Enterprise Managerは、セルフ・サービス管理者が次のものを含むデータベース更新を適用することでメンテナンスできるソフトウェア・メンテナンス機能に基づくサブスクリプションを提供します。
マイナー更新: 四半期ごとのセキュリティ・パッチ更新(SPU/CPU)とパッチセット更新(PSU)を含む仮の個別パッチ。
メジャー更新: (11.2.0.2から11.2.0.4)などのパッチセットと11.2.0.xから12.1.0.xなどのメジャー・バージョン・アップグレード。
新規データベース・パッチ、パッチセットまたは更新は、イメージの形式で使用可能になります。イメージ(ゴールド・イメージとも呼ぶ)は、必要なレベルにパッチ適用されるソフトウェア・バイナリを表します。特定のデータベース・バージョンについて新規パッチまたはパッチセットから新規に作成された各イメージは、新しいバージョンです。たとえば、Oracle Databaseバージョン11.2.0.4のイメージには、異なるパッチまたはパッチセット・レベルのゴールド・イメージ(Ver. 1、Ver. 2など)が含まれます。
スタンドアロン・データベース・プールには、Oracleホーム・インフラストラクチャとともにデータベースが含まれます。RACデータベース・プールには、グリッド・インフラストラクチャ・インスタンスおよびその関連OracleホームとともにRACデータベースが含まれます。データベース・プールのメンテナンスには、次の操作が関係します。
必要なレベルにパッチ適用されたイメージをデータベース・プールでサブスクライブします。このタスクは、EM_SSA_ADMINISTRATORロールを持つユーザーが実行する必要があります。
イメージをデプロイし、データベースを古いOracleホームから新しいOracleホームに切り替えます。このタスクは、EM_SSA_ADMINISTRATORロールを持つユーザーが実行する必要があります。
データベースを更新します。このタスクは、EM_SSA_ADMINISTRATORロールまたはEM_SSA_USERロールを持つユーザーが実行できます。
このメンテナンス・アクティビティは、新しいパッチまたはパッチセット更新が使用可能になったときに実行できます。データベース・プールは、プール内のターゲットがイメージの最新バージョンに関連付けられている場合に完全準拠とみなされます。ターゲットがまだ古いバージョンのイメージに関連付けられている場合、データベース・プールは非準拠とみなされます。セルフ・サービス管理者の目標は、データベース・プール内のすべてのターゲットが100%準拠になるようにすることです。
注意:
11.2.0.xから12.1.0.xなどのデータベース・アップグレードの場合は、『Enterprise Managerライフサイクル・マネージメント管理者ガイド』の手順に従ってメンテナンス・アクティビティを実行します。
データベース・プールのメンテナンスは、グリッド・インフラストラクチャ・ターゲットに対しても実行できます。
データベース・プールのメンテナンス機能は次の点で役立ちます。
プール内の異なるデータベース・ソフトウェア・バージョンおよびパッチの数を減らせます。
エンタープライズ全体のデータベース・ソフトウェア・バージョンおよびパッチが標準化されます。
ソフトウェア・アップグレードとパッチ適用が合理化および自動化されます。
セルフ・サービス・ユーザーは、新しいソフトウェア・バージョンへの移行とデータベースの更新を自由に行うことができます。
注意:
EMCLIコマンドを使用して、プール・メンテナンス・アクティビティを実行することもできます。詳細は、「データベース・フリート・メンテナンスEM CLI動詞」を参照してください。
図28-1 データベース・プールのメンテナンス・ワークフロー
次の表に、データベース・プールの更新とメンテナンスに関連するタスクのリストを示します。
表28-1 データベース・プールのメンテナンス・タスク
ステップ | タスク | ロール |
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イメージは、特定のプラットフォーム上のターゲット(Oracleデータベースなど)のソフトウェア・ライブラリと必要なパッチ・レベルを含むリリースです。たとえば、イメージDB_11203_Linuxは、必要なレベルのPSUやその他の個別パッチを含む、Linux x86_64プラットフォームに適用される11.2.0.3リリース用のデータベース・ソフトウェアを表します。新しいパッチがある場合は、特定の認定済またはテスト済パッチ・レベルに引き上げられた圧縮されたOracleホームを含む参照ターゲットから新しいバージョンのイメージを作成する必要があります。
