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Oracle® Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド
13c リリース3
E98542-01
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17 Hybrid Cloud Managementの有効化

Oracle Hybrid Cloudでは、Enterprise Manager Cloud Controlコンソールを使用してオンプレミスとOracle Cloudの両方のデプロイメントが管理できます。Oracle Hybrid Cloudにより、オンプレミスのEnterprise Managerの管理者は、Oracle Database、Engineered Systems、Oracle Applications、Oracle Middleware、各種サード・パーティ・システムのモニター、プロビジョニングおよびメンテナンスに使用するのと同じOracle Enterprise Managerツールを使用して、クラウド・サービスをモニターおよび管理できます。

この章の項目は次のとおりです。

17.1 Oracle Hybrid Cloudとは

ITインフラストラクチャは、オンプレミスとクラウドベースのターゲットが混在して構成されている場合があります。たとえば、様々なオンプレミス・ソフトウェアとともに管理するOracle Database Cloud ServiceおよびJava Cloud Serviceのインスタンスがある場合があります。ITアセットがどこに存在しても、Enterprise Managerを使用するとこのHybrid Cloud環境を一元的に管理できます。

Hybrid Cloud環境を管理するためのEnterprise Managerの構成には、クラウド・サービスがEnterprise Managerと通信できるようにするHybrid Cloud環境全体への管理エージェントのデプロイが含まれます。Oracle Cloudサービスを実行しているOracle Public Cloud仮想ホストにエージェントをデプロイすることによって、Enterprise Manager Cloud Controlコンソールから他のモニター対象ターゲットを管理するのと同様に、これらのサービスを管理できるようになります。

Oracle Hybrid Cloudを使用すると次の4つのサービス・タイプをモニターできます。

  • データベース・クラウド

  • Java Cloud

  • Compute Cloud

  • Cloud Machine

クラウド・サービスとOMSの間の通信は、外部の干渉を受けません。次の図に示すように、オンプレミスOMSは、HTTPS、SQL*NetおよびSSHによるJMX (VPNが使用できない場合)を介して、クラウド・サービスを実行しているVM上にインストールされたエージェントと通信します。

Hybrid Cloudアーキテクチャの概略図

Oracle Hybrid Cloudモニタリングの設定方法

Oracle Hybrid Cloud環境の設定は複雑ではありません。次の表に簡単な操作方法の参照を示します。

手順 必要な作業:

1. エージェントを実行しているオンプレミス・ホストがOracle Cloud VMと通信できることを確認します。

この手順は重要です。オンプレミスのエージェントとOracle Cloudの間のオープンされた通信チャネルがない場合は、後続のすべてのタスクが失敗します。

OMSとOracle Cloudの間にネットワーク接続があることを確認します。SSHは、GatewayがインストールされているホストとOracle Cloud内のVMの間で機能する必要があります。

Oracle Hybrid Cloudの前提条件の詳細は、Hybrid Cloud Managementの前提条件および基本設定Gatewayとして管理エージェントを構成するための前提条件およびOracle Cloud VMにエージェントをインストールするための前提条件を参照してください。

クラウド・サービスでのモニターがサポートされていることを確認します。Oracle Hybrid Cloudでは、次のサービスがサポートされています。

2.GatewayとしてEnterprise Manager Agentを構成します。

Gatewayとしての管理エージェントの構成を参照してください。

重要: 管理エージェントをGatewayエージェントとしてデプロイする前に、環境の要件が満たされていることを確認してください。詳細は、Gatewayとして管理エージェントを構成するための前提条件を参照してください。

3.(オプション)外部プロキシを設定します。 Oracle CloudとGatewayの間の外部プロキシを構成して、セキュリティを強化します。Gatewayを有効化してOracle Cloudと通信するための外部プロキシの構成を参照してください。

4.Oracle Cloudサービスを実行しているVMにエージェントをデプロイします。

Oracle Cloud VMへのエージェントのインストールを参照してください。

重要: エージェントをインストールする前に、リソースおよびネットワークの要件が満たされていることを確認してください。詳細は、Oracle Cloud VMにエージェントをインストールするための前提条件を参照してください。

17.2 3つの手順でのHybrid Cloud Managementの設定

Oracle Hybrid Cloudとはに表示されているHybrid Cloud Managementの設定フローを理解したので、Hybrid Cloud Managementの設定が単純であることがわかりました。Oracle Cloudを管理およびモニターするためのオンプレミスのEnterprise Managerシステムの設定は、3つの手順で簡単に行うことができます。

手順1 オンプレミスのエージェントがSSHを介してOracle Cloudと通信できることを確認します。

オンプレミス側から: エージェント(12cリリース12.1.0.5または13c)を実行しているオンプレミス・ホストが、モニターするOracle Cloud VMにSSHを介して接続できることを確認します。

Oracle Cloud側から:

  • Oracle Cloud VMのデフォルト・ポートが1748に設定されているか、範囲1830から1848の1つのポートが空いていることを確認します。

  • Oracle Cloud VMにEnterprise Managerエージェントをインストールするユーザーが、root.shスクリプトを実行するためのSUDO権限を持っていることを確認します。

手順2: Gatewayとして機能するようにオンプレミスのエージェントを構成します。

EM CLIのregister_hybridgateway_agent動詞を使用して、エージェントをGatewayとして指定します。

emcli register_hybridgateway_agent -hybridgateway_agent_list=“<On-premises target name for the Agent chosen in Step 1>”
     -named_credential="named_credential" 
     -named_credential_owner="named_credential_owner"
     -cloud_hostname="cloud_hostname"

手順3: オンプレミスGatewayと通信するために、エージェントをOracle Cloud VMにデプロイします。

エージェントのデプロイメント・プロセスを開始する前に、次の情報があることを確認します。
  • Oracle Cloud VMのIPアドレス。

  • Enterprise Managerの名前付き資格証明としてマップされたSSH公開鍵。

    Enterprise Managerコンソール(「設定」「セキュリティ」「名前付き資格証明」)またはEM CLIのcreate_named_credential動詞を使用して、名前付き資格証明を作成できます。

  • 手順2で構成したGatewayの詳細。

Enterprise Managerコンソールからエージェント・プッシュ機能を使用するか、次に示すようにEM CLIのsubmit_add_host動詞を使用して、エージェントをCloud VMにデプロイできます。
emcli submit_add_host
   -host_names=<IP addresses of Oracle Cloud VM>
   -installation_base_directory=<Path for installing the Agent on the Oracle Cloud VM>
   -credential_name=<Enterprise Manager Credential for the SSH Key>
   -configure_hybrid_cloud_agent -hybrid_could_gateway_agent=<Target Name of the Gateway Agent>
   -hybrid_cloud_gateway_proxy_port=<Port on the Gateway host used for outbound SSH communication>

17.3 Hybrid Cloud Managementの前提条件および基本設定

Hybrid Cloud Managementの設定は、次の手順で構成されます。

  1. オンプレミスOMSがバージョン13cであり、少なくとも1つの13c管理エージェントがオンプレミス環境に存在することを確認します。

    オンプレミスOMSが古いバージョンの場合、OMSをバージョン13cにアップグレードしてください。この方法の詳細は、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlアップグレード・ガイドを参照してください。

    少なくとも1つの13c管理エージェントがオンプレミス環境に確実に存在するようにするには、新しい13c管理エージェントをデプロイするか、古いバージョンの既存の管理エージェントをバージョン13cにアップグレードします。

    バージョン13cの管理エージェントを新たにデプロイする方法の詳細は、Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイドを参照してください。旧バージョンの既存管理エージェントをバージョン13cにアップグレードする方法の詳細は、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlアップグレード・ガイドを参照してください。

    注意:

    最初に、以前のバージョンの管理エージェントを13cにアップグレードしてから、Gatewayとして機能するようにエージェントを構成することをお薦めします。このようにすると、スタック全体が13cに配置されます。ただし、以前のバージョンをアップグレードしない場合は、そのバージョンを引き続き使用し、Gatewayとして動作するように構成できます。ただし、この場合、以前のバージョン12cリリース5 (12.1.0.5)のみがサポートされます。12.1.0.5以前のすべてのエージェントは、12cリリース5 (12.1.0.5) または13cのいずれかにアップグレードする必要があります。

  2. 1つ以上の13c管理エージェントを、Gatewayとして機能するようにオンプレミス環境内に構成します。Gatewayによって、Oracle Cloud仮想ホストとオンプレミスOMSとの間のSSHベースの通信チャネルが提供されます。Hybrid Cloud Gatewayを有効にするための外部プロキシの構成の詳細は、Hybrid Cloud Gatewayエージェントを有効化してOracle Cloudと通信するための外部プロキシの構成を参照してください。

    高可用性を保証するため、Gatewayとして動作する13cの管理エージェントを複数構成することをお薦めします。

  3. オンプレミスOMSがGatewayを通じてOracle Cloudターゲットと通信できることを確認します。

    GatewayとOracle Cloudターゲットとの間で直接通信ができていない場合は、通信のための外部プロキシを構成します。その方法の詳細は、Gatewayを有効化してOracle Cloudと通信するための外部プロキシの構成を参照してください。

    オンプレミスOMSでは、Oracle Cloudターゲットとの通信にMy Oracle Support (MOS)プロキシがデフォルトで使用されます。デフォルトのプロキシのかわりに、エージェント・プロキシを構成することもできます。エンタープライズ内に構成されているプロキシがSSHトンネリングをサポートすることを確認するか、SSHトンネリングをサポートするMOSプロキシを新たに構成します。

  4. ホスト・ターゲットの追加ウィザードまたはEM CLIを使用して、管理エージェントをOracle Cloud仮想ホストにデプロイし、それらを「混合」モードで構成します。「混合」モードで構成された管理エージェントは、Enterprise ManagerでOracle Cloudターゲットを管理できるようにします。Hybrid Cloudエージェントのデプロイメント・プロセスの一環として、それぞれのHybrid Cloudエージェントを、オンプレミスのOMSとの通信に使用するGatewayと関連付けます。

17.3.1 Gatewayとして管理エージェントを構成するための前提条件

管理エージェントを構成してGatewayとして動作させる前に、次の前提条件が満たされていることを確認してください。

  • OMSとOracle Cloudの間にネットワーク接続があることを確認します。SSHは、GatewayがインストールされているホストとOracle Cloud内のVMの間で機能する必要があります。

  • CPU、RAMおよびハード・ディスク領域の要件を満たしていること。

    Hybrid Cloud Gatewayに必要なCPU、RAMおよびハード・ディスク領域の要件は、Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイドで説明されています。

    なお、Hybrid Cloud Gatewayと通常の管理エージェントのハードウェア要件は同じです。

  • (推奨) Hybrid Cloud Gatewayとして機能するための専用ホストに新しいエージェントをインストールする必要があります。これにより、Gatewayのパフォーマンスが高くなります。

    注意:

    セントラル・エージェントはHybrid Cloud Gatewayとして指定しないことをお薦めします。ターゲットが多数存在するエンタープライズでは、セントラル・エージェントを指定すると、OMSとリソース上の競合を起こす可能性があります。

一般に、管理エージェントのデプロイに必要な前提条件は、Gatewayにも適用されます。詳細は、Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイドを参照してください。

17.3.2 Gatewayとしての管理エージェントの構成

既存の13cの管理エージェントをGatewayとして構成するには、次の3つの手順を実行します。

注意:

既存の、以前のバージョンの管理エージェントを使用して、Gatewayとして動作するように構成できます。ただし、最初に、以前のバージョンの管理エージェントを13cにアップグレードしてから、Gatewayとして動作するように構成することをお薦めします。このようにすると、スタック全体が13cに配置されます。

  1. EM CLIにSYSMANユーザーとしてログインします。このとき、OMSホームにデフォルトで使用可能になっているEM CLIインストールからログインすることも、その他のホストに設定されているEM CLIインストールからログインすることもできます。
    $<emcli_install_location>/bin/emcli login -username=sysman
    

    EM CLIはデフォルトでオンプレミスOMSホストに設定されています(EM CLIのインストール場所はOMSホームです)。したがって、EM CLIをオンプレミスOMSホストから実行することにした場合、追加の手順は必要ありません。これが推奨オプションです。

    たとえば、OMSホームで使用可能になっているEM CLIインストールからログインする場合は、次のコマンドを実行します。

    /em13c/oraclehome/bin/emcli login -username=sysman

    オンプレミスOMSが実行されていないホスト上のカスタムな場所からEM CLIを実行することにした場合、まずそのホストでEM CLIを設定する必要があります。

  2. 選択した管理エージェントをHybrid Cloud Gatewayに指定します。そのためには、register_hybridgateway_agent EM CLI動詞をOMSホームから、またはEM CLIが設定されているその他のホストから実行します。この動詞は、コマンドラインまたはスクリプトから実行できます。

    この動詞では、管理エージェントのリストを取得し、各エージェントをhybridgatewayとマークします。

    コマンドライン・モード

        $<emcli_install_location>/bin/emcli register_hybridgateway_agent -hybridgateway_agent_list="<list_of_hybrid_cloud_gateway_agents>"
             [-named_credential="named_credential"]
             [-named_credential_owner="named_credential_owner"]
             [-cloud_hostname="cloud_hostname"]
             [-ignore_central_agent_check]
             [-ignore_network_check]
             [-ssh_port="ssh_port"]
             [-timeout="timeout"]

    スクリプト/インタラクティブ・モード

        $<emcli_install_location>/bin/emcli register_hybridgateway_agent(hybridgateway_agent_list="<list_of_hybrid_cloud_gateway_agents>"
             [,named_credential="named_credential"]
             [,named_credential_owner="named_credential_owner"]
             [,cloud_hostname="cloud_hostname"]
             [,ignore_central_agent_check=True/False]
             [,ignore_network_check=True/False]
             [,ssh_port="ssh_port"]
             [,timeout="timeout"]
             )

    register_hybridgateway_agent動詞の詳細は、Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース・ガイドを参照してください。

    オプション:
    • hybridgateway_agent_list

      Gatewayとして登録する必要がある管理エージェントのリスト。複数の管理エージェント(ホスト名とポートの組合せ)を指定できます。管理エージェントには完全修飾名を指定し、スペースを使用して管理エージェント名を区切ります。

      複数のGatewayはフェイルオーバーおよびロード・バランシングにのみ必要で、必須ではありません。複数のGatewayは初期のHybrid Cloud設定時に追加するか、後で追加できます。詳細は、高可用性のためのクラウドベースのエージェントの構成を参照してください。

    • named_credential

      クラウド・ホストへのSSH接続の作成に使用する名前付き資格証明。これは、ネットワーク・チェックに使用します。        

      * '-ignore_network_check'が存在する場合のみ、オプション。

    • named_credential_owner

      名前付き資格証明の所有者。

      * '-ignore_network_check'が存在する場合のみ、オプション。

    • cloud_hostname

      Hybridエージェントをインストールするクラウド・ホスト名。

      * '-ignore_network_check'が存在する場合のみ、オプション。

    • ignore_central_agent_check

      指定のエージェント・リストに対するセントラル・エージェント・チェックのスキップに使用するフラグ。OMSホストにGatewayとしてエージェントを登録しないことをお薦めします。ただし、そのチェックを無視するためにこのフラグを使用できます。

    • ignore_network_check

      指定のエージェント・リストに対するネットワーク・チェックのスキップに使用するフラグ。このフラグは、Gatewayからクラウド・ホストへのネットワーク接続が機能していることがわかっている場合のみ使用します。

