6 Oracle E-Business Suite HRMSコネクタの使用

要件にあわせてアプリケーションを構成した後で、Oracle E-Business Suits HRMSコネクタを使用して、リコンシリエーション操作およびプロビジョニング操作を実行できます。

この章の構成は、次のとおりです。

ノート:

EBS HRMSコネクタのみを使用している場合、「リコンシリエーション・ジョブの構成」項および「プロビジョニング操作の実行」項を実行します。

6.1 リコンシリエーションの構成

コネクタを構成して、リコンシリエーションのタイプおよびそのスケジュールを指定できます。

6.1.1 完全リコンシリエーションおよび増分リコンシリエーションの実行

完全リコンシリエーションでは、既存のすべてのユーザー・レコードをターゲット・システムからOracle Identity Governanceへリコンサイルします。増分リコンシリエーションでは、前回のリコンシリエーションの実行後に追加または変更されたレコードのみがOracle Identity Governanceにフェッチされます。

アプリケーションを作成したら、最初に完全リコンシリエーションを実行する必要があります。さらに、すべてのターゲット・システム・レコードをOracle Identity Governanceでリコンサイルする必要がある場合はいつでも、増分リコンシリエーションから完全リコンシリエーションへ切り替えることができます。

完全リコンシリエーションを実行するには、Latest TokenおよびFilterパラメータに割り当てられている値を削除し、次のいずれかのリコンシリエーション・ジョブを実行します。
  • Oracle EBS HRMSアプリケーションの場合: Oracle EBS HRMS Targetユーザー・リコンシリエーション
  • Oracle EBS Employee Reconciliationアプリケーションの場合: Oracle EBS HRMS Trustedユーザー・リコンシリエーション
初めて増分リコンシリエーションを実行する場合は、Sync Tokenパラメータに割り当てられている値を削除し、次のリコンシリエーション・ジョブを実行します。
  • Oracle EBS HRMSアプリケーションの場合: Oracle EBS HRMS Targetユーザー増分リコンシリエーション
  • Oracle EBS Employee Reconciliationアプリケーションの場合: Oracle EBS HRMS Trustedユーザー増分リコンシリエーション
こうすることで、コネクタはターゲット・システムのすべてのレコードに関するデータをOracle Identity Governanceにフェッチします。次回の実行から、Sync Token属性の値の後で作成または変更されたレコードのみがリコンシリエーションの対象とみなされます。

完全および増分リコンシリエーション・ジョブの詳細は、「EBS HRMSコネクタのリコンシリエーション・ジョブ」および「EBS ERコネクタのリコンシリエーション・ジョブ」を参照してください。

6.1.2 制限付きリコンシリエーションの実行

リコンシリエーション・モジュールに対してフィルタを作成することで制限付きリコンシリエーションを実行できるほか、指定されたフィルタ基準に基づいてターゲット・システムからレコードをリコンサイルできます。

デフォルトでは、前回のリコンシリエーションの実行後に追加または変更されたすべてのターゲット・システム・レコードが、現在のリコンシリエーションの実行中にリコンサイルされます。リコンサイルする必要のある追加または変更されたターゲット・システム・レコードのサブセットを指定して、このプロセスをカスタマイズできます。

リコンシリエーション・モジュールのフィルタを作成して、制限付きリコンシリエーションを実行できます。このコネクタには、任意のOracle EBS HRMSユーザー・リソース属性を使用してターゲット・システム・レコードをフィルタ処理するFilterパラメータ(リコンシリエーション・ジョブのパラメータ)が用意されています。

Filterパラメータに値を指定すると、コネクタはフィルタ基準に一致するターゲット・システム・レコードのみをOracle Identity Governanceにリコンサイルします。Filterパラメータに値を指定しない場合、コネクタはターゲット・システムのすべてのレコードをOracle Identity Governanceにリコンサイルします。

ユーザー・リコンシリエーション・スケジュール済ジョブの構成中に、Filter属性に値を指定します。

次に、名前が"John"のアカウントのみをフィルタ処理する検索のフィルタ例を示します。

equalTo('FIRST_NAME','JOHN')

ICFフィルタの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceのためのアプリケーションの開発とカスタマイズ』のICFフィルタ構文 に関する項を参照してください。

6.1.3 バッチ・リコンシリエーションの実行

バッチ・リコンシリエーションを実行して、特定の数のレコードをターゲット・システムからOracle Identity Governanceにリコンサイルできます。

リコンシリエーションの実行中に、ターゲット・システム・レコードのすべての変更内容がOracle Identity Governanceにリコンサイルされます。リコンサイルされるレコード数によっては、このプロセスに長い時間がかかる場合があります。また、リコンシリエーション中に接続が中断すると、プロセスの完了にはさらに時間がかかります。これらの問題を避けるため、バッチ・リコンシリエーションを構成できます。

バッチ・リコンシリエーションを構成するには、「基本構成」セクションのBatch Sizeパラメータに値を指定する必要があります。このパラメータを使用して、コネクタが各バッチに含める必要があるレコード数を指定します。デフォルトでは、この値は1000に設定されています。

