このドキュメントで説明するソフトウェアは、Extended SupportまたはSustaining Supportのいずれかにあります。 詳細は、https://www.oracle.com/us/support/library/enterprise-linux-support-policies-069172.pdfを参照してください。
Oracleでは、このドキュメントに記載されているソフトウェアをできるだけ早くアップグレードすることをお薦めします。

機械翻訳について

第2章 修正済および既知の問題

この章では、Unbreakable Enterprise Kernelリリース2の修正済よび既知の問題について説明します。

重要

yum updateコマンドを定期的に実行して、最新のバグ修正およびセキュリティ更新がシステムに確実にインストールされるようにしてください。

2.1 修正済の問題

次の問題は、この更新で修正されています。

  • 複数パスが設定されたSCSIデバイスへのパスのいずれかが無効になった場合、パス・フェイルオーバー中にカーネル・パニックが発生する可能性がありました。 (バグID 16684527)

  • 新規作成、forkおよびwakeされたプロセスのcgroup移動内の競合状態を訂正するためにいくつかの修正が適用されました。 (バグID 13740515)

  • OVM APIに対して、いくつかの修正が適用されました。

  • デフラグメンテーション中のOCFS2エクステントの移動時に発生する可能性があったカーネル・パニックを防止するために修正が適用されました。 (バグID 16631951)

  • ol6_latestチャネルで提供される、更新されたbtrfs-progsパッケージ(btrfs-progs-0.20-1.4)により、btrfs subvolume get-defaultコマンドがデフォルト・サブボリュームだけでなく、既存のすべてのサブボリュームをリストするというバグが修正されました。 (バグID 13815433)

  • CVE-2013-2094を含むいくつかのCVEに対するセキュリティ修正。

2.2 既知の問題

この項では、この更新の既知の問題について説明します。

ACPI

一部のシステムでは、dmesgで次のようなACPI関連のエラー・メッセージが表示される場合があります。

ACPI Error: [CDW1] Namespace lookup failure, AE_NOT_FOUND
        ACPI Error: Method parse/execution failed [_SB_._OSC||\||]
        ACPI Error: Field [CDW3] at 96 exceeds Buffer [NULL] size 64 (bits)]]>

これらのメッセージは、致命的ではありませんが、BIOSでのバグが原因です。 システム・ベンダーにBIOS更新についてお問合せください。 (バグID 13100702)

ASM

oracleasm initスクリプト、/etc/init.d/oracleasmをパラメータscandisksを指定して呼び出すと、次のようなデバイス欠落についてのエラー・メッセージが表示される可能性があります。

oracleasm-read-label: Unable to open device "device": No such file or directory

ただし、デバイスは実際には存在します。 このエラー・メッセージはタイミングの問題でトリガーされるもので、無視してもかまいません。 oracleasmサービスの開始および停止には、initスクリプトのみを使用してください。 その他のオプション(スキャンディスク、listdiskおよびcreatediskなど)はすべて非推奨です。 これらやその他の管理タスクについては、かわりに/usr/sbin/oracleasmを使用してください。 (バグID 13639337)

bnx2xドライバ

ブリッジでbnx2xドライバを使用しているときは、/etc/modprobe.confoptions bnx2x disable_tpa=1文を含めることで、透過的パケット・アグリゲーション(TPA)を無効にしてください。 (バグID 14626070)

btrfs

  • この四半期更新のUEK R2カーネルとともに、ユーザー空間btrfs-progsパッケージ(btrfs-progs-0.20-1.4)の新しいバージョンがol6_latestチャネルで提供されます。 このパッケージでは、新しいbtrfs機能へのコマンドライン・アクセスが可能になります。 この最新バージョンのbtrfs-progsパッケージを、カーネルが更新されていないシステムにインストールすると、パッケージでサポートされているほとんどの新しいコマンド機能がデバイスに対する不適切なioctlというエラーで失敗します。 mkfs.btrfs-lオプションは、2.6.39-400.109.1以降のUnbreakable Enterprise Kernelが必要になるので例外です。 ファイル・システムの正しい動作を保証できないので、アップグレードされていないカーネルではこのオプションを使用しないでください。 リーフ・サイズが正常に設定されたように見えても、作成されたファイル・システムを後で使用するとデータが破損する危険性があります。 (バグID 16920640)

