文字セットの内容を示す情報メッセージがインポート・システムに表示されます。
インポート・データベースの文字セットがエクスポート・ファイルを生成するために使用された文字セットのスーパーセットではない場合、文字セット変換によってデータ損失が発生する可能性があることを示す警告がインポート・システムに表示されます。
関連トピック
1.15 データ・バインドされた照合に関連するOracle Data Pumpの動作
Oracle Data Pumpでは、データ・バインドされた照合(DBC)がサポートされています。
-
エクスポートされたユーザーのスキーマの現在のデフォルト照合
-
エクスポートされた表、ビュー、マテリアライズド・ビューおよびPL/SQL単位(ユーザー定義の型を含む)の現在のデフォルト照合
-
表およびクラスタのすべての文字データ型列の宣言された照合
Oracle Database 12c リリース2 (12.2)データベースからエクスポートされたダンプ・ファイルをインポートするときのデータ・ポンプ・インポートの動作は、インポート時のデータ・ポンプのVERSION
パラメータの有効な値と、ターゲット・データベースでデータ・バインドされた照合(DBC)機能が有効になっているかどうかによって異なります。VERSION
パラメータの有効な値は、パラメータをどのように指定するかによって決まります。パラメータは次の方法で指定できます。
-
VERSION=n
: 有効な値は、特定のバージョン番号n
(VERSION=12.2
など)です。 -
VERSION=LATEST
: 有効な値は、現在実行中のデータベース・バージョンです。 -
VERSION=COMPATIBLE
: 有効な値は、データベース初期化パラメータCOMPATIBLE
の値と同じです。このことは、VERSION
の値が指定されていない場合にも該当します。
データベースでDBC機能を有効にするには、初期化パラメータCOMPATIBLE
を12.2以上に設定し、また初期化パラメータMAX_STRING_SIZE
をEXTENDED
に設定する必要があります。
データ・ポンプ・インポートのVERSION
パラメータの有効な値が12.2であり、ターゲット・データベースでDBCが有効になっている場合、データ・ポンプ・インポートでは、ダンプ・ファイルからの照合メタデータを参照する照合句を含むDDL文が生成されます。エクスポートされたオブジェクトは、ソース・データベースにあった元の照合メタデータを使用して作成されます。
DBCが無効になっている場合、またはデータ・ポンプ・インポートのVERSION
パラメータが12.2未満の値に設定されている場合、照合構文は生成されません。
親トピック: Oracle Data Pumpの概要