    • ssh_port

      ネットワークのチェックに使用するSSHポートを指定します。デフォルトでは22が使用されます。

    • timeout

      ネットワーク・チェック・プロセスで接続を待機する時間(秒)を指定します。デフォルトでは5秒です。

    例1: 基本的なコマンドの使用

    標準モード
    emcli register_hybridgateway_agent -hybridgateway_agent_list="agent1:port agent2:port..." 
         -named_credential="named_credential" 
         -named_credential_owner="named_credential_owner"
             -cloud_hostname="cloud_hostname"
    インタラクティブまたはスクリプト・モード
    register_hybridgateway_agent(hybridgateway_agent_list="agent1:port agent2:port...",
                 named_credential="named_credential",
                 named_credential_owner="named_credential_owner",
                 cloud_hostname="cloud_hostname"           )
    
    例2: '-ignore_network_check'フラグが存在する場合、パラメータ'-named_credential'、'-named_credential_owner'および'-cloud_hostname'は不要です。
    標準モード
    emcli register_hybridgateway_agent -hybridgateway_agent_list="agent1:port agent2:port..." -ignore_network_check -ignore_central_agent_check
    インタラクティブまたはスクリプト・モード
    register_hybridgateway_agent(hybridgateway_agent_list="agent1:port agent2:port...",
                 ignore_network_check=True,
                 ignore_central_agent_check=True
               )

    例 3: '-ignore_central_agent_check'フラグが存在するのに、'-ignore_network_check'フラグが存在しない場合、パラメータ''-named_credential'、'-named_credential_owner'および'-cloud_hostname'は必要です。

    標準モード
    emcli register_hybridgateway_agent -hybridgateway_agent_list="agent1:port agent2:port..." -named_credential="named_credential" -named_credential_owner="named_credential_owner" -cloud_hostname="cloud_hostname" -ignore_central_agent_check
    インタラクティブまたはスクリプト・モード  
    register_hybridgateway_agent(hybridgateway_agent_list="agent1:port agent2:port...",
                 named_credential="named_credential",
                 named_credential_owner="named_credential_owner",
                 cloud_hostname="cloud_hostname",
                 ignore_central_agent_check=True
                )
  3. 管理エージェントがGatewayとして構成されていることを確認します。ホスト・ターゲットの追加ウィザードを使用したOracle Cloud VMへのエージェントのインストールの説明に従い、Oracle Cloud VMにエージェントをインストールしているときのみ、これを行うことができます。

17.3.3 Oracle Cloud VMにエージェントをインストールするための前提条件

Oracle Cloud VMにエージェントをデプロイする前に、次の前提条件が満たされていることを確認してください。

  • CPU、RAMおよびハード・ディスク領域の要件を満たしていること。

    Hybrid Cloudエージェントに必要なCPU、RAMおよびハード・ディスク領域の要件は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド』で説明されています。

  • 少なくとも1つの管理エージェントをGatewayとして動作するように構成してあること。Gatewayによって、Oracle Cloud VMとオンプレミスOMSとの間の通信チャネルが提供されます。

    バージョン13cの管理エージェントをGatewayとして機能するように構成する方法の詳細は、Gatewayとしての管理エージェントの構成を参照してください。

  • 接続先であるOracle Cloud仮想ホスト(エージェントをインストールしようとしている仮想ホスト)のポート22がオープンになっており、さらにSSHデーモン・プロセスが実行中であること。接続先である仮想ホストでSSHデーモン・プロセスが実行中であるかどうかを確認するためには、仮想ホストから次のコマンドを実行します。

    ps –ef | grep sshd
    

    注意:

    SSHデーモンが構成され、デフォルトのポート22以外で稼働している場合は、$MW_HOME/oui/prov/resources/Paths.propertiesファイルでSSHポート番号が更新されていることを確認します。たとえば、SSHデーモンがポート23で稼働している場合、Paths.propertiesファイルでパラメータSSH_PORTを更新し、デプロイを続行します。
  • 接続先であるOracle Cloud仮想ホストの各々で、ポート1748、または1830から1848までの範囲にある少なくとも1つのポートが空いていること。

    デフォルトでは、ポート1748がCloud ControlによってGatewayプロキシ・ポートとして使用されます。ポート1748が空いていない場合には、1830から1848までの範囲にある空きポートが使用されます。

  • Cloud VMにエージェントをインストールするユーザーがroot.shスクリプトを実行するためのroot権限を持っていること。このエージェントをインストールするユーザーがroot権限を持っていない場合は、デプロイ作業後、必ずすべての接続先仮想ホストでroot.shスクリプトを手動で実行してください。ディレクトリでの書込み権限があることを確認します。

  • オンプレミス管理エージェントをデプロイするために必要な前提条件として『Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド』で説明されている条件が満たされていること。

  • クラウドベースのエージェントがOracle Linux x86-64オペレーティング・システム上にのみデプロイされていること。これは、Oracle Linux x86-64オペレーティング・システムでのみサポートされています。

  • クラウドベースの仮想ホストにエージェントをインストールするには、仮想ホストのローカル・ファイル・システムにインストールすることをお薦めします。必要に応じて、外部ストレージ・デバイスを使用してマウントを作成し、そこにエージェントをインストールすることもできます。そうしないと、仮想ホストを停止、起動または再起動するたびに起動ボリュームに格納されているデータがすべて失われます。

  • 仮想マシン(VM)ネットワークまたはホスト構成設定のドメイン名を変更していないことを確認します。エージェントをOracle Public CloudでホストされたVMのみに使用する必要があります。したがって、VMドメイン名を変更して、Oracle Public Cloud以外でホストされたVMに反映すると、エージェントのデプロイメントは失敗します。

    これを検証するには、VMにログインしてhostname -dコマンドを実行し、出力にoracle.comoraclecloud.comまたはoraclecloud.internalのいずれかが含まれていることを確認します。その他のドメイン名が出力された場合は、リストから削除します。

    また、次のコマンドを実行して、出力にoracle.comまたはoraclecloud.internalのいずれかが含まれていることを確認します。その他のドメイン名が出力された場合は、それをリストから削除します。

    cat /etc/sysconfig/network

    cat /etc/resolv.conf

    cat /etc/hosts

17.3.4 Oracle Cloud VMへのエージェントのインストール

この項ではOracle Cloud VMにエージェントをインストールする次の方法について説明します。

注意:

エージェントはSSHブリッジを介してオンプレミスOMSに接続しているため、サイレント・エージェント・インストールなどの手動デプロイメントはクラウドベースのエージェントではサポートされていません。「ホスト・ターゲットの追加」ウィザードまたはEM CLI以外の方法でエージェントをデプロイすることはできません。

クラウドベースのエージェントはOracle Linux x86-64オペレーティング・システム上にのみデプロイできます。Gatewayとして構成されたエージェントは、すべてのオペレーティング・システムでサポートされます。

17.3.4.1 EM CLIを使用したOracle Cloud VMへのエージェントのインストール

EM CLIを使用してクラウドベースのエージェントをインストールするには、次の手順に従います。

  1. 次のEM CLIのインストールの場所にある/binディレクトリからEM CLIにログインします。
    $<emcli_install_location>/bin/emcli login -username=<user_name>
    

    このコマンドを実行すると、EM CLIによってパスワードが求められます。指定したユーザー名のパスワードを入力します。

    EM CLIはデフォルトでオンプレミスOMSホストに設定されています(EM CLIのインストール場所はOMSホームです)。したがって、EM CLIをオンプレミスOMSホストから実行することにした場合、追加の手順は必要ありません。これが推奨オプションです。

    オンプレミスOMSが実行されていないホスト上のカスタムな場所からEM CLIを実行することにした場合、まずそのホストでEM CLIを設定する必要があります。この方法の詳細は、Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース・ガイドを参照してください。