  • --alloc-startオプションをmkfs.btrfsで使用して、ファイル・システムの開始のオフセットを指定すると、ファイル・システムのサイズが小さくなる必要がありますが、そのようにはなりません。 また、デバイス・サイズよりも大きなオフセットを指定することも可能です。 このバグは、ユーザー空間btrfs-progsパッケージ(btrfs-progs-0.20-1.4)に存在します。 (バグID 16946255)

  • mkfs.btrfsの使用方法に、raid5およびraid6がデータとメタデータの両方に可能なプロファイルとして表示されます。 しかし、これらの機能はカーネルでサポートされておらず、それらを使用するファイル・システムはマウントできません。 このバグは、ユーザー空間btrfs-progsパッケージ(btrfs-progs-0.20-1.4)に存在します。 (バグID 16946303)

  • btrfs filesystem balanceコマンドでは、特定の状況でRAIDレベルの変更が可能であることが警告されず、操作を取り消す選択肢が表示されません。 (バグID 16472824)

  • 既存のext2ext3またはext4ルート・ファイル・システムをbtrfsに変換しても、ファイルの拡張属性の一部として保存されている関連のセキュリティ・コンテキストは繰り越されません。 SELinuxを有効にして強制モードに設定すると、再起動後に多数の権限拒否エラーが発生し、システムが起動できなくなる場合があります。 この問題を回避するには、自動ファイル・システムの名前変更が起動時に実行されるようにします。 自動名前変更をトリガーするには、最初の変換後のシステム再起動の前に、ファイル・システムのrootディレクトリに.autorelabelという名前の空のファイルを(たとえば、touchを使用して)作成します。 このファイルの存在が、SELinuxにファイル・システム上のすべてのファイルに対するセキュリティ属性の再作成を指示します。 これを忘れて再起動に失敗する場合は、selinux=0をカーネル・ブート・パラメータに追加して、一時的にSELinuxを完全に無効にするか、enforcing=0を追加して、SELinuxポリシーの適用を無効にします。 (バグID 13806043)

  • RAID1ディスクに障害があると、次のエラー・メッセージによりカーネル・パニックが発生する場合があります。

    BTRFS error (device (null)) in btree_writepage_io_failed_hook:3662: \
              IO failure (Error occurred while writing out btree at offset).

    (バグID 16262571)

  • btrfs filesystem defragmentコマンドは、成功した場合でも終了コード20で終了します。 (バグID 13714531)

  • duなどのコマンドで、遅延割当てでのバイト数が変化しているときに、btrfsファイル・システムのファイル・サイズに整合性のない結果が表示される場合があります。 (バグID 13096268)

  • Btrfsには、1つのディレクトリから1つのファイルへのハード・リンクの数が237以下であるという制限があります。 正確な制限はファイル名の文字数によって異なります。 ファイル名が最大8文字までのファイルに対する制限は237ですが、ファイル名が長くなると制限数はさらに小さくなります。 この数を超えるリンクを作成しようとすると、「Too many links」のエラーが発生します。 別のディレクトリからは、同じファイルへのハード・リンクをさらに作成できます。 (バグID 16278563)

  • btrfs quota enableコマンドを、空ではないファイル・システムで実行すると、既存のファイルがスペース使用に対してカウントされません。 これらのファイルを削除すると、使用レポートにマイナスの数字が表示される場合があり、ファイル・システムにアクセスできなくなります。 回避策として、ファイル・システムの作成直後にquotaを有効にします。 ファイル・システムにすでにデータを書き込んだ場合は、もうquotaを有効にできません。 (バグID 16569350)

  • btrfs quota rescanコマンドは現在実装されていません。 このコマンドは再スキャンを実行せず、メッセージも表示せずに戻ります。

  • サブボリュームを圧縮する前にquotaグループに対して使用可能な領域を制限する機能はまだ実装されていません。 btrfs qgroup limit-cオプション(圧縮後の領域制限)は暗黙的に有効になります。 (バグID 16569387)

