3 Concurコネクタの構成

アプリケーションの作成時には、コネクタがOracle Identity Governanceをターゲット・システムに接続し、コネクタ操作を実行するために使用する接続関連パラメータを構成する必要があります。また、Oracle Identity Governanceのプロセス・フォーム・フィールドとターゲット・システムの列の属性マッピング、事前定義済相関ルール、状況とレスポンスおよびリコンシリエーション・ジョブを表示して編集できます。

基本構成パラメータ

これらは、Concurへの接続のために、Oracle Identity Governanceで必要となる接続関連パラメータです。

表3-1 Concurの基本構成パラメータ

パラメータ 必須? 説明

authenticationServerUrl

いいえ

ターゲット・システムのconsumer keyを検証する認証サーバーのURLを入力します。

サンプル値: https://www.concursolutions.com/net2/oauth2/accesstoken.ashx

authenticationType

あり

ターゲット・システムにより使用される認証のタイプ。このコネクタでは、OAuth 2.0カスタム認証タイプがサポートされています。

デフォルト値: custom

ノート: パラメータ値は変更しないでください。

customAuthHeaders

いいえ

次の書式でconsumer keyを入力します。

“X-ConsumerKey=CONSUMER_KEY”

この書式のCONSUMER_KEYは、「Concurコネクタの構成」でConcur developer sandboxの登録後に割り当てられたコンシューマ・キーと置き換えます。

サンプル値: “X-ConsumerKey=abc12345ABc12345AbcXYZ”

host

あり

ターゲット・システムをホストしているコンピュータのホスト名を入力します。

サンプル値: www.concursolutions.com

password

いいえ

コネクタ・プラットフォームに接続するためのパスワードを入力します。これは、「Concurコネクタの構成」でConcur developer sandboxを登録する際に指定したパスワードです。

port

いいえ

ターゲット・システムがリスニングしているポート番号を入力します。

サンプル値: 80

proxyHost

いいえ

外部ターゲットへの接続に使用されるプロキシ・ホストの名前を入力します。

サンプル値: www.example.com

proxyPassword

いいえ

ターゲット・システムに接続するために、Oracle Identity Governanceにより使用されるターゲット・システム・ユーザー・アカウントのプロキシ・ユーザーIDのパスワードを入力します。

proxyPort

いいえ

プロキシのポート番号を入力します。

サンプル値: 1105

proxyUser

いいえ

ターゲット・システムに接続するために、Oracle Identity Governanceにより使用されるターゲット・システム・ユーザー・アカウントのプロキシ・ユーザー名を入力します。

サンプル値: johnsmith

sslEnabled

いいえ

ターゲット・システムでSSL接続が必要な場合、このパラメータの値をtrueに設定しますそうではない場合、値をfalseに設定します。

デフォルト値 : true

username

いいえ

Concurプラットフォームに接続するためのユーザー名を入力します。これは、「ターゲット・システムの構成」でConcur developer sandboxを登録する際に指定した電子メール・アドレスです。

Connector Server Name

いいえ

コネクタ・サーバーにConcurコネクタをデプロイしている場合、コネクタ・サーバーのITリソースの名前を入力します。

サンプル値: concurConnectorServer

拡張設定パラメータ

これらは、コネクタでリコンシリエーション操作およびプロビジョニング操作時に使用される構成関連のエントリです。

表3-2 Concurの拡張設定パラメータ

パラメータ 必須? 説明

relURIs

あり

このエントリは、このコネクタでサポートされている各オブジェクト・クラスの相対URLおよびこれらのオブジェクト・クラスで実行可能なコネクタ操作を含みます。

デフォルト値 :

"__ACCOUNT__.CREATEOP=/api/user/v1.0/users","__ACCOUNT__.UPDATEOP=/api/user/v1.0/users",

