1 Oracle Stream Analyticsの概要

Oracle Stream Analyticsでは、Apache Sparkベースのシステムでイベント・ストリームのリアルタイム監視および分析を行えるカスタムの操作ダッシュボードを作成できます。Oracle Stream Analyticsを使用すると、顧客は、Apache Sparkベースのシステムで対象のイベントを特定し、それらのイベント・ストリームへの問合せをリアルタイムで実行し、操作ダッシュボードを駆動したり、その分析に基づいてアラートを生成したりできます。Oracle Stream Analyticsは、ネイティブのSparkパイプラインのセットとして動作します。

Oracle Stream Analyticsについて

Stream Analyticsは、ストリーム・データに対するリアルタイムな分析的計算を行うためのインメモリー・テクノロジの1つです。ストリーム・データのソースは、IoTセンサー、Webパイプライン、ログ・ファイル、POSデバイス、ATMマシン、ソーシャル・メディア、またはその他のデータ・ソースです。Oracle Stream Analyticsは、Oracle Cloud内の管理対象サービスとして、またはオンプレミス・インストールとして使用可能です。

Oracle Stream Analyticsを使用すると、大量のデータをリアルタイムでフィルタ処理、集計、相関付けおよび分析することにより、ビジネス上の脅威および機会を特定できます。

より正確に言うと、Oracle Stream Analyticsは次のようなシナリオで使用できます。

  • 異なるトランザクション・ソースと非トランザクション・ソースからのデータを混合および変換することにより、複雑なイベント処理パイプラインを構築します。

  • 時間ウィンドウおよびイベント・ウィンドウに基づいて時間的分析を実行します。

  • 組込みの空間パターンを使用して、位置ベースの分析を実行します。

  • 時系列データ内のパターンを検出し、リアルタイムな処理を実行します。

  • 処理されたデータ・ストリームを視覚化することにより、操作ダッシュボードを構築します。

  • 機械学習を使用して、現在のイベントをスコアリングし、次のイベントを予測します。

  • 処理されたデータ・ストリームの結果に対する非定型問合せを実行します。

業界固有の例を次に示します。

  • 受信トランザクション・データに基づいて、リアルタイムな不正を検出します。

  • 取引上の損失と利ざやをリアルタイムでトラッキングして、ベンダーおよびサプライヤと再交渉します。

  • 正常な操作パラメータをトラッキングし、メンテナンスを先見的にスケジュールすることにより、アセットのメンテナンスを改善します。

  • ランダムに価格を引き下げるのではなく、継続的に需要をトラッキングして値引きを最適化することにより、利ざやを改善します。

  • 需要、在庫レベル、およびソーシャル・メディアなどでの製品センチメントを継続的にトラッキングすることにより、価格を再調整します。

  • 顧客の位置およびロイヤルティに基づいて、リアルタイムのオファーのマーケティングと作成を行います。

  • ショッピング・カートからの削除を即時に特定し、顧客転換率を改善します。

  • 企業Webサイトにおける顧客プレゼンスを即時に特定することにより、製品およびサービスをアップセルします。

  • 製品のロードおよびアンロードにかかる平均時間をトラッキングすることにより、資産活用率を改善します。

  • 保有車両の推定到着時刻に基づいてドックとスタッフを準備することにより、ターンアラウンド・タイムを改善します。

  • ロード・ゾーンへの出入りになどにかかる実際の時間に基づいて、スケジュールの見積りを改訂します。

Oracle Stream Analyticsをお薦めする理由

業界で入手可能な類似製品と比較してOracle Stream Analyticsの使用をお薦めするのは、様々な理由とメリットがあるためです。

簡潔性

Oracle Stream AnalyticsでセルフサービスのWebベース・ツールを使用して、強力なデータ処理パイプラインを作成します。このツールによってSparkパイプラインが自動的に生成され、同時にパイプライン・ロジックの即時ビジュアル検証も行われます。

Apache Sparkの上に構築

Oracle Stream Analyticsは、イベントごとの処理をSpark Streamingで行うことができる業界初の製品であり、バージョンに準拠している任意のYarnクラスタにアタッチできます。

エンタープライズ・グレード

Oracle Stream AnalyticsはApache Sparkの上に構築され、完全な水平スケールアウトを提供し、ミッションクリティカルなワークロードの24時間毎日の活用を可能にします。自動チェック・ポイントによって、1回かぎりの処理およびデータのゼロ損失が保証されます。組込みのガバナンスにより、システムに対して誰が、いつ、何を行ったかに関する全面的なアカウンタビリティを実現できます。Oracle Stream Analyticsでは、管理および監視の一部として、パイプラインのトポロジや関係が、取り込まれたイベント数、削除されたイベント数、および各パイプラインのスループットを示すデータフロー・メトリックとともにビジュアル化されます。

Oracle Stream Analyticsの動作の仕組み

Stream Analyticsでは、GoldenGate変更データ取得に対する第一級サポートにより、まずKafkaからのデータを取り込みます。ストリームの調査と分析は、データ・パイプラインを作成することにより実行されます。

データ・パイプラインでは、時間ウィンドウを使用してデータを問い合せ、パターンを検索し、データがまだ移動中に条件付きロジックを適用することができます。Stream Analyticsで使用される問合せ言語は、Continuous Query Language (CQL)と呼ばれる、SQLと似た言語です。ただし、CQLには、パターン一致やパターン認識のための追加のコンストラクトが含まれています。CQLは宣言的言語ですが、Stream Analyticsでコードを記述する必要はありません。Webベース・ツールによって、問合せおよびSpark Streamingパイプラインが自動的に生成されます。データの分析および状況の検出が完了すると、パイプラインは終了して、Oracle Integration CloudでBPMワークフローをトリガーしたり、Oracle Analytics Cloudを使用して詳細なインサイトやインテリジェンスを得るために結果をData Lakeに保存することができます。

次の図は、Stream Analyticsのアーキテクチャを示しています。

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図osacs_architecture.pngの説明

分析されたデータは、操作ダッシュボードの構築やワークフローのトリガーのために使用され、ビジネス・インテリジェンスおよび非定型問合せを行えるようにData Lakesに保存されます。