  2. list_add_host_platforms動詞を実行して、Hybrid Cloudエージェント・ソフトウェアを自己更新で使用可能なプラットフォームのリストを取得します。
    $<emcli_install_location>/bin/emcli list_add_host_platforms 
                          [-all] 
                          [-noheader] 
                          [-script | -format]
    

    [ ]内のパラメータはオプションであることに注意してください。

    たとえば、$<emcli_install_location>/bin/emcli list_add_host_platforms -allとなります

    特定のプラットフォーム用の管理エージェント・ソフトウェアが入手できない場合は、自己更新を使用してソフトウェアをダウンロードおよび適用してください。管理エージェントのダウンロードおよび適用方法の詳細は、『Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド』を参照してください。

    list_add_host_platforms動詞に関する構文や使用法の詳細を表示するには、次のコマンドを実行します。

    $<emcli_install_location>/bin/emcli help list_add_host_platforms
    
  3. エージェントを選択したOracle Public Cloud仮想ホストへ、各デプロイメント・フェーズで失敗したホストを無視して、1つのデプロイメント・フェーズから次へと連続してデプロイメントを実行するローリング方式でデプロイするときは、次を$OMS_HOME/sysman/prov/agentpush/agentpush.propertiesファイルへ指定します。

    oracle.sysman.prov.agentpush.continueIgnoringFailedHost=true

  4. submit_add_host動詞を実行して-configure_hybrid_cloud_agent、-hybrid_cloud_gateway_agentおよび-hybrid_cloud_gateway_proxy_portオプションを指定し、ホストの追加セッションの発行およびクラウドベースのエージェントのインストールを行います。
    $<emcli_install_location>/bin/emcli submit_add_host 
                          -host_names=<list_of_hosts>
                          -platform=<platform_ID>
                          -installation_base_directory=<install_directory_of_agent>
                          -credential_name=<named_credential_for_agent_install>
                          -configure_hybrid_cloud_agent
                          -hybrid_cloud_gateway_agent=<hybrid_cloud_gateway_agent_name>
                          [-hybrid_cloud_gateway_proxy_port=<hybrid_cloud_gateway_proxy_port>]
                          [-credential_owner=<named_credential_owner>]
                          [-instance_directory=<agent_instance_directory>] 
                          [-port=<agent_port>] 
                          [-session_name=<add_host_session_name>] 
                          [-deployment_type=<type_of_agent_deployment>] 
                          [-privilege_delegation_setting=<privilege_delegation>] 
                          [-additional_parameters=<additional_params_for_install>]
                          [-source_agent=<source_agent_for_cloned_agent_install>]
                          [-master_agent=<master_agent_for_shared_agent_install>] 
                          [-properties_file=<properties_file_having_inputs>] 
                          [-preinstallation_script=<pre_install_script>] 
                          [-preinstallation_script_on_oms] 
                          [-preinstallation_script_run_as_root] 
                          [-postinstallation_script=<post_install_script>] 
                          [-postinstallation_script_on_oms] 
                          [-postinstallation_script_run_as_root] 
                          [-wait_for_completion]
    

    [ ]内のパラメータはオプションであることに注意してください。

    たとえば、$<emcli_install_location>/bin/emcli submit_add_host -host_names=opc1.example.com -platform=226 -installation_base_directory=/opt/agent -credential_name=oracle -configure_hybrid_cloud_agent -hybrid_cloud_gateway_agent=abc.example.com -hybrid_cloud_gateway_proxy_port=1748となります

    この例では、エージェントを、Oracle Public Cloud仮想ホストopc1.example.comにプラットフォームID226で、ディレクトリ/opt/agent内に、名前付き資格証明oracleを使用してインストールします。デプロイされたエージェントは、abc.example.comをGatewayとして使用し、ポート1748を使用してGatewayプロキシと通信します。

    submit_add_host動詞に関する構文や使用法の詳細を表示するには、次のコマンドを実行します。

    $<emcli_install_location>/bin/emcli help submit_add_host

17.3.4.2 ホスト・ターゲットの追加ウィザードを使用したOracle Cloud VMへのエージェントのインストール

ホスト・ターゲットの追加ウィザード使用してOracle Cloud VMにエージェントをインストールするには、次の手順に従います。

  1. Cloud Controlで、「設定」メニューから、「ターゲットの追加」を選択し、「ターゲットの手動追加」をクリックします。「ターゲットの手動追加」ページで、「ホスト・ターゲットの追加」を選択し、「ホストの追加」をクリックします。

  2. ホストとプラットフォーム・ページで、次を実行します。

    1. このセッションに割り当てられたデフォルトの名前のままにするか、選択した一意の名前を入力します。入力するカスタム名は直観的な名前にすることができ、必ずしもデフォルトの名前と同じフォーマットにする必要はありません。たとえば、add_host_hybrid_cloud_operation_1のようにします

    2. 「追加」をクリックして、完全修飾ホスト名(推奨)またはIPアドレスを入力し、エージェントをインストールするOracle Cloud仮想ホストのプラットフォームを選択します。Oracle Cloudサービスを実行している各々の仮想ホストのIPアドレスはOracleによって割り当てられていたものです。

      注意:

      • クラウドベースのエージェントのデプロイは、Linux x86-64プラットフォームでのみサポートされています。

      • IPアドレスは、1行につき1つのみ入力する必要があります。カンマで区切った複数のアドレスの入力は、サポートされていません。

      もう1つの方法として、「ファイルからロード」をクリックしてファイルに格納されたIPアドレスを追加することもできます。

      すべての仮想ホストに対し、プラットフォームをLinux x86-64として指定します。これを行うには、最初の仮想ホストのプラットフォームをLinux x86-64として指定し、次に「プラットフォーム」リストから、「すべてのホストで同一」を選択します。

    3. 「次」をクリックします。

  3. 「インストールの詳細」ページで、次のようにします。

    1. 「デプロイメント・タイプ」セクションで、新規エージェント・インストールを選択します。

    2. 表から、共通のプラットフォーム名でグループ化された仮想ホストを示す最初の行を選択します。

    3. 「インストールの詳細」セクションで、ステップ3の(b)で選択した仮想ホストに共通するインストールの詳細を指定します。「インストールのベース・ディレクトリ」に、Hybrid Cloudエージェントのソフトウェア・バイナリ、セキュリティ・ファイルおよびインベントリ・ファイルをコピーするOracle Cloud仮想ホスト上のベース・ディレクトリへの絶対パスを入力します。

      たとえば、/u01/app/Oracle/です。

      入力したパスが存在しない場合は、指定されたパスにディレクトリが作成され、エージェントのソフトウェア・バイナリ、セキュリティ・ファイルおよびインベントリ・ファイルがその場所にコピーされます。

    4. 「インスタンス・ディレクトリ」で、デフォルトのインスタンス・ディレクトリの場所のままにするか、すべてのエージェント関連の構成ファイルを格納できるディレクトリを選択し、そこへの絶対パスを入力します。

      たとえば、/u01/app/Oracle/agent_instなどです。

      カスタムの場所を入力する場合、そのディレクトリに書込み権限があることを確認してください。インストールのベース・ディレクトリ内にインスタンス・ディレクトリを保持することをお薦めします。

      入力したパスが存在しない場合は、指定されたパスにディレクトリが作成され、エージェントに関連するすべての構成ファイルがその場所に格納されます。

    5. 「名前付き資格証明」で、オンプレミスOMSと接続先Oracle Cloud仮想ホストとの間のSSH接続を設定するとき、および各Oracle Cloud仮想ホストにエージェントをインストールするときに使用する名前付き資格証明を選択します。Enterprise Manager 13cリリース2以上では、SSHキー名前付き資格証明をウィザードから直接作成できるため、資格証明を事前に作成する必要はありません。

