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Oracle® Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド
13c リリース3
E98537-01
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8 JVM診断エージェントのインストール

この章では、モニター対象のWebLogicドメインにJava仮想マシン診断(JVMD)をインストールする方法について説明します。

この章の具体的な内容は次のとおりです。

8.1 Java仮想マシン診断の概要

Java仮想マシン診断(JVMD)は、Enterprise Manager Cloud Controlの重要な機能の1つで、これを使用して管理者は本番環境におけるJavaアプリケーションのパフォーマンスの問題を診断できます。問題を再現する必要性がなくなることにより、こうした問題解決に必要な時間が短縮されるため、アプリケーションの可用性とパフォーマンスが向上されます。

JVMDエンジンの機能を使用すると、管理者はアプリケーションを効率的に管理でき、テスト環境や開発環境で再現しなくても本番環境でのパフォーマンス問題の根本原因を特定できます。JVMDエンジンは、WebLogic Server上でEnterprise JavaBeans (EJB) Technologyとして実行されます。

JVMDエージェントは、ターゲットJVM (本番環境のWebLogic Serverを実行するJVM)にデプロイされます。リアルタイムのデータを収集し、JVM診断エンジンに転送します。このデータはManagement Repositoryに格納され、収集された情報はモニタリングのためにEnterprise Manager Cloud Controlコンソールに表示されます。JVMDエンジンとJVMDエージェント間の通信は、セキュア(SSL)または非セキュア接続が可能です。Enterprise Manager Cloud Control 13.xは、JVMDエージェントの下位互換性をサポートしません。つまり、OMSが12.xから13.xにアップグレードされた場合、12.x JVMDエージェントを含むJVMはモニター対象ではなくなります。すべての12.x JVMDエージェントをアンデプロイして13.x JVMDエージェントをデプロイする必要があります。デプロイメント・ステップ出力(一括デプロイメントまたは手動デプロイメントの実行出力を使用する場合はジョブ・ステップ出力)をモニターしてJVMの再起動が必要かどうかの判断が重要です。

13cリリース1以降、Oracle Fusion Middlewareプラグイン・デプロイメントの一部として、デフォルトでJava仮想マシン診断(JVMD)エンジンが1つOMSにインストールされるようになりました。デプロイする追加OMSごとに、そのOMSとともにデフォルトで1つのJVMDエンジンが提供されます。JVMDエンジンはデフォルトではOMSホストにインストールされますが、JVMDエージェントはターゲットのJVMに手動でデプロイする必要があります。

JVMDエージェントをインストールするには、Enterprise Manager Cloud Controlコンソールからアクセス可能な「設定」ページを使用します。このページにアクセスするには、「設定」メニューから「ミドルウェア管理」「エンジンおよびエージェント」の順に選択します。

図8-1は、「エンジンおよびエージェント」ページを示します。

図8-1「エンジンおよびエージェント」ページ


「エンジンおよびエージェント」画面

「エンジンおよびエージェント」ページは次の目的に使用できます。

  • すべてのJVMDエンジンの可用性のモニター

  • JVMDエンジンをデプロイするホストや現在の状態、実行中のポート、バージョンなど、JVMDエンジンに関する情報へのアクセス

  • JVMDエージェントのデプロイ、アップグレードおよび削除

  • レポートしているJVMDエージェント数と、それらのアップグレードの必要性の通知

8.2 Oracle CloudターゲットへのJVMDエージェントのデプロイの概要

モニター対象のOracle CloudターゲットにJVMDエージェントをデプロイできます。

前提条件として、ハイブリッド・クラウド・エージェントをOracle Cloudターゲットにデプロイし、ハイブリッド・ゲートウェイをOracle Cloudに構成する必要があります。ハイブリッド・ゲートウェイは、(Oracle Cloudにデプロイされている) JVMDエージェントからの通信を(OMSホストにオンプレミスでデプロイされている) JVMDエンジンに転送し、JVMDエンジンからの通信をJVMDエージェントに戻します。複数のJVMDエージェントで1つのハイブリッド・ゲートウェイを使用できます。

Oracle CloudターゲットにJVMDエージェントをデプロイする方法の詳細は、モニター対象のWebLogicドメインへのJVMDエージェントのデプロイを参照してください。

