第2章 修正済および既知の問題
この章では、Unbreakable Enterprise Kernelリリース3の修正済および既知の問題について説明します。
yum updateコマンドを定期的に実行して、最新のバグ修正およびセキュリティ更新がシステムに確実にインストールされるようにしてください。
2.1 修正済の問題
次の問題は、この更新で修正されています。
Mellanoxドライバ(mlx4_en)。 Mellanox
mlx4_en
ドライバがデータ・リンクを自動認識できず、自動的にロードされない原因となったバグは、修正されました。 (バグID 20103438)
2.2 既知の問題
この項では、この更新の既知の問題について説明します。
kernel-uekパッケージを更新できない場合にOracle Linuxの更新が失敗する
デフォルトで、Oracle Linuxのインストールには、UEK R3のdtrace-modules
パッケージが含まれています。 このパッケージでは、特定のkernel-uek
バージョンが必要です。 ただし、dtrace-modules
パッケージが既存のkernel-uek
パッケージを削除できないため、3つの更新のinstallonly_limit
に達したとき、kernel-uek
パッケージを更新できない場合、yum updateは失敗します。yumは、次の例のようなエラー・メッセージを表示します。
--> Finished Dependency Resolution Error: Package: kernel-uek-debug-3.8.13-55.1.1.el6uek.x86_64 (public_ol6_UEKR3_latest) Requires: kernel-firmware = 3.8.13-55.1.1.el6uek
回避策として、たとえば次のように、kernel-uek
パッケージの更新前に、既存のdtrace-modules
パッケージを削除します。
# for package in `rpm -qa | grep dtrace-modules`; do yum remove -y $package; done
すべてのdtrace-modules
パッケージを削除すると、UEK R3カーネルを含むOracle Linuxを更新できます。 UEK R3でDTraceを使用する場合、現在のカーネルのdtrace-modules
パッケージを再インストールします。
# yum install dtrace-modules-`uname -r`
(バグID 21669543)
ACPI
次のメッセージは、acpi-cpufreq
モジュールで必要とされる適切なインタフェース(_PSS
、_PPC
など)がBIOSで提供されていないことを示します。
kernel: powernow-k8: this CPU is not supported anymore, using acpi-cpufreq instead. modprobe: FATAL: Error inserting acpi_cpufreq
このエラーに有効な回避策はありません。 (バグID 17034535)
btrfs
--alloc-startオプションをmkfs.btrfsで使用して、ファイル・システムの開始のオフセットを指定すると、ファイル・システムのサイズが小さくなる必要がありますが、そのようにはなりません。 また、デバイス・サイズよりも大きなオフセットを指定することも可能です。 (バグID 16946255)
mkfs.btrfsの使用方法に、
raid5
およびraid6
がデータとメタデータの両方に可能なプロファイルとして表示されます。 しかし、これらの機能はカーネルでサポートされておらず、それらを使用するファイル・システムはマウントできません。 (バグID 16946303)btrfs filesystem balanceコマンドでは、特定の状況でRAIDレベルの変更が可能であることが警告されず、操作を取り消す選択肢が表示されません。 (バグID 16472824)
既存のext2、ext3またはext4ルート・ファイル・システムをbtrfsに変換すると、ファイルの拡張属性の一部として格納されている関連のセキュリティ・コンテキストが引き継がれません。 SELinuxを有効にして強制モードに設定すると、再起動後に多数の権限拒否エラーが発生し、システムが起動できなくなる場合があります。 この問題を回避するには、自動ファイル・システムの名前変更が起動時に実行されるようにします。 自動名前変更をトリガーするには、最初の変換後のシステム再起動の前に、ファイル・システムの
root
ディレクトリに.autorelabel
という名前の空のファイルを(たとえば、touchを使用して)作成します。 このファイルの存在が、SELinuxにファイル・システム上のすべてのファイルに対するセキュリティ属性の再作成を指示します。 これを実行せずに再起動に失敗した場合、カーネル起動パラメータにselinux=0
を追加して一時的にSELinuxを完全に無効にするか、enforcing=0
を追加してSELinuxポリシーの実行を無効にします。 (バグID 13806043)duなどのコマンドで、遅延割当てでのバイト数が変化しているときに、btrfsファイル・システムのファイル・サイズに整合性のない結果が表示される場合があります。 (バグID 13096268)
