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Oracle® TimesTen In-Memory Database PL/SQL開発者ガイド
リリース18.1
E98629-04
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7 TimesTenが提供するPL/SQLパッケージ

TimesTenは、データベース機能を拡張したり、SQL機能にアクセスするPL/SQLを利用するためのパブリックPL/SQLパッケージ(下のリストを参照)を提供しています。TimesTenは、これらのパッケージをユーザーが使用できるよう自動的にインストールします。PL/SQL言語自体の一部であるパッケージまたはTimesTenやOracle Database内部でのみ使用されるパッケージは示しておらず、この章では説明していません。

この章は、各パッケージを構成しているサブプログラムをリストとして表示し、簡単に説明しています。これらのPL/SQLパッケージの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database PL/SQLパッケージ・リファレンス』を参照してください。

DBMS_LOB

TimesTen Classicで、DBMS_LOBパッケージは、一時LOBを含む、BLOB、CLOB、およびNCLOBを操作するためのサブプログラムを提供します。


ノート:

  • TimesTenは、特にBFILE、SecureFile(Database File System機能など)を対象としたDBMS_LOBサブプログラム、またはLOB内のデータ・フラグメントの挿入や削除をサポートしていません。

  • DBMS_LOBプロシージャおよびファンクションは、TimesTenを使用してアクセスされ、TimesTen LOBとして公開されるOracle DatabaseのLOBである、TimesTen LOBおよびパススルーLOBの両方でサポートされています。ただし、CREATETEMPORARYを使用できるのは、TimesTenの一時LOBを作成する場合のみであることに注意してください。SQLなどの他の方法を使用して一時パススルーLOBを作成する場合、ISTEMPORARYおよびFREETEMPORARYをそのLOBに使用できます。

    TimesTenローカルLOBと同様、パススルーLOBのロケータは、トランザクションが終了すると無効になります。

    COPYは、あるTimesTen LOBから別のTimesTen LOBにコピーできるだけでなく、TimesTen LOBからパススルーLOBにコピーしたり、パススルーLOBからTimesTen LOBにコピーしたり、またはあるパススルーLOBから別のパススルーLOBにコピーすることもできます。パススルーLOBがTimesTen LOBのサイズ制限より大きい場合に、パススルーLOBをTimesTen LOBにコピーしようとすると、エラーが発生します。(LOBのコピーの例については、『Oracle TimesTen In-Memory Database PL/SQLパッケージ・リファレンス』のCOPYプロシージャに関する説明を参照してください。)

    関連情報は、「パススルーLOB」を参照してください。


表7-1に、サポートされているDBMS_LOBのサブプログラムを示します。

表7-1 DBMS_LOBのサブプログラム

サブプログラム 説明

APPENDプロシージャ

ソースLOBの内容を宛先LOBに追加します。

CLOSEプロシージャ

オープンされているLOBをクローズします。

COMPAREファンクション

2つのLOB全体、または2つのLOBの一部を比較します。

CONVERTTOBLOBプロシージャ

ソースCLOBまたはNCLOBインスタンスから、文字データを読み取り、指定した文字セットに変換して、変換したデータをバイナリ形式で宛先BLOBインスタンスに書き込み、新しいオフセットを戻します。

CONVERTTOCLOBプロシージャ

ソースBLOBインスタンスを取得し、指定した文字セットを使用して、ソース・インスタンスのバイナリ・データを文字データに変換し、文字データを宛先CLOBまたはNCLOBインスタンスに書き込み、新しいオフセットを戻します。

COPYプロシージャ

ソースLOBの内容を宛先LOBにコピーします。

CREATETEMPORARYプロシージャ

一時データ領域に一時LOBを作成します。Oracle Databaseでサポートされている期間のいずれか(SESSIONTRANSACTIONCALL)が許可されます。ただし、TimesTenではトランザクションの終了時にLOBの継続時間は終了します。