  • btrfsがコピーオンライトであるということは、ファイル・システム上のすべての操作で、最初にディスク・スペースが必要になるということです。 スペースが残っていないディスクでは、すべての操作を実行できず、ファイルの削除もできない場合があります。 回避策として、操作を再試行する前にfsyncを実行します。 これでもうまくいかない場合は、-o nodatacowオプションを指定してファイル・システムを再マウントし、ファイルを削除してスペースを解放してください。 https://btrfs.wiki.kernel.org/index.php/ENOSPCを参照してください。

  • Btrfsのシードデバイス機能は、btrfs device addコマンド実行時にカーネル・パニックの発生する原因となります。 現在のところ、この問題に対する有効な回避策はありません。 (バグID 17334251)

PVM/PVHVMゲストでのCPUマイクロコード更新の失敗

UEK R2でOracle Linuxを実行すると、dmesgまたは/var/log/messagesで次のようなエラー・メッセージが表示される場合があります。

microcode: CPU0 update to revision 0x6b failed.

この警告は無視してかまいません。 仮想CPUのマイクロコードをゲストに提示されるとおりに更新する必要はありません。 (バグID 12576264、13782843)

DHCPリースがブート時に取得されない

ブート時のDHCPリース・ネゴシエーションが5秒よりも長くかかる場合は、次のメッセージが表示されます。

ethX: failed. No link present. Check cable?

ethtool ethXコマンドでインタフェースが存在することが確認されたら、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethXを編集して、LINKDELAY=N(Nは5秒より長い値(30秒など))を設定します。 別の方法として、NetworkManagerを使用してインタフェースを構成します。 (バグID 16620177)

ファームウェアの警告メッセージ

一部のSunハードウェアで表示される可能性がある次のファームウェアの警告メッセージは無視してかまいません。

[Firmware Warn]: GHES: Poll interval is 0 for generic hardware error source:
1, disabled.

(バグID 13696512)

I/Oスケジューラ

Unbreakable Enterprise Kernelでは、デフォルトのI/Oスケジューラとしてdeadlineスケジューラを使用します。 Red Hat互換カーネルの場合、デフォルトのI/Oスケジューラはcfqスケジューラです。

スイッチ・ポートを無効にした際のInfiniBandの警告メッセージ

ibportstate disableコマンドを使用してスイッチ・ポートを無効にすると、次の警告メッセージが表示される場合があります。

ibwarn: [2696] _do_madrpc: recv failed: Connection timed out
ibwarn: [2696] mad_rpc: _do_madrpc failed; dport (Lid 38)
ibportstate: iberror: failed: smp set portinfo failed

これらの警告は無視してもかまいません。 (バグID 16248314)

libfprint

dmesgまたは/var/log/messagesで次のメッセージが表示される場合があります。

WARNING! power/level is deprecated; use power/control instead.

UEK R2のUSBサブシステムでは、power/control属性を優先し、power/level sysfs属性は非推奨です。 libfprintフィンガープリント・ライブラリでは、最初に古い属性の使用を試みるudevルールによりこの警告がトリガーされます。 この警告は無視しても問題ありません。 適切なパワー・レベルの設定はそのまま継承されます。 (バグID 13523418)

Nouveauカーネル・ドライバはNVIDIAグラフィック・ドライバと互換性がない

UEK R2へのアップグレード後、NVIDIAドライバ・アップグレード・スクリプトはNouveauカーネル・ドライバを正しくブラックリストに載せません。 このドライバをブラックリストに載せるには、/boot/grub/grub.confのカーネル起動パラメータにrdblacklist=nouveau nouveau.modeset=0を追加します。

NUMA以外のシステム上のNUMA警告メッセージ

dmesgおよび/var/log messagesに次の警告メッセージがNUMA以外のシステムで表示された場合は無視してかまいません。

kernel: NUMA: Warning: node ids are out of bound, from=-1 to=-1 distance=10
hcid[4293]: Register path:/org/bluez fallback:1
kernel: No NUMA configuration found

(バグID 13711370)

pcspkrドライバのエラー・メッセージ

次のエラー・メッセージは無視してかまいません。

Error: Driver 'pcspkr' is already registered, aborting...