btrfsがコピーオンライトであるということは、ファイル・システム上のすべての操作で、最初にディスク・スペースが必要になるということです。 スペースが残っていないディスクでは、すべての操作を実行できず、ファイルの削除もできない場合があります。 回避策として、操作を再試行する前にsyncを実行します。 これでもうまくいかない場合は、-o nodatacowオプションを指定してファイル・システムを再マウントし、ファイルを削除してスペースを解放してください。 https://btrfs.wiki.kernel.org/index.php/ENOSPCを参照してください。
Oracle Linux 6の場合、btrfsには、1つのディレクトリから1つのファイルへのハード・リンクの数が237以下であるという制限があります。 正確な制限はファイル名の文字数によって異なります。 ファイル名が最大8文字までのファイルに対する制限は237ですが、ファイル名が長くなると制限数はさらに小さくなります。 この数を超えるリンクを作成しようとすると、「
Too many links
」のエラーが発生します。 別のディレクトリからは、同じファイルへのハード・リンクをさらに作成できます。 1つのディレクトリ内のハード・リンク数の制限は65535に増加されましたが、btrfs-progs
パッケージで提供されるmkfs.btrfsのバージョンでは、この機能の互換性フラグがまだサポートされていません。 Oracle Linux 7には、より新しいバージョンのbtrfs-progs
パッケージが含まれているので、ハード・リンクの数をそれよりも増やすことができます。 (バグID 16285431)btrfs quota enableコマンドを、空ではないファイル・システムで実行すると、既存のファイルがスペース使用に対してカウントされません。 これらのファイルを削除すると、使用レポートにマイナスの数字が表示される場合があり、ファイル・システムにアクセスできなくなります。 回避策として、ファイル・システムの作成直後にquotaを有効にします。 ファイル・システムにすでにデータを書き込んだ場合は、もうquotaを有効にできません。 (バグID 16569350)
btrfs quota rescanコマンドは現在Oracle Linux 6に実装されていません。 このコマンドは再スキャンを実行せず、メッセージも表示せずに戻ります。 (バグID 16569350)
ファイル内のデータを上書きするときに、ファイルの途中から始めると、btrfs qgroup showによって表示されるスペース使用回数では、この上書きされたスペースが2回カウントされます。 (バグID 16609467)
ファイル・システムでbtrfsck --init-csum-treeを実行した後、同じファイル・システムで単純なbtrfsckを実行すると、このコマンドによって、以前は表示されなかったBackref不一致エラーが表示されます。 (バグID 16972799)
-sオプションを使用して、セクター・サイズをページ・サイズとは異なるmkfs.btrfsに指定した場合、作成されるファイル・システムはマウントできません。 デフォルトでは、セクター・サイズは、ページ・サイズと同じになるように設定されます。 (バグID 17087232)
断片化解消によりデータ・ブロックの共有が解除される場合があります。 btrfsのコピーオンライト設計により、スナップショットは最初に元のサブボリュームの同じデータ・ブロックを共有します。 ただし、スナップショットまたはサブボリュームの断片化が解消されると、この共有は解除され、ディスク領域使用量が増加する可能性があります。
dm-nfsモジュールの廃止
UEK R2では、dm-nfs
モジュールにより、マウントされたNFSファイルまたはファイル・システムのループバック・デバイスを作成できました。 たとえば、この機能を使用すると、NFSファイル・システム上にOracle 3 VMクラスタ用の共有ストレージを作成できました。 dm-nfs
モジュールは、サーバーへの直接I/Oを提供し、loop
ドライバを介さないことにより、追加レベルのページ・キャッシングを回避しました。 UEK R3では、dm-nfs
モジュールが提供されません。 現在、loop
ドライバでは、直接I/Oを実行するようにAIOインタフェースを拡張することで、dm-nfs
と同じI/O機能を利用できます。 ループバック・デバイスを作成するには、dmsetupではなくlosetupコマンドを使用してください。
DTrace
プローブ定義の引数の宣言は、
enum
、struct
、union
などの派生型を使用して宣言できません。次のコンパイラの警告は、
string
型のプローブ定義の引数では無視できます(D型ですがC型ではありません)。provider_def
.h:line#
: warning: parameter names (without types) in function declarationdlopen()
を最初のスレッド以外のスレッドで実行するustack()
、usym()
、uaddr()
およびumod()
下のマルチスレッド・プロセスは、dlopen()
で使用するシンボルに対して厳密なシンボル解決を実行しません。
ERSTメッセージ
syslog
またはdmesg
に表示される可能性がある次のメッセージは無視しても差し支えありません。
ERST: Failed to get Error Log Address Range.