このパラメータの値として「すべて」を指定すると、コネクタはすべてのレコードをOracle Identity Governanceにフェッチします。All以外の値を指定した場合、新規追加または修正されたユーザー・レコードの一部は、その回のリコンシリエーション中にはリコンサイルされない可能性があります。次に、この例を示します。

Batch Sizeの値を200に指定したとします。前回のリコンシリエーション実行後に、314件のユーザー・レコードが作成または修正されたとします。これら314レコードのうち、200レコードが今回のリコンシリエーション実行中にリコンサイルされます。残りの114レコードは、次回のリコンシリエーション実行中にリコンサイルされます。

6.2 リコンシリエーション・ジョブの構成

ターゲット・システムで定期的に新しい情報をチェックしてOracle Identity Governanceにそのデータを複製するリコンシリエーションを実行する、リコンシリエーション・ジョブを構成します。

この手順は、ユーザーと権限のリコンシリエーション・ジョブを構成する場合に適用できます。

リコンシリエーション・ジョブを構成するには:
  1. アイデンティティ・システム管理にログインします。
  2. 左ペインの「システム管理」で、「スケジューラ」をクリックします
  3. 次のようにして、スケジュール済ジョブを検索して開きます。
    1. 「検索」フィールドに、検索基準としてスケジュール済ジョブの名前を入力します。「拡張検索」をクリックして検索基準を指定することもできます。
    2. 左ペインの検索結果表で、「ジョブ名」列のスケジュール済ジョブをクリックします。
  4. 「ジョブの詳細」タブで、スケジュール済タスクのパラメータを変更できます。
    • 再試行: このフィールドには整数値を入力します。この数値は、ジョブに「停止済」ステータスを割り当てるまでに、スケジューラがジョブの開始を試行する回数を表します。
    • スケジュール・タイプ: ジョブを実行する頻度に応じて、適切なスケジュール・タイプを選択します。『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceの管理』ジョブの作成に関する項を参照してください。

    ジョブ詳細を変更する他に、ジョブを有効化または無効化できます。

  5. 「ジョブの詳細」タブの「パラメータ」領域で、スケジュール済タスクの属性の値を指定します。

    ノート:

    すべての属性に値(デフォルトまたはデフォルト以外)を割り当てる必要があります。属性値を1つでも空白のままにした場合、リコンシリエーションは実行されません。

  6. 「適用」をクリックして変更を保存します。

    ノート:

    Identity System Administrationのスケジューラのステータス・ページを使用して、スケジューラを起動、停止または再初期化できます。

6.3 プロビジョニング操作の実行

「ユーザーの作成」ページを使用して、Identity Self Serviceに新規ユーザーを作成します。アカウントのプロビジョニングやリクエストは「ユーザーの詳細」ページの「アカウント」タブで実行します。

Oracle Identity Governanceでプロビジョニング操作を実行するには:

  1. Identity Self Serviceにログインします。
  2. 次のようにユーザーを作成します。
    1. Identity Self Serviceで、「管理」をクリックします。「ホーム」タブには、異なる「管理」オプションが表示されます。「ユーザー」をクリックします。「ユーザーの管理」ページが表示されます。
    2. 「アクション」メニューから「作成」を選択します。または、ツールバーにある「作成」をクリックします。「ユーザーの作成」ページが表示され、ユーザー・プロファイル属性の入力フィールドが表示されます。
    3. 「ユーザーの作成」ページに、ユーザーの詳細を入力します。
  3. 「アカウント」タブで、「アカウントのリクエスト」をクリックします
  4. 「カタログ」ページで、以前に構成したコネクタのアプリケーション・インスタンスを検索してカートに追加し、「チェックアウト」をクリックします。
  5. アプリケーション・フォームの各フィールドの値を指定し、「送信準備ができています」をクリックします
  6. 「送信」をクリックします

関連項目:

「ユーザーの作成」ページ内のフィールドの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceでのセルフ・サービス・タスクの実行』ユーザーの作成に関する項を参照してください

6.4 コネクタのアンインストール

コネクタのアンインストールでは、そのリソース・オブジェクトに関連付けられているすべてのアカウント関連データを削除します。

なんらかの理由でコネクタをアンインストールする場合は、コネクタのアンインストール・ユーティリティを実行します。このユーティリティを実行する前に、必ずConnectorUninstall.propertiesファイルでObjectTypeObjectValuesのプロパティに値を設定します。たとえば、リソース・オブジェクト、スケジュール済タスクおよびコネクタに関連付けられたスケジュール済ジョブを削除する場合、ObjectTypeプロパティの値としてResourceObject、ScheduleTaskおよびScheduleJobを入力し、ObjectValuesプロパティの値としてコネクタに対応するオブジェクト値のセミコロン区切りのリスト(たとえば、GoogleApps User; GoogleApps Group)を入力します。

ノート:

ObjectTypeObjectValueのプロパティとともに、ConnectorNameReleaseのプロパティに値を設定している場合、ObjectValuesプロパティでリストされたオブジェクトの削除はユーティリティによって実行され、コネクタ情報はスキップされます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceの管理』コネクタのアンインストールに関する項を参照してください。