5 コネクタの使用

自分の要件を満たすようにアプリケーションを構成したら、コネクタを使用してリコンシリエーションおよびプロビジョニング操作を実行できます。

5.1 リコンシリエーションの構成

コネクタを構成して、リコンシリエーションのタイプおよびそのスケジュールを指定できます。

この項では、リコンシリエーションの構成に関する次の項目について説明します。

5.1.1 完全リコンシリエーションおよび増分リコンシリエーションの実行

完全リコンシリエーションでは、既存のすべてのユーザー・レコードをターゲット・システムからOracle Identity Governanceへリコンサイルします。アプリケーションを作成した後はまず、完全リコンシリエーションを実行する必要があります。

完全リコンシリエーションを実行するには、Latest TokenとFilter Suffixの各パラメータに現在割り当てられている値を削除し、「リコンシリエーション・ジョブ」の項にリストされているリコンシリエーション・ジョブの1つを実行します

SharePoint Onlineコネクタでは、増分リコンシリエーションのオプションはデフォルトでは有効になっていません。コネクタでは、Azure ADターゲット・システムにオブジェクトの作成または変更のタイムスタンプが格納される属性が含まれている場合にのみ、増分リコンシリエーションをサポートします。SharePoint Onlineターゲットのみが変更された場合、増分リコンシリエーションは機能しません。

5.1.2 制限付きリコンシリエーションの実行

制限付きつまりフィルタ済リコンシリエーションは、設定されたフィルタ基準に基づいてリコンサイルすることによりレコードの数を制限するプロセスです。

デフォルトでは、前回のリコンシリエーションの実行後に追加または変更されたすべてのターゲット・システム・レコードが、現在のリコンシリエーションの実行中にリコンサイルされます。リコンサイルする必要のある追加または変更されたターゲット・システム・レコードのサブセットを指定して、このプロセスをカスタマイズできます。これは、リコンシリエーション・モジュールのフィルタを作成して行います。

リコンシリエーション・モジュールのフィルタを作成して、制限付きリコンシリエーションを実行できます。APIバージョン1.6で有効なFilter Suffixの値の例を次に示します。

Filter Suffix値: &$filter=startswith(displayName,'john.doe')

このコネクタのFilter Suffix属性(スケジュール済タスクの属性)により、ターゲット・システムの任意の属性を使用してターゲット・システム・レコードをフィルタ処理できます。ユーザー・リコンシリエーション・スケジュール済ジョブの構成中に、Filter Suffix属性に値を指定します。

ノート:

Filter Suffix属性の値は、使用するAzure AD APIでサポートされる形式で指定します。次に例を示します:
  • 増分リコンシリエーションを構成し、かつ、バージョン1.6のAPIを使用している場合は、Filter Suffix属性の値を次の形式で設定します。

    APIバージョン1.6用のサンプルのFilter Suffix: %20and%20startswith(displayName,'user1')

  • 増分リコンシリエーションを構成しておらず、かつ、バージョン1.6のAPIを使用している場合は、Filter Suffix属性の値を次の形式で設定します。

    APIバージョン1.6用のサンプルのFilter Suffix: &$filter=startswith(displayName,'user1')

5.2 リコンシリエーション・ジョブの構成

ターゲット・システムで定期的に新しい情報をチェックしてOracle Identity Governanceにそのデータを複製するリコンシリエーションを実行するリコンシリエーション・ジョブを構成します。

この手順は、ユーザーと権限のリコンシリエーション・ジョブを構成する場合に適用できます。

リコンシリエーション・ジョブを構成するには:

  1. Identity System Administrationにログインします。
  2. 左ペインの「システム管理」で、「スケジューラ」をクリックします。
  3. 次のように、スケジュール済ジョブを検索して開きます。
    1. 「検索」フィールドに、検索基準としてスケジュール済ジョブの名前を入力します。「拡張検索」をクリックして検索基準を指定することもできます。
    2. 左側のペインの検索結果表で、「ジョブ名」列のスケジュール済ジョブをクリックします。
  4. 「ジョブの詳細」タブで、スケジュール済タスクのパラメータを変更できます。
    1. 再試行: このフィールドには整数値を入力します。この数値は、ジョブに「停止済」ステータスを割り当てるまでに、スケジューラがジョブの開始を試行する回数を表します。
    2. スケジュール・タイプ: ジョブを実行する頻度に応じて、適切なスケジュール・タイプを選択します。『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceの管理』のジョブの作成に関する項を参照してください。
  5. 「ジョブの詳細」タブの「パラメータ」領域で、スケジュール済タスクの属性の値を指定します。

    ノート:

    すべての属性に値(デフォルトまたはデフォルト以外)を割り当てる必要があります。属性値を1つでも空白のままにした場合、リコンシリエーションは実行されません。
  6. 「適用」をクリックして変更を保存します。

    ノート:

    アイデンティティ・システム管理の「スケジューラのステータス」ページを使用して、スケジューラを開始、停止または再初期化できます。

5.3 プロビジョニングの構成

Azure ADコネクタのプロビジョニング操作を構成できます。

この項では、次のトピックについて説明します。

5.3.1 プロビジョニング操作の実行に関するガイドライン

ここでは、プロビジョニング操作を実行する際に適用する必要があるガイドラインについて説明します。

  • ユーザーの作成プロビジョニング操作の場合、「ユーザー・プリンシパル名」フィールドの値をドメイン名とともに指定する必要があります。たとえばjdoe@example.comのように指定し、これは必須フィールドです。このほかにも、「表示名」、「パスワード」、メール・ニックネームおよび使用場所が必須フィールドです。

  • グループのプロビジョニング操作では、「表示名」およびメール・ニックネーム・フィールドの値を入力する必要があります。メール・ニックネーム・フィールドの値にスペースを含めることはできません。

5.3.2 プロビジョニング操作の実行

「ユーザーの作成」ページを使用して、Identity Self Serviceに新規ユーザーを作成します。アカウントのプロビジョニングやリクエストは「ユーザーの詳細」ページの「アカウント」タブで実行します。

Oracle Identity Governanceでプロビジョニング操作を実行するには:

  1. Identity Self Serviceにログインします。
  2. 次のようにユーザーを作成します。
    1. Identity Self Serviceで、「管理」をクリックします。「ホーム」タブには、異なる「管理」オプションが表示されます。「ユーザー」をクリックします。「ユーザーの管理」ページが表示されます。
    2. 「アクション」メニューから「作成」を選択します。または、ツールバーにある「作成」をクリックします。「ユーザーの作成」ページが表示され、ユーザー・プロファイル属性の入力フィールドが表示されます。
    3. 「ユーザーの作成」ページに、ユーザーの詳細を入力します。
  3. 「アカウント」タブで、「アカウントのリクエスト」をクリックします
  4. 「カタログ」ページで、以前に構成したコネクタのアプリケーション・インスタンスを検索してカートに追加した後、「チェックアウト」をクリックします。
  5. アプリケーション・フォームの各フィールドの値を指定し、「送信準備ができています」をクリックします
  6. 「送信」をクリックします。

関連項目:

「ユーザーの作成」ページ内のフィールドの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceでのセルフ・サービス・タスクの実行』ユーザーの作成に関する項を参照してください

5.4 グループ管理に使用されるコネクタ・オブジェクト

グループ管理操作(作成や削除など)を実行するためにコネクタによって使用されるオブジェクトについて学習します。

  • グループ管理のための参照定義
  • グループ管理のためのリコンシリエーション・ルールおよびアクション・ルール
  • グループ管理のためのリコンシリエーション・スケジュール済ジョブ

5.4.1 グループ管理のための参照定義

コネクタを使用してアプリケーションを作成すると、グループの参照定義がOracle Identity Governanceで自動的に作成されます。

5.4.1.1 Lookup.SharePointOnline.GM.Configuration

Lookup.SharePointOnline.GM.Configuration参照定義には、グループ・オブジェクト・タイプに固有の構成エントリが含まれています。

この参照定義は、ターゲット・システムがターゲット・リソースとして構成されているときに、グループ管理操作で使用されます。

コード・キー デコード 説明
Provisioning Attribute Map Lookup.SharePointOnline.GM.ProvAttrMap このエントリは、Oracle Identity Governanceとターゲット・システムの間の属性マッピングを保存する参照定義の名前を保持します。この参照定義は、プロビジョニング操作の際に使用されます。
Recon Attribute Map Lookup.SharePointOnline.GM.ReconAttrMap このエントリは、Oracle Identity Governanceとターゲット・システムの間の属性マッピングを保存する参照定義の名前を保持します。この参照定義は、リコンシリエーションの際に使用されます。
5.4.1.2 Lookup.SharePointOnline.GM.ProvAttrMap

Lookup.SharePointOnline.GM.ProvAttrMap

この参照定義は事前に構成されており、グループ・プロビジョニング操作の際に使用されます。

表5-1 Lookup.SharePointOnline.GM.ProvAttrMap参照定義のエントリ

Oracle Identity Governanceのグループ・フィールド SharePointOnlineフィールド
タイトル __NAME__
オブジェクトID __UID__
メンバーにメンバーシップの編集を許可 AllowMembersEditMembership
参加/退出のリクエストを許可 AllowRequestToJoinLeave
参加/退出のリクエストを自動承認 AutoAcceptRequestToJoinLeave
説明 説明
メンバーシップの表示をメンバーのみに許可 OnlyAllowMembersViewMembership
参加/退出をリクエストする電子メールの設定 RequestToJoinLeaveEmailSetting
5.4.1.3 Lookup.SharePointOnline.GM.ReconAttrMap

Lookup.SharePointOnline.GM.ReconAttrMap参照定義には、リソース・オブジェクト・フィールド(コード・キー値)とターゲット・システム属性(デコード)間のマッピングが含まれています。