このメッセージは、システムBIOSでError Record Serialization Table (ERST)がサポートされていないことを示します。 (バグID 17034576)
Ext4
小さいファイルのデータをそのinode内に格納できるようにするインライン・データ機能はまだ利用できません。
mkfs.ext4コマンドおよびtune2fsコマンドの-O inline_dataオプションはサポートされていません。 (バグID 17210654)bigalloc機能が有効化されているext4ファイル・システムへの書込みにfallocateを使用すると、これによりカーネル・パニックが発生します。 (バグID 20712768)
ファームウェアの警告メッセージ
一部のSunハードウェアで表示される可能性がある次のファームウェアの警告メッセージは無視してかまいません。
[Firmware Warn]: GHES: Poll interval is 0 for generic hardware error source: 1, disabled.
(バグID 13696512)
ヒュージ・ページ
現在、1GBのヒュージ・ページは次の構成でサポートされていません。
HVMゲスト
PVゲスト
Oracle Database
2MBのヒュージ・ページは、これらの構成で動作することが確認されています。
(バグID 17299364、17299871、17271305)
Hyper-V
次に示す既知の問題は、Hyper-V上で動作しているOracle Linux仮想マシンに影響します。
仮想マシンのスナップショットを取得した後で、「保存」アクションを使用して仮想マシンの状態を保存すると、「元に戻す」アクションでは仮想マシンをスナップショットに戻せない可能性があります。 回避策として、仮想マシンの「スナップショット」領域に表示されている最新のスナップショットをクリックしてから、「適用」を選択します。 (バグID 20110077)
レガシー・ネットワーク・モードを使用しているOracle Linux 7仮想マシンでは、複数の仮想CPUが構成されるとネットワーク接続が失われます。 回避策として、Oracle Linux 7仮想マシンには仮想CPUを1つのみ構成するようにします。 (バグID 20110058)
Windows Server 2012R2上で動作しているOracle Linux 6仮想マシンでは、システムの停止または再起動時に不完全なメッセージが表示されます。 (バグID 20090500)
Windows Server 2012R2上のOracle Linux 6仮想マシンでLinux Integration Services (LIS)の
CORE_StressReloadModules.sh
スクリプトを実行すると、カーネル・パニックが発生します。 (バグID 21191022)
I/Oスケジューラ
Unbreakable Enterprise Kernelでは、デフォルトのI/Oスケジューラとしてdeadline
スケジューラを使用します。 Red Hat互換カーネルの場合、デフォルトのI/Oスケジューラはcfq
スケジューラです。
ioapic障害メッセージ
ioapic: probe of 0000:00:05.4 failed with error -22
などのメッセージは無視しても差し支えありません。 ブート時にすでに登録されたI/O APIC PCIデバイスをioapic
ドライバが再度登録しようとした結果、このようなメッセージが表示されます。 (バグID 17034993)
InfiniBand
ibportstate disableコマンドを使用してスイッチ・ポートを無効にすると、次の警告メッセージが表示される場合があります。
ibwarn: [2696] _do_madrpc: recv failed: Connection timed out ibwarn: [2696] mad_rpc: _do_madrpc failed; dport (Lid 38) ibportstate: iberror: failed: smp set portinfo failed
これらの警告は無視してもかまいません。 (バグID 16248314)
Internet Protocol over InfiniBand (IPoIB)ドライバは、接続モードまたはデータグラム・モードのインタフェースでの使用をサポートします。データグラム・モードがデフォルト・モードになります。
connected
またはdatagram
を/sys/class/net/ib
に反映させてInfiniBandインタフェースのモードを変更する方法はサポートされていません。 また、InfiniBandインタフェースが有効化されている場合は、InfiniBandインタフェースのモードを変更できません。N
/modeInfiniBandインタフェースのIPoIBモードを変更するには:
/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ib