ERASEプロシージャ

すべてまたは一部のLOBを削除します。

FREETEMPORARYプロシージャ

一時データ領域の一時LOBを解放します。

GET_STORAGE_LIMITファンクション

指定したLOBのLOB型の記憶域制限を戻します。

GETCHUNKSIZEファンクション

これは、TimesTenでは、互換性のために値32KBを戻すだけです。パフォーマンスをチューニングする際にこの値を使用しないでください。

GETLENGTHファンクション

BLOBはバイト単位で、CLOBまたはNCLOBは文字単位で、LOB値の長さを戻します。

INSTRファンクション

LOBにあるパターンのn番目の一致のマッチング位置を戻します。

ISOPENファンクション

LOBが入力ロケータを使用して、すでにオープンされたかどうかをチェックします。

ISTEMPORARYファンクション

ロケータが一時LOBを指しているかどうかを確認します。

OPENプロシージャ

指定のモード(読取り/書込みまたは読取り専用)でLOB(永続または一時)を開きます。

ノート: LOBをオープンすることは、ファイルを開くことと概念的に似ていますが、技術的には同じではありません。LOBをオープンすることは、必要なリソースに関するヒントのようなものです。

READプロシージャ

指定されたオフセットからLOBのデータを読み取ります。

SUBSTRファンクション

指定されたオフセットからLOB値の一部を戻します。

TRIMプロシージャ

指定された長さまでLOB値を切り捨てます。

WRITEプロシージャ

指定されたオフセットからLOBにデータを書き込みます。

WRITEAPPENDプロシージャ

LOBの終わり以降にバッファを書き込みます。


DBMS_LOCK

DBMS_LOCKパッケージでは、ロック管理サービスへのインタフェースを提供します。TimesTenの現在のリリースでは、スリープ機能のみがサポートされています。

表7-2に、サポートされているDBMS_LOCKのサブプログラムを示します。

表7-2 DBMS_LOCKのサブプログラム

サブプログラム 説明

SLEEPプロシージャ

このプロシージャは、指定した期間、セッションを一時停止します。時間を秒単位で指定します。サポートされている最小の増分は、100分の1秒です。次に例を示します。

DBMS_LOCK.SLEEP(1.95);

ノート:

  • システムのアクティビティによっては、実際のスリープ時間が指定した時間より多少長くなる場合があります。

  • PLSQL_TIMEOUTがこのスリープ時間より短い正の値に設定されている場合は、タイムアウトが先に発生します。スリープ時間をタイムアウト値より短くするか、またはPLSQL_TIMEOUT=0(タイムアウトなし)にする必要があります。PLSQL_TIMEOUTの詳細は、「PL/SQL接続属性」を参照してください。


DBMS_OUTPUT

DBMS_OUTPUTパッケージを使用すると、ストアド・プロシージャおよびパッケージからメッセージを送信できます。このパッケージは、PL/SQLのデバッグ情報を表示する場合に役立ちます。

表7-3に、DBMS_OUTPUTのサブプログラムを示します。

表7-3 DBMS_OUTPUTのサブプログラム

サブプログラム 説明

DISABLEプロシージャ

メッセージ出力を無効にします。

ENABLEプロシージャ

メッセージ出力を有効にします。

GET_LINEプロシージャ

バッファから1行を取得します。

GET_LINESプロシージャ

バッファから行の配列を取得します。

NEW_LINEプロシージャ

PUTで作成された行を終了します。

PUTプロシージャ

行をバッファに格納します。

PUT_LINEプロシージャ

行の一部をバッファに格納します。


DBMS_PREPROCESSOR

DBMS_PREPROCESSORパッケージでは、条件付きコンパイル・ディレクティブの処理後にPL/SQLユニットのソース・テキストを出力または取得するためのインタフェースを提供します。