      SSH公開鍵認証を使用する名前付き資格証明以外は指定しないでください。パスワード・ベースの認証はサポートされていません。また、ロックされたユーザー・アカウントを使用したクラウドベースのエージェントのデプロイ(権限委任プロバイダを使用してロックされたユーザー・アカウントへの切替え)もサポートされていないことに注意してください。

      SSH公開鍵認証を使用する名前付き資格証明の作成方法の詳細は、Oracle Cloud VMにエージェントをインストールするための前提条件を参照してください。

    6. 「権限委任設定」では、デフォルトの値を使用します。エージェントのデプロイでは、権限委任プロバイダおよびロックされたアカウントはサポートされていません。

      エージェントのインストール・ユーザーがroot権限を持っている場合、接続先仮想ホストではroot.shがデプロイ後に自動実行されます。そうでない場合は、デプロイ後に各接続先仮想ホスト上でroot.shを手動で実行してください。

    7. 「ポート」で、エージェントの通信用に割り当てられたデフォルトのポート(3872)のままにするか、選択したポートを入力します。

      入力するカスタム・ポートはビジー状態ではない必要があります。不明な場合、このフィールドを空白にしておくことができます。Cloud Controlによって、1830 - 1849の範囲から最初の使用可能な空きポートが自動的に割り当てられます。

    8. エージェントのデプロイの前または後に実行するスクリプトがある場合には、「オプションの詳細」で、実行するスクリプトがある場所の絶対パスを入力します。サポートされているのはシェル・スクリプトのみであり、インストール前スクリプトまたはインストール後スクリプトを1つのみ指定できることに注意してください。

      スクリプトをrootとして実行するには、「Rootとして実行」を選択します。スクリプトがオンプレミスOMSが実行されているホストにあり、エージェントをインストールする仮想ホストにはない場合、「OMSのスクリプト」を選択します。この場合、スクリプトはオンプレミスOMSホストから接続先仮想ホストにコピーされてから、接続先仮想ホストで実行されます。

    9. 追加で指定するパラメータがある場合、「オプションの詳細」セクションの「追加パラメータ」で、追加パラメータを空白区切りのリストで入力します。

      たとえば、次のパスを指定します。

      INVENTORY_LOCATION=/u01/app/oracle/oraInventory

      ただし、このパラメータはUNIXプラットフォームでのみサポートされ、Microsoft Windowsプラットフォームではサポートされないことに注意してください。

    10. 「Hybrid Cloudエージェントの構成」を選択し、クラウドベースのエージェントの通信先となるGatewayの詳細を指定します。

      「Hybrid Cloud Gateway」で、クラウドベースのエージェントの通信相手となるGatewayとして使用するエンタープライズ内の管理エージェントを指定します。拡大鏡アイコンをクリックし、表示されたリストの中からHybrid Cloud Gatewayを1つ選択します(稼働中のGatewayのみが表示されます)。

      このフィールドには、Gatewayとしてすでに指定されている管理エージェントのみを指定できることに注意してください。特定の管理エージェントをGatewayとして指定する方法の詳細は、Gatewayとしての管理エージェントの構成を参照してください。

      「Hybrid Cloud Gatewayプロキシ・ポート」で、クラウドベースのエージェントとGatewayプロキシとの間の通信に使用されるポートを指定します。値を指定しなかった場合はポート1748が使用され、ポート1748が空いていない場合はポート1830から1848の間で空いているポートが使用されます。

    11. 「次」をクリックします。

  4. 確認ページで、インストールに指定した詳細を確認し、詳細に問題がない場合、「エージェントのデプロイ」をクリックして、エージェントをインストールします。

    詳細を変更する場合、変更を加えるページに到達するまで、「戻る」をクリックします。

    「エージェントのデプロイ」をクリックして、デプロイメント・セッションを送信すると、エージェント・デプロイ詳細ページが自動的に表示され、デプロイメント・セッションの進行をモニターできます。このページで実行できるタスクを理解するには、「ヘルプ」をクリックします。

  5. Oracle Cloudにエージェントがデプロイされたことを確認するために、「設定」メニューから「Cloud Controlの管理」を選択し、「エージェント」を選択します。クラウドベースのエージェントの名前を検索し、クリックしてそのホーム・ページにアクセスします。エージェント・ターゲット名の横に、「Oracle Cloudで実行中」およびクラウド・アイコンが表示されます。

注意:

クラウドベースのエージェントでは、次の機能はサポートされていないか、一部サポートされています。

  • バディ・エージェント

  • 管理エージェントから管理エージェントへの通信

  • 分散ソフトウェア・ライブラリ

  • ターゲットの再配置

  • サード・パーティの管理エージェント証明書に対するサポート

  • サポート・ワークベンチ

17.4 高度なトピック

17.4.1 Oracle Cloudターゲットの検出およびモニタリング

Hybrid Cloudがオンプレミス環境にデプロイされ、エージェントがOracle Cloud環境にデプロイされると、Oracle Cloud仮想ホストはEnterprise Manager Cloud Controlで管理可能なターゲットになります。これらの管理可能な仮想ホストで実行されるターゲットを検出およびモニターするには、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』で説明されている手順に従います。Oracle Cloud仮想ホストで実行中のターゲットを検出および昇格する手順は、オンプレミス環境の通常のホストで実行中のターゲットを検出および昇格する手順と同様です。

ただし、WebLogic JCSドメインのような、Oracle Cloud仮想ホストで実行されているFusion Middlewareドメインを検出するには、パブリックIPアドレスおよびポート9001(これらの管理サーバーでデフォルトで構成されるカスタムt3チャネルを表します)を使用する必要があります。

Hybrid Cloudでのクローニングの詳細を調べるには、Enterprise Managerライフサイクル・マネージメント管理者ガイドのクローニング・ソリューションの章を参照してください。

17.4.2 クラウドベースのエージェントおよびGatewayのパッチ適用

パッチ計画を使用して、Oracle Cloud VMにインストールされているエージェントおよびGatewayにパッチを適用できます。パッチ計画はグループとして展開されるべき1つ以上のパッチからなる統合化された計画です。パッチ適用プロシージャは、通常の管理エージェント、Oracle Cloud VMにインストールされているエージェント、およびGatewayのいずれに対しても同じになっています。

注意:

2015年6月の最初の週より前にOracle Cloudで作成されたデータベース・インスタンスは、通常、2015年1月にリリースされたデータベース・パッチセット(Jan DB PSU).に基づいています。そのようなデータベース・インスタンスに2015年4月にリリースされたデータベース・パッチセット(Apr DB PSU)を適用する場合、前提条件として、パッチセット更新を適用する前に、次のファイルを作成し、絶対パスをクラウドベースのエージェントが使用可能なディレクトリに追加します。

/var/opt/oracle/patch/files_to_save.ora

前述の手順を実行しないと、データベース・パッチ適用のプロセスの一部として/u01/app/oracle内のクラウドベースのエージェントが自動的に/u01/app.ORG/oracleに移動します。この場合、ディレクトリを手動でコピーして元の場所に戻す必要があります。この問題を回避し、手動で作業する手間を防ぐために、前述の手順を実行し、指示されたファイルを作成してクラウドベースのエージェントの場所をファイルに追加することをお薦めします。

Oracle Cloud仮想ホスト上のエージェントにパッチを適用するには、次の手順に従います。

  1. 適用しようとしているパッチがエージェント・ホームのsbinディレクトリにアクセスする場合は、最初にパッチにあるReadMeファイルで概説されている指示に従います。
  2. スケーラビリティおよびパフォーマンスのため、ゴールド・イメージベースのパッチ適用を使用してHybridエージェントにパッチを適用します。ゴールド・イメージを使用したエージェントのアップグレードの詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Controlアップグレード・ガイド』を参照してください。
  3. Oracle Enterprise Manager Cloud Controlライフサイクル管理ガイドに概説されている指示に従ってエージェントにパッチを適用します。パッチ適用プロシージャは、通常の管理エージェントおよびHybrid Cloudエージェントのいずれに対しても同じになっています。