構成ファイルを編集します。N
N
はインタフェースの番号です。接続モードを有効にするには、このファイルに
CONNECTED_MODE=yes
を指定します。データグラム・モードを指定するには、このファイルに
CONNECTED_MODE=no
を指定するか、この設定を指定しないようにします(データグラム・モードはデフォルトで有効になります)。
注意変更を保存する前に、このファイルに
CONNECTED_MODE
の設定が複数指定されていないことを確認してください。インタフェースで指定モードを有効にするには、次のコマンドを使用して、インタフェースを無効にして再度有効にします。
#
ifdown ib
#N
ifup ib
N
(バグID 17479833)
Linuxコンテナ(LXC)
init
スクリプトを使用するコンテナ内部のパッケージをyumを使用して更新すると、Oracleテンプレートによる変更を元に戻すことができます。稼働中のコンテナ(lxc-checkpoint)の移行はまだサポートされていません。
コンテナの起動時に
Device or resource busy - failed to set memory.use_hierarchy to 1
エラー・メッセージが表示される場合は、/etc/cgconfig.conf
ファイルを編集して、次を追加します。group . { memory { memory.use_hierarchy = "1"; } }
(バグID 19237222)
PCIeカーネル・パラメータのマニュアルがない
kernel-uek-doc
パッケージのkernel-parameters.txt
ファイルには、一部のPCIeカーネル・パラメータに関する次のマニュアルが含まれていません。
- pcie_bus_tune_off
PCIe MPS (最大ペイロード・サイズ)のチューニングを無効化して、BIOSで構成されたMPSのデフォルト値を使用します。
- pcie_bus_safe
すべてのデバイスのMPSを、ルート・コンプレックスの下にあるすべてのデバイスでサポートされている最大値に設定します。
- pcie_bus_perf
デバイスのMPSを、その親のバスを基準とする最大許容MPSに設定します。 また、最適なパフォーマンスを実現するには、MRRS (最大読取り要求サイズ)を、サポートされている最大値(デバイスまたはバスがサポート可能なMPS以内)に設定します。
- pcie_bus_peer2peer
すべてのデバイスのMPSを128Bに設定し、すべてのデバイスのサポートを保証します。 この構成を使用すると、パフォーマンスが低下する可能性はありますが、どのデバイスのペア間でもピアツーピアDMAが可能です。 また、ホット・アッドにより追加されたデバイスが機能することも保証されます。
RDMAがmlx4_ibモジュールをロードしない
OFEDスタックおよびRDMAサービスを有効にしても、RDMAパッケージのバージョンがrdma-3.10-3.0.2.el6
よりも低い場合、RDMAサービスではmlx4_ib
モジュールを自動的にロードしません。
起動時にmlx4_ib
モジュールをロードするようにRDMAサービスを構成するには:
/etc/rdma/rdma.conf
を編集し、このファイルにMLX4_LOAD=yes
エントリを設定します。変更を有効にするため、RDMAサービスを再起動するか、システムを再起動します。
CFSのsched_yield()設定
Unbreakable Enterprise Kernelの場合、kernel.sched_compat_yield=1
がデフォルトで設定されています。 Red Hat互換カーネルの場合、デフォルトではkernel.sched_compat_yield=0
が使用されます。
複数のデバイス使用時のパフォーマンスの低下
UEK R2以降、デバイス・マッパーは、配下のストレージ・デバイスのキャッシュにあるデータを不揮発性ストレージにフラッシュする必要性がアドバタイズされているかをチェックできるようになりました。 fsync
やsync
などのデータ整合性操作では、デバイスのキャッシュをフラッシュする時間を含める必要があります(アドバタイズされた場合)。 これらの操作は、以前のカーネルと比べると低速に感じられますが、正しい動作です。 (バグID 17823743)
起動時のソフト・ロックアップ・エラー
高速ハードウェア上でUEK R3カーネルを(通常はSANストレージをアタッチして)アップグレードまたはインストールしている場合、カーネルが起動に失敗してBUG: soft lockup
メッセージがコンソール・ログに表示されることがあります。 これを回避するには、ボー・レートの値をデフォルトの9600から増やすように/boot/grub/grub.conf
のカーネル起動行を修正して、適切なコンソール設定が含まれるようにします。例:
console=ttyS0,115200n8