"__ACCOUNT__.__PASSWORD__.UPDATEOP=/api/user/v1.0/users/password",

"__ACCOUNT__.SEARCHOP=/api/v3.0/common/users?$(Filter Suffix)$&limit=$(PAGE_SIZE)$&offset=$(PAGE_TOKEN)$

nameAttributes

あり

このエントリは、オブジェクト・クラスの__NAME__属性として処理する必要がある属性を示します。

デフォルト値: "__ACCOUNT__.LoginID"

uidAttributes

あり

このエントリは、コネクタにより処理されるオブジェクトのUID属性を含みます。たとえば、UID属性はAccountクラスのLoginIDです。

デフォルト値: "__ACCOUNT__.LoginID"

pageTokenRegex

いいえ

このエントリは、検索操作のページに表示されるリソースの数を示します。

デフォルト値: (?<=offset=).*

pageSize

いいえ

このエントリは、検索操作のページに表示されるリソースの数を示します。

デフォルト値: 100

pageTokenAttribute

いいえ

このエントリは、ページ区切りトークンのターゲット属性の名前を示します。このトークンはページを識別する不透明な文字列で、ページのデータの読取り、書込みまたは変更権限をAPIに付与します。

デフォルト値: NextPage

Bundle Version

いいえ

このエントリは、コネクタ・バンドルのバージョンを保持します。

デフォルト値: 12.3.0

Connector Name

いいえ

このエントリは、コネクタ・クラスの名前を含みます。

デフォルト値: org.identityconnectors.genericrest-12.3.0

opTypes

いいえ

このエントリは、各オブジェクト・クラスの各属性について、ターゲットでサポートされるHTTP操作を決定します。

デフォルト値 :

"__ACCOUNT__.CREATEOP=POST","__ACCOUNT__.UPDATEOP=POST",

"__ACCOUNT__.SEARCHOP=GET","__ACCOUNT__.__PASSWORD__.UPDATEOP=POST"

jsonResourcesTag

いいえ

このJSONタグ値は、リコンシリエーション中に単一レスポンス・ペイロード内の複数のエントリを解析するために使用されます。

デフォルト値: "__ACCOUNT__=Items"

httpHeaderContentType

いいえ

このエントリは、リクエスト本文のタイプを示します。

デフォルト値: application/xml

httpHeaderAccept

いいえ

Acceptリクエスト・ヘッダー・フィールドを使用して、レスポンスとして許容可能な特定のメディア・タイプを指定できます。

デフォルト値: application/json

enableEmptyString

いいえ

このエントリは、空の値またはnull値を空の文字列に変換します。

デフォルト値 : true

customPayload

いいえ

このエントリは、リクエスト・ペイロードのカスタム形式を指定します。

customAuthClassName

いいえ

このエントリは、カスタム認証実装のクラス名を指定します。

デフォルト値: oracle.iam.connectors.concur.auth.ConcurNativeAuth

customParserClassName

いいえ

このエントリは、カスタム・パーサー実装のクラス名を指定します。

デフォルト値: oracle.iam.connectors.concur.parser.ConcurResponseParser

statusAttributes

いいえ

このエントリには、アカウントのステータスを含むターゲット・システム属性の名前がリストされます。つまり、各オブジェクト・クラスのターゲット・システムの__ENABLE__フィールドです。

デフォルト値: "__ACCOUNT__.Active"

passwordAttribute

いいえ

このエントリは、ユーザー・パスワードのターゲット属性を示します。

デフォルト値: Password

Bundle Name

いいえ

このエントリは、コネクタ・バンドル・パッケージの名前を含みます。

デフォルト値: org.identityconnectors.genericrest

statusDisableValue

いいえ

無効化操作の間にターゲット・システムに送信する必要がある値を示すブール値を入力します。

ノート: このパラメータの値は、Oracle Identity Governanceがデフォルトで送信する無効化操作用の値とは異なる値の送信がターゲット・システムで求められる場合にのみ入力する必要があります。

