1 EM CLIの概要および概念
概要
Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース(EM CLI)では、コマンドライン・インタフェースまたはスクリプトを介してEnterprise Manager機能にアクセスできます。伝統的なプログラミング言語の構成を介してアクセスできるため、コマンドラインから、またはプログラムによって、タスクを作成および実行できます。EM CLIにより、各種オペレーティング・システムのテキスト・ベースのコンソール(シェルおよびコマンドライン・ウィンドウ)からEnterprise Manager Cloud Control機能にアクセスできます。
EM CLIは、Enterprise Managerのセキュリティおよびユーザー管理機能と完全に統合されているため、管理者は、Enterprise Manager Cloud Controlコンソールと同じセキュリティと機密保持性を備えたEM CLIを使用して操作を実行できます。たとえば、管理者は、自分が権限を持つターゲットのみを表示し、操作することができます。
実現可能なEM CLIタスクには、次のようなものがあります。
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新規のEnterprise Managerの管理者アカウントを作成します。
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ターゲット、ジョブ、グループおよびブラックアウトをモニターおよび管理します。
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複数のエージェントまたはターゲットに対し、バッチ・タスクや複雑なタスクを可能にします。
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スクリプトによりサード・パーティまたはカスタム・ソフトウェアとEnterprise Managerを統合します。お客様のビジネス・モデルの一部となっているアクションを、スクリプトを介して実行できます。
EM CLIの操作のモード
EM CLIには、これは次に示す操作モードが用意されています。
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標準モード
標準モードでは、入力した各EM CLI Verbは単一のオペレーティング・システム・コマンドです。各コマンドによってEM CLIが起動された後、コマンドが実行されて終了します。
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対話方式モード
対話モードは、リアルタイムの診断やデバッグ用の非定型問合せまたはコマンドに最適です。このモードの場合、EM CLIがシェルとして実行され、コマンドラインで入力したすべてのコマンドが即時実行されるため、同じシェル内で複数のコマンドを自由に実行できるようになります。
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スクリプト・モード
スクリプト・モードでは、管理者は、1回の呼出しで実行する一連のEM CLIコマンドが含まれる単一のPythonスクリプトを作成できます。
各モードでは同じVerbが使用されます。Verbは、Enterprise Manager機能を公開する、ユーザー・コマンドの形式をとったタスクまたはアクションです。一部のVerbには1つまたは複数のパラメータ、つまり、指定したコマンドの引数を含めることができます。パラメータには、必要なパラメータとオプションのパラメータがあります。次のcreate_group
Verb構文の例では、-name
パラメータのみが必須です。その他のパラメータはオプションです。
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標準モードの例
$ emcli create_group -name="name" [-type=<group>] [-add_targets="name1:type1;name2:type2;..."] [-is_propagating="true/false";
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対話モードの例
$ emcli emcli> … other commands… emcli> create_group(name="name" [;type=<group>] [;add_targets="name1:type1;name2:type2;..."] [;is_propagating="true/false"); emcli> … other commands … emcli> exit() $
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スクリプト・モードの例
$ emcli @create_group.py;
標準コマンドライン・モード
これは従来のモードで、Enterprise Manager Cloud Control version 13.1.0.0以前は唯一のモードでした。このモードではEnterprise Managerにアクセスする単純なコマンドライン・インタフェースがあり、コマンドラインからVerbを1つずつ実行できます。
次に例を示します。
emcli create_group -name=my_group -add_targets="mymachine.myco.com:host"
スクリプト・モード
スクリプト・モードは、バルク・モードでタスクを実行する場合や、多くのタスクを一度に実行する場合に、特に効果的です。スクリプトは、次のような複数タスクの実行に便利です。
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グローバルなターゲット・プロパティの一覧表示と設定
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エージェント・プロパティの一覧表示と設定
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データベース・パスワードの更新
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グループ・メンバーのリスト
このモードではJythonスクリプトを記述し、ファイルとして保存して、そのファイルを次のように引数としてEM CLIに渡すことができます。
emcli @createuser.py
ここでcreateuser.pyはEM CLIに送信するPythonコードが含まれるファイル名です。
既存のEM CLI Verbを使用して再利用可能で機能的なモジュールを作成し、複雑なタスクを生成することができます。この直感的なオブジェクト指向プログラミング・モデルでは、カプセル化、ループ、関数、例外、エラー処理などをサポートしています。これらの機能により、Jythonプログラミング言語が提供するすべてのパワフルな機能の恩恵を受けることができます。
関連項目:
様々なモードの使用方法の詳細は、「EM CLIの使用」を参照してください。
EM CLIのアーキテクチャ
図1-1は、EM CLIの高レベル・アーキテクチャを示します。
図1-1 EM CLIのアーキテクチャ
EM CLIはクライアントサーバー・アーキテクチャを実現し、EM CLIがクライアントで、Oracle Management Services (OMS)がサーバーです。
標準的なVerbは0個以上の引数を入力として取りえます。EM CLIクライアントは、処理のためにOMSに入力を渡します。EM CLIクライアントがOMSに接続され、ユーザー・セッションが確立されます。これはVerbの実行全体を通じて、ログアウトが開始されるまで使用されます。