115200の値は、19200など、一部のシステムでは不十分な値(たとえば、https://docs.oracle.com/cd/E19045-01/blade.x6220/820-0048-18/sp.html#0_pgfId-1002490)であることがわかっているため推奨されます。 ホストに統合システム管理インフラストラクチャ(SunおよびOracleシステム上のILOMや、HPシステム上のiLOなど)が実装されている場合は、統合コンソールのボー・レートをホスト・システムの設定に合うように構成してください。 そうしないと、統合コンソールの表示が文字化けする可能性があります。 (バグID 17064059、17252160)
透過的なヒュージ・ページ
透過的なヒュージ・ページ(THP)機能は無効です。 オラクル社では、広範なベンチマーキングとテストの後、THPが原因で一部のワークロードではパフォーマンスが5~10%低下することが判明しました。 このパフォーマンス低下は、アプリケーションでTHPを使用していないときでも、より低速のメモリー・アロケータのコード・パスが使用された結果です。 ヒュージ・ページがスワップ不可能であることを考慮した場合、THPがもたらすプラス効果よりもマイナス効果が上回ります。
このUEKリリースをインストールした後は、(たとえば、カーネルのブート・パラメータを指定して)THPを有効にすることはできません。 また、/sys/kernel/mm/transparent_hugepage
でのTHP設定も削除されました。 今後の更新には、パフォーマンスの問題を解決する、更新版のTHP実装が含まれる可能性があります。
この変更は、明示的なヒュージ・ページを使用するアプリケーション(Oracle Databaseなど)のサポートに影響しません。
(バグID 16823432)
ユーザー・ネームスペース
権限のないプロセスで、内部でroot権限を持つユーザーのネームスペースを作成できるようにするカーネル機能(CONFIG_USER_NS
)は、XFS実装とのクラッシュが原因で、現在実装されていません。 この機能は、主にLinuxコンテナでの使用を目的としています。 その結果、lxc-checkconfigコマンドを使用すると、User namespace: missing
が表示されます。 (バグID 16656850)
仮想化
PVHVMゲストとしてUEK R3を起動する際、次のカーネル・メッセージは無視しても問題ありません。
register_vcpu_info failed: err=-38
(バグID 13713774)
Oracle VM Server 3.1.1で、UEK R3カーネルを実行しているPVHVMゲストを移行すると、dateとhwclockで表示される日時が一致しなくなります。 これが発生しないようにするには、Oracle VM Server 3.2.1以上にアップグレードしてください。 移行後の回避策としては、hwclock --hctosysコマンドをゲスト上で実行するか、ゲストをリブートします。 (バグID 16861041)
Oracle VM 2のすべてのリリース(2.2.2および2.2.3を含む)など、Xenバージョン3上に構築される仮想化システムでは、ext3およびext4ファイル・システムに対するディスク同期の要求により、ジャーナルが破損し、次のようなカーネル・メッセージがログに記録されます。
blkfront: barrier: empty write xvda op failed blkfront: xvda: barrier or flush: disabled
さらに、次のようなジャーナルの機能停止も報告される場合があります。
Aborting journal on device xvda1
回避策として、UEK R3にアップグレードする前に、ゲストVM内のすべてのext3およびext4ファイル・システムにマウント・オプションbarrier=0を追加します。 たとえば、次のようにマウント・エントリを変更します。
UUID=4e4287b1-87dc-47a8-b69a-075c7579eaf1 / ext3 defaults 1 1
変更後:
UUID=4e4287b1-87dc-47a8-b69a-075c7579eaf1 / ext3 defaults,barrier=0 1 1
この問題は、Oracle VM 3などのXen 4ベースのシステムには当てはまりません。 (バグID 17310816)
Xenでは、Kdump構成用の
crashkernel=auto
パラメータをサポートしていません。 (バグID 18174580)PVHVMゲストにISOイメージをマウントしたり変更したりすると、Oracle VMコンソールに例外メッセージが表示されます。 ISOイメージ自体は正常にマウントされ、アクセスできます。 (バグID 19972081)
xm vcpu-setコマンドを使用して、実行中のOracle Linux 7ゲストの仮想CPU数を増やすこと(ホット・プラグ)はできません。 仮想CPU数を減らすことは可能です。 (バグID 18865156)