Gatewayとして構成されたエージェントにパッチを適用するには、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlライフサイクル管理ガイドに概説されている指示に従ってください。

17.4.3 Gatewayを有効化してOracle Cloudと通信するための外部プロキシの構成

セキュリティのために、クラウドベースのエージェントとGatewayの間に、オプションで外部プロキシを構成できます。ただし、サポートされるのはトンネリングをサポートするプロキシ(SOCK4、SOCK5、HTTPなど)のみです。

外部プロキシを、クラウドベースのエージェントとGatewayとの間に構成するには、次の手順に従います。

  1. プロキシ・サーバーを設定します。HTTP、SOCKS4およびSOCKS5のプロキシ・サーバーがサポートされています。プロキシ・サーバーがトンネリングをサポートしていることを確認してください。
  2. 「設定」メニューから、「Cloud Controlの管理」を選択し、「エージェント」を選択します。
  3. 外部プロキシを構成しようとしているGatewayの名前を検索し、クリックします。'register'コマンドが実行されたエージェントをリストから選択する必要があります。
  4. 「エージェント」メニューから「プロパティ」を選択します。
  5. 「表示」メニューから、「基本プロパティ」を選択します。externalProxyPortで、Oracle Cloudへ接続する際に使用すべき通信ポートを指定します。

    「適用」をクリックします。

  6. 「表示」メニューから、「拡張プロパティ」を選択します。「ランタイム設定セクションを展開します。externalProxyHostでプロキシのホスト名を指定します。externalProxyTypeで、通信の際にプロキシでHTTP、SOCKS4またはSOCKS5のいずれが使用されるのかを選択します。

    設定しているプロキシ・サーバーがユーザー名とパスワードの認証を必要とする場合は、externalProxyUsernameおよびexternalProxyPasswordに値を指定します。

  7. 「適用」をクリックします。
  8. 認証なしで外部プロキシを確認します。これを行うには、次のコマンドを実行します。

    ssh -l <user> -i <path_to_private_key> -o "ProxyCommand /usr/bin/nc -X connect -x <proxy host>:<proxy port> %h %p" <opc_host> "<test command>"

17.4.4 Hybrid Cloud Managementの追加タスクの実行

この項ではHybrid Cloud Managementの追加タスクについて説明します。内容は次のとおりです。

17.4.4.1 高可用性のためのクラウドベースのエージェントの構成

Oracle Cloud VMにエージェントをデプロイすると、デフォルトではこれに対して単一のGatewayが関連付けられます。クラウドベースのエージェントは、そのライフサイクルを通じてGatewayに依存して、収集したモニタリング・データをオンプレミスのCloud Control OMSに転送しています。したがって、Gatewayが停止していたりアクセスできなかったりすると、クラウドベースのエージェントのモニタリング・データがオンプレミスOMSに届かなくなります。そこで、クラウドベースのエージェントから複数のGatewayが使用できるようにして、モニタリング・データのロスが発生する可能性を抑えることをお薦めします。

Oracle Cloudにエージェントをデプロイする際、最初に選択したGatewayがプライマリHybrid Cloud Gatewayになります。デプロイされたエージェントから追加のGatewayを使用できるようにすると、追加されたGatewayはセカンダリHybrid Cloud Gatewayになります。このようにすれば、クラウドベースのエージェントのプライマリHybrid Cloud Gatewayが停止したりアクセスできなくなったりした場合には、いずれかのセカンダリHybrid Cloud Gatewayが後を引き継ぎます。引き継いだセカンダリHybrid Cloud Gatewayが停止したりアクセスできなくなったりした場合には、次に使用可能なセカンダリHybrid Cloud Gatewayが後を引き継ぎます。

図17-1は、複数のHybrid Cloud Gatewayを経由したHybrid CloudエージェントからオンプレミスOMSへの通信を図示したものです。

図17-1 Hybrid CloudエージェントからオンプレミスOMSへ高可用性確保のため複数のHybrid Cloud Gatewayを経由して行われる通信


クラウドベースのエージェントからオンプレミスOMSへ高可用性確保のため複数のHybrid Cloud Gatewayを経由して行われる通信

クラウドベースのエージェントが高可用性を確保するよう構成するには、1つ以上のセカンダリHybrid Cloud Gatewayを各クラウドベースのエージェントに関連付けます。次の手順を実行します。

  1. 次のEM CLIのインストールの場所にある/binディレクトリからEM CLIにログインします。
    $<emcli_install_location>/bin/emcli login -username=<user_name>
    

    このコマンドを実行すると、EM CLIによってパスワードが求められます。指定したユーザー名のパスワードを入力します。

    EM CLIはデフォルトでオンプレミスOMSホストに設定されています(EM CLIのインストール場所はOMSホームです)。したがって、EM CLIをオンプレミスOMSホストから実行することにした場合、追加の手順は必要ありません。これが推奨オプションです。

    オンプレミスOMSが実行されていないホスト上のカスタムな場所からEM CLIを実行することにした場合、まずそのホストでEM CLIを設定する必要があります。この方法の詳細は、Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース・ガイドを参照してください。

  2. Hybrid CloudエージェントにセカンダリHybrid Cloud Gatewayを関連付けます。
    $<emcli_install_location>/bin/emcli add_hybridgateway_for_hybrid_agent 
    -hybrid_agent_name="<hybrid_cloud_agent>:<port>" -hybridgateway_agent_list="<secondary1_hybrid_cloud_gateway_agent>:<port> <secondary2_hybrid_cloud_gateway_agent>:<port> <secondaryN_hybrid_cloud_gateway_agent>:<port>"
    

    たとえば、emcli add_hybridgateway_for_hybrid_agent -hybrid_agent_name="abc.example.com:1831" —hybridgateway_agent_list="secondary1.example.com:1831 secondary2.example.com:1831"のようにします。

    注意:

    —hybridgateway_agent_listでは、複数のGatewayを指定できます。各々のGatewayは完全修飾名で指定し、各Gateway名の間はスペース1個で区切ってください。

17.4.4.2 Gatewayの無効化

Gatewayのゲートウェイ機能を無効化して、Gatewayを再び通常の管理エージェントのように動作させ、クラウドベースのエージェントからオンプレミスOMSへの通信が転送されるのを止めるには、次の手順に従います。

  1. 次のEM CLIのインストールの場所にある/binディレクトリからEM CLIにログインします。
    $<emcli_install_location>/bin/emcli login -username=<user_name>
    

    このコマンドを実行すると、EM CLIによってパスワードが求められます。指定したユーザー名のパスワードを入力します。

    EM CLIはデフォルトでオンプレミスOMSホストに設定されています(EM CLIのインストール場所はOMSホームです)。したがって、EM CLIをオンプレミスOMSホストから実行することにした場合、追加の手順は必要ありません。これが推奨オプションです。

    オンプレミスOMSが実行されていないホスト上のカスタムな場所からEM CLIを実行することにした場合、まずそのホストでEM CLIを設定する必要があります。この方法の詳細は、Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース・ガイドを参照してください。

  2. Gatewayのゲートウェイ機能を無効化します。
    $<emcli_install_location>/bin/emcli deregister_hybridgateway_agent -hybridgateway_agent_list="<hybrid_cloud_gateway_agent1>:<port> <hybrid_cloud_gateway_agent2>:<port> <hybrid_cloud_gateway_agentN>:<port>"
    

    たとえば、emcli deregister_hybridgateway_agent -hybridgateway_agent_list="abc.example.com:3873 def.example.com:3873"のようにします

    このとき、-hybridgateway_agent_listには複数のHybrid Cloud Gatewayを指定できます。各々のGatewayは完全修飾名で指定し、各Gateway名の間はスペース1個で区切ってください。