この参照定義は事前に構成されており、ターゲット・リソースのグループ・リコンシリエーションの実行時に使用されます。

Oracle Identity Governanceのグループ・フィールド SharePointOnlineフィールド
タイトル __NAME__
オブジェクトID __UID__
メンバーにメンバーシップの編集を許可 AllowMembersEditMembership
参加/退出のリクエストを許可 AllowRequestToJoinLeave
参加/退出のリクエストを自動承認 AutoAcceptRequestToJoinLeave
説明 説明
OIM組織名

OIM Organization Name

ノート: これはコネクタ属性です。この属性の値は、Oracle Identity Governanceのグループの組織を指定するために、コネクタによって内部的に使用されます。

メンバーシップの表示をメンバーのみに許可 OnlyAllowMembersViewMembership
参加/退出をリクエストする電子メールの設定 RequestToJoinLeaveEmailSetting

5.4.2 グループ管理のためのリコンシリエーション・ルールおよびアクション・ルール

リコンシリエーション・ルールは、ターゲット・システムで新たに検出されたアカウントにOracle Identity Governanceが割り当てる必要のあるアイデンティティを判別するために、リコンシリエーション・エンジンによって使用されます。

リコンシリエーション・アクション・ルールでは、コネクタが定義されたリコンシリエーション・ルールに基づいて実行する必要があるアクションが定義されます。

5.4.2.1 グループのリコンシリエーション・ルール

「ユーザーの作成」ページを使用して、Identity Self Serviceに新規ユーザーを作成します。アカウントのプロビジョニングやリクエストは「ユーザーの詳細」ページの「アカウント」タブで実行します。

グループのプロセス一致ルールを次に示します。

ルール名: SharePoint Group Recon rule

ルール要素: Organization Name Equals OIM Org Name

このルール要素では、次のようになります。

  • Organization Nameは、OIMユーザー・フォームの「組織名」フィールドです。
  • OIM Org Nameは、Oracle Identity Governanceのグループの組織名です。OIM Org Nameは、SharePointOnlineグループ・リコンシリエーション・スケジュール済ジョブの「組織名」属性で指定された値です。
5.4.2.2 グループのリコンシリエーション・アクション・ルール

表5-*に、グループのリコンシリエーションのアクション・ルールを示します。

ルール条件 アクション
一致が見つかりません なし
1つのエンティティ一致が見つかった場合 リンクの確立
1つのプロセス一致が見つかった場合 リンクの確立
5.4.2.3 リコンシリエーション・ルールの表示

コネクタを使用してアプリケーションを作成した後で、次のステップを実行して、リコンシリエーション・ルールを表示できます

  1. Oracle Identity Governance Design Consoleにログインします。
  2. 「開発ツール」を開きます。
  3. 「リコンシリエーション・ルール」をダブルクリックします。
  4. SharePoint Group Recon ruleを検索します。
    「グループのリコンシリエーション・ルール」に、グループのリコンシリエーション・ルールを示します。

    図5-1 グループのリコンシリエーション・ルール


    グループのリコンシリエーション・ルール

5.4.2.4 リコンシリエーション・アクション・ルールの表示

コネクタを使用してアプリケーションを作成した後で、次のステップを実行して、グループのリコンシリエーション・アクション・ルールを表示できます。
  1. Design Consoleにログインします。
  2. 「Resource Management」を展開し、「Resource Objects」をダブルクリックします。
  3. SharePointOnline Groupresourceオブジェクトを検索して開きます。
  4. 「Object Reconciliation」タブをクリックします。
  5. 「Reconciliation Action Rules」タブをクリックします。
    「Reconciliation Action Rules」タブに、コネクタに定義されているアクション・ルールが表示されます。「グループのリコンシリエーション・アクション・ルール」に、グループのリコンシリエーション・アクション・ルールを示します。

    図5-2 グループのリコンシリエーション・アクション・ルール


    グループのリコンシリエーション・アクション・ルール

5.5 コネクタのアンインストール

SharePointOnlineコネクタのアンインストールでは、そのリソース・オブジェクトに関連付けられているすべてのアカウント関連データが削除されます

なんらかの理由でコネクタをアンインストールする場合は、コネクタのアンインストール・ユーティリティを実行します。このユーティリティを実行する前に、必ずConnectorUninstall.propertiesファイルでObjectTypeObjectValuesのプロパティに値を設定します。たとえば、リソース・オブジェクト、スケジュール済タスクおよびコネクタに関連付けられたスケジュール済ジョブを削除する場合は、ObjectTypeプロパティの値として"ResourceObject", "ScheduleTask", "ScheduleJob"を入力し、ObjectValuesプロパティの値としてコネクタに対応するオブジェクト値のセミコロン区切りのリストを入力します。

例: Sharepoint1; SharePointOnline Group

Sharepoint1はSharePointOnlineコネクタで、アプリケーションによってユーザー・リソース・オブジェクトが作成されます。

ノート:

ObjectTypeプロパティとObjectValueプロパティとともにConnectorNameプロパティとReleaseプロパティの値を設定すると、ObjectValueプロパティでリストしたオブジェクトの削除はユーティリティによって実行されますが、コネクタ情報はスキップされます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Governanceの管理』コネクタのアンインストールに関する項を参照してください。