Oracle VM Server上の任意のネットワーク・インタフェース・カードで超特大フレームを使用するには、
/boot/grub/grub.conf
のカーネル起動行のswiotlb=256
を設定することによって、swiotlb
カーネル・パラメータを256に増やす必要があります。 (バグID 20333068)
モジュール検証用のX.509証明書
ブート時にカーネル内X.509モジュール検証証明書の読込みで問題が発生した場合、システムで次のようなメッセージが報告されます。
Loading module verification certificates X.509: Cert 0c21da3d73dcdbaffc799e3d26f3c846a3afdc43 is not yet valid MODSIGN: Problem loading in-kernel X.509 certificate (-129)
このエラーは、たとえばhwclockによって示されるように、ハードウェア・クロックがシステム時間より遅れていることが原因で発生します。
# hwclock
Tue 20 Aug 2013 01:41:40 PM EDT -0.767004 seconds
解決策としては、次のコマンドを実行して、システム時間からハードウェア・クロックを設定します。
# hwclock --systohc
ハードウェア・クロックの修正後は、たとえば次のように、ブート時にエラーが表示されなくなります。
Loading module verification certificates MODSIGN: Loaded cert 'Slarti: Josteldalsbreen signing key: 0c21da3d73dcdbaffc799e3d26f3c846a3afdc43'
(バグID 17346862)
XFS
Oracle Linux 6システムの状況によっては、バックアップ対象のファイル・システムがマウント・ポイントとして指定されている場合、次のようにxfsdumpが失敗することがあります。
xfsdump: ERROR: /mnt/myxfs/ does not identify a file system
回避するには、ファイル・システムをデバイス名(
/dev/sdb
など)で指定します。 (バグID 18483275)仮想マシンでは、
fallocate
およびpunch_hole
によって並列に断片化されているファイルに対して集中型の直接I/Oを実行すると、状況によってはデータが破損してInvalid or incomplete multibyte or wide character
エラーが表示されることがあります。 (バグID 18711409)xfs_growfsコマンドの使用時に、次のメッセージが表示される場合があります。
xfs_growfs: cannot find mount point for path `
mount_point
': Successこのメッセージは、XFSのプロジェクト割当ての初期化ファイル(
/etc/projects
)にマウント済プロジェクトの不正なパスがリストされていると表示されます。 プロジェクト割当てを使用している場合は、/etc/projects
ファイルを削除してください。 (バグID 18886520)Oracle Linux 6の場合、XFSファイル・システムは、そのすべてのinodeが使用されると、破損する可能性があります。 (バグID 19217280)
Oracle Linux 7の場合、デバイス・セクターのサイズが512バイトを超えると、xfs_copyではファイル・システムをコピーできません。 (バグID 19267663)
短いレポート間隔(-t)を使用してファイル・システムを修復しようとすると、xsf_repairによってセグメンテーション・エラーが発生します。 (バグID 20015850)
-i maxpctオプションを使用してXFSファイル・システムを作成しても、実際にはinodeに割り当てられる領域が制限されません。 (バグID 20430515)
-n ftype=1オプションを使用して作成されたXFSファイル・システムをマウントすると、マウント・エラーが発生し、ファイル・システムをマウントできません。 ftypeオプションは、UEK R3ではサポートされていません。 (バグID 20511541)
Oracle Linux 7更新4以降は、XFSを使用して
d_type
が有効になっている状態でフォーマットされたファイルシステムのUEK R3と互換性がありませんOracle Linux 7更新4以降のOracle Linux 7インストーラを使用して作成されたすべての
xfs
ファイルシステムでは、自動的にd_type
サポートが有効になります。 これらのファイルシステムは、ftype=1