デフォルト値 : false

statusEnableValue

いいえ

有効化操作の間にターゲット・システムに送信する必要がある値を示すブール値を入力します。

ノート: このパラメータの値は、Oracle Identity Governanceがデフォルトで送信する有効化操作用の値とは異なる値の送信がターゲット・システムで求められる場合にのみ入力する必要があります。

デフォルト値 : true

属性マッピング

ターゲット・アプリケーションの「スキーマ」ページには、Oracle Identity Governanceの属性をターゲット・システムの属性にマップするデフォルトのスキーマ(コネクタに付属)が表示されます。コネクタは、リコンシリエーションおよびプロビジョニング操作中にこれらのマッピングを使用します。

Concurユーザー・アカウントの属性

表3-3は、Oracle Identity Governanceのプロセス・フォーム・フィールドとConcur属性の間のユーザー固有の属性マッピングを示しています。この表には、特定の属性がプロビジョニングまたはリコンシリエーション中に使用されるかどうか、およびその属性がリコンシリエーション中にレコードをフェッチするための一致キー・フィールドであるかどうかも示されています。

必要に応じて、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceでのセルフ・サービス・タスクの実行』ターゲット・アプリケーションの作成に関する項で説明されているように、新しい属性を追加するか、既存の属性を削除することにより、デフォルトの属性マッピングを編集できます。

表3-3 Concurユーザー・アカウントのデフォルト属性マッピング

表示名 ターゲット属性 データ型 必須プロビジョニング・プロパティ? プロビジョニング・フィールド? リコンシリエーション・フィールド? キー・フィールド? 大/小文字を区別しない?

Email Address

PrimaryEmail

String

あり

あり

あり

いいえ

なし

Active

IsActive

String

いいえ

あり

あり

いいえ

なし

Id

__UID__

String

いいえ

あり

あり

いいえ

なし

Middle Name

MiddleName

String

いいえ

あり

あり

いいえ

なし

Login ID

__NAME__

String

あり

あり

あり

あり

なし

Employee ID

EmployeeID

String

あり

あり

あり

いいえ

なし

First Name

FirstName

String

あり

あり

あり

いいえ

なし

Last Name

LastName

String

あり

あり

あり

いいえ

なし

Status

__ENABLE__

String

いいえ

いいえ

あり

いいえ

なし

Country of Residence

CountryofResidence

String

あり

あり

いいえ

いいえ

なし

Locale

Locale

String

あり

あり

いいえ

いいえ

なし

Reimbursement Currency

ReimbursementCurrency

String

あり

あり

いいえ

いいえ

なし

Employee Administration Country

EmployeeAdministrationCountry

String

あり

あり

いいえ

いいえ

なし

Ledger

Ledger

String

あり

あり

いいえ

いいえ

なし

Manager

ExpenseApproverEmployeeID

String

いいえ

あり

いいえ

いいえ

なし

Password

__PASSWORD__

String

いいえ

あり

いいえ

いいえ

なし

図3-1に、デフォルトのユーザー・アカウント属性マッピングを示します。

図3-1 Concurユーザー・アカウントのデフォルト属性マッピング

図3-1の説明が続く
「図3-1 Concurユーザー・アカウントのデフォルト属性マッピング」の説明

相関ルール、状況およびレスポンス

Concurアプリケーションの事前定義済ルール、レスポンスおよび状況について学習します。コネクタによってこれらのルールとレスポンスが使用されて、リコンシリエーションが実行されます。

事前定義済のアイデンティティ相関ルール

デフォルトでは、Concurコネクタには、ターゲット・アプリケーション作成時の単純相関ルールが用意されています。コネクタは、この相関ルールを使用して、Oracle Identity Governanceリポジトリとターゲット・システム・リポジトリのエントリを比較して、2つのリポジトリの相違を判断し、最新の変更内容をOracle Identity Governanceに適用します。

必要に応じて、デフォルトの相関ルールを編集したり、新しいルールを追加することができます。単純相関ルールを作成することもできます。単純または複合相関ルールの追加または編集の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceでのセルフ・サービス・タスクの実行』アイデンティティ相関ルールの更新に関する項を参照してください。

表3-4 Concurターゲット・アプリケーションの事前定義済アイデンティティ相関ルール

ターゲット属性 要素の演算子 アイデンティティ属性 大/小文字を区別する?