表7-4に、DBMS_PREPROCESSORのサブプログラムを示します。

表7-4 DBMS_PREPROCESSORのサブプログラム

サブプログラム 説明

GET_POST_PROCESSED_SOURCEファンクション

後処理されたソース・テキストを戻します。

PRINT_POST_PROCESSED_SOURCEプロシージャ

後処理されたソース・テキストを出力します。


DBMS_RANDOM

DBMS_RANDOMパッケージは、組込み式の乱数ジェネレータを提供します。

表7-5に、DBMS_RANDOMのサブプログラムを示します。

表7-5 DBMS_RANDOMのサブプログラム

サブプログラム 説明

INITIALIZEプロシージャ

パッケージをシード値で初期化します(非推奨)。

NORMALファンクション

正規分布の乱数を戻します。

RANDOMプロシージャ

乱数を生成します(非推奨)。

SEEDプロシージャ

シードをリセットします。

STRINGファンクション

ランダム文字列を取得します。

TERMINATEプロシージャ

パッケージを終了します(非推奨)。

VALUEファンクション

2つのオーバーロード・バージョンがあります。1つ目のバージョンでは、0以上1未満で、小数点以下が38桁(精度38桁)の乱数を取得します。2つ目のバージョンでは、指定された下限および上限内の乱数を取得します。


DBMS_SQL

DBMS_SQLパッケージは、動的SQLを使用して次のいずれかを実行する場合のインタフェースを提供します。

  • データ操作言語(DML)およびデータ定義言語(DDL)文を実行します。

  • 無名PL/SQLブロックを実行します。

  • PL/SQLストアド・プロシージャおよびファンクションをコールします。

このパッケージは、事前定義されたデータ型、およびUROWID、タイムゾーン機能、ADT、データベースレベルのコレクション、エディションのオーバーロードなどの、TimesTenでサポートされていないデータ型によるオーバーロードをサポートしていません。TimesTen PL/SQLでサポートされるデータ型の詳細は、「データ型の理解」を参照してください。

表7-6に、DBMS_SQLのサブプログラムを示します。

表7-6 DBMS_SQLのサブプログラム

サブプログラム 説明

BIND_ARRAYプロシージャ

指定された値を指定されたコレクションにバインドします。

BIND_VARIABLEプロシージャ

指定された値を指定された変数にバインドします。

CLOSE_CURSORプロシージャ

指定されたカーソルをクローズしてメモリーを解放します。

COLUMN_VALUEプロシージャ

カーソル内の指定された位置のカーソル要素の値を戻します。

COLUMN_VALUE_LONGプロシージャ

DEFINE_COLUMN_LONGで定義したLONG列の選択された部分を戻します。

重要: TimesTenではLONGデータ・タイプはサポートされていないため、TimesTenでこのプロシージャを使用しようとすると、実行時にORA-01018エラーが発生します。

DEFINE_ARRAYプロシージャ

指定されたカーソルから選択するコレクションを定義します。SELECT文とともに使用します。

DEFINE_COLUMNプロシージャ

指定されたカーソルから選択する列を定義します。SELECT文とともに使用します。

DEFINE_COLUMN_LONGプロシージャ

指定したカーソルから選択するLONG列を定義します。SELECT文とともに使用します。

重要: TimesTenではLONGデータ・タイプはサポートされていないため、TimesTenでCOLUMN_VALUE_LONGプロシージャを使用しようとすると、実行時にORA-01018エラーが発生します。DEFINE_COLUMN_LONGは、COLUMN_VALUE_LONGと一緒に使用されます。