オプションでフォーマットされます。 UEK R3カーネルはこのオプションと互換性がないため、Oracle Linux 7更新4以降のバージョンのインストーラでインストールされたシステムでは起動しません。 この問題は、UEK R3カーネルがftype=1
を指定して作成されたxfs
ファイルシステムをマウントできないため、デフォルトのファイルシステムのフォーマットが選択されている場合に発生します。Oracle Linux 7形式のディスクの以前の更新では
ftype=0
オプションが使用されていたため、アップグレードには影響しません。 ただし、Oracle Linux 7更新4以降でUEK R3を使用する場合は、XFSでディスクをフォーマットするときにftype=0
オプションを設定する必要があることに注意してください。kickstartインストールの実行時にシステムでUEK R3を使用する場合は、フォーマットに別のファイル・システム・オプションを手動で指定できます。 UEK R3で引き続きXFSを使用する場合は、kickstart構成で明示的にフォーマット・オプションを
ftype=0
に設定する必要があります。 (バグID 26176688)
net_prio
コントロール・グループはOracle Linux 7に対してサポートされていません
ネットワーク優先度cgroupサブシステム(net_prio
)は、Oracle Linux 7ではサポートされていません。 UEK R3でモジュールを使用しようとすると、次のようなエラー・メッセージが表示されます。
modprobe: FATAL: Module netprio_cgroup not found mount: special device cgroup does not exist.
(バグID 18966564)
NetworkManager
は、Oracle Linux 7 Update 4以降のDHCPで構成されているインタフェースのデフォルトのゲートウェイおよびルートの設定に失敗
Oracle Linux 7更新4以降でUEK R3を実行している場合、NetworkManager
はDHCPで構成されたネットワーク・インタフェースのデフォルト・ゲートウェイとルートを構成できません。 この結果、ネットワーク・インタフェースが正常に動作しない場合があります。
この問題を解決するには、DHCP用に構成されているインタフェースに対してNetworkManager
による制御を無効にします。
インタフェースに対してNetworkManager
を無効化するには、次の例に示したように、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-
でインタフェースのネットワーク・スクリプトを編集し、パラメータdev
NM_CONTROLLED=no
を追加します。
# echo "NM_CONTROLLED=no" >> /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eno4
(バグID 26268996)
NetworkManager
Oracle Linux 7更新4以降のインタフェースにIPv6アドレスを追加することはできません
Oracle Linux 7更新4以降のリリースでUEK R3を実行する場合、IPv6に対して構成されているネットワーク・インタフェースはNetworkManager
によって起動されないことがあります。
次のようなメッセージがシステム・ログに表示されます:
<warn> platform-linux: do-add-ip6-address[2: fe80::210:e0ff:fe5f:920c]: failure 22 (Invalid argument) <warn> platform-linux: do-add-ip6-address[5: fd00:1:1:24::456]: failure 22 (Invalid argument)
ip addr addコマンドを使用して、IPv6アドレスをインタフェースに手動で追加することは可能です。
この問題は、IPv6が静的に構成されているか、DHCPによって動的に割り当てられているか、またはステートレス・アドレス自動構成(SLAAC)を使用して構成されているかにかかわらず、明らかです。
この問題を回避するには、インタフェース用にIPv6を構成する必要があるインタフェースに対して、NetworkManager
を無効にします。 インタフェースに対してNetworkManager
を無効化するには、次の例に示したように、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-
でインタフェースのネットワーク・スクリプトを編集し、パラメータdev
NM_CONTROLLED=no
を追加します。
# echo "NM_CONTROLLED=no" >> /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eno4
(バグID 24848072)