__NAME__

次と等しい

電子メール

いいえ

このアイデンティティ・ルールでは、次のようになります。
  • __NAME__は、ユーザー・アカウントを識別するターゲット・システム上の単一値の属性です。

  • Emailは、OIGユーザー・フォームのフィールドです。

  • ルールの演算子はANDです。

図3-2に、Concurコネクタの単純相関ルールを示します。

図3-2 事前定義済のアイデンティティ相関ルール

図3-2の説明が続く
「図3-2 事前定義済のアイデンティティ相関ルール」の説明

事前定義済の状況とレスポンス

Concurコネクタには、ターゲット・アプリケーション作成時の状況とレスポンスのデフォルト・セットが用意されています。これらの状況とレスポンスにより、リコンシリエーション・イベントの結果に基づいてOracle Identity Governanceが実行する必要があるアクションを指定します。

次の表に、Concurコネクタのデフォルトの状況とレスポンスを示します。必要に応じて、これらのデフォルトの状況とレスポンスを編集することも、新しい状況とレスポンスを追加することもできます。状況とレスポンスの追加または編集の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceでのセルフ・サービス・タスクの実行』ターゲット・アプリケーションの作成に関する項を参照してください

表3-5 Concurターゲット・アプリケーションの事前定義済の状況とレスポンス

状況 レスポンス

一致が見つからなかった場合

なし

1つのエンティティ一致が見つかった場合

リンクの確立

1つのプロセス一致が見つかった場合

リンクの確立

図3-3に、Concurコネクタのデフォルトの状況とレスポンスを示します。

図3-3 デフォルトの状況とレスポンス

図3-3の説明が続きます
「図3-3 デフォルトの状況とレスポンス」の説明

リコンシリエーション・ジョブ

ターゲット・システムのアプリケーションを作成した後にOracle Identity Governanceで自動的に作成されるリコンシリエーション・ジョブについて学習します。

これらの事前定義済のジョブを使用することも、要件に合うように編集することもできます。また、カスタム・リコンシリエーション・ジョブを作成することもできます。これらの事前定義済のジョブの編集または新しいジョブの作成の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceでのセルフ・サービス・タスクの実行』リコンシリエーション・ジョブの更新に関する項を参照してください。

Concurターゲット・リソースのユーザー・リコンシリエーション・ジョブ

Concurターゲット・リソースのユーザー・リコンシリエーション・ジョブを使用して、完全リコンシリエーションを実行しますが、これにはターゲット・アプリケーションからOracle Identity Governanceへのすべてのユーザー・レコードのリコンシリエーションが含まれます。

表3-6 Concurターゲット・リソースのユーザー・リコンシリエーション・ジョブのパラメータ

パラメータ 説明

Application Name

ターゲット・システム用として作成したアプリケーションの名前。この値は、ターゲット・アプリケーションの作成時に「アプリケーション名」フィールドで指定した値と同じです。

ノート: この値は変更しないでください

Filter Suffix

リコンシリエーションの実行時にターゲット・システムからフェッチされるユーザー・レコードの検索フィルタを入力します。「制限付きリコンシリエーションの実行」を参照してください。

Object Type

この属性は、リコンシリエーションの実行用のオブジェクト・タイプの名前を保持します。

デフォルト値: User

ノート: この属性の値は変更しないでください。

Scheduled Task Name

スケジュールされたジョブの名前。

ノート: このコネクタに組み込まれているスケジュール済ジョブについては、この属性の値を変更することはできません。ただし、新しいジョブを作成した場合またはジョブのコピーを作成した場合は、この属性の値として、そのスケジュール済ジョブに一意の名前を入力します。