8.3 JVMDエージェントのインストールを開始する前に

JVMDエージェントをインストールする前に、ターゲット・アプリケーション・サーバーが稼働していることを確認してください。

8.4 JVMDエージェントをインストールするための前提条件

次の前提条件を満たしていることを確認します。

  • JVMDエージェントのデプロイに必要なJDKのバージョンは、JDK 1.6以上です。

  • Cloud ControlユーザーにはJVM診断管理者権限があります。

  • JVMDエージェントに対してサポートされているオペレーティング・システムの詳細は、My Oracle Supportノート2117445.1の手順に従います。

8.5 モニター対象のWebLogicドメインへのJVMDエージェントのデプロイ

この項では、モニター対象のWebLogicドメインにJVMDエージェントをデプロイする方法を説明します。JVMDエージェントをWebLogic Server以外のアプリケーション・サーバーへデプロイする方法の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Controlアドバンスト・インストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。

「設定」ページを使用してモニター対象のWebLogicドメインにJVMDエージェントをデプロイするには、次の手順を実行します。

  1. 「設定」メニューで「ミドルウェア管理」を選択して、「エンジンおよびエージェント」を選択します。
  2. 「エンジンおよびエージェント」ページの「JVMDエージェント」セクションで、「JVMDエージェントの管理」をクリックします。

    注意:

    JVMDエンジンに関連する構成問題がある場合は、「JVMDエージェントの管理」ボタンが無効になります。

  3. 「操作」で、「デプロイ」が選択されていることを確認します。

    「表示」メニューから「すべてを開く」を選択すると、検出されたすべてのWebLogic管理サーバーおよび管理対象サーバー(検出されたすべてのWebLogicドメインの一部)のターゲット名、ターゲット・タイプ、ターゲット・ホスト、ターゲット・ステータス、プラットフォームなどを参照できます。

    JVMDエージェントのデプロイ先となる、WebLogic管理対象サーバーを選択します。「次へ」をクリックします。

  4. 「ターゲットの資格証明」ページで、(管理サーバー・ターゲットに対応するように) WebLogicドメインごとに「Oracle EMAgentターゲット・ホスト資格証明」および「Oracle WebLogicドメインの資格証明」の値を指定し、「適用」をクリックします。

    注意:

    管理サーバー・ターゲットに対してホストおよびドメインの優先資格証明がすでに設定されている場合は、ドメインに自動的に適用され、「適用」をクリックする必要はありません。

    Oracle EMAgentターゲット・ホストの資格証明は、WebLogicドメインの管理サーバーの検出に使用された管理エージェントが実行されているホストのログイン資格証明です。Oracle WebLogicドメインの資格証明は、選択したWebLogicドメインの管理サーバーの資格証明です。

    WebLogicドメインの管理サーバーに対して優先資格証明(優先EMAgentターゲット・ホスト資格証明および優先Oracle WebLogicドメイン資格証明)を設定するには、「設定」メニューから、「セキュリティ」「優先資格証明」の順に選択します。ターゲット・タイプとして「Oracle管理サーバー」を選択し、「優先資格証明の管理」をクリックします。「ターゲット優先資格証明」セクションで、必要なWebLogic管理サーバーに対して優先ホスト資格証明および優先WebLogic管理者資格証明を設定します。

    「次へ」をクリックします。

  5. JVMDエージェント構成ページ(「JVMDエージェント構成」セクション)で、次を実行します。

    Oracle CloudターゲットにJVMDエージェントをデプロイする場合は、「Hybrid Cloudモードの構成」を選択し、Oracle Cloudで構成されている「Hybrid Cloudプロキシ・ホスト」および「Hybrid Cloudプロキシ・ポート」を指定します。「Hybrid Cloudモードの構成」を選択すると、JVMDエージェントがハイブリッド・ゲートウェイに接続され、ハイブリッド・ゲートウェイがJVMDエンジンに接続されるため、「使用可能なJVMDエンジン」の値が自動的に「その他」に設定されます。