データベース・プールをメンテナンスするには、最新のパッチまたはパッチセットを含むイメージをサブスクライブする必要があります。イメージが存在しない場合は、最初にイメージを作成してから、データベース・プールでイメージをサブスクライブする必要があります。
イメージを作成するには、次の手順に従います。
新規イメージが作成されると、データベース・プールはイメージを自動的にサブスクライブします。メンテナンスを開始するには、まずイメージをデプロイします。「Oracleホームのデプロイ」にリストされている手順に従います。
データベース・プールを別のイメージでメンテナンスする場合は、イメージをサブスクライブする必要があります。既存のイメージをサブスクライブするには、次の手順に従います。
円グラフには、イメージおよびイメージの様々なバージョンについて、データベース・プール内のターゲットの分布率が表示されます。各バージョンは次のように表されます。
システム・バージョン番号(バージョン表示名) (バージョン内のターゲット数)。たとえば、V1 (DEC PSU 2014) (2)です。
各バージョンは、次のいずれかの状態になります。
ドラフト: これはテスト・バージョンです。
制限付き: これは、制限されたターゲット・セットにリリースされるベータ・バージョンを表します。
現行: これは、イメージの最新バージョンを表します。
管理者のメンテナンス目標は、プール内のすべてのターゲットをイメージの「現行」バージョンに移行して、プールを最新かつ準拠状態に保つことです。
このオプションは、イメージ・バイナリをデータベース・プール内の各ホストにコピーし、そのすべてに新しいOracleホームを作成します。このページに移動すると、「デプロイ」手順がハイライト表示され、ステータスが「保留中」になります。イメージをデプロイするターゲットのリスト、ターゲット所有者、およびイメージのバージョンが表示されます。イメージをデプロイするには、次の手順に従います。
この手順は、新規更新が使用可能であるという通知をセルフ・サービス・ユーザーに送信します。新規にデプロイされたOracleホームをアクティブにすると、データベース・プールに関連付けられているセルフ・サービス・テンプレートも更新され、新規Oracleホームから作成する新規データベース・サービス・リクエストがリダイレクトされます。「アクティブ化」をクリックして、正常にデプロイされたOracleホームをアクティブにします。
この手順は、データベースを古いOracleホームから新しいOracleホームに切り替え、イメージに関連するすべてのパッチに対してインストール後の手順を完了します。この手順は、セルフ・サービス管理者またはセルフ・サービス・ユーザーが実行できます。
イメージの最新バージョンをデプロイした後、セルフ・サービス管理者は次のいずれかを実行できます。
最新バージョンを適用し、データベースを更新します。プールに関連付けられたデータベース・ターゲットを更新するには、図28-5に示す「更新」オプションを選択し、「更新」をクリックします。最新パッチは、プール内のすべてのデータベース・ターゲットに適用されます。これで、データベース・プールは100%準拠になります。
セルフ・サービス・ユーザーへの職責の委任フィールドで「はい」をクリックして、セルフ・サービス・ユーザーに、更新について通知します。セルフ・サービス・ユーザーは、次の手順に従って更新を適用することを選択できます。
EM_SSA_USER
ロールを持つユーザーでログインします。
セルフ・ポータル・ページで、「管理」ドロップ・ダウン・リストから「データベース」を選択します。更新が使用可能なデータベースをクリックし、ホーム・ページにドリル・ダウンします。
図28-7 データベースの更新
「更新」をクリックして、データベースを新規Oracleホームに切り替えます。
注意:
すべてのタスク(デプロイ、アクティブ化および更新)が実行されると、プールが新規イメージを正常にサブスクライブします。
データベース・プールが新しいバージョンのイメージをサブスクライブすると、プールのコンプライアンス・ステータスが0%に変更されます。新しいバージョンがデプロイされ、データベース・プールに関連付けられたすべてのデータベースが更新されると、コンプライアンスが100%になります。