DESCRIBE_COLUMNSプロシージャ

DBMS_SQLパッケージでオープンして解析したカーソルの列を示します。

DESCRIBE_COLUMNS2プロシージャ

指定された列を示します。DESCRIBE_COLUMNSプロシージャのかわりとして使用します。

DESCRIBE_COLUMNS3プロシージャ

指定された列を示します。DESCRIBE_COLUMNSプロシージャのかわりとして使用します。

EXECUTEファンクション

指定されたカーソルを実行します。

EXECUTE_AND_FETCHファンクション

指定されたカーソルを実行して行をフェッチします。

FETCH_ROWSファンクション

指定されたカーソルから行をフェッチします。

IS_OPENファンクション

指定されたカーソルがオープンしている場合は、TRUEを戻します。

LAST_ERROR_POSITIONファンクション

エラーが発生したSQL文テキスト内のバイト・オフセットを戻します。

LAST_ROW_COUNTファンクション

フェッチされた行の累積数を戻します。

LAST_ROW_IDファンクション

NULLを戻します。TimesTenでは、DML文によって最後に処理された行のROWIDはサポートされていません。

LAST_SQL_FUNCTION_CODEファンクション

文のSQL機能コードを戻します。

OPEN_CURSORファンクション

新しいカーソルのカーソルID番号を戻します。

PARSEプロシージャ

指定された文を解析します。

TO_CURSOR_NUMBERファンクション

OPENによってオープンされた強い型指定のREF CURSOR、または弱い型指定のREF CURSORを取得し、DBMS_SQLカーソル番号に変換します。

TO_REFCURSORファンクション

OPENPARSEおよびEXECUTEによってオープン、解析および実行されたカーソルを取得し、PL/SQLのネイティブ動的SQLで使用したり、ネイティブ動的SQLを使用するよう切り替えることができる、PL/SQLで管理可能なREF CURSOR(弱い型指定のカーソル)に変換または移行します。

VARIABLE_VALUEプロシージャ

指定されたカーソルの名前付き変数の値を戻します。


DBMS_UTILITY

DBMS_UTILITYパッケージには、様々なユーティリティ・サブプログラムが含まれています。

TimesTenでサポートされていない機能に関連するサブプログラムは、サポートされていません(ここにも記載されていません)。

表7-7に、DBMS_UTILITYのサブプログラムを示します。

表7-7 DBMS_UTILITYのサブプログラム

サブプログラム 説明

CANONICALIZEプロシージャ

指定された文字列を正規化します。

COMMA_TO_TABLEプロシージャ

名前のカンマ区切りリストを名前の連想配列(索引付き表)に変換します。

COMPILE_SCHEMA

指定したデータベーススキーマ内にあるすべてのプロシージャ、ファンクション、パッケージおよびビューをコンパイルします。

DB_VERSIONプロシージャ

データベースに関するバージョン情報を戻します。

TimesTenではシステム・パラメータCOMPATIBLEはサポートされていないため、互換性設定についてはNULLが戻されます。

FORMAT_CALL_STACKファンクション

現在のコール・スタックをフォーマットします。

FORMAT_ERROR_BACKTRACEファンクション

現在のエラーのポイントからエラーが捕捉された例外ハンドラまでのバックトレースをフォーマットします。

FORMAT_ERROR_STACKファンクション

現在のエラー・スタックをフォーマットします。

GET_CPU_TIMEファンクション

現在のCPUタイムを100分の1秒単位で戻します。

GET_DEPENDENCYプロシージャ

渡されたオブジェクトへの依存を表示します。

GET_ENDIANNESSファンクション

データベース・プラットフォームのエンディアンネスを戻します。

GET_HASH_VALUEファンクション

指定された文字列のハッシュ値を計算します。

GET_SQL_HASHファンクション

MD5アルゴリズムを使用して、指定された文字列のハッシュ値を計算します。

GET_TIMEファンクション

現在の時間を100分の1秒単位で戻します。

INVALIDATEプロシージャ

データベース・オブジェクトを無効にし、オプションでオブジェクトのPL/SQLコンパイラのパラメータ設定を変更します。

IS_BIT_SETファンクション

RAW値の指定されたビットの設定を確認します。

NAME_RESOLVEプロシージャ

次のフォームの指定された名前を解決します。

[[a.]b.]c[@dblink]

abおよびcはSQL識別子、dblinkはdblink(データベース・リンク)です。

@dblinkは使用しないでください。TimesTenでは、データベース・リンクはサポートされていません。

NAME_TOKENIZEプロシージャ

パーサーをコールして、次のフォームの指定された名前を解析します。

"a [.b [.c ]][@dblink]"