    ハイブリッド・クラウド・モードの構成を選択しない場合、WebLogicドメインごとに、デフォルトのJVMDエンジンが選択されます。必要に応じて、ドメインに対して選択したエンジンを変更するには、「使用可能なJVMDエンジン」のリストから新しいエンジンを選択し、「適用」をクリックします。選択したWebLogicドメインの管理対象サーバーにデプロイされているすべてのJVMDエージェントが、このJVMDエンジンに関連付けられます。または、「その他」を選択して、複数のエンジンの場合にロード・バランサに接続し、エンジンのホスト、ポートおよびプロトコルの詳細を手動で指定できます。できます。

    Enterprise Manager Cloud Control 13cでは、HTTPまたはHTTPSを使用して、JVMDエンジンに接続する複数のJVMDエージェントをデプロイできます。したがって、JVMDエンジンのHTTP URLとHTTPS URLの両方が「使用可能なJVMDエンジン」リストに表示されます。ただし、設定でロード・バランサを構成した場合、JVMDエージェントはHTTPまたはHTTPSを使用してロード・バランサに接続できますが、HTTPSを使用して個々のJVMDエンジンには接続できません。したがって、設定にロード・バランサを構成した場合、ロード・バランサのHTTP URLとHTTPS URL、および個々のJVMDエンジンのHTTP URLのみが、「使用可能なJVMDエンジン」リストに表示されます。

    このセクションに「WebLogicホーム」フィールドと「ミドルウェア・ホーム」フィールドが表示されている場合、それらに値を指定します。「WebLogicホーム」および「ミドルウェア・ホーム」フィールドは、それらの値が内部的に取得できない場合に表示されます。

    また、WebLogic管理サーバーがファイアウォールの背後または仮想ホスト上にある場合、アプリケーションはデフォルト情報を使用して接続できない可能性があります。この場合、「拡張ドメイン構成」セクションで追加情報を指定する必要があります。たとえば、WebLogic管理サーバーが仮想ホスト上にあり、アプリケーションがデフォルトのホスト値を使用して接続できない場合は、「管理サーバー・ホスト」に仮想ホストのIPアドレスを指定することが必要な場合があります。

    注意:

    「拡張ドメイン構成」で、JVMDエージェントのデプロイに使用されるJavaプロセスで使用されるJava引数を指定できます。たとえば、必要となるJavaの引数の一部を次に示します。

    • Dweblogic.security.SSL.enableJSSE=true

    • Dweblogic.security.SSL.protocolVersion=TLS1

    • Dweblogic.security.SSL.trustedCAKeyStore=<path to cacert>

    「次へ」をクリックします。

  6. 確認ページですべての情報を確認し、「デプロイ」をクリックします。

    JVMDエージェントのデプロイメントに対してジョブが作成されます。リンクをクリックすると、ジョブの進行状況が表示されます。JVMDエージェントのデプロイメント・ジョブが正常に完了したら、「設定」ページに移動して「JVMDエージェント」セクションを参照することで、そのデプロイメントを確認できます。

    emcli deploy_jvmdコマンドの詳細は、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlコマンドライン・インタフェース・ガイドのemcli deploy_jvmdの使用方法に関する項を参照してください。

8.6 JVMDエージェントをインストールした後で

JVMDエージェントをデプロイした後、次の健全性チェックを実行し、管理対象サーバーにJVMDエージェントが正しくインストールされていることを確認します。

  • Cloud Controlで、「ターゲット」メニューから「ミドルウェア」を選択します。Middlewareのホーム・ページで、JVMDエージェントがデプロイされたドメインを選択します。左側のペインで、「ターゲット・ナビゲーション」セクションから「Java仮想マシン・プール」をクリックしてメニューを展開します。JVMDターゲットが表示されます。


    JVMDターゲット・メニュー

    各ターゲットは、JVMDエージェントのデプロイメントに選択された管理対象サーバーの1つに対応しています。すべてのターゲットが稼働中である必要があります。

  • JVMDエージェントがデプロイされたドメインのWebLogic管理コンソールにサイン・インします。ターゲットの管理対象サーバーにjamagent (デプロイメントのタイプに依存します)という名前の新しいアプリケーションがあり、このアプリケーションが稼働中である必要があります。