17.4.4.3 Gatewayとクラウドベースのエージェントとの関連付けの解除

Gatewayとクラウドベースのエージェントとの関連付けを解除して、以降は指定のエージェントがGatewayおよびオンプレミスOMSと通信しないようにするには、次の手順に従います。

  1. 次のEM CLIのインストールの場所にある/binディレクトリからEM CLIにログインします。
    $<emcli_install_location>/bin/emcli login -username=<user_name>
    

    このコマンドを実行すると、EM CLIによってパスワードが求められます。指定したユーザー名のパスワードを入力します。

    EM CLIはデフォルトでオンプレミスOMSホストに設定されています(EM CLIのインストール場所はOMSホームです)。したがって、EM CLIをオンプレミスOMSホストから実行することにした場合、追加の手順は必要ありません。これが推奨オプションです。

    オンプレミスOMSが実行されていないホスト上のカスタムな場所からEM CLIを実行することにした場合、まずそのホストでEM CLIを設定する必要があります。この方法の詳細は、Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース・ガイドを参照してください。

  2. Gatewayとクラウドベースのエージェントとの関連付けを解除します。
    $<emcli_install_location>/bin/emcli delete_hybridgateway_for_hybrid_agent 
    -hybrid_agent_name="<hybrid_cloud_agent>:<port>" -hybridgateway_agent_list="<hybrid_cloud_gateway1_agent_to_disassociate>:<port> <hybrid_cloud_gateway2_agent_to_disassociate>:<port> <hybrid_cloud_gatewayN_agent_to_disassociate>:<port>"
    

    たとえば、emcli delete_hybridgateway_for_hybrid_agent -hybrid_agent_name="abc.example.com:1831" -hybridgateway_agent_list="gateway1.example.com:1831 gateway2.example.com:1831"のようにします。

17.4.4.4 クラウドベースのエージェントの廃止

Oracle Cloud VMにインストールされているエージェントを廃止するには、次の手順に従います。

  1. Oracle Cloud VM上で実行されているエージェントを停止します。
  2. エージェントのエージェント・ホームページで、「エージェント」メニューから「ターゲット設定」を選択し、さらに「エージェント廃止」を選択します。

17.4.5 クラウドベースの管理エージェントのトラブルシューティング

この項では、Oracle VMにインストールされている管理エージェントのインストール時または使用時に発生する可能性のある問題に関するヒントを示します。

表17-1に、発生する可能性があるエラー・メッセージと、その原因および推奨をまとめます。

表17-1 クラウドベースの管理エージェントのトラブルシューティング

警告/エラー・メッセージ 原因/可能性のある原因 解決策

指定されたホスト名には、IPアドレスまたは短縮名が含まれています。ターゲットの存続期間中に変化しない完全修飾ホスト名(foo.mydomain.comなど)を指定することをお薦めします。管理と全体のセキュリティを容易に行うためにお薦めします。ただし、この警告を無視し、「次へ」をクリックして続行することもできます。

IPアドレスが完全修飾名のかわりに使用されています。

「すべてのホストで続行」をクリックします。

リモート・ホストのsudoersファイルで"requiretty"フラグが設定されているため、ユーザーは、sshでsudoを実行できません。

エージェント・プッシュの失敗。

OMSホストに存在する/scratch/aime/mw_41005/oms/sysman/prov/agentpush/agentpush.propertiesファイルでoracle.sysman.prov.agentpush.enablePtyプロパティをtrueに設定するか、sudoersファイルでrequirettyフラグを無効にします。root.shの場合、この警告を無視して続行することもできますが、「rootとして実行」を有効にして指定したインストール前スクリプトおよびインストール後スクリプトは実行されないため、インストール後に手動で実行する必要があります。

その他の選択肢として、「すべてのホストで続行」をクリックできます。

ホスト129.152.134.156でのコマンド/scratch/passagt6/ADATMP_2015-04-06_04-10-01-AM/prereq_stage/core/12.1.0.4.0/oui/bin/runInstaller -prereqchecker -silent -ignoreSysPrereqs -waitForCompletion -prereqlogloc /scratch/passagt6/ADATMP_2015-04-06_04-10-01-AM/prereqlogs -entryPoint oracle.sysman.top.agent_Complete PREREQ_CONFIG_LOCATION=/scratch/passagt6/ADATMP_2015-04-06_04-10-01-AM/prereq_stage/core/12.1.0.4.0/prereqs -J-DFORWARDER_PROXY_PORT=-1 -J-DAGENT_PORT=-1 -J-DALLOW_IPADDRESS=true -J-DAGENT_BASE_DIR=/scratch/passagt6 -J-DSTAGE_LOCATION=/scratch/passagt6/ADATMP_2015-04-06_04-10-01-AM/prereq_stageの実行 失敗しました

エージェント・プッシュの失敗。

  1. インストール・ユーザー・ホーム・ディレクトリの.bashrcファイルまたは.cshrcファイルを確認します。

  2. 次の2行をコメントにします。

    • export TMP=$TMPDIR

    • export TEMP=$TMPDIR

    または

    temdディレクトリに対する読取り/書込み/実行権限を付与します。

ホスト129.191.1.207でのコマンド/u01/app/oracle/agent/ADATMP_2016-04-25_05-56-23-AM/agentDeploy.sh AGENT_BASE_DIR=/u01/app/oracle/agent -softwareOnly AGENT_MODE=PAASの実行 失敗しました

エージェント・プッシュの失敗。

エージェント・デプロイ時に、ignorePrereqsを追加パラメータに含めます。

OPCでVMを作成し、エージェントをOPC VMにデプロイすると、エラー「ポートが空いていません」が表示されます[実際に空いているポートの範囲はこのエラーを参照してください。]

エージェント・プッシュの失敗。

セキュリティ・ルールを確認します。コンピュート・インスタンスのセキュリティ・ルールを有効にして、希望するポートでの接続を認めます。

ncユーティリティを使用してポートの接続をチェックし、host:portがOMSホストからアクセス可能であるかどうかを確認します。

17.4.6 Hybrid Cloud Managementに関するよくある質問

この項では、Hybrid Cloud Managementに関連した次のようなよくある質問への回答を示します。

17.4.6.1 同じOracle Cloud仮想ホストに複数のエージェントをデプロイできますか。

はい、できます。ただし、すでにOracle Cloud仮想ホスト上に存在するクラウドベースのエージェントをまず廃止してから、他のクラウドベースのエージェントをデプロイしてください。

すでにOracle Cloud仮想ホスト上に存在するエージェントを廃止するには、次の手順に従います。

  1. Hybrid Cloudエージェントのエージェント・ホームページで、「エージェント」メニューから「ターゲット設定」を選択し、さらに「エージェント廃止」を選択します。

  2. Oracle Cloud VMへのエージェントのインストールの説明に従って、新しいエージェントをデプロイします。

17.4.6.2 関連付けられているクラウドベースのエージェントをアンインストールせずにGatewayをアンインストールまたは構成解除できますか。

いいえ、できません。まず、すでにOracle Cloud仮想ホスト上に存在するエージェントを廃止する必要があります。エージェントを廃止すると、関連付けられているGatewayは自動的に削除されます。

Gatewayが1つのみであるときに、これをアンインストールする場合は、次の手順に従います。

  1. Oracle Cloud VM上で実行されているエージェントを停止します。

  2. クラウドベースのエージェントのエージェント・ホームページで、「エージェント」メニューから「ターゲット設定」を選択し、さらに「エージェント廃止」を選択します。

Gatewayが複数存在するときに、プライマリHybrid Cloud Gatewayをアンインストールする場合は、次の手順に従います。

  1. プライマリHybrid Cloud Gatewayを停止します。これにより、クラウドベースのエージェントからの通信は自動的にセカンダリHybrid Cloud Gatewayにリダイレクトされます。