二重引用符を削除するか、または引用符がない場合は、大文字に変換します。コメントを無視し、セマンティック分析は実行しません。不明な値はNULLになります。

@dblinkは使用しないでください。TimesTenでは、データベース・リンクはサポートされていません。

TABLE_TO_COMMAプロシージャ

名前の連想配列(索引付き表)を名前のカンマ区切りリストに変換します。

VALIDATEプロシージャ

所有者、名前およびネームスペースまたはオブジェクトIDで示されたオブジェクトを有効にします。


TT_DB_VERSION

TT_DB_VERSIONパッケージには、現在のTimesTenリリースを示すブール定数が含まれています。

表7-8に、TT_DB_VERSIONの定数を示します。

TT_DB_VERSIONおよびUTL_IDENTパッケージは、主に条件付きコンパイルに使用されます。

表7-8 TT_DB_VERSIONの定数

名前 説明

VER_LE_1121

このパッケージがTimesTenリリース11.2.1以前に付属している場合、ブールはTRUEです。TimesTen 11g リリース2 (11.2.2)以降の場合はFALSEです。

VER_LE_1122

このパッケージがTimesTen 11gリリース2 (11.2.2)以前に付属している場合、ブールはTRUEです。TimesTenリリース18.1の場合はFALSEです。

VER_LE_181

このパッケージがTimesTenリリース18.1以前に付属している場合、ブールはTRUEです。


TT_DB_VERSIONおよびUTL_IDENTを使用する例については、『Oracle TimesTen In-Memory Database PL/SQLパッケージ・リファレンス』の例に関する説明を参照してください。

TT_STATS

TT_STATSパッケージには、TimesTenシステム・メトリックのスナップショットを取得レベルに応じて収集および比較する機能が備えられています。各スナップショットは、TimesTenで基本的なメトリックまたは一般的なメトリックとみなされるもの、あるいは使用可能なすべてのメトリックで構成されます。

生成されるレポートは、Oracle Databaseのパフォーマンス分析ツールに例えた場合、Oracle Automatic Workload Repository (AWR)レポートに類似しています。

表7-9 TT_STATSサブプログラム

サブプログラム 説明

CAPTURE_SNAPSHOTプロシージャおよびファンクション

TimesTenメトリックのスナップショットを取得します。また、ファンクションはスナップショットIDも戻します。

DROP_SNAPSHOTS_RANGEファンクション

特定の範囲のスナップショットIDまたはタイムスタンプに従ってスナップショットを削除します。

GENERATE_REPORT_HTMLプロシージャ

特定の2つのスナップショットのデータに基づいて、レポートをHTML形式で生成します。

GENERATE_REPORT_TEXTプロシージャ

特定の2つのスナップショットのデータに基づいて、レポートをプレーン・テキスト形式で生成します。

GET_CONFIGファンクション

特定のTT_STATS構成パラメータの値またはすべての構成パラメータの値を取得します。

SET_CONFIG プロシージャ

特定のTT_STATS構成パラメータに特定の値を設定します。

SHOW_SNAPSHOTSファンクション

データベースに現在格納されているすべてのスナップショットのスナップショットIDおよびタイムスタンプを表示します。


UTL_FILE

UTL_FILEパッケージを使用すると、PL/SQLプログラムでオペレーティング・システムのテキスト・ファイルの読取りと書込みが可能になります。

現在のリリースでは、このパッケージは事前に定義された一時ディレクトリのアクセスにのみ制限されます。詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリリース・ノート』を参照してください。


ノート:

デフォルトでは、ユーザーにはUTL_FILEに対する実行権限はありません。TimesTenでUTL_FILEを使用するには、次の例に示すとおり、ADMINユーザーまたはインスタンス管理者が、明示的にEXECUTEを実行して権限を付与する必要があります。
GRANT EXECUTE ON SYS.UTL_FILE TO scott;

