OracleプリコンパイラおよびOCIアプリケーションのアップグレード・オプションについて

Oracle Databaseの新しいリリース上で実行するプリコンパイラおよびOracle Call Interface (OCI)アプリケーションのアップグレード用に、いくつかのオプションが提供されています。

アップグレードのオプションは、難易度が高く、考えられるメリットが大きくなる順序に記述されています。つまり、選択肢1は最も簡単ですが、考えられるメリットは最も小さくなり、選択肢3は最も難しい方法ですが、考えられるメリットは最も大きくなります。

オプション1: アプリケーションを変更しない

アプリケーションおよびその環境を変更しません。

アプリケーションを再リンク、プリコンパイルまたはコンパイルせず、また、アプリケーション・コードを変更しません。アプリケーションは、新しいOracle Database 12cリリースで引き続き動作します。この選択肢では、アプリケーションのOracleホーム環境をアップグレードしないでください。アプリケーションは変更しなくても、Oracle Database 12cサーバーで引き続き使用できます。この選択肢の主なメリットは、単純で簡単であることです。さらに、この選択肢では、クライアント・コンピュータをアップグレードする必要がないため、管理の必要性が最も少なくなります。多くのクライアント・コンピュータがある場合は、すべてのコンピュータのアップグレードに費やす管理コストを削減することが大変重要になります。

このオプションの主なデメリットは、Oracle Databaseの新しいリリースで使用可能な機能をアプリケーションで使用できないことです。また、期待できる新しいOracle Database 12cのすべてのパフォーマンス上のメリットをアプリケーションで活用することができません。

オプション2: 新しいソフトウェアを使用してアプリケーションをプリコンパイルまたはコンパイルする

APIが非推奨になったか、または変更されている場合は、アプリケーション・コードを変更する必要があります。

Oracle Databaseの新しいリリースを使用して、プリコンパイルまたはコンパイルし、次にアプリケーションを再リンクします。新しいリリースのOracle Databaseソフトウェアにアップグレードする場合、APIが非推奨になったか変更されたために必要になったコード変更を行った後、新しいソフトウェアを使用してアプリケーションをプリコンパイルまたはコンパイルする必要があります。

この選択肢では、各クライアント・コンピュータに新しいOracle Databaseクライアント・ソフトウェアをインストールする必要があります。クライアントの数にかかわらず、必要なアプリケーションのプリコンパイルまたはコンパイルおよび再リンクは1回のみです。

再コンパイルすることによって、アプリケーション・コードの構文チェックを実行します。新しいOracle Databaseソフトウェアを使用してプリコンパイルまたはコンパイルすると、Oracleソフトウェアの以前のリリースでは検出されなかったアプリケーション・コードのいくつかの問題が、検出される場合があります。新しいソフトウェアを使用したプリコンパイルまたはコンパイルは、以前に検出されなかったアプリケーション・コードの問題の検出および解決に役立ちます。

また、アプリケーションは新しいOracle Databaseリリースで動作するため、再コンパイルすることによって、アプリケーションの最大の安定性を得ることができます。さらに、使用可能な最新のツール製品および機能を使用して、ご使用の環境で新しい開発を行うことができます。さらに、再コンパイルおよび再リンクの実行後のみ、新しいOracleソフトウェアで得られるパフォーマンスの向上を得ることができます。

オプション3: アプリケーション・コードを変更して、新しいOracle Databaseの機能を使用する

アプリケーションのコードを変更して、新しいOracle Databaseの機能を利用します。

Oracle Database 12cの新しい機能を使用するために、アプリケーション・コードを変更します。コードをプリコンパイルまたはコンパイルし、再リンクさせます。この選択肢は最も難しい方法ですが、考えられるメリットも最大です。この選択肢では、「オプション2: 新しいソフトウェアを使用してアプリケーションをプリコンパイルまたはコンパイルする」で説明したすべてのメリットを実現できます。また、アプリケーションを変更することにより、Oracle Databaseの新しいリリースで得られるパフォーマンスおよびスケーラビリティのメリットを活用できます。さらに、新しいリリースでのみ使用できる新機能を、アプリケーションに追加できます。使用する機能の実装方法については、ご使用の開発環境のOracleマニュアルを参照してください。

参照:

Oracle Database 12cの機能を理解するには、『Oracle Database新機能ガイド』を参照してください

OracleプリコンパイラおよびOCIアプリケーションの開発環境の変更

使用する新機能を決定したら、これらの機能を使用するためにアプリケーションのコードを変更します。

ご使用の開発環境に基づいて、次の項の該当する指示に従ってください。

プリコンパイラ・アプリケーションの変更

これらのステップを完了して、Oracle Database 18cの機能を使用するためにプリコンパイラ・アプリケーションを変更します。

  1. Oracle Database 18cの新しい機能を使用するには、それらの新機能のコードを既存のアプリケーションに取り込みます。

  2. Oracleプリコンパイラを使用して、各アプリケーションをプリコンパイルします。

  3. 各アプリケーションをコンパイルします。

  4. プリコンパイラに付属する新しいOracle Database 18cのランタイム・ライブラリ(SQLLIB)を、各アプリケーションと再リンクさせます。

OCIアプリケーションの変更

ここにリストされているステップを完了して、新しいOracle Databaseリリースの機能を使用するためにOCIアプリケーションを変更します。

  1. 新しいOracle DatabaseリリースのOCIコールを既存のアプリケーションに取り込みます。

  2. アプリケーションをコンパイルします。

  3. アプリケーションを新しいOracle Databaseリリースのランタイム・ライブラリと再リンクします。