  2. プライマリHybrid Cloud Gatewayをアンインストールします。

    注意:

    プライマリHybrid Cloud Gatewayと関連付けられているエージェントを廃止する必要はありません。必要なのは、ステップ(1)の説明に従ってプライマリHybrid Cloud Gatewayを停止することのみです。

    ステップ(2)の実行後は、セカンダリHybrid Cloud GatewayプライマリHybrid Cloud Gatewayとして動作します。

    ステップ(2)でアンインストールしたHybrid Cloud Gatewayを復帰させても、セカンダリHybrid Cloud Gatewayになるだけです。

17.4.6.3 他に何もアンインストールせずにGatewayを他のホストに再配置するにはどうすればよいですか。

Gatewayをあるホストから他のホストに再配置することはできません。再配置ロジックはGatewayモニターされているターゲットのためのものであって、Gatewayのためのものではないからです。

17.4.6.4 Gatewayを追加した後になって接続を再分配するにはどうすればよいですか。再構成が必要ですか。

はい、Gatewayを新たに追加した後になって接続を再分配することは可能です。ただし、これを自動的に行う方法はありません。手動で接続の再分配を行う必要があります。

たとえば、Gatewayが1つと、これに関連付けられたクラウドベースのエージェントが複数ある場合、ここでGatewayをもう1つデプロイすると、接続を2つのゲートウェイの間で再分配することができます。

次の手順を実行します。

  1. プライマリGatewayのクラウドベースのエージェントに対するゲートウェイ機能を停止します。これを行うには、次のコマンドを実行します。このコマンドにより、OMSがプライマリ・ゲートウェイからセカンダリ・ゲートウェイに切替わります。

    emcli delete_hybridgateway_for_hybrid_agent -hybrid_agent_name="<hybrid_agent_name>:<port>" -hybridgateway_agent_list="<primary_gateway_agent>:<port>"

  2. 古いプライマリ・ゲートウェイをクラウドベースのエージェントに再度追加します。これを行うには、次のコマンドを実行します。このコマンドは、古いプライマリ・ゲートウェイをセカンダリ・ゲートウェイとしてクラウドベースのエージェントにリストアします。

    emcli add_hybridgateway_for_hybrid_agent -hybrid_agent_name="<hybrid_agent_name>:<port>" -hybridgateway_agent_list="<old_primary_gateway_agent>:<port>"

17.4.6.5 Oracle PaaSインスタンスを廃止すると、クラウドベースのエージェントおよび関連ターゲットはどうなりますか。

Oracle PaaSインスタンスがOracle Cloudから廃止されると、関連付けられているエージェントはアクセス不可の状態に置かれることになります。Enterprise Manager Cloud Controlコンソールからエージェントをクリーン・アップするには、次の手順に従います。

  1. Enterprise Manager Cloud Controlコンソールの「設定」メニューから「Cloud Controlの管理」を選択し、「エージェント」を選択します。

  2. コンソールからクリーン・アップするクラウドベースのエージェントの名前をクリックします。

  3. エージェント・ホームページで、「エージェント」メニューから「ターゲット設定」を選択し、さらに「エージェント廃止」をクリックします。

  4. 削除するターゲットを選択し、「発行」をクリックします。

17.4.6.6 Oracle CloudでSSHキーを変更した場合、Enterprise Managerでは何をすればよいですか。

新しいSSHキーを使用してモニタリング資格証明を更新し、新たにデプロイが行われる際にすべてのクラウドベースのエージェントが資格証明を自動的に保持できるようにします。新しいキーが保存されると、それ以降SSHトンネリングではクラウドベースのエージェントとの通信にその新しいキーが使用されます。

モニタリング資格証明を更新するには、次の手順に従います。

  1. Enterprise Manager Cloud Controlコンソールの「設定」メニューから「セキュリティ」を選択し、「モニタリング資格証明」を選択します。

  2. 「モニタリング資格証明」ページで、表の「Hybrid Cloud接続」をクリックします。

  3. Hybrid Cloud接続モニタリング資格証明ページで、新しいSSHキーに更新するターゲット名を選択し「資格証明の設定」をクリックします。

  4. 「モニタリング資格証明の入力」で新しいSSH秘密鍵とSSH公開鍵を入力し「保存」をクリックします。

17.4.6.7 Gatewayの数を決めるための指標は何ですか。Gatewayエージェントが過負荷になっていることを示す兆候は何ですか。

現在のところ、利用できる統計はありません。Hybrid Cloud Gatewayの負荷を評価するためにはEM診断キットのようなユーティリティを継続的に使用してください。

17.4.6.8 最初のGatewayをパッチ適用後に起動すれば、クラウドベースのエージェントをモニターするようになるのでしょうか。

いいえ。プライマリGatewayが切り替わるのは、プライマリGatewayが停止したときのみです。

クラウドベースのエージェントを指定して関連付けられているGatewayの一覧を表示するには、次の問合せを実行します。

SELECT emd_url FROM MGMT_TARGETS

WHERE target_name LIKE '%PAAS_AGENT_NAME%' AND

target_type='oracle_hybridcloud_connection'

17.4.6.9 クラウドベースのエージェントおよびOracle Cloudのターゲットでのユーザーに対する制限は何ですか。

そのような形での制限はありません。クラウドベースのエージェントのインストール・ユーザーがOracle Cloudターゲットのインストール・ユーザーと異なっても構いません。しかし、両者は同じプライマリ・オペレーティング・システム・グループに属している必要があります。そうなっていないと、検出は失敗します。

たとえば、クラウドベースのエージェントのインストール・ユーザーがopcで、Oracle Cloudターゲットのインストール・ユーザーがoracleでも構いません。ただし、これらのユーザーが両方ともoinstallオペレーティング・システム・グループに属している必要があります。

さらに、ユーザーにはsudoアクセス権が必要です。そうでない場合、エージェントのデプロイの際、手順の1つとしてroot.shスクリプトを手動で実行する必要があります。

17.4.6.10 どんなオペレーティング・システムにクラウドベースのエージェントおよびGatewayをデプロイできますか。

Gatewayはどのオペレーティング・システムにもデプロイできますが、クラウドベースのエージェントはOracle Linux x86-64オペレーティング・システム上にのみデプロイしてください。

17.5 サポートされていない機能のリスト

表17-2に、Hybrid Cloud Managementで現在サポートされていない機能を示します。

表17-2 Hybrid Cloud Managementでサポートされていない機能

ターゲット サポートされていない機能

データベース

自動ワークロード・リポジトリ・ウェアハウス

Oracle Cloudデータベースからの収集。

SQLパフォーマンス・アナライザ

  • データベース・クラウド・サービス・インスタンスへのリモートからの試行。

  • デプロイメント・プロシージャを使用したワークロード・アーティファクト(取得ファイル/STS)のOracle Cloudへのコピー。回避策として手動でコピーします。

  • データベース・クラウド・サービス・インスタンスへのActive Data Guardのサポート(データベース・リンクが必要)

データベース・リプレイ

データベースPaaSターゲットに対し無効。

再編成されたオブジェクト

再編成されたオブジェクト。

変更管理

データの同期。

データベース・クローニング

Data Guard

Oracle Cloud上のスタンバイ・データベースの管理。

Oracle Exadata Cloud

  • Oracle Exadataのハードウェアおよびハイパーバイザのモニタリング、構成の設定。

  • パッチ適用とアップグレード。

  • バックアップおよびリストア。

  • Oracle Cloudにおけるデータベース・サービスのプロビジョニング。

Enterprise Manager

  • エージェント:

    - 手動によるデプロイ。

    - バディ・エージェント。

    Sudoおよび別のユーザーとして実行

  • ターゲットの再配置

  • Oracle Cloud上のソフトウェア・ライブラリ。

  • サード・パーティの証明書。

  • Oracle Cloudターゲットのサポート・ワークベンチ。