表7-10に、UTL_FILEのサブプログラムを示します。

表7-10 UTL_FILEのサブプログラム

サブプログラム 説明

FCLOSEプロシージャ

ファイルをクローズします。

FCLOSE_ALLプロシージャ

すべてのファイル・ハンドルをクローズします。

FCOPYプロシージャ

ファイルの連続する部分を新しく作成されたファイルにコピーします。

FFLUSHプロシージャ

保留中のすべての出力を物理的にファイルに書き込みます。

FGETATTRプロシージャ

ファイルの属性を読み取って返します。

FGETPOSプロシージャ

ファイル内の現在の相対オフセット位置をバイト単位で戻します。

FOPENファンクション

入力または出力に使用するファイルをオープンします。

FOPEN_NCHARファンクション

入力または出力に使用するファイルをUnicodeでオープンします。

FREMOVEプロシージャ

十分な権限がある場合、ファイルを削除します。

FRENAMEプロシージャ

既存のファイルの名前を新しい名前に変更します(UNIXのmvコマンドと同様)。

FSEEKプロシージャ

ファイル・ポインタを指定されたバイト数だけファイル内で前後に調整します。

GET_LINEプロシージャ

オープン・ファイルからテキストを読み取ります。

GET_LINE_NCHARプロシージャ

オープン・ファイルからテキストをUnicodeで読み取ります。

GET_RAWファンクション

RAW文字列値をファイルから読み込み、読み込んだバイトの数だけ、ファイルのポインタを前方に調整します。

IS_OPENファンクション

ファイル・ハンドルがオープン・ファイルを参照しているかどうかを判断します。

NEW_LINEプロシージャ

1つ以上のオペレーティング・システム固有の行終了記号をファイルに書き込みます。

PUTプロシージャ

文字列をファイルに書き込みます。

PUT_LINEプロシージャ

ファイルに1行書き込み、オペレーティング・システム固有の行終了記号を1つ追加します。

PUT_LINE_NCHARプロシージャ

Unicode行をファイルに書き込みます。

PUT_NCHARプロシージャ

Unicode文字列をファイルに書き込みます。

PUT_RAWファンクション

RAWデータ値を入力として受け入れ、出力バッファに書き込みます。

PUTFプロシージャ

これはPUTプロシージャと同様ですが、書式付きです。

PUTF_NCHARプロシージャ

これはPUT_NCHARプロシージャと同様ですが、書式付きです。Unicode文字列を書式付きでファイルに書き込みます。


UTL_IDENT

UTL_IDENTパッケージは、PL/SQLを実行しているのがTimesTen、Oracle Databaseクライアント、Oracle DatabaseサーバーまたはOracle Formsであるかを示します。これらにはそれぞれ、定数に適切な設定を持つUTL_IDENTのバージョンがあります。

表7-11に、TimesTenのUTL_IDENT設定を示します。

UTL_IDENTパッケージは、次のように、主に条件付きコンパイルに使用されます。

$if utl_ident.is_oracle_server $then
    [...Run code supported for Oracle Database...]
$elsif utl_ident.is_timesten $then
    [...code supported for TimesTen Database...]
$end

表7-11 UTL_IDENTの定数

名前 説明

IS_ORACLE_CLIENT

BOOLEANFALSEに設定されています。

IS_ORACLE_SERVER

BOOLEANFALSEに設定されています。

IS_ORACLE_FORMS

BOOLEANFALSEに設定されています。

IS_TIMESTEN

BOOLEANTRUEに設定されています。


TT_DB_VERSIONおよびUTL_IDENTを使用する例については、『Oracle TimesTen In-Memory Database PL/SQLパッケージ・リファレンス』の例に関する説明を参照してください。

