データ・ライフサイクル管理(DLM)は、Enterprise Managerによって提供される完全なエンドツーエンド・ソリューションであり、管理者がマスク後の本番データベースをリフレッシュしたり、大きなデータベースをオンデマンドで瞬時にクローニングできるようにします。DLMソリューションの特徴は次のとおりです。
フルおよびシン・データベース・クローンの作成をサポートします。
テクノロジに依存しません(ストレージとベンダーに依存しません)。
本番データのマスキングとインライン・パッチ適用を統合します。
クラウド・セルフ・サービス・ポータルとデータベースのプロビジョニング・ダッシュボードを通じてアクセスできます。
EMCLIおよびRest APIを通じて使用できます。
通常、IT環境では、アプリケーションの開発とテストのために本番データの複数のコピーが必要となります。アプリケーションの開発者またはテスト実施者がデータベースのクローンを必要とする場合、一般的には承認サイクルを経る必要があり、その後に煩雑で時間のかかるクローニング・プロセスを開始しますが、これには数日かかることもあります。クローンは複数のユーザーおよびアプリケーションで共有されますが、複数ユーザーによる共有が増える結果としてパフォーマンスが低下します。このような環境において、本番データベースへの変更を反映するためのテスト・データのリフレッシュは、通常は固定したスケジュールで行われ、必要な頻度では実施されないことがあります。その結果として、ともすれば、開発者およびテスト実施者が最新データを使用してテストすることの徹底が難しくなります。
最新のデータを含むデータベース・クローンを作成するには、次の手順を実行します。
クローン対象とする本番データベースを識別します。
RMANバックアップやRMANイメージなどを使用して定期的なバックアップを取得します。
機密データをマスクします。
テスト・マスター・データベースのデータをマスクおよびサブセット化します
本番データベースのサニタイズされたコピーであるテスト・マスターを作成するか、スタンバイ・データベースを作成します。
パフォーマンスまたはストレス・テスト用にフル・クローンを、機能テスト用にスナップ・クローンを作成します。
本番データベースの変更との同期を維持するためにクローンをリフレッシュします。
Enterprise Managerを使用して、管理ダッシュボードまたはセルフ・サービス・ポータルからフル・クローンまたはスナップ・クローンを作成できます。次の図は、Enterprise Managerでサポートされるクローニング・オプションを示しています。
図24-1 サポートされるクローニング・オプション
Enterprise Managerでは次のものを作成できます。
フル・クローン: 次のいずれかの方法を使用して、本番データベースのフル・コピーまたは完全コピーを作成できます。
RMANバックアップ
RMAN複製
データ・ポンプ
詳細は、「フル・クローンの作成」を参照してください。
スナップ・クローン: データベースのコピー・オン・ライト・テクノロジを使用して、スナップ・クローンまたはシン・クローンを作成できます。このモデルでは、最小限の領域で即座にクローニングが実行されるため、機能テストに最適です。スナップ・クローンは、次のいずれかのソリューションを使用して作成できます。
ソフトウェア・ソリューション
ハードウェア・ソリューション
詳細は、「スナップ・クローンの作成」を参照してください。