このメッセージは、snd-pcsppcspkrの間の別名の競合により表示されます。 このメッセージが表示されないようにするには、次の行を/etc/modprobe.d/blacklist.confに追加します。

blacklist snd-pcsp

(バグID 10355937)

CFSのsched_yield()設定

Unbreakable Enterprise Kernelの場合、kernel.sched_compat_yield=1がデフォルトで設定されています。 Red Hat互換カーネルの場合、デフォルトではkernel.sched_compat_yield=0が使用されます。

起動時のソフト・ロックアップ・エラー

高速ハードウェア上でUEK R2カーネルを(通常はSANストレージをアタッチして)アップグレードまたはインストールしている場合、カーネルが起動に失敗してBUG: soft lockupメッセージがコンソール・ログに表示されることがあります。 これを回避するには、ボー・レートの値をデフォルトの9600から増やすように/boot/grub/grub.confのカーネル起動行を修正して、適切なコンソール設定が含まれるようにします。例:

console=ttyS0,115200n8

115200の値は、19200など、一部のシステムでは不十分な値(たとえば、https://docs.oracle.com/cd/E19045-01/blade.x6220/820-0048-18/sp.html#0_pgfId-1002490)であることがわかっているため推奨されます。 ホストに統合システム管理インフラストラクチャ(SunおよびOracleシステム上のILOMや、HPシステム上のiLOなど)が実装されている場合は、統合コンソールのボー・レートをホスト・システムの設定に合うように構成してください。 そうしないと、統合コンソールの表示が文字化けする可能性があります。 (バグID 17252160)

メモリーが大きい32ビット・システムのサポート

Oracle Linux 5より前のリリースのOracle Linuxには、システムが32ビット・モードで最大64GBのメモリーをアドレス指定できるhugememカーネルが提供されていました。 hugememカーネルはOracle Linux 5以降のリリースでは利用できません。

Unbreakable Enterprise Kernel (UEK)は、ベア・メタルおよびハードウェア仮想化マシン(HVM)システム上の32ビット・カーネルで最大16GBのメモリー、完全な準仮想化マシン(PVM)システムで8GBをサポートします。32ビットPVMゲスト・オペレーティング・システムはホスト上の物理メモリーの最初の128GBに存在する必要があります。

Red Hat Compatible Kernel (RHCK)には、PVMシステムが最大16GBのメモリーを持てることを除いて、同じ制限があります。 UEKのPVMに対する8GBの制限は、信頼性の理由で選択されました。

32ビット・システムでは、PAE (物理アドレス拡張)メモリー機能を使用して4GBを超える物理メモリーを各プロセスに使用可能な32ビット・アドレス空間にマップします。 64ビット・システムでは、メモリー抽象化の追加のレイヤーを必要とせずに4GBを超えるメモリーをアドレス指定できます。

x86_64のOracle Linuxには32ビット・ライブラリが含まれ、64ビットと32ビットの両方のLinuxが同じシステム上で実行するためのアプリケーションを構築できます。 この機能によって、32ビット・アプリケーションを実行する能力を保持しながら、事実上無制限のメモリー・サイズへのスケーラビリティが提供されます。 4GBを超えるメモリーのシステムには、この構成をお薦めします。 (バグID 16974301)

udev

起動時に、次のようなメッセージがdmesgまたは/var/log/messagesに記録される場合があります。

udevd (pid): /proc/pid/oom_adj is deprecated, please use /proc/pid/oom_score_adj instead.

udevプロセスでは、システムのメモリーが不足する場合に強制終了されることがないように、非推奨のoom_adjカーネル・インタフェースを使用します。 その場合でも、アクションは成功するため、このメッセージは無視しても問題ありません。 メッセージが表示されないようにするには、Oracle Linux 6の場合はパッケージudev-147-2.42.el6.arch.rpm以上、Oracle Linux 5の場合はudev-095-14.29.0.1.el5.arch.rpm以上をインストールします。 (バグID 13655071および13712009)

仮想化

  • PVHVMゲストとしてUEK R2を起動する際、次のカーネル・メッセージは無視しても問題ありません。

    register_vcpu_info failed:
              err=-38

    (バグID 13713774)

  • Oracle VM Server 3.1.1で、UEK R2四半期更新4カーネルを実行しているPVHVMを移行すると、datehwclockで表示される日時が一致しなくなります。 移行後の回避策としては、hwclock --hctosysコマンドをゲスト上で実行するか、ゲストをリブートします。 (バグID 16861041)