UTL_RAW

UTL_RAWパッケージは、RAWデータ・タイプを操作するためのSQLファンクションを提供します。

表7-12に、UTL_RAWのサブプログラムを示します。

表7-12 UTL_RAWのサブプログラム

サブプログラム 説明

BIT_ANDファンクション

2つのRAW値でビット単位の論理演算"AND"を実行し、結果のRAWを戻します。

BIT_COMPLEMENTファンクション

1つのRAW値でビット単位の論理演算"COMPLEMENT"を実行して、結果のRAWを戻します。

BIT_ORファンクション

2つのRAW値でビット単位の論理演算"OR"を実行し、結果のRAWを戻します。

BIT_XORファンクション

2つのRAW値でビット単位の論理演算"EXCLUSIVE OR"を実行し、結果のRAWを戻します。

CAST_FROM_BINARY_DOUBLEファンクション

BINARY_DOUBLE値のRAWバイナリ表現を戻します。

CAST_FROM_BINARY_FLOATファンクション

BINARY_FLOAT値のRAWバイナリ表現を戻します。

CAST_FROM_BINARY_INTEGERファンクション

BINARY_INTEGER値のRAWバイナリ表現を戻します。

CAST_FROM_NUMBERファンクション

NUMBER値のRAWバイナリ表現を戻します。

CAST_TO_BINARY_DOUBLEファンクション

BINARY_DOUBLE値のRAWバイナリ表現をBINARY_DOUBLEに変換します。

CAST_TO_BINARY_FLOATファンクション

BINARY_FLOAT値のRAWバイナリ表現をBINARY_FLOATに変換します。

CAST_TO_BINARY_INTEGERファンクション

BINARY_INTEGER値のRAWバイナリ表現をBINARY_INTEGERに変換します。

CAST_TO_NUMBERファンクション

NUMBER値のRAWバイナリ表現をNUMBERに変換します。

CAST_TO_NVARCHAR2ファンクション

nデータ・バイトで表現されたRAW値をnデータ・バイトのNVARCHAR2値にキャストします。

CAST_TO_RAWファンクション

nデータ・バイトで表現されたVARCHAR2値をnデータ・バイトのRAW値にキャストします。

CAST_TO_VARCHAR2ファンクション

nデータ・バイトで表現されたRAW値をnデータ・バイトのVARCHAR2値にキャストします。

COMPAREファンクション

2つのRAW値を比較します。

CONCATファンクション

最大12個のRAW値を単一のRAW値に連結します。

CONVERTファンクション

RAW値をある文字セットから別の文字セットに変換して、結果のRAWを戻します。

COPIESファンクション

RAW値を指定回数コピーして、連結されたRAW値を戻します。

LENGTHファンクション

RAW値の長さをバイトで戻します。

OVERLAYファンクション

ターゲットRAW値の指定部分をオーバーレイRAW値でオーバーレイします(指定したバイト位置から開始され、指定したバイト数だけ進められます)。

REVERSEファンクション

RAW値内のバイトの順序を逆にします。

SUBSTRファンクション

指定された開始位置から指定されたバイト数だけ、RAW値のサブストリングを戻します。

TRANSLATEファンクション

指定された変換RAW値のバイトに従って、入力RAW値内の指定されたバイトを変換します。

TRANSLITERATEファンクション

指定された文字変換RAW値のバイトに従って、入力RAW値内の指定されたバイトを変換します。

XRANGEファンクション

指定されたバイト・コードで開始および終了する連続する1バイト・エンコーディングを含むRAW値を戻します。


UTL_RECOMP

UTL_RECOMPパッケージを使用すると、無効なPL/SQLモジュールを再コンパイルできます。このパッケージは、特に、通常ではすべてのPL/SQLオブジェクトが無効になるメジャー・バージョン・アップグレードの後に役立ちます。

表7-13に、UTL_RECOMPのサブプログラムを示します。


重要:

このパッケージを使用するには、インスタンス管理者である必要があり、SYS.UTL_RECOMPを指定する必要があります。

表7-13 UTL_RECOMPのサブプログラム

名前 説明

RECOMP_PARALLELプロシージャ

指定されたスキーマ内の無効なオブジェクトまたはデータベース内のすべての無効なオブジェクトをパラレルに再コンパイルします。

ノート: TimesTenではDBMS_SCHEDULERがサポートされていないため、パラレルに実行される再コンパイル・スレッドの数は、ユーザーの指定にかかわらず常に1です。したがって、TimesTenではRECOMP_PARALLELRECOMP_SERIALの違いは事実上ありません。

RECOMP_SERIALプロシージャ

指定されたスキーマ内の無効なオブジェクト、またはデータベース内のすべての無効なオブジェクトをシリアルに再コンパイルします。